第三者意見 [PDF:971KB]

第三者意見
2005 年以来、発行されてきた「環境報告
書」が、今回、新たに「CSR 報告書」として組
一方、まだ十分に関心と配慮が払われて
み替えられて公表されました。
「環境報告書」
いないことが窺えるのは、海外の ESG 体制
では、環境への取り組みが主になるため、社
の構築に関わる部分です。海外の子会社の
会貢献活動は付随的に行われているかのよ
不正や不祥事に対して日本の親会社の責任
うな印象がありました。「環境報告書」から
が問われるように体制が動きつつあります。
「CSR 報告書」への転換は、ネーミングの変
今後は、海外子会社などを含めたグループ
更だけに終わることもあるのですが、その心
企業全体の CSR ないし ESG体制を構築し運
配の必要はなかったようです。その転換が
用する点に重点を移していくことが課題に
うまく行った理由の一つは、大気社の CSR
なるでしょう。
麗澤大学 外国語学部 教授
企業倫理研究センター
前センター長
梅田 徹
くことが求められます。
氏
の理念体系が整理された点に求めることが
最後に一点だけ、細かな点を指摘しておき
できます。CSRの理念体系は、
「顧客第一」の
ます。環境への取り組みは、大気社が得意と
精神を掲げる創業理念、永続的な成長と社
する分野です。
「CSR 報告書」
では
「環境報告書」
会貢献、魅力ある会社づくりを柱とする企業
に盛り込まれていなかったマテリアルフロー
理念、経営ミッションなどを基礎として再
の情報が新たに掲載されました。これはひと
構成され、明確な表現で打ち出されました。
つの進展と評価できますが、掲載されたマテ
環境への取り組みも、その体系の中にしっ
リアルフローのフォーマットについてはさら
かりと位置づけられています。コーポレー
なる充実が望まれます。消費電力量、フロン
ト・ガバナンスやコンプライアンスを含むガ
回収量、VOC 排出削減量等のデータなどは
バナンスの取り組み、労働慣行、品質向上、
ほかのページでも掲載されています。
「マテ
取引先との関わり、社会貢献を含む社会性
リアル(物質的)な」インプットとアウトプッ
に関する情報も盛り込まれた結果、ESG ※情
トを把握するための指標の検討が、次年度に
報がバランス良く配置されたレポートに仕
向けた課題です。
上がっています。CSR の施策と活動計画も
整備されました。今後は、掲げられた個々
の目標に向けた取り組みを確実に進めてい
※ Environmental(環境)
、Social(社会)
、
Governance(企業統治:ガバナンス)
のこと
■ 意見を受けて
梅田先生には貴重なご意見を賜り、誠にありがとうございました。
今回は、当社にとって最初の「CSR 報告書」の発行でしたので、CSR の理念体系の構築に注力いた
しましたが、CSR の施策や活動計画についても一定のご評価をいただきました。さらに充実した内容
にすべく取り組んでまいります。
また、ご指摘いただいた海外の ESG 体制の構築に関しましては、現在、急ピッチで整備を進めてい
るところですが、まだまだ努力が足りない部分も多く、継続して改善を図っていく所存です。
今後も、創業理念「顧客第一」の実現に向けた活動を続けてまいりますので、忌憚のないご意見を賜
りますようお願いいたします。
加藤 考二
CSR 担当役員 取締役 常務執行役員 大気社 CSR 報告書2015 42