平成 28 年度島根県の社会福祉政策への提言・要望書 (PDF 形式 / 356

平成 28 年度
島根県の社会福祉政策への提言・要望書
平成 27 年 10 月 27 日
島根県社会福祉団体連絡協議会
島根県市町村社会福祉協議会会長会
島根県の社会福祉政策への提言・要望
島根県の社会福祉政策への提言・要望
今日、島根県においては、少子高齢化・人口減少が進み、単身世帯の増加、家族や
地域の相互扶助機能の弱化とともに、福祉人材不足もより深刻化しています。
人口減少に一定の歯止めをかけ、だれもが互いに支え合って心豊かに暮らすことが
できるまちづくりをすすめていくためには、小地域での住民の支え合い活動のより一
層の促進や多世代が利用できる生活支援サービスの提供と産業振興や新しい人の流れ
づくりなどを、地域をあげて総合的・一体的に行うことが重要です。
この度、島根県社会福祉団体連絡協議会並びに島根県市町村社会福祉協議会会長会
では、こうした考え方に立って、島根県の社会福祉政策について次のとおり提言・要
望をいたしますので、ご高配を賜りますようお願い申し上げます。
平成27年10月27日
島根県知事
溝 口
善 兵 衛
様
島根県社会福祉団体連絡協議会
会 長
江 口
博 晴
島根県市町村社会福祉協議会
会 長
山 本
重 明
提言・要望事項
Ⅰ
地方創生に向けた福祉サイドからの提言・要望
1
くらしを支える多世代交流・多機能型の福祉の支援拠点づくり
中山間地域等における多世代交流・多機能型の地域福祉・生活支援
拠点づくりの推進
2
魅力ある雇用の場づくり
「しまね福祉人材育成事業所認証制度」の創設
3
住まいと住まい方を支援する仕組みづくり
(1)公営住宅を含む賃貸住宅に入居しやすい環境整備
(2)住まいの確保と住まい方を一体的に支援する仕組みづくりの推進
Ⅱ
島根県全体の社会福祉政策に対する提言・要望
1
生活困窮者自立支援制度及び関連する地域福祉推進事業の拡充
2
病児・病後児の保育支援体制の拡充
3
島根県から世界をめざす「障がい者アスリート応援プロジェクト」の創設
Ⅰ
地方創生に向けた福祉サイドからの提言・要望
1
くらしを支える多世代交流・多機能型の福祉の支援拠点づくり
中山間地域等における多世代交流・多機能型の地域福祉・
生活支援拠点づくりの推進
島根県がすすめる「小さな拠点づくり」において、多世代交流・多機能
型の地域福祉・生活支援機能を持った拠点の整備を促進されることを提案
します。
【提言・要望の具体的内容】
少子高齢化・人口減少が進展する中、健康で安心して暮らせる地域づく
りを進めていくためには、公民館エリアを基本に、以下のような「小さな
拠点づくり」を進めていく必要があります。
①高齢者、障がい児者、子どもやその他の地域の住民が一緒に利用で
きる地域交流の拠点
②居場所の提供、相談、見守り、通所サービス等の支援を柔軟に実施
する拠点
③日常生活の基礎圏域である自治会区等での支え合い活動の促進や支
援の拠点
④住民と専門職の連携による住民主体の地域包括ケアシステム推進の
拠点
⑤地域に開かれ、地域に支えられる運営
このような拠点づくりをすすめる上では、民家や既存公共施設等を活用
した拠点(必要に応じたサテライト設置含む)の整備と専門スタッフの配
置が必要です。
-1-
【提言・要望の理由】
(島根県における現状と課題)
1
中山間地域では、生活困難・困窮、介護や障がい者の自立支援、子育て支援など多
様なニーズがありながら、縦割りで全国一律の基準の制度サービスでは、それぞれの
利用者が少ないため事業として成り立ちにくい状況にあります。
その結果として、地域外の施設等を利用するため転出せざるえない、あるいは家族
に過重な負担がかかるなどの問題が生じています。
2
介護保険制度改正により平成 27 年度からスタートした「介護予防・日常生活支援総
