防災・減災の新たな展開 - 東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構

2015/2/27
2015/2/27
10:0
防災・減災の新たな展開
2015年2月25日
国土交通省 水管理・国土保全局長
池内 幸司
目 次
1.災害の発生状況
2.新たなステージに対応した防災・減災のあり方
3.水災害分野における気候変動適応策(案)
4.具体的な取組(案)
5.まとめ
1
1
2015/2/27
時間雨量50mmを超える豪雨が各地で発生(2014年)
7月・長野県南木曽町で大規模な土砂災害が発生
7月・山形県南陽市で大規模な水害が発生
被害の概要(南木曽町)
死者数
1名
10棟
住家 全壊
被害 一部損壊
3棟
被害の概要
(最上川水系吉野川等)
床上浸水
161戸
床下浸水
2,196戸
9月19日時点 山形県への聞き取り
8月6日時点 長野県調べ
8月・広島市で大規模な土砂災害が発生
8月・京都府・福知山市で大規模な水害が発生
2,430棟
被害の概要(広島県)
死者数
74名
全壊
133棟
住家
半壊
122棟
被害
一部損壊
174棟
10月16日時点内閣府資料
9月19日時点 広島県調べ
被害の概要(福知山市域)
床上浸水
1,995棟
床下浸水
2
時間雨量50mmの大雨の発生件数が増加
約1.4倍
(回/年)
2004~2013
平均 241回
400
356
1976~1985
350
平均 174回
300
250
200
331
295
275282
275
256
251
225
220
244
230
238
206
188
186
169
145
150
254
156
140
157
190
177
156
158
182
173
193
237
209
194
169
131
110
103
112
94
100
50
0
1976
1981
1986
1991
1996
2001
2006
2011
1時間降水量50mm以上の年間発生回数(アメダス1,000地点あたり)
*気象庁資料より作成
3
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総雨量1,000mmを超える豪雨が月に2回(高知県)(2014年)
総雨量1,000mm以上の雨をもたらした台風12号・11号により、水害・土砂災害が発生
死者
全壊
半壊
山口県岩国市で発生した土砂災害
被害の概要(全国)
5名
14棟 床上浸水
162棟 床下浸水
1,648戸
5,163戸
徳島県阿南市の浸水被害
4
11月6日内閣府資料より落雷被害を除いたもの
しげとう
や な せ
※:高知県 繁藤観測所(台風12号:1,360mm以上)、 魚梁瀬観測所(台風11号:1,080mm以上)
4
2014年8月 広島市の土砂災害
広島市では、観測史上最大の降雨※により、多数の沢から土石流が同時
多発的に発生し、死者74名など甚大な被害が発生。
※安佐北区三入で、1時間降水量101mm、3時間降水量217.5mmを観測
一般被害の概要
(広島県)
死者
全壊
半壊
ごたんだがわ
74名
133戸
122戸
じんぐうがわ
神宮川
やぎばいりんざわ
五反田川
おおたがわ
八木梅林沢
太田川支川
おばらやまかわ
小原山川
とりごえがわ
鳥越川
(広島県調べ平成26年9月19日時点)
あさみなみく
緑井7丁目
や ぎ
八木4丁目
緑井8丁目
県営住宅
JR可部線
八木3丁目
梅林小学校
国道54号線
みどりい
や ぎ
緑井・八木地区
国土地理院
(2014年8月20日)
:人的被害が発生したと
思われる土石流
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目 次
1.災害の発生状況
2.新たなステージに対応した防災・減災のあり方
3.水災害分野における気候変動適応策(案)
4.具体的な取組(案)
5.まとめ
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新たなステージに対応した防災・減災のあり方
○ 雨の降り方が変化し「新たなステージ」に入ったと認識。
○ 地震・津波に関しては既に、阪神・淡路大震災や東日本大震災を
教訓として、「最大クラス」の外力を想定した対策を実施。
○ 洪水・高潮等は「最大クラス」の外力を未想定。
○ 洪水等についても「最悪の事態」を視野に入れた対策を進める必要。
○ ハード・ソフトの対策を総動員。
- 比較的発生頻度の高い降雨等に対しては、施設による防御を基本。
- それを超える降雨等に対しては、ある程度の被害が発生しても、少な
くとも「命を守り、社会経済に対して壊滅的な被害が発生しない」こと
を目標とし、ソフト対策に重点を置いて対応。
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新たなステージに対応した防災・減災のあり方- 検討の方向性①
■ 「行動指南型」の避難勧告に加え、「状況情報」の提供による主体的避
難の促進、広域避難体制の整備等を目指す。
① 最大クラスの洪水・高潮等に関する浸水想定・ハザードマップを作成し、
様々な機会における提供を通じた災害リスクの認知度の向上
② 防災情報の時系列での提供、情報提供する区域の細分化による状況
情報の提供
③ 個々の市町村による避難勧告等の現在の枠組み・体制では対応困難
な大規模水害等に対し、国、地方公共団体、公益事業者等が連携し
た、広域避難、救助等に関するタイムライン(時系列の行動計画)の策
定
等
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新たなステージに対応した防災・減災のあり方 - 検討の方向性②
