「インパルス応答計測の基礎」 - 東京電機大学 音響信号処理研究室

音響学会第141回技術講習会
①
②
③
④
⑤
⑥
「インパルス応答計測の基礎」
2015. 8. 28
東京電機大学
金田 豊
[email protected]
http://www.asp.c.dendai.ac.jp/
2
1
目次
インパルス応答
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音誤差要因
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
測定の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
信号処理の基礎
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
いろいろな測定信号
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
2
0
-2
-4
50
0.02
0.01
0
非線形歪
D(ω)
-0.01
-0.02
0.05
0.1
0.15
250
300
4
インパルス応答
雑音
測定信号
N(ω)
s(t)
+
+
被測定系
H(ω)
S(ω)
0.03
0
200
講習の概要
by TDU in 2013
-0.04
150
Time (ms)
3
0.04
-0.03
100
8.むすび
0.05
Amplitude
0
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
インパルス応答測定技術・研究の目標
-0.05
HRTF by MIT Media Lab., in 1996
4
様々な測定環境において
・ SN比がより高く
(=短時間)
・ 不自然な測定誤差の少ない
インパルス応答測定の実現
0.2
0.25
Time (s)
0.3
0.35
0.4
0.45
観測信号
逆フィルタ
1/S(k)
H(ω)・S(ω)
+D(ω)
+N(ω)
H(ω)
+D(ω)/S(ω)
+N(ω) /S(ω)
フーリエ変換
①
②
③
④
0.5
5
インパルス応答と、測定原理
各種測定信号(TSPほか)
測定誤差と雑音抑圧効果
測定上の注意点(AD/DA)
インパルス応答
6
1
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
インパルス信号 δ(t) の定性的イメージ
(アナログ)
τ→ 0
1/τ
t
0
幅が 0で高さが∞
積分値が1のパルス
0
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
7
8
δ(t) の性質
定義
定義

∞ (t=0)
0 (t≠0)
8.むすび

参考文献番号(巻末)

δ(t) =
t
インパルス信号(デルタ関数) δ(t)
の数学的定義 [1.1]

面積を 1 に保ちながら、
パルス幅τをゼロとする
面積 1(一定)
τ


 (t )  f (t ) dt  f (0)
 (t )  f (t ) dt  f (0)
◇ f (t )  1

デルタ関数は、
ある関数 f(t) に掛けて積分すると
その関数の t=0 の値 を与える
「汎関数(超関数)」



 (t ) 1 dt     (t ) dt   f (0)  1

◇ f (t )  e



 j t


→ 面積は 1
 (t )  e  j t dt  e  j 0  1
→ δ(t)のフーリエ変換は 1 (白色スペクトル)
9
10
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
1.2 インパルス応答
0
δ(t)
t
線形
時不変系
h(t)
インパルス信号δ(t)を入力したときの出力 h(t)で、
線形時不変系(スピーカや室内音響系など)においては、
系の特性の全情報を含む、重要な物理量
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
11
12
2
線形系とは
x1(t)
系
x2(t)
時不変系とは
y1(t)
時間が経っても特性が変化しない系
y2(t)
の時、
以下が成立
系
c・x1(t)
定数倍
系
系
y (t)
x (t -τ)
系
y (t -τ)
c・y1(t)
比例
x1(t)+x2(t)
x (t)
y1(t)+y2(t)
時間τの後に、同じ入力を入れれば、
同じ出力が出てくる系
和
和
13
14
線形・時不変系の性質 (1)
線形
時不変系
h(t)
x(t)
たたみ込みのイメージ
入力
x(t)
y(t)
時間
t
インパルス応答
h(t)
系の出力 y(t) は、
入力 x(t) とインパルス応答 h(t) との
(直線)たたみ込み演算の関係にある

たたみ込みの
詳しい説明は
省略
y (t )   h( )  x(t   ) d

t

y (t )   h( )  x(t   ) d
出力
y(t)

t
‘ひびき’の重なりを
表す式
h(t) がわかれば、あらゆる入力 x(t) に対する
出力 y(t) は、計算で求められる
15
線形・時不変系の性質 (2)
正弦波を入力した時には、
同じ周波数の正弦波を出力する。
周波数特性 H(ω) の定義
→ 証明は
付録 1.2-1
y (t)
x (t)
t
t
線形
時不変系
16
t
その振幅と位相の変化を表したものが
系の周波数特性 H(ω)
入
力
x(t)
X(ω)
線形
時不変系
y(t)
Y(ω)
出
力
H(ω)
H ( ) 
Y ( )
X ( )
X(ω): 入力信号のスペクトル(フーリエ変換)
Y(ω): 出力信号の 〃
(
〃
)
17
※ 線形系では、H(ω)は、X(ω)に依存しない
18
3
周波数特性 H(ω) の効果
インパルス応答と周波数特性
(入力がインパルス)
入
力
x(t)
X(ω)
y(t)
線形
時不変系
出
力
Y(ω)
x(t)=δ(t)
線形
時不変系
X(ω)=1
H(ω)
Y ( )
H ( ) 
X ( )
(インパルス応答)
y(t)
Y(ω)
H(ω)
Y ( )  H ( ) X ( )
Y ( )  H ( )  X ( )  H ( )
入力の周波数成分 X(ω)は、
H(ω)倍される
インパルス応答 y(t) のフーリエ変換Y(ω)
は周波数特性 H(ω) である
19
20
インパルス応答と周波数特性の測定例
インパルス応答の有用性
80
① 周波数特性(スピーカ、室内伝達特性、・・・)
70
相対音響出力[dB]
60
スピーカ
マイク
② 室内音響評価量 [1.3, 1.4]
50
40
残響時間、初期反射音評価量(D50, C80,・・・)
|H(f)|
30
③ シミュレーション(建築音響、HRTF(立体音響)、・・・)
20
0°
90°
10
0
インパルス応答測定
h(t)
スピーカの
インパルス応答
2 .6 5
2 .7
100
1k
周波数[Hz]
10k
④ 制御系設計 [1.2]
音場制御、逆フィルタリング
スピーカの
伝達関数
(周波数特性)
フーリエ変換
2 .7
4
x 10
21
22
正弦波入力に対する、時不変な非線形系の出力
音響系は線形系?
正弦波を入力した時には、同じ周波数および
その整数倍周波数の成分(高調波歪)を出力する
室内音響系、スピーカなどの音響機器は、
ほぼ線形時不変系
しかし、
出力
*) 整数倍以外の周波数は発生しない
非線形
部分
x (t)
t
若干の非線形特性や
時変性が含まれており、
y (t)
入力が正弦波
入力
振
幅
0 f
1
23
t
基本波応答
振
幅
後述するように測定誤差が発生
出力は周期
時不変な
非線形系
周波数
k
2次歪
高調波
歪
3次歪
・・・ 周波数
0 f 2f 3f
1
1
1
k
証明は付録
24
4
線形・時不変系のまとめ
測定理論は線形・時不変系が前提
・ インパルス応答の前提
・ 以下では、理論的な説明は
・ 系の出力 y(t) は、
「線形・時不変系」を前提
入力 x(t) と インパルス応答 h(t) とのたたみ込み
・ 以下、「線形系」と略称
・ 出力信号スペクトル Y(ω)は、
・ 非線形特性は、線形時不変系の
周波数特性 H(ω) と 入力信号スペクトルX(ω)の積
微小誤差要因と考える
・ 周波数特性 H(ω)は
インパルス応答 h(t) のフーリエ変換
・ 非線形系に対する正弦波入力の出力は
高調波歪(倍音)が発生
25
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
26
ディジタル系のインパルス信号
(インパルス信号) δ(t)
アナログ
27
(単位サンプル信号) δ(n)
ディジタル
δ(t)
時間 0 で値1、
その他の点では
値 0 の信号
n
n: 離散時間
注:ディジタル信号と離散時間信号に関しては付録参照
アナログ
δ(t)
理想
LPF
◇ δ(n) とδ(t) は等価
有限の高さ
28
δ(t)を
帯域制限して
標本化したものが、
単位サンプル信号δ(n)
0~fs/2
sinc 関数
である。
δ(n)
t: 連続時間
δ(t) と δ(n) の等価性
◇δ(t) の物まね
ではない。
t
0
1
0
δ(t) と δ(n)
∞
t
0
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
幅が 0で高さが∞
積分値が1のパルス
∞
δ(n) は、δ(t) と等価
A/D fs: サンプリング周波数
1
0
n
δ(n) も
インパルス信号と呼ぶ
ディジタル
δ(n)
29
単位サン
プル信号
δ(n)
時間
0
30
5
「1章 インパルス信号とインパルス応答」 のまとめ
ディジタル系におけるインパルス応答
・ インパルス信号(デルタ関数)
実世界はアナログ系
δ(n)
系
D/A
A/D
k
0

h(n)


k
DA,AD や付属するフィルタなどの
特性も含まれる
PC
31
 (t )  f (t ) dt  f (0)
・ インパルス応答
インパルス信号を、線形・時不変系に入力した
ときの出力
・ 周波数特性 H(ω)は、インパルス応答h(t)の
フーリエ変換 ⇒ 等価量
・ 離散時間系(ディジタル系)のインパルス信号δ(n)は
単位サンプル信号 [・・・ ,0,0,0,1,0,0,0, ・・・]
・ ディジタル系のインパルス応答には、ADやDA などの
特性が含まれる
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
すべての信号は、
さまざまな周波数の正弦波の和で出来ている
周期信号の例
f (t )  a0  a1 sin( 2  f 0t  1 )  a2 sin( 2 2 f 0t   2 )
 a3 sin( 2  3 f 0t   3 )  
周波数 f0
振幅は a1
分析(分解)
+
33
34
信号とスペクトル
信号
正弦波
正弦波
f (t )
分析(分解)
振幅
500Hz の正弦波 1
時間
合成
振幅
1000Hzの正弦波 0.5
500Hz の正弦波 1
時間
周波数 3・f0
振幅は a3
8.むすび

1500Hzの正弦波 0.3
フーリエ変換
合成
フーリエ逆変換

F ( )   f (t )  e  j t dt

周波数 2・f0
振幅は a2
+
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
フーリエ変換

F ( )   f (t )  e  j t dt
f (t )
32
信号と正弦波
信号の「分析」と「合成」
信号
⇒ 白色性
1000Hzの正弦波 0.5
2000Hzの正弦波 0.25
1
1500Hzの正弦波 0.3
フーリエ
逆変換
2000Hzの正弦波 0.25
35
振
幅
スペクトル
0.5
F ( )
正弦波の成分表
0.3
0 ω1 2ω1 3ω1
・・・
周波数
ω
36
6
代表的な時間-周波数変換の分類
時間信号
周波数
スペクトル
フーリエ変換
連続
連続
フーリエ級数
連続*
離散
z変換
離散
連続*
DFT
離散*
離散*
DFT(離散フーリエ変換)
・ コンピュータで計算できる実用的フーリエ変換
・ FFT (Fast Fourier Transform)は
DFT を計算するための高速アルゴリズム
・ N点の時間信号 x(n) から
N点の離散周波数でのスペクトルX(k)を計算
アナログ
x(n)
ディジタル
DFT:Discrete Fourier Transform
(離散フーリエ変換)
*: 周期 または 有限
37
FT スペクトルの積 と DFT スペクトルの積
・ フーリエ変換(FT)
アナログ X(ω)
x(t)
x(n)
x(n)
積
h(n)
時間
n
*
y(t)=h(t)*x(t)
=
N
y(n)=h(n)*x(n)
n
N
n
*
円状
たたみ込み
円状たたみ込みの実現
N
H(k)
=
直線
たたみ込み
N
N
2周期目
3周期目
y(n)
n
2周期目を切り出したものが
円状たたみ込みになっている
n
N
40
DFTスペクトルの積と時間信号
◇ 円状たたみ込みは、入力信号を周期化し、
直線たたみ込みをすることで実現できる
x(n)
x(n)
h(n)
1周期目
長さN
=
39
N
N
N
◇ 円状たたみ込み(巡回たたみ込み)
直線たたみ込みで N 点からはみ出た部分を、
時間前方から回り込んで加算
x(n)
h(n)
y(n)
DFTスペクトル の積は、信号の円状たたみ込みに対応
N
n
厳密には2N-1
インパルス応答長だけ
信号長が増加
積
*
長さ2N
y(n)
n
N
円状たたみ込み
時間
n
38
直線
たたみ込み
Y(k)=H(k)・X(k)
H(k)
h(n)
以下、
「周波数」
と略称
◇ (直線)たたみ込み 音のひびきのようなもの (物理系)
(直線)たたみ込み
・ DFT
ディジタル X(k)
k:周波数番号
(直線)たたみ込みと円状たたみ込み
Y(ω)=H(ω)・X(ω)
H(ω)
h(n)
X(k)
 X (1) 
DFT
 X ( 2) 


 X (3) 
逆DFT   


 X ( N )
 x(1) 
 x ( 2) 


 x(3) 


  
 x( N )
2周期目からはみ出た
ものと同じ信号が
1周期目から
はみ出て加算される
41
 H (1) 
 H ( 2) 


 H (3) 


  
 H ( N )
X(k)
×
 X (1) 
 X ( 2) 

=
 X (3) 


  
 X ( N )
Y(k)
 Y (1) 
 Y ( 2) 


 Y (3) 

 逆DFT
  
 X ( N )
y(n)
 y (1) 
 y ( 2) 


 y (3) 


  
 y ( N )
・ DFTスペクトルの積を逆DFTした時間信号の長さはN
N点の時間信号 x(n) と N点の時間信号 h(n) とを
円状たたみ込みしたもの
42
7
目次
補足
X(k)
x(n)
Y(k)=H(k)・X(k)
H(k)
h(n)
y(n)=h(n)*x(n)
円状たたみ込み
補足1:
ディジタルでも時間領域で計算すれば、
直線たたみ込みが実行できる y(n)=h(n)*x(n)
(演算時間が大きい)
補足2:
各信号にゼロを付加すれば、DFT の積でも、
直線たたみ込みになる (円状=直線となる)
[x(n), 0・・・0] → X(k) [h(n), 0・・・0] →H(k)
(サイズが増加する)
43
定義どおりの測定(パルス法)の問題点
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
44
インパルス応答測定系の周波数表現
インパルス応答
h(t)
インパルス信号
δ(t)
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
時間
表現
被測定系
問題点:
・ パルス信号のエネルギーが小さいのでSN比が悪い
・ 信号の振幅を大きくすると非線形誤差が発生
解決策:
継続時間を長くしてエネルギーを大きくした
「測定信号」の利用が有効
インパルス信号
δ(t)
周波数
表現
インパルス応答
h(t)
被測定系
H(ω)
1
H(ω)
・ 周波数特性 H(ω) はインパルス応答 h(t)と等価量
・ H(ω) を得れば、その逆フーリエ変換で h(t)は計算できる
・ 以下、H(ω)を求める問題として説明する
45
46
測定信号発生フィルタを用いた測定
インパルス信号
測定出力
s(t)
δ(t)
1
測定信号
発生フィルタ
S(ω)
被測定系
H(ω)
S(ω)
測定信号発生フィルタを用いた測定
インパルス応答
h(t)
δ(t)
逆フィルタ
1/S(ω)
H(ω)・S(ω)
1
H(ω)
測定信号
s(t)
測定信号
発生フィルタ
S(ω)
測定出力
被測定系
H(ω)
S(ω)
インパルス応答
h(t)
逆フィルタ
1/S(ω)
H(ω)・S(ω)
H(ω)
毎回同じ計算
直列特性は、S(ω)・H(ω)・1/S(ω)=H(ω)
信号エネルギーを
増加させる
増幅効果を持つ
インパルス信号
被測定系の前後に
2つのフィルタ
・ フィルタを入れても結果は同じ
47
48
8
測定信号を用いた測定の問題点
測定信号
s(t)
あらかじめ
合成した
測定信号 S(ω)
測定出力
被測定系
H(ω)
S(ω)
DFT周波数領域で考える
インパルス応答
h(t)
S(k)
逆フィルタ
1/S(ω)
H(ω)・S(ω)
解決策:
DFT逆フィルタの利用
49
DFT周波数領域で考える
H(k)
ただし、
長さ N の安定な
DFT 逆フィルタは DFTスペクトルの積 逆フィルタが存在
に対する逆フィルタ
⇒ 信号とインパルス応答のDFTスペクトルの積は、
円状たたみ込みに対応
⇒ しかし、物理系での入出力関係は
直線たたみ込み
50
物理系での円状たたみ込みの実現(再)
◇ 円状たたみ込みは入力信号を周期化することで実現できる
コンピュータ
s(n)
測定信号
S(k)
コンピュータ
被測定系 Y(k)=H(k)・S(k)
DFT
h(n)
逆フィルタ
H(k)
1/S(k)
H(ω)
問題点:
一般に、逆フィルタ特性 1/S(ω) は無限時間応答で、
正確な逆フィルタは実現できない
また、フィルタの安定性も保証されていない
物理系
物理系
測定信号
被測定系 Y(k)=H(k)・S(k)
DFT
h(n)
逆フィルタ
H(k)
1/S(k)
s(n)
h(n)
時間
n
H(k)
=
*
直線
たたみ込み
N
N
1周期目
N
2周期目
3周期目
y(n)
n
⇒ 物理系で円状たたみ込みを実現する必要性
⇒ 入力を周期化する
2周期目を切り出したものが
円状たたみ込みになっている
2周期目からはみ出た
ものと同じ信号が
1周期目から
はみ出て加算される
51
52
DFT逆フィルタを用いた測定
測定信号
s(n) s(n)
物理系
(直線たたみ込み)
測定出力
インパルス応答
y(n)
コンピュータ
N
N
被測定系
h(k)
H(k)
S(k)
N≧ h(n) の長さ
H(k): h(n) の N点DFT
2周期目
N点DFT
測定手順
逆フィルタ
1/S(k)
Y(k)
=H(k)・S(k)
1/S(k)
h(n)
信号長 N の決定
・ インパルス応答の長さ Lh より
長く定める必要
測定信号 s(n) の合成
・ Lh の 1.5~2倍以上にしておく
のが無難
s(n) を2周期再生し
録音信号の2周期目を
切り出す
逆DFT
H(k)
逆フィルタと逆DFTの計算
2周期再生して2周期目を
切り出してDFT
・ Lh は予備測定や予測で得る
・ N は大きいほどSN比が向上
するが、長すぎると、系の時変
性が無視できなくなる場合が
ある(数分を越えるような測定)
インパルス応答の切出し
53
54
9
測定手順
測定手順
信号長 N の決定
信号長 N の決定
測定信号 s(n) の合成
s(n) を2周期再生し
録音信号の2周期目を
切り出す
・ 各種測定信号の具体的合成
方法は次章(3章)で述べる
測定信号 s(n) の合成
・ 切り出された N 点の信号を
DFT したもの Y(k) に、
s(n) を DFT したもの S(k)を
除算し、それを逆DFT すること
で、インパルス応答 h(n) が得
られる
s(n) を2周期再生し
録音信号の2周期目を
切り出す
・ 被測定系との円状たたみ込み
の実行
逆フィルタと逆DFTの計算
逆フィルタと逆DFTの計算
インパルス応答の切出し
インパルス応答の切出し
・ 雑音のみの時間区間を切り捨
てることでSN比を向上する
(5章)
55
2周期再生の必要性 再考
1周期+Lh の再生
物理系で
DFTスペクトルの積
有限長の
アナログ逆フィルタが
存在しない
56
1周期目 2周期目 3周期目
Lh
Lh
Lh
測定信号とインパルス応答
の円状たたみ込み
DFT逆フィルタを利用
n
測定信号の2周期再生
N
N
周囲環境への影響、などの理由で、
短時間再生を行いたい
・ 1周期で
円状たたみ込みを
行う工夫、近似
・ TSPは有限長で正確な逆フィルタ
・ 掃引正弦波(SS)は有限長で
近似逆フィルタが存在
N
・ インパルス応答長 Lh (周期からはみ出る応答の長さ)
がわかっていれば、N+Lh の長さ再生して、Lh~Lh+N-1
を切り出して利用 ⇒ 2周期再生と同じ結果
・ 特に、N >> Lh の場合に有効
57
1周期再生で円状たたみ込みを実現する方法
TSP信号は直線畳み込みでOK [3.4-6]
周囲環境への影響、などの理由で、1周期再生を行いたい場合
N
N
方法1
方法2
n
N
系の応答を含めた長さがNとなるように
信号を設計(SSのみ)。直線たたみ込
みと円状たたみ込みの結果が一致す
るので、DFT逆フィルタが適用できる。
(留意)
・ 信号の両端の収束性などが必要
n
+
1周期からはみ出た部分を切り出して、
1周期目に足し合わせることで、
円状たたみ込みを計算で実現
(欠点)
2周期目の雑音が加算されて雑音パ
ワーが2倍になる
・1周期目から利用する場合、信号の立ち上がり部分に注意が必要(後述)
58
59
・ 長さNの良好な近似逆フィルタが存在
→ 逆フィルタが直線たたみ込みで実行できる
・ 測定信号を1周期だけ再生しても
インパルス応答が直線たたみ込みで得られる
ただし、
・ 再生は1周期でも録音は、
1周期+インパルス応答長(Lh)が必要
・ 直線たたみ込みは演算量が多い
(円状たたみ込みは DFT 周波数成分の積で計算できる)
60
10
目次
「2章 インパルス応答の測定原理」 のまとめ
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
・ DFT(離散フーリエ変換)の積は、円状(巡回)たたみ
込みに対応
・ 測定信号S(k) を被測定系H(k)に入力し、円状たたみ
込みを行った出力 H(k)S(k) を、測定信号の逆特性
1/S(k) に通すことで、測定系の特性 H(k) は得られる。
・ 物理系で円状たたみ 込みを行うためには、
測定信号s(n)を2周期入力して、2周期目を切り出して、
DFTする
・ 測定信号の1周期、または、1周期+Lh(インパルス応
答)の再生で測定できる方法もある
・ お勧めは、 1) 2周期、2) 1周期+Lh+α
S(k)
被測定系
H(k)
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
62
61
実環境での測定
理想的測定環境
測定信号
s(n)
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
測定信号
s(n)
インパルス応答
h(n)
逆フィルタ
1/S(k)
H(k)・S(k)
H(k)
観測信号
S(k)
どのような測定信号 S(k) (S(k)≠0) を用いても、
正確に H(k) を求めることができる
雑音
N(k)
+
+
被測定系
H(k)
H(k)・S(k)
+D(k)
非線形歪
D(k)
インパルス応答
h(n)
逆フィルタ
1/S(k)
H(k)・S(k)
H(k) +
+D(k)
N(k)
D(k)
+
+N(k)
S(k)
S(k)
観測信号
測定誤差
D(k)/ S(k): 非線形誤差
と呼ぶことにする
N(k)/ S(k): 雑音性誤差
63
64
測定信号の周波数特性
雑音性誤差
測定信号の周波数特性 S(k)
測定信号
s(n)
複素数
S(k)= |S(k)| ・ e
振幅特性
S(k)
jφ(k)
位相特性
雑音
N(k)
+
+
被測定系
H(k)
H(k)・S(k)
+D(k)
非線形歪
D(k)
インパルス応答
h(n)
逆フィルタ
H(k)・S(k) 1/S(k)
H(k) +
+D(k)
N(k)
D(k)
+
+N(k)
S(k)
S(k)
観測信号
◇ 雑音性誤差の大きさ
|N(k)|
N(k)
S(k) = |S(k)|
65
測定誤差
測定信号の
振幅特性に依存
位相特性には
依存しない
・ 測定信号が大きいほど雑音性誤差は小さい
・ 振幅の周波数特性が重要
66
11
非線形誤差
測定信号
s(n)
S(k)
雑音
N(k)
+
+
被測定系
H(k)
H(k)・S(k)
+D(k)
非線形歪
D(k)
測定信号と測定誤差
インパルス応答
h(n)
逆フィルタ
H(k)・S(k) 1/S(k)
H(k) +
+D(k)
N(k)
D(k)
+
+N(k)
S(k)
S(k)
観測信号
・ D(k)の大きさは入力信号の大きさに依存
・ 非線形誤差の現れ方は、
測定信号 S(k) の位相特性に依存
・ 雑音性誤差の大きさは、S(k) の振幅特性に依存
測定誤差の性質や大きさは、
測定信号の性質と密接に関連
測定誤差
正しくは、 D(S(k)) と表すべき
一般に、測定信号波形の振幅を大きくすると非線形誤差は増加
・ 非線形誤差の時間-周波数特性は特徴的であり
S(k) の位相特性(群遅延特性)の影響が重要
適切な測定誤差の選択が重要
67
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
白色
固定形
適応形
1/f
(ピンク)
雑音白色化(NW)
Noise Whitening
雑音最小化 (MN)
Minimum Noise
SN比一定(CSN)
Constant SN
測定信号の分類 (1)
◇ 波形(位相特性)による分類
・ 掃引正弦波 (SS:Swept Sine、チャープ信号)
時間とともに周波数が上昇(下降)する正弦波信号。
周波数の時間的変化特性により、いくつかの種類。
例) TSP、 Log-SS (ピンクTSP) など
・ 疑似雑音 (PN:Pseud Noise、PR:Pseud Random)
ランダム雑音のような波形を持った周期信号。
例) M系列信号、 有色疑似雑音 など
SS: 掃引正弦波
PN: 疑似雑音
69
パワースペクトル
|S(k)|2
例
C1
TSP、M系列
C2・1/k
Log-SS
(ピンクTSP)
C3・PN(k)
C4・√PN(k)
C5・|H(k)|2/PN(k)
70
望ましい 測定用信号の条件
測定信号の分類 (2)
◇ パワースペクトル
(振幅特性)による分類
68
1) 大きなエネルギを持つ信号
→ SN比向上
2) ただし、ある特定の時間にエネルギが集中
すると、系の非線形が発生するので、
ほぼ一定の振幅で持続する信号
3) 測定対象となる周波数成分を、
MN-SS
MN-PN
CSN-SS
など
C1, C2, C3,・・: 定数, PN(k):雑音のパワースペクトル, |H(k)|:系の振幅応答
欠落無く含んでいる信号
4) 扱いやすく、性質の良い信号
SSやPNはこれらの条件を満足
71
72
12
目次
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
TSP (Time Stretched Pulse)[3.3-6]
白色スペクトルの
掃引正弦波信号
x 10
4
(up-TSP)
2
周波数 (Hz)
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
1.5
1
0.5
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
0
0.5
1
1.5
2
2.5
x 10
時刻 0 に
集中していた
エネルギーを
時間軸上に
引き伸ばす
(分散させる)
-5
-10
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
4500
4
3
2
1
0
-1
-2
-3
-4
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
4
2
周波数 (Hz)
(up-TSP)
10
0
74
Up & Down TSP
時間引き伸ばし(Time Strech)のイメージ
5
3
時間 (秒)
73
1.5
1
0.5
0
0
1
2
3
4
5
時間 (秒)
t
(down-TSP)
t
4500
2
1.5
x 10
4
1
周波数 (Hz)
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
4500
75
1
0.5
0
0
・ N点のDFT周波数成分が次式で定義される
up_TSP(k) =
up_TSP(N-k)*
J:実効長(偶数)
down_TSP(k)=
2
3
4
時間 (秒)
5
76
TSP の 定義式の解釈
TSP の 定義式 (DFTスペクトル)
exp(- j 2πJ (k/N)2)
1
k
S(k)= |S(k)| ・ e -jα( N
k=0,1,・・・,N/2
k=N/2+1, ・・・,N-1
2
(
-2
2
1.5
α=2πJ
*:複素共役
exp(+ j 2πJ (k/N)2)
down_TSP(N-k)*
振幅特性は、1
(白色スペクトル)
k=0,1,・・・,N/2
k=N/2+1, ・・・,N-1
位相特性は、
離散周波数(k/N)の
二乗に比例
※ 離散周波数(k/N)に関しては付録 3.3.1-1 参照
77
78
13
実時間関数の DFT スペクトル
TSP の 定義式の解釈 (2)
時間τの遅延特性
を表すスペクトル
   (t   )  e
e  j
 j t
dt
時間信号が実数の時、そのDFTスペクトルは以下の性質を持つ
e  j 2 f 

