参考資料 ■■ 第 78 回 建設材料品質管理試験実務研修 ■■ 舗装材料の品質管理 ・路盤材料 ・アスファルト混合物 平成 27 年 6 月 19 日 (一財)沖縄県建設技術センター 試験研究部 建設リサイクル班 ■■ 目 次 ■■ 【1】路盤材の品質管理 1.舗装の概要 ・・・・・・・・ 1 2.路盤 ・・・・・・・・ 2 3.路盤材料の品質管理概要 ・・・・・・・・ 4 4.路盤材料の規格と概要 ・・・・・・・・ 5 ◆ 試験方法 ・・・・・・・・ 9 ◆ 試験状況写真 ・・・・・・・・ 23 ◆ 試験結果報告書 ・・・・・・・・ 42 ・・・・・・・・ 53 ◆ 試験方法 ・・・・・・・・ 63 ◆ 試験状況写真 ・・・・・・・・ 68 ◆ 試験結果報告書 ・・・・・・・・ 78 ・・・・・・・・ 84 【2】アスファルト混合物の品質管理 5.アスファルト混合物層の規格と概要 【参考資料】 ◆ アスファルト混合物事前審査制度について 【1】路盤材の品質管理 【1】路盤材の品質管理 1.舗装の概要 (1) 舗装の役割 ① 路面に緻密な層を設けることにより、雨天時の泥濘化や乾燥時の砂塵を防止し、快 適性を保持すること。 ② 路面の平坦性を良くすると共に、快適なすべり抵抗性を持たせることにより、車両 走行時や歩行時の快適性や安全性を向上させること。 ③ 周辺の環境に適合した舗装材料を使用することにより、良好な道路環境を創り出す こと。 (2) 舗装の種類 一般的に道路の舗装は下記の 2 種類に大別される。 a) アスファルト舗装(たわみ性舗装) b) コンクリート舗装(剛性舗装) アスファルト舗装は次のような特色がある。 ① 養生の必要がないので比較的施工速度が速い。 ② たわみ性が大きく荷重による変形に対しても 比較的順応しやすい。 ③ コンクリート舗装のように目地がないので 連続的に平坦である。 ④ 維持修繕が容易で、段階的な施工ができる。 表 層 基 層 舗 装 上層路盤 路 盤 下層 路盤 (3) 舗装の構成 アスファルト舗装は図-1に示すように、路床の上に 路盤・基層及び表層の順に構成される。 路 床 図-1 アスファルト舗装の構成 (4) 各層の役割 ① 表層:表層は交通荷重に接する最上部層で、交通荷重を下層に分散させたり、雨水 の浸水を防ぐ役割をもっている。それには加熱アスファルト混合物が用いら れる。 ただし、 表層の上に1~4cm層の比較的薄い層で施工する磨耗層は、 すりへりやそれ自体の耐久性を考慮し、 舗装厚に含めないのが一般的である。 ② 基層:基層は路盤と表層の間に設けられるもので、路面にかかる交通荷重を均一に 支持させる役割があり、通常加熱アスファルト混合物が用いられる。 ③ 路盤:路盤は、路床上に築造されるもので、路面の交通荷重を広く分散させて路床 にかかる応力を少なくし、かつ安全に伝える役割があり、通常下層路盤と上 層路盤に分けられる。下層路盤は比較的支持力の小さい安価な材料で現地材 料がよく用いられる。これに対し、上層路盤は支持力の大きい良質な材料を 使用するか、このような材料が非常に高価で入手できない場合は、現地材料 にセメントや瀝青材料などを添加混合して安定処理することもある。一般に 用いられている路盤材料・工法には表-1のようなものがある。 ④ 路床:舗装は、一般に原地盤の上に築造されるが、原地盤のうち、舗装の支持力層 として構造計算に用いる層を路床といい、 舗装の下の厚さ約 1m の部分をいう。 - 1 - 表-1 県内の 舗装材料 (土木工事設計 要領 第2編 道路編 沖縄 県土木建築部) (Taの計算に用 いる等値換算係数) 使用する 位 置 表 層 基 層 工法・材料 表層・ 基層用 加熱ア スファルト混合物 1. 00 0 .8 0 常温混合:安定度2 . 45 kN 以上 0 .5 5 セメン ト安定処理 一軸圧縮強さ( 7 日) 2. 90 MP a 0 .5 5 石灰安 定処理 一軸圧縮強さ( 10 日) 0. 98 MP a 0 .4 5 粒度調 整砕石(黒・白 )M -4 0 修正C BR 8 0以上 0 .3 5 コンク リート再生骨材( RM -4 0) 修正C BR 8 0以上 0 .3 5 粒度調 整鉄鋼スラグ 修正C BR 8 0以上 0 .3 5 水硬性 粒度調整鉄鋼スラグ 下 層 路 盤 等値換算 係数・a 加熱混合:安定度3 . 43 kN 以上 瀝青安 定処理 上 層 路 盤 摘 要 修正C BR 8 0以上 一軸圧縮強さ( 14 日) 1. 2M Pa 0. 55 切込砕 石(黒) 修正C BR 3 0以上 クラッ シャラン(白・ 黒)C -4 0 修正C BR 3 0以上 0 .2 0 0 .2 5 コンク リート再生骨材( RC -4 0) 修正C BR 3 0以上 0 .2 5 流しコ ーラル 修正C BR 2 0以上 0 .2 0 鉄鋼ス ラグ 修正C BR 3 0以上 0 .2 5 砂など 修正C BR 2 0以上 0 .2 0 セメン ト安定処理 一軸圧縮強さ( 7 日) 0. 98 MP a 0 .2 5 石灰安 定処理 一軸圧縮強さ( 10 日) 0. 70 MP a 0 .2 5 2. 路 盤 (1) 路盤材料の特徴 県内の工事で使用されている新材(バージン材)の路盤材は、そのほとんどが石灰岩を原 料としており、中でも、県内に広く分布する琉球石灰岩(白石)や、沖縄本島の本部半島で 産出される古生層石灰岩(黒石)が有名なところである。 また、平成 16 年度から始まった「沖縄県リサイクル資材評価認定制度」の普及に伴い、使 用量が増加している再生路盤材については、主にコンクリート廃材を原料としている。 ◆琉球石灰岩 :この岩層の分布は極めて広く、南は波照間島から北は奄美群島の喜界島 をはじめ、トカラ列島や小宝島まで及んでいる。黒石と比較して、吸水 量が多く多孔質の石質で軟質である。 ◆古生層石灰岩:沖縄本島北部の本部石灰岩が主産地で、八重山地方でも宮良層石灰岩 が産出されている。灰色で緻密であり硬質である。セメントやコンク リート用骨材、アスファルト用骨材としての利用が多い。 ◆コンクリート廃材(コンクリート塊) :構造物の解体に伴い発生し、建設廃棄物の約 4 割を占める。廃棄物処 理法上は「がれき類」に分類される。新材と比較して吸水率が高く(= 最適含水比が高い)、非塑性(Non-Plastic)を示す。 (2) 路盤材料の種類 路盤材料の種類には、バージン材の粒度調整砕石(M-40) ・クラッシャラン(C-40) ・流 しコーラル・切込砕石とコンクリート廃材やアスファルトコンクリート廃材を再利用したリ サイクル材として再生粒度調整砕石(RM-40) ・再生クラッシャラン(RC-40)がある。 各種路盤材の詳細については次のとおりである。 - 2 - ◆粒度調整砕石(M-40) ・クラッシャラン(C-40) 路盤材料として適当な粒度に調整した砕石。一次及び二次クラッシャーにより製造さ れた粒径の異なる砕石を配合する。粒度調整砕石は主に上層路盤、クラッシャランは主 に下層路盤に利用される。 ◆再生粒度調整砕石(RM-40) 、再生クラッシャラン(RC-40) 粒度調整砕石(M-40) ・クラッシャラン(C-40)と同様な方法で製造されるが、原材料 はコンクリート廃材・アスファルトコンクリート廃材などの建設廃棄物を再利用したリ サイクル材である。また最近では、先の2つの廃棄物以外の電気炉酸化スラグ・廃ガラ ス・焼却灰(造粒物)・廃石膏ボード・石炭灰(排煙脱硫石膏・消石灰と共に湿潤状粉体に したポゾテック)等も副資材として原料になっている。 ◆流しコーラル・切込砕石 採取された原石をバースクリーンやグリズリフィーダなどにより、40 ㎜以下にフルイ 分けされた材料をいう。表土等も混入していることがあり材質は比較的悪い。琉球石灰 岩(白石)を原料とするものを流しコーラル、古生層石灰岩を原料とするものを切込砕石 としている。 路盤材料(バージン材)の標準的な製造工程を図-2に示す。 