■ 最悪の事態を想定・共有し、国、地方公共団体、公益事業者、企業等
が主体的かつ、連携して対応する体制の整備を目指す。
① 最大クラスの洪水・高潮等が最悪の条件下で発生した場合の社会全体
の被害を想定し、共有
② 応急活動、復旧・復興のための防災関係機関、公益事業者の業務継続
計画作成を支援
③ 被害軽減・早期の業務再開のため、水害も対象とした企業のBCPの作
成を支援
④ 国、地方公共団体、公益事業者等が連携して対応する体制の整備と関
係者一体型タイムラインの策定
⑤ TEC-FORCEによる市町村の支援体制の強化
等
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制度改正の検討 (最大クラスの外力に基づく浸水想定等)
主な課題
制度改正による対応(案)
◆想定を超える浸水被害
が多発
◆想定し得る最大規模の降雨を前提とした浸水想定区域に拡充
洪水について、最大クラスの
降雨を前提とした区域から、想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域
に拡充
→想定し得る最大規模の降雨による洪水に対する避難確保・被害軽減
降雨を前提とした浸水想定
区域が示されていない
現行の洪水に係る浸水想定区域について、河川整備において基本となる
河川整備において基本となる降雨を前提とした浸水想定区域
想定し得る最大規模の降雨を前提とした浸水想定区域
◆新たに、内水及び高潮に係る浸水想定区域を示す
内水及び高潮について、浸水
想定区域が示されていない
※内水…公共の水域等に
雨水を排水できないことに
よる出水
内水及び高潮に係る浸水想定区域を
創設し、想定し得る最大規模の降雨・
高潮を前提とした区域を公表
内水及び高潮に対応するため、下水道
及び海岸の水位により浸水被害の危険
を周知する制度を創設
→内水・高潮に対する避難確保・被害
軽減
【高潮浸水想定区域】
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目 次
1.災害の発生状況
2.新たなステージに対応した防災・減災のあり方
3.水災害分野における気候変動適応策(案)
4.具体的な取組(案)
5.まとめ
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地球温暖化が水分野にもたらす影響
温室効果ガスの排出に伴い気温が上昇。それに伴い海面水位が上昇
氷河や南極などの氷の融解
海面の上昇
海水の熱膨張
台風の強度増加
蒸発散量の増加
降水量の変化
豪雨や渇水の
発生頻度の増加
河川流量の増加
高潮及び海岸侵食
洪水の増大
積雪量の減少
土砂災害の激化
融雪の早期化と
流量の減少
水利用パターン
の変化
渇水危険性の増大
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気候変動により水災害がさらに頻発・激甚化することが予測
【海面水位の上昇】
○2100年までの世界平均海面水位の上昇は最大で約1mと予測。※1
【降雨量への影響】
○全国の一級水系において、現在気候と比べ将来気候において、年最大
流域平均雨量が約1.1~1.3倍になることが予測。 ※2
【洪水の発生頻度】
○全国の一級水系において、現在気候と比べ将来気候において、基本高
水を超える洪水の発生頻度が約1.8~4.4倍になることが予測。 ※3
※1 : 出典:IPCC第5次評価報告書(第1作業部会)
※2, 3: 出典:国土技術政策総合研究所資料No.749c http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0749.htm
※2 :SRES A1Bシナリオを適用した4つの気候モデル現在(前期RCM5は1990~1999、後期RCM5は1979~2003)、将来(前期RCM5は
2086~2095、後期RCM5は2075~2099)の予測値(中位値)の幅を示したもの
※3 :基本高水ピーク流量以上の洪水が発生する年超過確率の変化率の中央値
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欧米諸国では、既に気候変動適応策を実施 【ドイツの例】
○将来の外力増大時にできるだけ手戻りがない施設の設計
・設計流量(一般的に年超過確率1/100の洪水流量)に気候変動の影響を割増※し、以下の設計等を実施
- 堤防については、将来嵩上げが必要となった場合に備えて事前に用地を確保
- 護岸等については、将来嵩上げが必要となっても容易に対応できるように設計
- 橋梁については、当初から割増した流量により設計
※ KLIWAプロジェクト(ドイツ気象庁とバイエルン州などの一部の州を含む共同プロジェクト)において、気候変動予測モデルで予測された降雨量を用い、流出モデルにより
洪水流量を求め、現在(1971~2000年)と将来(2021~2050年)の年超過確率別の流量の比(気候変動係数)を設定
表 ドイツの地域・確率年別気候変動係数
確率年
気候変動
係数
ネッカー
100
1.15
ドナウ上流
100
1.25
バイエルン
100
1.15
ライン上流
5
1.45
シュヴァーベン上流
5
1.24
コンスタンツ湖
5
1.24
地域
図 100年確率洪水位及び気候変動による水位上昇見込み量概念図
※「Freeboard」は波・風等による水位上昇による越流を防止するためのもの。
出典:KLIWA*: Climate Change in Southern Germany Extent -Consequences – Strategies, pp.18-19, 2009.
