代 表 2016 年度県政要望について

2015 年 11 月 10 日
埼玉県知事
上田
清司
様
社民党埼玉県連合
代
表
佐藤征治郎
副代表(嵐山町議) 河井 勝久
副代表(鴻巣市議)
中野
昭
2016 年度県政要望について
今日、安倍政権の下、国民全体が国の将来と暮らしの先行きに大きな不安を
感じています。数次の選挙を経たとはいえ、国会多数を背景に特定秘密保護法
から近時の安全保障関連法の強行「採決」による成立、原発再稼働、TPP と暴
走が止まりません。
一方で、鳴り物入りで打ち上げられたアベノミクスでは、ごく一部の富める
者の陰で庶民はますます窮地に追いやられ、経済格差は広がるばかりです。
こうした時に敢えて 4 期目に挑み、引き続き県政を担当することになった貴
職に並々ならぬ決意を感じますとともに、議会対応には毅然とした姿勢を貫く
ことを期待します。
さて、最近公表された平成 27 年度県政世論調査結果(速報)では、「生活全
体の満足度」について「満足している」が前年に比べ 6.6 ポイント増加したと
されていますが、「くらし向き」については「変わらない」(50.7%)、「苦しく
なった」(42.8%)が依然として高い数値を示しています。
また「県政への要望」についても第 1 位の「高齢者福祉の充実」、2 位「医療
体制の整備」、3 位「子育て支援」など 5 位まではこれまでと変動がありません。
むしろ、労働関係法の改悪等で働き手の多い県民のくらしへの悪影響が危惧さ
れます。
こうした状況を踏まえ、新年度(2016 年度)はこれまで以上に国政に対して、
県民の声を発信していただくとともに、県予算編成でも地域の声を汲み入れて
いただけるよう期待し、以下、66項目の要望をいたします。
記
Ⅰ、埼玉から「平和・脱原発」の発信を
1. 安倍政権は先の通常国会で「集団的自衛権」の行使を可能とする法案を多
くの国民の反対を押し切って成立させました。今後、自治体に安保関連法(戦
争法)に基づく施策への協力を求めてくることが予想されますが、地方自治
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と現憲法の平和主義を守る立場から対応すること。
2. 関連して自衛官の募集にかかわって高校生 3 年生にダイレクトメールが自
衛隊地方協力本部から送付されたり、看護師に「海外で働ける」などとして
自衛官ナースを勧誘しているという事例が明るみに出ました。個人情報を預
かる自治体の姿勢が問われるものであり、疑念を抱かれぬよう対応すること。
3. 本県に隣接する東京・横田基地に欠陥機 CV22 オスプレイの配備が決まり、
本県西部地域を中心に目撃情報も寄せられています。配備に反対するととも
に、関係自治体に確実な情報提供を行うこと。
4. 一部の自治体で俳句が公民館報に掲載されなかったり、「政治的」だとし
て従来は応じていた集会の後援や会場使用を断ったり、さらに一部議員から
市民の自主的な活動を「政治活動」だとして公共施設の使用を規制しようと
する動きが散見されています。
これらは憲法が保障する「表現の自由」「集会の自由」などを侵害するも
ので、県有施設について、これらを保障する見地から対応すること。
5. 戦後 70 年を経過し、生存する戦争体験者は数少なくなっています。戦争の
悲惨さと平和の尊さを発信することは自治体に課せられた重要な責務であ
り、県平和資料館に期待される役割は大きいものです。
その観点から被害と加害の事実をありのままに伝え、あらゆる国との友好
的関係に資する内容とすること。
6. 自衛隊基地増強と米軍との共同演習について防衛省は、平成 29 年度を目途
に陸上総隊司令部を朝霞駐屯地に新編するとしています。すでに、陸・海・
空自衛隊は統合的な運用が進められつつあり、最大部隊を抱える陸上自衛隊
の指令部が朝霞市に配備されるとなれば、これまでの東部方面隊の一指令部
から総司令部へと、朝霞市における自衛隊の役割は格段に強化されることと
なります。今後配備が広がることが懸念されているオスプレイはもちろんの
こと、PAC3などの配備、基地の強化は、今回の安保法制の強行採決に先