鉱山と 原料 原石 ジョークラッシャー(1次破砕) グリズリフィーダ 37mm リター ン ジョ ークラッシャー 37mm以上 ハルドパクトラッシャー (インパクト) 振動ふるい (150mm,100mm ) 20m m以上 流し台 粒度調整砕石 ク ラッシャ ーラン 37~13mm ズリ、流し 振動ふるい (37,18,8mm) 100m m以下 配合 13~8mm 栗石 150~100mm 8~0m m 図-2 粒状路盤材料の製造工程 ※ なお、再生路盤材については上記工程の途中で磁選機による鉄くず、及び人力による不 純物の除去作業が加わる。 写真-1 路盤材製造プラントの事例 写真-2 再生路盤材製造プラントの事例 - 3 - 3.路盤材料の品質管理概要 ( [県土木施工管理基準 品質管理基準p4~8]参照) (1) 下層路盤の品質管理基準の概要 1) 材料:中規模以上の工事 施工前・材料変更時(必須) 小規模以下の工事 施工前(必須) ①粒度試験(骨材ふるい分け) ②液性限界・塑性限界 ③すりへり試験 ④密度試験 ⑤締固め試験 ⑥CBR 試験(修正 CBR) 以上は(財)沖縄県建設技術センターで年1回実施することとなっている 2)施工: (必須)⑦現場密度試験 中規模以上の工事:定期的及び随時(1000 ㎡/1 個) 小規模以下の工事:異常が認められたとき 最大乾燥密度の 93%以上 (X10:95%以上、X6:96%以上、X3:97%以上) (必須)⑧プルフローリング試験 中規模以上の工事:随時(確認試験) ⑨骨材のふるい分け 中規模以上の工事:異常が認められたとき ⑩液塑性限界試験 中規模以上の工事:異常が認められたとき ⑪含水比試験 中規模以上の工事:異常が認められたとき (2) 上層路盤の品質管理基準の概要 1)材料:中規模以上の工事 施工前・材料変更時(必須) 小規模以下の工事 施工前(必須) ①粒度試験(骨材ふるい分け) ②液性限界・塑性限界試験 ③すりへり試験 ④密度試験 ⑤締固め試験 ⑥CBR 試験(修正 CBR) 以上は(財)沖縄県建設技術センターで年1回実施することとなっている 2)施工: (必須)⑦現場密度試験 中規模以上の工事:定期的及び随時(1000 ㎡/1 個) 小規模以下の工事:異常が認められたとき 最大乾燥密度の 93%以上 (X10:95%以上、X6:95.5%以上、X3:96.5%以上) (必須)⑧粒度(2.36mm・75μm) 中規模以上の工事:定期的及び随時(1~2 回/日) 小規模以下の工事:異常が認められたとき ⑨液塑性限界試験 観察により異常が認められたとき ⑩含水比試験 観察により異常が認められたとき ※工事の規模について ◆中規模以上の工事とは:管理図を書いた上での管理が可能な工事 舗装施工面積 10,000 ㎡以上あるいは表層基層混合物使用量 3,000t 以上 ◆小規模以下の工事とは:管理結果を施工管理に反映できる工事(以下のいずれか) 舗装施工面積 2,000 ㎡以上 10,000 ㎡未満 表層基層混合物使用量 500t 以上 3,000t 未満 - 4 - 4.路盤材料の規格と概要 路盤材料は使用目的から上層路盤用、下層路盤用に区分し、材質的には粒状路盤材料およ び路盤用安定処理混合物に大別する。これら路盤材料は、使用目的別に強度および材質に規 格が設けられており、 強度規格として修正 CBR 等があり、 材質規格として粒度、 塑性指数 (PI) 、 すりへり減量等がある。主な規格を表-2に示す。 表-2 粒状路盤材料の品質規格 項 目 材 料 新材 (ハ ゙ー ジ ン材) 修正C BR 種 類 規 格 等値換算係数 粒度調整砕石 80 %以上 0 .3 5 クラ ッシ ャラ ン 30 %以上 0 .2 5 下層路盤 流しコー ラル 20 %以上 0 .2 0 下層路盤 切込砕石(黒) 再生材 新材 (ハ ゙ー ジ ン材) すりへり減量 再生材 新材 (ハ ゙ー ジ ン材) 塑性指数 再生材 備 考 上層路盤 30 %以上 0 .2 0 下層路盤 再生粒度調整砕石 8 0% 以上(9 0% 以上) 0 .3 5 上層路盤 注1) 再生クラ ッシ ャラ ン 3 0% 以上(4 0% 以上) 0 .2 5 下層路盤 注2) 再生クラ ッシ ャラ ン 2 0% 以上(3 0% 以上) 0 .2 0 上層路盤材 50 %以下 下層路盤 注2) 粒度調整砕石 下層路盤材 - 上層路盤材 50 %以下 セ メン トコ ンク リー ト再生粒度調整砕石に適用 下層路盤材 50 %以下 セ メン トコ ンク リー ト再生クラ ッ シャラ ンに適用 上層路盤材 4 以下 粒度調整砕石 下層路盤材 6 以下 ク ラッ シャ ラン 、流しコ ーラ ル 、切込砕石 上層路盤材 4 以下 再生粒度調整砕石 下層路盤材 6 以下 再生ク ラッ シャ ラン 注1)ア スフ ァル トコ ンク リー ト再生骨材を含む上層路盤材は、修正CB Rの基準値に( )内の数値を適合する。 但し、4 0℃で試験を行う場合は通常の値とする。 注2)ア スフ ァル トコ ンク リー ト再生骨材を含む下層路盤材で上層路盤および表層・基層の合計厚が40 ㎝より小さい場合 は、修正 CBR の 基準値に( )内の値を適用する。但し、40 ℃で試験を行う場合は通常の値とする。 (1) 粒度とは 土や骨材の粒度は、一般に大小さまざまな土粒子や骨材が混ざり合ってできている。土や 骨材を構成する土粒子や砕石の分布状態を粒度といい、その分布状態を粒径とその粒径より 小さい粒子の質量百分率の関係を示した粒径加積曲線で表される。粒度は、土の物理的性質 や力学的性質と密接な関係がある。表-3に土粒子の粒径区分とその呼び名を、また、図- 3に土の粒径加積曲線の例を示す。 表- 3 土粒子 の粒径 区分と呼び 名 0.005 粘土 0.075 シ ルト 0.25 細砂 0.85 中砂 砂 細粒 分 2 粗砂 4.75 細礫 粗粒 分 19 中礫 礫 75 粗礫 300 粗石 粒径( ㎜) 巨石 石 石分 図-3 土の粒加積曲線 ①:細粒分が多い土 ②:粒径がせまい範囲に集中している 締固め特性の悪い土 ③:粒径が広い範囲にわたって分布する 締固め特性の良い土 土の粒経加積曲線は土粒子の粒径の分布する範囲と分布の特徴が一目で分かるものであり、 それにより土の粒度特性が判断できる。 均等係数 Ucと曲率係数 Uc’は土の粒度の広がりや形状を数値化したものである。均等係数 Uc は粒径加積曲線の傾きを表すもので、大きくなるほど粒径の幅が広いことを示している。 一般にUc が4~5以下の土は粒度分布が悪い、10以上の土は粒度分布が良いといえる。 - 5 - 一方、曲率係数 Uc’は、粒径加積曲線のなだらかさを表すもので、Uc’が1~3は粒度分布 がよいとしている。 路盤材料に使用される粒度規格は、表-4のようになっている。 表-4 粒状路盤材料及び再生粒状路盤材料の粒度規格 ふるい目 の開き (㎜) 粒度範囲(㎜) 7 5μ m 425μ m 2.36 4.75 13.2 19 26.5 31.5 37.5 53 4 0~ 0 ㎜ 2 ~ 10 10 ~ 3 0 2 0~ 5 0 3 0 ~ 65 - 6 0~ 90 - - 95 ~ 1 00 1 00 3 0~ 0 ㎜ 2 ~ 10 10 ~ 3 0 2 0~ 5 0 3 0 ~ 65 - 6 0~ 90 - 9 5~ 10 0 10 0 2 5~ 0 ㎜ 2 ~ 10 10 ~ 3 0 2 0~ 5 0 3 0 ~ 65 55 ~ 8 5 - 95 ~ 1 00 100 4 0~ 0 ㎜ - - 5~ 2 5 1 5 ~ 40 - 5 0~ 80 - - 95 ~ 1 00 3 0~ 0 ㎜ - - 5~ 3 0 1 5 ~ 45 - 5 5~ 85 - 9 5~ 10 0 10 0 2 0~ 0 ㎜ - - 1 0~ 3 5 2 0 ~ 50 60 ~ 9 0 9 5 ~ 10 0 1 00 呼び名 粒 粒 度 度 調 再 調 整 生 整 砕 砕 石 石 ク ラ ッ ッ ク ラ ラ ン ャ ラ ン ャ シ 再 生 シ M-40 RM-40 M-30 RM-30 M-25 RM-25 C-40 RC-40 C-30 RC-30 C-20 RC-20 ふ る い を 通 る も の の質 量 百 分 率 ( %) 1 00 (2) 修正 CBR とは CBR には、設計CBR と修正 CBR とがあり、設計 CBR は舗装の合計厚さを求めるための基準 として用いる。