*KLIWA:水資源管理に係る気候変動と同影響に対応するためのドイツのバーデン=ビュルテンベルク、バイエルン、ラインラント・プファルツの各州と
ドイツ気象庁を含む協同プロジェクト。
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台風12号河道閉塞に対する緊急対応技術
水災害分野における気候変動適応策 基本的な考え方(案)
○比較的発生頻度の高い外力に対し、施設により災害の発生を防止
・ 将来の外力増大時に、できるだけ手戻りなく施設の追加対策が講じられるよう工夫
・ 災害リスクの評価を踏まえたウィークポイント等に対する重点的な整備 等
○施設の能力を上回る外力に対し、施策を総動員してできる限り被害を軽減
<施設の運用、構造、整備手順等の工夫>
・ 既設ダム等を最大限活用するための運用の見直し
・ 迅速な氾濫水排除のための排水門の整備や排水機場等の耐水化
・ 災害リスクをできるだけ小さくするための河川整備の内容、手順の見直し 等
<まちづくり・地域づくりとの連携>
・ 災害リスクを考慮した土地利用・住まい方の工夫 等
<避難、応急活動、事業継続等のための備え>
・ 避難に関するタイムライン、企業の防災意識の向上、水害BCPの作成 等
○施設の能力を大幅に上回る外力に対し、
ソフト対策を重点に「命を守り」「壊滅的被害を回避」
・ 状況情報に基づく主体的避難の促進
・ 広域避難体制の整備
・ 国、地方公共団体、公益事業者等の関係者一体型のタイムライン 等
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目 次
1.災害の発生状況
2.新たなステージに対応した防災・減災のあり方
3.水災害分野における気候変動適応策(案)
4.具体的な取組(案)
5.まとめ
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気候変動の影響を踏まえた各種予測等の必要性
降雨の予測
洪水の予測
渇水の予測
精度の高い観測技術の活用
氾濫流の予測
被害想定
リアルタイム氾濫予測
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様々な規模の降雨を対象とした浸水想定
○避難の検討やまちづくり、投資判断等に資するよう、様々な規模の降雨について浸水想
定を作成・提示
これまで
洪水防御に関する計画
の基本となる降雨のみ
を対象
今 後
想定最大外力までの様々な規模の降雨を対象
年超過確率1/10
年超過確率1/50
年超過確率1/150
年超過確率1/150
想定最大外力
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※図は、あくまでイメージのため、実際の河川と必ずしも一致しない。
水害リスクの定量化
○ 浸水深等のデータから、水害リスクを定量化
○ ライフライン途絶の想定や、浸水区域外の社会経済活動への波及被害については、
公益事業者や民間企業等とも協働して具体的にどのような事態が発生するのか想定
被害項目
直接被害 資産被害
・一般資産被害(家屋、家庭用品、事業所資産、等)
・農作物被害
・公共土木施設被害
人的被害(想定死者数、孤立者数等)
:貨幣換算している項目
:貨幣換算は困難だが定
量化している項目
:定量化していない項目
間接被害 稼働被害
・営業停止被害(事業所、公共・公益サービス、家計)
・応急対策費用(家計、事業所、国・地方公共団体)
社会機能低下被害(医療施設、社会福祉施設、防災拠点)
波及被害(交通途絶、ライフライン途絶、経済被害の波及)
精神的被害
リスクプレミアム
その他被害(地下施設、文化施設、水害廃棄物)
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きめ細かい災害リスク情報の提示
○浸水深だけでなく、資産被害が大きくなる床上浸水の発生頻度や、浸水深が極めて深くな
る区域や家屋倒壊の危険性がある区域など人命に関わるリスクについても提示
床上浸水の発生頻度
人命に関わるリスク
浸水深が2階の軒下まで及ぶ
が、高い建物が少なく、浸水に
よる死亡の危険性が高い区域
氾濫水の流体力などによる
家屋倒壊の危険性が高い
区域
床上浸水発生確率
高
中
低
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※図は、あくまでイメージのため、実際の河川と必ずしも一致しない。