行する形で着々と進行しています。
①国は特定秘密保護法などで情報の非開示の幅をますます広げていますが、
県は、基地を抱える自治体の問題を県全体の問題としてとらえ、具体的に進
んでいる事態を国や米軍から把握し、それら情報を自治体に伝える努力をす
ること。
②集団的自衛権行使という事態は、基地を抱える自治体住民にとって、自ら
がターゲットとなる可能性が高まったということを意味します。ありもしな
い、他国からの脅威論を騒ぎ立てることで、戦争の危機を煽ることのないよ
う、県民レベルの国際交流の輪を広げる努力をすること。
③特に、近隣の中国、韓国、朝鮮などとの友好を県として進め、それを市町
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村に広めること。
7. 原発事故避難者への充実した総合的支援体制を確立し、受け入れ自治体へ
の財政措置強化を図る観点から、政府に対して「原発事故子ども・被災者支
援法」の基本方針を抜本的に改めるため、
①年間累積線量 1 ㍉シーベルト以上の地域を支援対象地域に指定すること。
②移動・居住・就労・医療と健康管理・所得減など、東京電力福島第一原発
事故によって生じた新たな生活ニーズ全般を支援対象とし、十分な予算措置
をとること。
③復興庁と被災者・支援者との常設の協議機関、定例会を設置すること。
について申し入れること。
8. 東京電力福島第一原発事故により県内に避難している人々の現状や要望を
正確に把握したうえで、特に被災者の安定した住居を保障するために支援を
継続し、災害公営住宅を建設すること。
9. 空間放射能測定や給食食材及びプールの放射能測定及び除染土の保管など
にかかわる費用の自治体負担をなくすために、東京電力へ賠償を求めること。
10. 太陽光や小水力発電など、県の環境に適した自然エネルギーの有効活用に
向けた施策をいっそう強化すること。
Ⅱ、県民の生活を守るために
1. TPP から県民のくらしを守るため、影響を及ぼす事柄に関して、国に申し
入れること。
2. 新型交付金といえる地方創生に関する交付金が、かっての「ふるさと創生
交付金」のように、一時的なバラマキとならないよう地方が継続して事業が
進められるように、国に申し入れを行うこと。
3. 経済的徴兵などという状況にならないように、県の給付型奨学金制度を新
設すること。現行奨学金制度をゼロ金利やマイナス金利とし、貸与者が債務
破綻者とならない政策を講ずること。
4. 学校給食の無料化を推進すること。
5. 教育問題について教職員の臨時的任用者の割合が増えており、正規教職員
を適正に配置すること。
自治体ごとに少人数学級の仕組みがまちまちとなっており、県がこれを計
画的に保障すべく、段階的に少人数学級の体制を整備すること。
また、サポート事業(スクールサポーターなど)が数年で県から市町村に
移行しましたが、県は、学習支援体制を強めるために財政的な支援を含めて
継続的な事業展開をすること。
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さらに、教職員の時間外労働が異常に増えています。県は市町村教育委員
会に指導、サポートを行なうこと。
6. 小児医療センターの移転に際しては、救急搬送がスムーズにできるように
最善の配慮をすること。また、現センターの残存機能については、患者・家
族の理解が得られるよう、最善を尽くすこと。
7. 熊谷市で起きた悲惨な事件の際、住民に対する注意喚起が不十分でした。
これは、熊谷市と埼玉県と県警察の問題です。不審者情報を防災無線や防災
メールで広く住民に注意を施すよう県全体で行うこと。さらに、学校・保育
所・幼稚園の関係者へ連絡により、子どもの安心・安全確保を一層強化する
こと。
8. 日本政府に対する国連人種差別撤廃委員会勧告(2014 年 8 月 29 日)にもあ
るように、埼玉県が行っている朝鮮学校運営費補助金凍結は国際的にも見過
ごせないものになっていることを自覚し、朝鮮小・中級学校への補助金支給
凍結を早期に解除すること。同様に、朝鮮高校授業料の無償化を早期に実施
するよう引き続き政府に要望すること。
9.