一方、修正CBR は路盤材料や盛土材料の品質基準を示す強度の指標として用 いる。路盤は表層や基層から伝達された交通加重をさらに分散して路床へ伝達する役目を果 たすために、交通荷重に耐えうる力学的な強度(支持力)が必要であり、その基準となるもの が修正CBR である。 上層路盤材料で 80%以上、下層路盤材料で 20~30%以上と規定されている。ただし、アスフ ァルトコンクリート再生骨材を含む上層路盤は 90%以上とされている。これは、アスファル トコンクリート再生骨材を含む上層路盤が温度の影響を受けやすく、再生骨材に付着したア スファルトが路面温度の上昇等に伴い流動的になった時、 修正 CBR が小さくなるからである。 従って、40℃に保たれた室内で試験を行う場合は、80%以上とされている。 【試験内容の解説】 CBR( California Bearing Ratio:路床土支持力比 )とは、クラッシャランを締固めて、 直径5 ㎝の貫入棒を貫入させた時の荷重強さを基準として、締固めた路盤材料等の貫入抵 抗がその基準強さの何%であるかを示したものであり、路床や路盤の強さを評価するため の相対的な強度を表している。CBR は次式で示される。 CBR = 荷重強さ(または荷重) 標準荷重強さ(または標準荷重) × 100 修正CBR は、材料が締固められた層としての支持力を表すものであり、粒度等の材料固 有の性質のほか、締固め程度にも支配される。 試験は、まず JIS A 1211 に従い 3 層 92 回の突固めで求めた最適含水比で、各層を 92 回、42 回、17 回と締固め、乾燥密度と4 日水浸後の CBR との関係グラフを求めておく。施 工時に予期される材料の締固め度を想定し、それに対応する乾燥密度のときの CBR を既に 求めたグラフから読取る。締固め度は通常、3 層 92 回突固め時の乾燥密度の95%とする。 - 6 - 最適含水比 乾燥密度(g/cm3) 最大乾燥密度 92回 42回 修正CBR 17回 含水比(%) CBR(%) 図-4 乾燥密度と含水比およびCBRの関係図 (3) すりへり減量とは 材料のすりへりに対する抵抗性、硬さ、あるいはもろさを表す指標である。路盤は設計期 間(アスファルトコンクリート舗装で原則 10 年、但し新設時に要する費用のみについて検討 する場合)の間、表層や基層から伝達された交通荷重が加わるため耐久性に優れた材料が望 ましく、その基準となるのがすりへり減量である。上層路盤材料、下層路盤材料(コンクリ ート再生骨材のみ)ともに50%以下と規定されている。 【試験内容の解説】 粒度試験により求められた粒度により A~G の粒度区分に応じて鋼球(直径約 4.68 ㎝、 質量約 390~445g)の数を選び、これを試料とともに鉄製円筒(ドラム)の中に入れ、ふ たを取り付け、30~33 回/分でそれぞれの粒度区分に合わせて回転させる。試料が鋼球と 共に円筒内壁のたなですくいあげられては落下を繰り返すうち破砕し、生じた細粒分の量 を求めて次式で表し、すりへり減量とする。 すりへり減量 = すりへり損失重量 試験前の試料の重量 × 100 図-5 ロサンゼルスすりへり試験機 - 7 - (4) 塑性指数とは 路盤材料の塑性の範囲を表す指標である。路盤材料に含まれる細粒分はその量と塑性の範 囲がある限度を超えると潤滑材的な働きを示し、骨材間の摩擦力を減じ路盤材料全体を不安 定にする。また、施工時の粉砕、混合などが困難で舗設後に水の影響を受けやすく支持力低 下の原因になる。そのため路盤材料においては、細粒分の塑性範囲について、上層路盤で4 以下、下層路盤で6以下と規定されている。 【土のコンシステンシーについて】 細粒土は、図-6に示すように、含水量の多少によりドロドロした液体状、ベトベトし た(子供の粘土遊びのようにコネることができる)塑性状、ボロボロとした半固体状、さ らにカチカチの固体状になる。このような土の含水量の変化による状態の変化や変形に対 する抵抗の大小を総称してコンシステンシーという。練返した細粒土のそれらの状態の変 、 塑性限界 (Plastic 化する境界の含水比をそれぞれ液性限界(Liquid Limit:ωL または LL) 、収縮限界(Shrinkage Limit:ωS または SL)と呼び、これらを Limit:ωp または PL) 総称してコンシステンシー限界といい、以下のように定義される。 :土が塑性状から液状に移るときの境界の含水比をいう。 ① 液性限界ωL (%) :土が塑性状から半固体状に移るときの境界の含水比をいう。 ② 塑性限界ωp(%) :土の含水比をある量以下に減じてもその体積が減少しない状態の ③ 収縮限界ωS (%) 含水比をいう。 土の体積(V) ④ 塑性指数(PI) :液性限界と塑性限界の含水比の差。 含水比の変化による 土の体積変化 半 固 体 状 (空気) 固 体 状 塑性指数Ip (土粒子) ωS ωp ωL 図-6 土のコンシステンシー限界 - 8 - 含水比ω(%) 試験方法 ① 粒度試験 ② 液性限界・塑性限界試験 ③ すりへり試験 ④ 密度試験 ⑤ 締固め試験 ⑥ CBR 試験(修正 CBR) ⑦ 路盤材品質管理試験のフローチャート ⑧ 現場密度試験 - 9 - ① 粒度試験 - 10 - ② 液性限界・塑性限界試験 - 11 - ③ すりへり試験 - 12 - ④ 密度試験 - 13 - ⑤ 締固め試験 - 14 - ⑥ CBR 試験(修正 CBR) - 15 - - 16 - ⑦ 路盤材【品質管理試験】のフローチャート START 試料乾燥 (3~4日間) 試料調整 1日目 締固め試験用試料 水量を変えて加水 締固め試験 2日目 3日目 結果整理 ・最大乾燥密度 ・最適含水比 を求める No Yes 4日目 CBR試験用試料に 最適含水比となる 水量を加水 5日目 CBR試験 締固め 試料水浸 9日目 CBR貫入試験 10日目 試験結果の整理 END - 17 - 粒度試験 液性限界試験 塑性限界試験 すりへり減量試験 各試験結果の整理 END ⑧ 現場密度試験 ~ 舗装調査・試験法便覧より抜粋 ~ - 18 - - 19 - - 20 - - 21 - - 22 - 試験状況写真 ① 試料調整 ② 粒度試験 ③ 液性限界・塑性限界試験 ④ すりへり試験 ⑤ 密度試験 ⑥ CBR 試験(修正 CBR) - 23 - ① 試料調整-1 【試料準備】 路盤材料の各試験に必要な試料を 再現性を以て均等に準備するため、 試料全体(約 240kg)を3段階にふる い分けて、その配合状況を確認. 防塵大型ふるい機に 試料(約 240kg)を投入する. ふるい分けられた試料が各容器 に分級される. 左から 20 ~ 40mm 5 ~ 20mm 0 ~ 5mm(2箱) に分級される. - 24 - ① 試料調整-2 分級された各粒径ごとの試料の 質量を計量し、試料全体 240 ㎏ に対するそれぞれの配合率を算定. 締固め試験に用いる試料約 9 ㎏ に対する各粒径ごとの質量を算定 する.(9 ㎏×各配合率) 試料を容器から出して均等になる ようによく攪拌する. 算定した各粒径ごとの試料の質量 を計量する. 計量した各粒径ごとの試料を容器 (パン)に入れる. - 25 - ① 試料調整-3 各粒径の試料を配合した締固め 試験用の試料(約 9kg). 搬入された試料全体(約 240 ㎏) の配合状況が試験用試料(約 9 ㎏) で再現される. パン(容器)の含水比が変わらない ようにしっかりふたを閉める. ◆ 締固め試験用:5個 ◆ CBR試験用 :9個 【粒度試験用試料】 締固め試験と同じ配合率で粒度 試験に用いる試料を準備し、大型 乾燥機で水分を蒸発させる. ※ 水分を蒸発する方法は 110±5℃の乾燥機で乾燥質量 が一定になるまで乾燥する. 一定質量になる時間は 18~24 時間が適当である. 【密度試験用試料】 0~5mm の試料を容器に入れ、 大型乾燥機で水分を蒸発させる. 【液性・塑性限界試験用試料】 0.425mm のふるいを通過した試料 を用いる. - 26 - ② 粒度試験-1 【試料準備】 締固め試験と同じ配合率で粒度 試験に用いる試料を準備し、 大型乾燥機で水分を蒸発させる. 