News Letter 発行:政策情報学会 編集:Newsletter 編集委員会 No.31 政策情報学会 会報 第 31 号 Oct. 14, 2015 2015 年 10 月 14 日 目 次: 編集委員からのお知らせ 1 会長の挨拶 中道 壽一 2 第 10 回政策情報学研究フォーラム開催報告 フォーラムのあらまし 基調講演と質疑 中道 壽一 松田 憲忠 3 3 市川 顕 4~5 第 11 回研究大会開催のお知らせ 会員の所属変更・新規入会者のご紹介 5 編集後記 5 編集委員会からのおしらせ: 紅葉のみぎり、会員の皆様におかれましては、変わらず多方面にご活躍のことと拝察申し上げます。 31 号では、中道壽一会長の挨拶、2015 年 7 月 11 日(土)に開催した第 10 回政策情報学フォーラム(会場: 立命館大学東京キャンパス)のあらましと基調講演の概要のほか、来たる第 11 回研究大会(2015 年 11 月 21 日・ 関西学院大学西宮上ケ原キャンパスにて開催予定)のお知らせ等を掲載しております。なお、28 号以降のニ ューズレターと同じく、本号もメーリングリストおよび Web による配信とさせて頂きました。 Newsletter 編集委員会 API News Letter No.31 2015/10/14 会長の挨拶 中道 壽一 会長 (北九州市立大学名誉教授) 2014年11月29日、関西大学高槻ミューズキャンパス において、政策情報学会第10回研究大会および第11回総会 が開催されました。政策情報学会は、2004年11月20日、 千葉商科大学にて発足し、翌2005年11月26日、同じ千 葉商科大学にて第1回研究大会が開催されましたので、今回の 研究大会が、10周年の記念すべき大会となりました。ちなみ に、第1回大会のテーマが「政策学を創る:明日への展望」で あり、第10回テーマが「政策評価と規範的思考」でした。こ の間、政策情報学会は、 「政策情報学とは何か」を問い続けなが ら、ようやく、 「政策と価値」の問題を中心テーマに掲げる段階 に入りましたので、今まさに、政策情報学の新たな展開を行お うとしている、一つの節目に当たると言えるのではないでしょ うか。 今回の総会においては、また、初めて投票による理事選挙が 行われ、新しい理事会が発足しました。新進気鋭の研究者たち が新たな理事として加わり、10周年以後を切り開くための力 強い陣容が整いましたこと、うれしく思います。これを機に、 これまで準備してきました政策情報学会設立10周年記念出版 企画が、 『政策研究の新地平―政策情報学が開く新しい社会』と して動き出しましたし、 『政策情報学会誌』でも、10周年記念 特集を組むこととなりました。前者は、これまでの研究大会で の議論や、とりわけ、毎年夏に行われていますフォーラムでの 「政策情報学とは何か」 に関する議論の蓄積を手がかりにして、 それぞれの研究領域と政策情報学とのかかわりについてまとめ るものであり、後者は、政策情報学会の10年の歩みをそれぞ れの立場から振り返りつつ、政策情報学会の今後のあり方につ いて考えてみようというものです。 政策情報学会初代会長・現顧問の井関利明先生は、学会設立記念講演「 『政策情報学』への路」のなかで、 政策情報学会の役割を「開かれた対話と創造の場」としながら、新学会を次のように例えたことがあります。 「この新学会は、カラフルで魅力的なアリーナやシアターであって、さまざまな立場の異なるプレーヤーやア クターたちが数多く集まってきて、ダイナミックなプレーが展開され、やがてそこに新しいコンテンツが沈殿 していく」のであり、 「そこでのゲームやプレーは、問題ごとに展開されるのであって、異なった立場の間で の対話と相互作用からこそ、新しい『知と方法』が生まれる」と。そして、政策情報学会前会長・現顧問の仲 上健一先生は、 『政策情報学会誌』第1巻第1号の巻頭言「政策情報学を市民社会の知的インフラに」のなか で、 「開かれた対話と知の創造」を「知の興奮」と表現しながら、 「知の創造」への敬意、 「敬学」の態度が失 われつつある今日、 「知の興奮の場」としての政策情報学会の意義の大きさについて指摘しています。 今回の政策情報学会設立10周年記念事業が、こうした学会設立の意義と当初の熱気を継承しつつ、政策情報 学会のさらなる展開に資することを祈念しています。また、政策情報学会が「知の興奮の場」である続けるた めのさらなる仕組みを準備していますので、会員の皆様方の積極的な参加と協力を切に願っています。 pg. 2 API News Letter No.31 2015/10/14 第 10 回政策情報学フォーラム「政策過程における政策情報」開催報告 ◆フォーラムのあらまし 政策情報学会の主たる研究活動として、夏の研究フォーラムと秋の研究大会があります。