小児脳性麻痺患者に NST が介入した症例 兵庫県立塚口病院薬剤部

小児脳性麻痺患者に NST が介入した症例
兵庫県立塚口病院薬剤部
○門倉 史枝、平山 香澄、由良 沙央理、礒元 啓吾、丁子 江利、西窪 奈津子
織邊 聡、寺川 則子
【目的】
発育途上にある小児にとって栄養は必要不可欠なものであり、細菌感染や毒物などに対し抵抗力が弱
いため、必要十分な栄養補給を行い抵抗力や治癒力を高めることが必要である。また、多職種が NST に
参加し、様々な視点から小児の栄養管理に関わることは非常に有益である。今回、小児脳性麻痺患者に
NST が介入した症例を紹介するとともに、その中での薬剤師の役割について報告する。
【症例】
14 歳女児(BW17kg)、脳性麻痺により経口摂取が不可能であり経腸栄養剤(ラコール NFⓇ)による栄養
管理を行っていたが、気管支炎の悪化で入院となった。今回、胃ろう造設のための栄養状態の改善目的
で NST が介入した。
【結果】
NST ラウンドで患児の必要エネルギー量、経腸栄養剤の投与量及び投与速度を決定した。薬剤師は早
期より看護師や患児の親から情報収集を行い、NST ラウンド活動を通し他職種と情報を共有しながら、
投与速度及び経腸栄養剤の変更の提案と副作用モニタリング及び副作用への対応を行った。薬剤師が関
わることで、投与速度の変更による下痢の早期発見や止瀉薬の投与及びよりカロリーの高い経腸栄養剤
への変更が可能となった。また、ED チューブが詰まる原因を調査し、薬剤の配合変化のためであること
を情報提供し、改善に繋がった。
【考察】
当院では小児の栄養状態は成人と同じ指標で評価されているため、患児は栄養不良が続いていたと考
えられる。今回の症例では、経腸栄養剤を使用中の患児に副作用のモニタリング及びその対応を行うこ
とで下痢は改善し、投与速度及び経腸栄養剤の変更を行うことができた。
今後、小児の栄養評価に用いる適正な指標を確立することで、栄養管理が必要な患児の抽出を行い、
早期より NST が介入し、その中で薬剤師が副作用モニタリング、適切な投与速度及び投与方法の管理等
を行うことで患児の疾病治癒や QOL 改善に貢献していきたい。