2010 年度 京都女子大学 HP 用過去問題解説 英語(長文) こんにちは、みなさん。 いよいよ本番を意識する時期にさしかかってきました。勉強の進捗状況はいかがですか? 順調に進んでいる人、計画通りに進まずイライラしている人、やる気はあっても気持ちが空回 りしている人、なかなか机に向かえない人などいろいろでしょうね。前回のアドバイスでは3つ のことを指摘しました。 ① 早い時期に基礎的な単語・熟語・文法の知識を徹底すること ② 長文を読むときは、同意表現を意識して読むこと ③ 学習材料はセンター試験を活用すること この3つのテーマをどの程度こなせたでしょうか? ①と②については、今後も継続していく必要があります。しかし、この時期からはそろそろ③ は卒業し、いよいよ京都女子大の過去問題にとりかかりましょう。京都女子大学には京都女子大 学特有の出題パターンがあります。今、その出題傾向に馴染むことが求められる時期になりまし た。 最初は制限時間を気にせずにとにかく全問を解くことに力を注いでください。今の段階でいき なり 80 分の時間制限を設けて練習してもあまり効果はあがりません。まずは時間を気にせず全問 に触れることが大切です。 次に、自分自身の得意分野と不得意分野を見分けることができるようになったら、どういう手 順で解答するか、自分なりの解き方のパターンを検証してみます。読解問題をこなしてから文法 問題に進むこともひとつの方法ですし、また逆に短時間で処理できる文法や作文を最初に解いて からゆっくり読解に取り組むという方法もありますね。とにかく自分の実力が最も発揮できる手 順を見つけてください。試行錯誤は当然必要です。 最後に、自分なりにおおよその解答時間がつかめてきたら、それをもとに少しずつ時間を短縮 する練習に入りましょう。たとえば A 方式の出題は 80 分が指定時間ですが、10 月は 100 分で解 いてみる、11 月になったら 10 分短縮して 90 分で解いてみる、12 月は 80 分でアタックする、年 明け直前期は 70 分に挑戦する、といった具合に少しずつ時間短縮を計画するとよいでしょう。 過去問研究は最低でも 3 年分は解いてみましょう。きっといろいろなことがわかり自信につな がるはずです。 さて、今回は 2010 年一般入試前期A方式の問題をサンプルに、いくつかポイントとなる学習 項目を指摘して、今後の手がかりを一緒に見つけていきたいと思います。一般入試A方式の問題 構成ですが、設問は全部で5つ、これを 80 分で解答します。ⅠとⅡはともに評論文をもとにした 長文読解で、それぞれ語数が 800 語前後と長めです。このうちⅠは、本文を読み、与えられた選 1 択肢に T/F で判断を下していく内容真偽(この形式の設問に対する解法は 2010 年 6 月のアドバイ スを参考にしてください)。Ⅱは様々な設問形式を含む総合問題です。細かい文法知識や熟語など が問われる一方、文脈把握を前提とした文整序やリード部の付いた内容真偽の問題もあります。 Ⅲは対話文を完成する空所補充問題。各問いは易しい選択肢でできていますが、全文の量が多い のでスピードが要求されます。Ⅳは文法・語法を中心とした 4 択空所補充です。レベルはほぼセ ンター試験と同じ、極めて標準的な問題ばかりです。最後のⅤは整序作文です。基本的な熟語や 定型構文をマスターしていれば誰もが解ける問題になっています。このⅢ~Ⅴはセンター試験の 第 2 問の拡大バージョンを考えてもらえるとわかりやすいでしょう。ではこの中からⅡとⅣの問 題を解いてみます。 長文問題 2010 年度 一般入試 前期 A 方式(1/30) Ⅱ まず長文問題ですが、2010 年一般入試前期A方式 1 月 30 日実施分の大問Ⅱから特にポイント になる設問をいくつか取り上げてみましょう。2010 年度は例年にくらべ本文自体の長さは短くな りました。ただし、1段落がかなり長めなので、段落ごとの主旨を的確に掴みながら読み進まな いと何の話をしているのか分からなくなりがちです。段落を読み終えたら、簡単にその要旨をメ モしておくと良いでしょう。 (1) この空所を含む第1段落の文頭に、 The battle of the thermostat begins every winter.「サーモスタットの戦いは毎年冬に始まる」 とありますね。まずこれを念頭において、However 以下の空所を含む文の意味を考えましょう。 戦いという言葉に着目するとホームヒーティングは夫婦の間に(C)great disagreement「大きな争 い」を生み出すはずです。 (2)空所は直前に書いてある Although we feel hot and cold throughout the day, our core body temperature ―that of our vital organs― is always kept at about 37℃. Maintaining this temperature is vital to survival : 「私たちは日中暑さ寒さを感じるが、重要臓器の深部体温であ る中核体温は常に約 37℃で維持されている。この体温を維持することは生存にとって極めて重要 である。」という文の具体例を示す場所になっています。それは vital to survival の後にコロン(:) が入っていることから分かりますね。そこで選択肢から(D)result in ~ 「~という結果になる」 を選べば「2℃下がると低体温症を引き起こしかねないし、12℃下がると死につながる」という文 意が成立します。空所の直前に cause があることもヒントになるでしょう。 (6)文整序の問題です。苦手とする人が多い分野ですが、着目する言葉をしっかり捕まえれば 難しい問題ではありません。ここでも 3 に含まれる a more efficient technique が 1 の this system に連絡していることを押さえてください。 「より効率の良い技術」が「このシステム」に置き換え られているわけです。このような同意表現のつながりは英文にはよくおこる現象です。5 月の解 説の中でも指摘しておきましたが、 ‘大切なことは形を変えて繰り返される’という英文の原則を 思い出してください。 これで 3→1 が繋がりました。これに 2 の too という追加表現に注目して 2 最後にもってくれば 3→1→2 と正解が出来上がります。 (7)前段落での話を受けて最終段落が展開するところです。空所の直後に how hot or cold we feel also depends on the temperature we’re used to living in 「生活するのに慣れた温度によっ てもまた暑さ寒さも感じ方もかわる」要するに何が原因で暑さ寒さの感じ方が変わるのかという わけですから、(C)In addition 「それに加えて」が入りますね。 おわりに ここまで解説してきましたが、いかがでしたか? テストですから間違えることは誰にでもあります。大切なことはその後のケアをどうするかと いうところでしょう。なぜ自分はその問いを間違えてしまったのか。その理由を焦ったりせず少 し立ち止まってじっくり考えてみてください。自分なりの間違いの癖がつかめればそれを改善す ることもできるでしょう。過去の出題例を題材にして自分自身の弱点を探し出してください。大 丈夫、まだ 11 月ですからいくらでも力を伸ばすことは可能です。精一杯悔いが残らないように頑 張ってください! 3
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