埼玉県は人口 10 万人あたりの医師数が 154 人(2012 年)で全国最下位です。
これは2位の東京都 313 人(同)の半分に満たない数で、絶対的に医師数が
不足していることは明らかです。
①医療政策を担う県が、民間の参入に依拠するのではなく、引き続き、自治
体病院や大学病院の誘致など、行政主導型で基盤整備や人材育成に積極的に
取り組むこと。
②また救急車を受入れる医療側の体制の整備が追いついていません。かかり
つけ医をはじめの受け皿とした地域医療体制の整備も、民間の競争原理にか
く乱されて実効ある形となっていませんので、県の地域保健医療計画のより
きめ細かな実施計画の策定、その進行管理を、県民公開のもと積極的に行う
こと。
③何よりも、医師数不足の改善をこそ大目標に掲げて推進すること。
10. 「健康長寿埼玉プロジェクト」が平成 24 年度から推進されています。
①3 年間のモデル事業「健康長寿埼玉モデル」の科学的なデータによる検証活
動の実績を公開すること。
②県は、介護職員の養成、モニタリング制度等チェック体制の整備に特に力
を発揮すること。
11. 県道について、
①歩車道の分離を最優先に、それが出来ないところは歩行者レーンをバリア
フリーで整備すること。
②信号機の設置に県内でも年間数基しか設置されないといわれていますが、
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予算の増額も含め、市町村の増設要望にかなうだけの予算組みをすること。
③自転車レーン等の整備について計画的にレーンを増設すること。
④歩道部分に自転車走行レーンを整備する場合の統一的な判断など、道路
設計基準の改正を早急におこない、市町村にその改善を働きかけること。
⑤ゾーン 30 について、密集市街地内で、しかも直線距離が 100mもないクラ
ンクが続く区間に、ゾーン 30 が指定されるなど、本来想定していたものと違
う(意味がないばかりか、かえって危険を増す)指定が市町村で行われてい
る場合があります。その場合、ゾーン 30 ではなく、さらに速度制限を 20、10
に規制するなどの必要が生じていることを把握し、早急に対策を打つこと。
12. 水辺再生について親水と自然との両立が求められています。県の生物多様
性保全戦略にもあるように、多様な動植物が生きられる環境を県民全体の宝
として残していくために、親水のための事業が終わったこれからは、自然の
再生と創出のための対策が重要です。また、多くの県民、特に子どもたちが
川に親しみ、学習や遊びを通じて自然や生き物に触れ合うことは、生物多様
性の大切さを知り、他者へのやさしさを育み、水産資源の保全にもつながり
ます。
これに関しては県の所管によって対応の違いがあり、考え方の共有と部署
間の連携をすること。
13. 群馬県八ッ場ダムの建設問題と県水の今後の動向について、これ以上の県
水値上げは市民への転嫁によらざるを得なくなります。八ッ場ダム建設に伴
う負担を県民に転嫁することのないようにすること。
Ⅲ、マイナンバー制度導入に関して
国民の超管理社会につながるマイナンバー制度は、行政の効率化、国民の利
便性の向上との政府の宣伝とは裏腹に、特定秘密保護法に加え、刑事訴訟法等
改正案の一連の治安立法の中にあるものと考えます。
1. マイナンバー制度について、県民・企業・団体に啓発すること。
来年 1 月から交付される個人番号カードについては、持ち歩きの利便さと
リスクから、急がず考えるように県民に啓発すること。
2. マイナンバー利用を、税・社会保障・災害対策の 3 分野以外の利用に拡大
しないように、国に申し入れを行うこと。
3.国からの通達を鵜呑みにせず、行政の全ての窓口及びあらゆる申請書にお
いて、県民の手間を増やしたり個人情報の流出のリスクが高まらないように、
万全の対策をすること。
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Ⅳ、地域要望について
1. ここ数年、利根川に架かる埼玉大橋の交通量の増加に伴い、歩行者・自転
車使用者の安全確保が置き去りになっています。新三国橋の新設以降、交通
渋滞の逃げ道になっている関わりが伺えますが、早急に対策を講ずること。
2. 県営権現堂公園は市民の避難場所に指定されているため、現在、公園内に
ソーラー灯は 4 基設置されていますが、峠の茶屋付近にソーラー灯を新設す
ること。
3. 幸手市の雨水が集中する倉松川の整備を早期に施行すること。
4. 県道杉戸久喜線の県立久喜高校東側の横断歩道に、手押し式信号機を早急
に設置すること。
5. 県道杉戸久喜線の都市計画道路(JR 宇都宮線西側から県道さいたま栗橋
線)を早期完成に向けて着手すること。
6. 東鷲宮地区の道路及び住宅への冠水対策として、中川一級河川の整備を早
急に進めること。
