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福祉実践学科ニュースレター
Starboard
明星大学福祉実践学科ニュースレター
す。けれどもその
間に学んだこと
卒業生に向けて
がら、得た知識、
福祉実践学科教職員より
そして知り合え
た仲間たちとの
加藤 めぐみ
友情は皆さんの
2 期生の皆さん、卒業おめでとうございます。
人生にとってと
皆さんが入学したとき、
「ずいぶん賑やかな学年!」 て も 意 義 の あ る
という印象で実は少々心配でしたが、1 期生を盛
大切なものです。それを胸に、社会人としてご活
り立ててくれる元気な 2 期生として、いろいろな
場面で活躍してくれましたね。この 4 年間を振り
返ってみると、皆さんの成長ぶりがとても感じら
2015 年 3 月 20 日発行
No.
れます。大学時代はあっという間だったと思いま
10
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福祉実践学科ニュースレター
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躍ください。皆さんを本学科の学生として迎え、
共に歩み、そして送り出すことは私たちにとって
誇りであり喜びです。どうぞお元気で。
横倉 三郎
ご卒業おめでと
うございます。
みなさんは、福祉
職を目指してここ
に集まり、今日この
学科から巣だって
いきます。みんなに
とって、
「福祉」を学んだ毎日は、悩んで・考えて・
泣いて・笑っての 4 年間だと思います。
社会に出れば大学で過ごした時以上に、“仕事”
について、”自分”について悩み、苦しむこともあ
ります。みんなには、輝くダイヤが隠されていま
す。必ず磨けば光ります。それぞれの社会で磨き
つづけてください。また、磨き途中の姿を時々、
見せに来てください。
垣内 国光
いっぱいはらは
らさせてくれまし
た。手がかかって大
変なゼミだったけ
れど、いざ卒業とな
ると淋しいです。こ
んな先生だったの
に、最後まで見放さずにつきあってくれてありが
とう。これからの人生大変なことの連続だと思う
けど、みんなならがんばれるはず。問題解決でき
なくても支援を必要とする方たちの気持ちに寄り
添い続けてね。そして、カキちゃんのことも忘れ
ないでね。卒業おめでとう!
吉川 かおり
晴れて卒業式を迎
えられた皆様、おめ
でとうございます!
明星大学福祉実践学
科という場で、どの
ような人と出会い、
時間を共にし意見を
交わし、成長してき
たでしょうか。出会いがあれば別れがあり、また
次の出会いがあります。社会人としての新たな出
会いに向かって、これまでに培ってきた力や経験
を糧に、はばたいていって下さい。時には、古巣
に帰ってあれこれ報告するのも、アリですよ♪
馬場 康彦
卒業おめでとう
ございます。入学と
同 時に みんな と一
緒 にワ イワイ 楽し
んだ「フレッシュマ
ンキャンプ」、車い
す 体験 や測量 をし
た「地域ニーズ開発」、そして「ゼミ合宿」、
「卒論
発表会」など様々な体験をして福祉を実践的に学
んできました。これは君たちにとってとても大き
な財産となっているはずです。社会に出てもこの
財産に誇りと自信を持ってください。そして、君
たちが目指す夢を実現させてください。この明星
大学の福祉実践学科で学んできた君たちなら、き
っとできるはずです。
浅井 正行
社会へ旅立つ皆さ
んへ。とうとう卒業
の時がやってきまし
た。福祉実践学科の
第 2 期生として皆さ
んが入学してきた 4
年前のことは、今で
も良く覚えています。学科の 1 年上の先輩たちが
初めて企画・運営したフレッシュマンキャンプに
参加したのが皆さんでした。メインイベントの「出
し物」発表会では、劇やダンスで盛り上がったク
ラスがある中、どうしても最後の最後までまとま
り切れずに、窮地の策として“合唱”で何とか切
り抜けたクラスもありました。
私自身、グループで一つのことを成し遂げるこ
山井 理恵
長いようで短い
大学生活。みなさん
にとっては、人とし
て、最も著しく成長
した年月ではない
でしょうか。明星大
学の福祉実践学科
で多くの友人と語らい、共に過ごし、本当に貴重
な日々だったことと思います。これからも、福祉
実践学科で過ごした大学生活を忘れずに、心にと
どめてください。
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との難しさを改めて実感したと共に、皆さんたち
に対しては、入学のしょっぱなから、大きな試練
を与えてしまった、と申し訳なく思っていました。
そのように出端をくじかれるような思いをしなが
らも、皆さん、大学生活 4 年間で本当に、立派に、
マチュアになってくれました。
皆さんは、私にとって大きな自慢です。そして
何より皆さん自身が、この「4 年間」のキャンパ
スライフを、大いに誇りに思ってください。
皆さんは社会に出てからも、この 4 年間の大き
な積み重ねがありますので、きっと何事にも立ち
向っていけることでしょう。皆さんの活躍を今か
ら楽しみにしています。
妹尾 和美
まずはご卒業おめ
でとうございます。4
年間の学生生活、と
ことん楽しみました
か?
