岩倉市日本語・ポルトガル語適応指導教室 研修資料 「特別の教育課程」による日本語指導 ~日本語指導が必要な児童生徒に対する指導の在り方について~ 岩倉市日本語適応指導教室の対応・現状 文科省「特別の教育課程」 岩倉市日本語適応指導教室の対応 日本語指導が 帰国・外国人児童生徒のほか,重国籍や保護者の一人が外国籍である児童生徒等 必要な児童生 外国人児童生徒については,保護者に就学義務はないが,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(国際人 徒 権A規約)や児童の権利に関する条約等も踏まえ,公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合には,無償で受入れを 行う。 市町村教育委員会が帰国・外国人児童生徒教育の拠点 小学校センター校(岩倉東小学校) となるセンター校を設定 中学校センター校(南部中学校) 当該学校において日本語指導の体制が充実していない 巡回指導(15年前の開設時より)で対応 場合等においては,児童生徒及びその保護者の意思も尊 今年度は,全小中学校に在籍者が配置されているが, 重し,安全面及び費用負担面の問題に配慮しつつ,他校 小中連携の理念の基,巡回指導を実施 へ通って日本語指導を受けることができるようにすべき 学 校 教 育 に お 【教育課程への位置付け】 ける日本語指 児童生徒の学ぶ権利を保障し,児童生徒が在籍する学 「心の居場所」だけでなく「教室で活躍できる力」の 導の在り方 級において各教科等の学習活動に参加することのできる 育成 環境整備を図る(日本語で各教科等の学習に参加できる) 学校教育の一環として行う日本語指導 学校教育の一環として行う日本語指導として実施 質の担保を図る 指導者のスキルアップ 各教科等の授業時数に替えて日本語指導を行う時間を 原則,国語で取り出す。算数や社会等,個々の能力に 設ける 応じて取り出す教科を柔軟に変更 「特別の教育課程」による日本語指導の要件 指導の内容 児童生徒が学校教育において各教科その他の教育活動 日本語指導のみならず,上級学校進学を見据えた教科 に,日本語で参加できることを目的とする指導。 指導を実施 ※ 学校生活を送るために必要な日本語を身に付ける ための指導も含まれる。 ①「サバイバル日本語」 ステップ 0 学校生活適応指導 ②「日本語基礎」 ステップ 1 日本語初期指導 ③「技能別日本語」 ステップ2~4 日本語指導および教科補充指導 ④「日本語と各教科の統合的学習」 日本語能力試験指導 「教科の補習」 ※ 岩倉市日本語指導方式(ユニット・モジュール形式)で実施 指導の対象と 小学校,中学校,中等教育学校の前期課程,特別支援 原則,全外国人児童生徒および外国にルーツをもつ児 する児童生徒 学校の小学部及び中学部に在籍する日本語指導が必要な 童生徒(後者は,保護者の了承を得る) 児童生徒。 ※ 指導の要否は校長が判断 校長の責任の下 指導者 ①日本語指導担当教員(主たる指導者) ①日本語担当者(日本語適応学級担当教員) 13名 :教員免許を有する教員(常勤・非常勤講師を含む) 県費加配教員-全員,教員免許を有する教員 日本語指導に関する専門的な知識・技能及び個々の児 海外生活経験者-7名,日本語教育専攻者-6名 童生徒の実態に応じた指導を行える指導力を有した者を 充てることが適当 ②日本語指導補助者 ②ブラジル人講師(母語話者)2名 :日本語指導や教科指導等の補助を行う支援者,子供 市採用 の母語がわかる支援者 ※ 日本語指導補助者は必置ではない。 授業時数 初期指導 年間10単位時間から280単位時間までを標準 ステップ(日本語能力)に応じた取り出し指導時間(原則) ⇒ ステップ1-週4~5時間 ⇒ ステップ2-週3~4時間 ⇒ ステップ2-週2~3時間 ⇒ ステップ4-週1~2時間 来日直後など一定期間に集中して授業時数を設定する 学校生活適応指導(集中初期指導) ことも可能。