複素共役
  a f
e  j 2 a f
2
x 10
a : 定数
4
X(0) X(1) X(2) ・・・ X(N/2)
・・・ X(N-2) X(N-1)
2
1.5
f
f k N
直流
1
X (-2) X(-1)
= X*(2) = X*(1)
fs/2
2fs/N
0.5
e  j 2 a  k
0
N 2
0.5
1
1.5

2
2.5
3
fs/N
(N/2) を中心とした共役対称性
79
TSP の 定義式 (DFTスペクトル)
TSP信号 の MATLAB プログラム
・ N点のDFT周波数成分が次式で定義される
exp(- j 2πJ
up_TSP(k) =
(k/N)2)
up_TSP(N-k)*
J:実効長(偶数)
down_TSP(k)=
exp(- j 2πJ (k/N)2)
up_TSP(k) =
k=0,1,・・・,N/2
up_TSP(N-k)*
k=0,1,・・・,N/2
k=N/2+1, ・・・,N-1
k=N/2+1, ・・・,N-1
N= 2^16; J= N/2; k= 0: N/2;
up_TSP(1:N/2+1) = exp(-j*2*pi*J*(k/N).^2);
up_TSP(N/2+2:N) = conj( up_TSP(N/2: -1 :2) );
up_tsp = real( ifft(up_TSP) );
*:複素共役
exp(+ j 2πJ (k/N)2)
down_TSP(N-k)*
k=0,1,・・・,N/2
k=N/2+1, ・・・,N-1
・ 時間波形振幅は √(2/J)
⇒ 振幅を As とするには、スペクトルを As/√(2/J)倍
・ 離散周波数 (k/N) の二乗に比例した位相成分
・ 時間波形は、これを逆DFTして得られるN点の信号
(証明→ 付録3.3.1-2)
81
82
実効長 J
TSP の 逆関数
e-j2πJ (k/N)^2
◇ TSP の逆関数 は、
逆TSP(ITSP: Inverse TSP)と呼ばれる
実効長 J= N
実効長 J= N/2
up_TSP(k) = exp(-j2πJ (k/N)2)
と
down_TSP(k) = exp(+j2πJ (k/N)2 )
を乗算すると 1 となる。
J
1.5
1
1
0.5
0.5
0
0
-0.5
-0.5
-1
up-TSP と down-TSP は、
お互いに逆関数の関係
1
-1.5
= down_TSP(k)
up_TSP(k)
83
J
1.5
-1
0
0
2000
4000
6000
8000
10000
時間 (sample)
12000
14000
N
16000
-1.5
0
0
2000
4000
6000
8000
10000
時間 (sample)
12000
14000
16000
N
84
14
Jが偶数であることの必要性
実効長 の定め方
1
0.5
0.5
0
0
-0.5
-0.5
-1
-1
0
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
-1.5
Jが偶数なら
スペクトルは実数
0
16000
N
時間 (sample)
e-jπJ /2
e-j2πJ (k/N)^2
J
1.5
1
-1.5
k=N/2(上限周波数)で、
実効長 J= N
実効長 J= N/2
J
1.5
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
Jが偶数でない場合
スペクトルは複素数
→ 強制的実数化が必要
16000
N
時間 (sample)
(a) TSP 信号(Jが偶数)
実効長 J
1.5
□ 雑音抑圧量はJに比例 (J ≦ N ) (詳細後述)
□ ただし、J=Nとすると、
・ 最大、最小周波数の重なり
・ 一周期の切り出し時の端点雑音の影響(後述)
⇒ J=(3/4)N~(1/2)N 程度とすることが多い
1
(c) TSP 信号(Jが非偶数)
実効長
J 実効長を超えた
成分が発生
1.5
1
ほぼゼロ
0.5
0.5
0
0
-0.5
-0.5
-1
-1
-1.5
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
-1.5
16000
2000
TSP の立ち上がり
1
1.5
0.5
1
0
0.5
(a) TSP 信号(Jが偶数)
J
20
短時間パワー [dB]
0
8
-1
TSP 時間波形(先頭部分)
-0.5
4
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
16000
N
時間 [サンプル]
0.5
-2
-1.5
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
-40
-60
-120
時間 (サンプル)
0
2000
4000
-8
6.46
6.47
6.48
6.49
6.5
6.51
6.52
6.53
6.54
400
8000
10000
時間 (サンプル)
J
12000
14000
16000
N
4
t=0 で不連続
→ DA後は不自然な音・波形
(2周期目以降は連続だが)
500
時間 [サンプル]
6000
6.55
x 10
-1
N-J
0
-20
-120
16000
-6
300
86
-100
-4
0
200
16000
-1
0
-0.5
100
14000
-80
2
-1.5
0
12000
(b) 図(a)の時間-パワー分布
40
実効長 J
6
0
10000
TSP の短時間パワー分布 [3.4]
-0.5
-1.5
-100
8000
時間 (サンプル)
0
1
6000
TSP 時間波形(実効長 J= N/2 )
1.5
1.5
4000
時間 (サンプル)
85
(N-J)/2付近で
パワー最小
*) J=N/2 の場合
87
目次
円状シフト
N
N
TSP 時間波形(実効長 J= N/2 )
1.5
J
TSP 時間 波形
1.5
(N-J)/2
N-J
1
1
0.5
0.5
0
0
-0.5
-0.5
(N-J)/2
J
-1
-1
-1.5
-1.5
0
2000
4000
6000
8000
10000
時間 [サンプル]
12000
14000
16000
N
0
2000
4000
88
6000
8000
10000
12000
14000
16000
18000
時 間 [サ ンプル ]
円状シフトの適正量は(N-J)/2
89
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
90
15
信号の時間-周波数特性
TSPの時間ー周波数特性を数式で求める
F ( , t ) 
f (t )



w(  t )  f ( )  e  j d
◇ TSP の周波数特性
e-j2πJ (k/N)^2
時間 t と 周波数 ω の関数
時刻ごとの信号の周波数成分を表す。
◇ 位相特性 φ(k)
実用的には左図のように、信号を短時間ごとに
切り出して、DFTを行い、
各時刻ごとの周波数成分(パワースペクトル)を
2次元表示する
DFT
・・・・
◇ 群遅延特性 τ(k)
スペクトログラムと呼ばれる
周
波
数
f
・・・・
φ(k)=- 2πJ(k/N)2
周
波
数
f
時間
t
τ(k)=時間 →
インパルス応答測定の理解に大変有効
92
TSP の時間ー周波数特性
掃引正弦波の時間-周波数特性は、
群遅延特性に対して、周波数を時間の関数として表す
ことで求められる。
2J
k
群遅延特性 τ(k) =
N
τ→n
n=0 で k=0
N n
時間-周波数特性 k =
n=J
で k=N/2
2J
最高周波数 → N/2
周
→ 実効長が J
dΩ=2π(d k/N)
群遅延特性 τ(k)
τ(k)=- d φ(k) = - N d φ(k)
2π d k
dΩ
N d
2
2π d k (- 2πJ(k/N) )
2J k
=
N
=-
波
数
k 0
0
J
N
信号長
93
時間 n
94
円状シフトと周期信号
down-TSP
e+j2πJ (k/N)^2
Ω=2π(k/N)
91
TSP の群遅延
Ω=2π(k/N)
d φ(k)
dΩ
円状シフト
→ 位相が正 → 時間進み特性
不自然な現象?
1
0.5
0
逆DFT結果
-0.5
-1
0
0
周 N/2
波
数
0
-J
2000
4000
6000
8000
10000
時間 [サンプル]
12000
14000
周期信号
16000
N
の1周期分を見ていると考えれば、自然な結果
DFT(離散)周波数
⇔ 時間信号は周期性
0
時間
n
周期はN
95
96
16
フィルタの群遅延特性による
信号の時間-周波数特性の変化
周波数
k
時間-周波数特性で見た up-TSPとその逆フィルタ
①インパルス
k
up-TSP
信号の
時間-周波数
特性
信号の
時間波形
時間
n
0
0
n
0
時間-周波
数特性
時間
n
0
フィルタの
群遅延特性
フィルタの
群遅延特性
群遅延
n
0
0
0
down-TSP
① up-TSP
k
n
0
③ TSP応答
n
0
時間-周波
数特性
0
k
k
時間
n
0
② 被測定系
0
⑤インパルス応答
n
周波数 k
n
④逆フィルタ
(逆up-TSP)
群遅延
n
時間
n
逆フィルタ
0
n
0
98
信号の
時間波形
逆フィルタ
k
n
時間-周波数特性で見た TSP測定原理
k
時間
n
0
97
時間-周波数特性上の逆フィルタ効果
up-TSP
k
② up-TSP特性
を持った
フィルタ
k
周波数 k
信号の各周波数成分
に対して与える遅延量
n
k
フィルタ
周波数
k
n
周波数 k
時間
n
⑤インパルス
③ up-TSP
n
n
各周波数成分
に対する
時間応答
k
n
k
n
n
0
④逆フィルタ
(逆up-TSP)
逆フィルタの効果
TSP応答から
インパルス応答を得る
逆フィルタは測定信号を、インパルスに戻す群遅延(位相)特性
99
100
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
被測定系の非線形による誤差
TSP
s(n)
S(k)
被測定系
線形系 H(k)
+
微小な時不変非線形特性
非線形
D(k)
線形応答
+非線形歪
H(k)・S(k)+D(k)
高調波歪
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
101
102
17
TSP応答と高調波歪
up-TSP 応答
非線形を含む系への
正弦波入力に対する応答
周波数 k
2次歪
基本波
応答
2次歪
3次歪
逆フィルタ
時間
n
0
up-TSP応答
k
Frequency (Hz)
基本波
応答
逆フィルタ
インパルス応答
基本波応答
6000
6000
5000
5000
4000
逆フィルタ
3000
2000
1000
時間
n
0
2次歪
3次歪
3次歪による誤差
2次歪による誤差
インパルス応答
非因果性の誤差
(負の時刻に誤差が発生)
up-TSP に現れる非線形誤差(実測例)
インパルス応答
周波数
k
k=c・(p/(1-p))・n
104
down-TSP測定における非線形誤差
down-TSP 応答
n
0
n
0
k=c・pn
p:歪次数
周波数
*) 4次以上の歪は省略
k
*) 応答・歪の時間方向の広がりは省略
103
f2 2f2 3f2
2次歪
時間
n
0
Frequency (Hz)
振
幅
3次歪
2次歪
基本波応答
f2
f1
0
3次歪による誤差
2次歪による誤差
k
インパルス応答
3次歪
周波数
k
周波数
k
f1 2f1 3f1
インパルス応答
up-TSP 応答
3次歪
基本波応答
振
幅
up-TSP測定における非線形誤差
0
4000
3000
2000
1000
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0
1.2
0.2
0.4
Time (s)
0.6
0.8
1
正の時刻に誤差が発生
誤差
(非因果な応答に見える)
105
インパルス応答波形に現れる誤差
非因果な
応答に見える
up-TSP
-4
106
インパルス応答波形に現れる誤差
非因果な
応答に見える
インパルス応答波形 (up)
x 10
4
up-TSP
2
-4
2
0
-2
-2
150
200
250
Time [ms]
300
350
400
インパルス応答波形 (up)
x 10
4
0
100
1.2
Time (s)
450
100
150
-4
down-TSP
200
250
Time [ms]
300
350
400
450
インパルス応答波形 (down)
x 10
4
2
0
-2
100
0
0.2
0.4
0.6
Time (s)
0.8
1
150
200
250
300
350
400
450
1.2
107
108
18
TSPを用いたインパルス応答測定結果
に現れる非線形誤差 (時間-周波数特性)
down-TSP に現れる非線形誤差(実測例)
down-TSP応答
5000
5000
4000
逆フィルタ
3000
2000
1000
4000
3000
2000
6000
5000
5000
4000
3000
2000
1000
4000
3000
2000
1000
1000
0
0
down-TSP
6000
Frequency (Hz)
6000
Frequency (Hz)
Frequency (Hz)
up-TSP
インパルス応答
3次歪
6000
Frequency (Hz)
2次歪
基本波応答
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0
1.2
Time (s)
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0
1.2
Time (s)
1.2
Time (s)
誤差
(インパルス応答に重なる)
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
Time (s)
誤差
(非因果な応答に見える)
誤差
(インパルス応答に重なる)
109
110
TSPを用いたインパルス応答測定結果
に現れる非線形誤差 (時間波形)
x 10
-4
TSPと非線形誤差
インパルス応答波形 (up)
・ up-TSP
4
非因果な
応答に見える
up-TSP
2
短所: インパルス応答の負の時間方向に非線形誤差
0
が出現するので、測定信号レベルを小さくして非線
-2
100
x 10
150
200
-4
250
Time [ms]
300
350
400
形誤差を小さくしないと不自然
長所: インパルス応答本体には高調波歪の影響なし
450
インパルス応答波形 (down)
4
・ down-TSP では、
2
0
短所: インパルス応答の中に高調波歪の影響が
-2
down-TSP
100
150
200
250
300
350
400
含まれ、目立たないが、残響曲線などには悪影響
450
長所: インパルス応答の立ち上がり時間が明確
誤差は応答に埋もれている
(後半:応答のように見える。スイープ音。誤残響曲線)
これらの誤差を許容するかどうかは、用途による。
111
112
目次
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
Log-SS [3.7-11]
複数の呼び名
・ Log-SS
Log Swept Sine
・ ピンク TSP
・ Log-TSP
・ ESS, E-sweep
Exponentially Swept Sine
Exponential Sine Sweep
x 10
周 1 .5
波 1
数 0 .5
0
113
4
2
周 波 数 [H z]
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
0
1
2
3
時 間 [秒 ]
4
5
114
19
Log-SS の設計式
Log-SS とは
DFT周波数での設計式は、次式
相対振幅
1
0 .5
0
・「対数周波数」が
時間に比例
・「周波数」は
時間の指数関数
- 0 .5
-1
0
x 10
1
2
3
時 間 [秒 ]
4
5
4


