操作ガイド - 東洋大学国際地域学部教授 池田誠の未来実感ラボ

SimTaKN 速習ガイド
SimTaKN(シムタくん)は、2003 年 8 月に大阪で生
まれました。生みの親は、中村州男さん (NPO 法人「情報化
ユートピア」代表)です。
一人一人の問題を掘り下げ、問題を構成する要素を明確にし、
その要素間の関係や構造 を理解するだけでなく、図として他
の人にも見える化し、問題を他の人とも共有化し、解決策を見つ
ける協働作業をサポート し、個人や地域や企業の問
題 から、人類の未来や地球規模の問題 までを救うとても
簡単なソフトとして開発して下さったものです。
2015 年 3 月 7 日改訂版作成中
東洋大学国際地域学部教授
池田誠
目
次
ページ
SimTaKN 速習コース
1. SimTaKN 速習コースの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
2. SimTaKN 速習コース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
3.SimTaKN のダウンロード、インストールと起動・保存・終了
3.1. 動作の選択(計算を行うシートか否か。いつでも変更可)・・・・・・・・・・・13
3.2. シミュレーション期間の設定(いつから、いつまでか)・・・・・・・・・・・・・13
3.3.「蓄積箱」(ストック)の設定(項目作成段階、KJ法+α)・・・・・・・・・14
3.4.「変化箱」(フロー、補助変数、パラメーター)の作成(同上)・・・・・・・15
3.5.「定数箱」(補助定数)の作成(同上)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
3.6. 箱のリンクと計算式の作成(式なしでST。式ありでIM法)・・・・・・・16
3.7 ファイルの保存(いつでも可。flh 形式)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
3.8. 計算実行(保存後。⑥のリンクと計算式がないとエラー表示)・・・・・・・18
3.9. グラフ作成(計算実行後。6つまで合成表示可)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
【補足】システム・ダイナミックスの方程式(エクセルに出力)・・・・・・・・・20
3.10. ダイナミック・リプレイ(箱の大きさと色を動かす)・・・・・・・・・・・・・・21
3.11. 人口密度とその影響の計算(計算結果の利用。IM法)・・・・・・・・・・・・21
3.12. 人口密度と死亡率の関係(関係箱の機能:図表関数)・・・・・・・・・・・・・・22
3.13. 政策シミュレーション(最も簡単な定数の変更による方法)・・・・・・・・25
3.14. 1900 年から 2100 年のモデルに移行(計算期間変更方法)・・・・・・・・・・・25
3.15. 新しい SimTaKN ファイルへのモデルの複写(コピー)・・・・・・・・・・・・・・26
3.16. 実績データの入力(定数箱利用。統計データ。SD)・・・・・・・・・・・・・・27
3.17. 実績データ(変化箱利用=時系列変化図BOT)(図表関数)・・・・・・・28
3.18. アンケートの活用(変化箱を利用)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
3.19. レポート化(シート画像のコピーは右クリックで可能)・・・・・・・・・・・・32
3.20. SimTaKN のアイコン(遅れと離れた場所へのワープ方法)・・・・・・・・・・・33
【補足】SimTaKN の関数一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
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1 はじめに
開始する前に、SimTaKN のソフトのダウンロードとインストールは行ってお
いてください。その方法は、1.3.に SimTaKN のダウンロード、インストールと
起動・保存・終了として説明があります。なお、この時間は 60 分には含まれて
いません。ネットワーク環境とパソコンの習熟度による個人差の影響が大きいの
で、授業や研修などでは、事前にインストールしておくか、時間を 5~10 分ほど
余分にとって各人がインストールできるように配慮して下さい。この速習用の
SimTaKN のファイル(IM001.flh)を開いてください。
以上のほかにも、①プレゼン機能、②ハイパーリンク機能、③画像取込み機能、
④箱の計算値で移動させる機能、⑤連続的なダイナミック・リプレイ・モードの
自動 HTML 作成機能、⑥トレース機能、⑦マルチエージェント用ソフト artisoc
((株)構造計画研究所のソフト)に自動変化する SimTaKN2artisoc など、
SimTaKN の面白い機能もいろいろありますので楽しんでください。
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3
全体像
グラフは、左側は実績を入れたグラフ、中央上は graph 関数で作成、右は政策の計算結果を示しています
四角の箱の数字は説明の手順を示しています。次節での説明参照。
図 1-2
3. SimTaKN 速習コース
次の手順で、SimTaKN(シムタくん)のダウンロード、インストールと起動・
保存・終了を行って下さい。
ダウンロード:2005 年 4 月 30 日時点で次のサイトから可能です。ダウンロードして
頂いて、支払いをしなければ「体験版」という扱いです。体験版は 100 回までは試用で
きます。100 回を超えると保存などの SimTaKN の機能の一部が使えなくなるだけ
です。お気軽にご利用下さい。
Vector(ベクター)のダウンロードサイト
