1 持続可能な社会システムの形成確保 AGS研究報告会2010年12月16日 新領域創成科学研究科環境学研究系 国際協力学専攻 博士課程 村山麻衣 研究代表者:國島正彦 教授 AGS助成額:50万円 発表アウトライン 1. 2. 3. 4. 5. 研究の背景、視座 気候変動枠組条約締約国会議の歴史的経緯 気候変動対策における技術移転問題 日本の気候変動対策と社会システム まとめ 2 1. 研究の背景、視座 3 高効率化: 省エネ家電、二重窓 等 低炭素社会 代替技術: 電気自動車、新エネルギー 等 ⇒ ⇒ 空間スケール グローバル ローカル 社 会 シ ス ? テ ム ⇒⇒ ⇒ 多種多様な課題 短期 の 変 緩和策 ブラックボックス の度合が高くなる 革 =ブラックボックスの解体 時間スケール 長期 気候変動枠組条約および京都議定書の加盟国数の推移 4 60 50 40 30 20 10 0 気候変動枠組条約批准数 京都議定書批准数 京都議定書著名国数 気候変動枠組条約批准国累計 京都議定書批准国累計 京都議定書締約国会議(CMP)開始 70 気候変動枠組条約締約国会議(COP)開始 80 累計加盟国数 新規加盟国数 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 年 1. 気候変動枠組条約締約国会議の 歴史的経緯 気候変動枠組条約では、先進国と途上国における 「共通だが差異のある責任」が条約文に明記 300.0 250.0 億CO2 t 世界の二酸化炭素の推移(1990年~2005年) その他の国地域 ASEAN 200.0 中国 150.0 インド ロシア 100.0 EU27 米国 50.0 日本 0.0 1990 1995 2000 2005 年 出典)http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2008/2008honbun/html/i3110000.html 資料:IEA(2007)「CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION」。 備考:中国には香港を含む。 5 SB1 IPCC第2次報告書 6 1995.3,COP1:ベルリン・マンデート SB2 SB4 1996.7,COP2: SB3 SB5 AGBM SB6 1997.12,COP3:京都議定書 採択 SB8 AG13 SB7 1998.11,COP4:ブエノスアイレス行動計画 SB9 SB10 1999.10,COP5: SB11 SB12 SB13-1 2000.11,COP6-1: SB13-2 2001.7,COP6-2:ボン合意 SB14 2001.10,COP7:マラケッシュ合意 SB15 IPCC第3次報告書 SB16 2002.10,COP8: SB17 SB18 2003.12,COP9: SB19 SB20 SB22 2004.12,COP10: SB21 2005.12,COP11:CMP1:京都議定書第1回締約国会議 SB23 SB24 2006.11,COP12:ナイロビ作業計画 CMP2: SB25 SB26 2007.12,COP13:バリ・ロードマップ CMP3: SB27 IPCC第4次報告書 SB28 2008.12,COP14:ポズナン戦略プログラム CMP4: SB29 SB30 SB32 2009.12,COP15:コペンハーゲン合意の留意 CMP5: SB31 2010.12, COP16: CMP6: SB33 7 COPにおける交渉議題の分類(1995-2009)結果抜粋 2009 COP COP COP COP COP 9 COP 8 COP 7 COP 6 2005 COP 5 COP 4 COP 3 COP 2 COP 1 2000 COP 交渉議題 COP 時(COP) 1995 10 11 12 13 14 15 国別報告書 技術開発および移転 附属書Ⅰ国の約束 (条約4条2項(a)(b) ◆ ~ * * * △ △ ◆ △ ◆ △ △ △ △ △ △ △ △ △ 附属書Ⅰ国の必要な措置につ いての検討(議定書3条14項) 附属書Ⅰ国の政策措置 (議定書2条3項) 気候変動と経済的悪影響への 配慮(条約第4条8・9項) ◆ キャパシティ・ビルディング ◆ 全ての国の将来約束 附属書Ⅰ国=先進国・経済移行国 