学業のみならず、
実習・ボランティア
活動・新しい友人関係づくりなど、みなさん数え
きれないほど、様々な思い出ができと思います。
特に迷い悩んだことは苦しかったかもしれません
が、皆さんを大きく成長させたことと思います。
これからは社会人として活躍するみなさんへ、心
よりエールを送ります。
くのですね。たくさん一緒に笑い、驚き、悩み、
学びました。さびしいけれど卒業おめでとうござ
います。これからはいろいろなところで、明星の
福祉人として輝いてください。そして後輩たちを
明るく照らしてください。
在校生送辞
代表
小森
磨美
寒さもようやく緩みは
じめ、春らしくなった今
日この頃となりました。4
年生の皆様、本日はご卒
業誠におめでとうござい
ます。在校生を代表し、
心より御祝いを申し上げ
ます。
4 年間、皆様が明星大
学人文学部福祉実践学科
で過ごした日々は、とて
「フィジーより」
もかけがえのないものに
なったと思います。授業や行事を通して、先生方
や仲間と共に笑い、共に悲しみ、共に喜び、共に
悩み、共に乗り越え、共に分かち合う、この関係
が出来たのも少人数クラスの福祉実践学科だった
からこそではないでしょうか。
私は皆様と同じ年に入学をし、3 年次まで共に
過ごさせて頂きました。今こうやって皆様と共に
過ごした日々を振り返りますと、毎日がとても楽
しく充実しておりました。学科全体での 1 番の思
い出は、やはり学科最大のイベント 1 年次のフレ
ッシュマンキャンプです。
出会って数ヶ月のまだ緊張が残る時期に仲間と
学校の外に出て 1 泊 2 日。行きのバスでは交流を
したことがない人とペアになり、会話を続けるこ
とでさえやっとでした。そのような中でも、先輩
方が考案されたゲームや肝試しを通じて私たちの
藤井常文
皆さん、卒業お
めでとう。4年間
の学業、よくがん
ばりました。
いよいよ、これ
から長い職業生
活が始まります。
覚悟はできていますか。自覚はできていますか。
あなたが選び取った仕事です。厳しい場面に遭う
ことが少なからずあると思います。でも、我慢で
す。まず3年はへばりついてやってください。そ
うすれば、先が見えてくると思います。期待して
いますからね。
実習指導室 中條 共子・末松 恵
実習ではハラハラドキドキした3年生たちが、
4年生になるとたちまち良識ある先輩に変身し、
今日ついに、たくましい大人となって巣立ってい
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緊張は自然とほどけていきました。
そして夜には出し物発表会。ここでは、まだグ
ループとしてのまとまりがないながらも授業外の
空いている時間を使って皆で一生懸命練習をした
歌や踊り、劇をお互いに発表しあい、その成果を、
皆で笑い転げながら楽しんで見ることができまし
た。その後は新しく出来た友達たちとの夜通しで
の交流を楽しみました。
さらに 2 日目のディスカッションでは脳死とい
う重いテーマについて仲間と真剣に考え、討論し
ました。この経験を通して、私たちは友達の輪を
広げることができ、仲間と協力することの大切さ
を教わりました。出身地や目指すゴールが互いに
違う中で、私はこの仲間との出会いとつながり、
そして生まれた友情に、誇りと、また幸せを感じ、
何にも代えがたいものを得たと思っています。
さてこれから皆様は社会という大学とは違う、
新しい道へと進んで行きます。きっと今皆様は心
に希望と夢を抱いてこの門出の席にいらっしゃる
ことと思います。どうか学生生活で学んだことを
活かして新たな世界でもその希望と夢を絶やさず、
ご活躍ください。私たち在校生も本学科の素晴ら
しい伝統を守り続け、残りの学生生活に悔いを残
さぬよう一層努力致します。また卒業後も時には
母校を訪ね、元気な顔と共に、私たち在校生を励
ましつつ、ここで得た仲間との友情も絶やさぬも
のとしてください。
最後にこれまで皆様が良き先輩として、後輩た
ちを導き、励ましてくださったことに心から感謝
の意を表し、皆様の今後のご健康とご活躍を心か
らお祈りしつつ、在校生一同心より御祝い申し上
げて、卒業される皆様への送辞とさせていただき
ます。
優秀発表賞受賞
福祉実践学科4年 内藤
潤
平成 26 年 11 月 29 日
に 岩手 大学で 開催さ
れ た日 本福祉 工学会
第 18 回学術講演会に
おいて、本学科 4 年内
藤潤が「1/f ゆらぎの
真 相- 好みの 音楽と