http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se302464.html
(池田誠のホームページからもリンク:http://www2.toyo.ac.jp/~mikeda/ )
a. インストール:ダウンロードした SimTaKNsetup.exe を実行することで自動的に
インストールされます。なお、インストール中に、
「xxx.dll 使用中」等のメッセ
ージが出た場合には、
「OK」又は「無視」を選択して、インストールを継続して
ください。
(最新版へのインストールの方法:旧バージョン(SimTaKN.msi など)が
既にインストールされている場合には、一旦、旧バージョンをアンインストール
してから、最新版のインストールをしてください。(アンインストールの方法:スタ
ート→設定→コントロールパネルの「アプリケーションの追加と削除」から
SimTaKN を選択し「削除」してください。)このとき、IDが変わることはあり
ませんのでご購入済みの方も安心してア
ンインストールしてください。デフォル
図 1-3-1 起動時の画面
トのインストールフォルダは、Cドライ
ブ→Program Files→ SimpleSD です。
描画スペース
b. 起動:デスクトップにある SimTaKN
(シムタくん)アイコン
をクリックする
ことで起動できます。なお、SimTaKN(シ
ムタくん)のデータファイル「*.flh」は
自動的に関連づけされていますので、保
存したデータファイルをクリックするだ
4
資料:SimTaKN オンライン・ヘルプから引用
けでも起動できます。(また、複数の SimTaKN(シムタくん)を同時に起動するこ
ともできます。なお、複数起動する場合、メモリをたくさん使用しますので、そ
れぞれのパソコン・OSによっては多くのソフト起動によるハングアップの危険
もありますのでご注意ください。)
c. 保存:ファイル→保存または名前を付けて保存で、拡張子 flh のファイルとし
て保存されます。
d. 終了:通常のアプリケーション同様、アクティブウィンドウ右上
をクリック、
又は、メニューバーよりファイル→終了を選択して終了できます。
3.1.動作の選択
図 1-3-2 の動作の選択「1」で「動作させる」を左クリックして下さい。最初の
基本設定は「動作させる」ですから、最初は何もしなくて良いです。
図 3-2 動作の選択とシミュレーション期間の設定(左)と蓄積箱(右)
3.2.シミュレーション期間の設定
図 1-3-2 のシミュレーション期間の設定「2」で、シミュレーションの X 軸の
値や単位、開始と終了を設定します。ここでは、当初設定を使うこととして 0 年
から 100 年の 100 年間のシミュレーションを行うことにします。(もし別の期間
のシミュレーションをしたければ、その期間を入力します。ここでの注意事項は、
必ず終了年(大きい方の数値)から入力することです。「開始年」から入力しよ
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うとすると「警告」が出ますので、「終了年」から入力してください。これは
SimTaKN のチェック機能が、必ず「開始年<終了年」となっているかどうかを
確認しているためです。)
3.3.「蓄積箱」(ストック)の設定
最も関心があるシミュレーションしてみたい項目は、ある時点における何かの
「量」あるいは「量的なイメージ」のはずです。
「○○年における地域の人口が増
えているのか減っているのか」とか、
「より魅力的な地域になっているのか、どう
か」とか、比較可能な指標がシミュレーションの中心的な関心事項です。
そのような「量」あるいは「量的なイメージ」を SimTaKN で表すものが、
「蓄
積(ストック)」という「箱」です。貯金箱のような形をしているので分かりやす
いと思います。この貯金箱のような「蓄積箱」に、シミュレーションを開始する
前に最初(t期)から入っている金額や人口を「初期値」として入力します。
そして、そこからシミュレーションがスタートして、次の期(t+1期)まで
の間に貯まるお金や生まれる人の数をこの蓄積箱に足して、引き出される貯金箱
のお金や死亡者数などを蓄積箱から引くと、次の期の「蓄積箱」の中身が計算で
きます。この間に貯めるお金や使われるお金、あるいは出生者数や死亡者数は、
フロー(流量、流れ)と呼びます。
このように SimTaKN のシミュレーションでは、時点(t)の蓄積(ストック)
に、流れ(流量、フロー)を足したり引いたりしたものが、次の期(t+1)の
蓄積(ストック)になっていくというように計算していきます。それが、毎期(毎
年)繰り返されていくとどうなるのか、というのがシミュレーションです。
図 1-3-2(右)に示しているように、円筒形のアイコンの「蓄積箱」をクリッ
クすると黄色に変わりますので、その状態で、シート上で左クリックをしながら
マウスを少し移動(ドロー)してください。図のように 9 つの点が出ている「蓄
積箱」が表示されます。この状態は「箱」を選択している状態です。(もう一度、
「箱」の中で左クリックをすると文字の入力モードになります。
「人口」と入力し
てください。文字入力モードを終了するには、「Enter」キーを押すか、「箱」以
外のシートの白地のところを左クリックしてください。)(詳細は 2.1.1.参照)
次はデータの入力です。
「蓄積箱」を選択している状態にすると、シートの右側
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に「入力」画面が出ます。右上に「初期値」が出ます。半角で数値を入れてくだ
さい。(ここでは「(小数桁)」には「2」を、「単位」の下には「億人」と入力し
てください。(少数桁と単位は省略可です。))
3.4.「変化箱」(補助変数、パラメーター)の作成
「変化箱」をシート上に作成してください。
「変化箱」の「○」は規定値ですの
