国際関係論(1 年生)/国際関係論 I (2 年生以上) 第 11 回 11 月 06 日 「多国籍企業(1):経済的存在」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chuis/ I. 企業の国際分業 多国籍企業の定義と概要 国連多国籍企業委員会による定義: 資産を二国あるいはそれ以上の国々において支配する全て の企業 一国で生産・販売するのみならず、海外に直接投資することによって、生産や事業を複数国にま たがり、展開していく企業 経済のグローバル化の主要な推進要因の一つ 多国籍企業の海外進出状況: ①海外投資残高(ストック) 1960 年代後半:667 億米ドル、1990 年:2 兆米ドル、2000 年:9 兆米ドル、2012 年:24 兆米 ドル。2000→2012 年: 内訳: 年平均 1 兆ドルペースで積み上げ 先進国 79%:途上国 19%。先進国:欧州(47%)、北米(25%)、日本(5%)。途上国: 東アジア(10%)、東南アジア(3%)、など 多国籍企業の海外進出状況: ②海外での生産 生産額: 海外資産(投資残高)の半分程度=12 兆米ドル程度 国境を越える資金の流れ: 多国籍企業の海外進出状況: 1980 年代初め(冷戦期) : 2010 年代: ←世界の GDP70 兆米ドルの 1/5 毎日数兆ドル規模→多国籍企業が動かす資金が世界経済に影響 ③多国籍業の数 1 万社ほど。95%が先進国の企業 8 万社以上。途上国出自の多国籍企業も急速に増加 海外進出理由①: 資源の開発輸入 企業の海外進出: 植民地時代~第二次世界大戦~戦後。鉱物資源、エネルギー資源、天然資源 などを確保 石油多国籍企業: 南米や中東湾岸諸国で油田やガス田の開発~販売。 (石油)メジャー、セブン・ シスターズ 日本の石油開発: アラビア石油。ペルシャ湾で油田開発権を 1957 年に確保、60 年掘り当て。 最盛期は日産 30 万バレル、日本の消費量の 5-8% 海外進出理由②: →2000~2008 年にかけて各種権益が失効 市場開拓 プロダクト・ライフサイクル: 商品は導入期、成長期、成熟期、衰退期のサイクルをへて売れ なくなる→衰退期を迎えた商品の売上維持のため新たに他国(の市場)で新たなサイクルを展開 他国での展開: 歴史: その国で模倣品が蔓延する前に実施する必要 1960 年代半ば EEC の統合 に対欧州投資開始 海外進出理由③: →欧州に広大な市場が誕生、アメリカの製造業者、同時期 →市場確保が狙い 生産コストの引き下げ 生産拠点の海外設置: 賃金の安い労働者 →生産コスト引き下げ 1 →価格面での競争力強化 国際関係論(1 年生)/国際関係論 I (2 年生以上) 第 11 回 11 月 06 日 「多国籍企業(1):経済的存在」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chuis/ オフショア(沖合)生産:海外で生産し、自国に輸入して消費 ⇔ 空洞化:国内投資引き下げ、 失業率高め、国内生産に悪影響 歴史: 1970 年代、日欧、米にキャッチアップ 欧州: 西欧州企業による中東欧への進出 日本・アジア: →アジア諸国に生産拠点移す 日本企業によるアジアへの進出 海外進出理由④: NIEO 型生産 新国際経済秩序(New International Economic Order, NIEO) : 1973 年、第一次石油危機→南 の発展途上国が国連特別総会を開催。 NIEO 樹立に関する宣言: 資源の保有・生産国が自国資源に対し主権を有することを確認 NIEO 型生産: ①途上国:資源主権を確立して工業化→従来の国際分業体制の是正。②先進国: 南の国内で地元資源の加工・工業を進められるよう、投資実施。③販売:生産国の周辺、先進国 (投資国)内 海外進出理由⑤: グローバル価値増殖チェーン グローバル価値増殖チェーン(Global Value Chain, GVC): 地球規模での分業展開。投資と貿 易の連携。国境を越えた生産→付加価値を拡大。水平型 GVC と垂直型 GVC 国際分業の意義: 受入国側: ①企業の投資目的・対象に合わせた国内政策(税制、経済・貿 易政策)の実施、②総合的な開発や R&D が困難 企業: →企業に従属 国内→世界規模での製造・販売戦略。