凍結保護物質 (DMSO)に対する魚卵の耐性 本1

Journal of the Tokyo UDiversity of Fisheries, Vol. 79, No.
凍結保護物質
l,
p- L2l-126, March 1992
(DMSO)に 対 す る魚卵 の 耐性 本
″
有 井 啓 二 ・鈴 木
1
‐
耗
徹 ・高 井 陸 雄 ・ 小
11島
秩 夫
摯
2
TOLERANCE OF FISH EGGS TO DIMETHYLSULPHOXIDE
AS THE CRYOPROTECTANT*1
Koiji Ani*2,Toru Suzuki*2,Rikuo Takai*2, Tsuneo T. K02ima*2
The cryopreservation of orSanic tissues in living condition has been studied by maoy
researcbers. However, no treattuent wich has beetr proposed in available literature is
successeful to preserve fish eggs alive.
In order to perfolm the cryopreservatioo of 6sh eggs, it is oecessary to reveal the
oplimum concentrations of cryoprot€ctabts and their efleclive applicatioo procedur€s.
Dimethylsulphoxide (DMSO), a vely popular and effective cryoprotectant, was choseD
iD this study. The mortality of rainbow trout eggs (eyed stage) which were imEerscd iD
solutions of valious DMSO coDcenlratioDs at looc was .elated to the time of exposure,
The concentration of DMSO io the eSgs was calculated for various permeability co.
efficient of DMSO thlough the egg membratre.
The .esults suggested that the toleraoce of the eggs to DMSO depetrded upon oDly
its coocentlation io the eggs and the mortality of eggs became significaDt wheD the coDcentmtioD of DMSO increased Dear 1-2.5 [mol/l]. The appropliate permeability coemcient explaining the expelimental rcsults was 2.0x10{-8.0x10-6[cm/sec] in this study.
近年 ,様 々な生体の細胞や組織についてその機能を損 なわずに保存す る “
凍結保存法"が 試み
られてい る。 しか し,成 功例 はある種 の微生物,ほ 乳類 の精子,卵 子等 の単純 で小 さい ものに限
られて いる。
魚類 では,精 子 の凍結保存が数種 の魚類 について可能 となっている。 しか し魚卵 の凍結保存 は
ニジマス。
シン4),ゼ プラダニオ')な どの魚種 で試 み られて きたが,未 だ成功例 はない。
')'=),こ
そ の原因 は,細 胞組織 が非常 に大 きいこと,厚 い卵膜 に覆われてい るこ と,卵 黄 が多量 に存在す
)こ とに ると われているが確 かではない。
る。
あ
言
一般的 に細胞 を凍結保存す るには,試 料 の入 った生理的塩類溶液中に DMSO(ジ メチルスル
ホキサイ ド)や グ リセ リンなどの凍結保護物質 を加えて凍結す る方法 が とられる。 これは凍結保
護物質 が細胞内に浸透 し,冷 却時 に細胞内液 を容易 にガラス転位 させる作用 があ り,細 胞内溶液
。
に氷晶が生成 しない事 が 凍結保存 を可能 にす る要因の一 つ と考 えられ ているか らである 。冷却
ではあ る
時 の細胞内溶液 のガラス転位 に とっては,凍 結保護物質 の細胞内濃度が高 いはど好都合
が,凍 結保護物質 自体 に若千毒性 があるため,使 用 にあたっては死減 しない限界濃度範 囲内で操
る細胞外溶液
作す る事 が必要 であ る。細胞 の冷却過程 では,初 めに細胞外 に氷晶が生 し,残 存す
‖ Receivcd Nove:nbcr ll,1991.
