ボイラー技士(2級)テキスト目次 ボイラーの構造 制御機器

ようこそ。立ち読みコーナーにおいでいただきありがとうございます。テキストの「ボイラーの取扱
い」の最初の部分をご紹介します。文字ばかりで、一見してとっつきにくい印象を持たれるかもしれま
せんが、試験勉強ですからマンガ本のようにはいきません。絵やイラストがあれば、分かりやすいかと
いうと、必ずしもそうとは限りません。皆さんがご自身でアンダーラインを引いたり、蛍光ペンでチェ
ックすることによって、少しずつ暗記ができるのです。過去問をご覧ください。ほとんどが、条文の引
き写しです。意味を解釈する必要もないので、試験は比較的簡単です。ただ、暗記しなければならない
事項がたくさんあるので、一夜漬けでは合格できません。どうぞこのテキストをフルに活用されて、合
格できますよう祈念します。なお、本テキストの姉妹編である「ボイラー(1級)受験大全」の立ち読
みコーナーでは、「ボイラーの構造」の最初の部分をご紹介しております。こちらもぜひご覧になって
ください。
最後に一言、大学受験は、ダメな者はいくら勉強してもダメですが、ボイラーの試験はそのようなこ
とはありません。しっかりと勉強した者は全員が必ず合格できるのです。
ボイラー技士(2級)テキスト目次
◆ボイラーの構造
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ボイラーとは……………………………6
ボイラーの分類…………………………6
丸ボイラー………………………………7
立てボイラー……………………………9
水管ボイラー……………………………9
貫流ボイラー……………………………10
鋳鉄製ボイラー…………………………12
胴、炉筒、ステー、マンホール………14
管、管寄せ………………………………17
燃焼室……………………………………17
重油燃焼装置……………………………18
送気装置…………………………………20
給水ポンプ、インゼクタなど…………23
吹出し装量………………………………27
通風装置…………………………………29
過熱器、エコノマイザなど……………32
すす吹き(スートブロー)……………34
◆制御機器
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水面測定装置……………………………35
圧力計……………………………………38
安全弁……………………………………38
流量計……………………………………41
通風計……………………………………41
自動制御…………………………………42
蒸気圧力制御装置………………………43
水位制御装置……………………………44
燃焼安全装置……………………………45
温水ボイラー特有の付属品……………46
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◆ボイラーの取扱い
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水圧試験…………………………………48
ボイラーの使用開始前の点検…………49
点火操作…………………………………49
運転中の点検……………………………51
運転中の障害と対策……………………53
運転停止…………………………………56
ボイラーの清掃…………………………57
使用休止の措置…………………………58
ボイラーに入るときの注意……………58
ボイラー水の不純物……………………59
腐食について……………………………60
ボイラー清缶剤…………………………62
◆関連知識
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重油………………………………………63
気体燃料…………………………………65
石炭………………………………………68
大気汚染…………………………………71
物理・化学の基礎………………………72
◆ボイラー及び圧力容器安全規則……81
◆ボイラー構造規格…………………………97
