御伽草子版「浦島太郎」

第1学年
組
国語科学習指導案
場 所
授業者
1
単元名
いにしえの心にふれる
1年
組教室
御伽草子版「浦島太郎」
2 目 標
(1)古典の文章に関心をもち,進んで古典にふれ,興味・関心を高めようとしている。
(国語への関心・意欲・態度)
(2)現在も読まれている昔話と古典作品を読み比べ,周りに紹介するという目的に応じて,必要な情
報を読み取ることができる。
(読むこと)
(3)事象や行為などを表す多様な語句について理解を深めるとともに,話や語彙について関心を持つ
ことができる。
( 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項)
3 単元について
(1)単元観
本時の教材として取り上げている浦島太郎は,平成九年頃の1年教科書には掲載されていたが,
本単元「いにしえの心にふれる」には含まれていない。しかし,中学校における古典の学習では,
古典についての興味・関心を一層高めることが目的である。1学期に学習した説明文2作(「ダイ
コンは大きな根?」「ちょっと立ち止まって」)の主張では,共通して「身近なもの・既に知って
いることの中にも,新しい発見の驚きや喜びがある」としており,それが物事への興味・関心を更
に高めるとしている。
そうした経緯を踏まえ,既に知っている昔話「浦島太郎」と,本来の内容により近いとされる御
伽草子「浦島太郎」を比較し,違いを発見し紹介するという学習活動は,前述した古典学習の目標
を達成する上で効果的であると考え,本単元を設定した。
(2)生徒観(省略)
(3)指導観
古文の音読については,小学校5・6年生を中心として,中学校で学習するほとんどの古典作品
の冒頭や部分に触れている。中学校の古典学習でも毎時間音読の機会を設定し,古文特有のリズム
に読み慣れさせるとともに,歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに正確に直す力を身につけさせたい。
本時の学習の中心は,それぞれの班(4~5人編成で5班)で前時までに調べてわかったことを
全体に紹介する活動である。各班の発表の際には,一人一人に活躍の場が与えられるように,ある
程度統一した紹介の流れをあらかじめ指示した上で取り組ませたい。
各班の発表が進んでいくにつれて,「浦島太郎」の本来の姿が生徒たちの頭の中に次第に形作ら
れていくことになる。そこでの,発見・驚き・喜びは,古典学習に対する興味や関心を更に高めて
くれると確信している。授業終末の交流の場では,そうした個々の感想を全体で共有することで,
本時の学習に広がりと深まりをもたせたい。
本校の国語科研究テーマは「確かな基礎・基本をもって与えられた情報を活用し,豊かな言語活
動を展開することのできる生徒の育成」である。また,今年度本校では,「グループ活動」と「振
り返り」に重点を置いた指導に取り組んでいる。この二つを活用できる場面や,「選ぶ・書く・説
明する」の段階を踏んで読み取ったことを伝え合う活動は,本単元を進める上でも一貫して取り入
れて指導していきたい。
-1-
4
単元の目標
単元名
い に し え の 心 に ふ れ る
国語への関心・意欲・態度
観点別
5
読むこと
時数
13時間
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項
古典の文章に関心をもち,進んで
現在も読まれている昔話と古典
事象や行為などを表す多様な語句
古典に触れ,興味・関心を高めよう 作品を読み比べ,周りに紹介する について理解を深めるとともに,話
としている。
という目的に応じて,必要な情報 や語彙について関心を持つことがで
(伝国(1)ア(ア)) を読み取ることができる。
きる。
(読(1)カ)
(伝国(1)イ(ウ))
単元の指導計画(総時数
13時間)
学 習 内 容
1
「いろは歌」
いろは歌の音読や視写をするこ
とを通して,意味や特徴を知る。
1
「浦島太郎」
冒頭部分を読み,昔話との相違点
を理解する。
1
「浦島太郎」
御伽草子の内容を班ごとに調べ、
紹介の準備をする。
「浦島太郎」
1
班ごとに調べたことを,全体で
本時 紹介し合う。
2
「七夕に思う」