で、シート上で左クリックをしてマウスをドローすると自動的に作成されます。
文字の入力モードにして「出生者数」と入力してください。
「変化箱」(丸い箱)が描けたら、「蓄積箱」(円筒形)をクリックして 9 つの点
が表示されている状態にして、中央の点にカーソルを合わせます。ぴったりとカ
ーソルが合うと、カーソルの矢印が「↑」に変化します。
図 3-3 変化箱(左)と定数箱(右)の作成
注:変化箱等を複製すると「式入力」に[031003091130028]という数値が表示さ
れます。これは箱の作成年月日です。再確認しながら[1]、[2]等に直して下さい。
そのとき、左クリックしながらドローすると中央の点からリンクの線が引っ張
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り出せます。そのまま、
「変化箱」
(丸)までドローしていって、
「変化箱」の中で
クリックを放すと「蓄積箱」から「変化箱」に矢印が結ばれます。これで「蓄積
箱」の情報(初期値や計算値)が「変化箱」に伝わるようになります。このよう
にリンクが終わって「変化箱」を選択している状態が図 3-3(左)です。
「値の選択」欄には、リンクする前は、何もない空欄でしたが、リンクすると
「[1]人口」という表示が自動的に出てきます。このように箱をリンクすることで
「値の選択」欄に情報がいくつも入ってきます。ここでは、1 つだけなので「[1]
人口」を左クリックして反転状態になったところで、
「式入力」欄で左クリックし
ます。すると、
「 [1] 」という表示が現れます。これで「蓄積箱」
(人口)のデー
タが「変化箱」
(出生者数)に「計算実行」によって初期値から次々と1期ごとに
移っていくことになります。
3.5.定数箱の作成
出生率を定数箱に作成します。六角形のアイコンをクリックして「定数箱」を
作成してください。図 1-3-3(右)のように「出生率」と入力して、少数桁に「3」、
単位に「%/年」を入力し、固定値に「2」を入力してください。「出生率」の情
報を「変化箱(出生者数)」の計算に使うためにリンクを作成してください。
3.6.変化箱と蓄積箱のリンクと計算式の作成
計算式を入力して、「出生者数」の計算値を「蓄積箱(人口)」に加算します。
まず、「変化箱(出生者数)」を選択して図 1-3-4(左)のように「式入力」欄
に「[1]*[2]/100」と入力してください。「*」や「/」は半角英数で直接入力
しても良いですし、
「関数選択」で該当する関数を選択して、直ぐに「式入力」の
欄で左クリックすると複写されます。
次に、
「蓄積箱」へ「出生者数」の計算結果を加える必要がありますが、そのた
めには、リンクを作成する必要があります。既に、人口からのリンクがあります
ので、そのリンクの線をずらしておく必要があります。既に作成されているリン
ク線上で左クリックするとリンク線が選択できます。選択状態になるとリンク線
上に四角い点が表示されるので、中央の点を左クリックしてズラしてください。
図 1-3-4 のようにリンク線が折れ曲がって、もう一つのリンク線を作成しても二
8
重になってダブらないようにすることができます。このようにズラしておいてか
ら、
「人口増加数」から「人口」にリンクを作成してください。
「正(プラス)」の
リンクが作成されます。「出生者数」の計算結果を「加算」することになります。
次のステップで「死亡者数」を作成したときは「負(マイナス)」を右側のコント
ロール・パネルで選択してください。
「減算」することになります。このように「蓄
積箱(ストック)」には、「変化箱(フロー)」で計算された毎期の値が、「加算」
か「減算」で集められ、その期の終わりの時点での全てのフローの計算結果を集
計したストックの計算結果を出します。出生者数(t)=人口(t)*出生率
出生率=
2%/年
人口(t+1)=人口(t)+出生者数(t)
人口初期値=16.5
という方程式になります。
これで、もっとも簡単なシステム・ダイナミックスのモデルが完成しました。
次は、計算してみるのですが、計算の前には必ず「保存」してください。
練習問題:死亡率(定数箱)を 1%/年として、死亡者数(変化箱)を作成し
て、計算してみてください。蓄積箱へは「負(マイナス)」でリンクです。
図 3-4 変化箱に計算式の入力(左)と計算実行後(右)の作成
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3.7.ファイルの保存
ファイルの保存は、左上にある「ファイル(F)」から「保存(Save)」または「名
前を付けて保存(Save As…)」を選択する。(「保存(S)」は上書き保存です。)
3.8.計算実行
計算を実行する前には必ず「ファイルの保存」を行ってください。計算実行時
にファイルが壊れることはほとんど起こりませんが念のための措置です。
計算実行は、
「計算・グラフ」から「計算実行」を選択するか、青い三角形のア
イコン
(「計算実行[C]」参照)をクリックすることで実行できます。
【補足】計算実行をすると、「変化箱」・「蓄積箱」に時間軸(X)に対する計算結果の値
が保存されます。この値は、各箱をクリックするとことで確認することができます。
なお、下の画像のように箱が赤色になり、エラーや警告メッセージが表示されることがあり
ます。赤色が表示されると計算実行はされません。「箱」の式が入力されていない場合や式
の中にあるリンクが切れている場合、「蓄積箱」、「場の移動箱」、「場の受け箱」が一度
もクリックされていない場合が想定されます。
黄色が表示される、あるいは、計算途中でチラチラと表示される場合には、計算エラーと
なった値を0として計算実行されています。「変化箱」の式の入力が正しくない場合や計算
中に0による除算など計算エラーが発生した場合などに表示されます。該当する箱をクリッ
クして、データの状態を確認してミスを訂正してください。(下の例では、[2]と入力すべき
ところが[21]となっています。)
