ゼルボラフ®錠240mg 市販直後調査における副作用集計結果報告

医師・薬剤師の先生方へ
2015年11月
中外製薬株式会社
安全管理責任者
ゼルボラフ®錠240mg
-BRAF 遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫-
市販直後調査における副作用集計結果報告
市販直後調査実施期間
謹啓
2015年2月26日
~
2015年8月25日
先生方におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご厚
誼にあずかり、厚く御礼申し上げます。
このたび、市販直後調査期間中に収集された副作用を集計いたしました。つきましては、本剤を
ご使用いただく際の適正使用の一助としていただければ幸いです。
謹白
副作用の集計結果
結果概要
市販直後調査で収集された副作用は、臨床試験(治験)で報告されている副作
用と大きく異なるものではありませんでした。
全副作用
46例118件
主な副作用
関節痛12例13件、発疹9例9件、発熱7例8件、筋肉痛7例7件
重篤な副作用
13例24件
主な副作用
過敏症1例3件、関節痛2例2件、発熱2例2件、薬疹2例2件
投与患者数
■自発報告/製造販売後調査
95例(当該調査期間中に本剤の投与を予定していた症例数)
■製造販売後臨床試験(治験からの移行症例)
3例(2014年12月26日承認時点)
※副作用とは、医師または企業により本剤との因果関係が否定できないと判断された事象を示しています。
※臨床試験のデータについては製品情報概要または適正使用ガイドを参照してください。
WEB掲載について
本資料の概要については、弊社ウェブサイトにてもご覧いただけます。
※1か月ごとに更新予定
http://chugai-pharm.jp/
【アクセス方法】
「医療従事者向け」
「あなたは医療従事者ですか?」
(
「はい」をクリック)→「製品・安全性」→「製品情報」→「(製
品名から探す)ゼルボラフ錠240mg」→「再審査・市販後調査等の結果」
目次
1. 適正使用のお願い .............................................................................................................. 1
2. 注目する副作用のまとめ ................................................................................................... 3
2-1 重篤な皮膚障害・過敏症について ............................................................................... 3
2-2 有棘細胞癌について ..................................................................................................... 7
2-3 重篤な肝障害について ................................................................................................. 8
2-4 顔面神経麻痺について ................................................................................................. 9
資料1:副作用件数表 .......................................................................................................... 10
資料2:重篤な副作用症例一覧 ........................................................................................... 11
監修:ゼルボラフ適正使用検討委員会
<監修委員 委員一覧>
国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 科長 山﨑直也 先生
静岡県立静岡がんセンター 皮膚科 部長
清原祥夫 先生
信州大学医学部 皮膚科 准教授
宇原 久 先生
1. 適正使用のお願い
重篤な皮膚障害・過敏症:
重篤な皮膚障害として、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic
Epidermal Necrolysis;TEN)
、多形紅斑、紅皮症(剥脱性皮膚炎等)
、過敏症、薬剤性過敏症症候群等があ
らわれることがあります。
ゼルボラフの投与期間中は、観察を十分に行い、異常が認められた場合にはゼルボラフの投与を中止し、適
切な処置を行ってください。
ゼルボラフに対する過敏症を発現した場合には、ゼルボラフを再投与しないでください。
有棘細胞癌:
有棘細胞癌があらわれることがありますので、定期的に皮膚の状態を確認してください。
皮膚の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者さんを指導してください。
有棘細胞癌が発現した場合には、外科的切除等の適切な処置を行ってください。
肝障害:
肝不全、肝機能障害、黄疸等の肝障害又はALT(GPT)
、AST(GOT)
、ビリルビンの上昇等があらわれるこ
とがあります。
患者さんの状態に応じて定期的に肝機能検査を行ってください。
ゼルボラフ投与期間中に異常が認められた場合には、減量、休薬又は投与を中止するなど、適切な処置を行
ってください。
QT間隔延長:
QT間隔延長があらわれることがありますので、ゼルボラフの投与開始前には心電図検査及び電解質測定を行
ってください。また、以下の場合にはゼルボラフの投与を避けていただくようお願いいたします。

QTc*のベースライン値が500msを超える場合

補正できない電解質異常が認められる場合
*QTc:心拍数で補正した心電図QT間隔
QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者さんについては、投与の可否を必要に応じて循環器専門医に
ご相談ください。
ゼルボラフ投与期間中は定期的に心電図検査及び電解質測定を行い、異常が認められた場合には、減量、休
薬又は投与を中止し、適切な処置を行ってください。
必要に応じて、循環器専門医への相談を検討してください。
ブドウ膜炎:
ブドウ膜炎等の重篤な眼障害があらわれることがありますので、定期的に眼の異常の有無を確認してください。
眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者さんを指導してください。
異常が認められた場合には、減量、休薬又は投与を中止し、適切な処置を行ってください。
必要に応じて、眼科医への相談を検討してください。
顔面神経麻痺:
顔面神経麻痺があらわれることがあります。
ゼルボラフ投与期間中に異常が認められた場合には、症状に応じて減量、休薬又は投与を中止するなど、適
切な処置を行ってください。
1
減量・休薬基準
●副作用発現時のゼルボラフの減量・休薬の規定
NCI-CTCAE注1)による
治療期間中の処置
Grade判定
Grade1又は忍容可能なGrade2
減量・休薬不要
初回発現
忍容不能なGrade2又はGrade3
2回目発現
休薬
Grade1以下又はベースラインまで軽快後、1回720mg(1日2回)で投与を再開注2)
休薬
Grade1以下又はベースラインまで軽快後、1回480mg(1日2回)で投与を再開注3)
3回目発現 投与中止
原則投与中止
初回発現
Grade4
治療継続が患者にとって望ましいと判断された場合には、休薬
Grade1以下又はベースラインまで軽快後、1回480mg(1日2回)で投与を再開注3)
2回目発現 投与中止
●QT間隔延長に基づくゼルボラフの減量・休薬の規定
QT間隔
治療期間中の処置
QTc値が500msを超え、かつ、ベースライン値
投与中止
からの延長が60msを超える場合
QTc値が500msを超え、かつ、
ベースライン値からの延長が
60ms以下の場合
初回発現
2回目発現
休薬
QTc値が500ms以下まで軽快後、1回720mg(1日2回)で投与を再開注2)
休薬
QTc値が500ms以下まで軽快後、1回480mg(1日2回)で投与を再開注3)
3回目発現 投与中止
注1)National Cancer Institute-Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI-CTCAE) ver.4.0によりGradeを判定
注2)休薬前に1回720mgに減量されていた場合には1回480mgとする。
注3)休薬前に1回480mgに減量されていた場合にはゼルボラフの投与を中止する。
出典:添付文書(第4版)
2
2. 注目する副作用のまとめ
2-1 重篤な皮膚障害・過敏症について
市販直後調査期間において過敏症1例3件、薬疹2例2件、スティーブンス・ジョンソン症候群1例1件、多形
紅斑1例1件、発疹1例1件、皮膚障害1例1件が収集されました。