*2 1,aboratory of Food IEnginccring, 1)epartrllcnt of FOod Scicnce and Tochnology, TOkyo Univcrsity
_ku,TOky0 108(東 京水産大学 食 品工学 講座 ).
of Fisherics,5-7 KOnan 4_chOrne,Minat。
,Is′ ND′ ′κEル fPO,ИOι .79
Tο κyO sし
J.Tokyo univ.Fish_
有井啓 二・ 鈴木 徹・ 高井陸雄・ 小嶋秩夫
122
は濃縮 された状態 となる。 これに ともなって,細 胞膜を介 して細胞内の水 の流出や,凍 結保護物
質 の細胞内へ の移動 が起 こり,細 胞内液 の濃度 は濃縮 される方向 に経時的 に変化す る。 この細胞
内液 の濃度 の変化 は,冷 却速度や,細 胞膜 の水や凍結保護物質 の透過性 で決 まると考え られるが,
これまでは とんど定量的な取扱 いは されて こなかった。
小 さな細胞 では,ガ ラス転位 が容易 に起 こるが,魚 卵 のよ うな非常に大 きな細胞 では,熱 平衝
に達 しに くいだけでな く,体 積当た りの比表面積 が小 さく凍結保護物質 の細胞内へ の移行 が困難
なため に,ガ ラス転移 が起 こ りに くい。 これが魚卵 の凍結保存を困難 にしている原因の一つ と考
え られ る。従 って,魚 卵 の凍結過程 では,特 に凍結保護物質 の細胞内濃度 が どの ように変化す る
か,ま た,そ の濃度 で細胞 がどの程度 ダメージを受け るか といった事 をよリー層的確 に知 る必要
がある。
そ こで,本 報告 では,ニ ジマスの発 眼卵を種 々の濃度 の DMSO溶 液中 に浸漬 し,DMSOの
卵膜透過性 を含めて,DMSOが 魚卵 に与える影響を調 べた。
試料及び試 薬
魚卵 使用 した ニジマスの卵は,山 形県遊佐 ニジマスセ ンターか ら提供 を受けた夏卵 で,生 体
機能活動停止 の確認が容易な発眼卵 を用 いた 。以後 これを卵 と呼ぶ 。
保存溶液 DMSO以 外 の要因 による影響を抑えるため,卵 を入れる生理的塩類溶液 は卵巣内
溶液 と同 じ組成のもの とし,こ の溶液を保存溶液 としため。 この組成を Table lに 示す。
Table
l.
Composition of artificial medium solution used for eggs from raibow trout.
Concentralion (mmole)
Constitueflt
NaCl
145.5
KCl
3.4
3.0
0.5
20.0
CaC12
MESO`
TriS(hydroXylmCthyl)aminOmethane
Bovine seruin albuinin(BSA)
Citric acid up to pH1 8.40 at O°
5(mg/mめ
C
予備実験 1[mOl″ ]DMSOの 入 った保 存溶液 に卵膜 を除去 した ニ ジマ スの発 眼卵 を入れ ,そ
3時 間経過 して も死亡 は確認 で きなか った。 これは,卵 内
度 が 1 lmol″ ]に 達 した として も害 の無 い こ とを示 唆 して
い る。 この よ うな状 況か ら,以 下 に述 べ る本実 験 では 1 lmol″ l以 上 の DMSO濃 度 の保存溶液
を用 いて卵 へ の影 響 を調 べ る こ ととした 。
の影響 を観 察 した 。そ の結 果 ,浸 漬後
に
DMSOが
浸透 して卵 内
DMSO濃
実 験
あ らか じめ
10°
方
法
Cの 保存溶液 に 2時 間漬けておいた卵を,所 定量 の DMSOを 加えた保存溶液
DMSO溶 液)に 入れ,卵 を入れた瞬間か ら死亡するまでの時間を計測 した。卵の状態は実
体顕微鏡 の ステー ジにシ ャー ンを置 き, シ ャー レに 外部 よ り温度調整 (10± C)し た DMSO
(以 下
1°