世界戦略が前提 水平型 GVC: 各国の生産技術水準・原材料の有無に合わせて各部品を製造。部品関税率がもっ とも低い国に部品を輸出 →完成品を生産 垂直型 GVC: A 国で原材料開発 に加工 II. →B 国で中間財に付加価値を付けて加工 →C 国で最終製品 →世界各国で販売 対外投資と対内投資 1990~2010 年代の投資国の変化 対外投資額の増加: 1990 年代前半=2,806 億米ドル→2010 年代=1 兆 2,910 億米ドル。20 年 ほどで 5 倍弱の増加 途上国からの投資額・比率の拡大: ①途上国:中国、香港、東南アジア。全体の 20%。20 年ほ どで 12.2 倍。②移行経済国:ロシア。全体の 4%。20 年ほどで 110 倍。③南の国々:援助・投資 を受ける側から対外投資を主体的に行う国に移行 先進国による投資の多様化: ①2012 年:北米=28%、ヨーロッパ=23%、日本=8%。②1970-80 年代は大半は米大企業→1990 年代以降は 1/4 まで縮小。③北米・欧州企業:相互に M&A を繰り 返し多国籍企業化 →国・地域の区分けに意味をなさなくなる。投資主体の多角化 2 国際関係論(1 年生)/国際関係論 I (2 年生以上) 第 11 回 11 月 06 日 「多国籍企業(1):経済的存在」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chuis/ 2000 年代の海外投資の波 第 1 の低調期(2001-02 年) : IT バブル崩壊(低金利→ベンチャー投資→金利上昇→株価崩壊) 。 同時多発テロ事件(9.11)、アフガニスタン戦争、イラク戦争。エンロン事件(粉飾会計による企 業への不信感) 第 2 の低調期(2007-09 年) : 住宅不良債権危機(米のサブプライムローン問題)。金融危機(ギ リシャ危機、ドバイショック) 海外投資への影響: 年間投資額が 6,000~7,000 億ドルに低下 →2011 年に 1 兆米ドルに回復 投資先の変遷 1990-2000 年: ①投資額:2,074 億米ドル→1 兆 3,509 億米ドル、10 年で 6.5 倍に拡大。②受 入国:8 割が先進国 2012 年: ←投資元の 9 割が先進国 →先進国同士が相互に投資を行う状態 ①先進国:比率が 80.8%→41.5%。投資額が半減。②途上国:比率が 2 割→過半数。 投資額が 2.66 倍。③投資元:先進国の比率は 91%→65.4% →北から南、南から南など、投資の 流れが多様化 多国籍企業による海外進出方法 方法: ①子会社を独自に設立、②現地資本と合弁で設立、③部分連携方式、④買収・合併(Merger and Acquisition, M&A) 時期による方法の変遷: ①1970 年代までの一般的な方法:子会社、合弁会社。②1980 年代以 降活発化した方法:部分連携方式、M&A 部分連携方式 概要: 巨大会社同士、特定分野で研究開発や新製品開発などの連携協定結ぶ (例) NUMMI(ヌーミー)社(New United Motor Manufacturing Inc.): トヨタとゼネラ ル・モーターズの合弁会社。1984 年創業。米工場で生産 トヨタ:①日米貿易摩擦を回避するため米国内に拠点必要、②GM が持つ米での製造・販売ノウ ハウを習得 ⇔ ゼネラル・モーターズ:トヨタ方式の生産・経営を習得 2009 年 6 月、GM が倒産 →合併解消 →2010 年 4 月、工場閉鎖 買収・合併(Merger and Acquisition: M&A) 目的: 他社が保有する既存の生産設備の入手 ←ゼロから商品開発・製造を行うよりも安価・ 短期間で生産が可能。クロス・ボーダーM&A=国境を越えた(またがる)買収・合併 総額: 1990 年:1,500 億米ドル→2000 年:1 兆 1,140 億米ドル→2012 年:6,995 米億ドル 10 億ドル以上の案件: 1995 年:19 件/年 →2000 年:388 件/年 アジア諸国の企業が EU 企業に対してクロス・ボーダーM&A を実施 (例)自動車産業の再編: 日欧米中企業の動向→企業、市場、競合・提携の多国籍化 3 国際関係論(1 年生)/国際関係論 I (2 年生以上) 第 11 回 11 月 06 日 「多国籍企業(1):経済的存在」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chuis/ III. 