●重篤な皮膚障害・過敏症一覧
NO.注4)
1
4
7
9
10
11
13
副作用名
年齢
ゼルボラフ治療ライン
性別
直近2か月の治療歴
70歳代
皮膚障害
女性
40歳代
過敏症
注5)
女性
40歳代
発疹
男性
30歳代
薬疹
女性
スティーブンス・
60歳代
ジョンソン症候群
女性
注6)
多形紅斑
薬疹
50歳代
男性
60歳代
女性
転帰
2次治療
回復
Pembrolizumab
(本剤投与28日前まで)
4次治療
軽快
ニボルマブ
(本剤投与5日前まで)
3次治療
インターフェロン
ベータ
回復
(本剤投与22日前まで)
2次治療以降
不明
ニボルマブ
(本剤投与21日前まで)
3次治療
軽快
ニボルマブ
(本剤投与21日前まで)
3次治療
回復
ニボルマブ
(本剤投与35日前まで)
3次治療
回復
ニボルマブ
(本剤投与35日前まで)
処置
本剤:休薬/減量再開
本剤以外:プレドニゾロン投与
本剤:休薬/減量再開(再発有)
本剤以外:プレドニゾロン投与
本剤:休薬/減量再開
本剤以外:プレドニゾロン投与
本剤:休薬/減量再開(再発有)
本剤以外:プレドニゾロン投与
本剤:投与中止
本剤以外:プレドニゾロン投与
本剤:休薬/減量再開
本剤以外:プレドニゾロン投与
本剤:休薬/減量再開
本剤以外:プレドニゾロン投与
注4)
「資料2:重篤な副作用症例一覧」と同一の症例NO.です。
注5)本剤内服後の短期間で症状が発現していることから「過敏症」と報告されましたが、症状は「薬疹」であったと報告をいただいております。
注6)市販直後調査期間終了後に事象名が「多形滲出性紅斑」に変更されました。
3
重篤な皮膚障害を発現した症例のうち、3例について以下に症例概要を記載いたします。
症例No.4(過敏症※)
※ 「過敏症」の症状が「薬疹」であることが確認されたため、以下の症例経過については「薬疹」と記載いたします。本剤内服後、短
管理番号:A2015015694 駒込
重篤な⽪膚障害の症例経過
Case● 過敏症、関節痛
時間で症状が発現していることから「過敏症」と報告されました。
【患者背景】
年齢/性別
40歳代/女性
Performance Status
0
前治療
化学療法:あり→ゼルボラフは4次治療として使用
ニボルマブ(本剤投与5日前まで)ダカルバジン(本剤投与148日前まで)
インターフェロン ベータ(本剤投与185日前まで)
放射線治療:なし
投与
8日目
IV(M1b)
中止日 中止1日後
投与
投与
13日目 14日目
~
~
~
~
本剤投与開始
Stage
病型
NM
転移部位
中止31日後
投与
44日目
本剤投与状況
および治療経過
1920
mg/day
中止39日後
投与
52日目
肺
再投与(中止)6日後
投与
58日目
480
mg/day
抗ヒスタミン剤、ステロイド点眼薬、
肝疾患治療薬
抗ヒスタミン剤
プレドニゾロン60mg/dayで
投与開始
以降漸減
プレドニゾロン60mg/dayで投与開始
以降漸減
薬疹
薬疹
副作用
関節痛
皮疹および発熱が出現した。
Fig1:薬疹(1回目)発現時
Fig2:薬疹(1回目)発現時
40.4℃の発熱、眼の粘膜症状もあり、スティー
ブンス・ジョンソン症候群や粘膜障害のようで
あった。
Fig3:薬疹(2回目)発現時
Fig4:薬疹
(2回目)発現時
【症例経過】
投 与 8日 目: 関節痛(Grade3)が発現し、入院した。
投与13日目: 本剤を休薬した。
中 止 1日 後: 薬疹(Grade4)が発現した。皮疹および発熱が出現した(Fig1,2)。プレドニゾロン60mg/day
を投与開始し、以降漸減した。
中止31日後: 関節痛および薬疹は軽快した。
中止39日後: 二段階減量して本剤投与を再開した。数時間後に薬疹(Grade4)が発現し、緊急入院した
(Fig3,4)。初回よりも症状は悪化し、40.4℃の発熱、眼の粘膜症状もあり、スティーブンス
ジョンソン症候群や粘膜障害の感じであった。プレドニゾロン60mgを投与開始し、3時間か
ら4時間程度で症状は落ち着いた。
再投与(中止)6日後: 薬疹は軽快した。
4
※
症例No.10(急性腎不全、スティーブンス・ジョンソン症候群
)
重篤な⽪膚障害の症例経過
管理番号:A2015027748 神⼾
※Case●
市販直後調査期間終了後に事象名が「多形滲出性紅斑」に変更されたため、以下の症例経過については「多形滲出性紅斑」と記載い
急性腎障害、スティーブンス・ジョンソン症候群
たします。
【患者背景】
年齢/性別
60歳代/女性
Performance Status
1
前治療
化学療法:あり→ゼルボラフは3次治療として使用
ニボルマブ(本剤投与21日前まで)
