「日本工作機械販売協会 SE資格講座」 報告書 平成27年10月20日(火) 営業本部 山本 雅浩 日時:平成27年10月17日(土) 会場:大阪研修センター江坂 吹田市江坂1-13-41 参加者:鵜飼所長、吉住係長、山田係長代理、那須社員、山本 <内容> ●販売実務・法律知識 ◎契約に関する知識 工作機械の販売:価格が高い、商談から納入までが長い トラブルになる原因の多くは取引の条件が不明確だったこと →契約書としてきっちり証拠を残すことが重要 契約で定める主な条項 ・取引条件・・・製品・付属品の明細、仕様、納入日、場所など ・所有権留保条項 工作機械は動産 引き渡してしまったら代金支払いの有無にかかわらず所有権が買主に移るため 代金完済までは売主において所有権を留保するという条項を契約書に入れておくこと! ・期限の利益損失条項 12/31までの手形で支払いされたが、10/15に買主が不渡りを出した すぐに請求したいが、12/31までは期限の利益があるため請求できない →こういう場合に備え、万一の場合は期限の利益を喪失するという条項を契約書に入れておく ・契約解除条項 一旦契約を結んでも契約を解除したい場合がある 契約の解除方法として、当事者による合意解除、民法による法定解除、 当事者間で予め定めておく約定解除の3つがある 契約書にはこの約定解除を盛り込んでおくこと ◎与信管理に関する知識 工作機械は納入後1-2ヶ月後の集金、手形ならさらに先になる この間に倒産されないように管理することが与信管理 貸し倒れに遭わないために重要なのは気づき いかに早く取引先の変化に気づけるかがポイント 危険な兆候 カネの変化 →現金から手形への変更、給与の遅配など モノの変化 →資産の売却など ヒトの変化 →従業員の退社、人員削減など *確認方法:決算書、興信所調査書、不動産登記、商業登記などを調べる 担保 自己の債権を他の債権者に優先して回収できるようにするための手段 緊急時の対応 もし取引先が倒産してしまったら、、、 いかに早く対応できるかが損害を小さくするポイント ①出荷ストップ ②引き揚げ 売買契約を解除し、当該商品の変換を受ける ★引き揚げを承諾する旨の書類を必ず取得する 相手方の社長や社員と同席のものに行うのが望ましい ③相殺 ④先取特権 買主からさらにユーザーへ商品が転売されていた場合、 ユーザーから買主へ支払がされる前に代金を差し押さえる必要あり 売主から買主経由でユーザーへ納入した商品の同一性を証明する ⑤法的手続き ◎決算書の見方 貸借対照表 会社は調達した資金を運用して利益を稼ぐ 損益計算書 企業の一定期間の経営成績を明らかにしたもの 営業利益:企業の本業の力 経常利益:企業の資金力も含めた総合的な体力 決算書の見方における注意点 木を見て森を見ず、はNG 明らかに不自然な数字はないか? 借方と貸方のバランスは取れているか? 数期の推移を見て異常をチェックする キャッシュフロー計算書の構造 キャッシュの流入・流出の内容を記載したもの 利益≠キャッシュ ●品質・規格・測定 計測と精度 計測の目的・必要性とは 機械の開発及び設計のため、生産遂行のため、経済性向上のため それぞれの機能を果たす役割の部品の仕上がり状態を確認する必要がある 計測の基準 物理量・・・物理法則や定義によって決められたもの 基本単位:SI単位(国際規格) 測定方式 直接測定と間接測定 絶対測定と比較測定 ★工業測定ではほとんどが比較測定 測定精度と誤差 誤差という概念について:通常、誤差とは測定値から真の値を引いたもの しかし、真の値を知りたいために測定を行うのであって、矛盾していることになる 測定の不確かさを誤差を考えるべき ★不確かさとは? 合理的な測定量に結びつけられ得る値のばらつきを特徴づけるパラメータ GUM:Guide to the expression of Uncertainty in Measurement 長さ測定における留意点 アッべの原理 精度よく測定するためには被測定物と標準器を同一線上に配置する必要がある 温度 物質は温度によって伸び縮みする ★電車のレールは一定の範囲で伸び縮みしても大丈夫なようにギャップがある。 ガタンゴトンと揺れるのはそこに車輪が落ちているから。 なお、新幹線はレールを斜めに切って繋いでいるのでそうならない また、物質は周囲温度の変化で簡単に温度が変わる 一度上昇した温度が元に戻るまでには結構な時間がかかるので、温度慣らしの時間が必要 支持点とたわみ 工作物・測定物はクランプ方法によっては歪んでしまうことも 例:丸ものを側面から力を加えてクランプすると、縦方向に歪んでしまう 精密加工・測定には要注意 機械加工部品の測定 幾何交差と幾何偏差 表面粗さの測定 表面粗さは断面曲線から判断する 形状偏差:工作機械の案内誤差、工作機械による工作物のたわみな うねり:フライスの偏心取り付けまたは形状誤差、機械または工具の振動など 表面粗さ:工具刃先形状、工具の送り、サンドブラストにおける材料変形など 三次元測定機 三次元測定機の便利さ 効率的測定ができる 曲線部を含む複雑な形状測定ができる 測定物の長さ、幅、広さ、段差、軸径、穴径などの寸法他、様々な測定ができる 被接触測定機 測定圧がかからないので変形や傷がつく恐れがない 光学系の測定機では拡大倍率で測定・検査を行うため、微小部の測定が可能 画像測定機 