合事業」では、29 年度までに市町村が中心となって地域の実情に応じた支え合いの体
制づくりを行うことになっています。
島根県では住民主体のサービス提供体制づくりや人材確保などが課題となり、体制
整備が進んでいない状況にあります。
3
平成 23 年度から島根県独自に進めてきた「しまね流自治会区福祉活動」により、現
在 3,540 か所の自治会でいきいきサロンや見守りなどの活動が行われています。
活動がすすむなかで、担い手の確保や見守りにとどまらない生活支援への対応など
自治会区内だけでは解決の難しい課題が顕在化してきました。
自治会区における住民互助の支え合い活動を重層的にサポートする仕組みが求めら
れています。
4
地域福祉は市町村が主体となって進めることが前提とされてきましたが、市町村行
政の体制や予算上の問題、取り組み意欲などによって既に大きな格差が生じています。
健康で安心して暮らせる地域づくりに市町村格差ができるだけ生じないよう、島根
県が一定の方針を示し、イニシアティブをとって進めることが必要です。
-2-
(国の動向等)
1
地域住民生活等緊急支援のための交付金(平成 26 年度国補正予算:地方創生先行型
1700 億円)の「小さな拠点の形成」メニューには、生活機能の集積、基幹集落と周辺
を結ぶ交通ネットワークに加え「多世代交流・多機能型福祉拠点の推進」が盛り込ま
れています。
平成 24~26 年度は東日本被災地において福祉サービス提供体制の再構築や地域コミ
ュニティの再生・活性化を図ることを目的に多世代交流・多機能型福祉拠点の整備が
進められてきましたが、27 年度以降は上記交付金により全国で積極的に推進していく
こととなりました。
2
平成 27 年度から施行された生活困窮者自立支援法のその他事業として「地域におけ
る生活困窮者支援等のための共助の基盤づくり事業」が創設されました。
この事業は、年齢や性別、その置かれている生活環境などにかかわらず、身近な地
域において誰もが安心して生活を維持できるよう、地域住民相互の支え合いによる共
助の取組の活性化を図りつつ、生活困窮者を始め、支援が必要な人を地域全体で支え
る共助の基盤づくりを進めることを目的としています。
3
高知県では、多世代交流・多機能型福祉拠点を地方創生総合戦略に位置づけ、すで
に事業化をすすめています。その他の県においても、県全体(熊本県や富山県など)
あるいは市町村レベルにおいて、国の地域介護・福祉空間整備等交付金や介護保険制
度等を活用した多世代交流・多機能型福祉拠点の整備がすすめられています。
4
島根県社会福祉協議会では、こうした拠点の立ち上げを支援するため、平成 28 年度
から長寿社会振興基金に「新たな支え合いファンド」を創設することを検討していま
す。
-3-
2
魅力ある雇用の場づくり
「しまね福祉人材育成事業所認証制度」の創設
福祉・介護事業所をはじめ多様な関係機関・団体を巻き込み官民一体とな
って、働きがいと働きやすさに配慮した人材育成や職場への定着支援に取り
組む福祉・介護事業所を認証・公表する制度の創設を提案します。
【提言・要望の具体的内容】
将来にわたって福祉・介護人材の安定的確保を図るために、一定の水準
を満たした福祉・介護事業所を認証・公表する取り組みを通じて、処遇や
労働環境の水準を引き上げ、業界全体の社会的評価・イメージを高め、求
職者等に分かりやすく伝える仕組みづくりが必要です。
*介護福祉士の離職状況(過去 1 年間の自己都合による離職)
(人)
離職
者数
正規
1 年未満
1 年以上
3 年未満
3 年以上
5 年未満
5 年以上
7 年未満
7 年以上
74(24.9%)
68(22.9%)
53(17.8%)
34(11.5%)
68(22.9%)
297
142(47.8%)
非正規
141
38(27.0%)
