Local theta correspondences and Plancherel measures

LOCAL THETA CORRESPONDENCES AND
PLANCHEREL MEASURES
市野 篤史 (ICHINO, ATSUSHI)*
1. Introduction
このノートでは, p 進体上の局所テータ対応における Plancherel 測
度の対応について考察する. 筆者は [4] において, ユニタリ群よりなる
reductive dual pair (U (n, n), U (n, n)) について, 局所テータ対応をある
種の緩増加表現に対して R 群を用いて具体的に記述した. この結果をさ
らに一般化, つまり離散系列表現に関する対応を既知として, 緩増加表
現に関する対応を決定することを考える. まず最初に, 緩増加表現を R
群の言葉で表すために絡作用素を正規化しなくてはならない. このため
に Plancherel 測度の対応を具体的に計算する必要が生じた. 以下では,
この計算結果と手法を解説する. また簡単な応用として, supercuspidal
表現に対して, ある種の誘導表現の可約点から first occurrence index の
情報が得られるので, これについても述べる.
2. 局所テータ対応
F を p 進体として, 自明でない F の指標 ψF を固定する. ω = ωψF
を Mp r の Weil 表現とする. 但し,
1 −→ C1 −→ Mp r −→ Sp r −→ 1
は metaplectic extension である. G × G0 ⊂ Sp r を reductive dual pair
とする.
例 2.1.
• G = O(V ), G0 = Sp n0 .
• G = U (V ), G0 = U (V 0 ).
(V 二次形式付き空間)
(V エルミート形式付き空間)
(V 0 歪エルミート形式付き空間)
以下では splitting G × G0 ,→ Mp r が存在すると仮定する. 次の定理
は Howe [3] によって予想され, Waldspurger [10] により p 6= 2 の仮定
のもとで一般に証明された.
*大阪市立大学大学院理学研究科.
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市野 篤史
定理 2.2 (局所テータ対応). π を G の既約許容表現で
HomG (ω|G , π) 6= 0
をみたすものとする. このとき, G0 の既約許容表現 π 0 で
HomG×G0 (ω|G×G0 , π ⊗ π 0 ) 6= 0
をみたすものが存在し, π 0 の同型類は一意的に定まる.
この定理より, 写像
θ : Π(G) −→ Π(G0 ) ∪ {0}
が定まる. 但し Π(G) は G の既約許容表現の同型類全体の集合である.
我々は, この写像 θ を具体的に記述をすることに関心がある.
3. 主結果
F を p 進体, E を F の二次拡大とする. ²E/F によって局所類体論
で二次拡大 E/F に対応する F × の指標を表す.
Vn = (E m , Q)
を Witt 指数 n の E 上の m 次元エルミート形式付き空間,
µ
¶
1n0
0
m0
Vn0 = (E ,
)
−1n0
を Witt 指数 n0 の E 上の m0 次元歪エルミート形式付き空間とす
る. 但し m0 = 2n0 である. 以下, reductive dual pair (H, H 0 ) =
(U (Vn ), U (Vn00 )) を考える. E × の指標 χ で, χ|F × = ²m
E/F となるも
0
のを固定する. このとき, Kudla [6] は splitting H × H ,→ Mp mm0 を構
成した. この splitting は ψF と χ の取り方によることに注意する.
l ∈ N を固定し,


1l
)
Q
Vn+l = (E m+2l , 
1l
を Witt 指数 n + l の E 上の m + 2l 次元エルミート形式付き空間,
¶
µ
1n0 +l
0
m0 +2l
)
Vn0 +l = (E
,
−1n0 +l
を Witt 指数 n0 + l の E 上の m0 + 2l 次元歪エルミート形式付き空間と
する. 我々は, さらに reductive dual pair (G, G0 ) = (U (Vn+l ), U (Vn00 +l ))
を考える. P = M U を G の極大放物型部分群で, その Levi 部分群 M
が GLl (E) × H と同型なものとする. 同様に P 0 = M 0 U 0 を G0 の極大
放物型部分群で, その Levi 部分群 M 0 が GLl (E) × H 0 と同型なものと
する.
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π, π 0 , σ をそれぞれ H, H 0 , GLl (E) の離散系列表現とする. s ∈ C
に対し σs = σ ⊗ | det |sE とおき, 誘導表現 I(σs ⊗ π) = IndG
P (σs ⊗ π) と
G0
0
0
0
I (χσs ⊗ π ) = IndP 0 (χσs ⊗ π ) を考える.




1l
1l


1n0
 ∈ G0 .

