2015年7月30~31日 平成27年度第1回ダイバータ物理・工学合同研究会 つくばサイエンス・インフォメーションセンター NITE-SiC/SiC複合材料および W-SiC/SiC接合材料の開発 室蘭工業大学 環境・エネルギーシステム材料研究機構 朝倉 勇貴、岸本 弘立、中里 直史、朴 峻秀、香山 晃 研究背景 核融合発電:将来の石油代替エネルギーとして期待されている プラズマの高熱負荷や中性子から ブランケット、真空容器などを保護する プラズマ対向機器の作製が求められる ITER(国際熱核融合実験炉) ダイバータ プラズマ中のHe灰や不純物を炉外に 排出してプラズマの純度を保つ機器で、 最も過酷な環境に晒される ⇒ITERではフルタングステンの採用が決定しているが、 DEMO炉以降に向けた材料研究が必要 室工大OASISでは将来の核融合炉構造 材料としてNITE-SiC/SiCの工業化および W-セラミックスの接合技術等を研究 ダイバータ部拡大図 DEMO-NITE法の概要 ・DEMO-NITE法は乾式の中間素材(グリーンシート、プリプレグシート、 プリコンポジットリボン)の使用が特徴 ・湿式であるOriginal-NITE法と比較して、柔軟な材料設計が可能であり、 中間素材のハンドリング性や製品の均質性向上、プリフォーム作製時間が短縮 ・連続製造ラインを構築するための設備導入が進行中 NITE-SiC/SiC複合材料の製造設備群 CVIおよびCVD装置(H25年度導入) C被覆層(500nm) SiC繊維 (φ7~10µm) 開放型CVI連続炉 セラミックス繊維(炭素繊維、炭化 ケイ素繊維等)表面に炭素膜を CVI法により連続で形成可能 その他、セラミックス繊維の 製造にも使用可 C繊維 (φ5~7µm) バッチタイプCVD炉 材料表面にセラミックス薄膜 をCVD法により形成可能 SiC被覆層 (1~2µm) PyC界面の厚さ制御やDEMO-NITE法で作製した試料表面にCVD層が形成可能 Wとセラミック材料のハイブリッド化 タングステン 高Z材料 (放射損失大、スパッタリング損耗少) 水素の蓄積量が少ない 高融点 SiC/SiC複合材料 低Z材料 (放射損失小、スパッタリング損耗多) 低比重(3.2g/cm3) 熱衝撃特性、熱疲労特性が良好 比較的高い破壊靱性 タングステンをプラズマ 対向材料、SiC/SiCを ヒートシンク材料として 両材料を接合した ハイブリッド材の作製 セラミック同士および セラミック-金属のバルク接合方法 ㈳日本溶接協会HPより抜粋 有機接着剤 中間材法 接着 ろう付 圧着 固相接合 直接的接合法 接 合 法 融接 機械的接合法 無機接着剤 無機ろう付 金属ろう付 メタライズろう付 直接ろう付 拡散接合 その場焼結接合法 電圧印加接合法 爆発接合法 その他 電子ビーム溶接 レーザー溶接 焼ばめ ボルト・クランプ締め その他・・・ネジ OASISでは種々のセラミック-金属接合方法の検討を実施 ⇒Wとの接合では熱伝導等の観点から固相接合を選択 接合材の作製方法 焼結接合 拡散接合 W (鏡面仕上げ) SiC グリーンシート Graphite or CFC or SiC/SiC Graphite or CFC Hot Press ホットプレス条件: 温度 1600-1900℃, 圧力 20MPa, 雰囲気 Ar, 保持時間 1h 作製後、断面の組織観察を実施 接合材の作製結果 拡散接合 W-SiC/SiC W-C W-CFC 1h 〇 × × W-SiC-CFCの焼結接合後 焼結接合 W-SiC-C W-SiC-CFC W-SiCx2-CFC 1h ○ ○ ○ W-SiC/SiCは拡散接合で作製可能 W-SiC-CおよびW-SiC-CFCは焼結接合で接合可能 W-SiC/SiCの微細組織 約6µm幅の拡散層が確認できる 拡散層には濃淡の異なる相が存在 ⇒EPMAによる組成分析 W-SiC/SiC EPMA像 ・明コントラスト⇒W-C相 ・暗コントラスト⇒W-Si相 また、界面近傍に焼結助剤で ある酸化物相の偏析を確認 W-SiC-C EPMA像 C BEI 20㎛ O W Y 20㎛ 20㎛ 20㎛ Si 20㎛ 20㎛ W側の界面から10-20µm程度の領域にW-Si複合酸化物が存在 グラファイト中にSi(もしくはSiC)相が点在する W-Si相がW-Cの拡散を抑制し接合を維持? プラズマ曝露試験 大型ヘリカル装置(LHD) Moホルダーに固定し実施 供試材への冷却材は無し 10.5L Port 接合材外観観察 →マイクロスコープ 内部構造評価 →超音波探傷試験 プラズマ曝露試験後 外観 W: 1mmt b/SiC: 1mmt ・W表面:ストライクポイントで溶融 ・SiC/SiC表面:明確な損傷無し ・接合面:ストライクポイント上で空隙が形成するも剥離は生じず 超音波探傷試験結果 ・接合界面ではW表面で溶融している範囲よりも 広い範囲で溶融が発生 ・損傷範囲内の黄色部は溶融物が凝固 していると考えられる プラズマ曝露試験② W-SiC/SiC W-SiC-C W-SiC-C W-SiC/SiC W-SiC-C Moホルダー 純Al 溶融モニターとして開孔した SiC/SiCに純Alと純Cuを設置 W-SiC/SiC 純Cu プラズマ曝露試験後 W: 1.5mmt SiC/SiC: 0.5mmt C: 0.5mmt W-SiC-C W-SiC/SiC Al溶出? W-SiC/SiC Moの融解 W-SiC-C プラズマ入射部分のMoホルダーが溶融し、W表面で固着 裏面に設置したCu, Alの一部溶融を確認 プラズマ曝露試験後 Cu,Alの溶融状態 W-SiC/SiCに比べW-Cの溶融域は広い ⇒Cの熱伝導率の高さに起因すると考えられる 少なくとも裏面で400℃以上の温度差が発生 詳細な熱影響の解析を実施中 その他評価試験 W-SiCの真空中耐熱性試験 ナノインデンターによる界面評価 W-SiC-Cの真空中耐熱性試験 3点曲げ試験による強度特性評価 微細組織やプラズマ曝露試験だけでなく、 高温真空中における界面の性能評価も進行中 まとめ ・OASISではSiC/SiCの実用化に向けた 製造技術開発を推進しており、 連続製造設備の 構築を進めている ・固相接合により、W-SiC/SiC、W-SiC-C、 W-SiC-CFC接合材料の作製に成功した ・LHDにおいて無冷却の状態でプラズマ曝露試験を 実施した結果、一部界面やWの溶融が確認されたが 剥離やSiC/SiC、C側の損傷は確認されなかった ・OASISの装置群を用いて界面の強度や組織の 状態を評価中である 謝辞 本研究の実施にあたり、御協力頂きました OASIS職員一同に感謝の意を表します。 また、LHDでのプラズマ曝露試験の実施に当たり 共同研究協力者として御協力頂きました 自然科学研究機構 核融合科学研究所 増﨑 貴 教授および時谷 政行 助教に感謝の意を表します。
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