家庭における熱中症対策について

家庭における熱中症対策について
郡山市健康振興財団 野﨑洋文
梅雨が明ける7月下旬より熱さが増し、9月上旬までは、熱中症が多発する時
期です。スポーツ中や、屋外での作業中の熱中症が多発していますが、家庭では
高齢者や幼児の熱中症予防に充分気を付けて下さい。
<高齢者の注意点>
高齢者は身体の体水分量が少なく、少量の脱水症でも重症化しやすいです。ま
た温度に対する感覚が鈍く、室内でも熱中症になりやすいです。気温が30℃を
超える時は冷房も必要です。長時間冷房を使用するときは、全身の倦怠感や筋肉
痛、頭痛を来すこともあるので、タイマーを使用するのも一つの方法です。高齢
者宅では熱中症にて死亡し発見される例もありますので、室内に温度計を置き室
温が30℃以上のときは厳重注意しましょう。
<乳幼児の注意点>
乳幼児は身体の体水分量を大人よりも多く保つ必要があるのですが、体温調節
機能が未熟なため熱中症に罹り易いです。自動車の中に一人にして死亡した例も
時々報道されています。自宅の部屋でも暑い時期は一人にしないで、時々様子を
見てください。
<熱中症の予防>
●28℃以上の気温では普段運動をしていない人は運動を控えましょう。
●涼しい服装で、帽子や日傘を利用しましょう。
●水分はスポーツドリンクを含めこまめに摂取してください。
※塩分を摂らず、水やお茶だけ飲んでも細胞が膨らむだけで、細胞外液の水分
量が足りず効果が有りません。
●日影があればこまめに休みましょう。
●冷房の効いた部屋から急に暑い外部に移動するとめまいを感じることもあり
ますので、体を暑さに慣らしてから暑い場所に移動しましょう。
<熱中症への対応策>
軽度の熱中症:症状としてはめまい、立ちくらみ、汗が止まらない、筋肉痛など
です。涼しい場所に移動し、体を冷やし、水分と塩分を補給しましょう。
中度の熱中症:症状は頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱感です。急いで水分と塩分を
飲みましょう。頭部,頸部,ソケイ部を冷却しましょう。
重度の熱中症:意識がない、けいれんがある、体温が高い、まっすぐ歩けないと
きは重症で、救急車を要請し病院で治療を受けてください。体温は汗や血管が収
縮し高く表示されない場合も有りますが、39℃以上になると痙攣発作の出現、
脳障害、肝臓・腎臓の重篤な合併症を招くことが多いので早めの治療が必要です。
今年は外国で40℃以上の熱波が襲来し多くの人々が死亡しておりますの
で、周囲の人に目を配り、熱中症の予防に注意しましょう。
食中毒について
(公財)郡山市健康振興財団
医師
野﨑 洋文
食中毒とは、人が有害・有毒な微生物や化学物質等の毒素を含む飲食物を摂取
した結果おこる、下痢や嘔吐、発熱などの疾病の総称をいいます。
梅雨から夏にかけては最も食中毒の発生件数が多くなります。この時期は細菌
性中毒が主ですが、冬期はノロウイルスの感染が多いです。
食中毒は集団で発生する場合が多いですが、家庭でも発生しますので、食中毒
予防に注意しましょう。
《主な原因菌》
カンピロバクター :気を付けたい食品は、食肉(特に鶏肉)、飲料水、生野菜など
です。症状は頭痛、倦怠感、発熱の後腹痛、激しい下痢です。感染から発病まで
は1~7日と長いです。この菌は通常の過熱調理で死滅出来ます。
サルモネラ菌:気を付けたい食品は生肉、特に鶏肉と生卵です。症状は激しい腹
痛、下痢発熱,嘔吐などです。夏は自家製のマヨネーズも注意して下さい。感染
から発病までは6~72時間です。
病原性大腸菌:気を付けたい食べ物は肉類とその加工品、生野菜、漬物です。症
状は下痢、発熱、重症化すると激しい腹痛と血便を伴います。感染から発病まで
は数日~8日です。O-157 は腸管出血性大腸菌の1種で、人から人へ感染するこ
ともあります。
熱い時期の食中毒は下痢で脱水症を合併し易いので、小児や高齢者は早めに医療
機関を受診しましょう。
食中毒予防の3原則は1)菌を付けない(清潔を保つ)、2)菌を増やさない、
3)菌を殺す(加熱など)です。
《予防のポイント》
●生ものは新鮮なうちに食べ、魚や肉類は過熱して食べたほうが安全です。
●野菜類は生で食べる時は、水道の流水で十分洗って下さい。
●魚や肉類を調理した後の包丁、まな板は流水で十分に洗った後に、生で
食べる物を調理して下さい。
●冷蔵庫や消毒薬を過信しないで、新鮮なうちに食べ、水道水で洗うことを
心がけましょう。