本文から,七夕に対する古人と現
代人の思いをとらえ,比較しなが
ら感想を書き発表する。
1
「蓬莱の玉の枝」
竹取物語の全体のあらすじを知
り,冒頭部分を読む。
1
「蓬莱の玉の枝」
冒険談の古文を音読し,物語の展
開をとらえる。
1
「蓬莱の玉の枝」
本文と解説からかぐや姫・翁・帝
の心情を読み取る。
1
「蓬莱の玉の枝」
他の貴公子と帝についての部分を
読み,作品への理解を深める。
1
「今に生きる言葉」
故事成語について知り,矛盾の故
事と言葉の意味を理解する。
2
「今に生きる言葉」
興味をもった故事成語について調
べ,紹介し合う。
単元を
観 点 別 評 価 規 準
貫く
言語活動 関心 読む 伝国
評 価 の 規 準 と
いろいろな古典作品の中に描き出されている古人のものの見方・考え方を捉え,
自身の経験や現代人の感覚と比較しながら,感じたことや興味をもったことをまとめ,紹介し合う。
時間
方 法
○
仮名四十七文字を一度も重複させることなく,
○ 意味のある歌になっていることを理解している。
【音読・ワークシート】
○
仮名遣いや古語の意味の理解を通して,作品へ
○ の関心を高めている。
【観察・ワークシート】
○
○
資料から根拠となる必要な情報を読み取り,わ
かりやすい紹介の形にしている。
【観察・ワークシート】
○
○
紹介を通して作品の全体像を理解し,古典作品
への興味・関心を高めている。
【発表・ワークシート】
○
いろいろな古典作品に見られる七夕への古人の
思いを,現代人と比較しながら感想にまとめてい
る。
【発表・ワークシート】
○
物語のあらすじと,冒頭部分の内容を理解して
○ いる。
【音読・ワークシート】
○
○
○
○
原文と訳文とを比べながら意味をとらえ,話の
展開を理解している。
【音読・ワークシート】
○
心情の普遍性を感じ取りながら,登場人物それ
ぞれの心情を想像している。
【音読・ワークシート】
学習を通してわかったことや興味を持ったこと
について,感想をまとめている。
【発表・ワークシート】
○
○
○
矛盾の故事と意味から,故事成語とはどんな言
○ 葉かを理解している。
【音読・ワークシート】
○
○
調べた故事成語を紹介し合うことを通して,故
事成語についての理解を深めたり広めたりしてい
る
【発表・ワークシート】
6
本時の計画(本時
4/13時間)
(1) ねらい
・
御伽草子版「浦島太郎」の本文と挿絵を手がかりにして昔話との違いを調べ,わかったことやおもし
ろさなどを紹介することができる。
(2) 展
開
段階
学習活動(学習形態)
教
師
の
支
援
と
評
価
教材・資料
(時間)
1
冒頭部分を音読し,既習内容を ○ 発表の機会を多く設定することで,活躍の場・
復習・確認する。
(一斉) 話形の活用・意欲喚起につなげる。
冒頭部分の
掲示資料
つ
○
前時の復習を通して,本時の活動とその手順の
確認につながるようにしたい。
掲示歌詞
か
2
む
学習課題を確認する。 (一斉)
めあて
班ごとに調べた,昔話と御伽草子の浦島太郎の比較を通して,違いやわ
かったことを紹介し合おう。
御伽草子版
浦島太郎の
挿絵(5枚)
(10)
3
班ごとに紹介のリハーサルを行 ○ 班内の役割に従って,順序よく発表を進められ
う。
(班)
るよう,随時アドバイスしながらリハーサルに臨
ませたい。
追
4
班ごとに,調べてわかったこ
とを紹介する。
(一斉)
求
○
○
す
(10)
紹介を通して古文のリズムや特有の言い回し,
古語の意味に関心を向けさせたい。
紹介を通して作品の全体像を理解し,古典
作品への興味・関心を高めている。
5
各班の発表を聞いて感じたこと ○ 印象に残ったことや,新たに生まれた疑問など, ワークシート
をまとめる。
(個)
色々な角度からの感想が書けるよう,感想用紙の
形式を工夫する。
○
ま
と
め
る
ワークシート
<C読むこと>
る
(30)
他の班の発表を聞いて,わかったことをまとめ
ていくように指示する。
6
感想を発表し合う。
(一斉) ○
7
次時の学習内容を確認する。
(一斉)
机間支援を通して,発表意欲の喚起につなげる。
発表による感想の共有化によって,古典を学ぶ
ことの魅力も感じ取らせたい。