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認定看護師教育基準カリキュラム
分野:不妊症看護
平成 23 年 5 月改正
(目的)
1.リプロダクティブ・ヘルスの観点から、個人およびその家族の QOL 向上に向けて、質の高い看護を実践する能力を育成
する。
2.不妊症看護分野において、看護実践力を基盤とし、他の看護職者に対して指導・相談ができる能力を育成する。
3.生殖医療チームにおける看護の役割を果たせる能力を育成する。
(期待される能力)
1.不妊症の病態の把握に加え、社会情勢を踏まえた最新知識をもとに個人およびその家族に対して、身体・心理社会的側
面について継続的にアセスメントを行い、看護を計画・実施し、その評価ができる。
2.生殖にまつわる問題を抱えている個人およびその家族に必要な情報提供や相談を行い、治療について自己決定できるよ
う援助する。
3.不妊症看護の実践を通して、役割モデルを示し、看護職者への指導・相談を行うことができる。
4.より質の高い医療を推進するため、他職種と協働し、生殖医療チームの一員として役割を果たすことができる。
5.生殖医療における人権を擁護するために、適切な倫理的判断に基づいた看護を実践する。
6.生殖医療の特徴を理解したうえで、看護の立場からリスクマネジメントができる。
7.ヘルスプロモーションの観点に基づき、思春期から更年期にある対象のリプロダクティブ・ヘルスを支援する。
教 科 目
共
通
<必須>
1.看護管理
2.リーダーシップ
3.情報管理
4. 看護倫理
5.指導
6.相談
7.文献検索・文献講読 *「共通科目:教科目のねらい」参照
科
目
内 容
<選択>
8.臨床薬理学
9.医療安全管理
10.対人関係
時間数
15
15
15
15
15
15
15
小計 105
15
15
15
小計 45
計
105(+45)
不妊症看護 1
教 科 目
専
門
基
礎
科
目
教科目のねらい
単 元
時間数
1.リプロダクティ
ブ・ヘルス
広い視野からヘルスプロモーションに必
要な支援を考えるために、リプロダクテ
ィブ・ヘルス/ライツ及びセクシャル・ヘ
ルスの概念ならびにその様々な課題と現
状を理解考察する能力を習得する。
15
2.性と生殖の形態・
機能
不妊カップルへの看護実践、看護職者へ
の指導・教育を行うために必要な生殖器
系の形態・機能の知識を習得する。
3.不妊症・不育症の
診断と治療
不妊・不育カップルへの看護実践、看護
スタッフへの指導・教育を行うために必
要な不妊症・不育症の診断・治療の基礎
的知識と最新の情報を習得する。
1)リプロダクティブ・ヘルス/ライツ
(1)リプロダクティブ・ヘルス/ラ
イツとは
(2)リプロダクティブ・ヘルス/ラ
イツの変遷
(3)国内外の母子保健統計
(4)母子保健施策
2)セクシャル・ヘルス
(1)セクシャル・ヘルスとは
(2)セクシャル・ヘルスとライフステ
ージ
(3)セクシャル・ヘルスと生殖医療
3)性を取り巻く家族と社会
(1)セクシャリティ
(2)ジェンダーと性役割
(3)家族観・子ども観の変遷
1)生殖器の解剖
2)性機能と性反応
3)性周期とホルモン
4)受胎のメカニズムと妊娠の成立
5)生殖に関する遺伝
1)不妊の原因
(1)不妊因子
(2)がん治療と妊孕性
2)不妊症の検査・診断
(1)スクリーニング検査(超音波検
査、卵管造影、ホルモン検査、
フューナー検査、精液検査、基
礎体温等)
(2)特殊検査(腹腔鏡検査、子宮鏡
検査等)
3)不妊症の治療
(1)一般不妊治療
・タイミング療法
・人工授精
・薬物療法
(2)生殖補助医療
・体外受精・胚移植
・顕微授精
・凍結融解胚移植等
(3)外科的療法
・卵管形成術
・精索静脈瘤根治術
・精巣内精子回収術等
4)不育症の検査・診断
(1)染色体検査
(2)自己免疫・凝固系検査