155(52.2%)
35(24.8%)
73(51.8%)
28(19.9%)
25(17.7%)
15(10.6%)
68(48.2%)
出典:「H25 福祉・介護人材の確保・定着に関する調査検討事業/島根県」
-4-
【提言・要望の理由】
1
団塊の世代が 75 歳以上になる 2025 年に向けて福祉・介護ニーズの一層の増加が
見込まれる一方で、労働力人口は減少傾向にあり、福祉・介護人材の確保は県政を
あげた課題となっています。
2
こうした中で、今後福祉・介護業界が「選ばれる業界」に転換し、新規学卒者や
潜在有資格者の入職とともに、中高年層や女性層、さらには未就労者の入職を一層
促進させていくことが求められます。
3
また、多様化・高度化する福祉・介護ニーズに的確に対応するため、専門性の一
層の向上も求められます。
4
このため、他産業と比較して高い傾向にある離職率を改善し、サービスの質の向
上を図るため、職員の処遇や労働環境向上への取り組みが急がれます。
5
福祉・介護業界が「選ばれる業界」に転換することにより、福祉・介護分野が若
者の県内定着のための雇用の受け皿となり、社会減による人口減少が続く本県にお
いて、転出超過を抑制し、子どもを産み育てる世代の確保にもつながると考えます。
6
なお、先の介護報酬の減額など、福祉・介護業界を取り巻く環境は、より一層厳
しい状況にあります。このため、この取り組みを通じ個々の事業所の努力にもかか
わらず処遇の改善ができない場合は、政策として報酬の底上げを図ることも求めら
れます。
-5-
3
住まいと住まい方を支援する仕組みづくり
(1) 公営住宅を含む賃貸住宅に入居しやすい環境の整備
島根県及び市町村営の公営住宅において、連帯保証人がいなくても入居
できるような条件整備を要望します。
低所得の高齢者等が状態に応じた適切な優良民間賃貸住宅に入居できる
よう、制度の見直しも併せてお願いいたします。
【提言・要望の具体的内容】
社会的に孤立している生活困窮者、高齢・障がい者等が相談支援機関等から
の支援を受けることなどを条件に、島根県入居債務保証支援事業を利用して公
営住宅へ入居できるようになるためには条例の改正が必要です。
地域の家賃相場を踏まえ、それぞれの状況に応じた適切な優良民間賃貸住宅
に入居できるよう、島根県入居債務保証支援事業補助金要綱の見直しが必要で
す。
-6-
【提言・要望の理由】
1
公営住宅では、連帯保証人の取扱いについて、島根県営住宅条例第10条第3項に
おいて、知事が特別な事情があると認めるものに対しては連帯保証人の連署を必要と
しないとされていますが、
「特別な事情」の対象要件や必要な手続きが明文化されてい
ません。
実態として連帯保証人がいなければ支払い能力があったとしても県営住宅に入居で
きない運用となっています。
2
島根県営住宅にならって管理運営されている市町村営住宅においても、ほぼ同様の
取扱いとなっています。
3
島根県内の公営住宅において、本人に家賃の支払い能力等があると認められる(生
活保護の被保護者を含む)場合は、一定の要件を定めたうえで連帯保証人なしでも入
居を認め、住まいを確保することで、生活困窮者の自立支援の促進、高齢・障がい者
等の生活の安定と福祉の増進につながります。
*平成8年10月14日付建設省住総発第153号住宅局長通達により、
「本人に支払能力がある
と認められるときは、保証人は必ずしも要しない」
「入居者の努力にかかわらず、保証人が見つ
からない場合には、保証人の免除などの配慮を行うべきである」とされている。
*平成14年3月29日付国住総第26号住宅局総務課公営住宅管理対策官通知では、生活保護
の被保護者について特段の配慮が求められている。
*鳥取県では、連帯保証人の保証を必要としないとすることができる場合の要件や手続きを、
「鳥