放射線治療:なし
中止日
投与
13日目
IV
病型
その他(原発不明)
転移部位
中止
中止
中止8日後 10日後 11日後
投与
投与
投与
23日目 24日目
21日目
中止3日後
投与
16日目
中止
12日後
投与
25日目
骨、リンパ節
中止
14日後
投与
27日目
~
~
~
~
本剤投与開始
Stage
中止32日後
投与
45日目
本剤投与状況
および治療経過
960mg/day
プレドニゾロン
(mg/day)
40
30
15
5
急性腎不全
副作用 処 置
多形滲出性紅斑
血清Cr:3.69 (mg/dL)。全身紅斑、
関節痛、食欲低下が出現した。
血清Cr:4.12 (mg/dL)
血清Cr:2.41
(mg/dL)
血清Cr:7.21 (mg/dL)
Fig5:多形滲出性紅斑発現時
Fig6:多形滲出性紅斑発現時
【症例経過】
投与13日目: 急性腎不全(Grade3)および多形滲出性紅斑(Grade3)が発現した(Fig5,6)
。全身紅斑、
関節痛、食欲低下が出現した。本剤投与を中止した。
血清Cr3.69mg/dL
中 止 3日 後: 血清Cr7.21mg/dLと上昇し、緊急入院となった。プレドニゾロン40mg/dayを投与開始し、
以降漸減した。
中止10日後: 多形滲出性紅斑は軽快した。
中止11日後: 血清Cr4.12mg/dL
中止14日後: プレドニゾロンの投与を中止した。
中止32日後: 血清Cr2.41mg/dLとなり、急性腎不全は改善した。
5
症例
No.13(薬疹、白血球数減少、好中球数減少、リンパ球数減少)
重篤な⽪膚障害の症例経過
Case● 薬疹、白血球数減少、好中球数
管理番号:A2015035905 信州
減少、リンパ球減少
【患者背景】
年齢/性別
60歳代/女性
Performance Status
1
Stage
IV
病型
LMM
脳、肝、リンパ節、胆嚢、膵
転移部位
、腎、皮下、筋、腹膜
化学療法:あり→ゼルボラフは3次治療として使用
前治療
ニボルマブ(本剤投与35日前まで)ダカルバジン(本剤投与374日前まで)
放射線治療:ガンマナイフ(計11か所、投与開始15日前まで)
中止1日後
投与
9日目
~
~
~
~
本剤投与開始
中止日
投与 投与
7日目 8日目
中止3日後
投与
11日目
中止
9日後
投与
17日目
中止
12日後
投与
20日目
中止
10日後
投与
18日目
中止
14日後
投与
22日目
本剤投与状況
および治療経過
1920mg/day
プレドニゾロン
(mg/day)
45
40
35
20
リンパ球数減少
副作用
白血球数減少、好中球数減少
薬疹
薬疹(Grade1)
四肢・間擦部に⽶粒⼤の紅
斑と紅色丘疹が出現した。
薬疹(Grade3)
皮疹は全身に拡⼤し、
的状を呈してきた。
Fig7:皮疹発現日(大腿後面)
(Grade1)
薬疹は
軽快した。
Fig8:皮疹発現 4 日後(大腿後面)
(Grade3)
【症例経過】
投 与 7日 目: 四肢・間擦部に米粒大の紅斑、紅色丘疹が出現した(<10%)(Fig7)。
投 与 8日 目: リンパ球数減少(Grade3)が発現し、本剤を休薬した。
中 止 1日 後: 白血球数減少(Grade3)
、好中球数減少(Grade2)が発現した。
中 止 3日 後: 皮疹は全身に拡大し、母指頭大まで増大するとともに、的状を呈してきた。39℃台の発熱が
出現した。プレドニゾロン45mg/dayの投与を開始した(Fig8)。
中止14日後: 薬疹は軽快した。
6
2-2 有棘細胞癌について
市販直後調査期間において皮膚有棘細胞癌1例1件が収集されました。以下に症例概要を記載いたします。
×××の症例経過
管理番号:A2015022453 愛知
⽪膚有棘細胞癌
症例No.8(皮膚有棘細胞癌)
【患者背景】
年齢/性別
80歳代/女性
Performance Status
1
Stage
IV(M1c)
病型
SSM
転移部位
肺、リンパ節
化学療法:あり→ゼルボラフは3次治療として使用
前治療
ニボルマブ(本剤投与26日前まで)DTICferon(本剤投与228日前まで)
放射線治療:なし
~
~
本剤投与開始
中止日
投与
投与
34日目 35日目
中止1日後
投与
36日目
中止8日後
投与
43日目
本剤投与状況
および治療経過
1440mg/day
1920mg/day
切除
副作用
皮膚有棘細胞癌
角化性丘疹を生検し、完全切除した。
左前腕に直径3mm⼤の角化性丘疹が
出現していることを確認した。
Fig9:左前腕の角化性丘疹
直径3mm 程度
Fig10:病理弱拡大像
Fig11:病理強拡大像
【症例経過】