【絶乾状態の計量】 110±5℃の乾燥機で乾燥質量が 一定になるまで 18~24 時間乾燥 した試料(絶乾状態)の質量を計る. 【洗い試験】 絶乾状態の質量を計量後、粒径の 大きな骨材に付着した粗粒分や細 粒分を分離することを目的として、 0.075 ㎜のふるい上で試料を洗い、 これを再度乾燥させ、水分を蒸発 させる. 【洗い乾燥後計量】 細粒分を洗い流した後の絶乾状態 の 試料を計量する. - 27 - ② 粒度試験-2 【粒度用ふるい】 「JIS Z 8801 標準ふるい」に規定されて いる網ふるいでふるい分ける. 上から、53,37.5,31.5,26.5,19,13.2, 4.75,2.36,1.18,0.425,0.075 ㎜網ふるい, 受け皿になっている. 【ふるい試験】 粒径の大きな骨材は手でふるい分ける. 【ふるい試験】 手作業でふるい、ふるい通過量を 確認する. ※ ふるい分は1分間に各ふるい 通過量が全質量の 1%以下で なければならない. - 28 - ② 粒度試験-3 【ふるい計量】 各ふるいにとどまる試料の質量を 計量する. 【機械によるふるい分け】 小さな骨材は、ふるい振とう機を 使ってふるい分ける. ※ 機械を用いた場合、手でふるっ て、1分間に各ふるい通過量 が全質量の 1%以下であること を確認する. - 29 - ③ 液性限界・塑性限界試験-1 【試料準備】 0.425 ㎜のふるいを通過した試料を 用いる. 【試験器具】 ◆ 液性限界測定器 ◆ すりガラス板(裏面はガラス板) ◆ へら ◆ 溝切り ◆ 蒸留水 【液性限界試験】 ガラス板の上で少しずつ蒸留水を 加え、パテ状になるまで練合わす. へらを使って黄銅皿に厚さ約1㎝ になるように試料を入れ、形を 整える. - 30 - ③ 液性限界・塑性限界試験-2 溝切りを使って黄銅皿の試料を 2分する. 落下装置によって1秒間に2回の 割合で黄銅皿を落下させ、溝が 長さ約 1.5 ㎜合流するまで続け、 落下回数を記録し、合流した試料 の含水比を求める. 【塑性限界試験】 すりガラス板の上で少しずつ蒸留水 を加え、団子状になるまで練合わせ る. 手のひらとすりガラス板の間で 転がしながらひも状にし、ひもの 太さを直径 3 ㎜にする. 試料のひもが直径 3 ㎜になった 試料を集めて速やかに含水比 を求める. - 31 - ④ すりへり試験-1 【試料準備】 ギルソン型ふるい機で試料を ふるい分ける. 路盤材料の場合、 10~15mm 15~20mm 20~25mm 25~40mm の試料を約 1.5kg 採取し、細粒分 を洗い流して、炉乾燥させる. 乾燥後、 10~15mm,15~20mm 各試料を 1,250±10g、 20~25mm,25~40mm 各試料を 1,250±25g ずつ採取し、全体で 5,000±10g になるようにする. - 32 - ④ すりへり試験-2 試料といっしょに試験機に入れる 剛球12個 5000±25g ロサンゼルスすりへり試験機に 試料と剛球を入れて500回転 させる. 試験機から試料と剛球を取出す. 回転後、試料のすりへり状況. - 33 - ④ すりへり試験-3 すりへり回転後、1.7mm のふるい 網上で細粒分を洗い流し、残留分 を炉乾燥させる. 炉乾燥後の質量を計量し、 すりへり減量を算出する. - 34 - ⑤ 密度試験-1 【試料準備】 路盤材料から 5mm アンダーの 試料をふるいで採取し、試験に 使用する. 試料を炉乾燥後に約 150gを 500ml フラスコへ入れ質量を計る. 試料が十分に水に浸るまで蒸留 水を入れる. フラスコを加熱し沸騰させて、 試料中の空気を追い出す. - 35 - ⑤ 密度試験-2 1日後、フラスコの中に 500ml の ラインまで蒸留水を継ぎ足して 質量を計る. 質量計量時の内容物の温度を 測定する. - 36 - ⑥ CBR試験-1 【試料準備】 ◆ 締固め験用 ◆ 修正CBR試験用 全体質量1モールドあたり 約 9kg 【締固め試験】 最適含水比、最大乾燥密度を 算定するために含水比を調整しな がらの試料を作る.この際、 目視・触手・吸水音等を確認しな がら加水量を決定する. 水を加えた試料をボール内で 攪拌して均一になるように混ぜる 試料と水がよく混ざったらパン (容器)に戻す. ⑥ CBR試験-2 水を加えた試料は水が蒸発しな いように密閉して1日放置して なじませる. 締固め用モールド一式. パン詰めした試料を取り出し よく混ぜ合わせる. 試料をモールドに詰める. - 38 - ⑥ CBR試験-3 突固め状況 92回タタキを3層 タタキ終わったら試料の表面を 成形する. 成形した試料の質量を計り、 乾燥密度を算定する. 試料をモールドから取り出し、 含水比測定のための質量を計り、 1日炉乾燥させて翌日、絶乾質量 を計る. - 39 - ⑥ CBR試験-4 【修正CBR試験】 締固め試験で算定した最適含水 比で修正CBR試験用の供試体を 作製する.調整された試料を3層 17回、3層42回、3層92回の 各3個、合計で9個の供試体を 作製する. ※ 突固める試料の含水比測定 は突固める前に採取しておく 試料の表面を成形し、ろ紙と有孔 底板を取付けて、スペーサーディ スクを取り除く. 作製した供試体の質量を計り、 乾燥密度を算定する. 軸付有孔板(5kg)を載せて、 水浸させる. - 40 - ⑥ CBR試験-5 水槽から取り出した試料を水抜き する. 【貫入試験】 重さ5kgの荷重板を載せ、 直径5cmの貫入棒を貫入させ、 荷重と貫入量を測定する. 貫入試験機はPCと連動しており、 荷重と貫入量は自動検出される. 貫入終了後、モールドから試料を 取出し、含水比を測定するため 質量を計り、1日炉乾燥させて 翌日、絶乾質量を計る. - 41 - 試験結果報告書 ① 試験結果総括表 ② 粒度試験 ③ 液性限界・塑性限界試験 ④ すりへり試験 ⑤ 密度試験 ⑥ 締固め試験 ⑦ CBR 試験(締固め回数:92,42,17 回) ⑧ 修正 CBR 試験 - 42 - -43- -44- -45- -46- -47- -48- -49- -50- -51- -52- 【2】アスファルト混合物 の品質管理 【2】アスファルト混合物の品質管理 5.アスファルト混合物 層の規格と概要 アスファルト混合物層とは、多くの層から構成されている舗装の構造のうち、アスフ ァルト混合物により形成した層のことであり、通常のアスファルト舗装の場合、表層、 基層がこれにあたる。また、瀝青安定処理混合物を上層路盤に用いる場合もあるが、こ れもアスファルト混合物層と考えてよい。 アスファルト混合物は、加熱アスファルト混合物と常温アスファルト混合物に大別 されるが、ここでは加熱アスファルト混合物を対象とする。加熱アスファルト混合物は 以下の材料を高温で加熱し混ぜ合わせて製造されている。 アスファルト ・ ス トレ ー トア スフ ァ ルト ・ ポ リマ ー改質 ア スフ ァ ルト Ⅰ型 ・ ポ リマ ー改質 ア スフ ァ ルト Ⅱ型 ・ 高 粘度 改 質ア ス ファ ル トH型 フィラー 加熱アスファルト混合物 粒 径0.075㎜ 以 下の 微 粒分 子 ・ 石粉 ・ 還元 ダ スト ・ スク リ ーニ ング ス 一 般混 合 物 ・ アス フ ァル ト安定 処 理 ・ 粗粒 渡 アス ファ ル ト ・ 密粒 度 アス ファ ル ト ・ 開粒 度 アス ファ ル ト 耐 流動 混 合物 ・ 密粒 度 アス ファ ル ト(改 質 Ⅱ型 ) ・ ポー ラ スア スフ ァ ルト(排 水性 ) 再 生混 合 物 ・ 再生 ア スフ ァル ト安 定処 理 ・ 再生 粗 粒渡 アス フ ァル ト ・ 再生 密 粒度 アス フ ァル ト 骨 材 粗 骨材 ・ S-20 ・ S-13 ・ S- 5 ・ 再生 骨 材(0~13) 細 骨材 ・砂 ・ スク リ ーニ ング ス ・ 溶融 ス ラグ (1) アスファルトについて ①アスファルトとは アスファルトには天然アスファルトと原油精製から得られる石油アスファルト があるが、その性質として加熱により固体または半固体から徐々に液化する性質が ある。防水・耐水性に富み、粘着性が大きい性質がある。