abstract

ペロブスカイト及び関連酸化物の電子状態計算(5)
河西宏紀、石角圭佑、中尾亮、高橋功、寺内暉、早藤貴範
Electronic State Calculations of Perovskite and Perovskite-related Oxides (5)
H. Kawanishi, K. Ishizumi, R. Nakao, I. Takahashi, H. Terauchi, and Y. Hayafuji
We have studied the mechanism of phase transition in ABO3 perovskite-type oxides using the
Discrete Variational-X α molecular-orbital method.
We have calculated electronic states of
BaTiO3, SrTiO3 and PbTiO3 for paraelectric state. We evaluated the intensity of A-O(between A
site atom and O) and Ti-O(between Ti and O) chemical bonds to estimate the force acting on O and
Ti, that to say, the mobility of O and Ti. From the comparison of calculated result, we have found
that whether ferroelectric distortion takes place or antiferrodistortive distortion takes place is due to
A-O and Ti-O chemical bonds, and delicate balance between A-O and Ti-O chemical bonds is
critical in determining the mode of phase transition in ABO3 perovakite-type oxides.
はじめに
ABO3 型であるペロブスカイト型酸化物の物理的性質は、A サイトの原子を異なる原子に
置換することにより、大きく変化する。
代表的な変位型強誘電性相転移結晶である BaTiO3 は、高温相では立方体で常誘電体であ
るが、398K で正方晶に強誘電性相転移して強誘電体になる。
また、PbTiO3 も、BaTiO3 と同じように、立方晶の常誘電体から 763K で強誘電性相転移
して正方晶の強誘電体になり、正方晶における強誘電性は、BaTiO3 に比べて PbTiO3 の方が
強く、室温での自発分極値も 2 倍以上の差がある。
しかし、Ba を Ba の同属元素である Sr に置換した SrTiO3 は、BaTiO3 と同じように、高温
相では立方晶の常誘電体で、105K で相転移して正方晶になるが、強誘電性相転移ではなく、
酸素八面体の回転による相転移を起こし、常誘電体のままで強誘電体にはならない。
このように、ABO3 型であるペロブスカイト型酸化物の A サイトを置換するだけで大きく
物理的性質が変化することがわかるが、このような構造相転移のモードの違いの原因は解
明されていない。
そこで、本研究では、DV-Xα法を用いて、BaTiO3、SrTiO3、PbTiO3 の 3 つの結晶の電子
状態を計算し、それらの電子状態の違いから構造相転移の機構の解明を目的とする。