7. 県道栗橋川越線の歩道整備(国道 122 号線バイパスから東北自動車道)を
早急に進めること。
8. 久喜市地域をゾーン 30 に指定すること。
9. 東武伊勢崎線久喜駅の始発列車を 5 時発に繰り上げるよう、東武鉄道に働
きかけること。
10. 県道ときがわ坂戸線、善能寺及び玉林寺地内の道路冠水問題について、坂
戸市、毛呂山町との協議を早急に進め、改善に着手すること。
11. 高麗川放水路の流量検証の結果を踏まえ、高麗川、越辺川、葛川の洪水対
策に万全を期すこと。
12. 県道 39 号川越坂戸毛呂山線、坂戸市中里北大塚地内の歩道整備、横断歩道
の設置など歩行者の安全対策を行うこと。
13. 毛呂山町西大久保地区の葛川放水路による住宅浸水対策を大至急に行うこ
と。
14. 毛呂山町西大久保地内の葛川側道・堤の崩れの補修工事を早急に行うこと。
15. 地域経済の活性化に向け、春日部駅の連続立体化を早期実施すること。
16. 埼葛広域農道に歩道を整備し、安全対策を講ずること。
17. 米軍キャンプ朝霞跡地利用について
①朝霞市の中心に残っている米軍キャンプ朝霞跡地(国有地 19.4 ヘクタール)
で検出されたダイオキシン類、飛散性アスベスト、鉛等の有害物質の除去並
びに地下構造物の撤去は、国の責任で行うよう国に働きかけを行うとともに、
有害物質の処理が適切に実施されるよう管理すること。
②米軍キャンプ朝霞跡地の地元利用・整備にあたっては、朝霞市と連携をと
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り、財政援助等の支援をすること。
③米軍キャンプ朝霞跡地には都市近郊では貴重なまとまった緑の平地林が武
蔵野の面影を残しており、豊かな自然環境は県民共通の財産です。
県は、埼玉県環境基本計画(2007 年 3 月策定)の趣旨に則り、朝霞市と協
力して開発から大切の緑を保全すること。
④米軍キャンプ朝霞跡地内への元国家公務員宿舎予定地 3 ヘクタール(朝霞
の森)は国と朝霞市で管理委託契約が締結され、昨年 8 月に契約が更新され
て引き続き 2 年間の暫定利用期間が可能となりました。多くの県民の利用す
る広場として活用されています。
今後も暫定利用期間の延長が図られるよう国に働きかけ、長期間、安心し
て県民の利用が図られるよう努めること。
⑤朝霞基地跡地の公園用地地元利用にあたっては、国有財産法第 22 条に基づ
き、朝霞市に無償貸し付けするよう国に働きかけること。
18. 県地方庁舎移転後の跡地は、川越市民の利活用に資するものとなるよう、
早期に川越市への譲渡を検討すること。
19. 川越第二産業用地に続く、新たな産業用地造成、企業誘致のための条件整
備を積極的に進めること。
20. JR 川越線と県道川越・新座線が交わる踏切の歩道拡幅と踏切以北の県道整
備を早急に進めること。
21. 2019 ラグビーワールドカップについて、
①開催地のひとつに熊谷市が選ばれましたが、開催に向けて交通網を県と市
が協力し合い改善していくこと。
②熊谷市は高速道路がないために日常的に渋滞が発生しています。現在、構
想案に上っている道路建設や工事途中の案件を推進するための予算計上をす
ること。
③ラグビーワールドカップ開催県として、周知活動を強化すること。
22. 国土交通省の羽田空港の増便とそれに伴う飛行ルートの変更案によると、
埼玉県の南部(和光・朝霞・戸田など)の上空約 900mを通過するとされてい
ますが、国交省は説明会を朝霞市内では行なっていません。多くの首都圏住
民が大きな騒音や振動、落下物、墜落事故など、不安に晒され続けることに
なります。
東京オリンピック誘致による海外からの受入体制の整備を理由に、なし崩
しで進められようとしている向きもあり、県としても生活者、住民の立場に
立って基本的人権の侵害となることのないよう、住民への周知とともに、こ
れをチェックする姿勢をとること。
23. 規制緩和が進められている大型開発と大店舗等の出店について、朝霞市で
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も積水化学東京工場跡地とこれに近接する市街化調整区域(併せて 10.8ha)
の大型店舗及び集合住宅への大規模開発計画が具体化しつつあります。これ
以上の調整区域の市街化編入は、人口減少時代に逆行した施策です。県は都
市計画の区域区分(市街化区域か市街化調整区域かの区分)の担当であり、
これ以上の市街化編入を規制でき、さらに、農地転用についても県の農業会
議の判断で他用途への転用を拒否できます。
県は環境への負荷についてもその影響を充分に検証し、それらを全て公開
のうえで関係住民に周知、了解を求めること。
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