空間知能化独居高齢者自立支援システム 2015.10.31(土) 株式会社HIRO ICT研究所 代表取締役 NPO法人M2M研究会理事 樋口 雅宏 Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 1 今後の高齢者の見通しについて (出所)総務省「国勢調査」、社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」 (出生中位・死亡中位)、厚生労働省「人口動態統計」 自立度Ⅱa:日常生活に支障をきたすような症状・ 行動や意思疎通の困難さが家庭外で多少見ら れても、誰かが注意していれば自立できる状態 Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 2 高齢者状況要約 v 今後の見通し 15年後の2030年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり総人口の2割を占める 『超高齢社会』が到来。 この中には認知症高齢者が20%、一人暮らしのお年寄りが45%いると推定 一人暮らし高齢者 2010年 498万人 ⇒2035年 762万人 高齢者世帯の約4割 認知症の人は2025年に約700万人 『超高齢社会』 ⇒ 大きな社会変化が起きることが予想される。 一方で14歳以下の子供は、現状の2/3に減少。 今までは、子供や若者が『主役』で、彼等に取っての明るい未来を模索し、また、彼等 の存在に希望を描き出していた。 これからは、多くの中高年層が活躍して暮らす、そんな社会を『明るく豊かな未来』とし て描く必要がある ☞ この『高齢化による社会全体の急激な変化』こそが、『超高齢社会』の本質 Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 3 超高齢社会でのM2M/IoTの活用 v M2M/IoTの活用 この時代の老後の生活はM2M/IoTで変化すると想定される 自宅には2つの世界 ⑴ 一つは自分が毎日見たり経験したりする物理的、リアルな世界 ⑵ もう一つはサイバーの世界で、ほとんど目に触れることのない幾つかのセンサーと、 これらと接続されたサービスプロバイダー それが自分自身の日々の行動を見守り、管理し、動機付けて、健康で安心な生活を支 えてくれる。 家族の目になり、耳になるだけでなく、M2M/IoTを利用することでいろいろなサポートが できるようになって来るものと考えられる(スマート家電やウェアラブル機器、コミュニ ケーションロボットなど) また、M2M/IoTは、年金生活の支出欄に新しい項目を追加するだろうと云われている。 これらは、医療費でも通信費でもない、充実した年金生活のために生じる全く新たな コスト。 このような超高齢化社会の到来を見据え、『空間知能化独居高齢者自立支援見守り システム』の開発、センサネットワークとしてBluetoothをセンサネットワークとして利用 したYokoduinoセンサシステムについてご紹介します。 Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 4 空間知能化システム v 空間知能化システムとは 空間知能化とは、空間(住宅)をロボット化するという考え方です。ロボットとかロボティ クスの分野には、以下のような二つの考え方があります。 ① いかにしてロボットをヒューマノイドに近づけるか ② 空間の方をいかに賢くしていくのか ☞ 高齢者の自立支援や見守り用途に利用する場合は、コミュニケーションロボットなど より住宅をロボット化する方が簡便で有効と考えた。 v Fog Computing (提唱しているCISCOと同様の考え方) IoTの世界で利用されるアプリケーションは、レスポンス時間にシビアなものが多く、 全てのデータを上位レイヤに渡して処理するのでは、間に合わないケースが出てくる。 Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 5 独居高齢者の自宅にセンサを埋め込み家屋自身がロボットになります ① 独居高齢者の自宅の各部屋に人感センサ、インスリン注射ケースセンサを設置 ② 空間知能化コントローラ(タブレット)はSIM経由でCloudサーバと、BLE(Bluetooth Low Energy)経由で空間知能化マイコンセンサに接続 ③ スケジュールに沿って音声で行動を促し、センサで動作の確認 空間知能化マイコン (人感センサ) 液晶TV 独居高齢者の自宅 空間知能化とは、空間(住宅) をロボット化するという考え方です。 インスリン自己注射器ケース Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 空間知能化コントローラ (ASUS MeMO Pad™7 ME572CL) 6 独居高齢者の行動を音声による促しと、センサによる動作の確認 空間知能化システムの構成 空間知能化システムの構成:居住空間にセンサを埋め込み人の行動を把握します *空間知能化マイコン(Yokoduino):ARM Cortex M3マイコンに各種センサを接続し、 BLE(Bluetooth Low Enrgy)に よりセンサデータを送信 *空間知能化コントローラ:空間知能化マイコンから送られたセンサデータをサーバ に送信。Android OSを採用したタブレット、スマホ、TVコントローラ(Android TV)など を使用できる *空間知能化サーバ:クラウド上に構築し空間知能化コントローラから送られたセンサ データをDBに蓄積する Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 7 独居高齢者を支援するM2MブラウザとSNS電話機能 v v M2Mブラウザ(フォグコンピューティング) M2Mブラウザは、Android マシン(スマホ/タブレット/TV)上で動くM2Mアプリケー ションです。 SNS電話機能 M2Mブラウザは、Webブラウザ機能に加え、SIPクライアント(IP電話)機能を有して いるので、内線番号を保持します。 入力音声データはタブレットの音声認識機能によりテキストに変換され、出力音声 データはテキストからタブレットのテキスト読み上げ機能により変換されます。 