最近の安全規制と規制の現状 松本武彦 原子力規制委員会・原子力規制庁 1.最近の事故・トラブル事例 放射線障害防止法の規制に関しては、法令に基づく事故報告があるほか、管理下にな い放射性同位元素の発見などの法令報告以外の報告がある。原子力規制委員会としては、 引き続き厳正な規制を行っている。管理下にない放射性同位元素の報告については、放 射線測定器の普及や放射線に対する国民の関心の高まりなどによって増加する傾向に ある。最近の事例としては、メーカーによる不法な製造・販売が報告された。法令に基 づく事故報告については、紛失・誤廃棄と汚染・漏えいが発生する傾向に変化は見られ ない。最近の事例としては、密封されていない放射性同位元素の漏えいが 報告 され た。 2.立入検査の実施状況等 これまで国は、放射線障害防止法に基づく立入検査を実施し、法令遵守を確認すると ともに、必要に応じて違反に対する是正を求めてきた。原子力規制委員会として は、年 度当初に、年度の検査方針、年間実施件数及び重点確認事項について記載した年間計画 を定め、計画的な立入検査を実施することとし、その結果を四半期毎にとりまとめてホ ームページにおいて公表している。今年度は、最近の法令報告の事象を踏まえ、排水設 備を有する場合に排水の記録、施設点検状況を重点的に確認している。 3.放射化物の管理 放射線障害防止法は、平成 22 年 5 月にその一部が改正され、平成 24 年 4 月から施行 されている。放射性汚染物の確認制度の導入、廃止措置の強化等が図られるとともに、 放射化物が規制対象となり、その廃棄又はその他の取扱いについて、基本的に放射性同 位元素によって汚染された物と同様の規制を受けることとなった。 特に放射化物を保管 又は保管廃棄する設備についてその施設基準に適合していること、放射化物に係る記帳、 測定・記録、維持・点検等の実施が行為基準に適合していることが必要であることに注 意を要する。
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