主に加熱アスファルト混 合物のバインダーとして使用され、要求される性質としては次のようなものがある。 1) 骨材の付着が強く、剥離しないこと。 2) 作業性、高温時の安定性の面から適切なコンシステンシーをもっていること。 3) 耐久性があり、熱や気象作用に対して性状変化を起こしにくいこと。 ②舗装用アスファルトの種類 舗装用石油アスファルト(ストレートアスファルト)と改質アスファルトに大別 される。舗装用石油アスファルトは石油の精製により製造されるもので、原油産地 や精製方法により性状は異なる。改質アスファルトは、舗装用石油アスファルトに ゴムや樹脂等の高分子材料を添加することにより粘度を高めたり、低温時の伸度等 を改善したものである。主な舗装用アスファルトの種類及び性質を図-7及び 表-5に示す。 - 53 - 舗装用石油アスファルト (ストレートアスファルト) 改質アスファルト 40~60 ポリマー改質アスファルトⅠ型 60~80 ポリマー改質アスファルトⅡ型 80~100 セミブローンアスファルト 100~120 高粘度改質アスファルトH型 図-7 主な舗装用アスファルトの種類 表-5 舗装用アスファルトの性質 種 類 舗装用石 油アスファ ルト (ストレ ートアスファ ルト) 性 質 一般的な舗 装に使用され ているもの で、針入度に より40~60、6 0~80、 80~100、1 00~120の種 類がある. 改質アス ファルト ポリマー改質 アスファル トⅠ型 ポリマー改質 アスファル トⅡ型 重交通地域 等で特にすべ り抵抗、耐 磨耗、耐流動 性を強くするた めに用 いるアスフ ァルト. ストレート アスファルト にゴム、熱 可塑性エラス トマーを混ぜた もので 性状により 区分さ れている. セミブローン アスファル ト(AC-100) 加熱したス トレートアス ファルトに 高温の空気を 吹き込んで粘度 を改善 したもので あり耐流動性 に富む. 高粘度改質ア スファルト H型 ストレート アスファルト に改質材を 加えて粘度を さらに高くし、 把握 力、付着性 等を強化した ものでポー ラスアスファ ルト混合物舗装 等に使 用されてい る. ③アスファルトの規格について 舗装設計施工指針[(社)日本道路協会]等には、使用するアスファルトの規格につ いて以下のような項目について規格を示している。 項 目 試験内容の 概説 針 入度 ア スファルトの 硬さを表すもの で規定条件 のもとで、規定 の針が貫入し た 長さで示す。 貫入量1/10㎜ (0.1㎜)で針度 1。 軟 化点 ア スファルトが 軟化する温度 を示す指標で 、アスファルト を加熱した時 、 2 5.4㎜に垂れ下 がる時の温度 。 伸度 ア スファルトの 延性を表すもの で、規定の 形にした試料の 両端を、規定 温 度、規定速度 で引張ったと き試料が切れ るまでに伸びた 距離。 薄 膜加熱質量変 化率 薄 膜加熱針入度 変化率 確認する内 容 使用目的に 適した硬さが あるか。 加熱により 軟らかくなり 混合がしやす いか。 ア スファルトの 加熱前後の性 状を測定する ことにより、加 熱による劣化 混合により 骨材にまんべ んなく付着す るか。 傾 向を推定する もので、アスフ ァルトを加 熱し、加熱前後 の質量の変化 熱を加えた 後、性状の変 化があまりな いか。 及 び針入度の変 化を求める。 ア スファルトの 加熱貯蔵時に おける安定性 を表すもので、 アスファルト 蒸 発後の針入度 比 を 加熱し、加熱 後の試料をかき 混ぜないで そのままおいた ものと、かき 混 ぜたものとの 針入度の比を 求める。 三 塩化エタン可 容分 ア スファルトの 純度を表すもの で、三塩化 エタンに可容な ものの割合を 表 す。 異物が混入 していないか 。 引 火点 引 火に対する安 全を判断するも のであり、 アスファルトを 加熱し炎を近 づ けたとき引火 する温度である 。 加熱中に発 火しないか。 密度 ア スファルト混 合物の配合設 計時の理論最 大密度計算に必 要なアスファ ル トの密度を求 める。 配合設計に 必要。 - 54 - (2) 骨材の規格 ①骨材の種類 アスファルト混合物の材料は骨材と瀝青材料に大別できる。このうち骨材は、粒径 2.36 ㎜ふるいに留まる骨材を粗骨材とし、2.36 ㎜を通過して、75μm ふるいに止ま る骨材を細骨材といい、75μm ふるいを通過する鉱物粉末をフィラー(石粉)とい っている。土や骨材の粒度は、一般に大小さまざまな土粒子や骨材が混ざり合って できている。表-6に舗装用骨材の種類を示す。 表-6 舗装用骨材の種類 大き さに よる 分類 粗 骨材 細骨 材 フ ィラ ー 川 砂利 山 砂利 海 砂利 川砂 山砂 海砂 - 産 地に よる 分類 天然 骨材 舗 装用骨 材 人工 骨材 砕 石 砕 砂 鉄鋼 スラ グ 溶 融ス ラグ 石 粉 ②骨材として要求される性質 アスファルトコンクリートの場合、骨材の占める割合は体積で約 75%以上であり、 その使用目的から材質が均等で、次に示すような性質を持つものでなければならない。 1)舗装用骨材として適当な粒度を有していること。 2)耐久性、耐磨耗性に富み、すべり抵抗の大きなもの。 3)泥、ごみ、有機物などの有害量を含まないこと。 4)扁平または細長い形状の粒子を含まないこと。 5)アスファルトと混合したとき、アスファルトとの付着性にすぐれていること。 ③骨材の大きさと分類 ここでは、表層、基層に使用する砕石として単粒度砕石の各粒径及び細骨材として 使用するスクリーニングスについて粒度範囲を表-7 に示す。瀝青安定処理層などに 使用するクラッシャラン、粒度調整砕石は前述の路盤材料にて参照されたい。 表-7 砕石の粒度範囲 ふる いを通 るも のの質 量百分 率(%) 75μm 150μ m 300μm S-40 (3号砕 石) S-30 (4号砕 石) S-20 (5号砕 石) S-13 (6号砕 石) S-5 (7号砕 石) ス クリ ーニ ン グス F2.5 0~ 20 7~28 15~40 石粉 (フ ィラー ) 70~ 100 90~100 600μm 1.18㎜ 2.36㎜ 4.75㎜ 13.2㎜ 19㎜ 26.5㎜ 0~ 15 0~5 25~ 55 0~15 85~ 100 0~ 15 85~100 100 0~25 85~ 100 100 85~100 100 100 - 55 - 100 31.5㎜ 37.5㎜ 53㎜ 0~15 85~ 100 100 85~100 100 ④骨材の密度・吸水量 1)密度 骨材の密度には、図-8に示すいずれかの状態にあり、表乾密度は(c)の状 態のものをいい、見掛密度は(a)のときの密度をいう。また、吸水量は(c)か ら(a)のときの密度をいう。一般に骨材の密度は、2.50~2.70 で密度の大きい ものほどち密で吸水量も小さく、耐久性も大きい。比重は空隙の程度によって異 なり、骨材の品質を示す有力な目安となる。 2)吸水量 吸水量とは骨材の空隙が、絶乾状態から表乾状態に達するまでに吸水する水量 をいい、絶乾状態の骨材の質量に対する百分率(吸水率)で表す。吸水性の大 きい骨材は、アスファルトをその内部に吸収するため、結果的に混合物の空隙 量が増加し、舗装の耐久性を減少させることになる。 図-8 骨材の含水状態 ⑤その他の骨材性状 これまでに述べた方法以外にもアスファルト混合物にとって適した性状を有する 骨材であるかを判定する方法として、表-8に示すように、すりへり減量、単位容積 質量、粘土塊、軟石量、形状等の評価方法がある。 表-8 骨材の性状判定試験 項 目 試験内容の概説 規格値 すりへり減量 路盤材料と同様でロサンゼルス試験機にて試験を行う。表層、基層用は 道路用砕石S-13について実施するものとする。 表層、基層ともに30%以下 単位容積質量 試料を規定の容器に3層に分けて入れ25回ずつ突く。 容器の大きさは骨材の最大寸法により2L、10L、30Lの3種類がある。 規格値無し。概略値として、細骨材 1.45~1.70㎏/L、粗骨材1.50~1.85㎏/L 粘土塊量 試料を24時間吸水させ、骨材粒を指で押しつぶす。細かく砕けたものを 粘土塊とする。