Log _ SS ( k )  


1 k  0
1
1 k  N / 2
 exp jak  log( k ) 
k
*
Log _ SS ( N  k ) N / 2  k  N
J 
2
周 波 数 [H z]
f = eαt
周 1 .5
波 1
数 0 .5
0
log(f) = αt
0
1
2
3
時 間 [秒 ]
4
5
時間
2大
長所
a
・ 低周波域のSN比改善効果
・ 高調波歪の分離測定・除去
J : 整数
N 2   log N 2 
* : 複素共役
log は自然対数 ・ 藤本の式[3.8]に基づくが、up-SS (位相部分が負)である。
up の方が高調波歪成分の分離が良い(後述)。
・ ピンク雑音と同様に、周波数成分が -3dB/oct で低下している
ので藤本はピンク-TSPと呼んでいる。
低周波域の
掃引時間が長い
→ エネルギ大
116
115
Log-SS 設計式の説明
振幅
1
√k
逆Log-SS ( ILog-SS ) のDFT周波数は、
1
I Log _ SS ( k ) 
Log _ SS ( k )
位相
e-j a k・log(k)
a=
パワーが
周波数 k に逆比例
いわゆる1/f 特性
( -3dB/oct. )
逆Log-SS
Jπ
(N/2)・log(N/2)
微分したらlog(k)+1
群遅延がlog(k) 特性
(後述)
 k  exp jak  log( k ) 
0 k  N /2
逆Log-SS 波形
1.5
x 10
-3
Log-SS
1
k=N/2 で位相項を
πのJ(整数)倍と
するための定数
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
4
x 10
・ TSP と違って、up-Log-SSの逆特性 ≠ down-Log-SS
時間軸を反転しても逆関数とはならない(振幅特性が違う)
117
118
Log-SSの時間-周波数特性
時間-周波数特性の計算
dΩ=2π(d k/N)
d
d
 a k  log(k )
 (k )  
 (k )  
d
d

N d
N
J 
log(k )  1
a  k  log(k ) 
2 dk
2 N 2  logN 2 
周波数 k
時間 n
0
-∞
1/e
0
1
J/log(N/2)
N/2
J
log(k )  1
logN 2
周波数 k
0
時間 n
(=τ(k) )
-∞
1/e
0
1
N/2
J/log(N/2)
J +J/log(N/2)
k=N/2
(上限
周波数)
J
log(k )  1
log N 2 
k e
J +J/log(N/2)
k
J
30
*J は k=1~N/2
までの時間
* k=1/e 以下の周波
数は時間軸上で多
重に折り返しされる
25
20
15
10
5
k=1
119
 log( N / 2 )

n 1

J


指数関数
N
35

 (k ) 
0
0
10
0
n = J/log(N/2)
20
30
40
50
J+(J/log(N/2))
60
時間
n
(N=64, J=32 の例)
120
20
目次
Frequency
超低周波成分の多重折り返し
1
30
0.9
20
0.8
10
0.7
0
0.6
-10
0.5
-20
0.4
-30
0.3
-40
0.2
-50
0.1
0
-60
1000
2000
3000
4000
Time
5000
6000
7000
8000
-70
・ スピーカの帯域外なので通常測定時は影響は小さい (?)
121
主応答
周波数[Hz]
4000
3000
122
2次歪
n
35
主応答
・ 入力信号周波数と
同じ周波数の応答
・ 基本波応答とも
呼ばれる
5000
8.むすび
周波数
2次歪
6000
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
指数関数の性質
Log-SS に現れる非線形誤差 (高調波歪)
3次歪
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
2e
30
 e log 2  e n
25
e
20
15
10
2000
主応答
5
0
1000
0
10
20
30
40
50
60
e n
 ( n
log 2

)
左に
log(2)/α
シフト
時間 n
0
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
時間[s]
一般に、指数関数を p倍した曲線は、
左に log(p)/α 平行移動した信号
高調波歪の時間-周波数特性は、主応答と同一形状 ⇒ 次頁
123
高調波歪の時間周波数特性
α
主応答
 log( N / 2 ) 
n

1 
J

k1  e e
p次歪
pe
n
e
124
高調波歪の時間-周波数特性
 ( n
log p

)
周波数
J・log(4)/log(N/2)
J・log(3)/log(N/2)
4k1
 log( N / 2 ) 
J log( p )  
 n 
 

J
1 
 log( N / 2 )  
2k1
k1
k p  p  k1  e e
0
主応答を
2次歪
3次歪
4次歪
J・log(2)/log(N/2)
主応答
時間
J・log(p)
左に平行移動した信号
log(N/2)
125
126
21
Log-SSによる高調波歪の分離測定
周波数
2次歪
3次歪
4次歪
測定例:高調波歪の分離測定
2次歪
3次歪
4次歪
周波数
主応答
(インパルス応答)
インパルス応答
5
x 10
Log-SS を使うと、
高調波歪成分を
分離できる
-3
4
4k1
3
逆特性
2k1
k1
1
振幅
時間
0
0
時間
0
-2
周
波
数
J・log(2)/log(N/2)
-3
3次歪
-5
J・log(4)/log(N/2)
高調波歪も
特定の時間に集中!
127
-0.4
-0.2
-20
3
振幅
1
2次歪
3次歪
-30
2
-40
0
-60
-4
-0.4
-0.2
0
時刻[秒]
0.2
3次歪
-70
0.4
・2次歪の24kHz成分は、
主応答12kHzの2倍音で
ある
・3次歪の24kHz成分は、
主応答8kHzの3倍音で
ある
2次歪
1/2
-50
2次歪
-3
-5
主応答
-3
4
-2
0.4
主応答
0
-10
-1
0.2
高調波歪の周波数特性
主応答
x 10
0
時刻[秒]
128
高調波歪の周波数特性測定の例
5
2次歪
-4
J・log(3)/log(N/2)
0
☆高調波歪成分の
除去
☆高調波歪成分の
周波数特性計算
-1
log-SS の逆特性
時間
高調波歪
2
主応答
5
10
1/3
15
20
24
周波数 (kHz)
測定信号長を系の応答より十分に
長く取れば、各歪の間隔が空くので、
各歪を個別に切り出すことができる。
切り出した各高調波歪波形を DFT することで、歪の周波数特
性が得られる。ただし、p次歪の横軸(周波数軸)は、1/p に圧縮
して表示する必要がある。
129
130
高調波歪の測定結果の評価
Log-SSによる高調波歪の分離測定
正弦波法との比較
2次歪
黒線: 正弦波法
赤線: Log-SS法
3次歪
周波数
黒線: 正弦波法
緑線: Log-SS法
2次歪
3次歪
4次歪
2次歪
3次歪
4次歪
周波数
インパルス応答
4k1
2k1
k1
0
逆特性
主応答
時間
0
時間
log-SS の逆特性
・ おおむね一致
・ 低域でやや差
・ スピーカの時変性も要考慮
周
波
数
・ 切り出しの際の誤差に注意
(長さ、端点)
・ 高調波以外の歪に注意
時間
131
0
J・log(2)/log(N/2)
J・log(3)/log(N/2)
J・log(4)/log(N/2)
高調波歪も
特定の時間に集中!
132
22
高調波歪の分離に必要な信号長の例
10
3
(藤本の)標準型 Log-SSの課題
信号長
NN
10
2
218
Frequency
歪応答の間隔 (ms)
220
216
10
1
30
0.9
20
0.8
10
0.7
0
0.6
-10
0.5
-20
0.4
-30
0.3
-40
0.2
20ms
-50
0.1
-60
0
1000
2000
3000
4000
Time
1
5000
6000
7000
8000
-70
214
p 次歪の位置=
J・log(p)/log(N/2)
より計算
0
10 0
10
10
1
測定対象外の周波数成分の掃引時間が長い
(特にNが大きい場合)
J は、k=1 すなわち、fs/N [Hz]
高調波次数
標本化周波数 fs=48kHz, 信号長 N, 実効長 J=N/2,
歪応答長が20msの場合、10次の高調波歪まで分離する
ためには、信号長が218以上必要 (約5.5秒)
開始-終了周波数を指定した掃引
から fs/2 [Hz] までの長さ。
fs= 48kHz、N= 216 の場合、
0.7Hz~24000Hzまでの掃引。
全長の約 1/2 が 100Hz以下
134
133
若干の補足
目次
(詳細は今回省略)
◇ k1 から k2 まで、実効長 J での掃引正弦波

1 for k  0
  1 
 2 1

 log( k )  1  b   k  C1    for 1  k  N / 2
LogSS ( k )   
 exp  
 N a

  k
 LogSS ( N  k )* for N / 2  k  N
a  log ( k 2 k1 )1 J
b  log( k1 )


C1 は k=N/2 でπの整数倍とするための定数
*) 両端の処理が必要
Lw1
| LogSS(k) |
Lw2
k1
k
k2
◇ 時間軸での設計もできる [3.7.1][3.11]
135
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
136
M系列 の作り方
3.5 M系列信号
M 次のM系列 mi : N=2M-1 の周期を持つ 0 と 1 のランダム系列
M系列 (MLS:Maximum length sequence)
周期 2M-1 の 0 と 1 のランダム系列 (M:整数)
例: {0, 1, 0, 1, 1, 0, 1, 0, 1, 1, 1, 0, … }
mi+M
M系列信号 (通常、略して「M系列」と呼ぶ)
M系列の 0 と 1 を 0 → 1 に 1 → -1 に
それぞれ対応づけた信号
z-1
mi+M-1
z-1
aM-1
aM
mi+2
a2
z-1
mi+1
mi
z-1
a1
a0
排他的論理和
1
1
0
0
2
生成式
1
0
-1
-2
70
75
80
85
90
mi+M =
mi = 1 or 0
i:時間
95
137
M-1
q=0
aq・mi+q
(mod2の和)
aj = 1 or 0 (a0 = 1, aM = 1)
aj :M 次の原始多項式 f ( x ) 
1
0
1
0
=0
=1
=1
=0
M
a
j 0
j
x j の係数
138
23
M系列 作成の具体例
原始多項式
例) 4次の原始多項式 f ( x)  x  x  1
a4  1, a3  0, a2  0, a1  1, a0  1
4
原始多項式は、1とその式でしか割り切れない多項式
213 の場合
x13  x 4  x 3  x  1
z-1
を含む630種類
1
z-1
0
z-1
0
z-1
0
0
→ 代表例はサンプルプログラムや、ネットで
見てください。
発生する系列は
0001001101011110001001・・・・
周期は 15 = 24-1
139
140
M系列 作成の具体例
z-1
1
z-1
0
0
z-1
z-1
M系列信号の性質
0
周期化 M系列信号 mp(n) の
自己相関の1周期分は、
0
z-1
0
z-1
1
z-1
0
z-1
M
0
 ( n) 
0
z-1
0
z-1
0
z-1
1
z-1
1 2 2
 mp (i)  mp (i  n)
M
2  1 i 0
1
1
n0


M
 1 (2  1) n  0
0
n
0
-1/(2M-1)
1
1/(2M-1) の直流成分を付加すれば、インパルス信号
発生する系列は
⇒ 1周期分をDFTすれば、(直流を除いて)白色信号
直流成分はほぼゼロ
0001001101011110001001・・・・
141
M系列信号の特徴
M系列信号を用いた測定
M系列信号
2周期
物理系
m(n) m(n)
(直線たたみ込み)
N
N
被測定系
h(k)
測定出力
y(n)
インパルス応答
コンピュータ
・ DFTスペクトルが(直流を除き)白色
・ ハードウェア(シフトレジスタ)での発生が容易*1)
・ 逆フィルタが加減算のみで行える低演算量の
アルゴリズム*1) がある(アダマール変換*2) )
・ 2M-1 点DFTでも逆フィルタ実行可能
→ DFT の方が早い?
・ 低波高率(クレストファクタ)*3)
h(n)
2周期目
M系列変換
(逆フィルタ)
N=2M-1 ≧ h(n) の長さ
DFTで逆フィルタ
を行う時には
直流成分に注意
142
y(n) と 周期化M系列信号 mp(n) との 相関関数
= 〃
mp(-n) との たたみ込み
= 〃
m(-n) との 円状たたみ込み
の高速演算(アダマール変換などを利用)[3.12-16]
m(n) と m(-n) とは、円状たたみ込みにおいて(直流を除いて)逆関数
143
*1 コンピュータの能力が低かった時代の利点
*2 現在のコンピュータではFFTの方が高速
*3 現在のDA(ΣΔ方式)では成立しない (次頁)
144
24
帯域制限されたM系列信号
M系列の時間-周波数特性
ディジタル値では ±1 のM系列信号であっても、
DAして(低域通過フィルタを通して)
アナログ信号にすると、振幅は±2を超える
⇒ 低波高率信号ではない、
⇒ ディジタル値を小さくしておかないと、DA時にクリップ(後述)
x 10
4
M系列
20
周波数 (Hz)
2
2.5
2
1.5
1.5
0
1
-20
0.5
1
-40
0.5
0
0
0.2
-0.5
0.4 0.6 0.8
時間 (s)
1
1.2
-1
・ 時間-周波数成分の関係はランダム
・ 全時間帯に多数の周波数成分がランダムに生起
-1.5
-2
-2.5
480
485
490
495
500
505
510
145
146
目次
一般的な擬似雑音
DFT周波数での設計式は、次式
 P ( k )  exp j 2  N ( k ) 
1 k  N / 2
PN ( k )   N
PN ( N  k )* N / 2  k  N

 N ( k ) : 0~1 の一様乱数
* : 複素共役
・ PN(k): 任意のスペクトル(白色擬似雑音、有色擬似雑音)
・ 非線形誤差がパルス的でない
・ 低波高率化が可能(後述)
※ M系列より白色擬似雑音の方が有利と考えられる
147
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
一般的な室内騒音
推定結果
相対振 幅
雑音
10
10
2
10
1
2
3
時間[秒]
4
148
3
時間[秒]
4
5
・高周波のパワーが小さく、
高周波成分のSN比が低下
・低周波以外にも大きな雑音
成分を持つ雑音には不適
4
2
30
正解
0
x 10
周 波 数 [H z]
パワー[dB]
40
20
0
-0.5
-1
低周波のパワーが
大きい測定信号を
使えば良い
50
8.むすび
・低周波のパワーが
大きい(1/f 特性)
・低周波のSN比を改善
1
0.5
正解の伝達関数
推定した伝達関数
推定値に含まれる雑音成分
60
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
Log -SS信号
室内騒音は低周波成分が大きいため、TSPやM系列など
の白色信号による測定では、低周波でのSN比が劣化
70
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
1.5
1
0.5
0
0
1
2
5
いろいろな種類の雑音に対して
理論的な裏付けのある測定信号が望ましい
3
周波数[Hz]
149
150
25
代表的な適応形スペクトル
適応形スペクトルを持つ測定信号
測定信号の
パワースペクトル
|S(k)|2
測定環境に存在する雑音のスペクトルを事前測定し、
それに適したスペクトルを持つ測定信号の利用
雑音白色化
NW: Noise Whitening
雑音最小化
MN: Minimum Noise
SN比一定
CSN: Constant SN
低域の強い雑音、高域の強い雑音、など、
雑音のスペクトルに応じた、適切な雑音低減効果
測定信号の例
C3・PN(k)
C4・√PN(k)
MN-SS
MN-PN
CSN-SS、など
^ 2
C5・PN(k)/|H(k)|
C3, C4, C5: 定数
・ 雑音は定常雑音を仮定
・ PN(k) は雑音のスペクトル(数秒程度のデータを事前測定)
^
・ |H(k)|は系の振幅応答の推定値
151
・ MN と CSN は筆者らの提案(宣伝活動になる?)
雑音性誤差のパワースペクトル
3.6.1 雑音白色化信号(NW: Noise Whitening )[3.19]
測定信号
s(n)
雑音の大きな周波数帯域は、
測定信号のパワーを大きくして雑音成分を低減
S(k)
雑音のパワースペクトル PN(k) に
比例したパワースペクトルを持つ測定信号
2
|S(k)| = C3・PN(k)
測定信号の
パワースペクトル
雑音
N(k)
インパルス応答
h(n)
逆フィルタ
N(k)
1/S(k)
H(k)・S(k)
H(k) +
S(k)
+N(k)
観測信号
+
+
被測定系
H(k)
H(k)・S(k)
雑音性誤差
◇ 雑音性誤差のパワースペクトル PN1(k)
C3:定数
152
PN(k)
E |N(k)|2
N(k) 2
=
=
2
S(k)
|S(k)|
|S(k)|2
PN1(k) = E
雑音の
パワースペクトル
E ・ :期待値
PN(k) :観測時の雑音のパワースペクトル
153
154
シミュレーションの例
雑音白色化信号の効果
◇ 騒音環境での周波数特性測定
2
|S(k)| = C3・PN(k)
◇ 雑音性誤差のパワースペクトル PN1(k)
PN(k)
PN(k)
1
=
=
C3
C3・PN(k)
|S(k)|2
Power (dB)
PN1(k) =
測定結果
TSP(白色)
誤差のスペクトルは周波数 k によらない
→ 白色化
正解
周波数 (Hz)
雑音が増加
雑音白色化信号
雑音
雑音が低下
雑音
実は、雑音の合計は減少していない
N-1
Σ PN1(k)
k=0
155
156
26
<拘束条件>
雑音最小化信号の時間-周波数特性の例
直感ではなく定量的最適化
波形の実効値と
継続時間が一定
k=0
10
-20
パワー[dB]
ES = Σ |S(k)| 2 = 一定
雑音スペクトル
0
信号エネルギー(各周波数成分のパワーの総和) ES
N-1
雑音スペクトルの推定結果
20
パワ
3.6.2 雑音最小化信号(MN: Minimum Noise)[3.21]
< 評価量 >
0
-40
-10
-60
-80
0
-100 0
10
雑音性誤差のエネルギー EN1 (各周波数の雑音パワーの総和)
N-1
N-1 PN(k)
EN1 = Σ PN1(k) = Σ
2
k=0
k=0 |S(k)|
2
10
周波数[Hz]
10
3
10
10
0
周波数 (Hz)
8000
C4:定数
-10
6000
-20
4000
0
0.2
0.4
0.6
0.8
時間 (s)
500Hz付近の
掃引時間が長い
-50
1
158
雑音抑圧量の計算例
Hoth 騒音A 騒音B 騒音C
白色 (TSP) 0 [dB]
0
0
0
雑音白色化 -0.1
0.8 -2.2 0.4
1/f (log-SS)
8.8
17.8 18.1 9.2
雑音最小化 10.9 19.7 20.3 15.0
雑音最小化信号
正解
雑音
-40
157
雑音最小化信号の効果
測定結果
雑音が低下
[4.2]
白色の結果を基準(0dB)
雑音白色化(WN)は
白色(TSP)と同じ
log-SSは、雑音最小
化に近い場合もある
(理由)
騒音スペクトルが PN(k) =1/k2 の時、
雑音最小化信号のパワースペクトルは
|S(k)| 2 = C4・√PN(k) = C4・1/k
雑音
振幅スペクトルは
|S(k)| = √C4/√k
1/k2
となり、log-SS と一致
雑音最小化の効果と課題
雑音最小化信号
|S(k)|2=C4・√PN(k)
H
ゲイン
ゲイン
系の
周波数特性
160
SN比を一定とした測定
雑音最小化信号
低SN
室内騒音
には、1/k2
特性の
騒音も多い
Log-SS はパワーが 1/k2 特性の雑音を最小化
159
TSP信号
|S(k)|2 = C1
1000 1
20
-30
(証明は文献[3.21])
500
線形周波数軸周
4
2000
|S(k)| = C4・ √PN(k)
TSP(白色)
1
10000
を最小化する測定信号のパワースペクトル |S(k)|2 を求める。
< 最小化信号 >
2
10
|S(k)|2=C4・√PN(k)
SN改善
SN改善
SN改善
SN改善
SN改善 ゲ
イ
ン
ゲ
イ
ン
雑音性誤差
N0
雑音性誤差
 N0
雑音性誤差
S
周波数
低SN
周波数
雑音が大きい部分は低減されるが、系の周波
数応答が小さい部分の低SN比は改善されない
161
雑音性誤差
周波数
周波数
低SN
・ SN比を一定とすれば、広い帯域で一定品質の測定結果
・ 過剰な高SN比を避けることで測定時間を短縮
162
27
3.6.3 SN比を一定とする測定信号
(CSN: Constant SN) [3.22]
^ は、測定値をフィードバック
未知系の特性推定値 H(k)
N(k)
S(k)
H(k) +
測定結果
SN比を一定とするための測定手順
初期値
Hˆ  PN ( k )
|H(k)|2
|S(k)|2
=
SN比 =
PN(k)
E |N(k)|2 / |S(k)|2
|H(k)|2
これより、
|S(k)|2 = C5・
雑音
PN(k)
測定
信号合成
P (k)
C5 N
^ 2
|H(k)|
PN(k)
|H(k)|2
とすれば、
SN比 = C5
雑音推定
未知系
不良
周波数 k によらない 一定値
最終測定結果
ただし、H(k) は未知なので、繰り返し測定による推定値を利用
逆フィルタ
H
Ĥ
SN比の
一定性評価
良
163
スピーカ+室内 応答の測定例
残響時間測定に対するCSN信号のメリット [3.24]
雑音白色化
30
TSP
30
インパルス応答に基づく残響時間測定
20
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-40
2
3
10
10
Frequency (Hz)
10
-50
4
最大値
-20
-30
-50
インパルス応答の帯域別瞬時パワー
0
-10
2
3
10
4
10
Frequency (Hz)
30
瞬時パワー
Pow e r (d B )
10
Pow er (dB )
164
10
20
10
Power (dB)
CSN
SN比一定(20dB)
による結果
45dB以上
雑音レベル
0
各周波数帯域において
雑音レベルが
インパルス応答の最大値
に対して-45dB以上
小さくなくてはならない
( 測定時,ISO3382)
-10
-20
時間
-30
-40
-50
10
2
3
10
Frequency (Hz)
10
4
165
166
CSN信号による測定信号の短縮
測定信号とオクターブバンド雑音レベル
-20
-30
-40
0
0.5
CSN-SS
1
時間(s)
1.5
2
Log-SS
0
-45
-50
-55
-60
-65
-70
-75
-80
-10
-20
-30
-40
0
0.5
1
時間(s)
1.5
2
相対パワー(dB)
TSPやLog-SSでは、
帯域ごとに雑音レベルが大きく異なる
-20
従って、全帯域で雑音レベルを
-45dB以下にするために、
さらに信号長を増大する必要がある
-30
-40
0
0.5
1
時間(s)
1.5
測定信号 必要信号長
CSN-SS
TSP
Log-SS
TSP
Log-SS
CSN-SS
2
3
2
167
2.7s
61s
11.6s
信号長比
1 (基準)
22
4.2
4
10
10
10
周波数(Hz)
4k
125
対象とする帯域で所望雑音レベル
以下としたときの帯域別雑音レベル
0
-10
所望雑音レベルを満足する必要信号長
雑 音 レ ベ ル (d B )
相対パワー(dB)
-10
125Hz
500Hz
2000Hz
相対パワー(dB)
TSP
0
所望雑音
レベル -40
・ CSNでは帯域によらず雑音レベルが一定
・ CSN以外で-45dB以下を確保しようとす
ると、不必要な雑音レベルの低下
=信号長の増大
CSN-SS信号は
従来信号に比べて
短時間での測定が可能
168
28
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
3.7 所望のパワースペクトルを持った信号の合成方法
測定信号の
パワースペクトル
|S(k)|2
雑音白色化
NW: Noise Whitening
雑音最小化
MN: Minimum Noise
SN比一定
CSN: Constant SN
f
up-TSP
169
周波数
f
170
パワースペクトルと群遅延
時
間
Log-SS
時間
n
0
n
どの周波数も
一定時間出力される
低い周波数が
長時間出力される
どの周波数も
エネルギー均一
低周波数成分の
エネルギーが大きい
n, f は
連続量
で表示
一定振幅 掃引正弦波における
パワースペクトル、群遅延、位相特性の関係
積分
微分(ωで)
位相特性  ( f )
各周波数あたりのエネルギー
(=パワースペクトル P(f) ) は、
傾きを表す、微分に比例
P( f ) 
d
(f )
d f
一定振幅掃引正弦波の場合
172
◇ 群遅延 τ はパワースペクトル P の積分に比例するので、
(積分は離散量としてはΣに対応)