(3)その他
5)不育症の治療
(1)アスピリン療法
(2)へパリン療法等
6)生殖医療における遺伝カウンセリン
グ
15
45
不妊症看護 2
教 科 目
教科目のねらい
4.生殖医療と社会
不妊に悩む個人およびその家族のニーズ
に応じた情報提供、ならびに社会資源の
紹介に必要な国内外の社会の現状と課題
を学ぶ。
5.不妊症看護の基礎
理論
不妊に悩む個人およびその家族に対する
看護を実践するために、対象理解ならび
にケアの裏付けとなる関連概念・理論を
学ぶ。
専
門
基
礎
科
目
単 元
時間数
1)生殖医療を取り巻く社会的側面
(1)生殖医療の変遷と現状
(2)特別養子縁組と里親制度
2)生殖医療を取り巻く経済的側面
(1)保険診療と自費診療
(2)治療費と助成事業
3)生殖医療と倫理
(1)第三者が介在する配偶子・胚の
提供と代理懐胎
(2)着床前診断・出生前診断
(3)減胎手術
(4)子どもの出自を知る権利
4)生殖医療と法
(1)戸籍法と民法
(2)日本の生殖医療に関する法的整
備状況と判例
(3)海外の生殖医療に関する法的整
備状況
5)セルフ・ヘルプ・グループ
1)危機理論
2)喪失理論
3)ストレスコーピング
4)セルフケア理論
5)エンパワーメント
6)意思決定理論
7)アサーション
8)家族関係論
9)発達理論
15
30
小計
120
不妊症看護 3
教 科 目
1.不妊症看護概論
専
門
2.不妊症看護援助論
Ⅰ
科
目
3.不妊症看護援助論
Ⅱ
教科目のねらい
単 元
時間数
不妊症看護認定看護師の役割と課題を認 1)不妊症看護の対象
識するために、看護の対象、看護の役割、 (1)思春期から更年期にある男女
今後の方向性を明確にする。
およびカップル
(2)がん患者(治療前/後)
(3)生殖医療により生まれてくる子
(4)生殖医療に関わる第三者
(ドナーなど)
2)不妊症看護の役割
(1)不妊予防・妊孕性保持のための
健康教育
(2)不妊の問題を抱えている個人お
よび家族の QOL の保持・向上
(3)不妊の問題を抱えている個人お
よび家族への自己決定支援
(4)看護職者への指導・コンサルテ
ーション
(5)生殖医療チームの一員としての
連携・調整
(6)リスクマネジメント
3)不妊症看護における EBN
4)不妊症看護の現状と展望
(1)不妊症看護認定看護師の活動
(2)社会のニーズと役割の拡大
不妊カップルがもつ、受診から治療後妊 1)初診時の看護
娠或いは治療終結を迎えるまでの潜在的
(1)事前ガイダンス
/顕在的な問題を明確にし、その解決に向 2)検査期間中の看護
けて支援するための方策を学ぶ。
3)不妊治療中の看護
(1)一般不妊治療を受けるカップル
の看護
(2)生殖補助医療を受けるカップル
の看護
(3)治療のステップアップ時の看護
(4)不妊治療が長期にわたるカップ
ルの看護
4)妊娠成立後の看護
(1)不妊体験の意味づけの支援
(2)妊娠の受容と不安の軽減
(3)周産期の看護
5)治療終結期の看護
(1)不妊体験の意味づけ
(2)アイデンティティの再構築
(3)夫婦関係の再構築
特別な支援を必要とする不妊カップル・ 1)流産時の看護
家族を支援するために、他職種・他施設 2)死産時の看護
との連携やフォローアップの必要性を理 3)多胎妊娠時の看護
解し、実践に活かす能力を習得する。
4)遺伝カウンセリングを受けるカップ
ルへの看護
5)セックスレス・カップルへの看護
6)提供配偶子を用いた治療時の看護
7)妊孕性の問題を抱えたがん患者への
看護
15
45
15
不妊症看護 4
教 科 目
教科目のねらい
4.不妊症看護カウン 不妊に悩む個人およびカップルの心理を
セリング技術
理解すると共に、精神的健康の保持・増
進を支援するために必要な心理アセスメ
ントおよびカウンセリングスキルを習得
する。
専
門
科
目
5.不妊症看護マネジ