取県営住宅の設置及び管理に関する条例施行規則」で定められている。
*第 6 期島根県介護保険事業支援計画では、公営住宅への連帯保証人に代わる入居支援策につい
て検討するとしている。
4
現在の島根県入居債務保証支援事業では、保証する家賃月額は各市町村の生活保護
住宅扶助基準を上限としています。この基準内では適切な賃貸住宅がないことにより
実施地域が広がらない実態があります。
-7-
(2) 住まいの確保と住まい方を一体的に支援する仕組みづくりの推進
住宅確保要配慮者の住まいの確保と住まい方を一体的に支援する事業の
創設を要望します。
【提言・要望の具体的内容】
住宅確保要配慮者が住み慣れた地域において継続的に安心して暮らすため、
空き家や公営を含む賃貸住宅を活用した住まいの確保と日常的な相談や見守り
といった住まい方を一体的に支援する事業を創設するとともに、これらの取り組み
を支える地域連携・協働の持続的なネットワークの構築が必要です。
また、少子高齢化の進展により個人の保証人を立てることが難しい人も増えて
おり、身寄りのない高齢者や障がい者などが身元保証人なしで施設入所サービス
を利用できるような制度を整備していくことが必要です。
【提言・要望の理由】
1
少子高齢化、人口減少の進展に伴い単身の後期高齢者が増加し、なんらかの生活
支援が必要な状態になって住み替えようとしても、状態に応じた住まいを見つける
ことは難しく、特に低所得・低資産や身寄りの無い高齢者の住まい確保は極めて困
難となっており、安定的な居住継続が困難な者(住宅確保要配慮者)が増加してい
ます。
*高齢者世帯の状況(H22 時点「第 6 期島根県介護保険事業支援計画」から)
高齢者夫婦世帯及び単身世帯は約 6 万世帯(総世帯数の約 22%)。75 歳以上単身世帯割合は 6.7%
(17,477 世帯)で、今後とも増加すると見込まれる。
*養護老人ホームの待機状況(松江市への聴き取りH27.5 月末時点)
松江市管轄の養護老人ホーム(市内2か所、市外5か所)は満床で、約半年から1年の待機と
なっている。
*生活困窮者で住宅確保支援が必要な者(島根県パーソナルサポートセンター平成 26 年度実績)
住宅確保支援は 258 件(18.3%)で、生活費支援に次いで 2 番目に多い。
2
一方、空き家(の活用)や民間賃貸住宅、公営住宅、福祉施設などが住宅確保要
配慮者の住まいとして想定されますが、いずれも不足しています。
-8-
3
「平成 25 年住宅・土地統計調査結果(総務省統計局)」によると県内の空き家は
平成 15 年に比べて大きく増加し 45,900 戸でそのうち、
「賃貸用の住宅」28.8%、
「売
却用の住宅」1.8%で、全国平均の「賃貸用の住宅」50.3%、
「売却用の住宅」3.6%
と比べると県内での空き家の所有者は空き家を活用する意識が低いと考えられます。
4
民間賃貸住宅では、住宅の貸し手側にとって、身元保証人のいない住宅確保要配
慮者は家賃滞納や孤立死等のリスクなどから、入居を拒むことが多々あります。ま
た、低所得の借り手側にとって、適当な民間賃貸物件は家賃も高く借りることがで
きません。
*島根県内の宅地建物取引業者の約3割が、低額所得者、高齢者、外国人などの民間賃貸住宅への入
居依頼を拒否した経験を持つ。入居拒否の主因は家賃滞納や緊急時の対応
(平成 23 年 10 月島根県実施「不動産業者アンケート」)
5
国では、地域の空き家等を活用した「住まいの確保」と社会福祉法人等による「住
まい方」の支援を一体的に提供する仕組みのモデル開発とその普及を図っています。
この仕組みを島根県に導入することによって、住宅確保要配慮者の地域での安定的
な居住継続を実現するとともに、空き家等の有効活用が促進されることが期待されま
す。
6
身寄りのない高齢者や障がい者が、契約により福祉施設の入所サービスを利用す