心拍ゆらぎ分析-」の
タ イト ルで研 究報告
を行い、研究テーマ・
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研究内容・プレゼンテーションの総合評価により
優秀発表賞を受賞いました。
音楽の 1/f ゆらぎに関する先行研究では、これ
まで「クラシック音楽は典型的な 1/f ゆらぎ特性
を有する」との報告が多く行われてきました。昨
年卒業した粕谷幸代らは、音楽の 1/f ゆらぎ特性
についてジャンル別に楽曲全体のみならず、楽曲
のフレーズからも詳細に解析し、先行研究を支持
する結果が得られなかったこと、また、ポップス
はクラシックの楽曲に比べて、1/f ゆらぎ特性を多
く有していることを認めました。これについては、
日本福祉工学会第 16 回学術講演論文『音楽の 1/f
ゆらぎが情緒に及ぼす可能性』において報告して
います。横倉らは五輪・世界陸上女子マラソンメ
ダリストを対象に、競技直前に好んで聴取した楽
曲が極めて音楽の 1/f ゆらぎに近似し、その聴取
は情緒にポジティブな効果の可能性を示唆すると
の報告をしています。
内藤潤は、さらに好みの音楽聴取による心拍変
動(心拍ゆらぎ)への影響について興味を持ちそ
の解明を試みました。その結果は、好みの音楽の
ゆらぎ特性と心拍ゆらぎ特性の同調関係の現象が
認められ、その相関関係が高い可能性が示唆され
た報告を行いました。
文責 福祉実践学科 横倉三郎
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養育家庭体験発表会に参加して
福祉実践学科 3 年 藤田 彩奈
私は昨年の 11 月 20
日、ゼミの仲間と八王
子市子ども家庭支援セ
ンター主催の養育家庭
講演会を聞きに行きま
した。皆さんは養育家
庭とはどのような機能
を果たしているのかご
存知でしょうか。私は
恥ずかしながら詳しく
は知りませんでした。
里親というと「養子縁組」を想像される方は多い
でしょう。里親といっても種類が複数ありますが、
今回は養子縁組を目的とせずに、一定期間子ども
を養育する家庭の「ホットファミリー」の里親・
里子のお話でした。涙が出てしまいそうなくらい
とても感動する内容でした。
里子さんのお話は、小学校のとき、名字が違う、
両親と顔が似てないなどの理由で酷いいじめにあ
った辛い体験でした。学校から帰って来た里子さ
んの話を聞き、里親の坂本さんが学校へ相談した
そうです。真摯に向き合っているからこその行動
であると思い、心打たれました。里親さんにとっ
て里子を養育することの大変さ、血が繋がってい
ないということの壁がどうしても生まれてしまい
ます。それを日々の生活の中で問題に正面から向
かい合い、甘えを受け入れることで血縁を超え、
安心・安全と思える自分の居場所(家族)があると
思えるようになるのです。口頭で言うことは簡単
ですが、ここまでの信頼関係を築くためには長い
時間と労力が必要とされます。大変なことが多く
あったようですが、子どもの成長をそばで見る幸
せは何物にも代えがたい大きな喜びであるそうで
す。
質問タイムがあり、私はフロアから、お話して
下さった里親の坂本さんに、
「毎日の生活の中で絆
を感じた場面・出来事はありますか」と質問させ
て頂きました。坂本さんは「5 歳の子どもに、マ
マは本当のママじゃないよと真実告知をしたとき、
子どもは、血が繋がっていなくてもそれでも僕は
ママが一番好きと答えたことです」と、坂本さん
が沢山の愛情をかけて養育していることが子ども
に伝わっている素敵なエピソードを教えて下さい
ました。他にも「ママが好きと抱きついてくると
-5-
きに絆を感じるかな」ともおっしゃっていました。
以前は、里親という役割が地域社会に理解がさ
れてないという問題がとても深刻だったそうです。
今日では、かなり改善された点も多くあるようで
すが、まだまだ認知度が低いのが現状だそうです。
将来の希望として、里親といったら皆が知ってい
る社会になって欲しいとおっしゃっていました。
里親制度を広げるために私たちには何が出来る
のかと考えると、まず知ること、身の回りの人に
話すことではないでしょうか。
スピーチコンテストを終えて
福祉実践学科 3 年 土田 佳奈
今思えば、あの時の自分が、出場してみようと
よく決断できたと思う。スピーチコンテストに出
てみないかと加藤先生に誘われたが、当初は、実