民間投資と ODA 民間投資 対象: 企業・NGO・個人 ⇔ 企業・NGO・個人 直接投資: 経営参加を目的とする証券投資 間接投資: 値上がりや配当を目的とする証券投資・預金 輸出信用: 輸出に際して、相手側に対してローンを供与 NGO からの贈与 ODA 政府開発援助(Official Development Assistance:ODA) 対象: 政府・国際機構 二国間援助: ⇔ 政府・国際機構 贈与(無償資金協力、技術協力)、政府貸与(有償資金協力) 国際機関に対する出資・拠出 両者の比率の変遷 北から南への全資金フローに占める ODA の比率: ODA: 1,290 億米ドル(増加) ⇔ 1994-95 年=35% 民間資金: → 2010 年=26% 3,600 億米ドル(不安定) 民間投資の重要性 北から南への資金フロー:民間投資は ODA の 3 倍 途上国の政府と住民:他国や国際機関よりも企業に期待 民間投資の長短 不安定な投資: 利潤が上がる間は積極投資 グローバル経済 →他国籍企業 途上国: ⇔ 利益無ければ撤退 →途上国の人びとの生活を左右する 多国籍企業誘致のため人権・環境等の基準を引き下げ bottom)。途上国で社会問題が発生 4 →底辺への競争(Race to the 国際関係論(1 年生)/国際関係論 I (2 年生以上) 第 12 回 11 月 06 日 「多国籍企業(2): 社会的存在」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chuis/ I. 多国籍企業 国際関係における多国籍企業の位置づけ 複数の国でビジネス展開(生産拠点と販売拠点)を行う 売上額が中規模程度の国の GDP を超える ①範囲と②規模の 2 点において、1 つの国を超えている存在=多国籍企業 国際関係の中の多国籍企業 多国籍企業に端を発する問題が国際社会を巻き込む 多国籍企業の取り締まりは一カ国だけでは困難 多国籍企業の活動と国際社会の問題の関係 問題の源泉として: 資源・環境問題、人権問題、社会的弱者と搾取に関する問題 問題の解決者として: 多国籍企業: 天然資源、労働力、商品/サービスを世界規模で適切に分配 政府、国際機構、NGO とともに国際関係のアクター 定義 多国籍企業(multinational company):OECD「2 以上の国において設立される会社又はその他 の構成体から成り様々な方法で活動を調整できるように結びついている(会社や構成体の総称)」 国際企業(international company): 国内の本部と海外の遠隔地 トランスナショナル企業(transnational company): グローバル企業(global company): 資源と経営を各国分散 標準化・効率化した商品/サービス 証券投資 活動内容: 目的: 銀行預金、公社債、株式などの売買・保持 売買益(キャピタルゲイン)や利子・配当(インカムゲイン) 直接投資 活動内容: 目的: 企業が海外に子会社等の拠点を設置、生産・販売活動を実施 生産・販売活動を通じての利潤獲得 上位 100 社への集中(2012 年末) 保有資産: 12.8 兆米ドル 海外保有資産: 雇用: ←全多国籍企業の保有資産の 1/3 に相当 7.7 兆米ドル ←本国の資産の半分に相当 95 万人 販売額: 5.6 兆米ドル ←全多国籍企業の半分に相当 生産額: 8.7 兆米ドル ←全世界の GDP の 12%(1/8)に相当 業務のあり方 企業の存在理由: 益の最大化を求めて、国境を越えて企業活動を行う 企業内国際分業: 立地:資源へのアクセス、豊富で安価な労働力、物流、市場性、など →世 界中に子会社のネットワークを形成 天然資源→中間財→完成品: 企業内移動と貿易: 振替価格操作: 親会社の統括下でグローバルに展開 多国籍企業の活発化→部品等の中間財貿易の比重が高まる 親会社と子会社、子会社同士での取引・売買価格を意図的に操作。効果:①損 失→法人税等の課税免れ。