保証業務の概念的枠組み 監査論Ⅰ 2015.07.13 第14回 保証業務とは? • 主題に責任を負う者が一定の規準によって当 該主題を評価又は測定した結果を表明する情 報について,又は,当該主題それ自体につい て,それらに対する想定利用者の信頼の程度 を高めるために,業務実施者が自ら入手した 証拠に基づき規準に照らして判断した結果を 結論として報告する業務 (企業会計審議会『財務情報等に係る保証業務の概念的枠組みに関する意見書』2004年) 2 保証業務とは? • 主題:保証対象である情報のもとになるもの – 経済活動・事象,取引,内部統制 など • 主題に責任を負う者:組織の責任者,経営者 など • 一定の規準:情報を作成するための基準,会計基 準,内部統制評価基準 など • 主題を評価又は測定した結果を表明する情報:財 務諸表,内部統制報告書,四半期財務諸表 など 3 保証業務とは? • 想定利用者の信頼の程度を高める:保証の 提供 • 業務実施者:監査人,レビュアー など • 自ら入手した証拠:監査証拠,レビューに よる証拠 など • 結論:監査意見,レビューの結論 など • 報告:監査報告書,レビュー報告書 など 4 保証業務とは? • 目的 – 保証の提供 – 主題情報(主題そもの)の利用者の情報(主 題)に対する信頼の程度を高める • 方法 – 主題情報(主題)の信頼性を検証して結論を 報告する – 保証を提供する 5 保証業務の種類 保証業務 ・四半期レビュー 財務諸表監査 内部統制監査 ・コンプライアンス検証業務 ・CSR 報告書検証業務 合意された手続 調製業務 税務業務 コンサルティング 66 保証業務の形式 • 合理的保証業務 – 積極的形式の保証を提供する – 「∼と認める」 – 主題情報または主題を全体として保証する • 限定的保証業務 – 消極的形式の保証を提供する – 「∼でないと信じさせる事項は認められない」 – 個別事項の有無を指摘することによって保証を提供する 7 保証業務の要素 • 三当事者の存在 • 適切な主題 • 適合する規準 • 十分かつ適切な証拠 • 適切な書式の保証報告書 8 三当事者 • 業務実施者 • 主題に責任を負う者 • 想定利用者 9 適切な主題 • 識別可能である • 首尾一貫した評価・測定を行うことができ る • 適切な証拠を収集することができる 10 規準の要件 • 目的適合性:想定利用者による意思決定に役立つ結論を導く のに資する • 完全性:業務環境下で得られる結論に影響を与える要因の うち関連する要因のいずれもが省略されていない • 信頼性:同一の環境下で同一の資格を有する業務実施者が 利用する時,主題の評価又は測定を合理的にかつ首尾一貫し て行うことができる • 中立性:偏向のない結論を導くことができる • 理解可能性:明瞭かつ総合的な結論を導くことができる 11 保証報告書 • 合理的保証業務か限定的保証業務かの区別 • 合理的保証業務 • • 積極的形式で結論を記載 • 全体として適正あるいは有効かなどについて報告 限定的保証業務 • 消極的形式で結論を記載 • 適正あるいは有効ではないと信じさせるような事 項の有無を報告 12 保証報告書 • 保証の水準 – 合理的保証業務 • 相対的に高く設定 失敗のリスクを相対的に低く設定 • 保証コストが相対的に高い • 例)財務諸表監査,内部統制監査 – 限定的保証業務 • 相対的に低く設定 失敗のリスクを相対的に高く設定 • 保証コストは相対的に低い • 例)四半期レビュー,CSR報告書検証業務 13 次回 • 『四半期レビュー基準』 14 質問 • 非財務(非数値,ナラティブ)情報に対して 保証業務を実施することに合理性があるか? あるいは,そもそも非財務情報に対して保証 業務を実施することは可能か? • 非財務情報に対して保証業務を実施するとし た場合,どのような問題が考えられるか? 15
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