4 2 回 IEEE 光起電 力専門家会議(42 nd IEEE Photovoltaic Specialists Conference) 報告 2015.6.24 山口真史(豊田工大) 1 . 開催 月 日: 2 0 1 5 年 6 月 1 4 日 ~ 1 9 日 2 . 開催 場 所: Hyatt Regency New Orleans( ニ ュ ー オ ー リ ン ズ 、 米 国 ) 3 . 本 会 議 の 概 要 : 米 国 電 気 電 子 学 会 ( IEEE) 主 催 の 太 陽 光 発 電 会 議 で 、 2008 年 か ら 、 毎 年 開 催 さ れ る こ と と な っ た 。今 回 の 会 議 の 組 織 委 員 長 は Steven Ringel(オ ハ イ オ 州 立 大 ) で 、 プ ロ グ ラ ム 委 員 長 は Alex Freundlich( ヒ ュ ー ス ト ン 大 ) で あ っ た 。 今 回 は 、46 カ 国 か ら 約 1,236 名 の 参 加 者 が あ っ た 。前 回 の 開 催 地 が 、NREL に 近 い と い う こ と も あ り 、 例 年 よ り 約 200 名 の 参 加 者 増 で あ っ た が 、 今 回 は 、 例 年 の 参 加 者 数 と な っ た よ う で あ る 。図 1 に 、国 別 参 加 者 数 を 示 す 。国 別 で は 、① 米 国 716 名 、② 日 本 92 名 、③ ド イ ツ 65 名 、④ オ ー ス ト ラ リ ア 47 名 、⑤ 中 国 37 名 、⑥ 英 国 33 名 、⑦ イ ン ド 30 名 、⑧ フ ラ ン ス 27 名 、 ⑨ 台 湾 23 名 、 ⑩ オ ラ ン ダ 21 名 、 の 順 で あ っ た 。 図1 国別参加者数 図 2 は 、国 別 発 表 論 文 件 数 を 示 す 。44カ 国 か ら 、986件 の 論 文 投 稿 が あ っ た 。国 別 で は 、 ① 米 国 446件 、② 日 本 68件 、③ ド イ ツ 65件 、④ イ ン ド 52件 、⑤ オ ー ス ト ラ リ ア 42件 、⑤ 台 湾 42件 、 ⑦ 中 国 41件 、 ⑧ 英 国 28件 、 ⑨ フ ラ ン ス 26件 、 ⑩ オ ラ ン ダ 21件 、 の 順 で あ っ た 。 図 3 は 、 発 表 論 文 件 数 の 分 野 別 内 訳 を 示 す 。 分 野 別 で は 、 ① 薄 膜 化 合 物 系 ( CIGS、 CdTe お よ び II-VI族 )166件 、② 結 晶 Si太 陽 電 池 138件 、③ 太 陽 電 池 モ ジ ュ ー ル 、製 造 、シ ス テ ム ち 応 用 122件 、 ④ 基 礎 お よ び 新 概 念 113件 、 ⑤ III-V族 お よ び 集 光 101件 、 ⑥ キ ャ ラ ク タ リ ゼ ー シ ョ ン 92件 、 ⑦ 信 頼 性 73件 、 ⑧ 有 機 、 ペ ロ ブ ス カ イ ト 、 ハ イ ブ リ ッ ド 太 陽 電 池 60件 、 ⑨ 政 策 、 市 場 、 普 及 53件 、 ⑩ 宇 宙 用 太 陽 電 池 37件 、 ⑪ 薄 膜 シ リ コ ン 技 術 31件 の 順 で あ っ た 。 1 図2 図3 国別発表論文件数(資源総合システム㈱提供) 発表論文件数の分野別内訳(資源総合システム㈱提供) 4 . Cherry Award受 賞者 と 受賞 記 念講 演 Cherry Award Chairで あ る S. Kurtz( NREL)よ り 、William R. Cherry Awardの 経 緯( 表 1 )、 これまでの受賞者(表2)の説明がなされた。 2 表1 William R. Cherry Awardの 経 緯 This award is named in honor of William R. Cherry, a founder of the photovoltaic community. In the 1950's, he was instrumental in establishing solar cells as the ideal power source for space satellites and for recognizing, advocating, and nurturing the use of photovoltaic systems for terrestrial applications. The William R. Cherry award was instituted in l980, shortly after his death. The purpose of the award is to recognize engineers and scientists who devote a part of their professional life to the advancement of the technology of photovoltaic energy conversion. The nominee must have made significant contributions to the science and/or technology of PV energy conversion, with dissemination by substantial publications and presentations. Professional society activities, promotional and/or organizational efforts and achievements are not considerations in the election for the award. 表2 Dr. Paul Rappaport 1980 Dr. Joseph L. Loferski 1981 Prof. Martin Wolf 1982 Dr. Henry W. Brandhorst 1984 Mr. Eugene L. Ralph 1985 Dr. Charles E. Backus 1987 Dr. David E. Carlson 1988 Dr. Martin A. Green 1990 Mr. Peter A. Iles 1991 こ れ ま で の William Cherry Awardの 受 賞 者 Dr. Lawrence L. Kazmerski 1993 Prof. Yoshihiro Hamakawa 1994 Dr. Allen M. Barnett 1996 Dr. Adolf Goetzberger 1997 Dr. Richard J. Schwartz 1998 Dr. Christopher R. Wronski 2000 Dr. Richard M. Swanson 2002 Dr. Ajeet Rohatgi 2003 Dr. Timothy J. Coutts 2005 Dr. Antonio Luque 2006 Dr. Masafumi Yamaguchi 2008 Dr. Stuart Wenham 2009 Dr. Richard King 2010 Dr. Jerry Olson 2011 Dr. Sarah Kurtz 2012 Dr. Keith Emery 2013 Dr. Ron Sinton 2014 今 回 の 受 賞 者 は 、Christiana Honsberg (ア リ ゾ ナ 州 立 大 )で 、中 間 バ ン ド や 量 子 井 戸 等 の 先 端 PV 概 念 に 関 す る 先 駆 的 貢 献 が 評 価 さ れ た も の で あ る 。米 国 DOD の DARPA( 国 防 高 等 研 究 開 発 局 ) “Very High Efficiency Solar Cell (VHESC)” プ ロ ジ ェ ク ト の 共 同 リ ー ダ ー と し て 、 効 率 42.8%の 達 成 、 III-V-N 系 太 陽 電 池 の 研 究 推 進 、 高 性 能 Si 太 陽 電 池 等 に 貢 献 し た 。 ま た 、 NSF、 DOE の サ ポ ー ト に よ る PV に 関 す る 米 国 の 他 機 関 統 合 の Engineering Research Center (ERC) の セ ン タ ー 長 と し て 、30 数 機 関 の 国 内 、国 際 学 界 、産 業 界 に わ た る 研 究 開 発 をリードしている。 3 5 . 本会 議 のト ピ ックス プレーナリおよび招待講演を中心に、本会議のトピックスを紹介する。 5.1 基礎、新材料・デバイス分野: Albert Polman( FOM Institute) は 、 “ High-Efficiency Solar Cells by Nanophotonic Design” と 題 し て 、 プ レ ー ナ リ 講 演 を 行 っ た 。 ナ ノ 構 造 誘 電 体 、 金 属 の metasurface、 metamaterial アーキテクチャが、太陽電池の光カップリング、トラッピングおよび変換の制御に有効で ある。 図4 ガラス状の Au ナノホールの Plasmo-electric 効果 (M.T. Sheldon et. al., Science, 346, 828 (2013)) 講演では、いくつかの事例が示された。Mie 散乱構造が、IBC-Si や a-Si 薄膜太陽電池の光のカプ リングやトラッピングに有効である。Al2O3/Si 上の TiO2 のナノパターンにより、反射率が 32.4% から 1.6%に改善されている。EVA に Si のナノ構造を埋め込むことで、やはり 600~1000nm の波長 域の反射率が 2%以下に改善されている薄膜 CIGS 太陽電池に埋め込みナノスケールの誘電体散乱構 造が、光トラッピングを促進させ、表面再結合を軽減させる。また、金属ナノ構造が、ITO の代替 として、P3HT-PCBM 有機太陽電池や HIT-Si 太陽電池の透明導電層として作用することを実証してい る。太陽電池モジュールガラスの効率的な反射防止コーティングとして働くナノパターンゾルゲル コーティングも開発している。先端 soft-imprint 技術が、km 四方の規模で、これらの設計による 製造を可能としている。図4に示すように、光を直接、光電位に変換する金属ナノ構造による新し いプラズモ電気効果についても述べた。 5.2 CIGS、CdTe、Ⅱ―Ⅵ化合物薄膜セル分野: CdTe や CIGS 系の化合物薄膜セルは、アモルファス Si および微結晶 Si 薄膜セルと共に、低コスト の薄膜太陽電池として期待されている。