溶液を循環 させ連続的に 3時 間観察 した。卵 の死亡の確認方法は,実 体顕微鏡下 で心臓
,胸 鰭 の
動 きが停止 したことにより判断 した。
79(1),March 1992
凍結保護物質
(DMSO)に 対す る魚卵の耐性
以上 の操作 を 5∼ 7個 の卵 を用 いて 2,2.5,3,4〔 mol″ 1の
123
DMSO各
濃度 溶液 で行 った 。
結果及び 考察
DMSO溶 液の濃度が 2〔 mol″ ]の 時には 観察時間内に死亡 した 卵は確認で きなか った。 しか
し,そ の他 の DMSO濃 度 の溶液 に浸漬 した卵 では観察時間内に死亡が認め られた。
浸漬 した卵 の全数 に対する死亡 した卵 の割合を死亡率 とし,Fig.1に ,各 DMSO溶 液 につい
て,浸 漬時間 と死亡率 との関係を示す 。2 1mOl″ 〕以外 のいずれ の DMSO濃 度 で も,死 亡 率は浸
漬時間 の経過 に ともない, シグモ イ ド型 の曲線を示 しなが ら増加 した 。また,死 亡率が
"%に
達す るまでの時間 は,DMSO溶 液 の濃度 が 4〔 mo1/]の とき 21分 ,3 1md″ ]の とき 44分
,
2.5 1mol″ ]の
とき 70分 ,2 1mol″ 〕のとき 3時 間以上となり,DMSO濃 度が低 くなるにつれ
て長 くな った 。
この結 果 を説 明す るため,卵 内
DMSO濃 度 と死亡率 との関係 に着 日し,次 の よ うな 2つ の仮
定 か らな る モデ ルを考 えた。
第 一 の仮定 は
,
仮定 1. 卵 内 DMSO濃 度 の増 加速度 は,卵 内外 の濃度差 ,比 表面積 ,卵 膜 の DMSOの 透
Cm/SeC]に 比 例す る とす る。す なわ ち,卵 内 の DMSO濃 度 の時間的変化 は,
過 係数 力 〔
q。 )
′
Ch= た/(Q.=―
フ
万
′.、
`1'
m。 lμ ]は ある時間 における卵内 DMSO濃 度,Q.`〔 m。 1/4は 卵外の
と表わせる。 ここで G。 〔
DMSO溶 液濃度である。ただし,C。 .tは 時間によって変化 しないとす る。また,卵 の体積は ア
ICm31,卵 の表面積は И ICm21で あ り,試 料の卵を球形とすると,そ の半径 (0.3cm)か ら求められ
る。
(1)式 を解 くと,卵 内
DMSO濃
度 の時 間変化 は
,
G。 =c。 ,t(1_c―
t`4′
7)
(2)
となり,G。 は時間の経過につれて Coulに 指数関数的に近づ く。
100
4M DMS
^R ﹀ 卜 “ 一 一 ● “ L o
0
80
▲
OM DMS
40
2.5M OMSO
,
20
ロ
2M DMS0
0
Fig.1.
20
40
60
Tlm.(l,lln.)
a0
100
Thc chatrge of mo.tality at various coDc.nrado$ of DMSO.
有井啓 二・ 鈴木 徹 。高井陸雄・ 小嶋秩夫
124
J.Tokyo Un
.Fish.
第二の仮定 は
仮定 2.卵 の死亡率は,卵 内 DMSO濃 度 にのみ依存 し,卵 内組織 の DMSO暴 露時間 とは
無関係 とす る。また,卵 には DMSOに 耐え ることので きる卵内 DMSO濃 度,す なわち臨界濃
度 (Q.)が 存在 し,卵 内 DMSO濃 度が臨界濃度 (Q,)に 達す ると急激に死亡率が上 昇す る。 こ
,
れによって,死 亡 率 ν (qn)は 次 のような関数 で表す ことがで きる。
M(qn)=0 1%l Cl,く α
iИ (qn)=100[%l
Ch≧ Q=
=
これは,Fig.2に 示す ような ステ ップ状 の関数 となる。
100
^ヽ ︶ 、 一 一 一
.
“ L 。コ
C er
C ta〈 m。
[/1)
Fig.2. Thc assuined rclationship bctwccn niortality and l)lMSO concentratioil(Cl。
)in
eggs.
