2015年度一般入試前期A日程( 2 月 4 日実施) 生 物 問 題 (73ページ〜91ページ) ※問題は大問 Ⅰ 〜 Ⅳ までありますが、一部、他科目との共通問題となっています。 大問 Ⅰ は、「化学基礎 + 生物基礎」の大問 Ⅲ と共通の問題です。 大問 Ⅱ は、「化学基礎 + 生物基礎」の大問 Ⅳ と共通の問題です。 − 73 − Ⅰ 次の問いに答えなさい。 問 1 タマネギの表皮細胞の観察について述べた次の文中の空欄 A , B に入る語 の組合せとして,最も適当なものを,下の選択肢の中から1つ選び,番号をマークしなさ ア い。 タマネギの鱗片葉からはがした表皮を切り取ってスライドガラスにのせ,酢酸アルコー ルで A したのち,酢酸オルセインで染色し,カバーガラスをかぶせた。これを光学 B 顕微鏡で観察すると, ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ が染色され,よく観察できた。 A B 解離 ミトコンドリア 解離 細胞壁 解離 核 固定 ミトコンドリア 固定 細胞壁 固定 核 問 2 ゾウリムシに関する記述として,最も適当なものを,次の中から1つ選び,番号をマー イ クしなさい。 ① 前進するときには繊毛を用い,後退するときには収縮胞を用いる。 ② 細胞口に繊毛はなく,細胞口のアメーバ運動によって食べ物を取り込む。 ③ 収縮胞と食胞を交互にふくらませることで,水と無機塩類を排出する。 ④ 細胞質には,ミトコンドリアが存在するが葉緑体は存在しない。 ⑤ 小核は成長や分裂などの活動に用いられ,大核はおもに生殖に用いられる。 − 74 − 問 3 DNA は A,T,G,C の4種類の構成単位からなる。ある細胞において,全 DNA に含 まれる A の数の割合を調べると,23%であった。この細胞の全 DNA に含まれる C の数の 割合として最も適当なものを,次の中から1つ選び,番号をマークしなさい。 ウ ① 22% ② 23% ③ 25% ④ 27% ⑤ 32% ⑥ 46% 問 4 図1は,二酸化炭素濃度が低い条件においたときのヒトのヘモグロビンの酸素解離曲線 を示したもので,肺胞中の酸素濃度を 100 とする。これに関する記述として最も適当なも のを,下の選択肢の中から1つ選び,番号をマークしなさい。 エ 100 酸素ヘモグロビン︵%︶ 80 60 40 20 0 0 20 40 60 80 100 酸素濃度(相対値) 図1 ① 肺胞中では,全ヘモグロビンが酸素ヘモグロビンの状態で存在する。 ② 二酸化炭素濃度が低い条件で酸素濃度が 40 のとき,全ヘモグロビンのうちの半数以 上が酸素と結合していない。 ③ 二酸化炭素濃度が低い条件で酸素濃度を 40 から 20 に変化させると,酸素と結合して いたヘモグロビンの半数以上が酸素を放出する。 ④ 二酸化炭素濃度を高い条件に変えて同様に酸素解離曲線を描くと,酸素ヘモグロビン の割合は酸素濃度が 100 のときに最も低下する。 ⑤ 二酸化炭素濃度を高い条件に変えて同様に酸素解離曲線を描くと,酸素ヘモグロビン の割合は酸素濃度が 20 のときに最も上昇する。 − 75 − 問 5 ヒトの腎臓のはたらきについて述べた次の文中の空欄 C 〜 E に入る語の組 合せとして,最も適当なものを,下の選択肢の中から1つ選び,番号をマークしなさい。 オ 腎臓に流れ込んだ血液は C に送られてろ過され,原尿となって細尿管(腎細管) で再吸収される。健康なヒトでは,原尿に含まれる物質のうち, される。合成された尿は集合管から E D は 100%再吸収 に放出されたのち,輸尿管などを経て排出さ れる。