水害の被害想定の共有
既往の被害想定の例: 東京都北区で荒川が破堤した場合の被害想定
1.浸水範囲 (最大浸水深図)
2.浸水面積
想定堤防決壊箇所
約110km2
3.浸水区域内人口
7.地下鉄等の浸水被害
約120万人
4.浸水世帯数 17路線、97駅、約147km
2010年4月 中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」資料を編集
(荒川右岸低地氾濫による被害想定結果を抜粋)
荒川
隅田川
約51万世帯
5.死者数
約1,200人
8.ライフラインの被害
約121万軒
電力
ガス
約31.1万件
(避難率40%の場合)
想定堤防決壊箇所 右岸21.0km
東京都北区志茂地先
地下鉄等の浸水状況
満管
(駅又はトンネル
の上端に到達)
浸水
(水深2mを超過)
上水道 約164万人(給水制限)
6.孤立者数
最大約51万人 下水道 約175万人(汚水処理)
(1日後、避難率40%の場合)
通信 約52万加入(固定電話)
5.0m 以上
浸水
2.0m 以上5.0m 未満
(水深5cmを超過)
1.0m 以上2.0m 未満
浸水なし
0.5m 以上1.0m 未満
0.5m 未満
約93万在圏(携帯電話)
(留意点) ・どの場合も供給側施設の浸水による支障に関する想定結果
・停電による供給側施設の途絶や個別住宅等の浸水による支障は含まないため、支障件数はさらに
増加すると想定(※上水道及び携帯電話の支障件数は、停電による供給施設の途絶を考慮)
【算出条件】 排水施設が稼働しない場合。上流部における越水氾濫を含む。【降雨条件】 流域平均雨量 約550mm/3日 (流域面積 約2,100km2)
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災害リスクを考慮した土地利用・住まい方の工夫の促進
○名古屋市では、伊勢湾台風の教訓を活かし、南部一帯を災害危険区域に指定し、指定さ
れた区域に応じ、建築物の1階の床の高さや構造などを規制。
■名古屋市臨海部防災区域図
■制限の概要表
■伊勢湾台風
最高浸水水位図
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「伊勢湾台風災害誌」(復刻)より
避難に関するタイムラインや避難計画の策定
○市町村における避難に関するタイムライン(時系列の行動計画)や避難計画の策定、こ
れらに基づく避難訓練の実施等を促進
(例)台風に伴う洪水に想定したタイムラインのイメージ
気象・水象情報
台風上
陸 ま で ○台風情報
3日前
○大雨洪水警報
1日前
○氾濫注意情報
国土交通省
○体制の確認
○施設の点検
体制の
早期構築
○水防警報(出動)
○リエゾンの派遣
市町村
○体制の確認
○資機材の確認
○休校等の判断
避難所の
早期準備
○水防団の出動指示
○避難所開設準備
-12hr
要配慮者
の避難
○漏水等の重点監視
○水位の現地確認
○避難準備情報発表
○要配慮者避難開始
早期の
避難開始
○氾濫危険情報
○ホットライン
○避難勧告の発令
○避難開始
-6hr
0hr
○避難カード確認
○防災グッズ確認
○氾濫警戒情報
-9hr
上陸
住民
○気象情報の確認
避難勧告
○堤防決壊
○決壊情報、氾濫予測 ○避難指示の発令
の発表
避難指示
○TEC-FORCEの派遣
○避難完了
屋内での
安全確保
○屋内安全確保
○氾濫流到達エリアに
おける避難開始
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将来の外力増大時にできるだけ手戻りがない施設の設計
○将来の外力増大時に、できるだけ容易に改造ができるよう設計
○改造が難しい部分はあらかじめ対応、その他は将来の更新時に対応
(例)海面水位上昇に対する水門設計での対応イメージ
【将来対応】
伴う巻
ゲートの規模が変わることに伴う巻
き上げ機等の改造
【あらかじめ対応】
の引き
のゲート
水門の事例写真
海面水位の上昇
海側
河川側
将来のゲートの規模を考慮した
門柱の高さ
計画高潮位
計画高水位
【将来対応】
【あらかじめ対応】
ゲートの規模が変わることに
伴うゲート等の改造
将来のゲート規模を考慮した
基礎
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災害リスク評価に基づく河川整備計画の点検・見直し
