宍戸 哲也 - 公立大学法人首都大学東京 産学公連携センター

010 環境・都市基盤
都市環境学部 分子応用化学コース
http://www.comp.tmu.ac.jp/shishidolab/
宍戸 哲也
研究テーマ
新たな高機能固体触媒の開発・設計
【キーワード】 触媒、グリーンケミストリー、環境浄化、エネルギー変換、選択的物質変換、省エネルギー
固体触媒をキーマテリアルとする環境・エネルギー技術に貢献
研究概要
貴金属やレアアースなど
我国の資源リスク解消へ
資源リスク解消の観点から重要度の高い分野であ
る。
当研究室が現在、最も注力しているのは合金ナ
しし ど
てつ や
宍戸 哲也 教授
研究分野は省エネルギーでの高効率物質変換・
ノ粒子触媒の開発である。文科省の元素戦略プロ
環境浄化・高効率エネルギー変換に有効な高機能
ジェクトの一員として3年目を迎えている。合金
部化学科卒、1997 年北海道
固体触媒の設計・開発である。主に固体酸塩基触
ナノ粒子触媒は単一の金属では困難な触媒作用や
後期課程修了、博士(工学)
、
媒、担持合金触媒、光触媒を研究対象としている。
構成金属元素の競奏効果の発現が期待できること
触媒は、現代社会で欠くことのできない機能性材
から、合金触媒技術は現代の錬金術とも呼ばれて
教 育 学 部 分 子 化 学 助 教 授、
料であり、都市環境改善やエネルギー問題に大き
いる。研究上の課題は、原子数が数十から 500 個
研究科分子工学専攻助教授、
く貢献できることから、産業界でのニーズ、注目
程度の合金ナノ粒子の構造を分子・原子レベルで
2007 年准教授、2014 年首都
度も高い分野だ。
きちんと決定し、その機能との関連を明らかにす
学研究科教授、現在に至る。
例えば、産業界において最も使用される酸触媒
る こ と だ が、か な り 難 易 度 が 高 い。こ の た め、
は液体酸の硫酸だが、装置の腐食、廃液による環
SPring-8 や KEK-PF などの最先端の大型放射光実
境負荷等の問題があり、産業界ではこれらの問題
験施設を活用しながら研究を進めている。
がない固体酸への転換が望まれている。また、太
今後,5年ほどで実用化に近いレベルまで触媒
陽光など可視光で駆動する光触媒による選択的物
の性能を向上させ、実際のスケールアップ試験の
質変換はエネルギー有効利用の観点から重要な課
実施にまでこぎつけたいと考えている。ここまで
題である。
来れば、企業との連携も本格化することになろう。
担持金属触媒の開発も産業界からの要請が強
産学公連携は化成品や自動車関連の企業と積極
い。例えば自動車の排気ガス処理に使用されるロ
的に実施しており、企業から素材を提供され構造
ジウム、パラジウムや燃料電池の電極触媒にも使
解析を依頼されるケースや企業が求める反応の
われるプラチナなどの貴金属触媒や希土類などの
ゴールを目指して一緒に考え特許出願に至るケー
レアアースは大半を輸入に頼っている.従って、
スもある。今後も産学公連携には積極的に取り組
高機能触媒の開発による、これらの貴金属の使用
み、継続的な議論・協力ができる体制を構築した
量の低減や汎用金属への転換は、我が国の抱える
いと考えている。
今後の展望
硫酸代替触媒の開発と合金ナノ粒子の
化学の確立をめざす
1992 年東京学芸大学教育学
大学大学院工学研究科博士
広島大学工学部応用化学科
助手、2003 年東京学芸大学
2005 年京都大学大学院工学
大学東京大学院・都市環境科
選択的物質変換に有用な合金ナノ粒子触媒の例
硫酸を代替可能な固体酸の開発は継続して行って行きたい。また、
金属あるいは、合金ナノ粒子の化学について、触媒反応を出口として
手探りながら少しずつ確立させて行きたいと考えている。触媒をブ
ラックボックスのままにしておくのではなく、その中身を解き明して
行きたい。
産業界や自治体の課題
のうちで、適用可能な例
AuとPdを合金化することではじめて反応が進行する
化学製品の効率的合成、環境浄化、燃料電池等エネルギー変換技術、バイオマス変換、
機能性合金などの開発・生成、等
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