A f   P( f )
k

 (k )  C1   P(i )  C2 
 i 0
微分 (に比例)
( f )
Δf
DFT 周波数における合成 [3.22]
振幅特性
群遅延
Δτ
単位周波数あたりの出力持続時間
Δτ/Δf は
群遅延特性τ(f) の傾き
171
積分
群遅延 (=時間ー周波数特性の
逆転表示)
τ(f)
周波数 f
各周波数の持つエネルギーは
各周波数の出力持続時間に比例
パワー
P f 
スペクトル
C5・|H(k)|2/PN(k)
SS信号、PN信号 の合成方法
8.むすび
時間
0
C4・√PN(k)
これらのパワースペクトルを持つ
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
一定振幅 SS信号のエネルギー分布
周波数
C3・PN(k)

ただし、C1は比例定数、C2は積分定数である。
τ(0)=0 の条件より、 C2=-P(0)
 N / 2


τ(N/2)=J (実効長) の条件より、 C1  J   P (i )   P (0)

 i 0

パワースペクトルP(k)を
持った掃引正弦波 SS(k)
の周波数特性は、
◇位相特性 φ は群遅延τの Ω(=2πk/N)に関する積分なので
SS(k)=√P(k)・e jφ(k)
振幅特性
 ( k )  C3 
位相特性
173
2 k
   (i )
N i 0
N /2
N /2


C3  round  2 N    (i )  2 N    (i )
i 0
i 0


ただし、C3 は、φ(N/2)をπの整数倍とするための、1に近い数
174
29
波高率(Crest Factor)
所望のパワースペクトルを持ったPN信号
波高率=
PN(k)=√P(k)・e jφ(k)
振幅特性
機器やDA変換器の入出力の許容レベルにより、
最大値が制限される場合がある。
位相特性
許容最大値
実効値
PN信号 (疑似雑音)は、
φ(k)を、[0, 2π] の一様乱数で与えれば良い
実効値
0
☆ PN信号の問題点
波高率(Crest Factor)が大きい
波高率 大 実効値が小さい
波高率 小 実効値が大きい
175
振幅最大値が制限される場合、波高率が小さいほうが、
パワーが大きい ⇒ より高いSN比の測定ができる
176
波高率の低減処理 [3.2.1]
代表的な波高率
M系列: 約 2.5
正弦波: √2≒ 1.4
振幅最大値
実効値(=√パワー)
疑似雑音の波高率は高い(3とか 4とか)場合が多いが、
これを低減することができる
2.5
2
実効値
1.5
1
0.5
0
0
-0.5
-1
-1.5
-2
-2.5
480
485
490
495
500
505
510
注:M系列の波高率は 1 と記された文献もあるが、
DA出力されたM系列の波高率は約 2.5
波高率はディジタル値ではなく、アナログで評価すべき
177
目次
波高率低減処理の例
波高率=3.0
4.5
4
波高率
3.5
3
1
振幅
Hoth (1.32)
雑音A (1.27)
雑音B (1.19)
雑音C (1.16)
0
-1
0.4
2.5
2
0.45
0.5
0.55
0.6
時間 (s) 波高率=1.3
0.45
0.5
時間 (s)
0
10
10
1
2
10
繰り返し回数
3
10
振幅
1
1.5
0
-1
0.4
178
0.55
0.6
100回程度の繰り返し演算で、正弦波よりも小さい波高率を実現できる
179
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
180
30
証明
3.8 同期加算 (もう一つの雑音低減方法)
複数回の測定結果を、時間同期して平均
h(n) + n1(n)
h(n) + n2(n)
1
N
・
・
・
h(n) + nN(n)
Σ
1
N
各回の雑音パワーは同じ値 PN0
i
2

i  j

 for all i 
(n)  PN 0
ただし、E[・] は期待値
と仮定すると、雑音成分のパワー PN は、
N
N・h(n) +Σni(n)
i=1
1 N
= h(n) + N Σni(n)
i=1
雑音成分
時間同期

E n
E ni (n)  nj (n)  0
雑音成分は毎回無相関
雑音成分が毎回無相関なら、
N回の同期加算で
雑音パワーは、1/N になる。
 1
PN  E 
 N

1
N2
i 1
 E n
N
i 1
2

  1 N 2
  2 E  ni (n)  2 ni ( n)n j (n)
N
i
i
j
1





N
 n (n) 
i
2
i



( n)  2 E ni (n) n j ( n) 
i j
1
N2
N
P
i 1
N0

1
PN 0
N
1回測定の雑音パワー PN0 の 1/N に減少
181
同期加算のSN比改善効果
182
同期加算の注意事項
N回の平均で、SN比を 10log10(N) [dB] 改善
例)
N=10 → 10log10(10)= 10 dB 改善
N=100 → 10log10(100)= 20 dB 改善
N=1000 → 10log10(100)= 30 dB 改善
183
「3章 代表的測定信号」 のまとめ (1)
・ 時変性のある系に対して、
多数回(長時間)の平均は誤差要因となる
(高周波成分の低下)
(雑音低減効果とのトレードオフ)
・ スピーカはウォームアップをしたほうがベター
(時変性回避)
・ 短い測定信号を使って多数回の同期加算することと、
長い測定信号で1回測定することとの、優劣
時変系→ 長いSS、非定常雑音→ 短い信号の同期加算
・ 時不変な非線形誤差の低減には効果がない
(PN信号で位相を変化させて行う場合を除く)
184
「3章 代表的測定信号」 のまとめ (2)
・ 測定信号は、
位相特性(波形)の違いで、
掃引正弦波(SS)と疑似雑音(PN)に分類でき、
信号のパワースペクトルの違いで、
白色、1/f(以上固定形)、適応形などに分類できる
・ 信号の位相特性は、非線形誤差の現れ方に影響し、
パワースペクトルは定常雑音の抑圧量に影響する
・ 主な信号として、TSP、Log-SS、M系列、および
各種適応形信号
・ Log-SS は、低周波のSN比改善効果や
高調波ひずみの分離効果などの特長を持つ
・ よって、スペクトル固定形では、Log-SS が
第1選択肢と考える
・ 適応形は事前測定が必要だが、雑音によっては
有効性が高い
※ B&K 社の計測ソフトも、この3つを利用
185
186
31
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
4.測定の誤差要因
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
① 定常雑音
暗騒音、電気的雑音、など
② 非定常雑音
ドアの開閉音、足音、音声、など
③ 非線形性(時不変)
スピーカや音響機器への過大入力による
非線形歪
④ 時変性
室温の変化、風の影響、機器の温度特性など
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
187
188
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
4.1 定常雑音
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
・ 一般的に、定常雑音は定常誤差となる
・ 誤差レベル、誤差スペクトルは、
測定信号の振幅スペクトル |S(k)| に依存する
PN(k)/ |S(k)|2
各種信号による
雑音抑圧効果の定量的検討は5章
(1) 円状たたみ込みのための切り出しへの影響
(2) 直線たたみ込みによる雑音性誤差の非定常化
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
189
190
(1) 円状たたみ込みのための切り出しへの影響
系の応答
1周期目
雑音
雑音の加わった
系の応答
2周期目
雑音の影響による切り出し部の誤差
雑音が無ければ、
2周期目の
最初と最後は連続
2周期目の
最初と最後の
部分、
雑音は不連続
雑音が加わった応答
2周期目の
最初と最後は不連続
191
周波数
k
周波数
k
不連続誤差
インパルス応答
up-TSP応答
不連続誤差
逆特性
0
時間
n
2周期目の切り出し*の
両端が不連続な場合、
時間-周波数特性上に
パルス性の誤差が発生
0
時間
n
逆特性をかけることで、
斜めの時間-周波数特性
の誤差が発生
* 特に、1周期+Lh の切り出しの際に応答と重なりやすい
192
32
単純な窓かけでは不十分
1周期目
雑音の加わった
系の応答
巡回的クロスフェード接続 [4.3]
2周期目
雑音
切り出しの両端を
窓かけ
切り出し部分
が消去
周波数
k
周波数
k
インパルス応答
TSP応答
時間
n
0
ゼロとなる部分
逆特性
時間
n
0
・ a’ に含まれる信号成分と b に含まれる信号成分は同一
→ b+a’ a+b’ で信号は一定値になる
・ 雑音はクロスフェードで連続的に接続される
193
(2)直線たたみ込みによる雑音性誤差の非定常化
シミュレーション例
x 10
不連続誤差
x 10
クロスフェード
0
2
-20
Frequency (Hz)
Frequency (Hz)
0.04
4
4
-40
1.5
-60
1
-80
0.5
-100
194
0.03
0
2
0.02
録音された
TSP応答
-20
-40
1.5
非定常な雑音
・振幅
・周波数成分
0.01
0
-0.01
-0.02
-0.03
-0.04
-60
1
0
1
2
3
4
5
6
x 10
4
-3
1
0.6
-80
x 10
0.8
0.6
0.4
0.4
0.2
0.2
0.5
0
-100
0
-0.2
-0.2
-0.4
0.2 0.4 0.6 0.8
1
-120
1.2
0
Time (s)
-0.4
0.2 0.4 0.6 0.8
1
1.2
-120
-0.6
0
Frequency
Frequency (Hz)
周
波
数
-20
-40
1.5
-60
1
補足:
主応答が周期の境にかからなければ
インパルス応答には影響しないが、
雑音性誤差に非定常成分が含まれる
-80
0.5
-100
0.2 0.4 0.6 0.8
1
-120
1.2
1
-20
0.9
-40
0.8
-60
0.7
0.6
Frequency
5
-1
6
-80
0.5
-100
0.4
0.3
-120
(参考)
円状たたみ込みの場合は、
はみ出た部分は回り込むので、
雑音性誤差の定常性が確保される
0.2
-140
0.1
-160
2
2.5
1
2
3
4
5
6
x 10
4
1
20
-20
0.9
0
0.8
-40
0.8
逆特性を
直線たた
み込み
-20
0.7
0.6
-40
0.5
-60
0.4
0.3
-80
0.2
-60
0.7
0.6
-80
0.5
-100
0.4
0.3
-120
0.2
-100
-140
0.1
0
0
4
0.1
-120
0.5
1
1.5
Time
2
時間
2.5
0
3
x 10
4
データのない部分
-160
0.5
1
1.5
Time
2
2.5
3
4
x 10
帯域ごとに雑音の長さも異なる
196
目次
円状たたみ込みとの違い
1.5
Time
4
195
Time (s)
1
3
1
0
2
0.5
2
0.9
x 10
両端窓かけ
0
1
x 10
Time (s)
4
0
-0.6
-0.8
Frequency
0
3
4
x 10
〇直線たたみ込みを利用する場合の対策:
測定信号を長めに設定し、
この部分を切り出して使用する
197
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
198
33
非定常(突発性)雑音の影響 (2)
非定常(突発性)雑音の影響 (1)
1
-10
20
0.9
-20
10
0.8
-30
0
0.7
-40
-10
0.6
-50
0.5
-60
-30
0.4
-70
-40
0.3
-80
-50
0.2
-90
-60
0.1
-100
-70
0
-20
1
逆特性
0.5
0
0.5
1
1.5
Time
2
2.5
4
2
1.5
1
2
3
4
5
Time
Frequency
1.5
x 10
30
Frequency
2
Frequency
PN(疑似雑音) による測定
4
x 10
-10
0.9
-20
10
0.8
-30
0
0.7
-40
-10
0.6
-50
0.5
-60
0.4
-70
0.3
-80
0.2
-90
-20
1
-30
逆特性
0.5
-50
-60
0
0.5
1
4
突発性雑音は、
測定結果に致命傷
測定中に
突発音
1
20
-40
-110
6
30
1.5
Time
2
-70
2.5
Frequency
SS信号による測定
x 10
0.1
0
測定中に
突発音
その他、ドアの開閉音や衝撃音
その他、ドアの開閉音や衝撃音
-100
1
2
3
Time
4
5
-110
6
4
x 10
PNの逆特性は位相を
ランダム化するので
時間集中した雑音は
全区間に分散される
199
非定常(突発性)雑音の影響 (まとめ)
SS
2
Frequency
1.5
30
1
-10
20
0.9
-20
10
0.8
-30
0
0.7
-40
-10
0.6
-50
-20
1
0.5
0
0.5
1
1.5
Time
2
2.5
0.5
-60
-30
0.4
-70
-40
0.3
-80
-50
0.2
-90
-60
0.1
-70
0
2
1.5
Frequency
複数回測定して、
非定常雑音が発生していない区間を同期加算
2
3
4
5
-110
6
x 10
4
4
30
1
-10
20
0.9
-20
10
0.8
-30
0
0.7
-40
-10
0.6
-50
0.5
-60
0.4
-70
-20
1
-30
Frequency
x 10
非定常雑音の発生頻度が少ない場合
-100
1
Time
PN(疑似雑音)
-40
0.5
0.3
-50
0.5
1
1.5
Time
2
2.5
-80
0.2
-60
0
非定常雑音対策としての同期加算
4
Frequency
x 10
200
-70
0
突発性雑音に対し
ては PNが有利(?)
-90
0.1
-100
1
2
3
Time
4
5
-110
6
4
x 10
201
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
203
Log-SSによる高調波歪の分離除去
5
x 10
-3
4
非線形誤差
(高調波歪)
2
3
しかし、非線形特性の
影響による誤差は、
主応答にも含まれる
1
振幅
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
202
0
-1
-2
-3
-4
-5
-0.4
-0.2
この線から左を
切り捨てることで、
高調波歪の成分を
0
0.2
0.4
時刻[秒] 除去できる
注:高調波歪を分離できる信号は Log-TSP 以外にも合成可[4.9]
→ 時間-周波数上で、高調波歪が時間方向に離れるように設計
204
34
非線形特性の影響
y (t)
非線形系
基本波応答
振
幅
振
幅
周波数
k
0 f
1
2次歪
高調波
歪
3次歪
・・・ 周波数
0 f 2f 3f
1
1
1
k
基 本 波 応 答 誤 差 と高 調 波 歪 (dB)
t
主応答誤差
-20
100
98
2次歪
94
92
-45
3次歪
-50
90
4
5
6
7
8 9 10 11 12
周波数[kHz]
-55
-60
50
55
60
65
70 75
音圧レベル(dB)
80
85
90 95
① 主応答の誤差(変化)は、高
調波歪のような違和感はない
② しかし、波形利用の場合に
は考慮が必要
205
③定格入力では、主応答
誤差が -13dB。 周波数
振幅特性に最大2dB程度
の誤差があった
206
混変調歪
「線形応答」という呼び名は不適当
y (t)
x (t)
基本波応答、(線形応答)
とも呼ばれる
主応答
誤推定
96
-40
非線形の影響は高調波歪だけではない!
2次歪
102
-30
高調波が発生するだけでなく、
基本波応答の大きさ(や位相)も変化する
3次歪
104
-25
-35
正解
106
基本波応答の誤差
第2次高調波歪
第3次高調波歪
-15
t
[4.8]
定格入力45W
-10
[dB]
x (t)
主応答変形の測定例
振
幅
非線形系
振
幅
6000
主応答にも、
非線形誤差(成分)が含まれる
5000
周波数[Hz]
4000
3000
2000
5
x 10
線形応答と呼びたくない理由
-3
4
1000
0
3.5
3
2
4
4.5
5
5.5
6
6.5
1
振幅
時間[s]
0
-1
-2
-3
-0.4
-0.2
例:電源雑音
0
時刻[秒]
0.2
f1 f2
周波数
k
0
f1 f2 2f1 2f2
0.4
k
f2- f1
f2+ f1
「混変調歪」
複数の周波数成分(f1, f2)を持つ信号を
インパルス応答の
非線形系に入力すると、
右側にも発生するので
高調波(倍周波)成分以外に、
Log-SS でも除去できない
和と差の周波数成分
n・f1± m・f2 (n, m: 整数)
SS信号が複数周波数となる場合の例
が発生
→ DA変換器の非線形 (6章)
→ 電源雑音の付加
-4
-5
0
207
208
PN信号に対する非線形誤差の例 (M系列)
[4.11]
低レベルの電源雑音でも歪が大きいと混変調を発生
(a)入力14W
3次歪 2次歪
0.2
4.5
5
時間(s)
0.4
相対振幅
20
-0.2
-0.4
0
主応答
5.5
6
(b)入力43W
周 波 数 (kH z)
相対振幅
0.4
15
誤差
-40
誤差
10
-60
5
-80
4.5
-0.4
雑音性の誤差成分が発生
-20
0.2
-0.2
(dB)
5
時間(s)
5.5
-100
図 (b)のスぺクトログラム
4.5
5
時間(s)
5.5
6
Log-SSの測定結果
直線的な高調波歪だけでない
同じ長さの異なったPN信号を用いた測定結果を、
同期加算することで低減できる
混変調歪は分離困難 → 対策:原因雑音の除去
209
210
35
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
雑音性誤差と非線形誤差
測定信号
s(n)
S(k)
雑音
N(k)
+
+
被測定系
H(k)
H(k)・S(k)
非線形 +D(k)
D(k)
インパルス応答
h(n)
逆フィルタ
H(k)・S(k) 1/S(k)
H(k) +
+D(k)
N(k)
D(k)
+
+N(k)
S(k)
S(k)
観測信号
◇ 雑音性誤差は、 |S(k)| が大きいほど小さい
非線形
誤差
雑音性
誤差
◇ 非線形誤差は、 |S(k)| が大きいと大きくなる(一般的に)
(|S(k)| の増加より D(k) の増加が大きい)
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
211
212
測定誤差のトレードオフ関係
各雑音の低減方法
同一の測定信号で、信号レベルを変化させた場合
雑音性誤差
大
非線形誤差
大
測
定
誤
差
雑音性誤差
非線形誤差
測
定
誤
測定信号
差
SS
高調波歪除去
PN
同期加算
スペクトル
小
の最適化
小
小
同期加算
小
測定信号レベル (dB) 大
測定信号レベル (dB) 大
213
目次
測定信号の大きさと測定誤差
大
雑音による誤差
測定誤差
小
非線形による誤差
小
214
測定信号レベル [dB] 大
誤差対策をほどこして誤差を低減したのち、
目的に応じた適切な信号レベルに設定
215
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
216
36
短時間時変性(風)の影響
誤差成分の時間-周波数特性
周波数
k
インパルス応答
SS
x 10
PN
4
-10
風の影響
時間
n
0
周波数 (Hz)
2
逆特性
時間
n
0
振 幅 [dB]
振幅[dB]
-85
-90
-95
1000
1500
2000
2500
0
5
10
15
5 測定回数[回] 10 (×10分)
3000
周波数[Hz]
時変特性は、スピーカの機種や再生音圧にもよるが、
ある程度のウォーミングアップはしたほうが良い
例えば、10-30分
理想は、一度、特性測定 219
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
-30
-40
1
-50
0.5
0.05
0.1
0.15
-70
-60
0
0
0.05
0.1
0.15
-70
時間 (s)
218
・ 定常雑音
定常な測定誤差
測定信号の周期切り出し端点の不連続対策
直線たたみ込みによる非定常化
・ 非定常(突発性)雑音
SS 信号は苦手、PN が better ?
・ 非線形性
高調波歪はLog-SSなどで除去可
PNでは異信号同期加算で低減化
高調波歪以外にも、主応答の歪が存在
・ 雑音性誤差と非線形誤差の間のトレードオフ関係
・ 時変性誤差
スピーカなどのウォーミングアップ
-85
-88
0
-20
「4章 測定の誤差要因」 のまとめ
-86-86
dB-87
定格入力
-10
1.5
・ SSの場合、インパルス応答自体に誤差が集中
(波形誤差か、周波数特性の周波数方向の微小なずれ)
(振幅特性は影響が小さい)
・ 疑似雑音では、誤差は全区間に分散
振幅平均値
の変化
-83
-84-84
-50
0
2
時間 (s)
-82
-80
-40
1
0
0
スピーカの特性変化 (時変系)
初回
最終回
-30
4
-60
217
10分間隔
-20
1.5
0.5
(測定例 [4.13])
時間遅れは
平均 0.3μs、標準偏差 0.7μs
誤差は5kHz以上で
-30~-20dB程度
-75
x 10
0
周波数 (Hz)
周波数 SS信号
k
up-TSP応答
風による誤差(実測例) [4.13]
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
221
220
インパルス応答波形における雑音抑圧効果
(測定結果)
インパルス信号
δ(n)
1
系
測定信号
s(n)
J
pS
系
定常雑音
n0(n)
+
パワー
pN0
定常雑音
n0(n)
逆フィ
+
ルタ
N
pS: 測定信号 s(n) のパワー(実効値の2乗)
雑音性誤差
pN1
N
pN0, pN1 は雑音性
誤差のパワー
雑音抑圧効果 NRP (Noise Reduction Performance):
インパルス入力時と、測定信号 s(n) を用いた場合の
雑音性誤差のパワー比 pN0/pN1
222
37
雑音抑圧効果の定式化
雑音抑圧効果の説明
pN 0
1
 J  pS 
N 1 ˆ
pN 1
P (k )
1
 N0
N k 0 Sˆ (k ) 2
NRP 
パワー (=振幅2)に比例
s(n)
J
NRP  J  pS 
pS
N
実効長に比例
ただし、P^N0(k)、|S^(k)|2は、PN0(k) および |S(k)|2 を、
それぞれの平均値(平均的大きさ)で正規化したものである。
⇒ PN0(k) および |S(k)|2 の(大きさを除いた)形状を反映
PˆN 0 (k ) 
PN 0 (k )
1 N 1
 PN 0 (k )
N k 0