-2-
◆ボイラーの取扱い
◆1
水圧試験
★ボイラーを製造したときは、ボイラーの安全性を確認するために水圧試験を行い、ボイラーの異常や変
形、耐圧力を調べる。
●水圧試験の方法
・ボイラー内を満水にする。空気抜き弁は開放してボイラー内の空気を追い出し、満水状態で弁を閉じ
る。
・水圧試験に用いる水は室温とする。
・安全弁は作動しないように、フランジに板を当てて遮断する。
・水圧試験用のポンプを用意して、ポンプ側には圧力計を取付ける。ボイラー圧力とポンプ側圧力を比
較しながら、圧力をゆっくり上昇させる。
・最高使用圧力又は常用圧力より10%程度高い水圧にし、30分間保持する。この間に圧力の降下が
なければ、正常である。
・密閉箇所、弁等の閉止部に漏れがないことを目視で確認する。
・水圧試験が終了したら、徐々に圧力を下げる。空気抜き弁を開放し、ボイラー水を排水し、常用水位
に保つ。
*フランジとは、下記のつばの部分をいう。ボルトを外せば管を切断することなしに分割することができ
る。
《1》設置されているボイラーに対して行う水圧試験の方法に関し、次のうち誤っているものはどれか。
1 ボイラーを満水状態にするときは、空気抜き用止め弁を開いたまま水を張り、オーバーフローを認め
てから空気抜き用止め弁を閉止する。
2 ばね安全弁は、ばねを締めつけることにより弁座接触部を締め付け密閉する。
3 水圧試験に用いる水の温度は室温を標準とする。
4 水圧試験用のポンプを用意し、ポンプ側の圧力計の指示値とボイラーの圧力計の指示値とを比較しな
がら圧力を徐々に上昇させる。
5 所定の圧力に達した後、約30分間保持し、圧力の降下の有無を確かめる。
【問題解答】
《1》2
2は、水圧試験は、常用圧力よりも高い圧力をかけるので、何も手当てをしなければ安全弁が作動
する。しかし、
「ばねを締めつけることにより」作動しないようにしてはいけない。フランジに板を
当てて遮断する。
-3-
◆2
ボイラーの使用開始前の点検
●使用開始前の点検
水の張込み
・空気抜き弁を開いたまま給水する。
・水位上昇中に低水位警報器や低水位燃料遮断弁の作動の確認をする。
使用前の弁の位置 開状態
・圧力計のコック
・ガラス水面計の水コック、蒸気コック
・胴の空気抜き弁
閉状態
・ガラス水面計のドレンコック
・吹出し弁
・主蒸気弁
《1》ボイラーをたき始めるときの各種の弁、コックの開閉について、誤っているものは次のうちどれか。
1 主蒸気止め弁……閉
2 水面計とボイラー間の連絡管の弁、コック……開
3 胴の空気抜き弁………………閉
4 吹出し弁、吹出しコック……閉
5 圧力計のコック………………開
【問題解答】
《1》3
◆3
点火操作
●点火の順序
一般的な点火の順 ・ダンパを全開にする。
序
・通風機を動かし、燃焼室、煙道の内部を換気し、未燃ガスを排出する。(プレパ
ージという) 自然換気の場合には特に念を入れて換気する。
・点火装置を作動させる。
・燃料遮断弁を全開し、主バーナに点火する。
・火炎検出器により主バーナの点火を確認する。
・点火装置を停止する。
油だきボイラーの ・各スイッチが自動側にあること確認する。
自動点火
・表示灯の点減に注意し、シーケンスが正常に進行していることを確認する。
・不着火、シーケンスの異常のときは直ちに停止する。異常の修復をしないで、手
動で点火してはならない。
油だきボイラーの ・ダンパを全開にする。
手動点火
・通風機を動かし、燃焼室、煙道の内部を換気し、未燃ガスを排出する。
・点火棒に点火し、これをバーナの先端のやや前方下部に置く。
・バーナを起動状態にする。
・噴霧用蒸気を使用する場合は、蒸気を噴射する。
・燃料弁を開いて重油を噴射し、バーナに着火させる。
・燃焼状態が良好であれば、点火棒を抜き取る。
・燃料の噴霧量は当該バーナの低燃焼量とする。
・バーナが2基以上あるときは、別々に点火する。
・バーナが上下にあるときは下から点火する。
・制限時間内(2~5秒間)に着火しないときは、燃料弁を閉じ点火操作を打切る。
-4-
★炉内で異常な高燃焼が生じたとき、火炎がたき口側に噴出する現象を「逆火」