これらの材料は、真空蒸着やスパッタ法などで、わりと簡単 に作製でき、多結晶薄膜でありながら、多結晶粒界が少数キャリアのキラーにはなっていなかったり、 不活性化されていたりして、結晶粒径 1μmでも高効率が期待できる。 4 ( 1 )Robert W. Collins( Univ. Toledo)は 、”Polarization Probes Polycrystalline PV Performance Precisely”と 題 し て 、 プ レ ー ナ リ 講 演 を 行 っ た 。 図 5 に 示 す よ う に 、 薄 膜 多 結 晶 太 陽 電 池 の レ コ ー ド効 率 は増 加 を続 け 、 ZSW に よ る Cu(In,Ga)Se 2 (CIGS)の 21.7% 、 First Solar に よ る CdTe の 21.5% で ある 。表 3 に 、 CdTe、 CIGS 太 陽 電 池、 モ ジュ ー ルの 特 性 比較 を 示す 。 顕 著 な 改 善は 、 Jsc、 Voc で あ り 、窓 層 の改 善 や光 吸 収 層の 傾 斜バ ン ドギ ャ ッ プ、 ポ スト 堆 積 処理などによる。効率改善に、窓層や光吸収層の改善が大きく効いているので、リアルタ イムのインラインの評価ツールの構築が重要である。図6に示すように、高速で非侵入プ ローブの開発で、インライン評価が可能となり、研究室での性能改善から製造ラインへの 適 用 の 可能 性 が出 て 来て い る 。 図5 CdTe、 CIGS 太 陽 電 池 の構 造 と高 効 率化 の 進 展( Prof. Collins 提 供 ) 表3 CdTe、 CIGS 太 陽 電 池 、モ ジ ュー ル の特 性 比 較( Prof. Collins 提 供 ) 5 図6 図7 リア ル タイ ム 、イ ン ・ ライ ン 評価 シ ステ ム (Prof. Collins 提 供) CIGS 太 陽 電 池の製 造 プ ロセ ス と SE 測定 モ ニ タリ ン グの 位 置( Prof. Collins 提 供 ) 本 講 演 では 、マ イ クロ波( THz)か ら紫 外 光(フ ォ ト ンエ ネ ルギ ー:0.45~ 6.3meV、0.035 ~ 8.86eV) の 範 囲 の 偏 光 電 磁 波 を 用 い た 反 射 分 光 エ リ プ ソ メ ト リ ィ ( SE) の 適 用 に よ る 多 層構造の解析や詳細な光学的特性の新規解析が述べられた。フォトンエネルギーやキャリ ア濃度、移動度、組成、粒径、応力などの基礎的特性の関数として光学特性を表現するこ とにより、データ解析により、基礎物性が直接導出できる。これらの解析の適用により、 6 活 性 材 料 の 光 吸 収 の フ ォ ト ン エ ネ ル ギ ー に わ た る 結 果 や 太 陽 電 池 の 外 部 量 子 効 率 ( EQE) が 、 パ ラメ ー タを 変 化さ せ る こと な しに 予 測で き る 。 EQE 測 定と の比 較 は 、こ れ らの 予 測 を正当化でき、収集不足に洞察を提供できる。誘電体アレイを用いたマルチチャンネルエ リ プ ソ メー タ ーは 、開 発中 の 工 業材 料 のリ ア ルタ イ ム 評価 や 製造 中 の PV パ ネル の イン ラ イ ン 評 価 にお い て高 速 測定 を 可 能と し てい る 。講 演 で は 、図 7 、図8に 示 す よう に 、Mo 上 の 3 段 階 CIGS 共 蒸 着 のリア ル タ イム 評 価 、CIGS や CdTe 太 陽 電池 の 光学 デ ー タベ ー ス開 発 や EQE シ ミ ュ レー シ ョン、 大 面 積 CdTe パ ネ ルや フ レ キシ ブ ル roll-to-roll PV コン ポ ーネ ン ト 層のインラインマッピング(ガラスを通しての評価と薄膜側の評価共に)にマルチチャン ネ ル SE の 広 範 な適 用が 述 べ られ た 。 図8 CIGS 太 陽 電 池製造 中 の 光吸 収 層成 膜 過程 の リ アル タ イ ム SE 測 定 ( Prof. Collins 提 供 ) ( 2 )T.M. Friedlmeier ら( ZSW)、“ Improved Photocurrent in Cu(In, Ga)Se 2 Solar Cells: from 20.8% to 217% Efficiency” と 題 し て、 招 待講 演を 行 っ た。 表 4に 、 CIGS の 高 効 率 セル の 効 率 を 示 す 。ZSW は 、先 に 、効 率 20.8% を 報 告し て い たが 、今 回 、効率 21.7% の 世 界 最高 効 率 を 達 成し た 。今 後 、特 性 改 善に よ り、 効率 23.9% が 可 能 で 、将 来的 に は 、効 率 25% が期 待 で き ると し てい る 。講 演 で は、 効 率 20.8%か ら 21.7% へ の 改 善の道 筋 が 述べ ら れた 。 ① PDT(Post Deposition Treatment) 処 理 によ る太 陽 電 池の 飽 和電 流 密度 J 0 お よ び n フ ァ クタ ー の 改 善の 結 果 、Voc の 向 上 、② CdS バ ッ ファ 層の 薄 層 化に よ るブ ル ー領 域 の 量子 効 率(QE) 増 加 の 結果 、Jsc 向 上 、③ PDT 処理 に よる CdS 層 の 均 一化 の 結果 、光吸 収 損 の低 減 、④光 吸 収 層 の 組成 傾 斜に よ る Jsc 増 加、な どが 効 果をあ げ 、表 4 に示 す ように 、効率 21.7% の 世 界 最 高 効 率が 達 成さ れ てい る 。CdS フ リー バ ッフ ァ 層 とし て、Zn(O,S)も 検 討 され 、効 率 21.0% ( Voc=717mV、 Jsc=37.2mA/cm 2 、 FF=78.6%) が 得 ら れ て い る 。 今後は 、 バ ッ フ ァ 層 の 光学 特 性 改 善に よ る Voc 改善 を は かる と して い る。企 業 のた め の 30x30cm 2 の プ リ プ ロダ ク ショ ン ラ イ ンの 検 討も し てい る と の事 で ある 。 7 Voc (mV) Jsc (mA/cm2) FF ( % ) η( % ) 表 4 CIGS 太 陽 電池 効率 の 状 況と 高 効率 化 の可 能 性 ZSW Solar Solibro ZSW Frontier 7578 686 757 748 34.8 39.9 35.7 36.5 70.1 76.4 77.6 79.4 20.8 20.92 21.0 21.7 Potential 736.3 39.9 81.2 23.9 ( 3 )閉会 式 の会 議 ハイ ラ イ トで 、First Solat に よ る 効 率 18.6% モ ジュ ー ル 、H. Hiroi ら( ソ ー ラ ー フロ ン ティ ア )に よ る 高バ ン ドギ ャ ップ( Eg=1.54eV)CIGS セ ル で 効 率 15.54% 、H. Sugimoto ら( ソ ーラ ーフ ロ ン ティ ア)に よ る CZTSSe( Cu 2 ZnSn(S,Se) 4 )サ ブ モ ジ ュー ル で、 効 率 11.8% 、 が 紹介 され た 。 (3-1) R. Garabedian( First Solar)は 、“ Changing our Energy Future Quietly with Utility Scale PV”と 題 して 、基 調 講演 を 行 った 。マレ ー シア 工 場 での モ ジュ ー ルコ ス ト は、40 セ ン ト /W 以 下 で 、最良 製 造ラ イン で の CdTe の 平 均 モジ ュ ー ル効 率 は 15.6% で 、現 在 、効率 16.3% の モ ジ ュ ール を 出荷 し つつ あ る。講 演の 中 で、CdTe 太 陽 電池 お よび 高 効率 化 の 進展 を 述べ た。 CdTe 太 陽 電 池の 高 効率 化 は 、 CIGS 太 陽 電池 と 同 様に 、 図9 に 示す よ う に、 組 成制 御 によ る バ ン ドギ ャ ップ 傾 斜が な さ れ、 図 10 に 示す よ う に、 波長 880nm 以 上 の 赤色 の 領域 で の 量 子 効 率の 改 善が は から れ て いる 。 短絡 電 流密 度 Jsc で 、 約 2mA/cm 2 の 改 善 が はか ら れて いる。図10でもわかるように、青色の波長領域でも、量子効率の改善がはかられている が 、 窓 層の 改 善に よ るも の で 、Jsc で 、 約 1mA/cm 2 の 改 善 がは か られ て い る。 ま た、 Eg 傾 斜 は 、CdTe 層 の 欠 陥 パッ シ ベ ーシ ョ ンに 効 果が あ り 、キャ リ ア寿 命が 6ns か ら 26ns に 向 上 し 、 Voc の 改 善 が は か ら れ て い る 。 こ れ ら の 改 善 の 結 果 、 CdTe 太 陽 電 池 で 、 効 率 21.5% ( Voc=666mV、 Jsc=39.3mA/cm2、 FF=80% ) の 世 界 最 高 効 率 が 達 成 さ れ て い る 。 ま た 、 面 積 0.7m 2 モ ジ ュ ー ルで 、ア パ ー チャ 効 率 18.6% を 実 現 して い る。 CdTe は 、 初 期劣 化 等、 準 安 定 性 が あっ た が、 共 同研 究 で 、劣 化 も軽 減 され つ つ ある と の事 で ある 。 図10 図 9 高効 率 CdTe 太 陽電 池 の 断面 ( Source: First Solar) バ ン ド ギ ャ ッ プ 傾 斜 に よ る CdTe 太 陽 電 池 の 量 子 効 率 向 上 ( Source: First Solar) (3-2) H. Hiroiら( ソー ラ ー フロ ン ティ ア )は、“ 960mV Open Circuit Voltage Chalcopyrite Solar Cell” と 題 し て 、 pure sulfideの 高 バ ン ド ギ ャ ッ プ CIGS太 陽 電 池 の 高 効 率 化 の 進 展 を 報 告 した 。H s Sガ ス によ る 硫 化中 に 、光吸 収層 に Cu x S層 が 形 成さ れ、KCNエ ッ チ が必 要 とな 8 る が 、KCN不 要 な か つ 高品 質 な 光吸 収 層の 実 現を 目 指 して 、結 晶 成長の 高 温 度化 が 有効 で あ る こ と を 見 出 し 、 Voc、 Jscの 改 善 が は か ら れ 、 図 1 1 に 示 す よ う に 、 高 バ ン ド ギ ャ ッ プ ( Eg=1.54eV) CIGSセ ルで 効 率 15.54% を 達成 した 。 