習が終わってすぐに本番を迎えるということで、
それまでの過程を考えると過酷だと思い出場はや
めておこうと思っていた。しかし私がこの大学に
入学して今までで 1 番頑張ったこと、成し遂げた
ことはあるのかと考えると何もなく、このまま就
活に入り卒業するのは嫌だという気持ちになった。
今しかできないこと、ここで何か成し遂げたいと
いう気持ちがあり、出場することを決意した。だ
が、やはり原稿の準備、練習はとても大変だった。
夏休み中に原稿を仕上げ、インターンシップに行
き、実習の準備を行って、と毎日がめまぐるしく
動いていた。何とか加藤先生の指導もあり実習開
始前に原稿が完成し、残すは練習のみの段階で実
習に入った。そこで私は 1 つだけ自分の中で決意
したことがある。それは、原稿をすべて暗記する
ことだ。原稿ができた段階で膨大な数の英単語が
並んでいる文章を見て、正直頭を抱えたが、原稿
を書き上げて終わりではない、ここから自分は何
を伝えたいのかが重要であると思った。原稿は見
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ても良かったが、それだけでは私が言いたいこと
は伝わらない、聞き手の顔を見て伝えたいと思い、
このたった 1 つだけを自分の中で目標として立て、
時間の合間を縫って練習を行った。
当日にリハーサルを行い、あと数時間後に本番
を迎えるという事実に気づき、委縮してしまわな
いように加藤先生、そして出場する生徒と会話を
していたが、やはり緊張するものである。しかし
せっかくの機会だから、二度とない機会だからと
思い、この緊張感を楽しもう、この雰囲気を楽し
もうと思った。本番を迎え壇上に立つと、周りの
景色がよく見え、こんなにも人の顔がよく見える
のかと思った。本番は声が震えたが、自分が何を
伝えたのかを頭に置きながらスピーチを行った。
そしてスピーチ終了後、一番大きかったのは楽し
かったという気持ちだった。席に着いた途端、や
り切ったという思い、そして一気に安堵と安心感
があり、また次の人のスピーチを見ていた時、さ
っきまであの場所に立っていたと思うと不思議な
気持ちにもなった。出場しようと決意した時、大
変だ、私にできるのかという思いの方が強かった
が、終わってみると出場して良かったと心から思
えることが出来た。あの時出場すると決断できて、
そしてそれが優勝という実を結んで、本当に良か
ったと思う。
着任紹介
福祉実践学科 実習指導員
末松
ったり、バザーをしたり、地域の行事に参加した
りして活動資金を稼ぐ日々でした。その頃共同作
業所は、毎年全国で 300 か所以上も作られ続けて、
(つまり、一日に 1 か所ずつ出来ていったという
訳ですね)、やがて地域に根を張っていったのだろ
うと思います。
今では当たり前になっていることも、先輩たち
によって営々と築かれてきた道があったのだと思
い返しますが、これから当たり前になっていくこ
とは、今はまだ若い、福祉を学ぶ皆さんの手で開
かれていくのだと思います。住民による障害者施
設の建設反対運動もいまだに根強いものがありま
すし、精神障害者の地域移行も口で言うほど簡単
ではないところに福祉の課題の大きさがあり、同
時にやりがいもあるのだと感じています。福祉は
常に理念と現実のジレンマの上に成り立ち、それ
が自分自身への問いにつながっていくのですね。
私自身もこれからも学ぶ者として、みなさんと
一緒に考えたり、悩んだり、悔しがったりして、
共にがんばっていけたらいいなと思っています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
研究室紹介
福祉実践学科 教授 吉川
かおり
吉川ゼミと研究活動について紹介します。
<ゼミについて>
2014 年度は、4年生が男子のみ、3年生が女子
のみという構成でした。
4年生は卒論執筆と社会福祉士国家試験の受験
勉強が主な活動となり、3年生はわりと自由に学
生たちのやりたいことを追及した感じです。夏休
みは、実習のある学生にはそれを中心にし、そう
でない学生には何らかの形で福祉に関連するバイ
ト・ボランティアを体験してくるようにと宿題を
出しました。
以下、3年生の声です。
 前期は海外と日本の福祉について比較検討し
ました。国によって制度等に違いがあり、知
らないことも多くて結構楽しかったです。
 ゼミだから勉強しかやらないのかと思ったら、
お茶飲んだりお菓子食べたりと、女子会みた