その後、細骨材は0.6㎜,粗骨材は2.5㎜でふるう。 0.25%以下 (全質量に対する質量百分率) 軟石量 2.36㎜以上の試料を黄銅棒でひっかく。この時、黄銅の色が付かないも のや試料が欠けたものを軟石とする。 5.0%以下 (全質量に対する質量百分率) 形 状 4.75㎜以上の試料で骨材の長径(L)と厚さ(t)を測定する。 L/tが5以上となる骨材を細長いあるいは扁平な骨材とする。 10.0%以下 (全質量に対する質量百分率) - 56 - (3) 混合物の種類 舗装設計施工指針等では、混合物の種類を表-9に示すものを標準とし、標準の 混合物を選定して用いるように規定している。なお、これらの混合物の標準配合を示 せば、表-10のようである。 表-9 アスファルト混合物の種類 使用層 基 層 表 層 一 般地域 積雪 寒冷地域 ①粗粒度 アスフ ァルト混 合物(20) ②密粒度 アスフ ァルト混 合物(20・13) ③細粒度 アスフ ァルト混 合物(13) ⑤密粒 度アスフ ァルト混 合物(20F・13F) ⑥細粒 度ギャッ プアスフ ァルト 混合物(13F) ④密粒度 ギャッ プアスフ ァルト混 合物(13) ⑦細粒 度アスフ ァルト混 合物(13F) ⑧密粒 度ギャッ プアスフ ァルト 混合物(13F) ⑨ポーラ スアス ファルト 混合物(20・ 13) (旧称: 排水性混 合物) (すべり 止め用 ) (耐磨 耗用) 磨耗層 ⑩開粒度 アスフ ァルト混 合物(13) ⑥細粒 度ギャッ プアスフ ァルト 混合物(13F) ⑦細粒 度アスフ ァルト混 合物(13F) (注 ) 1.○印の 番号は 混合物の 整理番号 を、( )内の数 字は最 大粒径を 、また、 Fは フィラー を 多く使 用して いること を示す。 2.細粒度 ・密粒 度・粗粒 度・開粒 度アス ファルト 混合物 とは、2.36㎜ふる い通過百 分率 がそれ ぞれ50~80%、35~ 50%、 20~35%、15~30%のも のをいう 。また、 不連続粒 度の ものを 、ギャ ップとい う。 3.ここで いう地 域の区分 は、タイ ヤチェ ーンなど による 磨耗が問 題になる 地域を積 雪寒冷 地域と いい、 その他の 地域を一 般地域 という。 表-10 アスファルト混合物の種類と粒度範囲、アスファルト量 混合物の 種類 仕上り厚(㎝) 最大粒径(㎜) 26.5 ㎜ 通 過 百 分 率 ( ) % ① 粗粒度 アスファルト 混合物 ③ ④ 細粒度 密粒度 アスファルト ギャップ 混合物 アスファルト 混合物 ② 密粒度 アスファルト 混合物 ⑤ 密粒度 アスファルト 混合物 ⑥ 細粒度 ギャップ アスファルト 混合物 ⑨ ⑦ ⑧ ⑩ ポーラス 細粒度 密粒度 開粒度 アスファルト アスファルト ギャップ アスファルト 混合物 混合物 アスファルト 混合物 混合物 (旧称:排水性混合物) (20) (20) (13) (13) (13) (20F) (13F) (13F) (13F) (13F) (20) (13) (13) 4~6 4~6 3~5 3~5 3~5 4~6 3~5 3~5 3~4 3~5 4~5 4~5 3~4 20 20 13 13 13 20 13 13 13 13 20 13 13 100 100 - - - 100 - - - - 100 - - 100 100 100 95~100 100 100 100 100 95~100 100 100 19.0 ㎜ 95~100 95~100 13.2 ㎜ 70~90 75~90 95~100 95~100 95~100 75~95 95~100 95~100 95~100 95~100 64~84 90~100 95~100 4.75㎜ 35~55 45~65 55~70 11~35 2.36㎜ 20~35 600μm 300μm 65~80 35~55 55~72 60~80 75~90 45~65 35~50 50~65 11~23 18~30 5~16 10~21 10~31 23~45 30~45 40~60 45~65 65~80 30~45 10~20 15~30 25~40 20~40 25~45 40~60 40~65 25~40 - 8~20 12~27 15~30 16~33 20~45 20~45 20~40 - 4~15 4~10 150μm 4~12 6~16 8~20 5~15 8~21 10~25 15~30 10~25 - 75μm 2~7 4~8 4~10 4~10 6~11 8~13 8~15 8~12 3~7 2~7 4.5~6 5~7 6~8 4.5~6.5 6~8 6~8 4~6 3.5~5.5 アスファルト量(%) - 57 - 7.5~9.5 5.5~7.5 ①混合物の一般的性状 適切なアスファルト混合物とは、交通荷重や気象状況が及ぼす破壊作用に耐えうる 混合物で、次のような性質を有していることが必要である。 項 目 ア ス ファ ル ト混 合 物の 具 備す べ き条 件 安 定性 ( 安 定度 ) 混 合 物は 主 とし て 交通 車 両の 荷 重に よ って 、高 温 に おい て流 動 した り 、波 状 の変 形 を起 こ した りす る 。こ の よ う な変 形 に対 す る抵 抗 性を い う。 主 とし てア ス フ ァル ト量 に 左右 さ れ、 多 過ぎ る と安 定 性が 損な わ れる 。 た わみ 性 混 合 物が 路 床・ 路 盤の 変 形に 順 応し て 、ひ び割 れ を生 じ ない よ うに 抵 抗す る 性質 を いう 。ア ス ファ ル ト量 が 多 い ほど 大 きく な るが 、 使用 材 料の 性 状や 骨材 粒 度に よ って も かな り の影 響 を受 け る。 す べ り抵 抗 性 車 両 がブ レ ーキ を 掛け た 時、 適 切な 距 離内 で停 止 でき る のに 十 分な 摩 擦を 与 える 混 合物 の表 面 能力 を いう 。 安 定 性と 同 様な 傾 向を 示 し、 ア スフ ァ ルト 量が 多 過ぎ る と急 激 に滑 り やす く なる 。 耐 久性 混 合 物の 劣 化や 水 を含 む 気象 作 用に 対 する 抵抗 性 (耐老 化 性・ 耐水 性 )及び 交 通車 両 によ るす り へり 作 用に 対 す る 抵抗 性 (耐磨 耗 性)を いう 。 施 工性 混 合 ・敷 均 し・ 締 固め ・ 表面 仕 上げ な どの 作業 が 容易 で あり 、 混合 物 が分 離 を起 こ さず 、均 一 なき め をつ く り 、 所要 の 平坦 性 が得 ら れる よ うな 性 質を いう 。 平成 18 年度改訂の舗装設計施工指針では、現在の車道舗装における性能指標の例 として以下の図-9のとおり、具体的なニーズと共に例示している。これより、現在 の指針では、排水性、透水性、排水性、騒音、明色性、路面温度等、環境、安全性に 関する指標があげられている。 図-9 車道および側帯の舗装における性能指標の例 ②混合物に関する試験 アスファルト混合物の性質は、アスファルトや骨材などの構成材料独自の性質とは かなり異なった性状を示すので、使用目的によって各種の試験を行う必要がある。 アスファルト混合物の試験は、主として混合物の配合設計と現場における品質管理 との2つに大別することができる。表-11に試験の種類と目的を示す。 表-11 混合物の試験と目的 項 目 配 合設計 品 質管理 試 験の種 類 目 的 密度 測定 1 .混合 物の最 適ア スファ ルト量 を定 める 安定 度試験 2 .骨材 の種類 と粒 度を照 査する 密度 測定 1 .設計 どおり のア スファ ルト量 が混 合され てい るか 抽出 試験 2 .骨材 のバラ ツキ はどの くらい か 骨材 粒度試 験 3 .混合 物の締 固め は十分 行われ てい るか 安定 度試験 - 58 - ここでは、混合物の配合設計及び品質管理に必要な安定度試験(密度測定も含む) について記することにする。 1)安定度試験 安定度試験は、アスファルト混合物の力学的性状を求めるものであるが、過去 の経験からある限界以上の強度(安定度)があれば良いというような表現しかで きない。