る際に、身元保証人の確保ができないということでその利用ができない場合があり
ます。
その人らしい生活が阻害され、権利侵害や社会的排除にもつながる要因のひとつと
なっています。
民間の保証会社を利用することが考えられますが、金額が高額なため、経済的に支
払能力がなければ利用することができません。
*身元保証人に求められているものとして、以下のようなことがある。
・緊急の連絡先
・入院費・施設等利用料の支払代行
・債務の保証(入院費・施設等利用料・損害賠償)
・本人生存中の退院・退所(退去)の際の居室等の明渡しや原状回復義務の履行
・入院計画書やケアプラン等の同意
・医療行為(手術・予防接種等)の同意
・遺体・遺品の引取り・葬儀 等
*民間保証会社の利用料の例
・当初費用:入会金10万円、事務手数料、1万2千円。
・毎月費用:月会費5千円・身元保証月支援費5千円。
・病院への入院保証は別途1ヶ月分の保証金が必要。
-9-
Ⅱ
島根県全体の福祉の向上に向けた提言・要望
1
生活困窮者自立支援制度及び関連する地域福祉推進事業の拡充
生活困窮者自立支援制度及び関連する地域福祉推進事業において、広域的
支援のさらなる充実強化及び各事業実施に係る適正な人員配置に必要な予算措
置を要望します。
【提言・要望の具体的内容】
自立相談支援事業所等の連絡調整や定期的なケース検討等の研修機会の確
保など広域的支援のさらなる充実強化を図る必要があります。
併せて、生活困窮者等の自立支援に必要な就労など任意事業の実施に著し
い市町村格差が生じないよう、事業の普及促進や市町村間の調整が必要です。
また、制度に関連する「生活福祉資金貸付事業」や「日常生活自立支援事業」
の機能が十分発揮できるよう、各事業実施に係る適正な人員配置が必要です。
【提言・要望の理由】
1
平成 27 年 4 月に生活困窮者自立支援法がスタートしましたが、自立相談支援事業
実施機関においては、事前の制度研修もなく、十分な情報や経験のないなかで試行
錯誤を行っている状況があります。
2
生活困窮者の自立(出口)支援に必要不可欠な就労支援や家計相談、学習支援な
ど任意事業の実施状況は自治体により大きな格差が生じています。
3
生活困窮者等の自立を支援する制度として「生活福祉資金貸付事業」の果たす役
割は大きく、相談員の配置は不可欠です。
- 10 -
4
判断能力が十分でない方への福祉サービス利用援助や日常的な金銭管理など行う
「日常生活自立支援事業」は、今後、認知症高齢者の増加や障がい者の地域生活移
行等がすすむことにより本事業利用者がさらに増えることが見込まれます。
5
社会的孤立などを背景に福祉課題・生活課題が深刻化・多様化する中、制度の狭
間の課題が生じており、効果的・効率的かつ重層的な取り組みをすすめていくため、
「自立相談支援事業」や「生活福祉資金貸付事業」、「日常生活自立支援事業」等が
連携した総合相談・生活支援体制を整備・強化する必要があります。
6
一方で、
「生活福祉資金貸付事業」や「日常生活自立支援事業」においては生活困
窮者自立支援制度予算体系への再編や補助額算定方法の見直しなどにより大幅な減
額が懸念されています。
- 11 -
2
病児・病後児の保育支援体制の拡充
子育て世代が安心して働けるよう、病児・病後児の保育支援体制の拡充を
要望します。
【提言・要望の具体的内容】
福祉・介護従事者の多くを子育て世代が占める中で、こうした世代が安心して
働ける環境づくりを促進するため、県内全域において、病児・病後児保育事業の
実施及びファミリーサポートセンターの設置が必要です。
【提言・要望の理由】
1
福祉・介護の仕事の多くは、早朝勤務・夜間勤務を伴う不規則な勤務形態である上
に、予め勤務シフトが定められています。
2
