SAP NetWeaverシステムのOracle Grid Infrastructure 12.1.0.2および

SAP NetWeaver システムの Oracle Grid Infrastructure 12.1.0.2
および Oracle Real Application Clusters 12c Release 1 への
アップグレード
Oracle RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle ホワイト・ペーパー

2015 年 3 月
目
次
概要............................................................................................................................................................. 2
基本セットアップ: SAP システムの準備 ................................................................................................... 3
Oracle Grid インストールのアップグレード ............................................................................................. 3
Oracle Clusterware をアップグレード前に実行する手順 ......................................................................... 4
クラスタ上の Oracle Grid Infrastructure ソフトウェアのアップグレード ................................................ 5
SAP インストール用の Oracle CRS パラメータ調整 ................................................................................ 6
Oracle Database ソフトウェア・リリース 12.1.0.2 のクラスタへのインストール ................................. 8
新しくインストールされたデータベース・ソフトウェアへの SAP 用パッチの適用 ............................... 9
SAP 固有のデータベース・アップグレード・スクリプトによる Oracle Database のアップグレード 10
データベースの手動アップグレード ....................................................................................................... 10
SAP ユーザー環境 .....................................................................................................................................11
SAP インスタンスおよび START プロファイル.......................................................................................11
SAP BR*Tools............................................................................................................................................11
SAP Enqueue Replication の実行と構成 ................................................................................................. 12
参考文献 ................................................................................................................................................... 12
1
ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
概要
このホワイト・ペーパーでは、Oracle Database 12c Release 1 に対応した SAP システムのアップグレードに必要な手順
を説明します。特に、既存の Oracle RAC 10.2 システムまたは Oracle RAC 11.2 システムのアップグレードに必要なす
べての手順を概説します。また、各システム環境で利用可能なテンプレートの提供や各ユーザー固有の SAP R/3 システ
ムの構成に関する情報も提供しています。
このホワイト・ペーパーでは、UNIX と Linux で稼働する Oracle システムのアップグレードのみを対象にしています。
Windows で稼働する Oracle システムのアップグレードについては、対応するドキュメントを参照してください。
このホワイト・ペーパーでは、アップグレード・プロセス用のクラスタ・ソリューションに使用するクラスタ・ハードウェ
ア、オペレーティング・システム、ストレージ・サブシステムのセットアップに変更がないことを前提とします。少なく
とも基本的なクラスタ・ハードウェアのセットアップに必要なインストール前の手順をすべて完了していることが、セッ
トアップの必須要件です。Oracle 12c Clusterware および Oracle 12c Real Applications Clusters のデータベース・ソフト
ウェアの実行に必要なすべての要件を満たすために、使用するクラスタ・ハードウェアの構成またはパッチ適用方法の詳
細を、各プラットフォームやオペレーティング・システムのベンダーが提供するドキュメントで確認してください。サポー
トされる構成に関する最新の追加情報は、SAP Support Note 527843 に記載されています。使用するオペレーティング・