従って、安定度を求める試験は種々な方法があるが、その中から、経験 がもっとも豊富で信頼性の高いマーシャル試験を用いている。 2)マーシャル安定度試験 マーシャル試験方法は、骨材の最大粒径が ダイヤルゲージ 25 ㎜以下の加熱アスファルト混合物に適用 ひずみリング されるもので、円筒形混合物供試体(直径約 フロー計 100 ㎜、厚さ約 63 ㎜)の側面を円弧形の 2 枚 載荷板 の載荷板で挟み、規定の温度(60℃の水槽で 30 分間、供試体を水浸)、規定の載荷速度(約 50 ㎜/分)により直径方向に荷重を加え、 供試 供試体 体が破壊するまでに示す最大荷重(安定度) とそれに対応する変形量(フロー値)を測定 するものである。 3)供試体特性値の求め方 図-10 マーシャル試験機 供試体特性値は、次のようにして求める。 項 目 密 度 安定度 フロー値 特性値の求め方 測定による 載荷試験による 理論最大密度 空げき率 骨材間げき率 密度とアスファルト及び骨材 の比重より計算で求める 飽和度 ◆ 密 度:締固めたアスファルト混合物供試体の密度を測定する「見かけ 密度(供試体の表面がち密で吸水しない場合)」と「かさ密度(供 試体の表面はなだらかだが吸水する場合)」に大別される。 ◆ 理論最大密度:締固めた混合物の中に全く空隙がないと仮定した時の密度。 ◆ 空 隙 率:締固めた混合物全体の体積に対して、その中に含まれる空隙 量の体積の比を百分率で表したもの。 ◆ 骨 材 間 隙 率:混合物から骨材を除いた部分の体積、すなわち空隙とアスフ ァルトで占められている体積の全体積に対する百分率をいう。 ◆ 飽 和 度:骨材の間隙中にアスファルトが占める割合をいう。 - 59 - 表-12 マーシャル安定度試験に対する基準値 混合 物の種 類 ① 粗粒 度 アスファルト 混合 物 (20) 1,000≦T ② 密 粒度 アスファルト 混 合物 (20) ③ ④ 細粒 度 密粒 度 アスファルト ギャップ 混合 物 アスファルト 混合 物 (13) (13) (13) ⑤ 密粒 度 アスファルト 混合 物 (20F) (13F) ⑥ ⑦ ⑧ 細粒 度 細粒度 密粒度 ギャップ アスファルト ギャップ アスファルト 混合物 アスファルト 混合物 混合物 (13F) 75 突固め 回数(回) T<1,000 (13F) (旧称:排水性混合物) (20) (13) (13) 75 50 50 50 空隙率 (%) 3~ 7 3~ 6 3~ 7 3~ 5 飽和度 (%) 65~ 85 70~ 85 65~ 85 75~ 85 安定度 (kN) 4.90 以上 4.90 [7.35] 以上 フロー 値 (1/100㎝ ) (13F) ⑩ 開粒度 アスファルト 混合物 ⑨ ポーラス アスファルト 混合 物 4.90 以上 2~5 3~5 3.43 以上 3.43 以上 4.90 以上 20~80 20~40 20~ 40 - 20程度 75~90 75~85 - 20~40 T:舗装計画 交通 量(台 /日 ・方 向)、 [ ]内は、 1,000≦Tで突 固め回 数75回 とする 場合の 基準値 を示す 。 ③再生加熱アスファルト混合物について ◆再生加熱アスファルト混合物とは アスファルトコンクリート再生骨材に所定の品質が得られるよう必要に応じて 補足材、新アスファルト、再生用添加剤を加えて加熱混合した混合物をいう。 主な製造方法として次のようなものがある。 Ⅰ)アスファルトコンクリート再生骨材を主体として、新アスファルト、再生 用添加剤、補足材等を加える場合。 Ⅱ)新しい材料を主体として、アスファルトコンクリート再生骨材を補足的に 使用する場合。 Ⅲ)その中間的な場合。 以上があるが、いずれの場合も通常の加熱アスファルト混合物の品質に適合しな ければならない。県内の再生アスファルト混合物の再生骨材配合率は 15%~60% 程度であり、上記Ⅱの方法で製造されている。 ◆アスファルトコンクリート再生骨材とは アスファルト廃材をクラッシャーにより粉砕し、ふるい分け(通常 0 ㎜~13 ㎜ と 13 ㎜~20 ㎜)されたもの。従って、再生骨材には旧アスファルト分が付着して いる。県内ではほとんどが 0 ㎜~13 ㎜の再生骨材を使用している。 再生骨材を再生アスファルト混合物に使用する場合の品質規格は以下のとおり。 項 目 規格 値 旧 アス フ ァル ト 含有量 ( %) 旧 アス ファ ルト 針 入度 ( 25℃ )1/ 10mm 洗い 試験 で 失わ れる 量 (% ) 3.8 以上 2 0以上 5以 下 ◆再生加熱アスファルト混合物の配合設計における再生アスファルトとは 再生アスファルトは、再生骨材に付着している旧アスファルトと新アスファルト が混合されたもので、試験室で調合し、その性質が規格を満足するか確認する必 要がある。 - 60 - (4) アスファルト混合物の品質管理概要 ([県土木施工管理基準 品質管理基準p9~13,30~35]参照) 材料(基準試験):中規模以上の工事 施工前、材料変更時 小規模以下の工事 施工前 (必須)①粒度試験(骨材ふるい分け) ②骨材の密度・吸水率試験 ③骨材の粘土塊量試験 ④粗骨材の形状試験 ⑤フィラーの粒度試験・水分量試験 ⑥アスファルトの試験(針入度、軟化点、粘度等) ⑦再生骨材(抽出後骨材粒度、旧 As 含有量、針入度、洗い試験) ⑧再生アスファルト混合物(再生アスファルトの針入度) 以上は(財)沖縄県建設技術センターおよび混合所自主管理で実施 試験練り(基準試験): マーシャル安定度試験、アスファルト抽出試験 配合設計→配合の決定、品質確認、品質管理、検査用データ取得 プラント: (必須)アスファルト抽出試験による場合 粒度(2.36mm・75μm) 中規模以上の工事:定期的及び随時(1~2 回/日) 小規模以下の工事:異常が認められたとき アスファルト抽出 中規模以上の工事:定期的及び随時(1~2 回/日) 小規模以下の工事:異常が認められたとき 温度測定 随時 ※ 印字記録による場合:全数 規格値 → アスファルト舗装要綱、プラント再生舗装技術指針、舗装再生便覧 施工: (必須)①現場密度試験 中規模以上の工事:定期的及び随時(1000 ㎡/1 個) 小規模以下の工事:異常が認められたとき 基準密度の 94%以上 (新材:X 10:96%以上、X6 :96%以上、X 3:96.5%以上) ②温度測定 随時外 ③外観検査(混合物) 目視・随時 ④現場透水試験(排水性のみ)1,000 ㎡ごと X1 0:1,000mL/15sec 以上 - 61 - ※ 工事の規模について ◆中規模以上の工事とは:管理図を書いた上での管理が可能な工事 舗装施工面積 10,000 ㎡以上あるいは 表層基層混合物使用量 3,000t以上 ◆小規模以下の工事とは:管理結果を施工管理に反映できる工事(以下のいずれか) 舗装施工面積 2,000 ㎡以上 10,000 ㎡未満 表層基層混合物使用量 500t 以上 3,000t 以下 (5) アスファルト混合物事前審査制度について アスファルト混合物事前審査制度は、アスファルト混合物の品質確認手続き等の合 理化・省力化によるコスト縮減及び自主管理による品質確保を目的とした制度である。 県内にある各混合所から申請されたアスファルト混合物について製造過程から工 場の設備、品質管理方法、配合設計、使用材料等を書類にて審査した後、実際に立入 調査を行い確認する。その時に数種類のアスファルト混合物を採取、封印し、試験機 関にて試験を実施、合否を判定する。 工事の施工において、この制度で認定されたアスファルト混合物を使用する場合は、 認定書を監督員に提出することにより、試験練り、品質管理に関する基準試験等を省 略することができる。これにより、事前審査認定混合物以外の場合は提出資料が 200 ~300 枚となるのに対して、事前審査認定混合物の場合は 2~3 枚と大幅なコスト縮 減と簡素化が図られる。 (制度の詳細及び認定混合物の詳細については参考資料を参照) (6) 舗装関係図書について 舗装関係図書について、代表的なものを以下に示す。 舗装に関する業務に携わる部署で、まだその図書を入手していない場合には、購入し た方が望ましい。 ◆ 舗装設計施工指針 平成 18 年度版 (発行:H18.2) ◆ 舗装施工便覧 平成 18 年度版 (発行:H18.2) ◆ 舗装再生便覧 平成 22 年版 (発行:H22.11) ◆ 舗装設計便覧 平成 18 年度版 (発行:H18.2) ◆ 舗装性能評価法 (発行:H18.1) ◆ 舗装の構造に関する技術基準・同解説 (発行:H13.9) ◆ 排水性舗装技術指針(案) (発行:H8.11) 上記図書は全て(社)日本道路協会発行物である。詳細は下記アドレスまで。 http://www.road.or.jp/event/index.htm - 62 - 試験方法 ① 粗骨材の比重及び吸水率試験 ② 細骨材の比重及び吸水率試験 ③ アスファルト混合物密度試験 ④ マーシャル安定度試験 - 63 - ① 粗骨材の比重及び吸水率試験 - 64 - ② 細骨材の比重及び吸水率試験 - 65 - ③ マーシャル安定度試験 - 66 - - 67 - 試験状況写真 ① 粗骨材比重・吸水試験 ② 細骨材比重・吸水試験 ③ アスファルト混合物密度試験 ④ マーシャル安定度試験 ⑤ アスファルト抽出試験 - 68 - ① 粗骨材の比重及び吸水試験-1 【試料準備】 試料を4分法により採取し、 24時間水浸させる. 【表乾状態】 水浸させた骨材の表面をタオル の上できれいに拭き取る. きれいに拭き取った状態が 表乾状態である. 【比重試験】 表乾状態の試料を計量する. 試料を金網かごに入れる. - 69 - ① 粗骨材比重・吸水試験-2 水中重量測定器具で水位を一定 に保ちながら試料の水中重量 を計る. 【吸水試験】 試料をバットにもどして 100℃~110℃で炉乾燥させる. 乾燥後、室温になるまで冷やし、 その質量を測定する. - 70 - ② 細骨材の比重及び吸水試験-1 【試料準備】 試料を4分法により採取し、 24時間水浸させる. 【表乾状態の作成】 水浸させた骨材を平らな面の上に 広げ均等に乾燥させる. スクリーニングス等乾燥しにくい 骨材についてはドライヤーを使用 する. まだ表面水が幾分残っている 状態の時から試料をフローコーン にゆるく詰め、突き棒で 25 回均等 に突きフローコーンを静かに引き 上げる. フローコーンを引き上げた状態. この場合はまだ表面水が付着 している状態. この作業を繰り返す. - 71 - ② 細骨材の比重及び吸水試験-2 先の作業を繰返して最初にスラン プした状態. この時の試料が表乾状態である. 【比重試験】 フラスコの質量をはかった後、 表乾試料を 500g、水を約 500ml の目盛りまで入れ試料中の泡 を取り除く. その後、全質量を計る. 【吸水試験】 表乾状態の試料を 500gとり 乾燥機で乾燥させた後、 計量する. - 72 - ③ アスファルト混合物密度試験-1 【供試体の空中質量測定】 室温において乾燥状態の供試体 の空中質量を計る. 【供試体の水中質量測定】 金網かごをセットする。 【供試体の水中質量測定】 水中質量測定器具にて水位を 一定に保ち越流が終了したのち 水中重量を計る. 【供試体の表乾質量測定】 水中重量を測定した供試体の 表面の水分を柔らかい布等で 手早くぬぐい、表乾重量を計る. - 73 - ④ マーシャル安定度試験 【供試体厚の測定】 印をつけた4箇所の厚みをノギス で計る. 【混合物の水浸】 供試体を 60±1℃の水槽中に 30 分浸す. 水槽から供試体を取り出す. 【供試体のセット】 円筒形の側面を下側載荷板の 内面にのせ、案内棒を通して上側 の載荷板をその上にのせる. 供試体を水槽から取り出して最大 荷重をかけるまでの時間は、30 秒 を超えないようにする 【安定度試験】 ひずみ計の荷重が最大荷重に 達し、荷重の減少を示したときに 載荷を止る. - 74 - ⑤ アスファルト抽出試験-1 【試料の準備】 アスファルトコア-から アスファルト抽出試験を行う. コア-を炉乾燥機で 30 分~40 分 暖めた後、細かくほぐす. ほぐした混合物を抽出用容器に 入れ、ろ紙をはさんで蓋をする. 【全体の質量測定】 混合物を入れた容器ごと質量を 計る.(抽出前質量) - 75 - ⑤ アスファルト抽出試験-2 【抽出試験】 三連式自動遠心抽出装置に容器 をセットし、アスファルトを分離す る.(約 2 時間 10 分) 抽出装置から取り出し室温まで 放冷した後、容器のまま質量を 計り残った骨材を取り出す. 抽出前と後の容器質量の差が アスファルト量である. 【抽出後の骨材ふるい分け試験】 容器から試料を取り出したところ. 【洗い試験】 分離された骨材を 0.075 ㎜ふるい を通して水洗いし、0.075 ㎜以下の 細粒分を洗い流す. - 76 - ⑤ アスファルト抽出試験-3 【ふるい分け試験】 洗い終わった骨材を炉乾燥した 後、質量を計りふるい分け試験 を行う. 手ふるい及び 機械振動(ロータップ式)により 骨材をふるい分ける. ふるい終わって、各ふるいに 留まる骨材の質量を測定する. - 77 - 試験結果報告書 ① 骨材比重・吸水試験 ② すりへり減量試験 ③ アスファルト混合物密度試験 ④ アスファルト抽出試験 ⑤ マーシャル安定度試験 - 78 - ① 骨材の比重・吸水試験 粗骨材の密度及び吸水率試験 JIS A 1110 試験結果報告書 2011・・・・・ 品質管理 管 材 料 の 種 類 S-13(6号砕石) 試 験 年 月 日 平成23年8 月21日 産地ま たは 鉱山名 ○○鉱山 試 幸地 さくら 工 事 名 理 番 号 (財)沖縄県建設技術センター 測 定 2 2292.0 2351.8 ② 容器質量 (g) 291.6 351.3 (g) 2000.4 2000.5 (g) 1261.2 1260.8 2.71 2.70 ①-② ④ 試料の水中質量 ③/(③-④) (㎏/l) ⑥ 表乾密度平均値 (㎏/l) ⑦ 乾燥後の試料質量 (g) ⑧ 絶乾密度 吸 水 率 1 (g) ⑤ 表乾密度 度 号 者 ① (表乾試料+容器)の質量 ③ 表乾試料質量 密 番 験 ⑦/(③-④) (㎏/l) ⑨ 絶乾密度平均値 (㎏/l) ⑩ 吸水率 (% ) ⑪ 吸水率平均値 {(③-⑦)/⑦}×100 2.71 1992.7 1993.0 2.70 2.69 2.70 0.39 (% ) 0.38 0.39 備考 表乾密度:2.45 以上 吸水率:3.0 以下 -79- ② すりへり減量試験 (舗装試験法便覧 3-4-5) ロサンゼルス試験機によるスリヘリ試験 管理番号 2011・・・・・ (JIS A 1121) (財)沖縄県建設技術センター 試験年月日 平成23年8月21日 試験者 幸地 さくら 工事名称又は調査 品質管理 試料名 S-13(6号砕石) 工事場所 採 取先又 は購入 場所 骨材の種類 砕石 鋼球の数 粒度区分 道路用砕石 鋼球の質量 試料全質量 5000±10 g 8 個 3330±25 g 500 回転数 回転 粒 度 区 分 フルイの呼び寸法で 区分した粒径の範囲(㎜) ○○鉱山 A B C D [ 道路用砕石 ] 50 ~ 40 40 ~ 25 1250 25 ~ 20 1250 2500 20 ~ 15 1250 2500 15 ~ 10 1250 S-13 について 規定されている 2500 13 ~ 5 5000 10 ~ 5 2500 5 ~ 2.5 5000 合 計 (g ) 5000 5000 5000 5000 5000 鋼球の数 (個) 12 11 8 6 8 鋼球の全重量(g) 5000±25 4580±25 3330±25 2500±25 3330±25 す り 減 リ 試 験 結 果 表 試験前試料全重量 (g) 5000.0 試験後1.7mmフルイにとどまる重量 (g) 3816.0 スリヘリ損失重量 (g) 1184.0 スリヘリ減量 (%) 23.7 規 格 (%) 30以下 備考 すりへり減量:30%以下 古生層石灰岩(黒石):20~30% 硬質砂岩(本土産):8~10% -80- -81- -82- -83- 【参考資料】 ◆ アスファルト混合物事前審査制度について - 84 - - 85 -
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