図11 高 バ ンド ギ ャッ プ ( Eg=1.54eV) CIGSセ ル の 構造 と 効率 15.54% の 達 成 ( Dr. H. Sugimo提 供 ) (3-3) H. Sugimotoら(ソ ー ラ ーフ ロ ンテ ィ ア)は 、“ Impact of Buffer Layer on Kesterite Solar Cells” と 題 し て 、 CZTSSe( Cu 2 ZnSn(S,Se) 4 ) サ ブ モ ジ ュ ー ル に 関 す る 招 待 講 演 を 行 っ た 。 CZTSSe は 、 豊 富 な 材 料 で 、 低 コ ス ト が 期 待 さ れ て い る 。 IBM に よ る 効 率 12.6 % ( 面 積 0.4209cm 2 、 Voc=513.4mV、 Jsc=35.21mA/cm 2 、 FF=69.8% ) の 現 状 で あ る 。 今 回 、 表 面 側 の S 組 成 傾 斜に よ る Eg傾斜が 検 討 され 、キ ャ リア再 結 合 の軽 減 によ る Jscの 改 善 がは か れて い る。 効 率 10.8% か ら 、11.4%( Voc=503mV、Jsc=35.0mA/cm 2 、FF=64.6% )に改 善 が はか ら れて い る 。ま た 、バッ フ ァ層の 改 善 に関 し て 、In 2 S 3 /CdSハ イ ブリ ッ ドバ ッフ ァ 層 の適 用 によ る Voc ( 633mV→ 686mV) 、 FF( 50.6% → 56.0% ) の 改 善 が は か ら れ て い る 。 メ カ ニ ズ ム と し て 、 CdS上 の In 2 S 3 堆 積 後の熱 処 理 によ り 、CdSお よび CZTS層 へ の Inの 拡 散に よ る キャ リ ア濃 度 の 増 加 が 考え ら れて い る。 キ ャ リア 濃 度増 加 によ る light soaking効 果 も期 待 で き、 サ ブモ ジ ュ ー ル( 面 積 10.69cm 2 )で 、図 1 2に 示 すよ うに 、効 率 11.8%( Voc=503mV、Jsc=35.1mA/cm 2 、 FF=66.8% ) が 達 成さ れて い る 。 図12 CZTSSe( Cu 2 ZnSn(S,Se) 4 ) サ ブ モ ジ ュー ル で 効率 11.8% の 達成 ( Dr. H. Sugimo提 供 ) 9 5.3 III― V族 化 合物 セル お よ び集 光 型太 陽 電池 分 野 : (1)A.W. Bett(FhG-ISE)は、”Challenges and Perspectives of CPV Technology”と題して、 プレーナリ講演を行った。集光太陽光発電(CPV)技術は、太陽光から所定の面積に最も高い電気出 力を発生する。高倍集光(HCPV)は、平板 PV システムに比べ、面積当たり約2倍の出力を発生でき る。システムレベルの高変換効率は、用いる高効率多接合太陽電池に由来する。これらの太陽電池効 率は、図13に示すように、10 年以上前から、年々増加し続け、絶対効率約 1%/年で増加し、現在、 図14に示すように、レコード効率 FhG-ISE、Soitec、CEA によるダイレクトボンディング4接合セ ルの効率 46%、NREL による GaInP/GaAs/GaInAs/GaInAs 逆エピ構造4接合セルの効率 45.7%である。 しかし、多くの種々の技術プロセスが研究開発中であるから、効率 50%を超えのさらなる向上の余 地がある。 図13 高倍集光(HCV)のセル、モジュール、システム効率の変遷(Dr.A. Bettt 提供) 図14 レコード HCPV セルの構造とレコード効率(Dr.A. Bettt 提供) HCPV モジュール効率も同様に、図9に示すように、約 0.8%/年の率で増加している。これは、集 光光学系の光学効率の増加も反映している。現在、レコードモジュール効率は 36.7%であるが、40% モジュールの実現が期待できる。従って、HCPV 技術は、図15に示すように、格段の進歩を示して おり、将来も明るいとも見られている。また、図16に示すように、CPV のシステムコストは、現状、 0.95 ユーロ/Wp、ターンキィの設置コストも、1.3 ユーロ/Wp~2.5 ユーロ/Wp と低減されている。し かし、CPV 市場を見ると、異なる構図が生じている。図17に示すように、2009~2012 年に期間は、 10 市場成長は印象的に良かったが、現在は、停滞している。いくつかの企業は、ビジネスから撤退し、 他は、ちょうど、成長を始めつつある。現況は、流動的で、不安定である。しかし、数 MW 規模の大 規模発電に関して堂々とした性能データが得られている。これらのデータは、発電応用において、CPV 技術の魅力と可能性を示している。講演では、CPV 技術および市場の現状をまとめた。また、CPV 技 術の今後の挑戦、課題についても言及した 図15 HCPV セル、モジュール、システムの研究段階および実用レベルの効率の現状 (Dr.A. Bettt 提供) 図16 CPV システムコストの現状(Dr.A. Bettt 提供) 図17 CPV 市場規模の変遷(Dr.A. Bettt 提供) 11 ( 2 ) F. Dimrothら ( FhG-ISE) は 、 “ Four-Junction Wafer Bonded Concentrator Solar Cells” と 題 し て 、 招 待 講 演 を 行 っ た 。 多 接 合 太 陽 電 池 の 集 光 動 作 に よ り 、 50% 以 上 の 高 効 率 化 が 期待できる。スペクトルスプリッティングやメカニカルスタックは、システム構成上、コ スト高になろうとの見解が述べられた。モノリシックタンデムが妥当で、格子整合系 GaInP/GaInAs/Ge3 接 合セ ル が 、以前 の 主流 であ っ た が 、集 光 動作 でも 、効 率 41.6% 程 度 で あ っ た 。さら な る高 効率 化 の ため に は 、格 子不 整 合 系や III-V-N化 合物 の 適 用が 必 要で あ る。 格 子 不 整合 系 は 、転 位発 生 が 課題 で ある が 、シ ャ ー プは 、逆 エピ 構造 InGaP/GaAs/InGaAs3 接 合 セ ルで 、非 集光 効率 37.9% 、250~ 300倍 集 光 で 効率 44.4% を 達成 し て いる 。Emcoreは 、 逆 エ ピ 構 造 InGaP( Eg= 1.9eV) /InGaAs( 1.4eV) /InGaAs( 1.0eV) /InGaAs( 0.7eV) 4 接 合 セ ル で 、 AM0効 率 34,2 % を 実 現 し て い る 。 III-V-N 系 に お い て は 、 Solar Junctionは 、 InGaP/GaAs/InGaAsNSb3 接 合 セル の 集光 動 作で 効 率 44.1% を 実 現 して い る 。 サ ブ セ ル 材 料 の 組 み 合 わ せ の 柔 軟 性 か ら は 、 貼 り 合 わ せ 技 術 の 適 用 や 、 オ ン Si技 術 の 適 用 が 有 効 で あ る 。 Spectrolabは 、 GaAs基 板 上 の AlInGaP/InGaP/GaAs3 接 合 セ ル の エ ピ タ キ シ ャ ル ・ リ フ ト オ フ (ELO) し た も の と InP基 板 上 の InGaAsP/InGaAs2 接 合 セ ル の 直 接 ボ ン デ ィ ン グに よ る5 接 合セ ル で 、 AM1.5G効 率 38.8% 、 AM0効 率 35.1% を 達 成 し てい る 。 先 に 、 FhG-ISE、 Soitec、 HZB、 CEA-Letiの 共 同 開 発 に よ り 、 4 接 合 セ ル の 297倍 集 光 で 、 44.7 % の 世 界 最 高 効 率 を 達 成 し た 事 を 発 表 し た 。 図 1 8 に 示 す よ う に 、 GaAs 基 板 上 の InGaP/GaAs2 接 合 セ ル ( FhG-ISE製 ) と InP基 板 上 の InGaAsP/InGaAs2 接 合 セ ル ( HZB製 ) と を ウ エ ハ ボ ン デ ィ ン グ で 貼 り 合 わ せ る メ カ ニ カ ル ス タ ッ ク 法 ( Soitec)に よ り 、 モ ノ リ シ ック(2端子)4接合セルを実現したものである。格子整合型で、古くから、理想的構造 と言われていたが、2枚の化合物基板を使用することで、高価であることから、本格的検 討はなされてはいなかった。昨今の高効率化の競争の中で陽の目を見たような気がする。 ① GaInPト ッ プ セ ルの エミ ッ タ 改良 に よる 高 収集 電 流 化、② GaInP/AlGaAsト ン エ ルダ イ オー ド の 透 明化 、③ GaAs系サ ブ セ ルの Eg、層 厚の増 加 に よる 高 Voc、Jsc化 、④ GaInPAsサ ブ セ ル の Eg低 減 に よ るサ ブ セル の 電 流整 合 、改善 がな さ れ 、345.4倍 集 光下で 、効 率 46.5% を 達 成 し て い た 。 図 19 は 、世 界 最 高 効 率 4接 合 の構 造 、 4 接 合 セル の 345.4倍 集 光 下 で の 動作 特 性 、 を 示 す 。 そ の 後 、 後 述 す る 集 光 太 陽 光 発 電 に 日 欧 共 同 研 究 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト で 、 AIST に よ る 測定 が なさ れ 、効 率 46.0% が 認定 さ れて い る 。 今回、①エピタキシィの改善による表面ラフネスの改善、②エピタキシィの改善による 各サブセル層の欠陥低減、③ウエハボンディング界面の清浄化を含めた技術改良、④界面 抵 抗 の 低 減 ( 3.29mΩ cm 2 → 1.32mΩ cm 2 ) と 電 圧 損 の 低 減 ( 300倍 集 光 で 10mV以 下 ) 、 等 に よ り 、図 2 0に 示 すよ うに 、ウ エ ハボ ン ディ ング GaInP/GaAs/GaInAsP/GaInAs4 接 合 セル の 312 倍 集 光 下 で 、 効 率 46.1% を 実 現 し て い る 。 