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ C D E ボーマン嚢 グルコース 腎う ボーマン嚢 グルコース ぼうこう ボーマン嚢 タンパク質 腎う ボーマン嚢 タンパク質 ぼうこう 糸球体 グルコース 腎う 糸球体 グルコース ぼうこう 糸球体 タンパク質 腎う 糸球体 タンパク質 ぼうこう 問 6 ヒトのホルモン分泌に関する記述として,最も適当なものを,次の中から1つ選び,番 カ 号をマークしなさい。 ① チロキシンは,バソプレシンの分泌量を調節する。 ② 甲状腺刺激ホルモンは,チロキシンの分泌を促進する。 ③ 成長ホルモンは,パラトルモンの分泌を促進する。 ④ 交感神経によって分泌が促進されるホルモンは存在しない。 ⑤ 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンの標的器官は,副腎皮質である。 − 76 − Ⅱ ヒトの血管系と生体防御に関する次の文〔 1 〕,〔 2 〕を読んで,あとの問いに答えなさい。 〔1〕 ヒトの血管系は,毛細血管をもつ 例として, B A 血管系である。 A 血管系をもつ生物の などがある。図1は,ヒトの血管系を模式的に示したものである。血 管系における血液は,その成分から,動脈血と静脈血の2種類に分けられる。 ⑴ ヒトの血液量は体重の約 13 分の1である。体重が 65 kg のあるヒトにおいて,心臓の拍 動数が毎分 50 回,1回の拍動で心臓から 70 mL の血液を送り出しているとき,血液の比 重を 1 . 0 として,血液の全量と1分間に心臓から送り出される血液量が求められる。それ C らの数値を用いると,血液全体がからだを1回循環するのに要する時間は,約 分 であると計算される。 血しょう成分の多くは肝臓によって調節されている。肝臓には,心臓からの血液が流れ 込む D と,小腸などからの血液が流れ込む E とがつながっている。肝臓で処 ⑵ 理されて生じた物質のうち,水に溶けやすい無機物 X と,水に溶けにくい有機物 Y の排出 経路を調べたところ,それぞれの排出経路は異なっていた。 (あ) (う) 小腸 頭部 体の組織 肺 心臓 肝臓 (い) (え) 図1 − 77 − 問 1 空欄 A , B に入る語の組合せとして,最も適当なものを,次の中から1つ ア 選び,番号をマークしなさい。 ① ② ③ ④ A B 開放 バッタ 開放 ミミズ 閉鎖 バッタ 閉鎖 ミミズ 問 2 ヒトの血液が心臓とその付近を流れる経路として,最も適当なものを,次の中から1つ イ 選び,番号をマークしなさい。 ① 大静脈 → 左心房 → 左心室 →(肺)→ 右心房 → 右心室 → 大動脈 ② 大静脈 → 左心室 → 左心房 →(肺)→ 右心室 → 右心房 → 大動脈 ③ 大静脈 → 右心房 → 右心室 →(肺)→ 左心房 → 左心室 → 大動脈 ④ 大静脈 → 右心室 → 右心房 →(肺)→ 左心室 → 左心房 → 大動脈 問 3 線 ⑴ に関連して,図1中の(あ)〜(え)のうち,動脈血が流れている血管の 組合せとして,最も適当なものを,次の中から1つ選び,番号をマークしなさい。 ウ ① (あ)(う) ② (あ)(え) ③ (い)(う) ④ (い)(え) 問 4 空欄 C に入る数値として,最も適当なものを,次の中から1つ選び,番号をマー エ クしなさい。 ① 0 . 7 ② 1 . 1 ③ 1 . 4 ④ 1 . 7 ⑤ 3 . 5 − 78 − 問 5 空欄 D , E に入る語の組合せとして,最も適当なものを,次の中から1つ オ 選び,番号をマークしなさい。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ D E 肝動脈 肝静脈 肝動脈 肝門脈 肝静脈 肝動脈 肝静脈 肝門脈 肝門脈 肝動脈 肝門脈 肝静脈 問 6 線 ⑵ に関連して,無機物 X と有機物 Y の排出経路として,最も適当なものを, 次の中からそれぞれ1つずつ選び,番号をマークしなさい。 