○様々な規模の外力に対して、災害リスクができるだけ小さくなるよう、上下流バランス等
に留意し、河川整備の内容、手順等を見直す
整備前
整備後(見直し前)
整備後(見直し後)
基本方針規模の外力
基本方針規模の外力
基本方針規模の外力
基本方針規模を上回る外力
基本方針規模を上回る外力
基本方針規模を上回る外力
下流の
災害リスク
が増大
流域全体の
災害リスクを
できるだけ
小さくする
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既存施設の機能を最大限活用する運用(河川と下水道の一体的運用)
○豪雨対策を担う河川と下水道については、それぞれの流れ等を一体として計算する手法
を開発するなどにより、連携した計画策定や効率的な運用に向けた検討を推進する。
○また、相互の施設のネットワーク化や一体的な整備を進め、それぞれの施設の有効活用
を図る。
河川と下水道の一体的な運用
・ 時間的・空間的に雨が偏在することに注目し、施設の容量を効率的に活用するため、河川及び下水道の既存施設を接続する
連結管や兼用の貯留施設等の整備を推進。
集中豪雨の空間・時間的偏在
豪雨の空間・時間的偏在
一体的な運用のイメージ
既成市街地は
河川改修が困難
豪雨
雨量の多い所は
局所的
(1km2程度)
大
雨
排水困難の
場合は貯留
下水
雨水貯留管
1分間隔、250mメッシュでの観測
ピーク早い
流
出
量
内水
ピーク遅い
施設の空き容量を活用し、
浸水リスクを軽減。
(例:河川への流出を抑制し、
洪水リスクを低減)
河川調節池
外水
時間
※図はあくまでイメージ図のため、実際の河川と必ずしも一致しな
い。
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既存施設の機能を最大限活用する運用(ダム運用の高度化)
活用できる
○ダムへの流入量の予測精度の向上等を図り、ダムの洪水調節能力を最大限活用できる
よう操作方法を見直す
(例)事前放流を活かした洪水調節
ダム上流域の降雨量やダムへの流入量の予測精度の向上
流入
洪水前
洪水中
流入
+
洪水調節容量
事前放流
利水容量等
流入
洪水調節容量+
確保した容量
放流
用
事前放流により洪水調節のた
めの容量をさらに確保
事前放流により確保した容量も
用いて洪水調節
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迅速な氾濫水の排除
○氾濫水を早期に排除するための排水門の整備や排水機場等の耐水化等を実施
迅速な氾濫水排除のための
排水門の整備
氾濫
排水機場の耐水化
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排水ポンプ車による緊急排水
電源設備等の嵩上げ
止水板の設置
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目 次
1.災害の発生状況
2.新たなステージに対応した防災・減災のあり方
3.水災害分野における気候変動適応策(案)
4.具体的な取組(案)
5.まとめ
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2015/2/27
台風12号河道閉塞に対する緊急対応技術
まとめ
【外力の増大に伴う様々な事象を想定した対策を推進】
○比較的発生頻度の高い外力に対し、施設により災害の発生を防止
○施設の能力を上回る外力に対し、施策を総動員してできる限り被害を軽減
- 施設の運用、構造、整備手順等の工夫
- まちづくり・地域づくりとの連携
- 避難、応急活動、事業継続等のための備え
○施設の能力を大幅に上回る外力に対し、
ソフト対策を重点に「命を守り」「壊滅的被害を回避」
【予測とリスク評価の重要性】
○気候変動による外力の増大に対応するため、気候変動の継続的なモニタ
リングや気候変動予測技術の向上が必要。
○人的被害、社会機能低下被害、波及被害も含めてどのような被害が生じ
るかを想定。
○水災害のリスクを社会全体で共有し、国、地方公共団体、公益事業者、企
業等が協働して、危機感を持って取り組む必要。
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ご清聴ありがとうございました
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