今 後 、 AIST、 NRELで の 測 定 に よ り 、 認 定 デ ー タ が 決 ま ろう 。 現 状 の 生 産 段 階 の セ ル の AM1.5D集 光 効 率 38~ 40% 、 AM0効 率 29~ 31% を 、 中 長 期 的 に は 、 AM1.5D集 光 効 率 45~ 50% 、 AM0効 率 33~ 38% とし た い と結 ん だ。 12 図18 図19 4 接 合セ ル の作 製 プ ロセ ス (Dr. F. Dimroth提 供 ) 世 界 最高 効 率4 接 合 セル の 構造 、345.4倍 集 光 下 での 動 作特 性( Dr. F. Dimroth提 供) 図20 今 回 の4 接 合セ ル の 集光 動 作特 性 (Dr. F. Dimroth提 供 ) 13 (3)M. Yamaguchi(豊田工大)、A. Luque(UPM)は、“Summary of Europe-Japan Collaborative Research on Concentrator Photovoltaics”と題して、集光太陽光発電(CPV)に関する日欧共同研究 開発プロジェクトクトの総合報告を行った。 シャープは、先に、図21に示すように、逆エピ構造格子不整合系 InGaP/GaAs/InGaAs3接合太陽 電池で 37.9%と、3接合セルの非集光動作下での世界最高効率を達成しているが、電極設計等、直 列抵抗および光損失の低減をはかって、集光下でも、3接合セルの世界最高効率を達成している。こ のデータは、日欧の共同研究開発プロジェクトにおいて、FhG-ISE により測定され、図22に示すよ うに、250~300 倍集光下で 44.4%の3接合セルでの世界最高効率が実現している。 図22 InGaP/GaAs/InGaAs3接合セルの集光 特性(Dr. T. Takamoto 提供) 図21 逆エピ構造格子不整合系3接合太陽 電池の宇宙および集光太陽光発電応用 (Dr. T. Takamoto 提供) 図23 FHG-ISE グループの世界最高効率4 接合セルの AIST による測定結果 図24 CPV セルの加速寿命試験結果 逆に、先に、FhG-ISE が報告した4接合セルに関して、日欧共同研究開発プロジェクト下において、 FhG-ISE と AIST による CPV セル、モジュールの標準測定の取り組みがなされ、AIST が測定し、図2 3に示すように、508 倍集光下で、効率 46.0%が得られ、この値が、世界最高効率として、認定され ている。図24は、CPV セルの加速寿命試験結果である。UPM、FhG-ISE、大同特殊鋼、シャープによ る共同研究がなされた。5%の特性劣化を容認するとして、80℃で 820 倍の動作条件では、寿命 113 14 年が推定されるが、100℃で 820 倍の動作条件では、寿命 7 年と推定され、後者のようなケースは、 温度上昇低減が要求され、CPV セル、モジュール、システムのさらなる高度化が必要である。この他、 改良 4 接合セルで、効率 44.7%、CPV ミニモジュールで、効率 34.6%、大同特殊鋼と BSQ-Solar に よりスペインに設置した CPV システムで、平均システム効率 27.8%、III-V/Si タンデムセルの高効 率化の可能性、多重量子井戸(MWQ)セルの多接合用ミドルセルとしての有効性、量子ドット(QDs) セルの可能性、原子スケールの評価解析、などの成果が得られている。 (4)本会議のハイライトでは、III-V および集光セル、モジュールの高効率化の進展、III-V/Si タンデムや低コスト化が最近のトピックスとなっていることが紹介された。 5.4 結 晶 Si太 陽 電池 分野 : (1)A. Cuevasら(ANU)は 、“ Skin care for healthy solar cells – Surface passivation to passivated contacts” と 題 し て 、 プ レ ー ナ リ 講 演 を 行 っ た 。 電 子 と 正 孔 が 再 結 合 し な い よ う に 、 絶 縁 膜 等 に よ り 表 面 を 不 働 態 化 す る パ ッ シ ベ ー シ ョ ン が 、 結 晶 Si太 陽 電 池 の 高 効率化に重要である。現状では、表面パッシベーションは十分とは言えず、改善の余地が ある。パッベーション膜について、図25に示すように、種々の膜があり、化学的パッシ ベ ー シ ョに よ る界 面 準位 密 度 Ditの 低 減 と膜 中の 固 定 電荷 密 度 Qtの 効果 利 用 があ る 。図 2 6 は、パッシベーション膜による少数キャリア寿命の改善とドナー濃度依存性を示す。 Al 2 O 3 &SiN x は 、47msの キ ャ リ ア 寿命 、a-Si:H(i)は 、100msの キ ャ リ ア寿命 が 限 界で あ る 。新 し い パ ッシ ベ ーシ ョ ン膜 で あ る GaO x は 20ms、 MoO x は 7ms程 度 と の事 であ る 。 図25 種 々 のパ ッ シベ ー シ ョン 膜 の界 面 準 位 密度 Ditと 固 定 電荷 密 度 Qt( Prof. A. 図26 Cuevas提 供 ) キャリア寿命の改善とドナー濃度依存性 パッシベーション膜による少数 ( Prof. A. Cuevas提 供) コ ン タ クト 部 の再 結 合抑 制 に は 、選 択 コン タク ト が あり 、図 27 に示 す よ うに 、タ イプ A ( MIS構 造 ) タ イ プ B( MSIS構 造 ) が あ る 。 タ イ プ Aと し て 、 P拡 散 + SiOx又 は a-Si:H層 が あ る 。こ の構 造 では 、コン タ ク ト抵 抗 ρ c と 再結合 電 流 J 0c と の トレ ー ドオ フ で はあ る が、n-Si ベ ー ス 太 陽 電 池 の n+ 拡 散 /SiOx/a-Si:H/Al の mixed metallic Phase 構 造 で 、 効 率 21 % ( Voc=666mV、 Jsc=39.3mA/cm2、 FF=80% ) が 得 ら れ て い る と の 事 で あ る 。 タ イ プ Bと し て 、 ポ リ Si( n+)/SiOxが 検討 さ れ、ρ c ≤ 10fA/cm2、J 0 ≤ 20mΩ cm2が 得 られ て い る。図2 8 に示 15 す よ う に 、 ポ リ Si( n+) /SiOxコ ン タ ク ト 太 陽 電 池 で 、 FhG-ISEに よ り 、 効 率 24.0% が 得 ら れ て い る 。 新 し い 材 料 と し て 、 透 明 、 キ ャ リ ア 選 択 と 導 電 膜 MoOxで は 、 効 率 16.7% の 状 況 で あ る 。複合 技 術と して 、EPFLに よ る MoOx/a-Si:H(i)正 孔 コ ン タク ト、n+ a-Si:H/a-Si:H(i) 電 子 コ ント ク ト構 造 の a-S:H/Siヘ テ ロ 接 合太 陽電 池 で、効 率 20.7%( Voc=720mV)や、ISFH に よ る PEDOT:PSS/SiOx正 孔 コ ンタ ク ト、 n+ P拡 散 構 造の 有 機 /Siヘ テロ 接 合 太陽 電 池で 、 効 率 20.6% ( Voc=657mV) の 状 況 で あ る 。 図 2 9 は 、 選 択 コ ン タ ク ト の コ ン タ ク ト 抵 抗 ρ c と 再 結 合 電流 J 0c と の 現 状を 示 す 。図 3 0に 示 すよ う に 、太 陽 電池 の 薄型 化 に よる Vocの 向 上 が 可 能 で ある 。 図27 図28 選択コンタクトによるコンタク ポ リ Si( n+) /SiOxコ ン タ ク ト 太 陽 電 池 の 構 造 と 特 性 ( Prof. A. Cuevas提 ト の 不 働態 化 ( Prof. A. Cuevas提 供 ) 供) 図29 選択コンタクトのコンタクト抵 抗 ρ c と 再 結 合 電 流 J 0c と の 現 状 ( Prof. A. Cuevas提 供 ) 図30 太 陽 電 池 の 薄 型 化 に よ る Vocの 向 上 ( Prof. A. Cuevas提 供 ) ( 2 ) 前回 の 会議 で 、結 晶 Si太 陽 電 池の 世 界最 高 効 率の 更 新が あ った の で 、紹 介 する 。 (2-1) Sunpowerは 、 図3 1 に 示す よ うに 、 面積 121cm 2 セ ル の バッ クコ ン タ クト セ ルで 、 効 率 25.0%( Voc=730.3mV、Jsc=41.22mA/cm 2 、FF=82.96% お よ び Voc=725.6mV、Jsc=41.53mA/cm 2 、 FF=82.84% ) を実 現 して い る 。 16 図31 Sunpowerの 効 率 25.0% の バ ック コ ンタ ク ト セル の 構造 と 特性 ( Dr. R. Swanson提 供 ) (2-2) パ ナ ソ ニ ッ ク は 、 前 回 会 議 で 、 世 界 最 高 効 率 25.6% の 発 表 を 行 っ た 。 こ れ ま で 、 UNSWの PERLセ ル( 面積 4cm 2 )の 効 率 25.0%( Voc=706mV、Jsc=42.7mA/cm 2 、FF=82.83% )が 世 界 最 高だ っ たが 、15年 振 り に記 録 を塗 り 替え 、注 目を 浴 びた 。先に 、98μ m厚 の 101.8cm 2 の ヘ テ ロ 接 合 ( HIT) セ ル で 効 率 24.7% ( Voc=750mV、 Jsc=39.5mA/cm 2 、 FF=83.2% ) を 達 成 し て い る 。 パ ッ シ ベ ー シ ョ ン 効 果 と 薄 型 化 等 に よ り 、 高 い 開 放 端 電 圧 Voc=750mVが 達 成 し て い る 。24.7% セ ルの 損 失 分析 が なさ れ 、表 面 電 極に よ るシ ャ ード ー 損 、表面 a-Siや TCO の 吸 収 損に よ る光 損 失が 約 60% 、再 結 合損 失約 23% 、抵 抗 損 失約 17% と な って い る 。図 3 2 に 示 すよ う に 、バック コ ン タク ト 構造 の 適用 を は かり 、表 面 のシャ ー ド ー損 や 光吸 収 損 の 低 減 をは か った 。a-Si層 の パ タ ーニ ン グ 、成長 条 件 の最 適 化 、エ レク ト ロ ブレ ー ティ ン グ に よ る約 40μ 厚 の 裏面 金 属 電極 形 成 、を 検討 し た 。