X― カ Y― キ ① 胆管に分泌され,腎臓から尿の成分として排出された。 ② 胆管に分泌され,肺から呼気の成分として排出された。 ③ 胆管に分泌され,腸から便の成分として排出された。 ④ 血管に分泌され,腎臓から尿の成分として排出された。 ⑤ 血管に分泌され,肺から呼気の成分として排出された。 ⑥ 血管に分泌され,腸から便の成分として排出された。 問 7 肝臓のはたらきの説明として,明らかに誤っているものを,次の中から1つ選び,番号 ク をマークしなさい。 ① バソプレシンが作用すると,水を再吸収して体液の濃度を上げる。 ② タンパク質が分解されて生じたアンモニアを,毒性の低い尿素につくりかえる。 ③ さまざまな物質の分解に伴って発生する熱を,体温の維持に役立てる。 ④ 血糖濃度が下がったときに,グリコーゲンを分解して,グルコースにする。 − 79 − 〔2〕 ヒトの体内に病原菌やウイルスが侵入すると,免疫のしくみがはたらく。免疫は,体液 ⑶ 性免疫と細胞性免疫に分けられる。 ヒトの ABO 式血液型は,血液を混ぜたときの抗原抗体反応の有無によって分けられて いる。A 型の赤血球表面には A 抗原が存在し,B 型の赤血球表面には B 抗原が存在し, AB 型の赤血球表面には A 抗原と B 抗原の両方が存在する。時計皿に異なる血液型の血液 を混ぜ合わせて放置すると,図2に示すように赤血球どうしが集合する凝集と呼ばれる現 象が観察される。これは,A 抗原または B 抗原と抗原抗体反応を起こす抗体が血しょう中 ⑷ に含まれているためである。血しょう中に含まれる抗体の種類を調べるため,4種類の血 液型の血液を放置して得られた血清と,4種類の血液型の赤血球とをさまざまな組合せで 混ぜ合わせて放置し,凝集の有無を調べた。表1は,その結果を示したもので,○は凝集 が生じたことを,╳は凝集が生じなかったことを示す。 放置 赤血球の凝集 図2 表1 血清 赤血球 型 A B AB O A ╳ ○ ╳ ○ B ○ ╳ ╳ ○ AB ○ ○ ╳ ○ O ╳ ╳ ╳ ╳ − 80 − 問 8 線 ⑶ に関連して,体液性免疫と細胞性免疫の中心的なはたらきに関する記述と して,最も適当なものを,次の中からそれぞれ1つずつ選び,番号をマークしなさい。 体液性免疫― ケ 細胞性免疫― コ ① 白血球が分泌する酵素によって,病原菌の細胞壁を分解する。 ② 白血球が食作用で病原菌を取り込み,白血球の内部で分解する。 ③ 白血球が病原菌の内部に侵入して,病原菌を内側から破壊する。 ④ リンパ球が,侵入してきた異物を直接攻撃して破壊する。 ⑤ リンパ球が,侵入してきた異物に対して特異的に反応する抗体を産生する。 ⑥ リンパ球が,侵入してきたすべての異物に対して反応できる抗体を産生する。 問 9 線 ⑷ に関連して,表1の結果から考えて,A 型と AB 型のヒトの血しょう中に 含まれる抗体の種類として,最も適当なものを,次の中から1つ選び,番号をマークしな サ さい。 A 型血しょう AB 型血しょう ① A 抗原に対する抗体 なし ② A 抗原に対する抗体 A 抗原に対する抗体と B 抗原に対する抗体 ③ B 抗原に対する抗体 なし ④ B 抗原に対する抗体 A 抗原に対する抗体と B 抗原に対する抗体 ⑤ なし A 抗原に対する抗体と B 抗原に対する抗体 − 81 − Ⅲ ウニの卵形成とカエルの発生に関する次の文〔 1 〕,〔 2 〕を読んで,あとの問いに答えな さい。 〔1〕 ウニの卵形成は,卵巣で行われる。卵巣では,核相 2 n の卵原細胞が体細胞分裂をくり 返している。図1は,分裂を終えた卵原細胞が第一卵割を始めるまでの過程を模式的に示 したものである。