4
C..=‐
4(mol/1)
︵ 一ヽ 〓
0.“ ‐ 3
o E ︶ 〓 0
0..、 ‐ 2.5
C..、 … 2
t-4. oxto-t(cm,/r.c)
0
20
40
60
80
100
TIn。 (min_)
Fi3・
3.
Calculatcd I)MS()OOnCCntratiOn iil thC eggS. Solid lincs arc I)MS()●
occiltratioll
curvcs ill the eggs Ch(′ )as a Function of thc ifnincrsing tinle Whcn assuincd pcr
mcability is 4.0×
10 6(C:D′
SCC),WhiCh WCrC CalCula"d by using Eq.(2).
79(1),March 1992
凍結保護物質
(DMSO)に 対する魚卵の耐性
125
100
︵X ﹀ ゝ ´ 一 一 ● “ ﹂ o
C-r-4 (mo t/t)
C..、 ‐ 3
0
▲
40
k‐
,
C..、 …
20
c..、
0
4.OX10‐
2.5
,・
2
2
0
5(Cm′ ′30C)
3
4
C lo(mo1/:)
Fig.4.
Thc rclationship bctwecll thc nlortality and Cll,,I)MS()ooncentratioll in the eggs.
In this casc thc pcr:ncability is assurncd to bc 4.0× 10 。 (cII1/scc).
DMSO溶 液 の濃度 (C。
)が 高 いはど,Qrに 達す る時間 が短 くな
“
るため,卵 の死亡 率が早 く上昇する ことになる。 しか し,卵 の死亡率 と卵内濃度 との関係 は,異
なる濃度 の DMSO溶 液 を使 った場合でも,Fi3・ 2と 同 じ様 な一つの線を与えると期待 され る。
また,こ のモデルは た と Q,と 2つ の未知なパ ラメータを含むが,そ れ らの値 を適当に選 ぶ こ
このモデルでは,浸 漬 した
とによって実験結果 を比 較的 よ く表す ことがで きる。
筆者 らは,卵 膜 を除去 した卵 を用 いた予備実験 の結果か ら,卵 の死亡臨界濃度 が q了 ≧1lm。 1″ 〕
であ ることを確 かめこれを前提 とした 。次 に種 々の た の値 を仮定 して卵内 DMSO濃 度 q。 の
ut)に よって どの様 に変 わ るかを (2)式 を使 って計算 し
時間変化 の様子 が,卵 外 DMSO濃 度 に。
10
lcm/sec〕
た
の場合を F18・ 3に 示す 。
た。そ の一例 として =4.0×
さらに,Fig.3の 「時間―卵内 DMSO濃 度」曲線を使 って,Flg.1の 「時間―死亡率」 の関
係を「卵内 DMSO濃 度―死亡率」の関係 に書 き直 した。
この よ うにして求 めた「 卵内 DMSO濃 度―死亡 率」の関係が仮定 2で 述 べた条件 に合致す る
ように ■の値 を探 した。そ の結果,た はぉ ょそ 2.0× 10‐ ∼8.0× 10‐ [cm/sec]の 範囲にあると考
え られ,同 時 に Q,も 1∼ 2.5[mol″ ]の 範囲 にあるこ とが推算 された。力=4.Ox 10 lcm/secIの
場合 の結果を Flg.4に 示す。 このよ うに,実 際 の卵 の「 卵内 DMSO濃 度―死亡率」 の関係 は
Flg.2で 示 したステ ップ状 とは 異な り, ジグモイ ド曲線 に近 い 形 とな った。 これは,卵 細胞 の
,
DMSOに 対する耐性 に個体差 があ るため とも考え られるが,本 実験か らでは十分明 らかにす る
ことはで きなかった 。
また,推 算 した卵膜 の DMSO透 過係数 は,卵 レシチ ン膜 の水に対する透過係数 が 4.3× 10 `
)で あるこ とか
ICm/SeC〕 ,卵 黄 リン脂質膜 のグ リセ ロールに対する透過係数 が 4.5× 10 lcm/scc]。
ら考えても,妥 当 な値 であ るといえる。
以上 より,ニ ジマス発眼卵 では,① DMSO溶 液 の DMSO濃 度が 2[mo1/]ょ り高 い場合 は死亡
す る卵 が現れ るが,2[molμ Iで は現れなか った 。② DMSOの 卵膜透過係数 はお よそ 2.0× 10‐ ∼
8.0× 10・ [Cm/SeC]で
あると推定 された。 また,③ この結果に従えば卵内 の
DMSO濃 度が
1∼
有井啓二・ 鈴木
126
徹 。高井陸雄・ 小嶋秩夫
J.Tokyo Univ.Fisb.