図3 3 に示 すよ う に 、表面 a-Siと TCO の 吸 収 損低 減 によ る 短波 長 域 の量 子 効率 の 改善 、表 面電 極 のシ ャ ード ー 損 の消 去 によ り 広 い 波 長 域で の 約 3%の 量子 効 率 の改 善 がは か られ 、77% の 光 損 失 の低減 が は から れ 、Jsc向 上 に つ なが っ た。 図32 ヘテロ接合バックコンタクトセ ル の 構 造( K. Masuko et al, Proc. 40 th IEEE PVSC (to be published)) 図 3 3 世 界 最高 効 率 25.6% の ヘ テロ 接 合 バ ッ クコ ン タク ト セル の I-V特 性 ( K. Masuko et al, Proc. 40 th IEEE PVSC (to be published)) 17 表 5 24.7% セ ル と 今回 の 25.6% の 特性 の 比 較 ( K. Masuko et al, Proc. 40 th IEEE PVSC (to be published)) 図 3 4 24.7% セ ル と 今 回 の 25.6% の 外 部 量 子 効率 の 比較 ( K. Masuko et al, Proc. 40 th IEEE PVSC (to be published)) 図 3 3 に 、世 界 最 高 効 率 25.6% の ヘ テ ロ 接 合 バ ッ ク コ ン タ ク ト セ ル の I-V特 性 を 示 す 。150 μ m 厚 の 143.7cm 2 の ヘ テ ロ 接 合 バ ッ ク コ ン タ ク ト Si ( CZ 成 長 n-Si ) セ ル で 、 効 率 25.6 % ( Voc=740mV、 Jsc=41.8mA/cm 2 、 FF=82.7% ) の 世 界 最 高 効 率 が 達 成 さ れ た 。 図 3 4 、 表 5 に は 、24.6% セ ル と 今 回 の 25.6% の 特 性 の 比 較 を 示 す 。24.7% セ ル に 比 べ て 、Vocが 1.3% 、 FFが 0.6% 下 が っ た が が 、 Jscは 5.8% 改 善 さ れ 、 効 率 3.6% の 向 上 に つ な が っ た 。 (2-3) シ ャ ー プ は 、前 回 会 議 で 、世 界 第 二 位 の 効 率 25.1% に 関 す る 成 果 を 発 表 し た 。ヘ テ ロ バ ッ ク コ ン タ ク ト ( HBC) セ ル は 、 25% 以 上 の 高 効 率 化 を 達 成 で き る 構 造 と 期 待 さ れ る 。 バ ッ ク コ ン タ ク ト( BC)構 造 に よ り 、表 面 電 極 の シ ャ ー ド ー 損 失 の 削 減 に よ る 高 Jscが 、ヘ テ ロ 接 合 に よ り 、 良 好 な 表 面 パ ッ シ ベ ー シ ョ ン に よ る 高 Vocが 可 能 で あ る 。 シ ャ ー プ で は 、 2003年 か ら 、 BCセ ル の 研 究 開 発 を 開 始 し 、 2011年 か ら 、 生 産 を 開 始 し て い る 。 図 3 5 HBCセ ル の 構 造( J. Nakamura et al, Proc. 40 th IEEE PVSC (to be published)) 図 3 6 SMT( Surface-Mount Technology) の コ ン セ プ ト( J. Nakamura et al, Proc. 40 th IEEE PVSC (to be published)) 図 3 5 は 、 HBCセ ル の 構 造 を 示 す 。 CZ成 長 n-Si(100)基 板 を 用 い た 。 片 面 は 、 ア ル カ リ 処 理 に よ る テ ク ス チ ャ 形 成 、 表 面 ク リ ー ニ ン グ の 後 、 PE-CVDを 用 い た a-Si層 堆 積 が な さ れ る 。 a-Si/c-Si界 面 特 性 、a-Si層 の パ タ ー ニ ン グ に 関 し て 、検 討 が な さ れ た 。I-V特 性 測 定 に は 、 図 3 6 に 示 す 、SMT( Surface-Mount Technology)が 用 い ら れ た 。図 3 7 は 、HBCセ ル の I-V 18 特 性 を 示 す 。表 6 に は 、HBC構 造 セ ル の 特 性 を 示 す 。効 率 25.1%( Voc=736mV、Jsc=41.7mA/cm 2 、 FF=81.9% 、Voc=729mV、Jsc=42.0mA/cm 2 、FF=82.0% )が 得 ら れ て い る 。さ ら な る 高 効 率 化 は、可能と結んだ。 表6 HBC構 造 セ ル の 特 性 ( J. Nakamura et al, Proc. 40 th IEEE PVSC (to be published)) 図 3 7 HBCセ ル の I-V特 性 ( J. Nakamura et al, Proc. 40 th IEEE PVSC (to be published)) ( 3 ) W. Dengら ( Trina Solar) は 、 “ 20.7% Efficient PERC Solar Cells on p-Type Multi-Crystalline Silicon Substrate ” と 題 し て 、 Trina Solarに お け る p型 多 結 晶 Siに よ る PERC構 造 太 陽 電 池 で 、 効 率 20.76% の 発 表 が あ っ た が 、 5.9の 同 社 の Dr. P. Verlinden の講演の項を参照されたい。 5.5 ア モ ル フ ァ ス 、 ナ ノ / マ イ ク ロ 結 晶 薄 膜 Si太 陽 電 池 分 野 : (1)E. Hamers(HyET Solar) は 、 “ The Future of Thin Film Silicon Solar” と 題 し て 、 プ レ ー ナ リ 講 演 を 行 っ た 。薄 膜 Si PVは 、BIPVに 適 し た も の と し て 期 待 さ れ て い な が ら 、昨 今 の PV市 場 の 急 激 な 成 長 に 対 応 で き な く な っ て い る 。課 題 は 、言 う ま で も な く 、効 率 向 上 、 光 劣 化 抑 制 、 コ ス ト 低 減 で あ る 。 薄 膜 Si太 陽 電 池 お よ び モ ジ ュ ー ル の 現 状 が 報 告 さ れ た 。 表 7 に 、 高 効 率 a-Siお よ び μ c - Si薄 膜 Si単 接 合 太 陽 電 池 特 性 の 認 定 デ ー タ を 示 す 。 a-Si セ ル 、 μ c-Siセ ル の 最 高 安 定 化 効 率 は 、 1cm 2 程 度 の 小 面 積 セ ル で 、 各 々 、 10.2% 、 11.8% で 、AISTに よ る 。Kanekaは 、a-Si/μ c-Si2 接 合 タ ン デ ム の 小 面 積 セ ル( 0.962cm 2 )、サ ブ モ ジ ュ ー ル ( 14.23cm 2 ) の 安 定 化 効 率 、 各 々 、 12.3% 、 11.7% を 以 前 、 達 成 し て い る 。 小 面 積 セ ル の 最 高 安 定 化 効 率 は 、 EPFLに よ る 12.6% で あ る 。 Hanenergyは 、 a-Si/μ c-Si2 接 合 タ ン デ ム の 1245mmx635mmモ ジ ュ ー ル の 初 期 効 率 12.8% 、 安 定 化 効 率 11.1% を 実 現 し て い る 。 TELは 、 1100mmx1300mmモ ジ ュ ー ル で 、 安 定 化 効 率 11.7% を 達 成 し て お り 、 12% 以 上 も 可 能 で 、 効 率 13% も 期 待 で き る と し て い る 。 a-Siセ ル の 劣 化 抑 制 や バ ン ド ギ ャ ッ プ の 最 適 化 、 ARコ ー テ ィ ン グ 、 表 面 テ ク ス チ ャ ー や light trapping、裏 面 反 射 、透 明 導 電 膜 の 光 吸 収 抑 制 、導 電 率 向 上( 高 移 動 度 IPCVD-ZnO) や ナ ノ イ ン プ リ ン ト グ ラ ス テ ク ス チ ャ に 関 す る 検 討 が 述 べ ら れ た 。 高 ス ル ー プ ッ ト G5の VHF-CVD装 置 開 発 ( 成 膜 速 度 2.3nm/secで 、 uniformity< ±8.5% ) も 紹 介 さ れ た 。 TELは 、 19 a-Si/μ c-Si2 接 合 タ ン デ ム の 1100mmx1300mmモ ジ ュ ー ル で 、 安 定 化 効 率 11.7% を 達 成 し て お り 、 12% 以 上 も 可 能 で 、 効 率 13% も 期 待 で き る と し て い る 。 現 在 、 安 定 化 効 率 10.5% の 151Wモ ジ ュ ー ル が 生 産 さ れ て い る が 、 安 定 化 効 率 11.7% 、 12.4% 、 13.1% で 、 各 々 、 出 力 167W、 177W、 188Wの 大 出 力 モ ジ ュ ー ル の 生 産 が 可 能 と し て い る 。 当 面 、 roof-tileな ど 、 roof-top市 場 、 シ ー ス ル ー モ ジ ュ ー ル を 適 用 対 象 と し て い る と の 事 で あ る 。 課 題 は 、 モ ジ ュ ー ル の 安 定 化 効 率 15% 以 上 、 CVDコ ス ト 低 減 、 ス ル ー プ ッ ト 、 yield 、 a-Siの 光 劣 化 抑 制 、 な ど で あ る 。 表7 高 効 率 a-Si お よ び μ c - Si 薄 膜 Si 単 接 合 太 陽 電 池 特 性 の 認 定 デ ー タ Jsc (mA/cm 2 ) Voc (mV) FF( % ) 効 率 (% ) 機関 a-Si 16.36 896 69.8 10.2 AIST a-Si 16.75 886 67.8 10.10 TEL Solar 29.39 548 73.1 11.8 AIST μ c-Si 26.55 549 73.3 10.69 EPFL μ c-Si ( 2 ) 会 議 の ハ イ ラ イ ト で 、 H. Saiら (AIST)が 、 a-Si:H/nc-Si:H/nc-Si:H3 接 合 タ ン デ ム 太 陽 電 池 で 、 効 率 13.6 % の 世 界 最 高 効 率 を 達 成 し た 事 が 紹 介 さ れ た 。 