 ∈ G, w0 = 
1m
w=
 −1l

1l
1n0
とおく. I(σs ⊗ π) の正則な section f (s) に対し, 絡作用素を
Z
(s)
M (w, σs ⊗ π)f (g) =
f (s) (w−1 ug) du
U
によって定義する. この積分は Re(s) > 0 ならば絶対収束して, C 全体
に有理型に解析接続される. さらに µ(σs ⊗ π) を Plancherel 測度とす
ると,
M (w−1 , w(σs ⊗ π))M (w, σs ⊗ π) = µ(σs ⊗ π)−1 γ(G/M )2
が成り立つ. G0 に関しても同様の等式
M (w0−1 , w0 (χσs ⊗ π 0 ))M (w0 , χσs ⊗ π 0 ) = µ(χσs ⊗ π 0 )−1 γ(G0 /M 0 )2
が成り立つ.
ψ = ψF ◦ trE/F によって E の指標を定める. σ の L 因子と ² 因
子を, それぞれ L(s, σ), ²(s, σ, ψ) と書く. また, a ∈ GLl (E) に対して
t −1
σ̄ (a) = σ(t ā−1 ) とおく.
定理 3.1.
HomH×H 0 (ω|H×H 0 , π̃ ⊗ π 0 ) 6= 0
と仮定する. 但し π̃ は π の反傾表現を表す. このとき
m0 − m + 1
c=
2
とおくと,
µ(σs ⊗ π)γ(G/M )−2
= µ(χσs ⊗ π 0 )γ(G0 /M 0 )−2
× ²(s + c, σ, ψ̄)L(1 − s − c, t σ̄ −1 )L(s + c, σ)−1
× ²(−s + c, t σ̄ −1 , ψ)L(1 + s − c, σ)L(−s + c, t σ̄ −1 )−1
が成り立つ.
この定理により, 絡作用素 M (w, σs ⊗ π) と M (w0 , χσs ⊗ π 0 ) の正
規化因子の間の関係が分かる. さらにある仮定の下では (例えば σ が
Steinberg 表現でなければよい), 以下で述べる命題 4.3 と補題 4.4 より,
誘導表現 I(σ ⊗ π) と I 0 (χσ ⊗ π 0 ) の既約成分がそれぞれテータ対応で
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市野 篤史
対応していることが分かり, それは R 群を用いて (標準的にではない
が) 記述することもできる. しかし一般の緩増加表現に対しては, 例え
ば G と G0 で R 群の位数が異なる場合に困難が生じ, 現時点では問題
の解決に至っていない.
4. 証明
計算の手法は [4] で用いたものと本質的に変わらないので, 概略だけ
を述べる.
H×H 0 の Weil 表現 ω0 を S0 = S(Mm,n0 (E)) 上の Schrödinger 模型と
して実現する. 同様に, G × G0 の Weil 表現 ω を S = S(Mm+2l,n0 +l (E))
上の Schrödinger 模型として実現する. G × G0 準同型
0
0
F : ω −→ IndG×G
∆GLl (E)(H×H 0 )(U ×U 0 ) (χ ⊗ ω0 ⊗ 1U ×U )
Φ 7−→ [(g, g 0 ) 7→ F (g, g 0 ; Φ)]
を
F (g, g 0 ; Φ)(x0 )
Z
Z
=
v1 ∈Ml (E)


v1 v2
ω(g, g 0 )Φ  0 x0  ψ(tr(v1 )) dv2 dv1
v2 ∈Ml,n0 (E)
0 0
によって定める. 但し, g ∈ G, g 0 ∈ G0 , Φ ∈ S, x0 ∈ Mm,n0 (E) である.
仮定より
HomH×H 0 (ω0 ⊗ π, π 0 ) ' HomH×H 0 (ω0 , π̃ ⊗ π 0 ) 6= 0
である. ゼロでない H × H 0 準同型 t : ω0 ⊗ π → π 0 を固定し, t を自
然に
t : ω0 ⊗ σs ⊗ π −→ σs ⊗ π 0
に拡張する. g 0 ∈ G0 , Φ ∈ S, I(σs ⊗ π) の正則な section f (s) に対して
Z
1
0
(s)
t(F (g, g 0 ; Φ), f (s) (g)) dg
T (g ; Φ, f ) =
L(s + c, σ) U H\G
とおく.
補題 4.1. Re(s) À 0 のとき T (g 0 ; Φ, f (s) ) は絶対収束して, C 全体に
正則に解析接続される.
証明は, 岩澤分解を使って Godement-Jacquet [1] による GLl (E) の
zeta 積分に積分を変形すればよい. この補題により, T は G × G0 準
同型
T : ω ⊗ I(σs ⊗ π) −→ I 0 (χσs ⊗ π 0 )
を定めていることが分かる. さらに関数等式を用いると, T の別の積分
表示も得られる.
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補題 4.2. g ∈ G, g 0 ∈ G0 , Φ ∈ S, x0 ∈ Mm,n0 (E) に対し


