ITC群馬オープンセミナー IoTは何に役立つか 2015年5月9日(土) ITC群馬 嶋村譲 1 1. IoT とは? Internet Of Things (モノのインターネット)の略 以下、資料(1)①(村井純)から引用 1999年、MITのケビン・アシュトンが、RFIDの研究中に初めて IoTという言葉を使用した。 IoTとは、あらゆるモノがインターネットにアクセスする可能性 をもつ状態になること。 以下、資料(1)②(ポーター他)から引用 2 ITを起点とする競争の第3波 第1波:1960年代~70年代、IT化、業務プロセスの標準化 第2波:1980年代~90年代、ITを起爆剤とした変革 第3波:現在、接続機能を持つスマート製品が引き起こす革命 2.IoTがなぜ革命なのか 以下、資料(1)①(村井純)から引用 人やモノがつながり、データを共有できる世界ができる。 サービスの概念が変わる(家電→医電、ヘルスケア、多様化) モノづくりの変革(デジタル・ファブリケーション、物流が不要) Q(品質管理)、I(知的財産権)、P(製造物責任)が重要。 以下、資料(1)②(ポーター他)から引用 接続機能を持つスマート製品のケイパビリティ 最適化 Optimization 2 制御 Control 1 モニタリング Monitoring 3 3 4 自立性 Autonomy 3. IoTの前提条件 3つのS(センサー、ソフトウェア、ソリューションサービス) オープン・ネットワーク(TCP/IP、自由なアクセス、標準化) IPアドレスの拡張(IPv4→IPv6) プライバシーの管理 データ所有権の合意 プラットフォームの提供 ビジョンの策定 その他 4 4. IoTの基盤技術 センサー 電気部品 5 ポート、アンテナ、プロトコル、ネットワークスイッチ、・・・ 関連技術 組み込みOS、解析、洗練度の高いUI、RDB、・・・ 接続機能(有線通信、無線通信) 3Dプリンター、デジタル・ミシン、レーザーカッター、・・・ ソフトウェア マイクロプロセッサー、データ・ストレージ、制御装置、・・・ 機械部品 RFID(Radio Frequency Identifier)、センシング、モニタリング、・・・ ビッグデータ、M2M、AI(人口知能)、・・・ その他 5.IPアドレスの拡張 IPv4(アイピー・ブイ4) 1980年代に公開され、現在使用中 192.0.2.1 のように表記(10進数) 000.000.000.000 ~ 255.255.255.255 232=約43億個のIPアドレス 1990年代初からIPアドレス不足が問題化 IPv6(アイピー・ブイ6) 1990年代末から使用開始、普及率は低い 2001:db8:20:3:1000:100:20:3 のように表記(16進数) 0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000 ~ ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff 2128=約340兆×1兆×1兆個のIPアドレス 全人類( 70億人)へ均等に割り当てると、 1人あたり約4京8,600兆×1兆個 = 4.86×1028個 IPv6のロゴ 6 6. IoTの利用分野 社会インフラ 交通(自動車、鉄道)、水道、電力、防災、・・・ モノづくり(考える工場) 工場内外の生産設備や製品、人間が相互につながる 個人生活 医療、健康、防犯、省エネ、買い物、・・・ 小売・流通 O2O、顧客データ分析、スマホ利用(予約、受取)、・・・ サービス 個別サービス(ホテル、レストラン)、教育(大学、塾)、・・・ その他 7 7.IoTの活用事例 (1)GEのインダストリアル・インターネット 2011年に提唱 製品にデジタル・センサーを 搭載 クラウドベースの共通ソフト ウェア・プラットフォームと 結合 データ解析企業への進化 ビジネスモデルの変革 8 価格と値引き上限付きの機能 リスト→ 顧客が得る価値に基づき、契 約内容をゼロから積み上げる 出展:資料(1)③ GEが目指すインダストリアル・インターネット (2)ホンダの「協調型自動運転」技術 2013年10月に国内で初公開 自動運転車とスマートフォン 搭載の電動カートがWi-Fiで 通信、電動カートの動きを自 動運転車のシステムが予測 して衝突回避 車載カメラで歩行者の体の 向きを分析、「横断歩道を渡 ろうとしている」と判断し、自 動ブレーキ 9 出展:資料(2)① 変貌する交通・水道・電力 (3)ビッグデータ分析で歩留まり向上 シード(コンタクトレンズ製造大手) 月間製造枚数=2,000万枚 「高度管理医療機器」のため全品検査が必要 設備の稼働状況を管理し、レンズ1枚 ごとの度数、使用期限、金型の条件、 