H. Sai ら は 、 “ High-Efficiency Thin-Film Silicon Solar Cells on Honeycomb Textures”の 発 表 論 文 に 対 し て 、 Outstanding Technical Achievement Awards を 受 賞 した 。 5.6 有機太陽電池分野: ( 1 )H. Snaith ( Univ. Oxford)は 、“ From 結 合 エ ネ ル ギ ー は 、 5~ 16meVで あ り 、 無 Nanostructured Thin-film 機 系 太 陽 電 池 の 様 相 を 示 す 。 2009年 の 効 Perovskite Solar Cells” と 題 し て 、 プ 率 3.8% か ら 最 近 の 効 率 20.1% の 変 遷 、最 レーナリ講演を行った。最近、ペロブス 近の研究開発の状況が述べられた。 to カイト太陽電池がトピックスとなり、多 く の 研 究 者 、技 術 者 が 参 入 し て い る 。1839 年のロシアの鉱物学者により発見された CaTiO 3 に 代 表 さ れ る ペ ロ ブ ス カ イ ト の 結 晶 構 造 の 紹 介 の 後 、 溶 媒 ( DMF) 中 で の CH 3 NH 3 I+PbHI 2 (PbCl3)の 形 成 プ ロ セ ス 、二 段 階 堆 積 法 、 dual-source thermal evaporation な ど の 形 成 方 法 が 紹 介 さ れ た。今日、ぺロブスカイト太陽電池に用 い ら れ て い る CH 3 NH 3 PbI3は 、 1.55eVの 直 接遷移型のバンドギャップを有する。小 図38 結 晶 粒 界 だ が 、少 数 キ ャ リ ア 拡 散 長( 100 率化の変遷と他の太陽電池の効率変遷 ~ 1000nm) を 持 ち 、 高 光 吸 収 係 数 ( GaAs ( 29 th EU-PVSEC会 議 ハ イ ラ イ ト : に 近 い 光 吸 収 係 数 )、ε ~ 6.5、移 動 度( 電 Dr. A. Jaeger-Waldau提 供 ) 2 2 子 7.5cm /Vs、正 孔 12.5~ 66cm /Vs)な ど の物性についても述べられた。励起子の 20 ペロブスカイト太陽電池の高効 図 3 8 に 、 ペ ロ ブ ス カ イ ト 太 陽 電 池 の 高 効 率 化 の 変 遷 を 示 す 。 2009年 に 、 宮 坂 ら の グ ル ー プ が 、 色 素 増 感 太 陽 電 池 の sensitizerと し て 、 CH 3 NH 3 PbI 3 を 導 入 し 、 効 率 3.8% を 得 た の が 最 初 であ る ( A. Kojima et al., J. Am. Chem, Soc. 131, 6050 (2009).) 。 mesoporous 金 属 酸 化 物 と し て 、 TiO 2 の 代 わ り に 、 Al 2 O 3 が 提 案 さ れ て い る が 、 高 効 率 は 達 成 さ れ て い な い 。 CH 3 NH 3 PbI 3 /TiO 2 構 造 で は 、 効 率 12.8% が 得 ら れ 、 プ レ ー ナ 構 造 も 検 討 さ れ 、 Graetzel の グ ル ープ は、効 率 15.45% を 得て い る。その後 、Seokの グ ル ー プは 、効 率 17.9% が 実現 し 、 UCLAの グ ル ー プは 、効率 19.3% を 得 てい る 。公 認 さ れて い る最 高 効率 は 、KRICTに よ る 効率 20.1%( 面 積 0.0955cm 2 、Voc=1.059V、Jsc=24.65mA/cm 2 、FF=77.0% )、NIMSに よ る 効率 15.0% 、 ( 面 積 1.017cm2、Voc=1.090V、Jsc=20.61mA/cm2、FF=66.8% )であ る。ペ ロブ ス カイ ト /Si タ ン デ ム 太 陽 電 池 に も ア プ ロ ー チ し て お り 、 効 率 21.3 % ( 面 積 0.7cm 2 、 Voc=1.80V 、 Jsc=16.0mA/cm 2 、 FF=74% ) を 得て い ると 述 べた 。 企 業と の 共同 研 究開 発 な ので 、 詳細 は 言 えないとの事である。課題は、ヒテリシス特性などの不安定性、膜厚を厚くした場合の直 列抵抗による曲線因子低下、構造不安定性、熱的不安定性、湿気敏感性や紫外光耐性、な ど で あ る。 5.7 宇 宙 用太 陽 電池 分野 : B.R. Spence ( Deployable Space Systems Inc. ) は 、 “ Flexible Blanket Array: Next-Generation Game-Changing Technology ” と 題 して 、 プレ ー ナリ 講 演 を行 っ た。 多 接 合太陽電池の最適化により、やや重量のかさむカーボンコンポジットハネカムを用いてい る が 、 リ ジ ッ ド 太 陽 電 池 ア レ イ は 、 重 量 比 出 力 75W/kg( BOL) 、 体 積 比 出 力 10kW/m 3 に 達 し て い る。NASAや DODの 次 世 代 ミ ッシ ョ ンは 、重量 比 出 力、体積 、高 出力 、強度、軽 量、剛性 や 価 格 の面 で 、先端 的な 太 陽 電池 ア レイ を 要求 し て いる 。Solar Electric Propulsion( SEP) ミッションは、上記仕様要求に加え、高電圧で動作し、広範な宇宙環境や誘起されるプラ ズマ環境にも適用できることできることが求められている。フレキシブルブランケットを 組 み 入 れた 太 陽電 池 アレ イ が 開発 さ れ、重量比 出 力 120W/kg( BOL)以上 、体積 比 出力 30kW/m 3 以上が達成されている。講演では、過去、現在のフレキシブルブランケット太陽電池アレ イ 技 術 の企 業 の取 り 組み が 紹 介さ れ た。 5.8 キ ャ ラク タ リゼ ーシ ョ ン : 前 回 会 議で は 、B. Michiら( FhG-ISE)は 、” Luminescence imaging for quantitative solar cell analysis” と 題 し て 、 プレ ー ナ リ 講演 を 行 った。 結 晶 シ リコ ン 太 陽電池 、 結 晶 、モ ジ ュ ール の 研 究 開 発 や 製 造 段 階 で 、 フ ォ ト ル ミ ネ ッ セ ン ス ( PL) が 広 範 囲 に 使 わ れ る よ う に な っ て い る 。 本 講 演 で は 、 多 結 晶 Si太 陽 電 池 を 例 に し て 、 損 失 解 析 に PL等 イ メ ー ジ ン グ 技 術 が 有 効 で あ る こ と 示 し て い る 。 ① バ ル ク 再 結 合 損 失 ( 約 30% の 損 失 ) の 解 析 に は 、 PLイ メ ー ジ ン グ が 有効 で 、メタ ステ ー ブ ル欠 陥( Fe i 、BO i 、Cr i 、O i )の イ メ ー ジン グ に も有 効 で 、バ ル クキャリア寿命や太陽電池効率との相関も検討されている。また、原料、るつぼの純度や ド ー パ ン ト ( 伝 導 型 ) の 影 響 も 検 討 さ れ て い る 。 ② 表 面 再 結 合 損 失 ( 約 20% の 損 失 ) の 解 析 に は、吸 収深 さ は、量 子 効 率、波長 依 存 PL、FS/BS法(表 面 お よび裏 面 評 価)が、再光 吸 収 は 、エ レ クト ロ ルミネ ッ セ ンス( EL)/PLイメ ー ジ ング が、注 入依存 性 は、飽 和電 流 密度 J oe イ メ ージ ン グが 、用い ら れ てい る 。今 回 、FS/BS法 が 紹 介 され た 。実 効 キ ャリ ア 寿命 が 両 21 面 で 評 価さ れ、Cz-Siや 多 結 晶 Siの 表 面、裏面再 結 合 速度 が 求め ら れて い る。③ 光損 失(約 40% の 損失 ) の解 析 には 、 spectrally resolved light-beam induced current( SR-LBIC) 法 が 用 い ら れ 、 短 絡 電 流 密 度 Jscマ ッ ピ ン グ が な さ れ 、 I-V特 性 に よ る 値 と の 比 較 も な さ れ て い る。④ 直列 抵 抗 Rs損 失(約 5% の 損失 )の解 析 に は、PLイ メ ージン グ が 用い ら れ、Rsマ ッ ピ ン グと 暗 電流 マ ッピ ン グ がで き 、曲 線因子 FF損 失 に 変 換さ れ てい る 。I-V特 性 か ら 求 ま る FF損 失 お よ び 効 率 損 失 と 比 較 さ れ て い る 。 ⑤ シ ャ ン ト 損 失 ( 約 5% の 損 失 ) の 解 析 に は 、 dark lock-in thermography( DLIT) が 用 い ら れ 、 種 々 の 電 圧 で の DLITイ メ ー ジ と 局 所 I-V 特 性 か ら得 ら れる 開 放端 電 圧 Vocお よ び FFマ ッピ ン グ との 比 較が な され て い る。全 ての 損 失 を 評 価 する 完 全な 方 法は な い が、 個 々の 損 失を 評 価 する ( 完全 な )方 法 は ある と 結ん だ 。 5.9 モ ジ ュー ル 、製 造、 シ ス テム 、 応用 分 野: P.J. Verlinden( Trina Solar)は 、“ Challenges and Opportunities of High-Performance Solar Cells and PV Modules in Large Volume Production” と 題し て、 プ レ ーナ リ 講演 を 行 っ た 。 高 性 能 PVコ ン ポ ー ネ ン ト の 開 発 は 、 電 力 コ ス ト 低 減 に 必 須 で あ る 。 PVコ ポ ー ネ ン ト の 効 率 向 上 は 、 energy yieldに 加 え 、 材 料 消 費 、 資 本 的 経 費 、 製 造 コ ス ト 、 BOSコ ス ト 、 輸 送 お よび 設 置コ ス ト、kWp当 た り の メン テ ナン ス コ スト に 顕著 な イン パ ク トを 持 つ 。しか しながら、企業環境における高効率色の実行は、長期間を要し、企業のR&D、技術開発 に、実験と理論研究のより良い統合、良いクルーンルーム、装置設計や改良ウエハ操作技 術を含む新しいアプローチを必要とする。本講演では、まず、図39、図40に示すよう に 、 結 晶 Siお よ び 薄 膜 太 陽 電 池 モ ジ ュ ー ル の 高 効 率 化 の 進 展 と 今 後 の 予 想 が 述 べ ら れ た 。 