図 3-5 計算エラーの表示例
資料:SimTaKN オンライン・ヘルプから引用
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3.9.グラフ作成
計算後に、計算結果を
グラフ作成することができます。図 3-6 に示されてい
るように、
「Ctrl」キーを押したまま「人口」、
「出生者数」、
「死亡者数」の順に左
クリックをしていくと同時にいくつもの変数が選べます。図のように3つとも選
択したら、
「Ctrl」キーを放して、画面の右上にある赤い線と青い線の折れ線グラ
フのアイコンをクリックしてください。右側のコントロール・パネルに折れ線グ
ラフが表示されます。もし、グラフの線が表示されない場合には、SimTaKN の
グラフ作成機能で Y 軸の最大値と最小値を自動的に設定しているために最小値と
同じ値を示していたりしてグラフ上には表示されないことがあります。最小値
(Min)と最大値(Max)を入力してください。また、関係のない項目が表示さ
れないときは、別のシートで箱が選択されている場合があります。
図のように右側のそれぞれのグラフの最大値と最小値を変更して、グラフが適
切に表示されたら、右下にあるグラフの「合成表示」をクリックしてください。
白いシートの左上隅に小さなグラフが出現するので、適当な位置にずらして、
大きさも適当に広げてみてください。数字や文字がかろうじて読めるようになる
ときが一番きれいな状態です。
図 3-6 練習問題の答えとグラフ作成
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なお、グラフは同時に最大6つまで一緒に表示できます。右側の操作パネルに
「グラフ2」というシートが自動的にできますので、そこで Y 軸を確認してから、
1枚目の「グラフ」の下にある「合成表示」をクリックしてください。Y 軸の調
整は一度設定すると次のグラフ作成からは同じ箱では同じ Y 軸の値を維持します
ので、次のグラフ作成時には調整の必要が無くなります。なお、グラフ上に「人
口」、
「出生者数」などの文字を「コメント」を使って書き込んでいます。
(設定は
「枠なし」、
「透過あり」です。)グラフの線の意味が分かりやすくなりますし、白
黒で印刷したときに線の違いが理解できます。
【補足】システム・ダイナミックスの方程式
ここでは、少しエクセルへのデータ書込と方程式の表示
という SimTaKN の操作のテクニカルな面を補足的に説明
しますので、飛ばして読んでも構いません。
下の図 3-7 にあるような「モデルの方程式」を表示させ
エクセルへのデータ書込
る方法を紹介します。シートの白地の部分をクリックする
と、右上の図のように、右側の操作パネルに「Excel データ書込」が選択できる項目が表示さ
れます。「全て」を選択してファイルを一度保存してください。そうすると SimTaKN のファ
イルを保存しているホルダーに自動的にエクセルのファイルが同じファイル名で作成されま
す。その1枚目に、図 3-7 のようなシートが自動的に作成されます。種類は「箱」の区分で、
二重丸◎はストックの箱を示しています。
「名称」が方程式の左辺、
「式」が方程式の右辺にな
っています。D 列~G 列までを複写してメモ帳などのテキスト・エディターに貼り付けて編集
すると簡単に整理できます。その後でワードに持ち込むのがお勧めの手順です。
名称
式
単位
初期値
人口 (t)=人口(t-dt)+(出生者数-死亡者数)×dt
億人
出生者数=人口×出生率/100
出生率=2
%/年
死亡者数=人口×死亡率/100
死亡率=0.7
%/年
初期値
図 3-7 SimTaKN で自動的に作成されるSDの方程式
12
16.5
3.10.ダイナミック・リプレイ
ダイナミック・リプレイ・モード
では、計算結果が増加の場合には青色で箱
を拡大し、減少の場合には赤色で箱を縮小します(色は変更可)。
これらの動きは、描画エリア下の表示
クリックごとに1時点進む。
加速可。
で操作します。
連続して再生。ダブルクリックで加速。さらに
クリックすると停止。
1時点戻す。
連続して戻す。
ダイナミック・リプレイ・モードを終了するには、通常モードのアイコン
を
クリックします。保存などの操作をする場合に必ず通常モードに戻してから行う
必要がありますので注意してください。(資料:SimTaKN オンライン・ヘルプから引用)
図 1-3-8 では、人口の下の変化箱に GRAPH 関数で「GRAPH([1],100,100)」を作成
しています。
図 3-8 ダイナミック・リプレイ・モードで再現
3.11.人口密度とその影響の計算
次に、人口(蓄積箱:ストック)の計算結果を用いて、ほかの指標(例:人口
密度)に変換する方法(図左)と、そのような指標がフィードバック・ループを
経て人口に影響を及ぼす場合(図右)についてモデルを作成してみましょう。
人口密度は、人口÷面積ですので、定数箱を使って「面積」を作成します。人
口密度の標準化をするために「基準人口密度」を用意します。
ここでは、世界モデルの値を利用します。計算式は次の通りです。
人口密度=人口/面積×基準人口密度
面積=1.35 億k㎡
基準人口密度=26.5
13
人/k㎡
3.12.人口密度と死亡率の関係(関係箱の機能:図表関数)
次に、人口密度が人口に及ぼす影響は色々とあると思います。人口密度が上昇
すると、おそらく最初のうちは人々の接触の回数が増加して出生率が増加するで
しょう。しかし、人口密度があまりにも高くなると伝染病などによる死亡やスト
レスなどによる出生率そのものの低下などが生じてくるものと思われます。これ
らのうち、死亡に与える影響をシミュレーションの中に取り込むことにします。
人口密度と死亡者数の間には死亡率を変化させる「乗数」
(死亡率に掛ける数)が
存在し、乗数は人口密度の値によって変化すると仮定します。この乗数をここで
は「密度死亡率乗数」と呼ぶことにします。
