26P-am056 改変亜鉛サイクレン電気泳動法を用いた AT 含有率が高い短 PCR 断片の SNP 解析 1 1 ◯原田 奈生子 1 , 木下 英司 1 , 木下 恵美子 1 , 小池 透( 広島大院医歯薬) ヒトゲノム計画が完了した現在,生命活動においてゲノムがどのように機能し ているかを解析することがこれからの課題となっている。ヒトゲノム̒遺伝子の機 能解析において最も重要な事の1つは,疾患発症に関連する遺伝子の解析である。 ヒトのゲノムには多型と呼ばれる個人差があり,特に1塩基多型(SNP)は 1000 塩基対に1カ所の頻度で存在する。SNP と特定の疾患が関連する場合,SNP はその 疾患のマーカーとして利用できる。したがって,SNP の研究成果は,疾患の診断や ゲノム創薬への発展に期待される。私たちの研究室では,DNA 中のチミン塩基に優 先的に結合する亜鉛サイクレンを用いたポリアクリルアミドゲル電気泳動法とい う SNP 解析法を開発している。DNA サイズが 200 bp 以下の通常塩基配列ならば, SNP 検出が可能である。しかし,高 AT 含有率の DNA 断片では,亜鉛サイクレンの チミン塩基への結合により DNA の二本鎖らせん構造が融解するため,SNP の検出が 困難であった。本研究では,AT 含有率が高い短 PCR 断片中の SNP 解析を可能にす る改変亜鉛サイクレンгPAGE 法を開発した。 本改変法では,亜鉛サイクレンの濃度を下げること,5’末端に GC 配列を付加 したプライマーを用いて PCR 増幅することで,DNA の高次構造の融解を防ぐことに 成功した。今回は,家族性乳癌に関与する BRCA1 遺伝子のなかでも高 AT 含有率(70% 以上)領域の点変異(エクソン5,192T>A)を標的とした,短 PCR 断片中の SNP 検出の実施例を示す。長期保存や放射線暴露などにより損傷を受けた生体試料で は,PCR 増幅領域が短い方が検体サンプル間の個体差を小さくできるため,スクリ ーニングに適している。したがって,本法は幅広い分野でのイニシャルスクリー ニングに効果的で簡便な SNP 解析法であると言える。
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