2020 年 に お け る 結 晶 Si お よ び 薄 膜 太 陽 電 池 モ ジ ュ ー ル の 効 率 予 想 も な さ れ 、 p-PERC 、 mono-Si、CIGS、CdTeで 、各 々、モ ジュ ー ル効率 19.6% 、18.6% 、17.9% 、17.0% 、16.8% に な る だろ う との 事 であ る 。 図39 結 晶 Siお よ び薄 膜 太 陽電 池 モジ ュ ール の 高 効率 化 の進 展 (Dr. P. Verlinden提 供 ) ま た 、 図 4 1 、 図 4 2 に 示 す よ う に 、 結 晶 Siお よ び 薄 膜 太 陽 電 池 モ ジ ュ ー ル の 低 コ ス ト 化 の 進 展と 今 後の 予 想、 が 述 べら れ た。 22 図40 図41 図42 結 晶 Siお よ び薄 膜 太 陽電 池 モジ ュ ール の 高 効率 化 の今 後 の予 想 (Dr. P. Verlinden提 供) 結 晶 Si、 薄 膜太 陽 電 池モ ジ ュー ル の低 コ ス ト化 の 進展 (Dr. P. Verlinden提 供 ) 結 晶 Si、 薄 膜太 陽 電 池モ ジ ュー ル の低 コ ス ト化 の 今後 の 予想 (Dr. Verlinden提 供 ) 23 2020年 に お け る 結 晶 Siお よ び 薄 膜 太 陽 電 池 モ ジ ュ ー ル の コ ス ト 予 想 も な さ れ 、 結 晶 Si、 CIGS、CdTeで 、2014年 の 各 々 、モジ ュ ール コス 0.56$/W、0.76$/W、0.58$/Wか ら 、2020年 に は 、 各 々、 モ ジュ ー ルコ ス 0.34$/W、 0.64$/W、 0.42$/Wに な る だろ うと の 事 であ る 。 次 い で 、 光 ト ラ ッ ピ ン グ 構 造 を 含 む 新 し い PVモ ジ ュ ー ル の 概 念 や 新 し い 高 信 頼 性 両 面 ガ ラ ス モ ジュ ー ルに 加 え、高 効 率 結晶 Si太 陽 電池 の 開 発が 述 べら れ た。p型 i-PERC単 結 晶 、多 結 晶 Si太 陽 電 池 の チ ャ ン ピ オ ン 効 率 は 、 各 々 、 21.40% ( 面 積 244.11cm 2 、 Voc=672.1mV、 Jsc=39.65mA/cm 2 、FF=80.31% )、20.76%( 面 積243.89cm 2 、Voc=662.6mV、Jsc=39.03mA/cm 2 、 FF=80.26% )に 達 した。ハ ー フ セル と 光 トラッ ピ ン グ技 術 を含 む 60枚 の 単 結晶 i-PERC6イ ン チ セ ル か ら 成 る 高 出 力 PVモ ジ ュ ー ル は 、 出 力 335.2Wに 到 達 し た 。 6イ ン チ Interdigitated Back Contact ( IBC ) セ ル の チ ャ ン ピ オ ン 効 率 は 22.9 % ( 面 積 239.31cm 2 、 Voc=683mV 、 Jsc=41.58mA/cm 2 、FF=80.6% )に 達 し、60枚 の IBCモ ジ ュ ー ルは 、出 力 320.4Wの 状 況 で ある 。 両 面 ガ ラス モ ジュ ー ルは 、 マ イク ロ クラ ッ ク形 成 や Potential Induced Degradation( PID) へ の 耐 性を 実 証し て いる 。PID試 験 で は、85℃ -85% R.H.環 境 で、1000Vバ イ ア スで 、表 面 は、 両 面 Cu箔 つ き で 、600時間 で の 耐性 が 改善 さ れて い る 。両面 ガ ラス モジ ュ ー ルの 使 用は 、メ ン テ ナ ンス の 改善 に 加え 、 日 射不 整 合や partial shading等 の モ ジ ュー ル へ の影 響 を低 減 で き、PVシステムのエネルギー効率を向上させるとの事である。図43に示すように、今 後 の 結 晶 太 陽 電 池 の 高 効 率 化 技 術 の 展 望 が 述 べ ら れ 、 タ ン デ ム 構 造 で 、 効 率 27% 、 モ ジ ュ ー ル 出 力 385Wを 狙 い とし て い る。 図43 今 後 の結 晶 太陽 電 池 の高 効 率化 技 術の 展 望 (Dr. Verlinden提 供 ) 5.10 政 策 、 市場 、 普及 分 野 : ( 1 ) R. Margolis( NREL) は 、“ US PV market development trends : Where we are today and where we are going” と 題 し て、 プ レー ナリ 講 演 を行 っ た。 B. Jones-Albertus( DOE) は 、 “ A Changing Vision for U.S. PV Research” と 題し て 、特 別 講演 を 行 った 。 米国市場は、図44に示すよう、住宅用、商用、電力用の全ての市場で進展し、図45 に示すように、米国における市場毎の平均システムコストも低減しつつある。講演では、 最 近 の 進 展 、 こ れ ら の 市 場 で の 価 格 変 動 を 述 べ 、 顕 著 な 傾 向 を 議 論 し た 。 米 国 の PV市 場 の 短 期 的 、長 期 的成 長 の可 能 性 を探 っ た結 果 が述 べ ら れた 。 24 図45 図44 米国における市場毎の平均シス テ ム コ スト の 変化 ( GTM RESEARCH) 米 国 の PV設 置の 進 展 と予 想 2011 年 に 、 DOE に よ る SunShot プ ロ グラ ム がス タ ー トし 、 図4 6 に示 す よ うに 、 2010 年 の シ ス テム コ スト $3.8/W か ら 、 2016 年 の $2.2/W、 さ ら に 2020 年 の $1/W を 目 指 す と して い る 。これ は、5~ 6 セ ント /kWh に 等 価 で ある 。従 っ て、モ ジュ ー ルコス ト も $0.5/W の 達 成 を 目 指 す 。図 4 7は 、 モジ ュ ー ルコ ス ト $0.5/W、 シ ス テム コ スト $1/W 実 現 の ため の 施策 を 示 す 。 モ ジュ ー ルコ ス ト $0/5/W の 達 成 のた め には 、 理 論効 率 に近 い 変換 効 率 の高 い 太陽 電 池 の 開 発 、セ ル 製造 コ スト の 低 減、 30 年 以 上 も特 性 維 持す る 長寿 命 が要 求 さ れる 。 図4 8 に は 、 種 々の 太 陽電 池 技術 に 関 して 、 現行 の 製造 モ ジ ュー ル の効 率 、研 究 室 レベ ル のセ ル 効 率 、 理 論効 率 を示 す 。図 4 9 には 、 コス ト ター ゲ ッ ト達 成 のた め の研 究 開 発タ ー ゲッ ト と 線 表 を 示す 。 研究 開 発対 象 と して 、 単結 晶 ・多 結 晶 Si、 CIGS、 CdTe、 III-V 族 多 接合 太 陽 電 池 が ある 。有 機・色素 は 、まだ 、性 能、寿命 の 点 で課 題 が多 く 、NSF 等 の 基 礎研 究 フェ ー ズ で あ る。 図46 SunShot プ ログ ラ ム のシ ス テム コ スト 目 標 ( モ ジ ュー ル コス ト 、BOS コ ス ト 、パ ワ ー エレ ク ト ロニ ク スコ ス ト) 25 図47 モ ジ ュー ル コス ト $0.5/W、 シ ス テムコ ス ト $1/W 実 現 の ための 施 策 図48 種 々 の太 陽 電池 技 術 に関 す る、 現 行の 製 造 モジ ュ ール の 効率 、 研 究 室 レベ ル のセ ル 効率 、 理 論効 率 図49 コ ス トタ ー ゲッ ト 達 成の た めの 研 究開 発 タ ーゲ ッ トと 線 表 26 図50 米 国 にお け る PV、 CSPお よ び 総計 の 単年 度 、 累積 導 入量 の 予測 ( DOE、 SunShot Vision Study, DOE/GO-102012-3037, 2012.2) 図51 米 国 にお け る CO 2 放 出 量 の SunShotシ ナリ オ の 削減 効 果 ( DOE、 SunShot Vision Study, DOE/GO-102012-3037, 2012.2) SunShot価 格 低 減目 標の 達 成 の道 程 、障壁 、予 想 、結 果と し ての 市場 浸 透 レベ ル を検 討 し た SunShot Vision Studyを 含 む 長 期 予 想 を 述 べ た 。 SunShot Vision Studyに よ れ ば 、 も し SunShot Intiativeの ター ゲ ッ トが 達 成さ れ ると 、図 5 0に 示 すよ う に、太 陽 エ ネル ギ ーは 、 2030年 、 2050年 ま で に 、 各 々 、 330GW( PV302GW、 CSP28GW) 、 715GW(PV632GW、 CSP83GW)が 導 入 さ れ 、 各 々 、 14% 、 27% の 米 国 電 力 需 要 を 満 た す こ と に な る 。 結 果 と し て 、 PVは 、 図 5 1 に 示 す よ う に 、 2050年 に 、 炭 素 放 出 を 28% 減 少 で き る こ と に な る 。 ま た 、 太 陽 光 エ ネ ル ギ ー 関係 の 雇 PV4.5万 人 、CSP.45万 円 用 は、2010年 の 5.1万 人( PV4.5万 人 、CSP0.45万 円 ) 27 か ら 、 2030年 の 34.3万 人 ( PV28万 人 、 CSP.45万 円 ) 、 2050年 の 44,4万 人 ( PV36. 34.3万 人 ( PV28万 人 、CSP.45万 円 )328万 人 、CSP.45万 円 ) PV4.5万 人 、CSP.45万 円 と 、増 加す る こ とが予想されている。送電網の拡充、環境、土地使用、系統統合、大規模製造、投資など の 課 題 があ る 。多く の課 題 は ある が 、SunShot価 格 低 減目 標 の達 成 は、太 陽 エ ネル ギ ー技 術 が 、次 の 20年 、40年 後 には 、米 国 の発 電 シス テム に 顕 著な 貢 献を す るこ と が 可能 と なろ う 。 ( 2 ) Special Sessionと し て 、 ” International Cooperation” の 特 別 セ ッ シ ョ ン が 企 画 さ れ 、 約 450名 の 参 加 者 が あ っ た 。 