2015 年 3 月 14 日、 関西学院大学において、第 40 回理事会を開催し、今年度のテーマについて議論し、以下のように決定しました。 昨年度は、研究大会のテーマが「政策評価と規範的思考」 、フォーラムのテーマが「政策教育と価値の創出」であ り、いずれも「政策と価値」にかかわる抽象度の高いものであったため、今年度は、もう少し具体的な、政策過 程の実際に関わるテーマにしたいということから、 今年度の研究大会のテーマを 「地域資源の利活用と政策情報」 、 フォーラムのテーマを「政策過程における政策情報」としました。そして、フォーラムの基調講演の講師として、 政策過程や自治体の政策形成について研究され政策の実務にも詳しい真山達志先生(同志社大学副学長、政策学 部・大学院総合政策科学研究科研究科教授)をお招きし、 「自治体の政策形成と政策情報源」について講演してい ただきました。自治体の政策形成という身近な問題であっただけに、フロアとの活発な質疑応答がなされ、きわ めて生産的なフォーラムとなりました。 (会長:中道 壽一) ◆真山達志氏(同志社大学政策学部・大学院総合政策研究科教授、同志社大学副学長)による基調講演と質疑 第 10 回政策情報学フォーラムは、2015 年 7 月 11 日(土) に、立命館大学東京キャンパスで開催されました。テーマは 「政策過程における政策情報」でした。具体的には、地方分 権が叫ばれ、多様なアクターが政策過程に関わるようになっ ている今日において、如何なる政策情報がインプットされ、 活用される(べき)かという問いに取り組むことに、今回の フォーラムの趣旨がありました。基調講演は、同志社大学政 策学部・大学院総合政策科学研究科教授で、現在同志社大学 の副学長を務めていらっしゃいます真山達志先生に行って いただきました。真山先生は、これまで政策実施をはじめと する政策過程や自治体における政策等についてのご研究を 進められている一方で、自治体と直接的に関わる活動にも従 事されていらっしゃいます。ご講演「自治体の政策形成と政 策情報源」は、地方分権時代の自治体に期待されている政策 展開を実現するための諸条件について、政策情報源の観点か ら考究するものでした。自治体の政策形成能力の向上が今日 において必須かつ喫緊の課題であることを指摘されたうえ で、政策が実施される現場をもつ自治体が政策実施のなかか ら収集する情報が、自治体における政策形成に極めて有用で あることを示してくださりました。さらに、こうした政策形 成と政策実施との密接な関連性を踏まえて、事業の民間委託 に代表される政策過程の現実の動きや、NPM (New Public Management)といった理論的な論点についても論及されまし た。ご講演の後は、フロアの多くの方々から多様な意見や質 問が提起され、真山先生とフロアの方々との活発なディスカ ッションが展開されました。今回のフォーラムの基調講演と ディスカッションは、政策過程における政策情報のあり方に ついて理論と実証の両面から捉えるための重要な視点を析 出し、今後の政策情報学会の活動の展開に大きく寄与するも のとなりました。 (フォーラム実行委員会委員長:松田 憲忠) ご講演中の真山達志先生 pg. 3 API News Letter No.31 2015/10/14 第 11 回研究大会開催のお知らせ ◆テーマ「地域資源の利活用と政策情報」 政策情報学会第11回研究大会は、2015年11月21日(土)に関西学院大学西宮上ケ原キャンパスで行われること となりました。共通テーマは「地域資源の利活用と政策情報」です。地域資源を活かした内発的・自律的な地域 活性化が求められ、地方自治体をはじめとして、住民、市民セクター、企業などの多様なアクターが地域活性化 に取り組んでいます。本大会では、基調講演(山本啓東北大学名誉教授「地方再生に果たすネットワーク型コミ ュニティの情報フロー」 )およびパネルディスカッションにおいて、この問題に対する理解を深め、政策情報学の 貢献可能性を探っていきたいと考えております。午前中の研究発表にも、多くの方のエントリーがなされること を期待しております。また、本大会から、研究大会賞が設定されました。 (第11回大会実行委員長:市川 顕) ◆開催日時・場所 日時:2015 年 11 月 21 日(土) (受付:9 時 00 分から、開会式:G 館 202 教室にて 9 時 30 分から) 場所:関西学院大学西宮上ケ原キャンパス ◆研究発表[研究大会賞選考報告](9 時 40 分~11 時 40 分)G 号館 205 教室 座 長: 市川 顕(関西学院大学産業研究所) 報告① :鈴木 羽留香(立命館大学 OIC 総合研究機構) 「トータルでの洞察過程可視化に対する地域支援に関する一考察:創造的インパスへと繋がり得る外部刺激を齎す 地域循環のための可視」 報告②: 加藤 久明(総合地球環境学研究所)、丸山 誠史(日本経済大学大学院リスクマネジメント研究所)、 矢尾田 清幸(日本経済大学大学院リスクマネジメント研究所)、 仲間 妙子(日本経済大学大学院) 「地域当事者による水環境診断:フィリピン・リザール州・アンゴノ市における地域社会との協働から」 報告③:笠井 賢紀(龍谷大学) 「地域内分権組織研究への生活史法によるアプローチ:甲賀市希望ヶ丘学区自治振興会を事例として」 報告④:栁井 妙子(岐阜を想う会) 「地域活性化のための拠点に関する研究:市民団体『岐阜を想う会』の事例」 報告⑤:髙木 昭美(芝浦工業大学) 「現代英国の地方自治最新事情:大ロンドン市(GLA: Greater London Authority)とウエストミンスター特別区 (City of Westminster)の現地調査から」 ◆定期総会(13 時~13 時 30 分)G 号館 207 教室 ◆基調講演(13 時 40 分~15 時 20 分)G 号館 202 教室 テーマの主旨説明と司会:中道 壽一(政策情報学会会長・北九州市立大学名誉教授) 基調講演①:市川 顕(関西学院大学産業研究所) テーマ:「地域資源の利活用と政策情報学」 基調講演②:山本 啓(東北大学名誉教授) テーマ:「地方再生に果たすネットワーク型コミュニティの情報フロー」 ◆パネルディスカッション(15 時 30 分~16 時 50 分)G 号館 202 教室 テーマ:「地域資源の利活用と政策情報」 コーディネータ: 市川 顕(関西学院大学産業研究所) パネリスト:話題提供 ①杤尾 圭亮(船井総合研究所) 「一関市における伝統もち食文化を通じた地域ブランド化の試み」 ②松原 真倫((株)FoundingBase キーマン(津和野町町長付) ) 「消滅可能性都市における地域資源と政策 情報の活用策 ―島根県津和野町を事例に―」 ③藤原 直樹(大阪市立大学) 「欧州におけるスマートスペシャリゼーションとクラスター連携」 ④朽木 量(千葉商科大学) 「政策情報学から見た地域文化資産の利活用」 pg. 4 API News Letter No.31 2015/10/14 ◆研究大会賞授与式・閉会式(16 時 50 分~17 時 00 分)G 号館 202 教室 ◆懇親会(17 時 10 分~18 時 30 分)関西学院会館 1 階「翼の間」 *研究大会の詳細については、ぜひ政策情報学会ホームページをご覧ください. 会員の所属変更・新規入会者のご紹介 ◆所属等が変わられた会員の皆様 お名前(敬称略) 瀧上信光 若井郁次郎 櫻井美穂子 宮﨑緑 佐藤綾子 柳井妙子 現在のご所属 千葉商科大学 副学長 大阪産業大学人間環境学部 非常勤講師 慶應義塾大学SFC研究所 所員 千葉商科大学国際教養学部 学部長・教授 富山国際大学現代社会学部 准教授 岐阜を想う会 代表 ◆新しく入会された会員の皆様 お名前(敬称略) 関水信和 笠井賢紀 渕元哲 吉羽一之 ゴイホーチン 赤松直樹 ご所属 株式会社ゲノム創薬研究所 顧問 龍谷大学社会学部 専任講師 千葉商科大学政策情報学部 助教 千葉商科大学政策情報学部 助教 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 千葉商科大学政策情報学部 助教 専門分野 ベンチャー企業論 社会科学 社会科学 複合領域 経営学 社会科学、商学 *入会された順に掲載させて頂いております. 編 集 後 記 本号の記事執筆者各位ほかのご協力により、皆様のお手元に Newsletter31 号をお届けすることができました。フ ォーラムの写真は、濱野和人会員(理事・事務局長)よりご提供賜りましたものです。お力添え下さいました皆様 に、この場を借りて厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。 次号以降も、学会の活動報告や開催告知のほか、 「会員の近著紹介」といったより身近な情報も併せてお伝えし ていければと思っております。お気付きの点等ございましたら、どうぞご遠慮なく編集委員長までご連絡頂ければ 幸いに存じます。編集後記まで目を通して頂きありがとうございました。 (横山麻季子) 政策情報学会 Newsletter 第 31 号 2015 年 10 月 14 日 発行 発行:政策情報学会 編集:政策情報学会 Newsletter 編集委員会 編集担当者:Newsletter 編集委員会委員長 横山 麻季子 pg. 5
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