投与34日目: 左前腕に直径3mm大の角化性丘疹が出現していることを確認した(Fig9)
。
投与35日目: 本剤を投与中止した。
中 止 1日 後: 角化性丘疹を生検し、完全切除した。皮膚生検結果(Fig10,11)にて皮膚有棘細胞癌と判明
した。
中 止 8日 後: 一段階減量して本剤投与再開した。
7
2-3 重篤な肝障害について
市販直後調査期間において肝障害1例1件が収集されました。以下に症例概要を記載いたします。
×××の症例経過
管理番号:A2015014727 久留⽶
肝障害
症例No.2(肝障害)
【患者背景】
年齢/性別
20歳代/女性
Performance Status
前治療
Stage
IV(M1c)
病型
NM
転移部位
骨、腎、髄内腫瘍
放射線治療:なし
中止日
投与
21日目
中止7日後
投与
28日目
~
~
~
~
本剤投与開始
0
化学療法:あり→ゼルボラフは2次治療以降として使用
中止21日後
投与
42日目
本剤投与状況
および治療経過
960mg/day
1920mg/day
肝庇護薬等
副作用
肝障害
[Grade3]
T-Bil:0.63 (mg/dL)
AST:328 (IU/L)
ALT:281 (IU/L)
[Grade4]
T-Bil:1.70 (mg/dL)
AST:1347 (IU/L)
ALT:1092 (IU/L)
T-Bil:1.60 (mg/dL)
AST:191 (IU/L)
ALT:194 (IU/L)
【臨床検査値の推移】
(IU/L)
(mg/dL)
1600
2.0
2
1400
1.8
1.6
1200
1.4
1000
1.2
800
1
1.0
600
0.8
0.6
400
0.4
200
0.2
0
0
AST(GOT)
ALT(GPT)
総ビリルビン
【症例経過】
投与21日目: 肝障害(Grade3)が発現した。翌日より本剤を二段階減量した。
中 止 7日 後: 肝障害(Grade4)に増悪した。本剤を休薬し、肝庇護薬等の投与を開始した。
中止21日後: 肝障害は軽快した。
8
2-4 顔面神経麻痺について
市販直後調査期間中において、第7脳神経麻痺が1例1件報告されました。以下に症例概要を記載いたします。
×××の症例経過
管理番号:A2015020564 山口
顔面神経麻痺、四肢脱⼒
症例No.6(第7脳神経麻痺)
【患者背景】
年齢/性別
60歳代/男性
Performance Status
0
Stage
IV(M1c)
病型
ALM
転移部位
脳、肺、肝、骨、リンパ節
化学療法:あり→ゼルボラフは3次治療として使用
前治療
Dabrafenib(本剤投与前日まで)ニボルマブ(本剤投与24日前まで)
放射線治療:なし
投与 投与 投与
25日目 31日目 32日目
1440
mg/day
中止
28日後
投与
66日目
中止
87日後
投与
125日目
~
~
投与
17日目
中止
17日後
投与
55日目
~
~
~
~
投与
7日目
~
~
本剤投与状況
および治療経過
1920
mg/day
~
~
~
~
投与
5日目
本剤投与開始
中止日
投与
投与
37日目 38日目
960mg/day
1440mg/day
筋⼒低下
副作用
第7脳神経麻痺
⽴ち上がれないとの
訴えがあった。
閉口・閉眼障害が出現した。
両下肢の四肢脱⼒が出現した。
【症例経過】
投与31日目: 両下肢の四肢脱力が出現し、筋力低下(Grade 4)が発現した。
投与37日目: 閉口・閉眼障害が出現し、第7脳神経麻痺(Grade 3)が発現した。
投与38日目: 本剤を休薬した。
中 止 3日 後: 耳鼻科紹介となりベル麻痺やハント症候群、脳転移の影響は否定的で、薬剤性の顔面神経麻痺
の可能性が示唆された。
中止17日後: 筋力低下が軽快した。
中止87日後:第7脳神経麻痺が軽快した。
9
資料1:副作用件数表
市販直後調査期間中に収集した副作用件数表
副作用注 7)
器官別大分類
感染症および寄生虫症
良性、悪性および詳細不明の新生物
(嚢胞およびポリープを含む)
免疫系障害
代謝および栄養障害
基本語(PT)
*
*
*
神経系障害
眼障害
心臓障害
胃腸障害
*
*
肝胆道系障害
皮膚および皮下組織障害
*
筋骨格系および結合組織障害
腎および尿路障害
*
生殖系および乳房障害
*
一般・全身障害および投与部位の状態
臨床検査
総計
自発報告
*
結膜炎
メラノサイト性母斑
皮膚の新生物
皮膚乳頭腫
皮膚有棘細胞癌
過敏症注8)
脱水
高カリウム血症
食欲減退
頭痛
第7脳神経麻痺
眼充血
ぶどう膜炎
右脚ブロック
下腹部痛
下痢
白色便
悪心
膵炎
肝機能異常
肝障害
ざ瘡
脱毛症
薬疹
紅斑
多形紅斑
結節性紅斑
過角化
間擦疹
稗粒腫
手掌・足底発赤知覚不全症候群
