「総学」Outline 企画担当:教務部の管轄だが、 内容によってSGH委員会、 教養部、 学年主任が主導 授業担当: 「私の研究」 は全教員、 「昭和祭研究」 「サービスラーニング」 はクラス担任 (東京・私立) 学校data ESD・グローバル関連の テーマを各自 年間追う 伝統的な教育基盤に先進性を融合し 中高6年間で 回以上 個人・共同で課題研究に取り組む 時代に合わせた全人教育の 実践に﹁総学﹂を活用 全 人 教 育に力 を 入 れる 中 高一貫の女 子 間を約 半 分 ずつ使って取り組む。 いう2つの研 究に、 1年 間の﹁ 総 学 ﹂の時 昭 和 女 子 大 学 附 属 昭 和 高 校は﹁ 世の 同 校では中 学1年から 高 校2年 まで 光 となろう ﹂という 建 学の精 神のもと 、 が、毎 年 、﹁ 私の研 究 ﹂と﹁ 昭 和 祭 研 究 ﹂と 校だ。その基 盤の上で、変 化する社 会の 要 請 や 国 の 教 育 施 策に柔 軟に対 応 し 、 業 所 訪 問・見 学 、海 外からの留 学 生との 交 流なども実 施 。それぞれ個 人テーマを 持って 各 自でも 研 究 を 進めるが、 メンバ ー全 員でディスカッションや情 報 交 換 を し ながらLABO 全 体 として も 課 題 の 解 決 策を探っていく 。 共同研究として サービスラーニングも導入 る 課 題 研 究には 数 十 年 の 歴 史 がある 。 こうした姿 勢は﹁ 総 学 ﹂においても 貫 かれている 。現 在 、 ﹁ 総 学 ﹂で 行 われてい 休みにアンケート 調 査 やインタビューな マを各 自で設 定し、指 導 教 員を選ぶ。夏 業 ﹂や﹁ 海 洋 資 源 ﹂など 興 味のあるテー お り 、 昨 年 度 の 全 校 テ ーマは﹁ 毎 年 、全 校テーマを 設 定して取り組んで 協 力して 取り 組 む 共 同 研 究 だ︵ 図2︶。 もう一つの昭 和 祭 研 究は、 月の昭 和 祭︵ 学 園 祭 ︶ での発 表を目 指し、 クラスで 人 研 究だ。生 徒は年 度 始めに﹁ 日 本の農 は、 ESDに関 連する まず﹁ 私の研 究 ﹂ テーマについて1年 間かけて 取り 組 む 個 当 初は正 課 以 外の時 間 を 使って 取り 組 どのフィールドワークを行い、論 文 作 成と 伝 統と先 進を融 合させてきた。 んでいたが、﹁ 総 学 ﹂のスタートに伴ってそ 発 表を行う︵ 図1上部︶。 ﹁ 総 学 ﹂にもESD︵ 持 続 可 能 な 開 発の 学 年の希 望 者︵ 昨 年 度は選 抜 人︶ は、 若 干 異なる取り組みを導 入 。高 校1、 2 昨 年 度からはSGHのプログラムの一 つとして、 一部で通 常の﹁ 私の研 究 ﹂とは ﹁ 個 人で調べたものが班の成 果になり、 持つ。 班に分かれて分 担し 、個 人でもテーマを 定 。さらに6つに細 分 化した小テーマを で も う一段 階 焦 点 化 した 中 テーマを 設 We のコンテンツとして組み入れた。さらに、 ための教 育 ︶やグローバルの視 点 を 取り 取り組んでいる。 ﹁ 企 業 や 個 人で 活 躍 す グローバル課 題 解 決 プロジェクト研 究に 2012年にユネスコスクールの認 定 、 2 入れて充 実を図っている︵ 下図︶。副 校 長 す 。そのため、課 題に対し 自 ら 学 び 、考 によき 個 人に育ってほしいと 思っていま 徒にはよき国 際 人 、よき日 本 人 、その前 ﹁ グローバル化が進 む 社 会にあって 、生 イザーを 招いて 指 導 を 受 け る︵ 図1下 分かれ、それぞれ企 業や大 学からアドバ のテーマ別に4つのグループ︵LABO︶ に 人 女 性のジェンダーギャップの研 究 ﹂など る女 性グローバルリーダーの研 究 ﹂ ﹁ 日本 ︵ 勝 間田秀 紀 先 生 ︶ 教室に展示して研究成果を披露します﹂ それを 、模 造 紙 等にまとめ、昭 和 祭で各 それが集まってクラスの成 果になります 。 014年にSGHの指 定 を 受けたことで、 の會 川 恵 志 先 生はこう話す。 え、発 言・発 表する能 動 的な学 習を大 切 部︶。