(フラッシュバック)とい
う。着火時、未燃焼ガスの残留が多いときに起こりやすい。その他、逆火の原因は次のとおりである。
●逆火の原因
・油弁を急開し一気に多量の燃料油を噴霧させた。
・着火が非常に遅れた。
・煙道ダンパを絞りすぎた。
・燃料油を噴霧後に点火用火種を入れた。
・噴霧媒体の蒸気のドレンを排除しないで噴射した。
・2基のバーナを同時に点火した。
・ダンパを閉じたまま点火した。
《1》点火前に燃焼室及び煙道の内部を十分に換気しなければならない主な理由として、正しいものは次のう
ちどれか。
1 燃料の着火をよくするため。
2 高い空気比で燃焼させるため。
3 煙道を乾燥し、通風をよくするため。
4 ガス爆発を防止するため。
5 通風力を点検するため。
《2》空気噴霧式バーナを使用する油だきボイラーの手動操作による点火順序として、正しい順番になるよう
並べなさい。
(A)燃料油弁を開く。
(B)噴霧空気用バルブを開く。
(C)煙道ダンパを開く。
(D)点火用火種をバーナの先端に近づける。
《3》油だきボイラーの手動操作による点火方法に関し、次のうち誤っているものはどれか。
1 ファンを運転し、ダンパをプレパージの位置に設定し換気した後、ダンパを点火位置に設定し、炉内
通風圧を調節する。
2 点火棒に点火し、炉内に差し込み、バーナの先端のやや前方下部に置いて、燃料弁を開き、バーナに
点火する。
3 バーナが上下に2基配置されている場合は、上方のバーナから点火する。
4 バーナは、一般に低燃焼域で点火する。
5 燃料の種類及び燃焼室熱負荷の大小に応じて、燃料弁を開いてから2~5秒間の点火制限時間内に着
火させる。
《4》油だきボイラーの点火時に逆火が発生する原因として、誤っているものは次のうちどれか。
1 炉内の通風力が不足していた。
2 点火の際に着火遅れが生じた。
3 点火用バーナの燃料の圧力が低下していた。
4 燃料より先に空気を供給した。
5 複数のバーナを有するボイラーで、燃焼中のバーナの火炎を利用して、次のバーナに点火した。
《5》ボイラーのたき始めに燃焼量を急激に増してはならない理由として、適切なものは次のうちどれか。
1 過熱器の高温腐食を起こさないため。
2 燃焼装置のベーパーロックを起こさないため。
3 スートファイヤを起こさないため。
4 火炎の振動を起こさないため。
5 ボイラー本体の不同膨張を起こさないため。
【問題解答】
《1》4
4は、未燃ガスが残っているとガス爆発のおそれがあるからである。
《2》
(C)→(D)→(B)→(A)
《3》3
《4》4
-5-
《5》5
2:ベーパーロック(vapor lock)とは、配管内の燃料に気泡が生じて、圧力が伝わりにくくなる現
象である。
3:スートファイヤとは、エコノマイザーに付着した煤(スート)が発火し長時間燃える現象であ
る。
◆4
運転中の点検
●点検事項
蒸気発生後
送気操作
送気直後の点検
蒸気圧力の調整
給水方法
燃焼の調節
・空気抜き弁から蒸気が発生したのを確認したら、弁を閉じる。
・マンホールのふたや弁などガスケット(漏れを防止するため、接触面に挟み込ん
で使用するパッキンのこと)を用いて締めている箇所は増し締めする。
・給水装置の運転を行い、給水装置、給水弁、給水逆止め弁を点検する。
・2組の水面計の水位が同じであることを確認する。
・吹出しを行い、吹出し弁、吹出しコックの機能の確認をする。(ボイラーのたき
始めは水が膨張して水位が上昇するので、吹出し装置の機能試験を兼ねて吹出し
を行うのである。吹出しにより常用水位を保持する。)
・吹出し管からボイラー水の漏れがないことを確認する。
・ドレン抜き弁を全開し、主蒸気弁を少し開く。
・ドレン抜き弁から蒸気のみ吹出したら弁を閉じる。
・枝蒸気管の弁を開き、蒸気を少しずつ送気する。
(暖管)
・主蒸気弁は段階的に徐々に開いていき、全開になったら少し戻す。
・圧力計を見ながら燃焼量を調節する。
・水面計の水位の変動に注意する。
・自動制御装置の異常の有無の点検。
・蒸気圧力は常に一定に保つように、負荷変動に応じて燃焼量を調節する。