2.51mol″ 〕付近 に達す ると死亡す る卵 が急 に増加す ると推定 で きる。
これ らの 結果 は モデル 計算 に もとず いたものであ り,卵 内 DMSO濃 度を直接定量 してい な
いため断定的な こ とは言えない。 しか し, これ らの結果 は,凍 結保存時 の 前処理 として 魚卵を
DMSO溶 液 に浸漬処理す るときの濃度や時間を考える上で, また冷却過程 において 最適な冷却
速度 を考える上で重要な指針 となる。卵内の微量な DMSOの 定量 は比較的困難 であ り,今 後 に
残 された課題 であ る。
最後 に試料提供ならびに懇切な る助言 と御指導を頂いた本学資源育成学科
羽曾部正豪博士に
厚 く感謝 の意 を表 します。
文
1)
2)
献
Zell, S. 1978. Cryopreservation of 8ametes and embryos of salnlollid nshcs. Ann. lBio. anim.
Biophys. 18: 1098-1099.
Haga, Y. 1982. く
)n thc subzcro tcmpcraturc prcscrvation oF Fcrtilizcd C88S・
INippOn Sunsan Cak・
kaishi.48: 1569-1572.
3)
Harvcy, 3. and Ashwood・ Slllith,M.J. 1982. 1(,ryoprotectant pel】 etration and supcrcooling ill thc
4)
Cg8S OF salnlonid nshcs. Cryobiology. 19: 29-40.
VVittinghanl, I[).C. and Rosenthal, H. 1978. Attcn,pts tO preservc hcrring cnlbryos at subzcro
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5)
0 0 0 9
Harvcy, IB. 1983. Coolin8 0f C:::bryonic cclls, isolated blastodernis, and illtact cnibryos of thc
zcbra nsh E′ acみ ッ′α″′
ο′
θ:ο to-196° C.Cryobio108y・ 20: 440-447.
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gα ′ 7,)and coho Salmon(()ncorhynchus kisutch). Aquaculturc. 31: 51-65.
"θ .197.化
花井哲也
学 の 領域増 刊 103号 ,続・ 生体膜 と膜 透過 .東 京 .南 江堂 .p.勢 -35.
"ο
:″
凍 結保 護 物 買
(DMSO)に 対 す る魚卵 の耐 性
有井啓二・ 鈴木 徹・ 高井陸雄・ 小嶋秩夫
現在不可能な魚卵 の凍結保存を試みる上で ,凍 結保護物質 に対す る魚卵の耐性を知る必要 がある。凍結保護
物質 として DMSOを 選 び,ニ ジマスの発限卵をい くつかの濃度 の DMSO溶 液 に浸漬 し,DMSO溶 液濃度
と死亡率の関係を調 べた。卵 の死亡が卵内に透過 した DMSOの 量 lこ 依存す ると考え,卵 膜 の DMSO透 過係
数を仮定 し,卵 内 DMSO濃 度 の時間的変化を推算 した。実験 で得 られた卵 の死亡率 と推算 した卵内 DMSO
濃度 とか ら,卵 膜 の DMSO透 過係数 はお よそ 2.OX 10 。 ∼8.0× 10 lcll】 /sec]で あ り,卵 内 の DMSO濃 度
がぉ ょそ 1∼ 2.5【 mol″ ]に 達 した とき,死 亡率が急激 に上 昇す ることが推定で きた 。