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ AWG-LCA 交渉議題のあった年 △休会 ◆決議書なし *交渉議題の名称が前年と異なる 2007年COP13CMP3@バリ 8 バリ行動計画 ①共有のビジョン、 ②排出削減、 ③適応、 ④技術、 ⑤資金 Sources of photo: UNFCCC 京都議定書第一約束期間以降の枠組みについて バリ・ロードマップ COP15までに採択することを合意 気候変動枠組条約の下に、新たにAWG‐LCAを設置 Sources of photo: UNFCCC 将来枠組み交渉 長期的協力行動を 議論するグループ 気候変動枠組条約 内容 (2008-) 先進国の更なる約束・枠組 を議論するグループ 京都議定書 2005年CMP1で設置 2007年COP13で設置 AWG-LCA 9 COP CMP (1995-) (2005‐) AWG-KP (2006‐) 手続 条約の実施および条項関連 京都議定書関連の課題 議定書の実施・議定書条項関連 第一約束期間以降に関するもの 運用および資金関連 条約、および付属書の修正 遵守、適応基金、経営、資金、お よび組織に関するもの、 これまでの交渉議題で課題であった事項が、 将来枠組み交渉においても重要な議論となっている。 ⇒衡平性の問題 2009年12月15日COP15 10 初の首脳級会合開会式 Danish COP15 President Connie Hedegaard, Danish Prime Minister Lars Løkke Rasmussen, UN Secretary Ban Ki-moon, British Prince Charles, Director of the UN climate secretariat Yvo de Boer 出典) : Keld Navntoft/Scanpix http://en.cop15.dk/news/view+news?newsid=3015 COP参加人数分類 6000 4000 2009年 年 11 2005 8000 199 5年 10000 メディア 12000 オブザーバ 14000 締約国代表者 16000 人 出所)筆者作成、出典データ:主にUNFCCC公式資料 の会合毎の”List of participants”から集計 2000 COP 1 COP 2 COP 3 COP 4 COP 5 COP 6-1 COP 6-2 COP 7 COP 8 COP 9 COP 10 COP 11C MP1 COP 12C MP2 COP 13C MP3 COP 14C MP4 COP 15C MP5 0 気候変動変動枠組条約締約国会議=COP 京都議定書締約国会議=CMP コペンハーゲン合意 ① ② ③ ④ ⑤ 12 世界全体の気温の上昇が摂氏2度より下にとどまるべきであ るとの科学的見解を認識 附属書Ⅰ国は、2020年に向けた経済全体の数量化された排 出目標を実施することをコミットする。 非附属書Ⅰ国は、条約第4条1及び第4条7の規定に従い、か つ、持続可能な開発の文脈において、緩和のための行動を 実施する。 条約の実施を強化するため、拡充された、新規のかつ追加 的な資金であって、予測可能かつ十分なもの及び改善され たアクセスが、緩和(森林の減少及び劣化に由来する排出を 削減する(REDDプラス)ための相当量の資金を含む。)、適 応、技術の開発及び移転並びに能力の開発のための強化さ れた行動を可能にし、並びに支援するため、条約の関連規 定に従い、開発途上国に対して供与される。 技術の開発及び移転のための行動を強化するため、各国の 主導による手法を指針として、かつ、自国の事情及び優先順 位に基づいてとられる適応及び緩和のための行動を支援す るための技術の開発及び移転を促進する「技術メカニズム」 を設立することを決定する。 透明性:交渉への参加国 13 →2009年12月19日コペンハーゲン合意の留意 ※コンセンサス方式であるため、手続の不透明さを理由に反 対する国により、採択ならず。 これまでの事務レベル+閣僚級レベルによる交渉 +首脳級レベルのハイ・ポリティカル交渉 バリ・ロードマップ ‐‐‐‐‐‐‐‐延長 2. 