来日直後などは集中して授業を行うことは 原則,1ヶ月間,センター校である岩倉東小学校内の学 有効であり,また理解が進むにつれて,週当たりの授業 校生活適応指導教室にて指導を行う。 時数は徐々に減らすことが望ましい。 他校等に移動して指導を受ける児童生徒の負担となら 該当児童生徒が単独校の場合は,学校生活適応指導担 ないようにする 当者が巡回で対応する場合もあり 指 導 の 形 態 ・ ①児童生徒の在籍する学校における「取り出し指導」 場所 ②他校における指導 ①児童生徒の在籍する学校における「取り出し指導」 ②巡回指導(小中連携の考え方-兼務命令で実施) 学校生活適応指導 ③日本語指導担当教員が本務となる学校以外の学校等に ③兼務命令-平成13年度より実施 おいて「特別の教育課程」による日本語指導を行う場合, 教員の兼務発令や非常勤講師の任命を行うなどして,身 分取扱いを明確にする ④「入り込み指導」は,各教科等の授業の中で行うもの ④必要に応じて実施 であり,「特別の教育課程」による日本語指導の形態では ないが,有効な指導法として認められる。 指導計画 ①児童生徒一人一人の実態に応じて,きめ細かな日本語 ①到達度評価の結果により,学期ごとに指導計画を作成 指導を行うためには,個々の児童生徒の日本語の能力や 学校生活への適応状況も含めた生活・学習の状況,学習 への姿勢・態度等の的確な把握に基づき,指導の目標及 び指導内容を明確にし,指導計画を作成することが必要 ②自ら学ぶ意欲や思考力,判断力,表現力などを含めた ②日常の評価やテストにより,到達度評価を実施 児童生徒の学習状況を適切に評価する ③指導計画を作成し,学校設置者に届出を行う ③個別の指導計画を教育委員会に提出 ④進級・進学を経ても,一貫したきめ細かな日本語指導 ④小中連携 を行う ⑤定期的に行う学習評価を踏まえて,適宜計画の見直し ⑤日本語・教科テストより個人課題表を作成 を行い,改善を図る ⑥学校内で作成する指導計画 (個別の指導計画) 児童生徒に関 氏名,性別-生年月日,国籍,家庭内で使用する言語, する記録 入国年月日,学校受入年月日,生育歴,学習歴,家族構 成,家庭の状況,学校内外での支援の状況,進路希望, 指導に関する記録 ・ ・ ・ ・ 日本語の能力 ・ 指導目標・内容-形態 指導者の名前 ・ 指導場所 授業時数・指導期間 指導内容-方法に関する評価及び学習状況の評価等 ⑥学期ごとに到達度評価を出し,到達していない項目を 一覧表で明記 個人調査票の作成 (調査項目) 学年,学校名,氏名,国籍,母語,性別,正式名, 生年月日,ステップ,在留資格,住所,母語力, 来日時期,健康状態,出席状況,宿題・準備,家族, 親類,会社,父母の国籍,保険 有無・種類, 公的扶助,保護者日本語力,在籍までの経緯, 卒業後の希望,学校行事参加状況,学習塾・習い事, 帰宅時 家族在宅状況,連絡先・連絡可能時間帯, 連絡できる友だち,その他特記事項 追跡調査の作成(平成13年度より現在まで) 入学年度,氏名,国籍,来日時期,転入元・転出先, 編入元,去校先,進学先 評価 ①児童生徒が学校に入学又は編入学してきた時点で,日 ①受入時,プレテスト 本語の能力や学校生活への適応状況も含めた生活・学習 の状況,学習への姿勢・態度等の多面的な観点について, 総合的に把握することが重要 ②日本語で参加するための能力がどの程度向上しており, 具体的にどのような課題があるのか等について,一定の 期間ごと(月・学期・年度など)に把握し,適宜,「個別の 指導計画」(特に,「指導に関する記録」)自体の見直しを 行い,具体的な指導内容や指導方法の改善に生かしてい く(授業中の観察,発表やスピーチ,作文など) 学習指導要領に定める目標に準拠して評価を行う 個人内評価を重視 学習指導と学習評価とを一体的に進める ②日常の指導および到達度テスト等より,グラフ化した 評価を作成 5言語対応版 学期ごとにステップや指導時間の変更 テストについては,モジュール内で実施できるように 5問テストとする。 