新潟県農林水産業研究成果集(平成26年度) 研 究 成 果 情 報 平成 26 年度 県内山間地における加工用途向け秋収穫・短根ごぼう作型 [要約]新潟県の山間地においてごぼうを根長 40cm で秋に収穫する作型では、品種は「ダイエ ット」が優れる。5月下旬から7月上旬には種すると、栽培期間 130 日以上で収量は 1.8t/10a 確 保できる。 新潟県農業総合研究所高冷地農業技術センター 連絡先 TEL 025-765-2145 FAX 025-765-3018 [背景・ねらい] ごぼうは加工用途向けに地場産の需要があるが、長根ごぼうを栽培・収穫するにはトレンチャ ー等の使用が不可欠となり取組は容易でない。そこで、短根(=根長約 40cm)で耕耘・収穫の作 業を取り組みやすくし、山間地に適合したごぼうの作型を提案し、生産の導入と拡大を図る。 [内容] 1 短根ごぼうは、リフターで根を約 40cm に切り取り、収穫するごぼうである(表)。 2 は種時期は5月下旬から7月上旬で、栽培期間 130 日以上で収穫すると、1.8t/10a 以上の収 量が得られる(図1、2) 。 品種は根径 15mm 以上 25mm 未満の収量が多い「ダイエット」が優れる。根径 25mm 以上は 3 スが多いため、品質が劣る(図3) 。 は種間隔を 7cm とすることで、根径 15mm 以上 25mm 未満の収量が多くなる(図4)。 4 [導入効果] 地元産加工用ごぼう生産の導入、拡大 [導入対象] 県内山間地域野菜生産者および生産志向者 [留意点] 1 試験は高冷地農業技術センター(標高:452m)で行った。そのため、適用地域は県内山間 地とする。 2 栽培概要:うね幅 140cm、床幅 100cm、3条まき(条間 30cm)、うね高さ 25cm、うね幅は、 収穫作業機械のタイヤ幅に合わせる。 施肥は H23 年 N:P2O5:K2O=12:15.4:10.3kg/10a、H25 年 N:P2O5:K2O=10:12.6:8.4kg/10a。 3 収穫時にうねを崩し、ごぼうを引き抜きやすくするため、うね高さが必要。 4 5~6月は降水量が少ないため、は種後1か月は、かん水を行うことが望ましい。うねが 高いため、かん水が多いと崩れる恐れがある。 新潟県農林水産業研究成果集(平成26年度) [具体的データ] 表1 ごぼう品質(根径15mm以上25mm未満での調査) 平成25年 n=20 品種 収穫日 栽培日数 ダイエット 重量(1本) 根長 cm 6月10日 6月28日 115日 133日 35.4 39.8 10月15日 148日 10月28日 10月21日 140日 115日 11月7日 132日 cm 35.1 39.2 99.4 101.8 18.0 17.5 40.2 96.7 17.8 38.2 107.2 18.4 40.3 38.5 105.8 95.6 18.3 18.1 42.1 40.0 104.4 103.4 18.7 18.4 37.7 98.3 19.7 37.8 93.2 18.6 3 2.5 103日 115日 126日 114日 2 2000 1.5 1500 1 1000 0.5 500 播種日 7月7日 7月27日 6月10 日 11月18日 11月10日 7月7日 ダイエット 25mm以上 10月28日 10月18日 11月10日 11月18日 11月10日 10月18日 6月10 日 10月28日 0 11月10日 収穫日 0 30 3 25 2.5 20 2 15 1.5 10 1 5 0.5 0 0 15-25mm 7月27 日 15mm以上25mm未満 15mm未満 25mm以上 栽培日数132日 (6/28→11/7) てがる スの程度 根径 図1 は種日と栽培日数の違いによる根径別の収量とスの程度(平成23年) 3500 15-25mm 25mm以上 栽培日数140日 (6/10→10/28) スの程度 図3 異なる栽培期間の根径とスの程度(品種:ダイエット) 3 148日 140日 133 日 2500 2.5 132日 2 115日 115日 1.5 1500 スの程度 3000 3000 1 1000 2500 0.5 500 5月20日 6月 10日 6月28日 5月20日 ダイエット 25mm以上 11月7日 10月21日 10月28日 10月15日 9月30日 9月12日 11月7日 10月21日 10月28日 播種日 10月15日 9月30日 0 9月12日 収穫日 0 6月 6月28日 10日 10a収量(kg) 10a収量(kg) mm 17.4 17.9 2500 2000 根径 g 82.5 103.7 153日 3000 10a収量(kg) mm mm 3500 9月12日 9月30日 g 滝野川 重量(1本) 根長 2000 1500 1000 500 0 5cm 滝野川 15mm以上25mm未満 15mm未満 スの程度 図2 は種日と栽培日数の違いによる根径別収量とスの程度(平成25年) 15mm未満 15mm以上25mm未満 7cm 25mm以上 図4 株間による収量の差(平成25年,品種:ダイエット) ○ 図中“スの程度”は次の基準で調査した。(根径 15mm 以上 25mm 未満の 20 本調査) 調査基準 0=スが見られない、1=スが僅かに見られる、2=スが見られ、目立つ、3=中心部に空洞を生じている ○ 図 1,2 棒グラフ上の数字は、栽培期間を示す。 [その他] 研究課題名:1 雪・冷涼な気候・在来種等を活かす園芸生産技術の開発 2 高標高開発畑の高度利用に向けた新規品目・作型の開発 予 算 区 分:1、2 研 究 期 間:1 発表論文等:なし 県単経常 平成 21~23 年度、2 平成 24~26 年度 スの程度 5月20日 根径 スの程度 は種日
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