気候変動対策における技術移転問題 14 2007年以降、技術移転に関する交渉の場が増加 コペンハーゲン・アコード(2009年)における 技術移転の重要性 「途上国によるこの条約に基づく約束の効果的な履行の程度は、先進 国によるこの条約に基づく資金及び技術移転に関する約束の効果的 (条約4条7項) な履行に依存している。」 資金 先進国 途上国 基金 技術の開発及び移転を促進する「技術メカニズム」を設立 停滞交渉課題の妥協点、或いは 停滞交渉課題の解決なしには進展不可能 停滞交渉課題 ※附属書Ⅰ国=先進国・経済移行国 a. b. c. 附属書Ⅰ国の約束:条約4条2項(a)(b) 附属書Ⅰ国の政策措置:議定書2条3項: 附属書Ⅰ国の必要な措置についての検討(資金供与、保険及 び技術移転の実施):議定書3条14項: 技術移転に関する見解書の分析結果 技術移転に対する先進国と途上国との認識の違い 先進国 枠組み 途上国 条約下での取組み 既存のものと連結 重視 技術移転の 全体像 連結的 要求的 政策 民間とセット 資金援助 プライベート セクタ 重視 市場の失敗 15 市場と衡平性 16 気候変動枠組条約における技術移転の進展と膠着 前進項目:技術ニーズ評価、技術情報の更新 i. ⇒非市場ベースの経路についての制度構築を着手 認識の不一致:知的財産権に関する課題 ii. ⇒市場ベースの技術:対立 iii. ≒将来枠組み交渉 の衡平性 認識の不一致:政府の取り組み方 ⇒経済発展のあり方への南北問題に執着 先進国: 一般期に当た 技術ライフサイクル る技術の普及 途上国: イノベーションに 当たる初期技術 の普及 気候変動交渉における技術移転問題 17 実際の普及行程 交渉対立 知的財産権 市場原理と緩和策の不一致 情報格差の是正 技術のライフサイクル 普及 導入 「気候変動対策」の付加による交渉の進展 交渉による支援枠組 資金援助 非市場ベースの経路へ の制度構築 情報ネットワーク 各事例における 解決の必要 普及場所の社会 システムに影響 実務による支援の 必要 18 3. 日本の気候変動対策と社会システム 温室効果ガス削減目標 2009年6月2005年比15%削減:国内のみ 同年9月1990年比25%削減⇒気候変動枠組条約にも提出 2010年12月内訳公表 モデル:対策技術の導入量による排出削減量の試算 現状の社会システムを基盤においている。 内訳の検討のためのモデルに大きな変更はなく、実質的な削減戦略 の変化を伴っていない。 ⇒産業界における削減のみならず、 社会システムの変革となる意思決定、制度設計が必要 国の法制度における整備 19 1. 国際交渉の動向に追随する時期に順次策定 2. 2005年頃から、「包括的な」取組みを目指すことを求め ている。 公共交通について法制度から抜粋 1990年:温暖化防止行動計画 ⇒増大する交通需要に対応すること 1993年:環境基本法⇒環境負荷の低減に資する交通施設への措置 1998年:温暖化対策推進法⇒大都市公共交通機関の利便の増進 2005年:京都議定書目標達成計画⇒ 「都市や地域の構造、公共 交通インフラを含め、我が国の経済社会構造を変革」 など 2006年第三次環境基本計画 ⇒地方都市の公共交通機関利用低下、自動車への高依存率を指摘 2008年:目標達成計画全改訂⇒低炭素型の都市・地域デザインなど 温暖化対策推進法 ⇒実行計画・地域推進計画 3. 都道府県レベルまでは計画の策定はあるが、実際に、広域的かつ 総合的であるかは不明。市区町村レベルの計画策定は約6% 地方都市における現状調査から 20 公共交通を切り口とした広域のガバナンス 事例調査:別プロジェクトにて実施 契機 イニシアティブ:メタガバナンスとなる動きを率先 協議の場 ファシリテータ:議論促進 ビジョン メディエータ:意見調整 リーダー:ビジョンを打ち出す 都市計画等のガバナンス 新たなガバナンス体制 スケール拡張 5.まとめ 21 空間スケール 緩和策 グローバル 連携によるスケールの拡張が必要 低炭素社会の構築は地域的 観点からのみでは不十分 ボトムアップによ る動きが必要 グローバルな課題とローカルな課題の調和 低炭素社会の構築は緩和策の 観点からのみでは不十分 ローカル 多種多様な課題 短期 時間スケール 長期 22 ご清聴ありがとうございます。 連絡先: [email protected]
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