アドバイザーの講 義だけでなく 、事 今 年 度からは、高 校1・2年の昭 和 祭 研 究の内 容 を 改 編 。SGHプログラムの にしています ﹂ 岡野内理恵先生 その他の教育活動 高校教頭 選択制 国内外研修旅行 ※4 ※3 行学︵HR︶ 各教科 ※2 写真中央、左、右の順に 副校長 昭和女子大学附属昭和高校の「総学」の位置づけ SGH委員長 総合的な 学習の時間 1 10 ∼ 守 ろう ! share the same planet. 地 球の未 来 ∼ ﹂だった。それを 各クラス 1920 年創立/普通科/生徒数 665 人(女子のみ)/進路状況(2014 年度実績)大学 206人・短大4人・専門学校1人・留学・その他2人 ★ユネスコスクール(2012年∼) ★平成26年度SGH指定校 勝間田秀紀先生 ●私の研究 SGH LABO ●昭和祭研究 サービスラーニング 研修旅行発表 ※1 11 會川恵志先生 グローバル教育 建学の精神・校訓 ESD 取材・文/藤崎雅子 ※1:アクティブラーニングを重視 ※2: 「総学」 と合わせてサービスラーニング にも取り組む ※3: 「国際理解」 「 平和」 「 環境」 をキーワー ドに高1が取り組むSGH研究開発プログラ ムの一つ。 「広島・関西」 「ベトナム」 「オース トラリア」など5つのコースから研修先を選 択し、事前調査・情報収集、各研修先で現 地高校生との交流や体験活動や、調査を 行い、事後報告(まとめと発表) を行う ※4:やり抜く力や協働性を育てるため1∼ 5年(中1∼高2) が学年ごとに4泊5日の共 同生活を行う「学寮研修」、朝のSHRを使 ってプレゼンテーション能力を養うための3 分間スピーチ「感話」 などを実施 24 昭和女子大学附属 昭和高校 対象学年・単位:高校1∼2学年・各2単位 12 2015 JUL. Vol.408 総合的な学習の時間の進化で学校改革へ 02 実践事例レポート 図1 「私の研究」の研究テーマ 個人研究テーマ(例) 概要 日本のこれからの農業 4回の農業援助ボランティアや、若者の農業に対する意識調査等を通じ、 日本の農業の課 題に対する解決策を考えた。 養殖∼海の可能性に迫る∼ 海洋資源が枯渇している現状と対策について、大学の講義を受けてリサーチ。今の自分に できること、今後研究していきたいことを考えた。 忍者をつかった町おこし 忍者をつかって町おこしをしている地域を訪れ、 地域の環境協会などで取材。今後の観光戦 略を提案した。 SGH 各LABOの研究テーマ 概要 企業や個人で活躍する女性 グローバルリーダーの研究 グローバルに事業を展開する企業で働く女性社会人をモデルに、企業のしくみや優れている 点、抱えてる課題を知り、 よりグローバルにキャリアをデザインする研究。 (アドバイザー:富士 ゼロックス常勤監査役) 日本人女性のジェンダー ギャップの研究 日本人女性のジェンダーギャップの現状を知り、 専門家の指導を受けながら、 その課題を克服 し、女性がグローバルにキャリアデザインを形成する方法を研究。 (アドバイザー:スクールカ ウンセラー・臨床心理士・博士 [学術] ) 海外で活躍する女性リーダー の研究 途上国における持続的な経済的自立を支える日本人女性グローバルリーダーをモデルに、 支援の方法やリーダーとしてのあり方について研究。 (アドバイザー:昭和女子大学准教授) 途上国女性の社会進出課題 バングラディシュ、 タイ、 ラオスで因習や宗教により社会的な弱者となっている女性たちの現 状、問題点を知り、専門家の指導を受け、途上国女性のキャリアデザインのために支援でき ることを研究。 (アドバイザー:昭和女子大学特任教授) 図2 昭和祭研究のテーマ構成 サービスラーニングとは、社 会 奉 仕 活 動 ﹁ 総 学 ﹂の時 間 も 利 用して 拡 充 を 図る。 組んでいるサービスラーニングを 、さらに 一つとして昨 年 度からHR﹁ 行 学 ﹂で取り こと を 考 え 、昭 和 祭 や 年 度 末の発 表 会 う。その経 験をもとに自 分たちにできる をテーマに上 野 公 園で 炊 き 出しを 手 伝 保 全 活 動に参 加したり、ホームレス支 援 くことなどがあげられる。 ゼンテーションを 欠かさ ず 、表 現 力 を 磨 を重 視 。