また、対話した結果のログがクラウド上のサーバに全て格納されます。 Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 8 独居高齢者を支援するM2Mブラウザ v v センサー情報収集機能 M2Mブラウザは、最大16台までのデバイス(Yokoduino)をBluetoorh Low Energy無 線で接続することができます。 M2Mブラウザは、デバイス(Yokoduino)から送信される各種のセンサーデータを M2Mサーバに送信することができます。 M2Mサーバでは、複数のM2Mブラウザは内線番号で識別されますが、同じ住宅に あるM2Mブラウザは内線番号のグルーピングと言う形で認識されます。 ソフトセンサー機能 M2Mブラウザは、ソフトウェアセンサー機能を内蔵し、複数の人感センサーのデータ から、そこに暮らす独居老人の行動を推定します。 ソフトウェアセンサー機能は、Viterbiアルゴリズムを使用しています。 Viterbiアルゴリズムでは、独居老人の行動をマルコフモデルと仮定し、人感センサー による観測データ(位置情報)から、行動を推定(復号)します。 Viterbiアルゴリズムは定期的(標準は1分)に実行されるので、リアルタイムに独居老 人の行動を推定することが可能です。独居老人の行動の推定データは、人感セン サーと一緒にM2Mサーバに送信されますので、Webブラウザで閲覧することができ ます。 Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 9 空間知能化マイコンの紹介 u u ARM Cortex M3を内蔵したYokoduino ・ BLE(yBeacon)による空間知能化コントロー ラと の通信 ・ マイコン: Broadcom BCM20737Sを使用 ・ DC-DCコンバータ+Deep Sleepモードによる徹底した省電力化 多様なセンサーの接続が可能 ・ 人感センサー:焦電型赤外線センサー・パナWLシリーズ (1μAタイプ)を採用、温度・湿度・気圧センサ内蔵 ・ アナログセンサー:電圧や電流値を計測するもの(バッテリーなど) ・ デジタルセンサー:On/Offを検出するもの(服薬支援、インスリン注射など) ・ 電池:単4 x 2 CR123a ボタン電池 500mm ・ I’m alive 通信 300mm 700mm Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 10 インスリン自己注射ケース 高齢の糖尿病患者が急増しているため、そ の重症化(人工透析など)による財政負担が 問題になっています。それを防止するために 、軽度の認知症独居老人の在宅インスリン 自己注射を確実に継続でき、重症化を招か ない「遠隔見守りシステム」を開発しています。 このシステムは、インスリン自己注射を打 ったことを忘れ複数回打つことによる「低血 糖重症化予防」、長期間の打ち忘れによる 「人工透析導入化予防」を促進するための 地域見守りシステムの臨床実験を計画中。 センサ付き注射器格納ケース (サイズ:横×縦×深さ=20×4×4cm、重さ:78g) Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 11 M2Mサーバ(クラウド) HTTPサーバ(Apache)とSIPサーバ(Asterisk)を搭載 ・ HTTPサーバ(Apache):センサーデータの蓄積、表示、分析 ・ SIPサーバ(Asterisk) : スケジュール発生イベント通知、IP電話 ・ 空間知能化コントローラの管理: Androidアプリが正常に作動しているか ・ 空間知能化マイコンの管理: バッテリー状態を監視し、必要時は交換を促す IP電話技術の応用 ・ SIPプロトコル(Invite)で「スケジュール発生」をサーバからPUSH通知する ・ HTTPプロトコルでスケジュール(XMLデータ)をサーバから読み取る ・ 通常のIP電話としても利用できる Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 12 M2Mブラウザのタブ画面 番号 画面 説明 1 SNS電話 SNS電話画面を表示します。 2 対話ログ 音声による会話の履歴を表示します。 3 センサー状態 センサー状態を図示します。 4 センサーデータ 住宅内の人感センサー等の値を表示します。 5 センサーログ 住宅内の人感センサー等のログを表示します。 4 ソフトセンサー定義 設定されたソフトセンサー定義情報を表示します。 7 8 ソフトセンサーログ ソフトセンサーが推定した行動移動パターンのログを表 示します。 サーバ通信ログ M2Mサーバとの通信履歴を表示します。 9 設定 M2Mブラウザの設定情報や設定画面を表示します。 Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 13 センサー状態画面 u 人感センサーの状態: 「無反応」「玄関」「居間」「書斎」「台所」「浴室」「トイレ」と言う7つのセンサーの状態を表します。 u ソフトセンサーの状態 外側の輪は、ソフトセンサーの状態を表します。ソフトセンサーは、観測した人感センサーのデー タから、人間の行動を推定します。 この例では、「外出」「お出かけ」「帰宅」「来客」「団欒」「お勉強」「料理」「入浴」「トイレ」と言う10個 の人間の行動の状態を表します。 u 行動パターンの表示 画面左下に人間の行動を「在宅」「来客」「外出」に分類して表示します。 u 各種モードの表示 画面右に人間の行動を「SCAN」 「Viterbi」「読み上げ」の各種モ ードを表示します。「SCAN」は、 BLE SCAN中であることを示し ます。「Viterbi」は、ソフトセ ンサー機能が実行中であるこ とを示します。「読み上げ」は、 ソフトセンサー機能の進行状態 を読み上げていることを示し ます。 Masahiro Higuchi@HIRO ICT 2015 14
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