図 3-9 人口密度の作成(左)と人口密度(混雑度)が死亡に与える影響(右)
出生者
数
正
出生率
人口
人口密
度
面積
負
死亡者
数
出生者
数
死亡率
出生率
基準人口
密度
人口
正
人口密
度
負
死亡者
数
死亡率
基準人口
密度
面積
情報(X)
のときの
Yの値
密度死亡率
乗数
「関係の箱」
※2つの項目の関係を
簡潔に図表で表現する箱
Y=f(X)という
関係を自由に描ける。
ここでは密度死亡率乗数
この「密度死亡率乗数」が、どのように変化するであろうかというイメージを
思い描くことは比較的簡単にできると思いますが、それを関数で表現するのは数
学が相当得意でなければできないかもしれません。そのような不便さを解決して
くれるのが「関係箱」が持っている「図表関数」
(グラフ関数、テーブル関数)と
いう機能です。
図 3-10 のように「関係箱」を選択している状態にすると、シートの右側に「デ
ータ入力」が出ます。X軸とY軸の規定値は 0 から 100 です。人口密度からリン
クを作成して人口密度がX軸の値になるようにします。人口密度の値の範囲は 0
~5 ですので、「XMax」には「5」を入力します。「単位」は「人/K ㎡」です。
14
図 3-10 関係箱の機能(密度死亡率乗数)
次はY軸ですが、ここで作成したいグラフは、
「密度死亡率乗数」です。単位を
「%」にして下さい。Y軸の最大値「YMax」に 200 を入力します。これで地球
村の人口密度が 0 から 5 に変化するときに、「密度死亡率乗数」の図表関数を作
成する準備ができました。
データの「間隔」は、データの精度やイメージのしやすさによって決めて下さ
い。ここでは「1」にします。以下は省略も可能ですが、少数桁は「3」、X(人
口密度)の値が、表の「0」よりも小さくなった(「X<表」)場合には「0」、「5」
よりも大きくなった(「表<X」)場合には「160」という値となるように数字を入
力しています。
そして、いよいよ図表関数を作成するために Y 軸値を入力するのですが、人口
密度が「1」のとき、死亡率は標準値になるはずですから、密度死亡率乗数は「1」
になるように、%表示では「100」とします。密度が「0」のときには密度死亡率
乗数も「0」になると考えられますが、密度が「1」に近づくに従ってどのように
変化するかあまり具体的にはイメージできませんので、密度「0」のときに乗数
「90」として密度が「1」以下の時にあまり大きな変化をしないように設定して
みました。
15
密度が「1」を超えると乗数も「100」を超えて増加していきますが、密度が「5」
に近づくと、乗数はもうそれ以上はあまり増加しないという想定で上限を「160」
にしてみました。X軸の値が 0,1,2,3,4,5 と増えるのに従って 90、100、
120、140、150、160 となると想定して、データ入力の右下に数値を入力してく
ださい。もし、あなたが、人口密度「5」のときには 200%というイメージを持っ
ているならば、そのような図表関数を作成してください。ここでの想像力(イマ
ジネーション)と創造力(オリジナリティ)は、モデルの「仮説」として、シミ
ュレーションの際に検証する必要がある重要な箇所になります。
統計データなどが手元に無いときには、おおよその数字を入れておいてくださ
い。もし、数字が分からないときは、XとYの関係のパターンを描いておいてく
ださい。その方法は、グラフ上で「Enter」キーを押しながら左クリックしてマ
ウスを動かすことで簡単に想像しているパターンを描くことができます。「オヤ
ッ!」と思うことが起きませんでしたか?
まったではありませんか!
グラフの赤い線が自動的に描けてし
変化箱の設定はちょっと面倒ですが、マウスを動か
して思い通りの線が描けるので、いろいろな関数関係を想像して思い描くことが
できるようになります。
X軸値に対応したY軸値の数値を入力する方法は、表(英語のテーブル)を作
成して関数を作成する方法ですので「テーブル関数(表関数)」という呼び名が
適当です。後に示した図(英語のグラフ)上で線を作成して関数を表現する方法
は「グラフ関数(図関数)」という呼び名が適当です。ここでは、これらを総合
して「図表関数」と呼んでいます。
シミュレーション(計算)が実行されると、この図表関数のXの値(ここでは
「人口密度」の値)によって計算されたYの値(ここでは「密度死亡率乗数」の
値)が計算されます。すなわち、情報(X)のときのYの値、Y=f(X)です。
その計算結果をみるために「関係箱」から「変化箱」にリンクを作成して「密度
死亡率乗数」という名称にして下さい。このように「関係箱」の結果を「変化箱」
として明示しておくと、シミュレーションの結果を追跡(トレース)するときに
便利です。このようにして人口密度の影響を「密度死亡率乗数」としてフィード
バックさせることでモデルがダイナミックに変化してきます。
「死亡者数」の変化
箱の中の方程式は次のようになります。
16
[1]*([2]/100)*([3]/100)
[1]:人口、[2]:死亡率、[3]:密度死亡率乗数
以上の手順で、図 1-3-9(右)のモデルが完成します。保存して、計算実行し
て、人口などのシミュレーション結果を確認してみて下さい。同様に、人口密度
が出生者数に及ぼす影響を「密度出生率乗数」としてモデルに加えてみて下さい。
3.13.政策シミュレーション
出生率を低下させる家族計画、一人っ子政策あるいは教育や女性の地位の向上
政策などによって、60 年目以降に出生率が 70%に低下したとすると世界の人口
はどのように変化するでしょうか?
このような仮想の政策をモデルに組み込む最も簡単な方法は、定数箱を用いま
す。図 3-11 のように 0~59 年目までに「1」を入れ、60 年目以降に「0.7」を入
れて、出生者数に掛けて下さい。後は、政策なしのケースの人口を複写して名前
を付け→保存→計算実行→政策ありの人口を複写して名前付け→グラフ作成です。
できましたでしょうか?