研 究 ごとにレポート作 成とプレ スには必 ずフィールドワークを課し、体 験 すい5∼8人 程 度が基 本 。研 究のプロセ 一連 の 課 題 研 究 のプロセスの 中 また 、 では 、特に最 初 の 課 題 設 定に対 す る 手 厚さがうかがえる。 ﹁ 私の研 究 ﹂では単に で報 告する︵ 参考・図3︶。 いかにしっかり テーマ設定するかが大事 を 通して 市 民 性 を 育 む 学 習のこと 。単 ティアを 通 じて 現 状 の 問 題 点 を 見つけ にボランティアをするのではなく 、 ボラン て解 決 策を探ることが狙いだ。 ﹁ インターネットで調べて終わり ﹂になら ないテーマが設 定できるまで 、指 導 教 員 い 同 校で繰り返される課 題 研 究には、 くつかの共 通 点がある。昭 和 祭 研 究での ﹁ 地 球・環 境 ﹂﹁ 子ども・教 育 ﹂﹁ 高 齢 者・ 2015 JUL. Vol.408 介 護 ﹂などの分 野 別に5∼7人のグルー 13 が助 言 する 。SGHのLABOにおける 昭和祭研究は、 グループの研究成果が集まってクラスの 大きな成果となる。クラス全体で研究の質を高めるため、 「総学」の授業の最初にグループ同士が進捗報告を行う 時間を設けている。 「クラス全体の状況の把握、研究内 容の重なりの調整ができます。また、 グループ間でお互い 新鮮な視点でアドバイスを行うことができ、他グループの 動向が励ましになっているようです」 と岡野内先生。研究 活動は生徒主導で行うが、教員のちょっとした配慮により 協同性を高めることができるようだ。 る学 部・学 科に進 学 する生 徒は多い﹂と グループ間の情報交換で協同性をアップ 會 川 先 生 。課 題 研 究はキャリア設 計にも 効果を高める指導のコツ つながっているようだ。 One Point ﹁ 研究委員 ﹂ の生 徒を中 心とした進 行を ○ボランティア活動の意義を心得てから参加することで、ただやるというだけでなく、 ボラ ンティアを通じて現状を知ったり、今後の課題を考えることができた。 ○文献研究だけでは知りえないことをボランティアで得ることができ、そこから自分たちの 多面的な目線で問題にしっかりと目を向けることができた。これからもさまざまな問題に 対し、他者の意見も取り入れて解決していきたい。 ○今回の研究内容を周りの人たちに伝えていくこと、その上で自ら行動していくことの大 切さを学んだ。 ○初めてサービスラーニングに取り組んで手探り状態であったが、 グループで課題解決策 を考えることができた。 また他のグループの発表を聞いて、視野を広げることができた。 ○日本で起きている問題は自分に影響を与えるものも多くあり、 また、 自分が行動すること で解決に一歩近づくことができることを知った。今後も問題に目を向けて行動していき たい。 プを編 成 。グループごとに事 前 学 習や計 図3 サービスラーニングに取り組んだ生徒の振り返り 個 人テーマの決 定は、プログラムの最 初 個人テーマ はじめ 、いず れの 研 究 で も 生 徒 の 自 発 個人テーマ 画 書 作 成 を 行ったうえで、夏 休みにボラ 班テーマ 班テーマ 班テーマ 行 う 例が目 立つ。 ﹁ 研 究テーマに関 連 す 班テーマ 班テーマ 班テーマ …… ではな く 、講 義 や 討 論 を 重 ねた 中 盤 で (例) 海の生態系にどのような問 題があるかを調べ、 その問題 をどう自分たちで改善してい くかを考えた。 性・自 主 性を重 視 。グループ編 成の規 模 クラステーマ 「海の生態系と諸問題」 未来の子どもたちのために、 この地球を守るために自分 たちに何ができるか、世界の エコ活動から学んだ。 は、ディスカッション時に全 員が発 言しや 「世界のエコ活動」 活 動 をテーマに玉 川 水 源 森 林 隊の森 林 We share the same planet.∼守ろう!地球の未来∼ ンティア活 動 を 実 施 する。例えば、植 林 2014年度 統一テーマ 昭和祭は生徒の研究発表の場
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