・圧力計を監視し異常昇圧を防止する。
・圧力計の動きが異常なときは圧力計を交換する。
・安全弁が作動したら、設定値どおりで作動したことを確認し、低燃焼量となるよ
うに調節する。
・ボイラーの蒸発量に応じて給水する。
・水位はなるべく常用水位に一定に保つ。
・負荷が増大したら燃焼量を大きくする。
・燃焼量の調節は急激に行わない。
・燃焼量を増すときは通風量を先に増し、減らすときは燃料を先に減らす。
・加圧燃焼では通風圧力を適当に保つ。
●炎について
炎の色
・空気が多い:炎は短炎、輝白色で炉内は明るい。(炎が短いのは、空気に吹き流
されているからである。
)
・空気が少ない:炎は暗赤色で煙が多く、炉内は暗い。
(不完全燃焼の状態)
・空気は適量:炎は薄い橙色で、炉内は明るく見通しがきく。
(完全燃焼の状態)
火炎に火花が発生 ・通風の過剰
する原因
・バーナの調節不良
・燃料油の温度の不適正
・燃料油の圧力の不適正
・噴霧媒体の圧力の不適正
《1》ボイラーの圧力上昇時の取扱いに関し、次のうち誤っているものはどれか。
1 たき始めは、急速に燃焼量を増してはならない。
2 冷たい水からたき始める場合は、一般に低圧ボイラーでは最低1~2時間をかけ所定の蒸気圧力まで
上昇させる。
-6-
3
4
5
蒸気が発生し始め、白色の蒸気の放出を確認してから空気抜き弁を閉じる。
たき始めると、ボイラーの膨張によりボイラー水位が降下するので給水を行う。
圧力計の指針の動きが円滑でなく機能に疑いがあるときは、圧力計の下部コックを閉めて予備の圧力
計と取替える。
《2》油だきボイラーの燃焼の維持、調節に関し、次のうち誤っているものはどれか。
1 不必要な空気の炉内侵入を防止し、炉内を高温に保つ。
2 加圧燃焼では、断熱材やケーシングの損傷、燃焼ガスの漏出を防止する。
3 燃焼量を増すときは空気量を先に増し、燃焼量を減ずるときは、燃料の供給量を先に減少させる。
4 空気量が適量である場合には、炎は薄い橙色で、炉内の見通しがきく。
5 火炎に火花が生じた場合には、通風を強くする。
《3》ボイラーの燃焼の維持、調節に関し、次のうち誤っているものはどれか。
1 ボイラーの圧力を常に一定に保つように負荷の変動に応じて、燃焼量を増減する。
2 燃焼量を増すときは燃焼用空気量を先に増し、燃焼量を減ずるときは燃料の供給量を先に減少させる。
3 燃焼用空気量の過不足は、燃焼ガス中の NO2、NO 又は N2の計測値により判断する。
4 炎が短く、輝白色で炉内が明るい場合は、燃焼用空気量を少なくする。
5 加圧燃焼においては、断熱材やケーシングの損傷、燃焼ガスの漏出の防止に特に留意する。
《4》ボイラーの圧力上昇時の取扱いについて、次のうち誤っているものはどれか。
1 ボイラーのたき始めは、燃焼量を急速に増してはならない。
2 低圧ボイラーを冷たい水からたき始める場合には、一般に最低1~2時間をかけ、徐々にたき上げる。
3 蒸気が発生し始め、白色の蒸気の放出を確認してから、空気抜き弁を閉じる。
4 ボイラーをたき始めると、ボイラー本体の膨張により水位が降下するので直ちに給水を行う。
5 整備した直後の使用始めのボイラーでは、マンホール、掃除穴などのふた取付け部は漏れの有無にか
かわらず昇圧中及び昇圧後に増し締めをする。
《5》重油燃焼の火炎に火花が生じる原因として、次のうち誤っているものはどれか。
1 通風の不足
2 バーナの調節不良
3 燃料油の温度の不適正
4 燃料油の圧力の不適正
5 噴霧媒体の圧力の不適正
【問題解答】
《1》4
4は、たき始めると、
「水の膨張によりボイラー水位が上昇するので吹出しを行う」、が正しい。
《2》5
5は、火炎に火花が生じた場合には、通風を「弱くする」、が正しい。
《3》3
3は、過不足の判断は、燃焼ガス中の「CO2、CO 又は O2」の計測値により判断する、が正しい。
「関連知識」の章の「5 物理・化学の基礎」にて、勉強する。
《4》4
《5》1
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