分裂を終えた卵原細胞は卵黄を蓄積し,減数分裂の準備を行う。減数分 裂の準備が終わった細胞が,Aである。減数分裂によってBとDが放出されてEになった 後,外界からの刺激によって放卵が起こり,精子が進入して,Fとなる。その後,DNA ⑴ が複製されて,第一卵割が始まる。図2は,ある卵原細胞から第一卵割が終了するまでの 細胞あたりの DNA 量(相対値)の変化を,模式的に示したものである。 B A D C E F 受精 DNA 複製 第一卵割 図1 DNA量︵相対値︶ 4 2 1 0 時間 図2 問 1 線 ⑴ に関連して,実験的に放卵を起こさせる際に用いられる物質として,最も 適当なものを,次の中から1つ選び,番号をマークしなさい。 ① ノルアドレナリン ② チロキシン ③ 尿素 ④ 塩化カリウム ⑤ 塩化ナトリウム − 82 − ア 問 2 図1中のB,Cの細胞の名称の組合せとして,最も適当なものを,次の中から1つ選び, イ 番号をマークしなさい。 ① ② ③ ④ B C 第一極体 一次卵母細胞 第一極体 二次卵母細胞 第二極体 一次卵母細胞 第二極体 二次卵母細胞 問 3 図1中のA〜Fの核に含まれる DNA 量に関する記述として,最も適当なものを,次の ウ 中から1つ選び,番号をマークしなさい。 ① Aに含まれる DNA 量は,Cに含まれる DNA 量と同じである。 ② Aに含まれる DNA 量は,Fに含まれる DNA 量の4倍である。 ③ Bに含まれる DNA 量は,Dに含まれる DNA 量と同じである。 ④ Cに含まれる DNA 量は,Eに含まれる DNA 量の2分の1である。 ⑤ Cに含まれる DNA 量は,Fに含まれる DNA 量と同じである。 問 4 図1中のFが第三卵割を終えたときの模式図として,最も適当なものを,次の中から1 エ つ選び,番号をマークしなさい。 ① ② ③ − 83 − ④ 〔2〕 カエルの受精卵を観察すると,卵の一部分に,図3のaのような灰色三日月(灰色三日 月環)があらわれる。カエル胚を用いて,次の実験 1 ,実験 2 を行った。 実験 1 :灰色三日月側の赤道面付近を生体に無害な G を用いて染色すると,尾芽胚 ⑵ において,特定の部位が染まった。次に,受精卵を動物極側と植物極側の二つに分け, 動物極側を 180°回転させて接着させたのちに灰色三日月と反対側の赤道面付近を同 様に染色すると,尾芽胚において,先の実験とほぼ同じ部位が染まった。図3は,実 験1の過程を模式的に示したものである。 実験 2 :カエルの桑実胚を多数用意し,移植胚から植物極側の割球1個を取り出して,実 験胚の植物極側の割球1個と交換移植した。その結果,移植胚の灰色三日月側の植物 極側の割球を灰色三日月側と反対側の植物極側の割球と交換移植した実験胚では,神 経管が胚の2か所に形成されて,双頭胚になった。図4は,実験 2 の過程を模式的に 示したものである。 発生 a 染色 発生 染色 図3 − 84 − 移植胚 実験胚 灰色三日月側 灰色三日月側 発生 図4 問 5 空欄 G しなさい。 に入る語として,最も適当なものを,次の中から1つ選び,番号をマーク オ ① アントシアン ② メチルグリーン ③ 酢酸カーミン ④ 酢酸オルセイン ⑤ ナイルブルー(ナイル青) 問 6 線 ⑵ に関連して,実験 1 の結果,尾芽胚のどの部位が染色されたか。最も適当 なものを,次の中から1つ選び,番号をマークしなさい。 ① 表皮 ② 脊索 ③ 神経管 ④ 体腔 ⑤ 側板 − 85 − カ 問 7 実験 1 ,実験 2 の結果から,カエルの受精卵における細胞質に関して推測できることを 述べた文として,最も適当なものを,次の中から1つ選び,番号をマークしなさい。 キ ① 受精卵における灰色三日月を含む細胞質は,胚の背側を形成する能力をもつが,胚の 腹側を形成する能力をもたない。 ② 受精卵における灰色三日月を含む細胞質は,胚の腹側を形成する能力をもつが,胚の 背側を形成する能力をもたない。 ③ 受精卵における灰色三日月側の植物極側細胞質には,胚の背側を誘導する因子が含ま れている。 ④ 受精卵における灰色三日月側の植物極側細胞質には,胚の腹側を誘導する因子が含ま れている。 問 8 カエルの眼の形成は,誘導の連鎖の例として知られている。カエルの眼の形成過程にお いて,誘導を行う部位の組合せとして,最も適当なものを,次の中から1つ選び,番号を ク マークしなさい。 ① 眼杯,網膜 ③ 角膜,網膜 ⑤ 水晶体,網膜 ② 眼杯,水晶体 ④ 角膜,水晶体 − 86 − Ⅳ 動物と植物の反応に関する次の文〔 1 〕〜〔 3 〕を読んで,あとの問いに答えなさい。 〔 1 〕 外界からの刺激によってヒトの受容器にある A が興奮すると,その情報が感覚 ニューロンを介して中枢に伝えられる。中枢では,複数の介在ニューロンによって情報が 統合され,適切な情報が運動ニューロンによって効果器に伝えられると,刺激に対する応 答が起こる。感覚神経と運動神経を合わせたものを B 系といい,自律神経系と対比 される。感覚ニューロンの興奮は,大脳だけではなく,中脳にも伝えられ,中脳反射が起 ⑴ こることがある。 問 1 空欄 A , B に入る語の組合せとして,最も適当なものを,次の中から1つ ア 選び,番号をマークしなさい。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ A B 標的細胞 末しょう神経 標的細胞 体性神経 標的細胞 集中神経 感覚細胞 末しょう神経 感覚細胞 体性神経 感覚細胞 集中神経 問 2 大脳と脊髄に関する記述として,最も適当なものを,次の中から1つ選び,番号をマー イ クしなさい。 ① 大脳皮質は神経繊維が集まった白質であるのに対し,脊髄皮質は灰白質である。 ② 大脳皮質は神経繊維が集まった灰白質であるのに対し,脊髄皮質は白質である。 ③ 大脳皮質は細胞体が集まった白質であるのに対し,脊髄皮質は灰白質である。 ④ 大脳皮質は細胞体が集まった灰白質であるのに対し,脊髄皮質は白質である。 − 87 − 問 3 線 ⑴ に関連して,ヒトの中脳に関する記述として,最も適当なものを,次の中 ウ から1つ選び,番号をマークしなさい。 ① 随意運動の調節や熟練に関与する。 ② 姿勢を保つ中枢や眼球運動を調節する中枢がある。 ③ 心臓の拍動を調節する中枢がある。 ④ 腎臓のはたらきを調節する物質を血液中に放出する。 〔2〕 動物に同じ刺激を何度も与えたときに次第に反応が起こりにくくなる現象を,慣れと呼 ぶ。慣れのように経験によって変化が見られる行動を ては, D C といい, C の例とし などがある。アメフラシの慣れのしくみを調べるため,次の実験1を行っ た。 実験 1 :アメフラシには,えらに与えられた水流刺激に対して図1に示すような反射経路 がある。アメフラシのえらの受容器に毎日同じ水流刺激を断続的に与え続け,感覚 ニューロンの興奮,運動ニューロンの興奮,および筋収縮の大きさを1日目と 30 日 目に測定した。図2は,その結果を模式的に示したもので,30 日目には慣れが起こっ ていた。なお,図2の横軸は時間経過を示し,1日目と 30 日目の横軸は同じである。 受容器 感覚ニューロン 筋肉 運動ニューロン 図1 − 88 − 1 日目 30 日目 感覚ニューロンの興奮 運動ニューロンの興奮 筋収縮の大きさ 時間 時間 図2 問 4 空欄 C , D に入る語の組合せとして,最も適当なものを,次の中から1つ エ 選び,番号をマークしなさい。