前 半 は 、 NEDO、 NREL、 NSF、 イ ン ド 代 表 か ら か ら 4 件 の プ レ ー ナリ 講 演が な され た 。 ( 2-1) H. Yamada( NEDO) は 、“ Overview of Photovoltaic R&D in Japan and International Activities of NEDO” と題 し て 、プ レ -ナ リ 講演 を 行 った 。 (2-2) G. Wilson( NREL)は 、“ Advancing of PV as a Climate Change Mitigation Tool: The Need for Greater International Collaboration” と 題 して 、 プ レー ナ リ講 演 を行 っ た 。 (2-3) E. Abed( NSF) は 、 “ NSF International Activities and Opportunities in Solar Energy Research” と 題 し て、プ レ ー ナリ 講 演を 行 った 。 (2-4) A. Contractor( Kiran Energy) は 、 “ India with Recent Large Scale PV Installations Learnings and Experiences” と 題 して 、 プレ ーナ リ 講 演を 行 った 。 (2-5) 後 半 は 、オ ー ガナイ ザ ー であ る M. Yamaguchi( 豊 田 工大 ) 、 S. Ringel( OSU) の司 会 の も と 、 上 記4 名 の プレ ー ナ リ 講 演者 に 加 え、 R. Walters( NRL) 、 A. Bett( FhG-ISE) が パ ネ リ スト に 加わ り 、写 真 1 に示 す よう に 、“ International Cooperation” に 関 する 活 発 な パ ネ ル討 論 がな さ れた 。 写真1 “ international Cooperation” に 関 するパ ネ ル 討論 の 模様 28 図 5 2 に示 す よう に、今 回 の“ international Cooperation”に関 す るパネ ル 討 論の ま とめ が な さ れ た。 図52 5.11 “ international Cooperation” に 関 するパ ネ ル 討論 の 模様 信 頼 性 分野 S. Kurtz( NREL)は 、” Quantifying Reliability – The Next Step for a Rapidly Maturing PV Industry” と 題し て、 プ レ ーナ リ 講演 を 行っ た 。 PVモ ジ ュー ル は必 需 品 にな り つつ あ る が 、 消 費者 は 、“ 不 良モ ジ ュ ール に 遭遇 す る機 会 を 如何 に 減ら せ るか ” 、 “高 級 モジ ュ ー ル や 付 加価 値 を如 何 に定 量 化 でき る か” 、 “ PVシ ス テ ム が正 常 に動 作し て い るこ と をど の よ う に 確信 で きる か ”と い っ た問 い をす る 。PVQAT( the International PV Quality Assurance Task Force) と 連 携 機関 は 、 こう し た全 て の疑 問 に 答え る べく 、 働い て い る。 P Vモ ジ ュ ー ル 品 質を 最 少に 許 容で き る 標準 化 法の 定 義、 環 境 に耐 性 のあ る 付加 価 値 を提 供 でき る モ ジ ュ ー ルの 差 別化 、設計 か ら 設置 や 動作 に わた る PVシ ス テ ムの 評 価プ ロ セ ス( 例 えば 、IECRE を 通 し て) の 創製 は 、タ フ な タス ク であ る が、 こ れ らの 標 準化 の アプ ロ ー チは 、 信頼 を 高 め る こ とに な るし 、 コス ト も 削減 で き、 や がて 、 円 熟し た 企業 の 創立 に な るだ ろ う。 本 講 演 で は 、国 際 標準 の 開発 に 向 けた い くつ か の鍵 と な る取 り 組み 、 新試 験 法 の確 立 に向 け た 挑 戦 、 寿命 予 測の 標 準化 を 確 立す る には 何 が必 要 か 、つ い て述 べ られ た 。 PVモ ジ ュ ー ル の 25年 間 動 作 中 で 、 最 大 劣 化 率 は 、 約 0.8% /年 で あ る 。 25~ 30年 保 証 の た め に は 、 PVモ ジ ュ ー ル の 加 速 ス ト レ ス 試 験 に 基 づ く 寿 命 推 定 が 要 求 さ れ る 。 PVモ ジ ュ ー ル は 多 岐 に わ た り 、 信 頼 性 試 験 の 難 し さ が あ る 。 初 期 出 力 の 保 証 、 20年 後 の 出 力 が 予 測 と 異 な る ケ ー ス が あ り 、 消 費 者 が 損 を す る こ と と な る 。 現 時 点 で は 、 寿 命 は 予 測 し 難 い 。 PVモ ジュ-ルの劣化モードとして、熱サイクルによるインターコネクターやハンダの破断、ガ ラ ス を 通し て のリ ー ク電 流 、水 の 浸透 、な どが あ り、多 岐に わ たる。図 53 に 示す よ うに、 PVの 品 質 保 証 に 向 け た 国 際 標 準 の 開 発 の た め 、 International PV QA Task Forceが 設 立 さ れ た 。 6つ の WGが あり 、さ ら に 3つ の WG( wire loading、 testing of TF modules、 testing of CPV modules) が 組織 され て い る。 29 図53 International PV QA Task Forceの 概要 ( Dr. S. Kurtz提 供 ) 劣 化 モ ード が 活性 化 エネ ル ギ ーモ ー ドに 従 う場 合 、高温 度 地域 で の PVモ ジ ュ ー ル使 用 は、 図 5 4 に示 す よう に 、低 寿 命 とな る であ ろ う。図 5 4 は 、100℃ で 1000時 間 動作 に 基づ く 結 晶 Si太 陽 電 池 モジ ュ ール の 予 測寿 命 (活 性 化エ ネ ル ギー 依 存型 劣 化モ ー ド )を 示 す。 PVモ ジ ュ - ルの い くつ か の劣 化 モ ード も 紹介 さ れた 。 熱 サイ ク ルに よ るイ ン タ ーコ ネ クタ ー や ハ ン ダ の破 断 、ガ ラ スを 通 し ての リ ーク 電 流、 水 の 浸透 、 など 多 岐に わ た る。 図54 100℃ で 1000時 間 動 作 に基 づ く結 晶 Si太 陽 電 池モ ジ ュー ル の予 測 寿 命 ( 活 性 化エ ネ ルギ ー 依存 型 劣 化モ ー ド) ( Dr. S. Kurtz提 供 ) 図 5 5 は、 1000時 間 の damp heat( 蒸 気熱 ) 試験 後 の モジ ュ ール の 水浸 透 濃 度の モ ジュ ー ル 端 か らの 距 離依 存 性を 示 す 。モ ジ ュー ル への 水 浸 透は 、 モジ ュ ール 構 造 に依 存 する と 考 え れ る が、 複 雑で あ る。 PVモ ジ ュ ー ルの 信 頼性 試 験 を通 し て、 寿 命予 測 、 品質 保 証の 国 際 30 的 な 連 携が 必 要で あ り、 IEA Task13な ど の 活動 を 展 開中 で ある 。 図55 1000時 間 の damp heat( 蒸 気 熱) 試 験後 の モ ジュ ー ルの 水 浸透 濃 度 の モ ジ ュー ル 端か ら の距 離 依 存性 ( Dr. S. Kurtz提 供 ) 6.感想 前 回 の 会 議 で は 、 1 5 年 振 り に 、 パ ナ ソ ニ ッ ク お よ び シ ャ ー プ が 、 結 晶 Si太 陽 電 池 の 世 界最高効率を更新し、その他の分野でも、高効率化が進展し、盛り上がった会議の印象で あ っ た し 、 今 回 の 会 議 で は 、 世 界 最 高 効 率 に 関 す る 発 表 も 10件 以 上 あ っ た と 紹 介 さ れ た 。 しかし、今回の会議では、日本企業からの参加者は、少なく、今後が危惧される。今後の 太陽光発電の発展や市場拡大のためには、図56に示すように、まだまだ、国の支援が必 要と言える。図56は、データは古いが、主要国における太陽光発電の単年度および累積 導 入 量 と 各 国 の PV関 係 の 予 算 ( 研 究 開 発 費 を 含 む ) と の 相 関 を 示 す 。 PVの 市 場 拡 大 と PVに 関 す る 国家 予 算は 、線形 関 係 にあ り 、市場 拡大 た め には 、国 の支 援が ま だ まだ 必 要で あ り、 研究開発のさらなる推進が必要である。太陽電池や太陽光発電の高性能化、低コスト化、 長 寿 命 化の 流 れに あ り、 技 術 開発 の さら な る強 化 と 産官 学 連携 が 必要 で あ る。 図56 主 要 国に お ける 太 陽 光発 電 の単 年 度お よ び 累積 導 入量 と 各国 の PV関 係 の 予算 ( 研 究 開発 費 を含 む )と の 相 関( ICSU-ISPRE Report) 31 GTM RESEARCHの“PV TECHNOLOGY AND COST OUTLOOK, 2013-2017”によれば、2017年までに、モジ ュールコストは、$0.36/Wに下がると見ており、技術向上60%、他の消耗品22%、スケールアップ17%、 ポリSi 1%と、技術向上の効果は大きいとみており、技 術 開 発が 、太 陽電 池 モ ジュ ー ルお よ びシ ステムの低コスト化にも有効であり、オールジャパンで連携して、総合力で、直近の壁を 打 破 す る必 要 があ ろ う。 次 回 の 43 rd IEEE PVSCは 、2016年 6月 5日 ~ 10日 、米国 の ポー ト ランド で 開 催予 定 であ る 。 31 st EU-PVSECは 、 2015年 9月 14日 ~ 18日 、 ド イ ツ の ハ ン ブ ル グ で 、 PVSEC-25は 、 2015年 11 月 15日 ~ 20日 、 韓 国 の釜 山 で 、開 催 予定 で ある 。 32
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