いで楽しかった。
 後期には、相談援助実習を終えた学生が実習
報告をしました。障害について学ぶという共
通点があったので、バイトで障害児に関わっ
ている人も含めて、それぞれの体験を共有し
あえる場があって良かったと思いました。
恵
昨年 9 月から、福祉実
践学科の実習指導員とし
て勤務しております、末
松恵と申します。
福祉実践学科で学ぶ学生
の皆さんの、あふれる熱
意と福祉への心意気に毎
日励まされ、奮起を促さ
れながら仕事をさせてい
ただいております。
私はこれまで川崎の知的障害者施設で働き、知
的障害をもつ人たちの支援に携わってきました。
20 年前は、障害を持った人たちは養護学校を卒業
すると昼間働くところも仲間同士で集まる場所も
なく、保護者の方や中学校の先生たちが中心とな
って「作業所づくり運動」を取り組んでいた時期
でした。そうしてできた小さな作業所は、
「無認可
作業所」とか「小規模作業所」などと呼ばれてい
て、私も利用者さんたちと一緒に「ふきん」を縫
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
女子だけなので、言いたいことが言える!貰
い物のお菓子がたくさんある。
 「ピープルファーストの手引き」をもとに、
知的障害者の本人活動について勉強し、本人
主体とは何か、利用者と支援者の関係、名前
の呼び方等について討議しました。
 皆でお菓子を持ち寄って、ハロウィンパーテ
ィー(TDL のお菓子が美味しかった)!
 卒論に向けて、論文の書き方やデータベース
の作り方を習いました。
 一年間、あっという間でした。
「ゼミ」は堅い
イメージがありましたが、女子だけというこ
ともあって、
(先生も含めて)話しやすく、居
心地のいい場所に出会えたと思っています。
教員からの一言:3年ゼミが始まった時はそれ
ぞれがカタイ感じで、どうなることかと思ってい
ましたが、活動していくうちにだんだんと意見を
言えるようになり、自分の思いや体験を人に伝え
ることへの抵抗感がなくなっていく様子が分かり
ました。実習やバイトを通して「ものすごく成長
した」3年生たちでした。いま、それぞれの関心
事を膨らませる形で卒論の題材集めに取り組んで
います。この調子で、4年次を乗り切っていって
ほしいと思います。4年生たちは、在籍が2名だ
けだったせいもあり、ゼミはいろんな意味で「濃
い」時間でした。前期は1眼終了のチャイムと同
時に研究室に入ってきていたのに、論文が行き詰
ってくると、それがだんだん遅くなり…ついに2
眼開始と同時に入室するように(笑)。私にガミガ
ミ言われながらもメゲずに卒論を書きあげ、バイ
トをしながら就職を決め、社会福祉士国家試験の
勉強に邁進し、そのタフさはたいしたものだと感
服しています。
人間社会学科に所属していた時には、障害児者
や高齢者にワクワクする体験を届ける「わくわ
く・デリバリー」というボランティア活動に、ゼ
ミ全員で取り組んでいました。当時私は、シール
式の貼り絵を用いて高齢者の脳血流の増加を検証
するという産学連携研究や、知的障害者に対して
知的機能を補う援助機器を導入し生活変化を検証
するという科学研究費による研究に取り組んでい
たので、2年から4年まで総勢 40 数名いたゼミの
学生にもそれらに参加してもらい、学内での他学
部他学科との連携活動や学外機関との連携活動を
体験する場にもしていたのです。中には、その活
動をもとに卒論を作成したり、研究発表をしたり
する学生もいました。
福祉実践学科になってからは、1ゼミの人数が
少なくなったため(多くて7名)、上記のような大
規模な活動は継続が難しくなり、現在はやってい
ません。
機会があれば、障害者の本人活動や被災地支援、
特例子会社見学など、連れて行ってあげたいとこ
ろはたくさんあるのですが、費用や日程の関係で
学生との調整がつかないことが多いのが残念です。
<研究活動について>
今は、東日本大震災で被災した知的障害者と家
族の生活再建支援について研究を重ねています。
厚生労働省から助成金を頂いた3年間の研究が、
2014 年度で最終年度を迎えました。著名な児童精
神科医や防災関係の専門家と一緒に、時には合宿
での論議もしながらの3年間はとても有意義でし
た。一方で、研究に協力して下さった多くの知的
障害者と家族のために研究成果を還元していくと
いう課題は、これから何年もかけて取り組んでい