②税率の低い国に収益を集中。 多国籍企業は社会的役割を回避 多国籍銀行の登場と発展 1 →国家は本来の税収を得られない⇔ 国際関係論(1 年生)/国際関係論 I (2 年生以上) 第 12 回 11 月 06 日 「多国籍企業(2): 社会的存在」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chuis/ 多国籍企業の活動: 国際金融取引: 多国籍銀行: II. 国境を越えての取引 →国境を越えての金融取引もまた必要 外国為替、海外送金、信用供与、貿易金融、など 多国籍企業にとって多国籍で銀行業務を展開する銀行の必要性 企業と人権 企業、政府、人権 (例①)中国におけるグーグルの業務 グーグル: 「言論の自由に基づくインターネットの発展」を標榜 中国政府: 特定のキーワードの検索ができないよう要求 国際 NGO: →中国に進出 「国民の言論の自由を侵害する中国政府に加担、人権を間接的に侵害」と批判 一企業の行動・対応が米中間の国際問題化 企業、政府、人権 (例②)日本の労働環境 2008 年、国連自由権規約委員会: 女性差別: 日本での人権状況を調査 管理職登用、給与水準、非正規雇用などで男女格差 企業による外国人研修生・技能実習生からの搾取 企業と人権の国際問題化 世界人権宣言(1948 年): 人権の尊重 ←すべての個人と組織が人権を尊重 国際問題化 企業と人権: 近年国際問題化。国際社会として取り組むべき課題として認識 (1)政府と多国籍企業 一国内で完結するビジネス/企業の場合 問題発生: 政府による法規制やその強化を実施 →状況改善 複数国に跨るビジネス/企業の場合 一国の政府では、国内企業による海外活動・取引の規制・監視は不可能 理由①: 他国には権限が及ばない=内政干渉 理由②: 国家ごとに異なる政策 理由③: 底辺への競争: 選択して進出 途上国の経済発展には多国籍企業が必要⇔コストの低い国・地域を →国内誘致のため、各国は各種規制・コストを緩めざるを得ない。 (例)労働者の 賃金・労働時間・人権、環境基準、税金、など →各国が取り締まり基準低下 →人権問題悪化 (2)NGO と多国籍企業 企業に対する政府と NGO の立場 政府: どこの国も、多国籍企業の包括的な取り締まりが困難 NGO: 各国政府に代わり、多国籍企業の活動を監視・批判 NGO・企業・政府の緊張関係: 活動①: (例)1970 年代の反アパルトヘイト運動 先進国の NGO、南アフリカに投資する企業の製品のボイコットを呼びかけ 活動②: サリバン原則: L.サリバン(米の牧師、公民権活動家)GM の役員。 「南アの黒人労 働者に対し、米国内の労働者と同等の権利を与えよ」 ⇔ 南ア政府は認めず 1980 年代、サリバン原則採用した 100 以上の多国籍企業が南アから撤退 NGO による企業への圧力 →企業による政府への圧力に発展 2 国際関係論(1 年生)/国際関係論 I (2 年生以上) 第 12 回 11 月 06 日 「多国籍企業(2): 社会的存在」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chuis/ (3)国連と多国籍企業 アナン事務総長の取り組み 1999 年 1 月、ダボス会議(世界経済フォーラム): 国連と企業の関係に言及 「グローバル市場に人間の顔を与えるような、価値と原則を共有するグローバルな盟約(コンパ クト)を開始する」 国連が企業活動を規制 ⇔ 国際問題で企業と国連が協業 グローバル・コンパクト 人権(1-2)、労働(3-6)、環境(7-10)の原則の実践を誓う企業が自発的に参加する取り組み 2000 年 7 月に開始 →7,903 社・4,094 団体が賛同(2013 年 11 月) 原則1:企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべき 原則2:企業は、自らが人権侵害に加担しないよう確保すべき 原則3:企業は、組合結成の自由と団体交渉の権利の実効的な承認を支持すべき 原則 4:企業は、あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持すべき 原則 5:企業は、児童労働の実効的な廃止を支持すべき 