9. 原発性胆汁性肝硬変における血清内microRNAの 発現と予後予測マーカーの可能性 山形大学 医学部 消化器内科 勝見 智大、上野 義之 東北大学病院 消化器病態学分野 二宮 匡史、下瀬川 徹 【目的】内在性の短鎖 RNA の microRNA( miRNA)は標的 mRNA の切断 や蛋白質の翻訳抑制といった機能が報告されている。また、各種疾患に おいて発現形式の変化が報告されており、組織や血清からの miRNA の発 現を評価することで診断や予後予測のマーカーとして、応用が期待でき る。我々は、原発性胆汁性肝硬変患者( PBC)の血清内miRNA プロファ イ リ ン グ を 行 い、5 種 の miR- 505- 3 p、miR- 197 - 3 p、miR- 210 、miR500a-3p、miR-139 -5 pの発現が低下していることを見いだした。今回、 我々はPBC 患者を臨床進行に合わせ、緩徐型、肝不全型、門亢症型と分 類し、それぞれ、5 種の miRNA の発現量を検討した。 【方法】PBC 症例の緩徐型、肝不全型、門亢症型それぞれ5例と健常者 5例で検討。 1)血清から total RNA を抽出。Internal control としてあらかじめ、血 清内にCaenorhabidis elegans miRNA- 39( cel-miR- 39 )を Spiked-in した。 miR- 505 - 3 p と miR- 139 - 5 p は TaqMan MicroRNA Assay の 系 で、 miR- 197 - 3 p、miR- 210 、miR- 500 a- 3 p は miRCURY LNA Universal RT miRNA, cDNA synthesis kitを用いてmiRNAのcDNAライブラリーを 作成後、SYBR green real time PCRの系で発現量を定量した。 2)発現量解析は、cel-miR- 39 の発現量を internal control とし、それぞ れの発現量を補正し、ΔΔCt法にて計算し相対定量を行った。各群に振 り分け、発現量を t 検定にて有意差検定を施行した。 【成績】緩徐型、肝不全型、門亢症型では健常者と比較し、miR- 505 3p、miR- 197 - 3 p、miR- 210 、miR-500 a- 3 p、miR- 139 - 5 p の 発 現 が 低 下していた。特に、門亢症型において、miR- 505 - 3 p、miR- 500 a- 3 p の 発現量の低下が、他の群と比較し、有意に低下していた( P< 0 . 05 ) 。こ れ ら の 予 測 標 的 遺 伝 子 を miRror 2. 0を 用 い て 行 い、役 割 に つ い てIn silico解析を行った。 【考 案 】PBC 患 者 で は、血 清 内 の miR- 505 - 3 p、miR- 197 - 3 p、miR210、miR- 500 a- 3 p、miR- 139 - 5 p の発現量が低下していることが、示 された。また、病態の違いにより、一部のmicroRNA の変動がみられる ことから、今後の予後予測マーカーとして使用できる可能性が示唆され た。
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