PN 0 (k )  E N0 (k )
2
S (k )
1 N 1
2
 S (k )
N k 0
Sˆ (k ) 

測定信号の
エネルギー
に比例
2
2
1
1 PˆN 0 (k)

N k 0 Sˆ(k) 2
N 1
大きさで正規化されており
信号と雑音のパワースペ
クトル形状に依存する項
証明は付録5.1-1
及び文献[4.3.1]
E  : 期待値
223
振幅と実効長の雑音抑圧効果の例
(測定信号)
s(n)
(測定結果)
J
224
振幅と実効長の雑音抑圧効果の例(つづき)
(測定結果)
(測定信号)
s(n)
雑音性誤差
A
J
N
N
2J
実効長2倍
J
振幅2倍
雑音性誤差
A
A
2A
誤差パワーは1/2
誤差パワーは1/4
・ AとJ が同じ
(=測定信号エネル
ギーが同じ)なら
誤差パワーは同じ
(雑音抑圧効果は同じ)
実効長と信号長2倍
2J
実効長2倍
2J
A
A
誤差パワーは1/2
雑音抑圧効果は測定信号のエネルギーに比例
注) N には依存しない
2
S (k )  C1
2
Sˆ (k )  1
N 1
NRP J  pS
雑音の種類によらず
雑音抑圧効果は一定 J・pS
Sˆ (k ) 
② 雑音白色化信号
2
S (k )  C2  PN 0 (k )
S (k )
2
2
Sˆ (k )  PˆN 0 (k )
NRP J  pS
注:
 Pˆ
k 0
N0
③ 雑音最小化信号 MN
2
S (k )  C3  PN 0 (k )
NRP J  pS 
2
1 N 1
2
 S (k )
N k 0
N 1
226
測定信号のスペクトルによる雑音抑圧効果(2)
1
1 PˆN 0 (k )

N k 0 Sˆ(k) 2
NRP J  pS 
誤差パワーは1/2
225
測定信号のスペクトルによる雑音抑圧効果(1)
① 白色信号 (TSP、M系列など)
2N
(k )  N
1 N 1
 PN 0 (k)
N k 0
PN 0 (k ) の2乗平均
PN 0 (k ) の平均の2乗
雑音白色化信号の雑音抑圧効果は
白色信号の雑音抑圧効果に等しい
2
 1 N 1

   PN 0 (k ) 
 N k 0

=
証明は付録5.1-2
及び文献[4.3.1]
エネルギの偏り
平均の2乗+分散
平均の2乗
雑音スペクトルの分散が大きいほど雑音抑圧効果は大きい
227
228
38
(再)雑音抑圧量の計算例
Hoth 騒音A 騒音B 騒音C
白色 (TSP) 0 [dB]
0
0
0
雑音白色化 -0.1
0.8 -2.2 0.4
1/f (log-SS)
8.8
17.8 18.1 9.2
雑音最小化 10.9 19.7 20.3 15.0
(再)雑音抑圧量の計算例
[4.2]
白色の結果を基準(0dB)
雑音白色化(WN)は
白色(TSP)と同じ
log-SSは、雑音最小
化に近い場合もある
(理由)
Hoth 騒音A 騒音B 騒音C
白色 (TSP) 0 [dB]
0
0
0
雑音白色化 -0.1
0.8 -2.2 0.4
1/f (log-SS)
8.8
17.8 18.1 9.2
雑音最小化 10.9 19.7 20.3 15.0
(理由)
1/k2
となり、log-SS と一致
NRP 
pN 0
 J  pS 
pN1
|S(k)| =
N
4
Log-SS はパワーが 1/k2 特性の雑音を最小化
230
測定信号のスペクトルと雑音抑圧効果(まとめ)
N
PˆN 0 (k )

2
ˆ(k )
k 0 S
S (k )  S (k )  exp(j (k ))
測定信号の
スペクトル
・ 不適切な信号スペクトル |S^(k)|2は、NRPを減少させる
ある帯域の |S^(k)|2 が 小 (P^N0 が小さければよいが)
振幅スペクトル
位相スペクトル
非線形誤差に関与
雑音性誤差に関与
・ 測定信号エネルギー J  pS  k 0 S (k ) / N
N 1
⇒ P^N0(k) / |S^(k)|2 → 大
2
雑音抑圧効果(誤差パワーの低減量)に比例
・ スペクトル形状
 S(0) , S(1) , S(2) ,
雑音抑圧効果を増減する (10~20dB)
PN (k ) が最適
231
232
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
4
室内騒音
には、1/k2
= 4倍の信号実効長
特性の
と、log-SS と一致する
騒音も多い
1/k2
N 1
⇒ NRP < J・pS (= 白色のNRP)
・ 例えば、Log-SS で |S^(k)|2 の小さい高域で、
雑音成分 P^N0(k) が大きい場合に発生 (Log-SSの欠点)
・ NRPが雑音に依存しない TSP は、「大きな誤り」がない
・ 適応形測定信号は、常に最適(少し手間がかかるが)
log-SSは、雑音最小
化に近い場合もある
振幅スペクトルは
6dBの抑圧量
|S(k)| = √C4/√k
229
不適切な測定信号
雑音白色化(WN)は
白色(TSP)と同じ
雑音抑圧量と信号時間
2
C ・√P (k) = C ・1/k
室内騒音
には、1/k2
特性の
騒音も多い
Log-SS はパワーが 1/k2 特性の雑音を最小化
白色の結果を基準(0dB)
騒音スペクトルが PN(k) =1/k2 の時、
雑音最小化信号のパワースペクトルは
騒音スペクトルが PN(k) =1/k2 の時、
雑音最小化信号のパワースペクトルは
|S(k)| 2 = C4・√PN(k) = C4・1/k
振幅スペクトルは
|S(k)| = √C4/√k
[4.2]
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
233
測定結果におけるSN比
測定信号
s(n) A
J
N
雑音
2J
信号長
A
(JとN)が
2倍
2N
雑音
信号長を2倍にして、信号のエネル
ギーを2倍にしても、録音される雑音
のエネルギーも2倍になる
信号長を長くしても
録音信号のSN比は
改善されないのでは?
Yes
234
39
測定結果における誤差パワー
(測定結果)
J
測定信号
s(n) A
測定結果のエネルギー
雑音性誤差
誤差パワー大
N
N
雑音
2J
信号長 A
(JとN)
2倍
誤差パワー小
2N
雑音
2N
235
信号長を長くしても
誤差エネルギーは不変。
しかし誤差は、測定信号の
全区間に一様分布するので、
信号長が増加すれば、パワー
(単位時間あたりのエネル
ギー)は減少する
インパルス応答
236
雑音
→ 区間増大
→ パワー減少
→ 雑音の影響減少
1/4
4N
信号長
増加
N
雑音も周波数特性も
広く分布
→ 雑音の影響は不変
DFT
周波数特性
(2N)
0
fs/2
0
fs/2
周波数特性はSN比を改善しないとダメ
237
インパルス応答のSN比の改善
238
周波数特性 H(k) の測定(重要)
インパルス応答の時間軸上での切り出し
測定信号
s(n) s(n)
・ インパルス応答の切り出しを
行うことでSN比が改善される
N
・ 切り出し区間 Lh 内では、
SN比は、誤差パワー pN に比例
して減少
N
S(k)
N1
N2
(2N)
インパルス応答
局所的に存在
→ 区間増大
→ 大きさに変化なし
DFT
pN2
誤差パワー小
測定信号によるインパルス応答の誤差低減効果は、
インパルス応答と、雑音性誤差の、時間軸上の分布の違いを
利用して、インパルス応答に重畳する誤差を低減するもの
誤差パワー小
pN1
誤差エネル
ギー総量(面
積)は同じ
N
信号長と DFT 結果
(測定結果)
逆に、
雑音性誤差
測定信号長を長くし、
誤差パワー大
測定信号エネルギーを大きくすると、
誤差パワーは減少するので、
誤差エネル
一見、誤差が低減したように
N
ギー総量(面
見えるが、
積)は同じ
全データ区間の誤差総量は
減少していない
Lh
雑音性誤差
誤差パワー大
インパルス応答は
特定の時間に集中するので、
信号長 N によらず
エネルギーもパワーも不変
周波数特性算出のときの注意
周波数特性をDFT(FFT)で
計算する場合、
全データを使ってしまうと
誤差は減少しない
(測定結果)
・ (再)切り出しを行わない状態だと
SN比は改善していない!
・ 周波数応答計算前に切り出すこと
を忘れない!
測定出力
切り出しによるSN比改善
y(n)
インパルス応答
h(n)
2周期目 逆フィ
被測定系
h(k)
ルタ
逆DFT
N点DFT
H(k)
1/S(k)
Y(k)
1/S(k)
H(k)
=H(k)・S(k)
周波数特性として
これを使ってはいけない。
SN比が改善されていない
239
h~(n)
H~(k)
SN比を改善した
周波数特性
240
40
時間波形切り出しの問題点
インパルス応答の切り出し
0.01
通常、インパルス応答は
十分な長さをとって測定
インパルス応答
切り出し時刻
(インパルス応答と雑音の
パワーレベルが
等しくなる付近)
x 10
Frequency
振幅
IRの後半部分は
ほぼ雑音区間
241
0.4
0.5
周 波 数 (kHz)
振幅
-1
0
-1
0
100
IR
200
300
時間 (ms)
S
T
F
T
400
500
IR
IR
IR
(OK?)
IR
-2
0
100
切り出し
切り出し
切り出し
切り出し
200
300
時間 (ms)
400
500
切り捨てられる
IRの部分
1
0.1
0.2
0.3
Time
0.4
0.5
20
通常の波形切り出し20
15
15
10
10
5
5
0.6
242
(dB)
0
帯域別
切り出し
-20
-40
-60
0
-50 0
逆
S
T
F
T
信号のパワー
となる時刻で
切り出す
帯域別(サブバンド)切り出しの効果
1
0
0.6
4
2
1
振幅
0.3
低周波成分の大きな室内騒音下では、
切り出し時刻が、低周波騒音の大きさで決まってしまい、
SN比の高い高周波数成分が切り捨てられる
検討中の手法 (帯域別切り出し)[5.1][5.2]
-2
0.2
2
0
時間
0.1
=
切り出し時刻
-0.01
0
雑音
2
通常、
雑音のパワー
0
-80
100
200
時間 (ms)
300
400
0
-50 0
100
200
300
時間 (ms)
400
時間波形切り出しで切り捨てられていた部分が、
帯域別切り出し法では保存されている
IRk
*) 測定信号長 N を決める際も、時間-周波数特性で帯域ごとに
インパルス応答の長さを見て決める
STFT:短時間フーリエ変換
244
243
(参考)古典的なSSによる周波数特性測定との比較
アナログ周波数特性測定
周波数
k
インパルス応答測定
掃引正弦波応答
k
インパルス応答
切り出し
(全帯域一定)
f1
f2
トラッキング
フィルタ
0
f1から f2 の成分が
この時間に出力される
その大きさを
f1の振幅特性とする
時間
n
逆特性
0
n
掃引速度によらず、正確に振幅・
位相特性が得られる点は、本質的
な相違点であるが、切り出しが
トラッキングフィルタに対応
245
「5章 測定信号による雑音抑圧効果」のまとめ
◇ 測定信号と雑音抑圧効果を表す式
・ 白色信号(TSP、M系列)、雑音白色化信号の
雑音抑圧効果は、信号エネルギーに比例
・ Log-SS や雑音最小化信号は、さらに 10~20dB の
雑音抑圧効果を有する
◇ 測定結果(インパルス応答波形)のSN比は、
波形切り出しを行うことで、改善する。
・ 周波数特性を求めるときは、必ず切り出しを行う
・ 波形切り出しを時間軸上で行う場合は、高SN比の
帯域成分の切り捨てに注意
⇒ 時間-周波数特性でチェック
⇒ 帯域別切り出しが有効
246
41
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
再生
DA
PC
録音
AD
out
音響系
in
・ 測定結果には、 DA とA D の特性や影響が含まれる
・ DA とA D の特性を理解しておくことが重要
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
247
248
6.1.1 PC と AD・DA の設定
6.1 AD・DA などの注意点
6.1.1
6.1.2
6.1.3
6.1.4
6.1.5
6.1 AD・DA などの注意点
AIF
PC と AD・DA の設定
AD と DA のクリッピング
AD と DA の折り返し現象
AD と DA の直流除去HPF
AD と DA の同期、サンプリング周波数
再生
DA
PC
録音
AD
out
音響系
in
・ PC 内臓の AD・DA は、雑音が加わりやすい
本節の話は、 PC、サウンドデバイス、OS、ドライバ、
などのソフト・ハードウェア環境に依存するので、
必ずしも一般的でない話も含まれています
・ 外付け AIF(Audio Inter-Face) の利用が一般的
※ AIF の選択・評価は別稿
249
PC 設定上の注意など
6.1.2 AD と DA のクリッピング
・ PC: 常駐ソフトはできるだけ外す
大きな非線形誤差要因
(ウィルス対策ソフトなど)
できれば計測ソフトの優先度をあげる
◇ AD 入力オーバーによるクリッピング
・ 録音波形表示、時間-周波数表示によるチェック
・ 必ずしも最大値(±1、±2^15)ではないことがある。
(マイクアンプでのクリッピング、WinXP ドライバ[6.5])
・ AIF ドライバ:
Windows XP のドライバは勧められない
(AD・DAの同期性に問題)
ASIOは良 (MATLAB → pa_wavplayrecord)
◇ DA 出力時のクリッピング
・ AD データの転送時損失
・ ΣΔ方式DAの場合
→ 次頁
特に、多チャンネル、長時間録音時
(検出プログラムの利用)
不案内なので、調査ください
例えば、文献 [2.2]
250
251
クリッピング
クリッピング
レベル
t
252
42
DAで発生するクリッピング (1)
DAで発生するクリッピング (2)
合成した測定信号 s(k)
なるべく大きな振幅 (←量子化誤差、DA電気雑音の影響小)
⇒ s(k)の最大値を、ディジタル最大値( ±1 or ±215 )
(DAできる最大値)に正規化 することがある
しかし、
この正規化は、
クリッピングが発生
する可能性あり
DA出力
253
254
クリッピングの原因
防止方法
旧来型のDA
最大値 2.5
±1 の M系列信号
補間
最近のオーバサンプリング(ΣΔ)型のDA
±0.4 の M系列信号
補間
DA
補間後の最大値が
ディジタル最大値を越えない
ように正規化すればよい
補間しても最大値が変わらないよう
な信号(SS信号など)では大丈夫
DA入力を最大値以下にするために
補間後にクリッピングされる
PN信号は注意 [6.3]
255
6.1.3 AD と DA の折り返し現象
256
標本化定理 (サンプリング定理)
AIF
再生
PC
録音
DA
LPF
HPF
AD
LPF
HPF
アナログ信号を 標本化してディジタル化 するとき、
out
信号の帯域幅 ( 0 ~ fmax )
標本化周波数
fs
in
fmax < fs/2
LPF: 折り返し歪防止
この条件を満たせば、原信号を再現できる。
HPF:直流成分カット
257
258
43
折り返し防止フィルタ
標本化定理が満たされないと
折り返し歪み(エリアシング)が発生
パワー
入力
折り返し防止
(低域通過)フィルタ
パワー
信号の
パワー
スペクトル
周波数
f
1
―fs
2
0
f
0
1
―fs
2
1
1
―fs 以上の周波数が含まれると、0~ ― fs の区間に折り返される
2
2
A/D変換器の前に、
(fs/2) 以上の成分を除去する
「折り返し防止フィルタ」を設置
ゲ
1
イ
ン
周波数
0
不自然な雑音になる
A/D
fs/2
259
260
オーディオインタフェースのAD付属の
折り返し防止フィルタ特性の測定例 [6.1]
折り返し歪防止用 LPF の設計方針
従来の方針
遷移
帯域
最近のAIFの方針
遮断
帯域
ゲイン
ゲイン
通過
帯域
遷移 遮断
帯域 帯域
通過
帯域
折り返
し歪
f
0
fs/2
通過域平坦特性を
狙うため、fs/2 でも
減衰が小さく、
fs/2 の 10%程度で、
折り返しが発生
f
周波数
fs/2
周波数
fs/2 以上を遮断帯域
fs/2 以下を通過帯域
→ 折り返しは発生しない
→ fs/2 付近は特性低下
→ fs/2 まで特性は平坦
→ 折り返しが発生
周波数 [fs/2]
261
262
折り返しを許容する理由
従来の方針
Log-SS
最近のAIFの方針
遮断
帯域
ゲイン
ゲイン
通過
帯域
遷移
帯域
AD の折り返しによる誤差
通過
帯域
周波数
遷移 遮断
帯域 帯域
fs/2
折り返
し歪
0
周波数
2次歪
3次歪
高調波歪の
折り返し
周波数
インパルス応答
逆特性
f
fs/2
2次歪
3次歪
主応答
f
fs/2
0
周波数
・ 高調波歪は、
fs/2 以上の成分を持つので、
折り返し歪が発生
・ fs/2 まで平坦 → 見ばえが良い (?)
・ どちらも、上限10%くらいは使えないのは同じ
・ 聴覚上は、24KHz付近の折り返し歪は影響しない
・ しかし、計測上は、「無い」 と 「汚れた」では大きな違い
時間
263
0
時間
・ 高調波間のすきまが埋まって
切り出しが難しくなる
・ インパルス応答の先頭が
あいまいになる
264
44
DA のローパスフィルタ特性
AD変換器による高調波歪の折り返しの例
3次歪
オーディオインタフェースのDA付属のローパスフィルタ特性の測定例
2次歪
主応答
6000
主応答
5000
ADのフィルタと同様
に、通過域平坦特性
を狙うため、fs/2 で
も減衰が小さく、
fs/2 の 10%程度で、
逆折り返し( fs/2 以
上の成分 )が発生
周波数[Hz]
4000
3000
2000
1000
0
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
時間[s]
周波数 [fs/2]
UA-1EX の DA系のLPFの振幅特性
266
265
DA の逆折り返しの例
D/Aの 「逆折り返し」
正しいDA:フィルタが離散信号に含まれる fs/2 以上の成分を除去
フィルタ
(連続化=補間)
(離散信号)
周期スペクトル
×
f
- fs/2 0 fs/2
例) fs = 48kHz → fs/2 =24kHz
(連続信号)
1
-fs/2
0
f
fs/2
-fs/2
0
フィルタ
(連続化=補間)
×
f
- fs/2 0 fs/2
AIF
正弦波
(DA+LPF)
PCから
23kHz の正弦波
を出力
(連続信号)
AIF出力は、
23kHz
の正弦波
+
25kHz
の正弦波
逆折り返し
1
-fs/2
0
fs/2
f
f
- fs/2 0 fs/2
25k
ディジタル
f
fs/2
逆折り返しが起きる場合: fs/2以上の成分を除去しきれない
(離散信号)
fs/2
23k
周波数 [fs/2]
fs/2 以上の成分
が再生される
268
267
(参考) 標本化周波数変換時にも注意
逆折り返しの影響の例 [4.10]
周波数
fs/2 以上の
成分が発生
fs/2
混変調歪
(差の周波数)
が発生
fs/2
up-TSP
t
0
t
周波数 (kHz)
0
時間
269
0
-10
-20
35
-30
-40
25
0
20
-20
-50
15
15
-40
-70
10
10
-60
-80
5
5
-80
20
0
0
時間
逆折り返し
40
30
ss (up-TSP)
周波数 (kHz)
f
2倍 アップサンプリング: resample(ss,2,1)
45
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
時刻 (s)
1/2 ダウンサンプルング:resample(ss,1,2)
10
折り返し
5
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
時刻 (s)
1
1.2
周波数 (kHz)
周波数
f
PC内での標本化周波数変換:
MATLABでは、
resample 関数も、
デフォルトでは折り返し発生
スピーカ 出力
DA 出力
0dB
-20dB
0
-100
0
-60
-90
0.2
0.4
0.6
0.8
時刻 (s)
1
1.2
-100
0
-50
-100
対策: resample関数で
フィルタを指定する
270
45
AIF フィルタの影響回避策
6.1.4 AD と DA の直流除去HPF
必須ではありませんが、折り返しの影響が無視できない場合は、
AIF
◇ DA の逆折り返し対策
・ PC内で、逆折り返し防止ディジタルフィルタを
測定信号に適用
再生
PC
(例えば、fs/2 の90%をカットオフ、100%までを遷移域とするLPF)
・ 信号の設計段階で、振幅成分を減衰させておく
◇ AD の折り返し対策
・ 別途、アナログLPFを ADの前段に設置
・ 録音後、折り返し発生帯域をカット
録音
DA
LPF
HPF
AD
LPF
HPF
out
in
LPF:折り返し歪防止
HPF:直流成分カット
272
271
HPF 時間応答特性 [6.1]
時間波形の立ち上がり等に影響
長時間継続する応答
Response
0.6
0.4
0.2
0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
0
0
立ち上がりの
レベルが変動
・ 信号波形の立ち上がりが不連続だと、
しばらく影響
0.1
0.2
0.3
Time [s]
274
HPFの影響への対策
1
0
-0.5
-1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
1
0.5
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
1
0.5
0
-0.5
-1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.5
方形波が変形
273
0.5
0.4
6.1.5 DAとADの同期性
DA インパルス信号
① 急な立ち上がり
を持つ場合は、
Half-cos 窓
などをかけて
測定信号の
立ち上がりを
ゆるやかにする
AD インパルス応答
① DAと
ADの同期
がとれて
いないと、
同期
② 録音信号の先頭から
HPFの応答時間程度は
利用しない
⇒ 一周期目を使いたくない理由
275
時間進み
に見える
遅れ
進み
時間遅れ
に見える
② さらに、
測定回ごとに
時間軸が不一致だと
同期加算ができない
276
46
同期性のチェックと対策
AD の遅れは問題となる
[ チェック方法 ]
・ DA-AD を直結して、パルス音を発生させて
時間ずれ(遅延・進み時間)を測定・把握する
・ パルスに 0 を付加し、実使用信号長にして測定
(見本プログラム: DA_AD_sync_01.m)
入力(DA)
時間
時間ずれは ⇒ 「ない」 「一定」 「ほぼ一定」 「毎回異なる」
PCの状態やDA・ADデータ数によって遅れ時間は
異なることがある
系の応答
(AD)
[ 対策 ]
・ 一定のずれは補正可能
・ ずれが一定でない場合、
同期加算は、N回分の測定を単一データで行う
・ 3周期出力して
2周期目を取り出す
・ 左図で失われた部分も
回復される
AD の開始が
遅れた場合、
この部分を失う
AD の遅延がほぼ一定の場合は、DAデータの先頭に
ゼロを付加して調整する事も可能
277
278
2台のPCで測定する場合
in 録音
AD
サンプリング周波数の違いの影響
未検討
SSの場合の例
録音用
PC2
?
up-TSP応答
out
再生
DA
インパルス応答
fs/2
再生用
PC1
逆特性
・ 再生場所と録音場所が離れている場合
・ PC1 の DA と、PC2 の AD との同期問題に加えて
サンプリング周波数が微妙に違う場合がある
0
PNの場合の例
時間
n
0
時間
n
誤差の増加 [4.13-2]
279
280
目次
サンプリング周波数の違いへの対策
未検討
・ ズレの計測と補正?
正弦波+うなり
正弦波+位相特性
正弦波+周波数測定
・ 補正はリサンプル?
281
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
282
47
気をつけたほうがよい雑音と注意
6.2 録音時の雑音
聞こえない雑音
再生
DA
PC
録音
AD
out
・ 低周波騒音
・ 電気的雑音 (ハムなど) → 混変調歪の要因にも
in
音響系
・ 固体伝播音 (機材の振動など)
突発性雑音 (瞬間的な音、ガタッ、カチッ)
背景雑音を録音しておくこと
(再生音の最初または最後に数秒の無音再生を
騒音
行い、その時に背景騒音を録音する)
参考: 実験時の写真を撮っておく
(機器配置・ボリュームなど)
284
283
目次
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
・ 聴覚的に気にならない低周波雑音が大きく
含まれている場合(時間-周波数特性では
見づらい)は、録音後にフィルタで低域カットする
のが良い。
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
286
285
6.3 測定結果の評価
① 波形のチェック (1)
・ 測定直後に、測定したインパルス応答の質の
評価(良・不良のチェック)を行うと良い
・ 波形クリッピングのチェック
(受音波形)
① 波形のチェック
② スペクトログラム(時間ー周波数特性)
によるチェック
③ 雑音のチェック
(インパルス応答波形)
クリッピングのチェックはインパルス応答波形からはわからない
287
288
48
② スペクトログラムによるチェック (1)
① 波形のチェック (2)
・ 特に、SS の場合、系の応答(観測信号)と、
時間-周波数特性の表示が有効
・ 高調波歪、非定常雑音、などの不良現象が検出できる
PN信号は、非線形誤差と雑音性誤差の区別がしづらい。
M系列信号などでは、非線形が発生したら後半にパルス状
の雑音
x 10
-4
インパルス応答波形 (up)
4
2
波形では
原因不明な
誤差が
よく理解できる
0
-2
Frequency (Hz)
100
150
200
250
Time [ms]
300
350
400
450
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
0.2
289
(受音信号)
20
5000
0
-20
4000
x 10
スピーカにもよるが、
意外と低い再生レベル
で非線形が発生
2
1.5
Frequency
-60
2000
-80
1000
-100
0.5
1
1.5
2
Time
2.5
3
低レベルの高調波は
あまり気にしなくても
良いかも
0.3
0.4
0.5
0.6
Frequency
スペクトログラムで見ると x 104
低周波雑音である
2
ことがわかる
0.1
0.2
0.3
Time
-20
10
0.8
-30
0
0.7
-40
-10
0.6
-50
0.5
-60
-30
0.4
-70
-40
0.3
-80
-50
0.2
-60
0.1
-70
0
逆特性
0.5
1
1.5
Time
2
2.5
-90
-100
1
2
3
4
Time
5
-110
6
x 10
4
最低限、インパルス応答のスペクトログラムでの
チェックは行うことを勧める
測定信号 s(n)
1
必要に応じて、
0
DFTにより分解能の高い
周波数分析を行い、
不要な帯域であれば、
録音後にフィルタで
低域カットするのが良い。
-10
0.9
292
③ 異なる測定信号での測定結果との比較
SS は次数を変え、PN は位相を変える
2つの測定結果の差が誤差成分
④ 測定したインパルス応答を測定信号とたたみ込んで
観測信号と比較 (波形精度が必要な場合)
0
0.2
1
20
より厳密なの評価方法
0.01
0.1
1
0
③ 雑音のチェック
-0.01
0
290
30
-20
0.5
291
波形のチェック
大きな雑音成分が
観測される
1.2
(インパルス応答)
衝撃音
-40
3000
1
4
Frequency
6000
0.8
Time (s)
非定常雑音も、受音波形の方が理解しやすい
受音波形の方が、より理解しやすい
Frequency
0.6
② スペクトログラムによるチェック (3)
② スペクトログラムによるチェック (2)
0
0.4
0.4
0.5
被測定系
H(k)
観測信号
インパルス応答
h(n)
逆フィルタ
1/S(k)
0.6
たたみ込み
h(n)
293
細かい評価は目的に依存
-
+
誤差
294
49
目次
「6章 測定時の注意点」 のまとめ
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
・ 聞こえない雑音に注意
・ ADのクリッピング、DAのクリッピングに注意
DAはPN信号の場合
・ ADの折り返し歪、DAの逆折り返し歪に注意
・ 特に、ΣΔ型のAD/DAでは、ほぼ発生するので、
自分の測定の目的に影響が小さいことを確認
・ 対策は、折り返し防止 LPFを自分で用意
・ DAとADの同期性の不良も誤差の原因となる
特にADの遅れ、サンプリング周波数の不一致
・ 測定結果の品質をチェックして、評価しておく
SS の場合、時間周-波数表示(スペクトログラム)
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
296
295
最小二乗法
測定信号が利用できない場合
測定用
入力信号
出力信号
被測定系
入力信号
被測定系
PC
測定用入力信号を利用できる場合
SS、PN
入力信号
x(n)
出力信号
被測定系
g(n)
出力信号
y(n)
誤差
e(n)
+
-
FIR フィルタ
h(n)
PC
測定用入力信号を利用できない場合
・ 入力信号 x(n) と 出力 y(n) は観測できる
・ この時、誤差 e(n) の二乗和を最小にするような
FIR フィルタを求める。
・ FIR フィルタの係数(インパルス応答)が、
被測定系のインパルス応答g(n) の近似値となる。
・ 最小二乗法
・ 適応フィルタ
・ クロススペクトル
297
298
たたみ込み行列演算
最小2乗法の行列解法 (たたみ込み行列 X)
信号[x(0), x(1), x(2), x(3), ・・・, x(N-1), x(N)] を
縦ベクトルとして、1段ずつずらして並べた行列
X