メント
個々の施設に適した看護体制の構築に寄
与するために、看護管理における不妊症
看護認定看護師として役割・機能を考察
する。
単 元
時間数
1)不妊カウンセリング総論
(1)不妊カウンセリングとは
(2)カウンセリング理論
(3)カウンセリング技法
2)不妊に悩むカップルの心理
3)心理アセスメント
4)場面別カウンセリングの展開
1)生殖医療チーム
(1)生殖医療チームの必要性
(2)専門職とその役割
2)リスクマネジメント
3)セルフマネジメント
4)生殖医療における治療環境の整備
(1)不妊相談室の開設・運営
(2)不妊教室の企画・運営
(3)看護師への指導と人材育成
45
15
小計
135
不妊症看護 5
教 科 目
学
内
演
習
実
習
教科目のねらい
単 元
時間数
1.不妊症相談・教育: 1.健康教育、成人教育の理論的背景をふ 1)不妊教室の企画
45
集団指導
まえた教育的アプローチに則り、不妊
(1)対象の選定・ニーズ査定
の問題に関心のある対象(市民或いは
(2)目標の設定
不妊の問題を抱えるカップル)が不妊
(3)教育内容の精練
への理解を深めるためのクラスの企
(4)教材の活用
画 から評価までの一連の過程を学習
(5)担当と役割
する。
(6)広報
2.個別的な指導を必要とする内容につい 2)不妊教室の実施
て、指導案の作成から教育展開、評価
(1)事前準備
までの一連の過程を学習する。
(2)会場作り
(3)進行・タイムマネジメント
3)不妊教室の評価
(1)企画評価
(2)過程評価
(3)結果評価
2.不妊症相談・教育:
1)指導案の作成
30
個別指導
(1)テーマ設定
(2)対象者設定とニーズ査定
(3)目的・目標
(4)指導内容の検討
(5)指導方法と必要物品の検討
(6)評価方法の検討
2)個別指導の実施
3)個別指導の評価
(1)対象による評価
(2)実施者の自己評価
2.臨地実習
180
施設見学も含め実習施設:不妊症専門ク 1)対象者およびカップルの身体的・心
理社会的アセスメント(問診・観察)
リニック・大学病院等の外来・病棟・不
妊専門相談センターにおいて、下記のね 2)カウンセリング技術を用いた情報提
供と相談
らいを設定する。
3)不妊検査の介助と説明(検査の説明
1.不妊外来を訪れた患者およびカップル
とコーディネート)
の身体的・心理社会的アセスメントを 4)不妊治療の介助と説明(治療の説明と
行い、それに基づいた看護計画の立
治療周期のコーディネート)
案、実施、評価ができる。
5)セルフケアへの支援(生活相談・指導、
2.不妊外来を訪れた患者およびカップル
自助グループの紹介など)
への支援、生活面におけるセルフケア 6)妊娠判明時および妊娠後の看護
の支援を踏まえ、検査・治療周期のコ 7)流産や異常症状出現時の看護
ーディネートができる。
8)妊娠不成立あるいは不妊治療を断念
3.不妊外来における初回相談・検査・治
しようとする対象者への看護
療の全過程における実践を通じ、看護 9)小集団指導の企画と実施・評価
の役割について理解を深める。
10)生殖医療チームにおける連携・調
4.生殖医療に関わる他職種の役割を理解
整、コンサルテーション
し、チームで協働するための調整能力 11)看護職者への指導
12)倫理的な判断とその判断に基づいた
を養う。
関わり
5.患者およびカップルの倫理的問題を判
別し、倫理的判断のもとに、関係する 13)不妊専門相談の実際(電話相談等の
見学)
すべての人に配慮する能力を養う。
6.患者中心の不妊医療を提供するために
必要な診療のシステムについて、考察
することができる。
小計
255
不妊症看護 6
共通科目
専門基礎科目
専門科目
学内演習
実習
総時間数
105
120
135
75
180
615
時間
時間
時間
時間
時間
時間
(+45 時間)
(+45 時間)
不妊症看護 7