Z
1l v2
F̂ (g, g 0 ; Φ)(x0 ) =
ω(g, g 0 )Φ  0 x0  dv2
v2 ∈Ml,n0 (E)
0 0
とおく. このとき, Re(s) ¿ 0 に対し
T (g 0 ; Φ, f (s) ) = ωσ (−1)²(s + c, σ, ψ)−1 L(1 − s − c, σ̃)−1
Z
×
t(F̂ (g, g 0 ; Φ), f (s) (g)) dg
U H\G
が成り立つ.
補題 4.1, 4.2 を用いて直接計算することにより, 次が得られる.
命題 4.3.
γ l M (w0 , χσs ⊗ π 0 )T (Φ, f (s) )
= ωσ (−1)²(−s + c, t σ̄ −1 , ψ)L(1 + s − c, σ)L(s + c, σ)−1
× T (Φ, M (w, σs ⊗ π)f (s) )
が成り立つ. 但し γ は Weil constant, ωσ は σ の中心指標である.
この命題を 2 回適用することによって, 定理 3.1 は得られる. ここ
で, 最後に T (Φ, f (s) ) を cancel するために, 次の補題を用いた.
補題 4.4. f (s) 6= 0 を I(σs ⊗ π) の正則な section で, その K への制限
は s によらないものとする. このとき, Φ ∈ S, ṽ ∈ σ̃, ũ0 ∈ π̃ 0 で
hT (1; Φ, f (s) ), ṽ ⊗ ũ0 i ∼ L(1 − s − c, σ̃)−1
となるものが存在する.
5. 応用
この章では π, π 0 は supercuspidal, σ は ユニタリ supercuspidal 表
現で σ ' t σ̄ −1 をみたすと仮定する. この場合, 誘導表現 I(σs ⊗ π) の
可約点は, Plancherel 測度 µ(σs ⊗ π) によって完全に決定される. この
事実を用いて, 可約点と first occurrence index の関係を調べる.
定理 5.1 (Harish-Chandra [8]).
√
(i) s 6∈ −1R に対し, µ(σs ⊗ π) 6= 0 が成り立つ.
(ii) I(σ ⊗ π) は既約 ⇐⇒ µ(σ ⊗ π) = 0.
(iii) s0 ∈ R>0 に対し,
I(σs0 ⊗ π) は可約 ⇐⇒ µ(σs ⊗ π) は s = s0 で極を持つ.
定理 5.2 (Silberger [9]). I(σs0 ⊗ π) が可約となる s0 ∈ R≥0 がただひ
とつ存在する.
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市野 篤史
以下,
HomH×H 0 (ω|H×H 0 , π̃ ⊗ π 0 ) 6= 0
と仮定する. π, π 0 は supercuspidal としているので, π 0 を与えれば m
は一意的に定まることに注意する [5], [7]. l = 1, σ = 1 に対し定理 3.1
を適用すると,
ζ(1 − s − c) ζ(1 + s − c)
µ(1s ⊗ π) ∼ µ(χs ⊗ π 0 )
ζ(s + c)
ζ(−s + c)
−s −1
となる. 但し ζ(s) = L(s, 1) = (1 − qE
) とおいた. 一方
ζ(1 − s − c) ζ(1 + s − c)
ζ(s + c)
ζ(−s + c)
の R 上の極は
s = ±(c − 1),
R 上の零点は
s = ±c
であり, これらは m 6= m ならば cancel しない. よって, 定理 5.1, 5.2
から次が得られる.
0
系 5.3. m 6= m0 と仮定する. s00 ∈ R≥0 を I 0 (χs00 ⊗ π 0 ) が可約となるよ
うにとる. このとき
s00 = |c|,
つまり
m ∈ {m0 + 1 ± 2s00 }
が成り立つ.
References
[1] R. Godement and H. Jacquet, Zeta functions of simple algebras, Lecture Notes
in Mathematics 260, Springer-Verlag, 1972.
[2] M. Harris, S. S. Kudla, and W. J. Sweet, Jr., Theta dichotomy for unitary
groups, J. Amer. Math. Soc. 9 (1996), 941–1004.
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and L-functions, Proc. Sympos. Pure Math. 33-1, Amer. Math. Soc., 1979,
pp. 275–285.
[4] A. Ichino, On the local theta correspondence and R-groups, preprint, 2002.
[5] S. S. Kudla, On the local theta-correspondence, Invent. Math. 83 (1986), 229–
255.
, Splitting metaplectic covers of dual reductive pairs, Israel J. Math. 87
[6]
(1994), 361–401.
[7] C. Mœglin, M.-F. Vignéras, and J.-L. Waldspurger, Correspondances de Howe
sur un corps p-adique, Lecture Notes in Mathematics 1291, Springer-Verlag,
1987.
[8] A. J. Silberger, Introduction to harmonic analysis on reductive p-adic groups,
Princeton University Press, 1979.
LOCAL THETA CORRESPONDENCES AND PLANCHEREL MEASURES
[9]
7
, Special representations of reductive p-adic groups are not integrable,
Ann. of Math. 111 (1980), 571–587.
[10] J.-L. Waldspurger, Démonstration d’une conjecture de dualité de Howe dans
le cas p-adique, p 6= 2, Festschrift in honor of I. I. Piatetski-Shapiro on the
occasion of his sixtieth birthday, Part I, Weizmann, 1990, pp. 267–324.
〒 558-8585 大阪市住吉区杉本 3-3-138
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