0
0
0 
 x(0)
 x(1)
 
x
(
0
)
0


 x(2)
x(1)
x(0)
0


x
(
3
)
x
(
2
)
x
(
1
)
x
(
0
)



 





x (0) 
 x( N ) x( N  1) x( N  2)
 0
x( N )
x( N  1)
 


0
x( N )
 
 0

 0

0
0


x( N )

L+1
N:信号長
フィルタベクトル h =
[h(0),h(1),h(2), ・・・,
h(L) ] との積はたた
み込みになっている
0
0
0 
 x(0)

 x(1) x(0)
0
  h(0) 


 x(2) x(1) x(0)
L+1

  h(1) 




N+1
  h ( 2) 

L:フィルタ長
+L
 x( N )
x(0)  
>予想される

  

インパルス

x
N
0
(
)



応答長
  h( L ) 

x( N )
0


 x( N ) 例えば
0

3行目=x(2)h(0)+
行列は、縦長行列
x(1)h(1)+x(0)h(2)
X
299
300
50
たたみ込みを表す行列方程式
y(k)=x(k)*h(k)
(出力)
y
(入力)
(フィルタ)
X h
=
最小2乗原理に基づく計算法
x と y が与えられた
時、方程式を満たす
ような未知数 h を求
める。
0
0
0  L+1
 y (0)   x(0)

 y (1)   x(1) x(0)
0
  h(0) 
 


 y (2)   x(2) x(1) x(0)

  h(1) 
 




  h(2) 


  x( N )


x(0)  

  
 

 
x( N )
  0



  h( L ) 
 

x( N )
0

 

 x( N )
0
 y ( N  L) 
入力信号
x(n)

被測定系
g(n)

1
XT y
誤差
e(n)
T: 転置
・ (XTX)-1 の逆行列演算の悪条件を避けるために、
対角成分に微小量を加算すると良い
・ 想定されるインパルス応答の長さ L が大きすぎる場合、
逆行列演算が実行できない場合がある
(対策1) 共役勾配法などの逐次近似演算
(対策2) 適応フィルタの利用
適応アルゴリズム
[7.1] [7.2]
出力信号
y(n)
X が縦長行列なので、
この方程式を満たす
解 h は存在しないが、
(y-Xh)の2乗誤差
を最小にする h は、
次式で求められる
h
h  XT X
301
適応フィルタの利用
X
y =
302
[7.1] [7.2]
① x(n) =[x(n), x(n-1), x(n-2), ... , x(n-L)]T
+
② e(n) = y(n) - h(n) Tx(n)
-
③ h(n+1)=h(n)+
適応 フィルタ
h(n)
α
x(k)Tx(k) +β
e(n)・x(n)
学習同定法
α:ステップサイズ (0<α≦1)、β:微少量
・ 適応フィルタの係数が、被測定系のインパルス応答 g(n)
の近似値となる。
誤差が十分に小さくなるまで、同一入出力信号を利用して
アルゴリズムを繰り返す。その際、αを少しずつ小さくする
とよい。
303
304
クロススペクトル法 [7.3]
入力信号
x(n)
被測定系
g(n)
入力自己相関関数
 xx ( )  lim
N 
1
N
N
 x(i)  x(i   )
i 0
入出力相互相関関数
1
N  N
 xy ( )  lim
N
 x(i)  y(i   )
i 0
クロススペクトル法
出力信号
y(n)
φxy は φxx と g との畳み込み
これをフーリエ変換して、
Φxy (k)= Φxx (k)・G(k)
入出力関係

y ( n)   x ( n  j )  g ( j )
j 0
入出力相互相関(y代入)
これより、被測定系の周波数特性が、
G(k)=

 xy ( )    xx (  j )  g ( j )
j 0
φxy は φxx と g との畳み込み
305
Φxy (k)
Φxx (k)
Φxy (k) は
x(n)とy(n)の
クロススペクトル
と呼ばれる。
Φxy (k)
有限長の相互相関の
DFT で近似
Φxx (k)
と、求まる。
ペリオドグラム
(平均スペクトル)
として求める方法もある
有限長の自己相関の
DFT で近似
306
51
「7章 測定信号が利用できない場合の測定」
のまとめ
・ 最小二乗法
正確だが、演算量が必要
・ 適応フィルタ
もっとも簡単
・ クロススペクトル法
直線たたみ込みをDFTスペクトルの積で
表すため誤差が発生
測定信号を利用する場合と比べて
誤差は大きい
目次
3.6.2 雑音最小化信号
3.6.3 SN比を一定とする信号
3.7 所望スペクトル信号の合成
3.8 同期加算
4.測定の誤差要因
4.1 定常雑音
4.2 非定常雑音
4.3 非線形性
4.4 測定誤差のトレードオフ関係
4.5 時変性(風・スピーカ)
5.測定信号による雑音抑圧効果
5.1 雑音抑圧効果
5.2 インパルス応答の切り出し
6.測定時の注意点
6.1 AD・DA などの注意点
6.2 録音時の雑音
6.3 測定結果の評価
7.測定信号が利用できない場合の測定
1.インパルス信号とインパルス応答
1.1 インパルス信号
1.2 インパルス応答と線形系
1.3 離散時間系のインパルス応答
2.インパルス応答の測定原理
2.1 離散フーリエ変換(DFT)
2.2 測定信号を用いた測定
3.代表的測定信号
3.1 測定信号と測定誤差
3.2 測定信号の分類
3.3 TSP
3.3.1 TSPの定義
3.3.2 TSPの時間-周波数特性
3.3.3 TSPの高調波歪
3.4 Log-SS
3.4.1 Log-SSの定義
3.4.2 Log-SSの高調波歪
3.5 M系列信号
3.6 適応形スペクトルを持った信号
3.6.1 雑音白色化信号
(最小二乗法、適応フィルタ、クロススペクトル)
8.むすび
308
307
むすび (1)
むすび (2)
測定信号の選択や評価は、目的や環境に依存する
目的
環境
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
測定信号の選択や評価は、目的や環境に依存する
欲しいのはインパルス応答か、周波数特性か
エネルギ曲線がわかれば良い(残響時間など)
波形を正確に測定したい (許容誤差)
非線形特性が含まれても良い、困る
雑音区間の情報を利用するか? (残響時間、雑音低減)
測定に要する時間 はできるだけ短くか、こだわらないか
SN比は低い、比較的高い、高い
スピーカの非線形の大小
非定常雑音 有無
風の影響 有無
インパルス応答は長い、短い
例えば、
・ 非定常雑音が多く存在 → PN信号 が適
・ 風や変の影響 → PNは雑音レベルが上昇
→ 残響時間には不適
→ 波形精度はSS信号よりPNが上
・ 残響時間測定 → スピーカが歪んでも大音量[4.11-2]
D50 や C80 などの音響指標 → 大きな歪は不可
など、
詳細な指針は今後の課題
309
むすび (3)
310
インパルス応答測定の研究の目標
311
by TDU in 2013
0.05
0.04
0.03
0.02
0.01
Amplitude
◇ 一般的には Log-SS の利用が望ましいと思える
・ 平均的な室内騒音に対して、最適(雑音最小)に近い
・ 高調波歪の影響を取り除きやすい
70 点以上の測定は可
◇ より高精度の結果が欲しければ、
細かいパラメータ対応や
MN、CSN などの適応形信号を利用
◇ 測定結果は、時間-周波数特性(MATLAB= spectrogram )
で確認を! (解決困難な誤差はご相談ください)
0
-0.01
-0.02
-0.03
-0.04
-0.05
0
0.05
0.1
0.15
様々な測定環境において
・ SN比がより高く
(=短時間)
・ 不自然な測定誤差の少ない
インパルス応答測定の実現
0.2
0.25
Time (s)
0.3
0.35
0.4
0.45
0.5
312
52
講演要旨
基本事項
誤差要因と対策
・ インパルス信号δ(t) は白色信号
・ インパルス応答 h(n) と周波数特性 H(k) は等価
n: 離散時間 k:離散周波数番号
測定原理
測定信号
s(n)
S(k)
インパルス応答
録音信号
被測定系
H(k)
H(k)・S(k)
逆フィルタ
1/S(k)
h(n)
H(k)
・ 逆フィルタを有限長で実現するため、DFT演算を利用
・ DFTの乗算は、時間軸では円状たたみ込みに対応
・ 被測定系(物理系)で円状たたみ込みを行うために、
測定信号は2周期入力して、2周期目を切り出して使用
・ 近似的に1周期 または1周期+αの測定もある
測定誤差
測定信号
s(n)
被測定系
S(k)
2015.8.28
雑音
N(k)
H(k)
非線形歪
D(k)
インパルス応答
h(n)
逆フィルタ
1/S(k) H(k) +
H(k)・S(k)
N(k)
D(k)
+D(k)
+
S(k)
S(k)
+N(k)
観測信号
①雑音性誤差
②非線形誤差
測定誤差
測定信号
信号の種類によって誤差の大きさや現れ方が異なる
◇ 信号の分類
・ 位相特性による分類
掃引正弦波(SS) と 擬似雑音(PN)
・ 振幅特性による分類
白色、1/f、 適応形
◇ 各種信号
・ TSP(白色SS)、Log-SS(1/f -SS)、M系列(白色PN)
適応形(雑音最小化(MN)信号など)、など
・ Log-SS (ESS) は、
室内騒音に多い低周波雑音を大きく抑圧し、
高調波歪を分離除去 ができるので、第1選択肢
・ 適応形は、事前測定が必要だが雑音の種類によっ
ては Log-SS より有利
◇信号合成のテクニック
・ 任意のスペクトルを持つSS信号の合成方法
・ PN信号の波高率低減方法
◇ 雑音性誤差
定常雑音
・誤差も定常
・雑音抑圧効果(誤差パワー)は
1) 測定信号エネルギー(振幅・信号長)に比例
2) 信号スペクトルにも依存
室内騒音に対して、Log-SS やMN信号は、
TSPに比べて10~20dBの雑音低減効果
☆ 周波数特性を求めるときは、インパルス応答を
必要な長さだけ切り出して、DFTすること
(測定データ全長を使うとSN比は改善されない)
非定常雑音(衝撃音など)
SSには影響大、数少ないPN の優位性
◇ 非線形誤差
・ 高調波歪は Log-SS で分離除去可
・ 高調波歪のほかにも、主応答も変形する
・ 混変調歪は不規則に発生し、除去しづらい
(対策は要因(複数正弦波)の除去)
◇ 一般に、音量を上げると雑音性誤差は低減し、
非線形誤差は増加する(最適な音量の存在)
◇同期加算
・ N回で 10・log10(N) dB 雑音を低減
・ 同期加算の誤差要因(特に高周波成分が低下)
・ AD、DA の非同期
→ 複数の測定を一つのデータで行う
・ 風による時変性
・ スピーカの時変性 → 10分程度ウォームアップ
AD・DAなど
・ AIF の各種フィルタに注意
ADの折り返し、DAの逆折り返し、直流除去
→ 不自然な測定誤差を発生するので注意
・再生(DA)と録音(AD)の同期性に注意
1台のPCでのDAとADの同期性
複数のPCでのサンプリング周波数の違い
・各種雑音
聞こえない雑音など
測定時の背景雑音は必ず録音しておく
測定結果の評価
・波形をチェック
・スペクトログラム(時間-周波数特性)をチェック
(インパルス応答だけでなく録音信号も見ると良い)
・雑音をチェック
・異なった測定信号での測定結果の比較、など
☆ 用途に応じて許容範囲を超える誤差が生じた場は
要因を特定し、対策を打つ
付録目次
付録1.2-1 時不変線形系と正弦波信号
付録1.2-2 時不変非線形系と正弦波信号
付録1.3-1 ディジタル信号と離散時間信号
付録3.3.1-1 離散周波数(DFT周波数)
付録3.3.1-2 時間波形の振幅とスペクトル
付録5.1-1 測定信号による雑音抑圧効果の計算
付録5.1-2 測定信号が雑音最小化スペクトルを持つ場合の雑音抑圧効果の計算
付録6.4 その他の諸注意
2
付録1.2-1 時不変線形系と正弦波信号
時不変線形系に、ある周波数の正弦波を入力したら、出力は同じ周波数の正弦波であることの証明
正弦波信号は、一般形として、A・sin(ωt+θ) と表される。Aは振幅、ω(=2πft)は角周波数、θは位相である。
時不変線形系に、信号 s(t)=sin(ω0t) (A=1、ω=ω0、θ=0 )を入力したときの出力をy(t)と表す。
s(t)
時不変線形系
L
y(t)
これを数式で、
L [ s(t) ] = y(t)
(1)
と表すことにする。以下では、出力 y(t)も同じ周波数の正弦波になることを示す。
Step1
y(t) も s(t) と同じ周期 T0(=2π/ω0) を持つ周期関数であることの証明
入力正弦波の周期 T0 だけs(t)を遅らせた信号 s(t-T0) を入力した場合を考える。
時不変性より、出力もT0 だけ遅れた信号となる。すなわち、
L [ s(t-T0) ] = y(t-T0)
(2)
正弦波は1周期遅らせると同一信号となる、すなわち、
s(t-T0)= s(t)
(3)
であるので、式(2)に式(3)を代入し、式(1)の関係より、
y(t-T0)= L [ s(t-T0) ] = L [ s(t) ] = y(t)
(4)
よって、s(t) の出力y(t)は、周期T0 の周期関数であることがわかる。
Step2
y(t) が、周波数ω0 の正弦波となることの証明
フーリエ級数の知識より、周期T0 を持つ信号 y(t) は、基本角周波数ω0(=2π/T0) および、
その倍周波数の正弦波の和として、次式のように表される。