図 3-11 出生率低下の政策シミュレーション
3.14.1900 年から 2100 年のモデルに移行
これまではモデルの計算の開始値と終了値を初期設定のまま 0 から 100 までと
してきましたが、世界モデルでは 1900 年から 2100 年となっています。図 1-3-12
の右のように、開始値と終了値を 1900 と 2100 に設定しなおすことで新しい計算
期間でのシミュレーションが可能になります。必ず、全ての箱をクリックして複
写が正常にできているか確認して下さい。
「何が正常か」は次の手順で説明します。
17
3.15.新しい SimTaKN ファイルにモデルを複写
ここでは、モデルを新しい SimTaKN に複写して移行する手順を説明します。
新しく SimTaKN を起動し直すか、左上の「新規」という白紙のアイコンをクリ
ックして新しい SimTaKN のファイルを作成して下さい。開始値と終了値を 1900
と 2100 に設定して、これまで作成してきたファイルのシート上のモデルを複写
します。「編集」で「表示シート全部選択」をクリックして、シート上のモデル
が全て小さな白抜きの四角で範囲指定されたことを確認してください。
(範囲指定
の仕方は、「コメント」と「Font」の間にある四角のアイコンをクリックして、
シート上の範囲指定する場所で左ドラッグする方法もあります。)この状態で、
「複
写」のアイコンをクリックして、新しい SimTaKN ファイルのシートを開いて「貼
り付ける」のアイコンをクリックしてください。図 1-3-12 のように複写できます。
「貼り付ける」をクリックした直後は、複写されたモデルが全て選択されている
状態です。この状態は、全体の位置をずらすのに便利です。位置が良ければ、箱
や文字のないところで左クリックして範囲選択を解除してください。その後、そ
れぞれの箱をクリックして定数箱と関係箱で X 軸を確認してください。
この時点で、蓄積箱や変化箱は、新しい開始値と終了値で計算する前の計算結
果が記憶されているので、途中でグラフがゼロになっていたりします。それは、
計算実行で自動的に修正されるので無視してください。
図 3-12 シミュレーション期間の変更
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3.16.実績データの入力(定数箱による方法)
時間軸が実際の年号にあってきたことで、統計データなどの実績値とモデルを
あわせて実際に近づけることがしやすくなります。
ここでは、定数箱による実績データの入力方法を説明します。
世界の人口は U.N. World Population Prospects (1998)によれば、1900 年には
15.5 億人から 17.5 億人でしたので、16.5 億人とします。100 人の村として考え
ると 1900 年にはたった 16 人しかいなかったということになります。グラフの下
の「1900」の右側に「Y 軸値」という空欄がありますので、そこに「16.5」と入
力して下さい。次のデータは 1950 年の 25.21 億人という実績値です。1950 の欄
が表示されるまで「データ入力」の右側にあるコントロールバーを動かして下さ
い。途中にデータを入力する必要はありません。1950 年の欄が表示されたら、
25.21 と入力してください。その後、すぐ上の何も入力していない欄を一つ左ク
リックしてみてください。
図 3-13 定数箱と実績データの入力
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1900 年から 1950 年までの毎年のデータが自動的に計算されて表示されます。
グラフにも赤い線で表示が出ます。このようにデータの無い箇所は、自動的に線
形補完推計、すなわち直線で結んだ値を表示します。この機能は、例えば、日本
国内の人口統計では「国勢調査」が5年ごとに実施されていますが、そのような
データを入力する際にとても便利です。
同じようにして、2000 年 60.55 億人、2050 年 89.09 億人という推計値が国連
から出ていますので、これらの数値を該当する年次の欄に入力して、同じように
空欄を左クリックしてみてください。
2100 年の予測値は出ていないので、ここでは 100 億人として入力しています。
3.17.実績データ(変化箱による方法=時系列変化図BOTの作成)
関係箱をシート上に作成して、これから考えようとするテーマについて時系列
的な変化、すなわち時間軸を横軸(x軸)にして、主な関心項目がどのように変
化するのか、量的な変化のイメージを作成してください。これまでの過去の実績
や経緯、歴史を物語にしながら現在までのイメージをグラフ化してみてください。
そして、これからの将来に向けた変化のイメージを予想してみてください。
このような統計データや将来予測値、あるいはイメージをもとに作成する図を
システム思考では「時系列変化図(BOT:Behavior Over Time)」といいます。
統計データや将来予測値が無い場合にはイメージで結構です。BOT はいくつ作
成しても結構です。後でシミュレーションを行うときに、予想される結果のイメ
ージにもなります。シミュレーションの結果が、BOT で描いた予想と同じになる
のか、予想どおりでない場合には何をどうすれば変えられるのか、政策シミュレ
ーションにもつながっていきます。
「世界モデル」で、人口の BOT を作成してみて下さい。
図 3-14 に示しているように、データを入力してください。
「データ入力」の X、
Y の規定値は 0 から 100 です。1900 年から 2100 年の時系列変化図のグラフを作
成するためにX軸の最小値「XMin」に「1900」を入力して、
「XMax」に「2100」
を入力してください。「単位」は「年」です。
Y軸は、世界の人口ですので、単位を億人にして下さい。Y軸の最小値「YMin」
は 0、最大値「YMax」は 130 を入力します。これで 100 人の地球村の 1900 年
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から 2100 年の 200 年間にわたる人口の変化を表す BOT を作成する準備ができ
ました。
データの「間隔」は、みなさんが持っているデータの精度によって 1 年間隔で
も 10 年間隔でも、100 年間隔でも結構です。ここでは 50 年間隔ということで、
「50」を入力します。(以下は省略可ですが、少数桁は「2」、X の値が表の 1900
年よりも小さくなった(「X<表」)場合には「16.5」、2100 よりも大きくなった
(「表<X」)場合には「100」という値となるように数字を入力しています。)
-3-14 関係箱と BOT の作成
そして、いよいよ BOT を作成するわけですが、定数箱と同様に Y 軸値を入力
する方法と、既に説明していますがグラフ上で「Enter」キーを押しながら左ク
リックしてマウスを動かす方法と2通りがあります。
BOT ですから、あなたの想像が国連と異なっても構いません。もし、あなたが、
2050 年には 100 億人、2100 年には 50 億人というイメージを持っているならば、
そのような BOT を作成して、そのように想像している理由を書いておいてくだ
さい。ここでの想像力(イマジネーション)と創造力(オリジナリティ)は、シ
ミュレーションの際に貴重な道標(みちしるべ)となります。
このような統計データが無いときには、おおよその数字を入れておいてくださ
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い。もし、数字が分からないときは、変化のパターンを描いておいてください。
グラフ上で「Enter」キーを押しながら左クリックしてマウスを動かして下さい。
BOT を描くときに、設定はちょっと面倒ですが、マウスを動かして思い通りの線
が描けるので、いろいろな想像を思い描くことができるようになります。例えば、
100 人の村の世界の繁栄は?
