エンテロウイルス D68 について Q エンテロウイルス D68 はどんなウイルスでしょうか? A 1962 年にアメリカのカリフォルニアで報告されたウイルスで、エンテロウイルス属の ウイルスの一つです。エンテロウイルス属のウイルスは、一般には夏風邪として、小児の あいだで春から秋に流行することが多く、手足口病、ヘルパンギーナなどをきたします。 エンテロウイルス D68 は、比較的、最近になって、鼻汁、咳などの風邪症状をきたし、な かには、喘息様の症状をきたすことが知られてきました。2014 年には米国で流行がみられ、 欧州などでも流行が報告されています。また麻痺の患者さんの中には、エンテロウイルス D68 が検出されることが報告されていますが、麻痺はそれ以外のさまざまな原因で起きる ため、このウイルスと本当に関連があるかは調査中です。 Q エンテロウイルス D68 の検査はできますか? A 特殊な検査が必要で、一般に軽症の患者さんでは行いません。入院した重症の患者さん などで行うことがあります。 Q エンテロウイルス D68 の治療はどうするのでしょうか? A ウイルスに効く薬剤はありませんが、ほとんどが自然に治ります。喘息様の症状など呼 吸器症状が強い場合、酸素投与、気管支を拡げる薬などを使用することがあります。ウイ ルスなので抗菌薬は効きません。 Q エンテロウイルス D68 の麻痺が心配なのですが? A エンテロウイルス D68 に感染したら麻痺を起こすということではなく、病院に受診を しないような軽症の感染者も含めると、現在、報告されている段階では、麻痺の発症はか なり稀です。またエンテロウイルス D68 と麻痺の関係があるのかも明らかでなく、現在、 国が調査中です。海外の報告では、咳、鼻汁などの上気道症状から 1 週間程度で麻痺が起 きることが多いとされています。特に風邪などから回復して麻痺の症状がなければ、心配 する必要はありません。 1 Q エンテロウイルス D68 の感染を予防するにはどうしたら良いでしょうか? A 一般の風邪のウイルスと同じ対応で、石鹸と流水による手洗い、咳などがある場合はマ スクや咳エチケットで周囲にウイルスを拡げないことが重要です。咳エチケットとは、咳 をするときに肘関節の内側で口を覆い、ウイルスのいる気道の分泌物を周囲にまき散らさ ないようにすることです。ウイルスは、気道の分泌物や便などにいて、飛沫や接触感染で 拡がります。特に食事の前、おむつ交換のあとなどの石鹸と流水による手洗いは重要です。 アルコールによる消毒は効きにくいウイルスですので、擦式アルコール消毒剤よりも、石 鹸と流水による手洗いが推奨されます。予防のためのワクチンは、まだありません。 参考リンク 国立感染症研究所 エンテロウイルス D68 感染症とは http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/6023-ev-d68-intro.html 2
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