不良の有無などをサーバーに蓄積 毎秒48,000枚の画像を収集し、 自動外観検査を実施 蓄積したビッグデータの分析で、 歩留まり向上、2016年3月までに 原材料コストを2割削減する 10 出展:資料(2)① ビッグデータで化ける製造業 (4)「顔パス決済」で財布いらず ヤマダ電機(ペイパルと提携) 2014年4月に実験サービスを開始 アカウントを開設し、スマホ アプリ上で顔写真を登録 店舗でアプリからチェックイン (カードレスでクレジット決済) ヤマダの狙い 11 ①接客時間短縮 ②顧客満足度向上 ③ビッグデータ分析の強化 出展:資料(2)① IoTで新たな儲け口 (5)味の素の「ぴったりレシピ」 2013年4月稼働 無料でネットスーパー に提供 味の素のメリット 12 ①自社製品の拡販 ②ビッグデータの収集 出展:資料(2)① ヘビーユーザーを囲い込め (6)メール分析で男女カップル増やす えひめ結婚支援センター これまで1300回以上のイベントで、300組以上が結婚 愛媛県独身男女の1割が登録 センター認定「ボランティア推進員」が仲人役 新システム「テキストマイニングツール」を導入予定 150万件のデータ蓄積 メール文面、イベント参加状況等 カップル成立の支援 13 メールのキーワード分析 イベント成否の相関関係 (開催場所、時間帯など) 出展:資料(2)① 知らぬ間に不満を解消 8.インダストリー4.0 (1)概要 ドイツ政府が2010年に定めた「ハイテク戦略2020」の1つ で、2011年から使用されている用語 (Industrie 4.0) 生産効率の高い「スマート工場(考える工場)」を実現す るための手段 製造コストを極小化し、競争力を向上することが狙い 第4次産業革命 2015年~ (IoT産業革命) 工場内外の生産設備や製品、 人間が相互につながり、 「考える工場」を実現。 第3次産業革命 20世紀後半 (コンピューターによる自動化) 第2次産業革命 20世紀初頭 (電気エネルギー) 第1次産業革命 18世紀 (蒸気機関) 14 出展:資料(3)① まるわかりインダストリー4.0 (2)動向 ドイツが官民一体で進める研究開発プロジェクト SAP、BOSCH、SIEMENSをはじめ、主要企業が参加 インドのモディー新政権は、製造業とITを融合できる IoTを積極的に推進 アメリカでは、2014年3月にインダストリアル・ インターネット・コンソーシアムを設立 創設メンバー5社 GE、IBM、INTEL、CISCO、AT&T 日本は大きく出遅れている (同資料P34~35記事 「トヨタが“下請け”になる日」から引用) 15 出展:資料(3)① まるわかりインダストリー4.0 9.IoT普及に伴う問題 以下、資料(1)①(村井純)から引用 1)プライバシーに関する議論(例) ・防犯用監視カメラのデータ ・センサー付きサイネージ(電子看板) 2)データの所有権に関する議論(例) ・高層ビル窓際の外向きカメラ ・自動車搭載センサーからのデータ 以下、資料(1)④(ペントランド)から引用 16 IoTによって私たちの行動は丸裸にされる 「データのニュー・ディール」を提唱 :データを収集される側の個人に有利なように、データ所有権 を見直す政策 網羅的な個人データは、当人の管理下に置くべき 10.ITコンサルタントのビジネスチャンス(私見) ITによる変革第1波(コンピュータ時代) ITによる変革第2波(インターネット時代) ワープロ操作、パソコン操作、パソコン環境設定、 業務のIT化、パッケージソフト開発・導入、その他 ネットワーク環境設定、HP作成、Eコマース運営、 ポータルサイト運営、SEO対策、その他 ITによる変革第3波(IoT時代) 17 業界別のビジョン策定、製品同士をつなぐシステム提案、 社内の生産性向上提案、IoT前提の事業ドメイン提案、 仕事の付加価値識別、中小企業製品のシステム化、 新しいビジネスモデルの提案・実施、 中小企業への啓蒙・研修、その他 参考資料 (1)ダイヤモンドHBR 2015年4月号特集 「IoTの衝撃」 (2)すべてがわかるIoT大全(日経BPムック2014年11月発行) ①「IoTという新たな産業革命」、村井純 ②「IoT時代の競争戦略」、 マイケルE.ポーター、ジェームズE.ヘプルマン ③「GEが目指すインダストリアル・インターネット」、 マルコ・イアンシティ、カリムR.ラカニー ④「データは誰のものか」、 アレックス・サンディ・ペントランド ①「モノのインターネット活用の最新事例と技術」 (3)IOTでモノづくりが激変(日経BPムック2015年5月発行) ①「まるわかりインダストリー4.0(第4次産業革命)」 18
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