y (t )  A0   An sin n0t   n 
(5)
n 1
ここで、周波数がmω0の正弦波成分に注目して、その半周期の時間を Tm=π/(mω0) と表す。
そして、s(t)+s(t-Tm) を入力した場合の出力を考える。線形和の性質および時不変性の性質を利用して、
L [ s(t)+s(t-Tm) ] = L [ s(t) ] + L [ s(t-Tm) ] = y(t)+y(t-Tm)
(6)
式(6)右辺に、式(5) の関係を代入すると、
3
y (t )  y (t  Tm )  A0  Am sin m0t   m    An sin n0t   n 
n m
 A0  Am sin m0 (t  Tm )   m    An sin n0 (t  Tm )   n 
nm
 2  A0  Bm sin m0 (t  Tm / 2)   m    Bn sin n0 (t  Tm / 2)   n 
(7)
nm
式(7)において、Bn (n=1,2,3,・・・) は、同じ周波数の2つの正弦波、An・sin(nω0t+θn) と
An・sin(nω0(t-Tn)+θn) とを加算した場合の振幅を表しており、
Bn = 2・An・cos(nω0・Tn /2)
(8)
である(三角関数の和の公式より得られる)。 n=m の場合、 Tm=π/(mω0) の関係を代入すると、
Bm = 2・Am・cos(mω0・Tm /2) = 2・Am・cos(mω0・(π/(mω0) ) /2) = 2・Am・cos(π /2) = 0
(9)
となる。 (定性的に言えば、周波数mω0 の正弦波は、半周期ずらして加算されているので 0 となる)
一方、入力信号は、三角関数の和の公式より
s(t)+s(t-Tm) = sin(ω0t)+ sin(ω0(t-Tm )) = B・sin(ω0t-Tm/2)
ただし、 B=2・cos(ω0・Tm/2)
(10)
(11)
となるので、線形系の定数倍の性質と時不変性、および式(5)より、
L [ s(t)+s(t-Tm) ] = L [ B・ sin(ω0(t-Tm/2 )) ] = B・y(t-Tm/2 )
 BA0  BAm sin m0 (t  Tm / 2)    BAn sin n0 (t  Tm / 2) 
(12)
n m
式(7) と 式(12) における、周波数が mω0 の正弦波の振幅は等しいとおいて、式(9)より、
BAm  Bm  0
(13)
の関係を得る。式(11)より、m=1 ( T1=π/(ω0) ) の場合を除いて B ≠ 0 であるので、
Am  0
(14)
を得る。以上の議論は、m=1 以外の正弦波に適用できるので、Am=0 (m>1) となり、式(5) より、
y (t )  A0  A1 sin 0t  1 
(15)
となる。最後に、 T1=π/(ω0) の場合を考えると、s(t)+s(t-T1)=0 であるので、線形系の
定数倍の関係より、
L [ s(t)+s(t-T1) ] = L [ 0 ] = 0 = y(t)+y(t-T1)
(16)
また、右辺は式(15)を代入して、
0  A0  A1 sin 0t  1   A0  A1 sin 0 t  T1   1   2  A0
(17)
これより、A0=0 となり、式(15)より、y(t) = A1・sin(ω0t+θ1) が得られる。
すなわち、時不変線形系に正弦波を入力した場合の出力は同じ周波数の正弦波であることが示された。
4
付録1.2-2 時不変非線形系と正弦波信号
時不変な非線形系に、ある周波数の正弦波を入力したら、
出力はその整数倍の周波数の正弦波(高調波)を含んだ信号であることの証明
(= ひずんだ信号は、高調波以外は含まないことの証明)
まず、図1(a) に示すように、時不変系に周期 T の信号 s(t) を入力したら、出力信号 y(t) も周期 T の信号
であることを示す。
【証明】
図1(b) に示すように、s(t) を周期 T だけ遅らせた信号 s(t-T) を入力した場合を考える。
時不変系の定義(遅らせて入力すれば、出力も同じ信号が同じ遅れで出てくる)より、出力は y(t-T) となる。
ここで、信号 s(t) は周期 T の周期信号であるので、
s(t-T) = s(t)
である。よって、s(t) を入力しても、s(t-T) を入力しても、同じ信号なので、同じ信号が出力される。すなわち、
y(t-T) = y(t)
となる。これより、出力は周期 T を持つ周期信号であることがわかる。 (証明終)
以上の性質は系が線形であっても非線形であっても成立する。
(a)
(b)
s(t)
s(t-T)
時不変系
時不変系
y(t)
y(t-T)
図1 時不変系に対する周期信号入力
よって、時不変な非線形に周波数 f0 (周期T0 = 1/f0 ) の正弦波を入力した場合、出力は、周期T0を持った
周期信号である。フーリエ級数の原理より、周期T0を持った周期信号は、周波数 f0 (= 1/T0) およびその
整数倍の周波数の正弦波(高調波)を含んだ(かつ、それ以外の周波数成分は含まない)信号であることが
示されている。よって、上記四角枠内の命題が証明された。
5
付録1.3-1 ディジタル信号と離散時間信号
アナログ信号をディジタル信号にするためには、
・ 標本化: 一定時間間隔(標本化周期)で、アナログ信号の値を求める
・ 量子化: その値を整数値化する
の2つの手順を行う。
これらのうち、標本化のみを行った信号を「離散時間信号」と呼ぶ。
離散時間信号は、実数値を持つ信号で、ディジタル信号は、その実数値を整数化したものである。
しかし、多くの「ディジタル信号処理」の教科書では、離散信号=ディジタル信号 とみなして、離散信号を
用いて説明を行っている。
その理由は、ディジタル信号は有限桁数の整数(有限個の1と0との組み合わせ)で表されているので、
割り算が定義できず、理論展開には大変不便だからである。一方、離散時間信号は実数値で
表されるので、割り算は可能である。
では、そのように、ディジタル信号を離散信号で表すことに問題はないかというと、
離散時間信号 = 測定された信号値 + 雑音(環境騒音や電気的ノイズ)
であり、
ディジタル信号 = 離散時間信号 + 量子化雑音
であるが、一般に、
雑音(環境騒音や電気的ノイズ) >> 量子化雑音
であるので、
ディジタル信号 =測定された信号値 + 雑音 + 量子化雑音
≒測定された信号値 + 雑音
= 離散時間信号
とみなすことができ、離散時間信号とディジタル信号はほぼ等価とみなしても、実用上問題がない
場合が多い。
6
付録3.3.1-1 離散周波数(DFT周波数)
アナログ信号を標本化して得られる離散時間信号は、整数時間 n=1,2,3,・・・ で表される。このことは、
標本化周期 Ts (= 1/fs, fs:標本化周波数) を、1 として時間軸を正規化して考えることに相当する。
そして、このようにすれば、標本化周波数によらず、離散時間信号を統一的に扱うことができる。
ここで、N点DFTを考える。これは、N点の時間信号を N点の周波数成分に変換する処理である。
分析に使用される正弦波は、信号長(=N点)で1周期、N点で2周期・・・ という正弦波で、対応する周期は、
N, N/2, N/3, ・・・, N/(N/2) = 2 の N/2 種類である。
これより、離散周波数は、周期の逆数として、k/N, k = 0, 1, 2, 3, ・・・, N/2 となり(0 は直流)、N/2 は fs/2 に
対応する。 k/N は離散周波数で、k は厳密には周波数番号と呼ぶべき値であるが、両者ともに「周波数」と
呼ばれることが多い
なお、DFTで計算される N/2+1 ~ N-1 までの結果は、-(N/2-1) ~-1 までの負の周波数に対応し、
対応する正周波数の複素共役になっている
注)信号長(=N)とは、アナログ波形的には、0から始まって、時刻Nの直前まで長さである
周期
離散周波数
0
N
0 1 234
時間
n
N-1
N
0 1 234
時間
n
N-1
N
T=N
T=
0 1 234
時間
n
N-1
N
N
2
2
N
0 1 234
N-1
時間
n
T=
N
3
3
N
N
・
・
・
0 1 234
fs/2 に対応
時間
n
N-1
N
・
・
・
T= 2
1
N
・
・
・
1 (N/2)
=
2
N
図 N点 DFTで求められる離散周波数の正弦波
7
付録3.3.1-2 時間波形の振幅とスペクトル
掃引正弦波信号 s(k) の振幅を As とするためのスペクトル振幅値 |S(k)| は、
N 1
 S (k )
2
k 0
 N  J  As2 / 2
を満たせばよい。
図のような有限長Nの離散SS(掃引正弦波)信号 s(n) を考える。この信号は区間J以外では0または十分に
小さな値を持つものとする。Jを信号s(n)の実効長と呼ぶ。そして、この信号をN点DFTしたもの(周波数スペクト
ル)をS(k)と表す。
図の掃引正弦波のエネルギは、通常の正弦波と同様に、
N 1
s
2
( n)  J  A 2 / 2
s(n)
J
(1)
A
n 0
と、表される。また、パーシバルの等式を用いれば、
N 1
1
s 2 ( n)  J  A2 / 2 

N
n 0
N 1
 S (k )
N
2
(2)
k 0
が成立する。よって、振幅が As となるためには、上式で A = As とおき、右辺について解けば、
N 1
 S (k )
2
 N  J  A2 / 2
(3)
k 0
となる。これを満たすように信号の振幅スペクトルを定めればよい。
TSP の場合、|S(k)|2=1 であるので、式(2)に代入して A について解けば、TSP 波形の振幅は、
A 2 J
(4)
となる。よって、波形の振幅を As にするには、スペクトル振幅を下記のように定めればよい。
S (k ) 
As
As

A
2 J
(5)
パーシバルの等式
時間信号 s(n) と、それをDFTした周波数成分 S(k) との間には、下記のパーシバル(Parseval: パーセ
バルと表記される場合もある)の等式が成立する。
DFTの定義式が
DFTの定義式が
N 1

S
(
k
)

s (n) exp j 2 kn / N 


n 0

N 1
s (n)  1  S (k ) exp j 2 kn / N 
N k 0

の場合(通常の場合)
N 1
 s 2 ( n) 
n 0
1 N 1

S
(
k
)

 s(n) exp j 2 kn / N 

N n 0

N 1
 s (n)  1  S (k ) exp j 2 kn / N 
N k 0

の場合(対称性を保った場合)
1
N
N 1
 S (k )
k 0
2
N 1
N 1
n 0
k 0
 s 2 ( n)   S ( k )
2
8
付録5.1-1 測定信号による雑音抑圧効果の計算
時間信号x(n)と、それをN点DFTした周波数スペクトルX(k)との間には、次式で示されるパーシバルの関係
(→付録D-1)が成立する。左辺は時間信号のエネルギーを表し、右辺は周波数スペクトルの平均エネルギー
を表す。
N 1
N 1
x
2
( n) 
n 0
1
N
 X (k )
2
(1)
k 0
x(n) は定常信号であるとし、両辺の期待値をとって、
1
px  E 
N

 1
x 2 (n)  E  2

n 0

N
N 1
N 1

k 0
1
2
X (k )   2
 N
N 1

 E X (k )
k 0
2
 N1
2
N 1
P
k 0
X
(k )
(2)
また、PN1 (k)、|S(k)|2 をそれぞれの総和で正規化したものを 、PN0(k)、|S0(k)|2 と表し、次式で定義する
PN 0 (k ) 
PN1 (k )
1 N 1
 PN1 (k )
N k 0
S0 (k ) 
2
S (k )
2
1 N 1
2
S (k )

N k 0
(3)
これらの関係を用いると、雑音抑圧効果 NRR は、
NRR 
pN 1
pN
1 N 1
1 N 1
PN 1 (k )
 PN1 (k ) N 
N 2 k 0
k 0

 N 1

PN 1 (k )
1 N 1
1
 PN (k ) N 
2
N 2 k 0
k 0 S (k )
N 1
1

N
N 1
2
 PN 0 (k )
N 1
PN 0 (k )

N 1
 k 0
2
k 0
k 0
S (k )   N 1
 s (n)  N 1
 J  pS  N 1

PN 0 (k ) 
PN 0 (k )
PN 0 (k )
k 0
n 0




2
2
2
k 0 S 0 (k )
k 0 S 0 (k )
k 0 S 0 (k )
N 1
 PN 0 (k )
 1 N 1

  PN 1 (k )   PN 0 (k )

k 0  N k 0

N 1
1

  PN 1 (k )   PN 0 (k )
N 1
 N k 0


N 1


1
2
2
k 0
  S (k )   S0 (k )

 N k 0
N 1
(4)
ただし、
第1の等号は、定義
第2の等号は、分子分母に式(2)の関係を適用したもの。
第3の等号は、分子分母にNを乗じ、分母に雑音性誤差の関係を代入したもの
第4の等式は、 PN1(k)、|S(k)|2 に対して、式(3)の関係を代入したもの
第5の等式は、分子分母を、 1/NΣPN1(k) で除して整理したもの
第6の等式は、測定信号に関するパーシバルの関係を適用したもの。
第7の等式は、信号エネルギをパワーと実効長の積で表したもの。
9
付録5.1-2 測定信号が雑音最小化スペクトルを持つ場合の雑音抑圧効果の計算
測定信号のスペクトルは、
S (k )  C3  PN 1 (k )
2
C(定数)
3
(1)
である。パーセバルの関係に式(B2-4)を代入すると、(信号の継続時間はJなので)
J  pS 
1
N
N 1
 S (k ) 
2
k 0
N 1
1
N
C
k 0
3
 PN 1 (k )
( 2)
これより、C3を解くと、
C3 
J  pS
1
N
(3)
N 1

k 0
PN 1 (k )
付録5.1-1 の式(4)の第4項に、式(1) を代入すると
N 1
NRR 
N 1
 PN1 (k )
N 1
k 0
PN 1 (k )

k  0 C3  PN 1 ( k )
 C3 
P
k 0
N 1

k 0
N1
(k )
(4)
PN 1 (k )
そして、式(3) を代入すると
N 1
NRR 
J  pS
1
N
N 1

k 0
PN 1 (k )

 PN1 (k )
k 0
N 1

k 0
PN 1 (k )
 J  pS 
1
N
1

N
N 1
P
k 0
N 1

k 0
N1
(k )

PN 1 (k ) 