光線過敏性反応
そう痒症
発疹
皮膚障害
スティーブンス・ジョンソン症候群注9)
関節痛
筋力低下
筋肉痛
筋骨格硬直
腎障害
腎機能障害
急性腎不全
子宮内膜萎縮
倦怠感
発熱
血中ビリルビン増加
血中クレアチニン増加
心電図QT延長
リンパ球数減少
好中球数減少
血小板数減少
白血球数減少
血中ビリルビン異常
重篤
1
3
1
1
1
1
2
1
1
1
1
2
1
1
1
2
1
1
1
24
非重篤
1
製造販売後
臨床試験
重篤 非重篤
1
1
1
1
2
1
1
1
2
1
2
1
1
2
2
3
4
1
2
2
2
1
1
3
5
1
7
3
1
11
6
1
1
1
1
2
6
1
1
2
1
2
1
89
0
5
計
1
1
1
1
1
3
1
1
2
1
1
1
1
2
1
2
1
1
1
2
1
2
3
6
1
3
2
2
1
1
3
5
1
9
4
1
13
1
7
1
1
1
1
1
2
8
1
1
2
1
2
2
1
1
118
* 添付文書の「使用上の注意」から予測できない副作用
注7) 副作用名は報告された副作用名をMedDRA(国際医学用語集の一つ) ver.18.0の基本語(PT)に読み替えています。
注8) 「過敏症」1例3件については、本剤内服後の短期間で症状が発現していることから「過敏症」と報告されましたが、症状は「薬疹」であったと報告
をいただいております。
注9) 市販直後調査期間終了後に事象名が「多形滲出性紅斑」に変更されました。
10
資料2:重篤な副作用症例一覧
市販直後調査期間中に収集した重篤な副作用症例一覧注10)
No. 性別
年齢
本剤投与から
発現までの
期間注11)
転帰
発現から
転帰までの
期間
4日
回復
17日
21日
軽快
22日
フェキソフェナジン塩酸塩
高カリウム血症
2日
軽快
47日
発熱
3日
軽快
16日
ヒトインスリン(遺伝子組換え)、ブ
ドウ糖、プレドニゾロン、ポリスチレ
ンスルホン酸カルシウム
過敏症注13)
14日
軽快
31日
過敏症
50日
軽快
9日
過敏症
72日
軽快
13日
関節痛
8日
軽快
37日
144日
未回復
-
第7脳神経麻痺
37日
軽快
89日
筋力低下
31日
軽快
25日
発熱
7日
回復
10日
発疹
9日
回復
69日
34日
回復
10日
合併症
副作用名
1
女性 70歳代
皮膚障害
2
女性 20歳代
肝障害
3
男性 40歳代
4
女性 40歳代
ウォルフ・パーキンソ
ン・ホワイト症候群
5
女性 60歳代
6
男性 60歳代 皮膚有棘細胞癌
7
男性 40歳代
8
女性 80歳代 高血圧
9
10
女性 30歳代
女性 60歳代 腎障害
11
男性 50歳代
12
男性 80歳代
膵炎
皮膚有棘細胞癌
女性 60歳代
アムホテリシンB、グリチルリチン酸
一アンモニウム・グリシン・L-シス
テイン配合剤、クロルフェニラミンマ
レイン酸塩、スルファメトキサゾー
ル・トリメトプリム、フェキソフェナ
ジン塩酸塩、フルオロメトロン、プレ
ドニゾロン、プレドニゾロンコハク酸
エステルナトリウム、ブロチゾラム、
ラベプラゾールナトリウム、レバミピ
ド、レボメプロマジンマレイン酸塩、
ロキソプロフェンナトリウム水和物、
酸化マグネシウム
ロキソプロフェンナトリウム水和物
センノシド、テプレノン、トラマドー
ル塩酸塩・アセトアミノフェン配合
剤、ブロチゾラム、レバミピド、ロキ
ソプロフェンナトリウム水和物、酸化
マグネシウム、十全大補湯、大建中湯
薬疹
12日
不明
4日
急性腎不全
13日
回復
33日
スティーブンス・
ジョンソン
症候群注14)
13日
軽快
11日
アムロジピンベシル酸塩、カンデサル
タン シレキセチル、ベタキソロール
塩酸塩、ポラプレジンク、ロスバスタ
チンカルシウム
多形紅斑
12日
回復
10日
ロキソプロフェンナトリウム水和物
関節痛
6日
回復
3日
筋肉痛
6日
回復
3日
11日
回復
12日
薬疹
13
併用薬注12)
甲状腺機能低下症、
白血球数減少
9日
回復
14日
直腸S状結腸癌
好中球数減少
9日
回復
14日
リンパ球数減少
8日
回復
15日
注10)副作用名は報告された副作用名をMedDRA(国際医学用語集の一つ) ver.18.0の基本語(PT)に読み替えています。
注11)本剤投与開始日を1日目とし、副作用発現日までの日数を記載しています。
注12)併用薬には、本剤と併用されている薬剤、および前治療薬のうち被疑薬として報告された薬剤が含まれる場合があります。
注13)本剤内服後の短期間で症状が発現していることから「過敏症」と報告されましたが、症状は「薬疹」であったと報告をいただいております。
注14)市販直後調査期間終了後に事象名が「多形滲出性紅斑」に変更されました。