幸福は?
平和は?
この 100 年間にどうなってきたのだろうか?
だろうか?
平等は?
環境は?・・・
今後 100 年間にどうなっていくの
いろいろなことについて、いろいろなパターンが描けると思います。
最初に「関係箱」のX軸や間隔などを設定してしまえば、その箱を複写すること
で、いくつでも簡単に BOT が描けます。
次に BOT の箱の値が、計算時に正しい計算結果として出るかどうかを確認す
るために、図 1-3-15 のように「変化箱による確認」のための仕掛けを作成してお
きます。
「変化箱」を作成して「関係箱」からリンクを作成してください。関係箱
の値をそのまま表示させるために「式入力」の欄には[1]を入力してください。こ
こで留意すべき点は、
「関係箱」に入力(インプット)がないことです。このよう
に関係箱を用いると入力は自動的に X 軸の値になります。SimTaKN では、X 軸
に時間だけではなく、そのほかの単位を設定して純粋に Y=f(X)という問題を解く
ことも想定していますので、システム・ダイナミックスから少しだけはみ出した
考え方を取り入れています。
この例を、見本の SimTaKN 世界モデルでは「死亡率」で示しています。
【補足】
エクセル・データの読み込み機能は、
「関係箱」のデータだけが読み込み可能で
すので、データを読み込むための「関係箱」を作成して、
「読込」の「全て」と「書
込」の「全て」にチェックをつけて SimTaKN を保存・終了してください。その
時にエクセル・ファイルが同じ名前で同時に保存されます。そのエクセルを開い
て、シート3にあるデータの欄に、別のエクセルで作成しておいた統計データを
複写して下さい。エクセルのファイルを保存してから、SimTaKN のファイルを
起動すると「読込」が実行されていますので試してみてください。
「関係箱」の名称で「※(「こめ」)」印以降は、エクセルのシート1に作成され
る方程式の右辺の項目には表示されませんので、※印以降に統計データの出典な
どを記入しておくと便利です。
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図 3-15 変化箱の作成とリンク
3.18.アンケートの活用(関係箱)
シミュレーションでは、統計データを活用することのほかに、人々の意識をイ
ンタビューやアンケートで取り込んでいくことが、ますます重要になっています。
図 1-3-16 では、混雑度とそれをストレスに感じる人の割合の関係を関係箱で示し
ています。ここでは、ストレスと感じる回答者の累計が 0%から 10%、50%、75%、
90%、100%と得られたという想定です。
アンケートを組み込むことで、モデルが少数の人のイメージだけで構築されて
いるのではなく、多少なりとも客観的なイメージで裏付けされたものとなるので
試してみてください。最初は、30 人、50 人、100 人というような比較的少人数の
アンケートから出発して、どの項目を正確に把握する必要があるのか、シミュレ
ーション結果とも関連づけながら深めて見て下さい。これまで、SimTaKN を用い
たモデリング作業で実験的に行われたアンケートでは、ゴミ有料化によるゴミの
減量効果や、四万十川の体験ツアーの参加料と参加人数の関係などがあります。
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図 3-16 関係箱とアンケート
3.19.レポート化(シート画像のコピー)
ワードに画像を取り込んでレポートを作成する方法を紹介します。SimTaKN
のシート上で右クリックをして「クリップボードへシート画像コピー」を選択し
てください。次にワード上で右クリックして「貼り付け」を選択してください。
図 3-17 レポートへのシート画像のコピー
人口
(政策なし)
人口政策
出生者
正
数
人口
負
死亡者
数
死亡率
出生率
人口密
度
面積
基準人口
密度
人口
(政策あり)
情報(X)
のときの
Yの値
密度死亡率
乗数
「関係の箱」
※2つの項目の関係を
簡潔に図表で表現する箱
Y=f(X)という
関係を自由に描ける。
ここでは密度死亡率乗数
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政策なし
政策あり
3.20.SimTaKN のアイコン
これまでの説明では、右側の4つのアイコンを説明してきました。
SimTaKN のシミュレーションで使うアイコンの残りは左側の3つです。
①「時の移動箱」は遅れを作り出します。遅延回数に遅れる期間を入力します。
例えば、2 と入力すると、2 年(あるいは日、週、月・・・)分だけ情報が伝わ
るのを遅くします。その間にこの箱から出る情報は初期値で入力した値です。
②「場の移動箱」は、直前の箱の値を他の場所にコピーする機能です。移したい
箱の近くに「場の移動箱」を作成して、リンクを行い、もう一度「場の移動箱」
をクリックすると同じ箱の名称が現れます。これで、シートの離れた場所や別の
シートに移動する準備ができます。
③「場の受け箱」は、「場の移動箱」から箱の値を受けとる機能です。同じシー
トでも別のシートでも可能です。「場の受け箱」を作成して「値の選択」から移
動したい箱を選択してください。複数の「場の移動箱」を作成しているときは、
文字通り選択が必要です。場を移動してきた値がそのシート上でも確認できるよ
うに変化箱を作成してリンクしておくと確認作業の時に便利です。
図 3-18 アイコンの種類と機能
変化する値が入る「変化箱」
タイミングを変える「時の移動箱」
(パラメーター、補助変数、レイトなど)
(遅れ関数、ディレイなど)
予め決めた値が入る「定数箱」
直前の箱の値を他の場所にコピーす
(統計データ、など)
る「場の移動箱」 (シートの離れた場
所や別のシートに移動)
貯めた値が入る「蓄積箱」
「場の移動箱」から箱の値を受けとる
(レベル、ストックなど)
「場の受け箱」
図表による値の変換を変化する「関係
箱」(テーブル関数、グラフ関数など)
(資料:SimTaKN オンライン・ヘルプから引用)
以上が、SimTaKN の 60 分速習コースです。60 分で速習できたでしょうか?