原則 6:企業は、雇用と職業における差別の撤廃を支持すべき 原則 7:企業は、環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持すべき 原則 8:企業は、環境に関するより大きな責任を率先して引き受けるべき 原則 9:企業は、環境に優しい技術の開発と普及を奨励すべき 原則 10:企業は、強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止に取り組むべき 人権・労働・環境など普遍的原則の浸透 III. →市場・企業の暴走を止める CSR 企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility, CSR) 定義(経済産業省) : 「法令遵守、消費者保護、環境保護、労働、人権尊重、地域貢献など純粋 に財務的な活動以外の分野において、企業が持続的な発展を目的として行う自主的取組み」 社会的基準: 宗教観や、当該地域・国の社会的・歴史的・文化的価値観を含有 →社会が企業 の CSR に求めるものは異なる 具体的内容: 各地域の歴史・文化・経済的背景により異なる CSR とステークホルダー ステークホルダー(stakeholder): (企業にとっての)利害関係者。ビジネス、企業活動を行 う上で何らかの関係を築く相手。株主・投資家、債権者、NPO、マスコミ、地域住民、監督官庁、 従業員、消費者・顧客 企業: ステークホルダーに対し、信頼に基づいて良好な関係の構築が必須 ⇔ 信頼関係を破 壊したり、ステークホルダーに損害を与えるべきではない CSR: ステークホルダーとの良好な関係を構築するための活動 CSR と地域性 CSR を通じて果たすべき社会正義: 宗教観、当該地域・国の社会的・歴史的・文化的価値観 社会が企業の CSR に求めるものは異なる 3 国際関係論(1 年生)/国際関係論 I (2 年生以上) 第 12 回 11 月 06 日 「多国籍企業(2): 社会的存在」 http://islamandeconomy.web.fc2.com/2015chuis/ (1)日本 旧来の考え方: 企業が行うべきことは、①人々の生活の向上に資する商品/サービスの提供、② 安定的な雇用の確保、③法人税等の納税 →より積極的に社会にコミットすべき 現代の考え方 地域住民を対象とする社会貢献活動が主軸 ①各種寄付(金銭・現物の提供、施設開放、従業員派遣) 、②社会貢献プログラム(NPO との協 働や、自主企画で実施する各種行事)、③災害被災地支援関連 メセナ(mécénat) 企業による文化・芸術・スポーツ・学術活動(団体)への支援 バブル期(1980 年代末~1990 年代初頭): 現在: 美術品購入などの派手な活動 企業名を前面に出さない、地味ながら着実な活動が中心 企業の業績、国内外の景気: 継続的なメセナに影響 環境保全活動 ~1960 年代: 企業活動が公害問題を引き起こす。水俣病、イタイイタイ病など 現代: ①環境に優しいビジネス(1)生産工程で環境破壊を行わない、 (2)環境保護に貢献する 商品。②環境保護活動の自主開催/NPO との協業 (2)アメリカ 背景: 宗教的価値観、企業不祥事の発生、地域への貢献 現状 社会運動に対する企業側からの対応行動として民間レベルの歴史的貢献 グループ会社全てに自社の行動規範の遵守を求める サプライチェーンの源流にまで遡って自社の行動規範の遵守を求める (3)欧州 背景: 欧州統合、ステークホルダーからの圧力 現状 コンプライアンスや企業倫理: 企業にとって当然 ⇔ CSR として認識されず CSR: 社会問題の解決に企業が参画したものを指す 企業: 自社の取り組みを、社会問題の解決と関連付けての説明必要 (4)イスラーム諸国 背景 イスラームが社会規範として機能 ←個人も企業も、イスラームに基づくことが期待 シャリーア・コンプライアンス: イスラーム法に準拠した企業活動 CSR: イスラームに基づいた社会貢献活動 現状 断食明けの食事会に孤児を招待、パレスチナ難民、シリア難民への支援 スラームの思想、社会正義を体現する活動が中心 4
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