乳用廃用牛の新規加 工 技術 の 開発 ―新規乾燥食 肉製 品 の開発 一 (Hll∼ 加 工 食 品部畜産食 品科 阿 部 茂 13) 井 上 貞 仁 研究 の 目的 と概 要 本研究 は道 内で大量 に発生 し、廉価 に流通 して い る乳用廃用 牛肉 の 有効活用 を 目 的 と し、酵素処理 を加 えた新規乾燥食 肉加 工 品 (調味料、 肉 の 削 り節、ト ッピング 食材 )の 開発 を行 うもので あ る。初年度 において基 本的製造技術 が確 立 され た こ と か ら、今年度は 添加物お よび保存条件 の検 討 を行 つ た。 さ らに製品 の付加価値 向上 を 目的 として 、 DNA損 傷 を指 標 と した酵素分解生成物 の ラジカル 捕捉能 について 評価 をお こなった。 *予 定 され る効果 。新規産業 の育成 お よび新技術 の確 立 ・ 乳用廃用 牛 の利 用拡大 9“ 試験研究 の 方法 肉節 の製造 フロー を図 1に 示す。 タ ンパ ク質分解酵素 は フ レーバ ー ザイム (ノボ ノルデ ィス クバ イォイ ンダス トリー (株))を 用 い た。 (1)亜 硝 酸添加量 の検討 図 1の 酵素溶液 に亜硝酸 を添加 し、牛 肉 中の 最終 亜 硝 酸濃度 が0,100,200, 寧L 用廃用牛 半 腱様筋 ↓ 400ppmにな るように酵素溶液 を注入 し i組 孫 説 宅隧 主ガ ←り 1'II:1111lB脚 た。その後 は図 1に 従 つて 肉節 を試作 酵素反応 C,湿 度 90%,反 応口 (温 50° 寺間 5時 間) し、各 段 階 にお け る亜硝酸量 を測定 した。 〒 ・ 焙乾 酵素失活 :温 度 90℃ ,湿度 0%,4時 間) (一 (2)包 装形態 の検討 T火 一晩室温であん蒸 (1)の 実験で試作 した亜硝酸 100pp皿 ↓ 添加 の 肉節 を手動のカツオ節削 り器で0。 焙乾↓( 二番火以降 : 温 度 8 0 °C, 湿 度 0 % , 5 時 間 ― mmm度 の厚 さに削 つたものを試料 とした。 晩室温であん蒸 ↓ 焙乾 ・あん蒸 を 1 0 ∼ 1 4 回繰 り返す 削 り節約2gを粉体用セル(d1311ull× 3.lllullψ ↓ 酵素処理牛節 (水分 15%前後で終了) に詰 め 、透 明 のポ リプ ロピ レン製 のチ ヤ ッ 図 1 牛 節製造フ ロー ク付 き袋お よび遮光 アル ミ製 のチ ャ ック体 き袋 を用 い て、おのお のにつ い て①無処 理、②窒素封入、③窒素封入 +脱 酸素剤 の 3種類 の 包装形態 をつ くり、 18日 目まで測定 を行 つた。保存温度 は室温 と した。 なお、ポ リプ ロピ レン製 の 袋 のサ ンプルは 約 7000ルクスの 蛍光灯下 に静置 した。 色差 の測定 は」llKIttJP7200Fを 用 い た。 (3)DNA損 傷 を指標 とした酵素分解生成 物 の ラジカル捕捉能 半腱様筋 を数種 の プロテ ア ー ゼで処理 し、得 られ た水溶性 分解物 を乾燥 凍結 した もの を試料 と した。 細胞 につ いて は ヒ ト由来培養細胞 HL-60を 用 い、 ラ ジカル 発 生 剤 AAPH(2,2-ア ゾ ビスニ 塩化塩 )あ る い は過酸化水 素 を用 い た。試料 を溶解 した ―- 84 -― 液体培地中にラジカル発生剤を添加 し 1時 間反応 させた後に細胞懸濁液 を加えて 2 時間培養 して DNA損 傷 を与 え、そ の細胞 の 一 部 を コ メ ッ トア ッセ イ に供 した。正 常細胞 とコ メ ッ トした細胞 の比 率 よ り ͡ 200 3 む 150 a ︶ 闘 置日 DNA損 傷率 を求め た。 3. 250 E 試験結果 (1)亜 硝 酸添加量 図 2よ り亜硝 酸 は添加 量 の 多 少 に係 わ らず製 造 工 程 中 に そ のほ とん どが分解 す る こ とが分 か っ た。亜硝 酸 100ppmでも十分な発 が適 当 色 が得 られ た こ とか ら、添加 量は 100pp皿 亜硝 酸の消長 (固形分換算) 図 2 15 13 と考 え られ た。 (2)包 装形態 透 明袋 に よる保存で はす べ て の 試料 におい て、保存初期 にa*の著 しい減少がみ られ、保存 4日後 で平均30%の赤色 が消失 した(図3)。各処 理別では空気封入を行つた試料 よ り窒素封入あ 0 5 気 一 -空 日3 透 Dato 10 窒素 ― 15 20 窒素 + 脱 酸 素 剤 明 袋 中の 削 り節 の 赤色 変 化 るいは脱酸素剤を入れた試料のほうがa*の減少 が少なかつた。遮光袋による保存ではすべ ての 試料 においてa*の減少が緩慢であ った(図4)。 各処理別では空気封入を行 つた試料 よ り窒素封 入あるいは脱酸素剤を入れた試料 のほ うがa*の 減少 が少なかった。 これ らの結果 か ら、牛肉削 り節 の保存は遮光袋 を用 いて窒素封入(+脱 酸 素剤)が色調保持 に有効であることが分かつた。 (3)酵 素分解生成物 のラジカル捕捉能 0 5 Date 10 - o 一 空気 ‐ ‐卜 窒素 ― 図4 違 15 20 窒桑+ 脱酸素剤 │ 光袋 中の削 り節 の赤 色変化 コメット指数(低いほどラジカル捕捉能 を有する)による比較 の結果、過酸化水素 に対 してはほ とん どの試料で コメ ッ ト指数が80%以上であ り、全体的 に効果 がみ ら れなかった。その 中で もProtease S、 SP-10、およびPapainの1000ppmの 濃度ではわ ずか に効果がみ られ71、77、および83%であ った。AAPHに対 しては全体的 に効果が 認め られ、 コメ ッ ト指数が50%を下回る試料もあ つた。その中でも特 にSP-10、 Protease Sの 10000ppnは 強 い効果がみ られ、20%、37%であ った(図表未掲載 )。 4.平 成 13年 度計画 最終年度では これまでの結果を踏 まえた応用試験 (他の部位、豚肉を用 いての評 価)を 行 う。さらに機能性物質の解明も引き続 き行 う。 (共同研究機関 (株 )ホ クビー 北 海道大学) ―- 85 -―
© Copyright 2024 ExpyDoc