永友散歩「自然教育園の紅葉を愛でる」寸描

「自然教育園の紅葉を愛でる」寸描
永友散歩
2015.12.02 矢 嶋
本年最後の散歩は、目黒白金台の「国立科学博物館付属自然教育園」で紅葉を愛でる。
今年の紅葉は全国的にあまり芳しくない特に平野部のそれは際立っている、ここ自然教育園も例外でなく、あま
りきれいな紅葉にめぐり逢うことができなかった。しかしお天気もまあまあで、静かな晩秋を楽しむことが出来
た。
行 程 :AM 11:00 自然教育園教育管理棟に集合→園内散策→(徒歩で目黒駅前に向かう)いつもの通り談笑
せんと喫茶店を 2,3 当たるもいずれも満員!(14:00)→青山夫妻の「私の家へ行こう!」という厚意に甘えて
青山宅へ移動(星野・矢嶋は残念ながら次の予定がありここで離脱)
(今日の歩数 8800歩)
参加者 :青山、青山、浦野、木村、佐藤、星野、矢嶋
紅葉・黄葉はいまいち!
浦野君が時期の設定など苦労して計画して
呉れた自然教育園の紅葉を愛でる企画ではあ
ったが、今年の紅葉は天候不順(いっとき暖
かい日が続いた)が原因なのかあまり綺麗で
はない、紅葉が終わった枝とまだこれからと
いう枝が混在し愚図愚図状態のまま終わり冬
に突入してしまった感じである。左上の写真
は入り口近くの「路傍植物園」散策路の紅葉
(今日の園内ではこれでもベスト3に入るく
らいの綺麗な紅葉)、一方下の写真はパンフ
レットに載っているほぼ同じ場所でのベスト
ポイントの紅葉、通常はこの程度に綺麗な紅
葉となる筈。
今年の紅葉は全国的にあまり芳しいもので
はなかったようである。私は10月初旬から
12月初旬までの間に、「信州白駒池」
「奥多
摩御岳山」「御岳渓谷」「長瀞」
「藤岡市鬼石
桜山公園」「多摩森林科学園」
「昭和記念公
園」
「平林寺」「新宿御苑」
「修善寺紅葉公
園」
「滑沢峡谷」
「平林寺」
「小湊鉄道沿線」
「神川町城峰公園」などに出かけたが、見頃
時期の想定が誤ったこともあるが、真っ紅の
紅葉を撮ろうという私の目論見はすべて空振
りに終わった。来シーズンは、鳴子峡谷の紅
葉をトンネルから出てきた陸羽東線列車と絡
めた写真で捲土重来を期さんと心に決めてい
る(来年も生きながらえる?という前提での
話ではあるが)。
自然教育園の池の水はどこから来るのか?
正門から250m ほど先、二股に分かれた
右手の散策路を行くと左手に「物語の松」
、
ここらあたりから道はわずかな下りとなり
「ひょうたん湖」
(左上写真)を過ぎ続いて
1ha ほどの池と湿地帯からなる「水生植物
園」に到る。
自然教育園は標高30m ほどの武蔵野台地
と呼ばれる高台に位置しているのに、これほ
どの池と湧水箇所や湿地帯があることがちょ
っと不思議に思い気になった。
確か1990年ころ、科学博物館の研究職
についていた友人から自然教育園の前の通り
で地下鉄南北線の工事が始まるので自然教育
園の地下水・池の水が枯れるのではないか?
と意見を求められ「地下鉄は泥土加圧式シー
ルド工法で掘られるので地下水への影響はほ
とんどないのではないかと」と答えたことを
思いだした、そこで「古い話だがその後どう
なったのか?」と友人に聞いてみた処、当時
東京メトロから出されたという報告書の一部
コピーが送信されてきた。それに載っていた
自然教育園付近の南北線ルート沿いの地質断
面図を左に示す。専門的になって恐縮だが、
図中の記号 TM1:関東ローム層、Ic:凝灰質
粘土層、Tos1:上部東京層砂層、Toc:上部
東京層粘土層、Tos2:上部東京層下部砂
層、Tog:東京礫層(いずれも洪積層)を示
している。この図から自然教育園の池や湿地
帯の水は第一帯水層から供給されていること
が分かる。なお、これらの地下水は自然教育
園の北端から北へ恵比寿3丁目と白金6丁目
の間を通る沢地形を通って渋谷川に流れ込ん
でいるものと考えられる。
ツチグリ
園の一番奥「武蔵野植物園」の一角にある
ベンチが幾つもある広場に着いて、さてお弁
当にしようと「どっこいしょ」と座り込んだ
ところ、広場の隅のベンチの下を覗き込んで
何やら探し物をしているお母さん(おばあさ
んかな)が居るのを輝子さんが見つけ、声を
かけると「やっと見つけました~」と嬉々た
る声が返ってくる。皆で近寄るとベンチの下
に左上写真に示す直径 2,3cm ほどの茸、ツチ
グリ(土栗と書くそうです)という湿った日
には写真下のように皮が開き頂端から胞子を
出すという珍しいキノコの仲間だという。
入口で貰った「自然教育園見ごろ情報」に
“ベンチの下にあります”と書いてあった、
それにしてもよくぞ見つけたものだと一同感
心する。
自然教育園は多種多様な生物が育んでいる
都心にありながら自然状態の常緑広葉樹林
が残された場所で、20ha の園内で 1436 種の
生物、2130 種の昆虫、130 種の鳥類が観察
されているというまさしく自然いっぱいの施
設である。正門への帰り道ふと見かけたナラ
の巨木に寄生する小さな植物、名前は分から
ないが自然界のたくましさに感じ入ることし
きり。自然教育園となってからは、それまで
行われていた下刈りや倒木の片づけなど一切
せずに森林の自然の遷移にまかせているとい
う。
ナラ?の巨木に寄生草
今月の見どころ一覧表
教育管理棟(自然教育園の自然を紹介した
各種展示と休憩施設)に、
「今月の見どころ
一覧表」が掲げられている。曰く、ホシホウ
ジャク、ホソミオツネトンボ、アキアカネ、
シロヨメナ、ヤツデ、ナンバンギセル、イイ
ギリの実、サナカズラの実、ノキシノブ、オ
オハナワラビ、カラスウリ、カラタチバナ、
ムラサキシキブ、センリョウ、ナガボノシロ
ワレモコウ、タイアザミ、ガマズミの実、サ
ルトリイバラ、ススキ、ヒメガマ、アオサ
ギ、シロダモ、メジロ、ヒヨドリ・・・。
はじめて聞く名前もいくつか、もう時期外れ
と思われる種もいくつかある。
自然教育園では武蔵野を代表する四季折々
の植物がそれぞれの生育に適した場所でじっ
くりと観察できる。私にとっては地下鉄一本
で来られる場所そして何よりも 65 歳以上無
料という老人にやさしい施設、春になったら
また訪れたいものだ。