くことでもあり、身の引き締まる思いがしていま
す。この研究で見出した、
「こういう変数を持って
いる人は支援度を高くする必要がある」というポ
イントと「避難生活の送り方」指南、「(障害があ
っても)災害時には自分も誰かの役に立とう」と
いう知的障害者への啓発メッセージを盛り込んだ
パンフレットは、これから災害が起こるであろう
地域でも使われる予定です。
2015 年度からは、知的障害者向けの生活再建支
援に関するワークショップ・プログラム開発をし
たいと考えています。会話で自分の思いを伝える
のが苦手な人も、写真や絵カードで伝えることが
できる場合もあります。被災することで、生活の
場を変えざるをえない人もいますが、避難先で暮
らすことへの「思い」は、汲み取ってもらえるこ
とが少ないのが現状です。実際に、原発避難して
3年ゼミはいつでも女子会
(風邪欠3名でこじんまりと)
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福祉実践学科ニュースレター
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いる知的障害者に『ここでの暮らしはどんな気持
ち?』を尋ねたところ、
『涙を流している顔』のマ
ークを選んだ人もいました。『新しい家に住んだ
ら』、『笑っている顔』になれるのだそうです。自
分の気持ちやこれからの生活への思いを何らかの
形で表現し、周囲に分かってもらうことによって、
客体であった生活を主体化していく。その一助と
なるような研究がしたいと思っています。
専門的に言
えば、生活再
建をめぐって
の意思決定支
援・合理的配
慮の在り方研
究ということ
になりますが、
知的障害のあ
る人にかかわ
では、こうしたアメリカにおける約 40 年にわたる
っている私としては、
「限りなく分かりやすく」を
延命治療拒否の歴史的な流れを検証しました。
心がけながら、研究と教育の良い循環作りを目指
本著では、カリフォルニア州のリビングウィ
しています。
ル(アドバンス・ディレクティブ)の書式と共に、
アメリカ法曹協会発行の「ヘルスケア事前計画の
ためのツールキット」を日本語に翻訳して掲載し
著書紹介
ています。また、今後クローズアップされるであ
『アドバンス・ディレクティブ
ろう「心肺蘇生拒否書(DNR)」も掲載しました。
終末期医療の事前指示』
この拒否書は、心拍や呼吸が停止した場合には、
福祉実践学科 准教授 浅井正行
救急隊等による呼吸や心機能を再起動させるため
の医学的処置の実施を望まない、ということを表
日本では、
「尊厳死」を「安楽死」と捉えるとい
明するためのものです。
った誤った認識や、延命治療拒否に関する正確な
さらに本著の後半では、終末期医療のあり方を、
情報の不足などにより、末期病患者の尊厳を守る
さまざまな視点から考察しています。
「人間らしさ」
ためのリビングウィルが未だに認知されていない
を奪ってしまった延命治療、告知の大切さ、
「死の
状況が続いています。リビングウィルは残りごく
教育」の重要性、そして求められる緩和治療とい
わずかな命を人間らしく自然に全うしたいと願う、 った角度から探っています。特に、緩和治療を行
患者の大切な意思表明の手段です。アメリカでは、 うにあたって、とても大切なチームアプローチで
1976 年に生命維持装置拒否の権利が認められて
ある「ホスピス」について深く掘り下げてみまし
以降、さまざまな合憲判決や法律の制定によって
た。
患者の自己決定が広く認められてきました。本著
タイトルについて
Starboard(スターボード)とは「右舷」すなわち船の舵取りをする場所です。このニュースレターが、
学科とご家庭をメッセージボードのように結び、学生の皆さんが未来に向かって進んでいく助けにな
れば、という願いを込めています。
2015 年 3 月 20 日発行
発行:明星大学人文学部福祉実践学科 〒191-8506 東京都日野市程久保 2-1-1
Tel.042-591-5527
Fax. 042-591-5489 (人文学部支援室)
福祉実践学科ホームページ
http://www.meisei-u.ac.jp/sw/
明星大学ホームページ
http://www.meisei-u.ac.jp/
編集担当:垣内国光・加藤めぐみ・横倉三郎
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