road to doctor vol.70 11月号

青森民医連医師医学生課発行 -医師を目指す高校生のための医系情報マガジン- vol.70
民医連・医学生のつどいin滋賀
医療格差を考える学び
今回のつどいは10月3日~4日に滋賀
県で「医療格差」をテーマに行いまし
た。つどいの前には各県で起こってい
る地域の医療格差について学習もして
います。青森では医師不足が与える影
響として、黒石市の小児科、産科が閉
められたことや、大学病院での某テー
マパークのアトラクション並みの外来
待ち時間に焦点を当て議論しました。
皆さんもこういった不満や負担感を
感じることがあるかと思います。「自
分が医師になって改善していきた
い!」と思うことが勉強の原動力にな
るかもしれませんので、たまに県内の
医療の問題を探してみてはいかがで
しょう?
妊婦から考える医療格差
つどい1日目は「医療格差が与える
影響とは何か」のタイトルで中村賢治
医師(大阪社会医学研究所所長)にご
講演いただきました。
医療にかかることができない離島
や僻地のことや、医療過疎ではなく
ても金銭的な問題や仕事の都合上日
中の診療に間に合わず医療にかかれ
ないということもありうるとお話し
されました。中でも、2007年に起き
た奈良県の「妊婦たらいまわし事
件」について取り上げられ、患者側
医療者側、双方の問題点について講
演後のグループディスカッションで
深めることができました。実は奈良
県では2006年から2件のたらいまわし
事件が起きています。
貧困が生む医療格差
2日目は民医連の医療機関で実際に
あった医療格差にまつわる事例を武
内一医師(大阪・耳原総合病院)よ
り紹介していただき、それをもとに
実際の診療現場として1から情報を聞
き取ることを想定して問題だと思う
点をあげていき、どんなアプローチ
したらこの事例を改善することが
Road to Doctor
できるか、各グループで議論しまし
た。医療の現場では貧困家庭の患者
さんやトラブルを抱えた患者さんの
診療にあたることは珍しいことでは
ありません。むしろ多いといって差
し支えないと思います。
医療観を深める「つどい」
こういった患者さんにどのように
接することができるのか、また解消
していくためにどのようにチーム医
療ができるのか、集まった医学生が
それぞれの意見を交換し医療観を深
めるとてもいい内容のつどいとなり
ました。何よりつどいは全国の医学
生と交流し、普段なかなかできない
ような話もできる仲間づくりの場で
す。皆さんも医学生になったら一緒
につどいに参加して医療について考
えてみませんか?皆さんが大学生に
なるのを今から心待ちにしていま
す!
(青森民医連・小笠原)
10月号の感想
合格した人たちは睡眠時間を十分にとっているので見習いたい。私もメリハリをつけて勉強
したい。 PN もやし
センターまで100日を切ってきました。必要とあらば、教科書レベルまで戻って勉強して
います。 PN SR
前回の特集で「勉強は空き時間利用、ちょっとした暇があれば参考書や英語の単語を覚え
た」。というのを読んで、時間をどれだけ有効に使うかが自分の課題だと感じた PN MJ
青森民医連での各種企画の報告はホームページに詳しく掲載しております。
奨学金制度のお問合わせや病院実習のお申し込みは、
ホームページ内『お問合せ』メールフォームよりご連絡ください。
青森民医連
Road To Doctorは医学
部医学科をめざす皆さん
の機関紙です。
今後も読者の皆さんの
感想お待ちしております。
寒くなり、皆さんの家庭も鍋料理が多いのでは?鍋は簡単で栄養もとれる献立ですので、忙しい親は作る機会が多いのです。
さて、今月のRoad to Doctorは民医連が10月に開催した「民医連の医療と研修を考える医学生のつどい」について報告します。
民医連では毎年4回、この企画(通称:つどい)を開催し、全国の医学生が集まり、真剣に学習して議論します。みなさんも医学科に
入学した際は積極的に参加してみましょう!
