IDFホームページ/http://www.fil-idf.org/ファクトシートより IDF文書を仮訳 酪農乳業の経済的な重要性 IDFファクトシート2013年2月 酪農乳業は世界共通の農業です。世界のほぼ全ての国で、10億人が家畜動物 から乳を搾り、酪農で生計を立てています1。世界の食糧システムのなかで重要 な役目を担っています。特に、村落の持続可能性に重要な役割を演じています。 酪農乳業は、多数の村落共同体、地域および国家の経済に積極的に貢献しています。 世界の乳製品需要は現在、顕著に増えています。酪農乳業はグローバル化し、世界の 乳製品貿易の地理的な範囲と物量が増えています。しかしながら、デイリーセクター の経済的な便益をどのような方法で、またどんな物差しで客観的に評価すればいいの かについては課題があります。 次のファクトシートは、複雑で広範なデータが実証したとおり、酪農乳業経済の異な る側面をとりあげ総括することが狙いです。酪農乳業の経済的な便益は、乳および乳 製品の生産、貿易および雇用の観点から評価することができます。 生産 2011年、乳生産量は748.7百万トン、そのうち260百万頭の乳牛が生産す る620.7百万トンが牛乳でした。酪農家戸数は国や農場システムによって大きく 異なりますが、インドでは78百万戸に達しています2。 FAOの最新情報では、農業の総生産金額は3兆2820億米ドル、世界の生乳生産 額は2920億米ドル相当です。世界的なスケールでみると、乳の生産金額は201 0年、農業全体の生産額に対して8.9%を占めています。 IDFホームページ/http://www.fil-idf.org/ファクトシートより 図1 乳と農産品の価値の推移 過去10年間では、全農業生産額も乳生産額も上昇傾向にあります。農業全体の生産 金額のうち乳生産額は年度に変動があるものの8.5%と10.5%の範囲にありま す。乳の占める割合が20%を超える地域もあります。例えば次の諸国です。3 ニュージーランド(35%) フィンランド(26%) インド(24%) ルクセンブルク(23%) エストニア(23%) スイス(21%) ラトビア(20%) そのような国では、農業経済にとって酪農乳業が特に重要です。 図2 農業生産額全体に占める生乳生産額の割合 IDFホームページ/http://www.fil-idf.org/ファクトシートより 貿易 2011年、乳製品、すなわちバター、無水バター、脱脂粉乳、全脂粉乳、練乳およ びチーズの世界貿易量は、生乳換算で58.2百万トン(欧州共同体EU域内を除く) に達しました。この量は世界の乳生産量の7.8%になります。 FAOの推計によれば、金額ベースの乳製品(乳、クリーム、バター、チーズ、ホエ ー、バターミルク、ヨーグルトおよびカゼインの総計)貿易額は640億米ドル、農 産品貿易の5.9%になります。乳糖とインファントフォーミュラを含めるならば、 690億米ドル、6.4%になります。 2000年以来、乳製品の貿易額は増加傾向ですが、農産品の世界貿易額は年度によ るバラツキがあります。1国のなかで流通する手頃な価格の乳製品を多様化するとい う点に多国間貿易というものの役割があります。 さらに、貿易で取り扱われる乳製品は乳加工セクターを支援するという役割も担って います。国内の生乳生産量が十分でない国においては特にこのことが言えます。 IDFホームページ/http://www.fil-idf.org/ファクトシートより 図3 農産品および乳製品貿易額の推移 乳製品は多くの国の貿易バランスにとっても必要です。しかし下の地図に示したよう に、乳製品の交換となると、ある国では他の国よりも依存度が高いことがあります。 図4 農産品輸出額に占める乳製品の割合(金額ベース%) 雇用 デイリーセクターは村落共同体に雇用を提供するという点でも重要な役割があります。 乳生産と乳加工業は、単に酪農場と乳業工場に携わる人だけでなく、川上(資材サー IDFホームページ/http://www.fil-idf.org/ファクトシートより ビスの提供)と川下(最終製品のマーケティング)というセクター全体に携わる人に 雇用を提供します。 農場レベルでは、最近、22ヵ国で行ったように、農業の労働力全体と比較して酪農 場で働く人の数を説明することは可能です4。平均では、酪農乳業の労働力は農業全体 の雇用者の3%を占めますが、この数字は広範な状況を含みます。 図5 農業全体の労働力に占める酪農場の労働力(%) グローバルな規模で乳製品の加工業に従事する人の数を推計することは困難です。し かし、入手可能な各国別の情報によると、20万人(ロシア)、23万人(中国)お よび50万人(エジプト)という数字があり、エジプトの場合、同国の産業に従事す る労働力の8%に相当します。 酪農の便益を雇用という点で評価することは、開発途上国においては特に適切です。 世界的には、750百万人に相当する150百万の小規模酪農家が生乳生産に従事し ています。5これら数百万の雇用に、生乳の輸送、加工およびマーケティングが加わり ます。たとえば、FAOの推計では東アフリカと中東では、生乳100リットルにつ いて関係業界で最多5人の雇用が創出されています。 さいごに デイリーセクターはグローバルでダイナミックな産業です。着実な成長傾向(200 0年以来、年平均+2.2%)を示し、長期的にも上昇基調が続くと予想されていま す。動物性たんぱく質の需要増、新興国の人口増および収入増が相まって、この上昇 IDFホームページ/http://www.fil-idf.org/ファクトシートより 傾向を支えています。FAOとOECDによれば、乳製品の消費は結果的に2021 年に到達するまでに20%またはそれ以上の伸びが期待されています。この状況のな かで生乳生産と加工は、今日および何十年先も世界の食糧確保にとって極めて重要な ことは明白です。 編者注:仮訳の全体は会員頁をご参照ください。仮訳の正確性、完全性、有用性等については いかなる保証をするものではありません。参考資料として扱い、内容に疑義が生じた場合は英 文の原文をご確認ください。 1 2 3 4 5 IFCN IDF World Dairy Situation report, 2013 FAO, 2010, Indian IDF NC, 2012 IDF 世界の酪農情況2012、世界銀行、各国情報 FAO、IFCN 2010
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