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ C D 学習による行動 アヒルの刷込み 学習による行動 イトヨのジグザグダンス 学習による行動 カイコガの求愛行動 生得的行動 アヒルの刷込み 生得的行動 イトヨのジグザグダンス 生得的行動 カイコガの求愛行動 問 5 実験 1 の結果から,慣れが起こる原因として推測できることを述べた文として,最も適 当なものを,次の中から1つ選び,番号をマークしなさい。 オ ① 感覚ニューロンの活動電位の大きさに対する運動ニューロンの活動電位の大きさの低 下が,慣れが起こる原因の一つとして推測できる。 ② 感覚ニューロンが1回あたりの興奮で放出する神経伝達物質の量の低下が,慣れが起 こる原因の一つとして推測できる。 ③ 運動ニューロンが1回あたりの興奮で放出する神経伝達物質の量の低下が,慣れが起 こる原因の一つとして推測できる。 ④ 運動ニューロンが分泌する同量の神経伝達物質に対する筋肉の収縮量の低下が,慣れ が起こる原因の一つとして推測できる。 − 89 − 〔3〕 植物の反応には,屈性と傾性がある。オーキシンは茎の先端部で合成され,茎を下方に ⑵ 極性移動して,屈性に関与する。オーキシンのはたらきに関して,マカラスムギの幼葉鞘 を用いて,次の実験 2 を行った。 実験 2 :生育程度が同じ幼葉鞘と,大きさをそろえた寒天片を多数用意した。幼葉鞘の先 端部分を切り取り,図3のように寒天片の上においた。さまざまな時間が経過した後 に先端部分を寒天片から取り去り,寒天片内部にある物質が拡散してから,図4のよ うに先端部分を切り取った幼葉鞘の切断面の片側に寒天片をのせ,3時間後に幼葉鞘 の屈曲角を測定した。図5は,実験 2 の結果を模式的に示したものであり,横軸は先 端部分を寒天片の上においた時間を示す。 屈曲角 図3 図4 幼葉 の屈曲角 20° 0 T 先端部分を寒天片の上においた時間 図5 − 90 − 問 6 線 ⑵ に関連して,屈性と傾性に関する記述として,最も適当なものを,次の中 から1つ選び,番号をマークしなさい。 カ ① 水平においた植物の根が下方に屈曲する反応は,負の重力屈性である。 ② オジギソウの葉に触れると葉が下垂する反応は,正の重力屈性である。 ③ キュウリの巻きひげが支柱に巻きつく反応は,接触傾性である。 ④ 温度が上がるとチューリップの花弁が開く反応は,温度傾性である。 問 7 オーキシンは植物ホルモンの一種である。植物ホルモンの作用の説明として,最も適当 なものを,次の中から1つ選び,番号をマークしなさい。 キ ① オーキシンは側芽の成長を促進し,サイトカイニンは側芽の成長を抑制する。 ② ジベレリンは葉の老化を促進し,サイトカイニンは葉の老化を抑制する。 ③ ジベレリンは茎の伸長を促進し,エチレンは茎の伸長を抑制する。 ④ アブシシン酸は気孔を開き,オーキシンは気孔を閉じる。 ⑤ アブシシン酸は離層の形成を促進し,エチレンは離層の形成を抑制する。 問 8 実験 2 の結果に関して推測できることを述べた文として,最も適当なものを,次の中か ら1つ選び,番号をマークしなさい。ただし,時間 T まで先端部分をおいた寒天片に含ま れるオーキシン濃度を濃度 K とする。 ク ① 時間 T が経過すると,先端部分から寒天片へオーキシンが放出されなくなった可能性 がある。 ② 先端部分におけるオーキシン合成速度が,時間 T までは増加し続けた可能性がある。 ③ オーキシンは,濃度 K までは,どの濃度でもほぼ同じ程度に細胞の成長を促進する。 ④ オーキシンは,濃度 K までは,体細胞分裂を促進する。 ⑤ オーキシンは,濃度 K を超えると,細胞の成長を全く促進しなくなる。 − 91 −
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