〈COMPANY〉 電源のベストミックスへ地熱発電を強化 菅原バイナリー発電所(九重町)が営業運転を開始 九州電力 〒 810-8720 福岡市中央区渡辺通二丁目1番 82 号 TEL 092-761-3031 http://www.kyuden.co.jp 再生可能エネルギー事業の拡大を図ってい る九州電力(福岡市、九電)。中でも重視する 低い地熱蒸気でも発電可能 菅原バイナリー発電所稼動 、九電グループ2カ所 今年 月 すがわら 目となる菅原バイナリー発電所が 速機を介して連結された発電機を ビンを回転させる。タービンは減 しペンタンを加熱、気化させター と熱水に分離する。これらを使用 を使って気水分離器に送り、蒸気 蒸気と熱水を取り出し、輸送管 発電の過程はこうだ。まず、地 下深部の地熱貯留 層から高温の ペンタンを使用している。 特徴だ。同発電所では沸点 ℃の 程度)でも発電できるのが最大の で、地熱資源が低温度(100℃ てタービンを回して発電する方式 して蒸発させ、媒体(気体)にし バイナリー発電とは、水より沸 点の低い液 体を地熱 蒸 気で加熱 る計算だ。 料を得ている。両者とも安定した 提供の対価として同社から熱使用 電で収入を得て、同町は地熱資源 発電している。同社は九電への売 地熱バイナリー発電設備を使って てもらい、同社が設置・運営する 地熱井から蒸気と熱水を提供し 発電所でもある。同町が所有する 同発 電所は、九重町と後述す る九電みらいエナジーが協働で開 いわれている。 め、環境に優しい発電システムと けを利用して全てを地下に戻すた 出した高温蒸気や熱水は、熱だ 還元井から地下に戻される。取り 器・蒸発器で蒸気に、熱水などは 復水器により液化され再び予熱 発を推進した点で注目される地熱 稼動させ、発電するという仕組み 蒸気と熱水に分離する気水分離器 収入を得ながら、純国産エネルギ 間使用 電力量相当分を発 電でき る。一般家庭約8000戸分の年 式としては最大の出力を誇ってい ワット級の地熱バイナリー発電方 力は5000㌔㍗で、国内のメガ 営業運転を開始した。発 電所出 6 だ。使用後のペンタンは空冷式の 6月から営業運転を開始した菅原バイナリー発電所 ものの一つが、長年電源開発に取り組んでき た地熱発電で、発電量は国内発電量の約4割 を占めるまでに拡大している。さらに、今年6 月には大分県九重町で同グループ2カ所目と すがわら なるバイナリー方式の発電所、 「菅原バイナ リー発電所」が営業運転を開始した。ここでは 電源のベストミックスを目指す九電の地熱発 電の取り組みを紹介する。 36 134 Zaikai Kyushu / OCT.2015 により安定した電力供給を図ろ うとしている。 2030年 時 点で〝 「日 本一の エネルギーサービス」を提供する 企業グループ〟への変ぼうを目指 にワンストップで対応している。 九州 カ所の地熱発電所 全国発電量の4割を占有 方 式の八 丁 原 発 電 所1号 機 (5万5000㌔㍗)が (昭和 )年に、 同2号機(5万5000 77 万 ㌔㍗)が (平成2)年に営業運 転を開始した。合計出力が 事業の展開」 、 「再生可能エネルギ 化」と「九州域 外における電気 た3つの柱として「海外事業の強 発が実を結んだのが (昭和 ) る。幾多の苦難を乗り越えこの開 八 丁 原 地域の事業までさかのぼ 古 九 電の 地 熱 開 発の 歴 史おは おたけ く、1949(昭和 )の大岳・ 所(2万5000㌔㍗)が営業運 発 電所(3万㌔㍗)と滝上発 電 ㌔㍗) 、 (平成8)年には大霧 成7)年には山川 発 電 所(3万 やまがわ 地熱発電所になっている。 (平 ー事 業 拡 大」を掲 げている。現 転をスタートした。また、滝上発 同発電所長は「地熱発電の一つの を図る計画だ。 ビンを回す一般的な発電システム を取り出してその地熱蒸気でター 地中の蒸気・熱水から直接 蒸気 ルギー事業を集約し、再生可能エ たきがみ おおぎり 万7500㌔㍗へ変更している。 さらに2006(平成 )年に は、八丁原地熱発電所の敷地内で 設備量は 万㌔㍗に達し、 全国 (約 電所は6カ所になった。地熱発電 運転を開始し、グループの地熱発 15 400万㌔㍗への拡大を目指して 電所は2010(平成 )年に定 発電所( 万2500㌔㍗)が産 声を上げた。フラッシュ方式とは、 格 出力を 万5000㌔㍗から 手段としてバイナリー発電は有効 再生可能エネルギー事業を強 化するため、組織整備も進めてい 天候に左右されない安定したクリ ネルギー電源の調査、計画から建 八丁原バイナリー発電所が、 年 な方法だ。九州は地熱資源に恵ま ーンな国産エネルギーとして地熱 設、運営管理まで一貫して手掛け 95 には菅原バイナリー発電所も営業 である。 発電に早くから注目、開発を進め る新会社「九電みらいエナジー」 96 2 そ の 後、 ダ ブ ル フ ラ ッ シュ る。 年に社内に新組織「地熱セ ンター」を設置し、地熱新規開発 を積極的、機動的に実施するとと もに既設地熱発電所の一元管理に よる業務運営の効率化を図ってい る。また、 年には九電の再生可 能エネルギー開 発部門と九 電子 てきた。中期経営方針においても を設立。地域社会の幅広いニーズ 22 18 の推進に貢献できるというわけだ。 いる。そのうち地熱は 万㌔㍗増 はっちょうばる 在、再 生可 能エネルギーの設 備 年で、国内初の熱水型シングルフ ㌔㍗の同 発 電 所は、世界 有 数の 11 90 ラッシュ方式の地熱発電所、大岳 している同社は、その実現に向け 52 量は150万㌔㍗だが、 年には 24 67 れているので、地域との共存共栄 を図ることができる発電所を増や せれば」と話している。 地熱発電に早くから注目 年に 万㌔㍗増目指す 14 万5000㌔㍗)の約4割を占 21 30 80 42 世界有数の地熱発電所 「八丁原地熱発電所」 13 2 調査・開発の検討を行なっている。 針で、現在、複数の地点において 新たな地熱開発に取組んでいく方 同社は今後も資源賦存面から 有望と見込まれる地域を中心に ふ そ ん さに表れているといえるだろう。 わたる地道な活動がこの割合の高 めるまでに拡大している。長年に 51 ーの有効活用と地球温暖化対策 6 1 発電所内の熱交換器(蒸発器、予熱器) 会社の西日本環境エネルギー、キ 再生可能エネルギーの積極的な 開発と導入を推進している九電は、 ューデン・エコソルの再生可能エネ 80 多様な電源をミックスさせること Zaikai Kyushu / OCT.2015 135 30
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