効率測定が可能、個人誤差からの解放、超薄ものや小物測定が可能 ★CCDカメラで取り込んだ画像をソフトでエッジ検索、ピント合わせを行っている 最近のカメラの画像が綺麗なのは単純に画素数が増えただけでなく、この演算能力が上がったから 計測機器の管理 ISO9001:監視機器および測定機器の管理 ISO10012:計測マネジメントプログラム ISO/TS 16949:2002:自動車業界向けの品質マネジメントシステム トレーサビリティの確立 計量法トレーサビリティ制度 独立行政法人 産業技術総合研究所 軽量標準センターが国家標準を策定、 各登録業者から各ユーザーへ 品質保証システム PL:製造物責任 CEマーク ISO14001 RoHS指令 等 ●塑性加工の動向と最近のプレス機械 素形材産業のポジション 素材に形と寸法を与える産業 素材と組み立ての間に位置し、中小企業が多い 日本の製造業の生命線 素形材とは 素材に熱や力で成形加工することで形を与えられた部品や部材 日本の製造業を取り巻く環境 新興国のマーケットとしての成長とローカルメーカーの成長、先進国市場への進出 日系メーカーの国際競争力低下 輸出における貿易赤字(改善されているがまだ赤字) 自動車業界の動き これまでは高品質・高付加価値の車作り 現在は新興国の成長に伴い、低コスト車の増産 先進国においては次世代自動車の開発が求められる 金属プレス業界におけるシェアは拡大、8割を超える デジタル産業 デジタル化、モジュール化が進む 金属プレス業界におけるシェアは低下 自動車、情報家電以外で今後成長が見込める産業 →環境・エネルギー産業、ロボット産業、医療・福祉機器産業 マザー工場システム 国内工場をものづくりの母として、海外工場の支援・育成を行いマザー工場とした →日本に優れたものづくりの現場を残し、海外へ技術を伝える取り組み しかし、海外進出が進むにつれて国内工場の負担が増える 海外工場に自立を促し、支援するという役割へシフト 新素形材産業ビジョンの骨子 素形材産業の位置付け 海外の急成長、国内事業環境は悪化 企業規模の小さい企業が多く、フットワークが軽いことはメリット 目指すべき方向性 世界で勝てる技術を持つ 仕事の幅を広げて付加価値を高める 魅力的な現場環境で魅力的な人材の育成 技術面における競争力強化 技術経営、パートナー共存体制、企業のブランド化 知的資産(=特許)の概念、技術・技能の伝承 塑性加工の動向 複合成形 各種の工法の組み合わせによる成形 複動成形 複数の動作を組み合わせた成形 高精度・高付加価値形状の成形が可能 逐次成形 段階的に成形を行う 生産速度は遅く、生産量は少ない 多品種少量生産には向くのではと最近また注文を集めている 液圧成形 水の力を利用して成形をする 微細精密成形 自動車の燃料噴射装置のノズル 板鍛造(板金成形と鍛造技術の複合成形) 絞り成形、押出し、据込み、局部成形 今後のプレス加工 高度知能化成形システム、オンデマンド生産体制 差別化とコスト削減 新しいプレス機械 サーボプレス:サーボモーター搭載でスライド速度とモーションが任意設定できる ●グローバル化の波に如何に対応すべきか グローバル化とは? グローバルにローカライズすること (海外で自国にいるかのように普通に生活すること) EPA 特定の国や地域同士での貿易や投資を促進するための約束をする条約 TPP 環太平洋地域での関税・貿易課題を含む包括的経済連携協定 ASEAN経済共同体(AEC) ASEANとは・・・アジア版のEUのようなもの グローバル化に向けて 英語:世界共通語!おじけず堂々と話すことがポイント 国連加盟国193ヵ国中、英語を母国語とする国は13-15ヶ国のみ(ネイティブ5,6%) <所感> 今回、日本工作機械販売協会のSE資格講座を受講させていただきました。 工作機械の販売に携わるセールスエンジニアのための専門講座ということで、機械販売に関する様々な分野の 講義が行われました。内容的には基礎的なものでしたが、研削加工や図面、レーザー加工、プレスなど、私には あまりなじみのない分野についても少しずつ理解を深めることができました。 初日には「問題解決法と提案営業」をテーマにグループワークも行いました。日頃営業活動を行っていない 私にはやや難しく感じましたが、同じグループの方と色々と意見を交換しながら改善提案を作り上げていくことは とても楽しいものでした。また、他のグループの発表から色々な考え方やアプローチ方法を見られて良かったです。 また、「グローバル化の波に如何に対応すべきか」という講義では、今後のビジネスの場においてグローバル 化への対応はますます重要になってくるとの説明がありました。世界共通語である英語を身につけることは必須 と言えるが、流暢な英語を話せる必要はないとのこと。おじけず堂々と話すことがポイントとのお話でした。 今回のEMO視察においてもそのことは強く感じました。まずは英会話への苦手意識をなくすことが重要ですので、 今後はもっと積極的に英語を話してみようと思います。 今回の講習内容はとても勉強になりました。この後は通信教育でより理解を深め、SE資格取得に向けて より一層努力していくと共に、日々の業務に活かしていきたいと思います。貴重な機会をいただきありがとう ございました。以上報告いたします。
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