P- -2 オンライン HDF と間歇補充型 HDF の性能表を使用した院 内

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TMP 制御,間歇補液を組み合わせた On-line HDF におけ
る主要溶質とインドキシル硫酸の除去特性の検討
医療法人 さとに田園クリニック
○長岡高広、宮田俊哉、中村慎也、南條友典、西谷美香、福本真理絵、
太田匡彦
【背景】
近年、透析用コンソールに搭載された新たな機能が注目を集めている。今回我々は前希釈On-LineHDF(OHDF)とJMS社製コンソール
GC110Nに搭載されているTMPコントロール機能を用いた定圧濾過OHDF、ならびに間歇補液機能を用いたOHDF(I-OHDF)の条件におけ
る主要溶質ならびにインドキシル硫酸(IS)除去特性について比較検討を行った。
【対象・方法】
安定維持透析患者6名に対し旭メディカル社製ABH21Pを用い、基本条件をQB300ml/min、TQD500ml/min、浄化時間240minとし(1)
OHDF 60L/session(2)TMPを70mmHgに制御したOHDF(3)TMPを0-60分間100mmHg以後70mmHgに制御したOHDF(4)I-OHDF
(200ml/30min×7回)の条件におけるBUN、Cr、UA、IP、β2MG、α1MGならびにISの除去率、除去量、クリアスペース(CS)、Alb漏出
量を比較検討した。廃液は0- 5分、5-15分、15-30分、30-60分、60-120分、120-240分に分割して採取した。
【結果】
4条件における総置換量は(1)60、(2)52.2±3、(3)57.4±5、(4)57.8±0.8L/sessionで(2)が有意に低値を示した。除去率、CSは
全溶質においては有意差を認めなかった。除去量の経時測定ではTMP制御法において透析前半に小分子量物質、後半に低分子蛋白物質の有意
な除去量低下が認められたが総除去量では(2)がα1MGのみ有意な低下を認めた。ISの経時動態であるが(3)の廃液濃度においてQDが
最小の0- 5分に比しQDが増加した5-15分の濃度が高値を示し、他溶質とは異なる動態を示した。
【考察】
今回検討した条件における溶質除去に顕著な優劣は認めなかった理由であるが、総置換量が近値でありQs、QDバランスに差が無かった為と
考えられる。
ISの除去は拡散が大きく影響しており、OHDFにおけるISの除去にはQB、QDの確保が重要である事が示唆された。
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オンライン HDF と間歇補充型 HDF の性能表を使用した院
内プロトコルの作成
日立造船健康保険組合 因島総合病院 臨床工学科
○山野雄貴、岡崎翔太、中山陽介、松重恭平、井上 透、熊谷有起、
戸田 孝、佐貫健太郎、近藤隆司、西 宏行
【目的】間歇補充HDF(IHDF)は、体液再分布による洗い出し効果やヘモダイアフィ
ルターのファウリング抑制などが期待される。我々はIHDFについてアルブミン、愁
訴を指標としたプロトコルを作成したので報告する。
【方法】安定した透析患者6名から8名を対象とし、条件の異なったIHDFを行った。
比較としてオンラインHDF(OHDF)も施行し、ALB漏出量とα1MGの除去率、
TMPを測定した。血液検査のアルブミンを4段階に分け、愁訴があった場合は一段
階あげるようプロトコルを作成した。
【条件】間歇補充量は1.4L、5L、10L。前希釈OHDF補液量48L、後希釈OHDF補液量
10Lと し た。 ヘ モ ダ イ ア フ ィ ル タ ー は 二 プ ロ 株 式 会 社 製FIX130S、210S、
MFX21Seco、旭化成メディカル社製ABH13P、21P、東レ株式会社製TDF20Hを使用
した。
【結果】ALB漏出量はABH13P(1.4LIHDF)がアルブミン漏出量0.542±0.10g、α
1MG除去率14.96±7.08と本検討中最も低い値を示し、FIX210S(48L前希釈OHDF)
でアルブミン漏出量2.42±0.53、α1MG除去率35.67±6.58となった。
【考察】オンラインHDFと比較した間歇補充HDFの性能表を用い、患者に合わせた透
析処方を行うにあたりプロトコルを作成することで効率的な診療補助が行えた。
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当院における I-HDF の臨床評価
医療法人社団 仁友会 尾道クリニック 臨床工学室1)、
医療法人社団 仁友会 尾道クリニック 内科2)
○迫野 豊1)、山本康平1)、橋本理菜1)、大下智代1)、兒玉晃子1)、
兼長貴祐1)、村上健太1)、細谷 唯1)、宮迫保江1)、下岡和貴1)、
内 久敏1)、落合真理子2)、浜口直樹2)
【はじめに】
近年、I-HDFは、間歇的な補充を繰り返すことによって一時的に末梢循環を改善させ、
血圧の安定効果や処置施行率の低下、また溶質の洗い出し促進効果による除去効率が
向上するとの報告が散見される。