教室で活躍できるように,積極的に先行学習を取り入 れる。 指導者が指導目標を共有できるように,日本語教室指 導用の独自カリキュラムを作成 ③担任や各教科を担当する教員にも共有 ③日本語教室で作成した評価については,校長先生,教 頭先生,教務主任の確認を経て,担任や保護者へ配布 指 導 要 録 の 記 ①「指導に関する記録」の「総合所見及び指導上参考と ①到達した項目,課題項目を担任に伝えて,担任が記載 載 なる諸事項」の欄に,当該指導の内容及び所見,授業時 を行う 数,指導期間等を記入する 県の方向性を待って実施 ②上級学校へ進学する場合 中学校において,教科指導等と比較して「特別の教育 ②内容的に合致しないが,高校進学の推薦書に日本語能 課程」による日本語指導を比較的多く受けた経験を持つ 力試験の取得級を記載 生徒が,高等学校等への進学を希望している場合には, 当該指導の所見についても調査書に記載するなどの配慮 通知表 指導の過程や成果,一人一人の可能性などを適切に示 取り出し指導をしている児童生徒に対して,教育的配 すことにより,日本語指導に関する今後の指導方針を学 慮により学級での評価を行う。 校と保護者との間で共有するとともに,児童生徒のその 保護者に日本語や教科の修得状況を伝えるために5言 後の学習を支援することに役立てる 語対応の評価を作成 個人懇談会時に教室での懇談終了後に日本語教室で保 護者と日本語や教科の習得状況や将来のことを話し合う 機会を設ける。 期 待 さ れ る 効 ①児童生徒一人一人の実態に応じたきめ細かな指導 果 各教科その他の教育活動に日本語で参加できる ①到達度評価を基にした個の能力に応じた指導の実践 先行学習,独自カリキュラム,指導項目関連一覧 ②日本語指導に携わる関係者の意識の啓発及び指導力の ②スキルアップ,経験値を補うための研修会の設置 向上 ③学校教育の一環として行う日本語指導の全国的な質の ③誰でもが同じ指導ができるように指導法の研修,教材 担保 の共有化 ④主体的に学び,希望する進路を選択できる機会を保 障する ④学びを保障し,将来に向けて夢をもって生活できるよ うに支援していくこと 円 滑 な 実 施 に ①指導者研修の充実や支援員の活用も含めた指導体制の ①岩倉市日本語適応指導教室で年間研修計画を立て,誰 向けて 整備を図る でも参加できる体制づくり ②専門的な人材(コーディネーター) 相談に応じる仕組み ②教育委員会や各校校長との連絡・調整を室長が担当 岩倉市日本語適応指導教室担当者の専門性や経験を生 かして,問題解決に当たる。 ③担任や日本語指導担当教員を校内で支えたり, ③現職教育,研修会等で情報交換 母語が分かる日本語指導補助者等の協力を得ながら, ブラジル人講師の役割 保護者に対して説明し,理解を求めたりする ④入学する予定の子供の中に日本語指導を要する子供が ④入学説明会(新入児対象) どれぐらいいるかなどを事前に把握し,新年度の始業に プレスクールの実施 備える。 就学相談や就学前教育 今後の展望 関係機関が連携協力し,具体的な指導内容・指導方法 及び教材の充実,指導者の資質の向上を図る 学校生活に適応し,生き生きと様々な学習活動に参加 できるようにするためには,「特別の教育課程」による日 本語指導の実施だけではなく,子供たちが学校に就学す る以前から,進学・就職など希望する進路を歩むまで, 一貫して必要な支援を受けることができる環境整備 進学・就職を希望する生徒への進路指導の充実,高等 学校等における受入体制の整備 進路説明会(中2,中3対象) 情報提供会(小6,中1対象) 公開指導 研修会 幼保,高等学校との連携
© Copyright 2024 ExpyDoc