11
主な副作用判定基準
●主な副作用判定基準(NCI-CTCAE ver.4.0)
副作用
Grade
Grade1
アナフィラキシー
-
QTc450-480ms
Grade2
-
QTc481-500ms
Grade4
蕁麻疹の有無によらず症 生命を脅かす:緊急処置
状のある気管支痙攣:非経 を要する
口的治療を要する:アレル
ギーによる浮腫/血管性浮
腫:血圧低下
少なくとも2回の心電図で QTc≧501ms又はベース
ラインから>60msの変化
が あ り 、 Torsade de
pointes、多型性心室頻拍、
重篤な不整脈の徴候/症状
のいずれかを認める
QTc≧501ms
心電図QT補正
間隔延長
光線過敏症
Grade3
疼痛を伴わない紅斑が体 体表面積の10~30%を占 体表面積の>30%を占め 生命を脅かす:緊急処置
表面積の<10%を占める める圧痛を伴う紅斑
る落屑を伴う紅斑:光線過 を要する
敏症:経口副腎皮質ステロ
イドを要する:疼痛コント
ロールを要する
(例:麻酔薬、NSAIDs)
多形紅斑
虹彩様皮疹が体表面積の 虹彩様皮疹が体表面積の 虹彩様皮疹が体表面積の 虹彩様皮疹が体表面積の
<10%を占め、皮膚の圧痛 10-30%を占め、皮膚の圧 >30%を占め、口腔内や陰 >30%を占め、水分バラン
を伴わない
スの異常又は電解質異常
部のびらんを伴う
痛を伴う
を伴う:ICUや熱傷治療ユ
ニットでの処置を要する
紅皮症
ブドウ膜炎
関節痛
疲労
顔面神経障害
治療関連続発性
-
症状がない:臨床所見
又は検査所見のみ
症状を伴わない体表面積
の>90%を占める紅斑:身
の回り以外の日常生活動
作の制限
症状(例:瘙痒、圧痛)を伴
う体表面積の>90%を占
める紅斑:身の回りの日常
生活動作の制限
前部ブドウ膜炎:内科的治 後部又は全ブドウ膜炎
療を要する
水分バランスの異常又は
電解質異常を伴う体表面
積 の > 90% を 占 め る 紅
斑:ICUや熱傷治療ユニッ
トでの処置を要する
罹患眼の失明(0.1以下)
軽度の疼痛
中等度の疼痛:身の回り以 高度の疼痛:身の回りの日
外の日常生活動作の制限
常生活動作の制限
-
休息により軽快する疲労
休息によって軽快しない 休息によって軽快しない
疲労:身の回り以外の日常 疲労:身の回りの日常生活
動作の制限
生活動作の制限
-
中等度の症状がある:身の 高度の症状がある:身の回
又は検査所見のみ:治療を 回り以外の日常生活動作 りの日常生活動作の制限
の制限
要さない
-
症状がない:臨床所見
生命を脅かさない二次癌
急性に生命を脅かす二次
癌:白血病急性転化
-
-
AST(GOT)増加
>ULN~3.0×ULN
>3.0~5.0×ULN
>5.0~20.0×ULN
>20.0×ULN
ALT(GPT)増加
>ULN~3.0×ULN
>3.0~5.0×ULN
>5.0~20.0×ULN
>20.0×ULN
血中ビリルビン増加
>ULN~1.5×ULN
>1.5~3.0×ULN
>3.0~10.0×ULN
>10.0×ULN
悪性疾患
ULN:施設基準値上限
12
用語説明
市販直後調査集計結果について、以下の点をご留意ください。
① 市販直後調査で収集される副作用は、医療関係者の皆様等から自発的に弊社へご報告いただいており、必ず
しも実際に発生した全ての副作用を網羅しているものではないため、副作用の発現頻度を記載しておりませ
ん。
② 市販直後調査で収集される副作用は薬剤の投与期間が限定的(最大で6か月)であることから、投与開始
から発現時期が早い副作用が中心であり、長期投与時における副作用は収集されにくい傾向にあります。
◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中の用語について
◇◆◇◆◇◆◇◆
■重篤な副作用の定義
下記については、
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」第228条
の20に定められた基準より、重篤な副作用と規定されています。
①
死亡
②
障害
③
死亡または障害につながるおそれのある症例
④
治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例(③に掲げる事項を除く)
⑤
死亡または②から④までに掲げる症例に準じて重篤である症例
⑥
後世代における先天性の疾病又は異常
重篤度は医師評価に基づき記載しておりますが、弊社の判断により「重篤」とする場合があります。
■MedDRA(Medical Dictionary for Regulatory Activities)とは