もう一つは先日の東奥日報(青森県の地方紙)にも掲載された、健生病院ERで行っている自殺未遂者の支援
のとりくみを紹介します。経済格差が広がる中、生活苦や家族関係の悩み、心身の病気を理由に自ら命を絶つ
人を、健生病院は救っています。ソーシャルワーカーと精神科医などからこの医療活動の意味を聞きました。
興味のある高校生は医師体験などで見に来てください)^o^(
自殺未遂者を救うERと精神科
健生病院@弘前
自殺未遂者支援モデル事業に
健生病院ER(救急科)では自殺未遂者
の支援を行っています。同院のERは「断
らない救急」をモットーに年間1800
件救急搬送を受け入れ、このうち40~
50人が自殺未遂で運ばれてきます。
2011年12月から自殺未遂者への対策を強
化し、再自殺企図患者へのチェックリス
トの作成や、患者の生活背景への支援を
始めました(東奥日報10月14日付 右写
真参照)。この活動は現在、弘前保健所
内のハートケア事業(自殺未遂者支援モ
デル事業)として行われています。
コンサルトしやすい精神科
自殺未遂者の支援は救急科と精神科の
連携で行います。看護師はERに運ばれて
きた患者に未遂歴や希死念慮(死ななけ
ればならないという思い)の有無などを
聞き取り、チェックリストに記入。その
後入院や精神科の藤代健生病院への転院
など、適正な医療につなげます。藤代健
生病院院長の関谷Drはこの事業のポイン
トについて「他科と精神科がコンサルト
しやすい環境」と話します。健生病院ER
から藤代健生病院に送られてくる自殺未
遂患者は、身体的には軽傷なものの、精
神的に重篤です。専門的な治療をするこ
とで再自殺を防ぎます。
「死ななくてよかった」と思える支援を
自殺未遂患者の生活の立て直しには院
内のSW(ソーシャルワーカー)の役割が
重要です。患者の自殺理由は経済的な問
題も絡むことが多いため、医療費減免や
生活保護などの社会資源につなげて支援
をしています。
健生病院地域連携室の工藤聡子SWは
「先日、自殺未遂で健生に運ばれてきた
患者に会いに行くと、『あの時死ななく
てよかった』と話していました。 自殺
はその時の思いでやるけど、少しの支援
があればまた、生きがいをもって生活す
ることができます」と援助した経験を振
り返ります。
また、SWは当事者だけでなく家族のケ
アも大事にしています。自殺未遂の当事
者よりも、家族が動揺しているケースが
あるからです。特に「自殺未遂した親の
子どものケアは大事です」と工藤SWは強
調します。
工藤SWは自殺未遂者の支援ができ
るのは地域の問題に目を向ける医師
の存在が大きいと指摘します。「救
急科科長の太田正文Drは治療だけで
患者のいのちを救うことができない
困難な患者救う医師に期待
自殺の成功率は20人に1人と言われ、 ことを知っています。自殺未遂者だ
医療的な処置があればさらに多くの患者 けでなく、生活支援が必要だと思わ
を助けることができます。しかし、その れる患者がいたら、すぐに地域連携
あとの精神科治療や生活支援などのアフ 室に連絡します。医師をめざす多く
ターケアがないと患者は再び自殺を繰り の人に太田Drのような視点を持って
ほしい」と語りました。
返します。
◆医学生奨学金制度
特別奨学金
一般奨学金
入学金貸与
あり(1年次のみ)
なし
●医学生奨学金制度(右表上)は、日本全国の医学部(医学科)に在籍す
る医学生が対象です。返還義務がありますが、卒業後一定期間、青森民
医連加盟の医療機関に勤務してもらうことで返還が免除されます。
奨学金貸与額
20万円以内/月
10万円以内/月
定員
各学年5名
なし
●高卒生奨学金制度(右表下)は、高校卒業後、医学部(医学科)への合
格に向けて勉強している30歳までの方が対象です。貸与期間は3年まで。
返還義務がありますが、医学部(医学科)合格後、医学生奨学金制度に
移行し、青森民医連加盟の医療機関に勤務すると返還が免除されます。
返還免除の
条件
青森民医連には「医学生奨学金制度」と「高卒生奨学金制度」の2つの奨
学金制度があります。
どちらも時期・学年を問わず随時募集しています。詳細は、下記連絡先
まで気軽にお問い合わせください。
卒業時に返還義務が生じますが青森民
医連に勤務すると返還が免除されます
貸与期間の1.5倍
貸与期間の1.0倍
◆高卒生奨学金制度
貸与額
青森県民主医療機関連合会 医師医学生課 (青森民医連 弘前事務所)
〒036-8203 弘前市本町95丸二ビル1F 【9:00~17:00】
お問い合わせメールアドレス:[email protected]
コース①
コース②
10万円/月
20万円/月
0172-34-5455
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