そこで今回我々は、I-HDF施行前後3ヶ月をHDと比較し検討したので報告する。
【対象・方法】
対象は、当院でI-HDFを施行している慢性維持透析患者16例(男性7名、女性9名、
平均年齢70.9±9.1歳、平均透析歴10.5±6.7年)。方法は、I-HDF施行前後3ヵ月の1
透析あたりの1時間ごとの平均収縮期血圧の変動、処置施行率、臨床データとして、
定期血液検査による小分子量物質(BUN、Cr、IP)、低分子量蛋白(BMG)、栄養状
態(Alb、TP、PCR、Dry Weight)、貧血状況(Ht、Hb、Ret、Fe、TIBC、ESA製
剤の使用状況)、生体適合性・炎症反応(WBC、CRP)、について解析した。検定は、
Paired t-testを用いてP<0.05を有意差ありとした。
【結果】
血圧の変動は、有意差は見られなかったが16症例中7例は上昇し、処置施行率は、
102回から42回に有意に減少した。臨床データは、各項目において有意差は見られな
かったがESA製剤の使用量が16症例中7例で減少した。
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I-HDF における捕液プログラムの条件検討
JA山口県厚生連小郡第一総合病院 臨床工学科1)、
JA山口県厚生連小郡第一総合病院 泌尿器科2)
○末廣孝太郎1)、岡田拓也1)、小廻哲也1)、山根 明1)、赤尾淳平2)
【はじめに】間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)は、濾過膜を介して、濾過と補液を
断続的に行うオンラインHDFの一種で、間歇的に補液することで物質交換が促進さ
れ、プラズマリフィリングの改善、抹消循環の改善、循環動態の安定などの効果によ
り、治療中の血圧低下の軽減等が期待されている。今回、透析監視装置JMS社製GC110Nを使用する機会を得たので、血液透析(HD)からI-HDFに移行した患者の血圧
変動や循環血液量(BV)、治療中の処置回数の変化について比較検討した。
【対象】血圧低下をきたす慢性維持透析患者3名を対象とし、それぞれ比較する。原
疾患は症例1がIgA腎症、症例2と症例3はインスリン非依存型糖尿病である。
【方法】補液間隔は15分、20分、30分の3パターン、1回の補液量については50ml、
100ml、200mlの3パターンをそれぞれ組み合わせて変更して行った。
【結果】症例1については処置回数の減少はなく、透析時低血圧も改善はみられなかっ
た。症例2についてはHD時の除水量よりも11%増加していたが平均血圧が10%上昇
していた。下肢痙攣の回数が低下したと患者からも高評価だった。症例3については
処置回数が2回減少し、平均血圧も7%上昇していた。
【考察】I-HDFは血圧低下をきたす患者すべてに有用ではないが、改善の傾向にある
ことが示唆された。BVの変化を見ても傾きが小さくなっており透析時血圧低下の軽
減につながったと考えられる。
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IHDF における膜面積と膜素材の違いによるリフレッシュ効
果の検証
日立造船健康保険組合 因島総合病院 臨床工学科
○松重恭平、岡崎翔太、中山陽介、山野雄貴、井上 透、熊谷有起、
戸田 孝、佐貫健太郎、近藤隆司、西 宏行
【目的】透析液の逆濾過により、透析膜のリフレッシュ効果が期待できる。今回、間歇補充
型HDF(以下I-HDF)のリフレッシュ効果の有無について、中空糸膜素材及び膜面積の観点
から確認することを目的とした。
【対象】安定して前希釈オンラインHDFを実施している慢性腎不全患者6名。
【方法】使用コンソールは東レ社製TR-3000MAを用い、使用ヘモダイアフィルターはFIX130Seco、FIX-210Seco、ABH-13P、ABH-21Pを用いた。QB=270ml/min、QD=500ml/min
でI-HDFを施行し、逆濾過補液は30分に1回200ml補充し、総逆濾過補液量1400mlで施行した。
【評価項目】Alb漏出量、UN、Cr、P、β2-MG、α1-MGの除去率、除去量、クリアスペース
を測定し、TMPの経時的変化も観察した。
【結果】除去率に有意差は認められなかった。β2-MGのクリアスペースは同じ膜面積では
FIXがABHより有意に高値であった。α1-MGのクリアスペースはFIX、ABH共に2.1m2が1.3m2
より有意に高値であった。また、同じ膜面積ではFIXがABHより有意に高値を示した。Alb
漏出量は同じ膜面積ではFIXがABHより有意に高値であった。
【考察】FIXは膜劣化が少なく、長時間膜の効果を維持できるがリフレッシュ効果は少ないと
考えられる。ABHの大分子における経時的変化をみることによって膜面積の小さい方にリフ
レッシュ効果があるのではないかと示唆される。このことより、今のI-HDFでは透析膜の種
類によっては一部分にしかリフレッシュ効果が起きていないのではないかと考えられる。
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