医療に関する国際間の情報交換を迅速かつ的確に行うために、国際的に共通する用語集として医薬品規制ハ
ーモナイゼイション国際会議(ICH)において作成された、症状、徴候、疾患などに対応する医学用語集です。
■市販直後調査とは
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成
16年厚生労働省令第135号)に基づき、販売開始後6か月間、診療において当該医薬品の適正使用を促し、重
篤な副作用等の発生に関する情報を迅速に把握し、その結果をもって保健衛生上の危害の発生若しくは拡大
の防止、又は医薬品の適正な使用の確保のために必要な措置を講ずるために行います。
13
ゼルボラフ®錠をご使用いただく際は、以下の事項をご確認の上、適正に投与してください。
なお、本剤の使用にあたっては、最新の添付文書及び適正使用ガイドを併せてご参照ください。
【警告】
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のも
とで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者
又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
【効能・効果】
【用法・用量】
(抜粋)
● BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫
用法・用量
通常、成人にはベムラフェニブとして1回 960mg を1日2回経口投与する。
<効能・効果に関連する使用上の注意>(抜粋)
1.十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、BRAF遺伝子変異が確認された患者に投与
すること。検査にあたっては、承認された体外診断薬を用いること。
2.【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと。
3.本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
【使用上の注意】
(抜粋)
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) 重度の肝機能障害のある患者[安全性は確立していない。
]
(2) QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者[QT間隔延長が起こるおそれがある。
]
(添付文書「重要
な基本的注意」
「重大な副作用」の項参照)
。
2.重要な基本的注意
(1) 有棘細胞癌があらわれることがあるので、定期的に皮膚の状態を確認すること。また、皮膚の異常が認め
られた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること(添付文書「重大な副作用」の項
参照)。
(2) 皮膚以外の部位に扁平上皮癌があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合に
は、適切な処置を行うこと(添付文書「重大な副作用」の項参照)。
(3) QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤の投与開始前には心電図検査及び電解質測定を行うこと。
投与開始前にQTcのベースライン値が500msを超える場合又は補正できない電解質異常が認められる場
合には投与を避けること。本剤投与期間中は定期的に心電図検査及び電解質測定を行い、異常が認められ
た場合には、減量、休薬又は投与を中止し、適切な処置を行うこと(添付文書「用法・用量に関連する使
用上の注意」、
「重大な副作用」の項参照)
。
(4) 肝不全、肝機能障害、黄疸等の肝障害又はALT(GPT)、AST(GOT)、ビリルビンの上昇等があらわれ
ることがあるので、患者の状態に応じて定期的に肝機能検査を行うこと(添付文書「用法・用量に関連す
る使用上の注意」、
「重大な副作用」の項参照)。
(5) 光線過敏症があらわれることがあるので、外出時には帽子や衣類等による遮光や日焼け止め効果の高いサ
ンスクリーンの使用により、日光やUV光線の照射を避けるよう患者を指導すること。
(6) ブドウ膜炎等の重篤な眼障害が報告されているので、定期的に眼の異常の有無を確認すること。また、眼
の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
2015年10月改訂(第4版)
今後とも本剤の適正使用にご協力くださいますよう、お願い申し上げます。
2015年11月作成