パソコンの習熟度によって個人差はありますが、慣れてくれば「簡単で人にやさ
しい便利な思考の補助ソフトである。」と思って頂けるものと期待しております。
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【補足】SimTaKN(シムタくん)関数の種類と使い方
1.関数の種類:式の入力での指定内容 説明
+ 加算
- 減算 * 乗算 / 除算 ^ べき乗 (
XVAL 時間軸 X の値
カッコ始め ) カッコ終わり
MOD ( X , Y ) X / Y の余り
IFGT(比較値1,比較値2,>時の値,<=時の値)
もし「比較値1」>「比較値2」ならば「>時の値」、さもなくば 「<=時の値」をセット
IFGE(比較値1,比較値2,>=時の値,<時の値)
もし「比較値1」>=「比較値2」ならば「>=時の値」、さもなくば 「<時の値」をセット
IFLT(比較値1,比較値2,<時の値,>=時の値)
もし「比較値1」<「比較値2」ならば「<時の値」、さもなくば 「>=時の値」をセット
IFLE(比較値1,比較値2,<=時の値,>)
もし「比較値1」<=「比較値2」ならば「<=時の値」、さもなくば 「>時の値」をセット
IFEQ(比較値1,比較値2,=時の値,not=時の値)
もし「比較値1」=「比較値2」ならば「=時の値」、さもなくば 「not=時の値」をセット
IFGEL(比較値1,比較値2,>時の値,=時の値,<時の値)
もし「比較値1」>「比較値2」ならば「>時の値」、「比較値1」=「比較値2」ならば「=時の値」、
「比較値1」<「比較値2」ならば「<時の値」をセット
OWN すでにセットされた値を使用
[n]DY 「変化する値」「蓄積される値」の増減値
SUM(...) 合計 SUM(1,2,3), SUM(1) AVERAGE(...) 平均 STDEV(...) 標準偏差
ABS(値) 絶対値
SIN(値) sin
COS(値) cos TAN(値) tan ASIN(値)arcsin ACOS(値) arccos ATAN(値)
arctan ATAN2(値, 値) atan2(y, x)
EXP(値) e(自然対数の底)の X 乗 MAX(...) 最大値 MIN(...) 最小値 SQRT(値) 平方根
LOG(値) 自然対数 LOG10(値)
10 を底とする対数 SINH(値) sinh COSH(値) cosh
TANH(値) tanh
RANDOM(値)
乱数(0<=N<値,値=0 のとき、 0 <= X < 1 の範囲にある実数型の乱数)
RANDG(平均,標準偏差) 正規分布乱数
GRAPH(...,幅,高さ)
PI 3.14159265358979323846
ダイナミックリプレイ時の動的グラフ表示用関数
この箱にリンクした最大6つの箱のグラフを作成、GRAPH([1],120,120)と指定すると[1]の箱の
グラフ線だけを動的に 120x120 ピクセルサイズの解像度で合成。
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2.関数の使い方:下記の「値の選択」欄の表示を例に説明します。
例1.もし、「[1] テスト」の値が「[2] 既定値」より大きければ、「[1] テスト」を、さもなくば「[2] 既
定値」をセットする
IFGT([1],[2],[1],[2])
例2.もし、「[1] テスト」の値が「[2] 既定値」より大きければ、「[1] テスト」を、さもなくば「100」
をセットする
IFGT([1],[2],[1],100)
例3.もし、「[1] テスト」の値が 0 以外ならば、「[2] 既定値」÷「[1] テスト」を、さもなくば「0」を
セットする
IFGT(ABS([1]),0,[2]/[1],0)
例4.y=ax+b の方程式のように、「[1] テスト」の値に時間軸xの値を掛け、[2] 既定値」を加える
[1]*XVAL+[2]
例4.時間軸xを日として、週の曜日に対応する 1~7 の値を求める
例5.「[1] テスト」か「[2] 既定値」のいずれか大きい方の値を求める
例6.「[1] テスト」の増減値を求める
MOD(XVAL,7)+1
MAX([1],[2])
[1]DY
資料:SimTaKN オンライン・ヘルプから引用
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