こうした中で、子育て世代(主に 20 代~40 代)の親は現場においてチームリーダー
や監督的立場にある者も多く、子どもの体調不良時において急遽の休暇取得が非常に
困難な状況にあります。
3
特に、中山間地域においては、病児・病後児の保育支援体制が不足しており、その
体制整備が急がれます。
4
また、このような不安を取り除くことで福祉・介護に従事する子育て世代が安心し
て働くことができ、結婚・妊娠・出産・育児への前向きな機運醸成が図られることで、
質の高い労働力の確保とともに少子化を防ぐ効果が期待されます。
*病児・病後児保育事業実施地域
・病児対応(5 市町):松江市、浜田市、出雲市、邑南町、西ノ島町
・病後児対応型(9 市町):出雲市、益田市、大田市、安来市、江津市、雲南市、吉賀町、
西ノ島町、隠岐の島町
・体調不良児対応型(2 市町):大田市、邑南町
*ファミリーサポートセンター設置地域(9 市町):市部及び隠岐の島町
- 12 -
3
島根県から世界をめざす「障がい者アスリート応援プロジェクト」の創設
① 障がい者スポーツにおけるトップアスリートの育成及び広報を目的とし
て「障がい者アスリート応援プロジェクト」の創設を提案します。
② 東京パラリンピックの事前キャンプ誘致への支援を要望します。
【提言・要望の具体的内容】
東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を背景に、障がい者スポー
ツへの関心が高まりつつある中、県民への障がい理解をさらに浸透させる方
策のひとつとして、関係団体等と協働し、世界で活躍できるトップアスリー
トの育成の支援と、その成長や活躍ぶりなどを県民に広く紹介していく取り
組みが必要です。
また、東京パラリンピックの事前キャンプを誘致しようとする市町村がそ
の実現を果たせるよう、島根県、市町村が一体となった誘致活動を行う必要
があります。
【提言・要望の理由】
1
島根県においては、平成 26 年「東京オリンピック・パラリンピックしまね総合推進
連絡会」
(所管:政策企画局)を設置し、①島根県ゆかりの出場選手の育成、②事前合
宿の誘致を推進目標に掲げていますが、特に障がい者スポーツの分野においては具体
的な取り組みには至っていません。
2
国においては、平成 27 年 10 月にスポーツ庁を設置し、これまで別々であった一般
スポーツと障がい者スポーツの所管機構を統合して一体的に推進するとともに、その
競技力向上を図っていく方針が決定され、国の動向に合わせた組織再編や施策方針を
打ち出す県が見られる中、島根県では現在のところ特段の動きはなく、障がい者アス
リート育成についての施策・予算措置はありません。また、県民に障がい者スポーツ
の振興を通じて障がい理解につなげる十分な広報も行われていません。
- 13 -
3
このことから、(公財)島根県障害者スポーツ協会では、平成 27 年度から基本財産
の一部取り崩しによって独自に予算化し、東京パラリンピックの代表候補選手(強化
指定選手)に選出されることを目標とするトップアスリートの育成事業に取り組み始
めましたが、十分な支援ができていない状況であります。
4
過去のパラリンピック選手へのアンケート調査結果からは、強化指定選手になって
も、その後の国内外での合宿や遠征費等で多額の自己負担額が必要となります。大企
業等からのスポンサーを得ることが難しい地方の選手にとっては大きな課題となって
います。
5
また、東京パラリンピックの事前キャンプを誘致・実施する県内市町村があること
から、島根県としてその活動を積極的に支援・広報していくことは「東京オリンピッ
ク・パラリンピックしまね総合推進連絡会」の推進目標に合致するものであるととも
に、県民への障がい者スポーツへの関心を高め、ひいては障がい理解につながる取り
組みであると考えます。
- 14 -