2
(4)
10
付録6.4 その他の諸注意
1) 部屋や頭部伝達関数のインパルス応答を測定する際、測定系の周波数特性を補正するために、
スピーカの周波数特性を無響室などで測定し、その逆フィルタ(逆特性)をかけるのは、注意が必要である。
一般にスピーカの周波数特性には指向性があるので、ある場所(方向)で振幅特性の谷になっていても、
ほかの場所(方向)では谷ではない場合も多い。
スピーカを再生する場合には、色々な方向に異なる周波数特性で音が放射されるので、無響室で測定した
方向で、ある周波数成分が谷になっていたとしても他の方向では音が出ている場合、その周波数成分を極端
に持ち上げる逆フィルタを適用することは危険である。
以上の議論は、12面対スピーカのような無指向性に近いスピーカでも同様である。
補正は、大まかな振幅特性の形状の補正にとどめるべきである。
11
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インパルス応答測定信号の小歴史
古典的なインパルス音源としては、紙火薬銃、風船、紙てっぽう(折り紙)、などが用いられたが、
いずれも低周波成分のエネルギーが小さい(例えば、[Griesinger1996], [豊田2008])、再現性が
乏しい、などの問題があった。また、これらの音源から発生される音も厳密なインパルス信号とは
言えないので、測定結果から導かれる音響特性量も限られたものであった。
1970年代になって、高品質インパルス応答測定のキーテクノロジーであるコンピュータ(ミニコン
ピュータ)の利用が、研究室レベルで始められた。Berman や Fincham らは60ボルトもの大電圧
パルスをスピーカに入力し、得られたインパルス応答をコンピュータに取り込み、複数回の測定
結果を同期加算によってSN比を向上させた。そして測定結果からスピーカの周波数特性や
Cumulative Spectraなどの特性量を計算できることを示した[3.1]。 しかし短時間パルスを入力
するこの方法では、大空間で騒音の存在する室内でのインパルス応答測定には音圧が不足して
いた。
一方、計測・制御などの分野では、長時間の白色入力信号を用い、被測定系からの出力に対し
て入力の逆フィルタリング(または相関)を計算することでインパルス応答を測定する試みが、
1960年代頃からなされていた。長時間信号は短時間パルスよりエネルギーが大きいので、測定
されるインパルス応答のSN比は大幅に向上する。入力信号としては、簡単なディジタル回路で
合成ができ、また、逆フィルタリング計算に乗算を必要とせず加減算のみで実行できるM系列信
号が多く利用されていた。当初は、アナログ相関器を利用した測定であったので、ハードウェア上
の制約から、インパルス応答が短時間である電気系・機械系の測定が主であったが、1965年に
は音響インパルス応答測定の報告がなされている[井戸川1965]。
コンピュータの普及が進展した1970年代後半、大空間室内の長時間インパルス応答をM系列で
測定した報告がShoereder からなされた[Schroeder, 1979] 。Schroeder は1966年に、インパル
ス応答の2乗逆時間積分を用いた残響時間測定法を提案しており、そのキーとなるインパルス応
答測定の高品質化は重要であった。20kH のサンプリング周波数で700msのインパルス応答を
測定したものだが、当時のAT&Tベル研究所のコンピュータ能力の貢献も大きいと考えられる。た
だし、この時、逆フィルタはFFTを利用して行われており、演算量の低減は課題であった。
この問題に対して1983年に、 Shoereder および Borish から、アダマール変換を利用した低演
算量のインパルス応答計算法が提案された[Schroeder, 1983][3.12]。そして1980年代後半~
1990年代にかけて、M系列を利用した室内音響計測の普及に伴って、インパルス応答計算(M系
列の逆フィルタリング)アルゴリズムの高速化・効率化や、M系列の欠点である非線形誤差の解
析や対策法など、数多くの研究が国内外で報告された[3.13] [3.14] [3.15][Dunn & Hawksford
1993] [伊達 1986][3.16]。
M系列信号は白色信号であるのですべての周波数成分を満遍なく含んでいること、信号のエネ
ルギーが大きいので高いSN比が確保できることに加えて、信号の合成・インパルス応答の算出
が低演算量であるという特長は、ハードウェア能力の低かった当時としては大変有利な性質で
あった。このため、欧米では、2000年ころまでは、多くの室内音響測定がM系列を用いて行われ
てきた。
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一方、インパルス応答を測定する第2の測定信号として掃引正弦波(Swept Sine: SS)がある。掃
引正弦波は古くから音響周波数特性のアナログ測定に用いられてきた信号であるが、1980年頃
にインパルス応答のディジタル測定に利用することが提案された。Berkhoutは電気掃引の直線
掃引SS信号を用いたディジタル測定を提案した[Berkhout1980]。青島はFFTを用いた直線掃引
SS(Time Streched Pulse: TSP)のDFTスペクトル上での設計方法を示して、インパルス応答測
定を行った。しかし、SS信号を用いた測定は、受音信号に逆関数を畳み込んでインパルス応答
を求める必要があったため、演算量の点ではM系列には劣るものであった。
しかしその後、ハードウェアの進歩があって演算量が大きな問題とならなくなってきたことと、
1991年に鈴木、浅野らによってTSP信号の改良[3.4] [3.5]がおこなわれた結果、TSPの良さが理
解され、日本国内ではSS信号が広く利用されるようになった。しかし、欧米では依然としてM系列
が使用されており、訪米ではM系列が主流、日本ではSS信号が主流という時代が存在した。
1990年代の中旬ころから、欧米においてもSS信号の良さが理解されるようになってきた。そして
SS(掃引正弦波)の利用に当たって、白色スペクトルを持つ直線掃引ではなく、ピンクスペクトル
を持った対数掃引信号(Logarithmic SS: Log-SS, または, Exponential SS: ESS)が注目されて
きた[3.7.1: Griesinger1996]。Log-SSは低周波のエネルギーが大きいため、低周波成分が大き
い室内騒音に対して、SN比改善効果が大きい。Log-SS信号自体は、古くからアナログ音響測
定で利用されてきた信号であるが、インパルス応答測定用の信号として注目され始めたのは
1990年代以降のことである。1993頃 Dana Kirkegaard と Sunil Puriaga が ASA meeting で
down-Log-SSによる低域SN比の改善を報告し、また、Anders Gade もこの頃 Log-SS で測っ
ていたらしい。国内では1993年に伊藤によってLog-SSの特許[3.7]が申請されている。
2000年にFarinaによって、Log-SSの持つ、低域の大きい騒音に対するSN比向上性、高調波歪
の分離性、高調波歪の同時測定性、などが示されたことで、Log-SSの優位性が広く理解された
[3.10]。一方、国内では、1999年に藤本がDFT周波数領域におけるLog-SS(ピンクTSP)の設計
法、および、その有効性を示した。そしてその後、2000年代にLog-SSの実用的な問題点が検討
されてきた[3.11]。
以上のような経緯を経て、現在では、M系列、TSP(Linear-SS)、Log-SS(Exponential-SS)の3
つの信号が代表的な測定信号として利用されている(B&K社製計測ソフト、など)。これらの優劣
の議論は、本文にゆずる。さらに近年、より高いSN比を実現する信号として、数種類の騒音適応
型信号(騒音白色化信号[3.19]、雑音最小化(MN)信号[3.20]、SN比一定(CSN)信号[3.22]な
ど)が提案されており、実用化に向けた検討が進められている。
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余談: インパルス応答は線形系の基本特性量であるため、その測定はきわめて古くから行われ
てきた。当初はインパルス応答の比較的短い電気回路、機械系、レーダー系などで研究・開発が
進められ、その際、白色雑音、M系列、チャープ(掃引正弦波)などの信号が用いられてきた。
よって、その純粋なオリジナリティの所存を見極めることは大変困難である。
しかし多くの研究がそうであるように、その研究的価値は、技術の再発見、用途に応じたブラッ
シュアップ、有効性のアピール、などによって、その技術が世の中に広く認知される点にあると考
える。Farina も文献[3.11]で述べているように「Log-SSは決して自分のオリジナルではなく、LogSSに関する効果の発表とPCの性能向上のタイミングが合致した結果、広く利用されるようになっ
たに過ぎない」、ということは事実である。しかしそのタイミングに応じた技術の有効性のアピール
の結果、Log-SSが注目され、広く利用され始めたことは事実で、その点においてこの研究成果・
論文は高く評価されるべきものと考える。
鈴木、浅野らのTSP 信号も同様で、信号の貴重なブラッシュアップもさることながら、タイミング
をとらえたアピールの結果、TSP信号が国内外に広く普及した点が高く評価されるべきだと考え
る。
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音響インパルス応答測定技術年表
( 擬似雑音 )
1960
( 掃引正弦波)
M系列による IR 測定
(計測・制御分野:アナログ)
物理的パルス音原の利用
音響 IR 測定
(井戸川1965:アナログ相関器)
1970
大音圧パルスと同期加算
(Berman, Fincham 1977 )
1980
2000
アダマール変換による演算高速化
(Schroeder1983、Borish 1983)
TSP
M系列を利用した測定の普及
IR 計算アルゴリズムの高速化
非線形誤差の解析と軽減法など
多くの研究
直線掃引SSによるIR測定
(Berkhout1980])
TSPの提案(周波数領域設計法)
(青島1981])
TSPの改良(鈴木、浅野1991])
TSPを利用した測定の普及
(日本国内)
Log-SSの優位性提示
[3.7.1] (Griesinger1996)
Log-SS
を利用した
PC
計測システムの普及
2010
ディジタル録音とミニコンピュータ
を利用した計測装置として
実用的利用が進められる
1990
M系列
M系列による室内 IR 測定
(Schroeder1979:
コンピュータによる相関計算)
Log-SSの周波数領域設計法
(藤本1999)
Log-SSの優位性明示
(Farina2000)
欧米におけるSS信号利用の
急速な普及
雑音適応型信号
雑音白色化[Weinzierl,2009]
雑音最小化(MN) [守谷2007]
SN比一定(CSN) [落合2010]
2015
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[ 参考文献 ]
1.基本事項
[1.1] パポリス: 工学のための応用フーリエ積分, pp.330, オーム社, 1967.
[1.2] 大賀寿郎, 山崎芳男, 金田豊, 音響システムとディジタル処理, p.124, 電子情報通信学会, 1995.
[1.2.1] 金田: インパルス応答講習会資料 http://www.asp.c.dendai.ac.jp/ASP/DSPseminar14.pdf
pp.44-46
インパルス応答の応用
[1.3] 橘秀樹, 矢野博夫, 環境騒音・建築音響の測定, p.155, コロナ社, 2004.
[1.4 ] H. Kuttruff, Room Acoustics. London, Elsevier Science Publishers, 1973, pp. 231-243.
2.解説論文
[2.1] 金田: “ インパルス応答測定の際の留意点 ”.音響学会誌 55巻5号 pp.364-369 (1999).
[2.2] 佐藤史明, “はじめてのインパルス応答計測,” 音響学会誌, 67, 4, 155-162 (2011).
[2.3 ]佐藤史明, “Swept-Sine 法に基づく音響伝搬測定,” 音響学会誌, 63, 6, 322-327 (2007).
[2.4] 金田, "はじめての音響信号処理 -ディジタル録音と補間の話-," 音響学会誌, 65巻10号, pp. 531536 (2009.10 ).
3.測定信号
一般
[3.1] S. Muller and P. Massarani, ‘‘Transfer- function measurement with sweeps,’’ J. Audio Eng. Soc.,
vol. 49, no. 6, pp. 443-471 (2001 June).
「掃引正弦波 SS 信号を用いた測定を中心とした良質な長編解説」
[3.2] 「有色疑似雑音(PN信号)の測定信号作成」
篠原亮,金田豊:"有色疑似雑音を用いたインパルス応答測定の検討," 音響学会秋季講演論文集, 1Q-26, pp. (2013/09).
[3.2.1]篠原 亮,金田 豊:”インパルス応答測定用擬似雑音信号における波高率低減処理,”
電子情報通信学会論文誌、Vol. 98-A, No. 7, pp. 450-457 (2015/7).
直接法
[3.1] J. M. BERMAN AND L. R. FINCHAM (KEF・英), “The Application of Digital Techniques to the
Measurement of Loudspeakers,” J. Audio Eng. Soc., vol. 25, no. 6, pp. 371-384 (1977 June).
「 」
TSP(直線掃引正弦波)
[Berkhout1980] Berkhout, A.J., (Delft) “A new method to acquire impulse response in concert halls,”
JASA, 68(1), 179-183, (July.1980). → TSP ではなく、直線掃引SS信号
[3.3] N. Aoshima, “Computer-generated pulse signal applied for sound measurement,” J. Acoust. Soc.
Am., vol. 69, no. 5, pp. 1484-1488 (1981 May).
[3.4] 鈴木陽一、浅野太、金学胤、曽根敏夫:“時間引き延ばしパルスの設計法に関する考察,” 信学技報、
vol. EA92-86 (1992.12).
[3.5] Y. Suzuki, F. Asano, H. Kim and T. Sone, “An optimum computer-generated pulse signal suitable for
the measurement of very long impulse response,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 97, no. 2, pp. 1119-1123
(1995 Feb.).
[3.6] http://asano.media-interaction.jp/English/doc/tsp/index.htm
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Log-SS
[3.7]伊藤次男, “音響測定方法およびその装置,” 特開平5-118906, (1993).
[3.7.1] Griesinger, D; “Beyond MLS-Occupied Hall Measurement with FFT Techniques,”
in 101th AES Convention, 4403, (M-3) (Nov. 1996).
[3.8] 藤本卓也, “低域バンドでのSN比改善を目的としたTSP信号に関する検討,” 1999年秋季音響学会講
演論文集 pp. 433-434 (1999.9).
[3.9] 藤本卓也, “低域バンドでのSN比改善を目的としたTSP信号に関する検討-高調波歪の除去-,”
2000年春季音響学会講演論文集 pp. 555-556 (2000.3).
[3.10] A. Farina, “Simultaneous measurement of impulse response and distortion with a swept-sine
technique,” in 108th AES Convention, 5093, (D-4) (2000 Feb.).
[3.11] A. Farina, “Advancements in impulse response measurements by sine sweeps,” in 122nd AES
Convention, 7121 (2007 May).
M系列
[井戸川1965] 井戸川, “音響系のインパルス応答,” 計測制御学会論文集, Vol. 1, No. 2, pp.82-89 (1965.6).
[Schroeder, 1979] M. R. Schroeder, “Integrated..-impulse method measuring sound decay without using
impulses, JASA,66(2), pp. 497-500 (1979).
[Schroeder, 1983] M. R. Schroeder, “A fast Hadamard transform method for the evaluation of
measurements using pseudrandom test signals,” ICA 1983 p. 235.
[3.12] J. Borish, “An efficient algorithm for measuring the impulse response using pseudorandom noise,”
J. Audio Eng. Soc., vol. 31, no. 7/8, pp. 478-488 (1983 July/Aug.).
[3.13] J. Borish, “Self-contained crosscorrelation program for maximum-length sequences,” J. Audio
Eng. Soc., vol. 33, no. 11, pp. 888-891 (1985 Nov. ).
[3.14] D. D. Rife and J. Vanderkooy, “Transfer-function measurement using maximum-length
sequences,” J. Audio Eng. Soc., vol. 37, no. 6, pp. 419-444 (1989 June).
[3.15] J. Vanderkooy, “Aspects of MLS measuring systems,” J. Audio Eng. Soc., vol. 42, no. 4, pp. 219231 (1994 Apr.).
[Dunn & Hawksford 1993] C. Dunn and M. O. Hawksford, “Distortion Immunity of MLS-Derived Impulse
Response Measurements,” J. Audio Eng. Soc., vol. 41, no. 5, pp. 314-335 (1993 May.).
[伊達 1986] 伊達, 福留, 武田, “M系列変換によるインパルス応答の高速計算について”
電子通信学会技術研究報告, EA86-47, (1986. 11).
[3.16] 金田豊, “M系列を用いたインパルス応答測定における誤差の実験的検討", 音響学会誌, 52, 10,
752-759 (1996).
その他
[3.17] 森勢, ほか "暗騒音と高調波ひずみに頑健なインパルス応答測定用信号,"
電子情報通信学会論文誌, J89-A(1), pp. 7-14 (2008 ).
[3.18] G. B. Stan, J. J. Embrocatesa and D. Archamveau, “Comparison of different impulse response
measurement techniques,” J. Audio Eng. Soc., vol. 50, no. 4, pp. 249-262 (2002 Apr.).
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適応形
雑音白色化
[3.19] S. Weinzierl, A. Giese and A. Lindau, “Generalized multiple sweep measurement,” in 126th AES
Convention, 7767 (2009 May).
雑音最小化
[3.20] N. Moriya and Y. Kaneda, “Impulse response measurement that maximizes signal-to-noise ratio
against ambient noise,” Acoust. Sci. & Tech., vol. 28, no. 1, pp. 43-45 (2007 Jan.).
[3.21] 守谷直也, 金田豊, "雑音に起因する誤差を最小化するインパルス応答測定信号," 音響学会誌,
64巻12号, pp. 695-701 (2008).
SN比一定
[3.22] 落合裕一,金田豊, "全帯域でSN比を一定とするインパルス応答測定法の検討," 音講論集, pp.
879-880 (2010.3).
[3.23] H. Ochiai and Y. Kaneda, “Impulse response measurement with constant signal-to-noise ratio over
a wide frequency range,” Acoust. Sci. & Tech., vol. 32, no. 2, pp. 76-78 (2011 Mar.).
[3.24] 中原優樹,金田豊: "CSN-SS信号による残響時間測定効率化の検討," 音響学会秋季講演論文
集, 1-Q-43, pp. (2014/09).
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4.誤差
[4.1] 金田: “M系列を用いたインパルス応答測定における誤差の実験的検討”.
音響学会誌 52巻10号 pp. 752-759 (1996).
定常雑音
[4.2] 中重亮太,金田豊, “各種インパルス応答測定信号の雑音低減効果について," 音講論集, pp.821822 (2013.3).
[4.3] 「測定結果の2周期目切り出し時のクロスフェード接続」
中重亮太,金田豊:"周期的信号を用いたインパルス応答測定の問題点について," 音響学会秋季講演論
文集, 1-Q-28, pp. 763-764 (2013.9).
[4.3.1] Yutaka Kaneda, “Noise Reduction Performance of Various Signals for Impulse Response
Measurement,“ J. Audio Eng. Soc., vol. 63, no. 5, pp. 348-357 (2015 May).
非線形
[4.4] 守谷直也, 池田亜希, 金田豊, "インパルス応答計測におけるスピーカの非線形歪みに関する検討,"
音講論集, pp. 735-736 (2004.9).
[4.5] N. Moriya and Y. Kaneda, “Study of harmonic distortion on impulse response measurement with
logarithmic time stretched pulse,” Acoust. Sci. & Tech., vol. 26, no. 5, pp. 462-464 (2005 Sept.).
[4.6] A. Torras-Rosell and F. Jacobsen, “A new interpretation of distortion artifacts in sweep
measurements,” J. Audio Eng. Soc., vol. 59, no. 5, pp. 283-289 (2011 May).
[4.7] C. Dunn and M. O. Hawksford, “Distortion immunity of MLS-derived impulse response
measurements,” J. Audio Eng. Soc., vol. 41, no. 5, pp. 314-335 (1993 May).
[4.8] 「非線形歪による主応答の変化」
佐々木長閑,金田豊:"インパルス応答に及ぼすスピーカーの非線形歪の影響,"
音響学会秋季講演論文集, 1-Q-27, pp. 761-762 (2013/09).
[4.9] 「Log-SS でなくても高調波歪の分離除去はできる」
葛山亮介, 金田豊:"インパルス応答測定用スウィープ信号の高調波歪分離の検討," 音響学会春季講演
論文集, pp.645-646 (2007/3).
[4.10] 「DA変換の逆折り返しに起因した混変調歪」
佐藤憲孝,佐々木長閑,金田豊:“AD/DA変換器の非線形特性がインパルス応答に及ぼす影響の検討,”
音響学会春季講演論文集, 1-P4-2, pp. (2014/03).
[4.11] 「電源雑音に起因した混変調歪」
佐藤憲孝,金田豊:“掃引正弦波を用いたインパルス応答測定の際に発生する非線形誤差の検討,”
音響学会秋季講演論文集, 1-Q-42, pp. (2014/09).
[4.11-2] 中重,金田: “大音圧を用いた残響時間測定の検討,” 音響学会春季講演論文集, 1-Q-29, pp.
747-748 (2015/03).
時変
[4.12] 佐藤史明: “ 室内音響インパルス応答の測定技術 ”. 音響学会誌 58巻10号 pp.669-676 (2002).
[4.13] 野崎勇,金田豊: "風による音響伝達系の変化に対するインパルス応答測定法の比較," 音響学会
秋季講演論文集, 1-P-16, pp.743-744 (2011/09).
[4.13-2]「DAとAD時の時間軸揺らぎによる誤差」
森健太郎,金田豊: “純白色擬似雑音信号を用いたインパルス応答測定における時間揺らぎ耐性の検討,”
音響学会秋季講演論文集,, pp. (2015/09).
インパルス応答測定_文献.ppt
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5.切り出し
[5.1] 渋澤功, 金田豊, “実環境雑音下におけるインパルス応答測定波形の最適切り出し方法の検討,”信
学技報, EA2012-90 (2012.11).
[5.2] 牧野洪,金田 豊, "インパルス応答の帯域別切り出し方法の検討," 音響学会春季講演論文集, 1P4-3, pp. (2014/03).
6.AIF(オーディオインタフェース) の課題
[6.1] 志賀, ほか, "オーディオ・インタフェースの入出力フィルタ特性の検討 ," 信学技報、vol. EA2009-67,
(2009.10).
[6.2]小林慶弘, 村澤良太, 金田豊, "オーディオインタフェースの特性評価における直流除去特性の影響に
ついて," 音響学会秋季講演論文集, pp.769-770 (2008/9).
[6.3] 「DAによるクリッピング」
志賀, ほか, "オーディオ・インタフェースのDA変換器におけるクリッピング歪について," 2010年秋季音響
学会講演論文集 2-P-2 (2010.9).
[6.4] 「DA・AD 非同期性」
守谷、金田、阪内 : “PC における AD・DA 同時動作の問題点”, 2003年秋季音響学会講演論文集
pp.609-610 (2003.9).
[6.5] 「Win XP のクリッピング例」
郡司龍和, 金田豊, "PCによるA/D変換時に発生するクリッピング歪について," 音響学会秋季講演論文集,
1-P-18, pp.747-748 (2011/09).
7.測定信号が利用できない場合
[7.1] 山崎芳男, 金田豊, “音・音場のディジタル処理,” p.154- , コロナ社, 2002.
[7.2] S. Haykin, 鈴木博訳 “適応フィルタ理論”, p.22-, 科学技術出版, 2001.
[7.3] 城戸健一, “ディジタルフーリエ解析(Ⅱ)”, p.68-, コロナ社, 2007.
8.古典的なパルス音源
豊田、杉江、吉村: “折り紙インパルス音源の音響特性” 音響学会秋季講演論文集, pp. 1293-1296, (2008.
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インパルス応答測定_文献.ppt
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