システム、ストレージ・ソリューションなどの最新情報を必ず確認してください。Oracle Grid インフラストラクチャ、
つまり Oracle 12.1.0.2 RAC に付属し、Oracle データベース・ソフトウェアと組み合せて使用する Oracle Clusterware
に必要な部分は、このドキュメントで説明します。また、動作確認済 SAP インストールでサポートされる RAC 構成も
説明します。
重要な注意: このホワイト・ペーパーは、RAC 対応 SAP システムのアップグレードで役に立ちますが、Oracle データベー
ス、Oracle ネットワーク構成、Oracle データベース・パラメータなどの変更については、必要な説明のみですべてを網
羅していません。『SAP Installation and Upgrade Guides for Oracle 12c Release 1』の追加手順もすべて実行してくださ
い(SAP Note: 1914631 を参照)。また、RAC に関連したすべての SAP Note も参照してください。SAP OSS Note 527843
から、Oracle RAC 関連情報を確認してください。
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
基本セットアップ: SAP システムの準備
次の構成の Oracle 12.1.0.2 RAC へのアップグレードのみがサポートされています。
- Oracle RAC 11.2.0.4 以降から 12.1.0.2 RAC へのアップグレード
SAP システムが Oracle RAC 11.2.0.4 で稼働していない場合、Oracle RAC 12c に直接アップグレードはできません。
Oracle RAC 11.2 以降、SAP システムで使用される Oracle ソフトウェアの OS ユーザーおよびグループが大きく変更さ
れたため、Oracle RAC 11.2 以前のリリースから直接アップグレードできなくなりました。
共有ファイル・システムへの Oracle データベース・ソフトウェアは、「共有 Oracle ホーム」を使用してインストールさ
れます。
注意: RAC を使用する SAP インストールには、共有 Oracle ホームが必要です。Oracle Grid ソフトウェアは、クラスタ
内のすべてのノードにローカルにインストールされます。
Oracle RAC 12.1.0.2 にアップグレードしても、投票ディスクおよび OCR リポジトリ・ファイルの場所は変更されない
はずです。これらの場所を変更する場合は、アップグレードの前または後に実行する必要があります。
SAPCTL の使用に関する注意: Oracle 12.1.0.2 クラスタウェア用に設計された SAPCTL の新しいバージョンをインス
トールする必要があります。Oracle 11.2 CRS で実行できる SAPCTL バージョンは、Oracle 12.1.0.2 クラスタ・フレー
ムワークと互換性がありません。
Oracle Grid インストールのアップグレード
ソフトウェア所有者
新しい Oracle Clusterware ソフトウェアは、デフォルトの Oracle ユーザー・アカウント'oracle'を使用してインストール
します。このユーザー・アカウントは、Oracle Grid Infrastructure ソフトウェアの所有者です。Oracle RAC 11.2g 以降の
場合は、ユーザー名 oracle の使用をお薦めします。このユーザー名は、Oracle ベスト・プラクティスの推奨事項で、す
べての Oracle ソフトウェアのデフォルトの所有者です。このホワイトぺーパーでは、すべての Oracle ソフトウェアが
OS ユーザー・アカウント"oracle"を使用し、インストールされるものと前提しています。
既存の Oracle Grid Infrastructure インストールを Oracle Grid Infrastructure 12c Release 1(12.1)にアップグレードする
には、最初にアップグレードに適応すべき必須のパッチを確認する必要があります。アップグレードが可能であることを
確認するために、Oracle CVU を使用できます。
ローリング・アップグレード
Oracle Grid Infrastructure のアップグレードはローリング・アップグレードをサポートし、完全なクラスタの停止を回避
します。Oracle Clusterware をアップグレードする場合、オラクルでは Oracle RAC データベース・インスタンスを動作
状態にすることを推奨します。各ノードで rootupgrade.sh スクリプトを起動すると、ノード上のデータベース・インス
タンスが停止します。このインスタンスを再開するには、rootupgrade.sh スクリプトを使用します。
Root の自動化
root ユーザー自動化を使用して、アップグレード中、rootupgrade.sh の実行を自動化できます。root の自動化を使用
すると、ノードをグループまたはバッチに分類し、これらのバッチのアップグレードを開始できます。バッチのアップグ
レード中、サービスがアップグレードに影響されないように、以前のリリースを実行しているノードからのサービスを移
動させ、ノードをアップグレードできます。ただし、SAP アプリケーション・サーバー内のトランザクション・ロール
バックを回避するために、データベース・サービスを他のデータベース・インスタンスに再配置する前と対象の SAP ア
プリケーション・サーバーの再起動が可能になった後に、専用のデータベース・サーバーに接続された SAP アプリケー
ション・サーバーを停止する必要があります。これは、root スクリプトを手動で起動する前に実行することができます。
したがって、SAP システムのアップグレードでは、rootupgrade.sh スクリプトを手動で実行することをお薦めします。
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
Oracle Clusterware をアップグレード前に実行する手順
クラスタ検証ユーティリティ'cluvfy'
Oracle は正常なインストール条件を検証するツールを提供します。このツールは「cluvfy」と呼ばれ、Oracle ソフトウェ
アに付属しています。
注意: cluvfy を使用して、必須条件がすべて満たされていることを確認してください。
アップグレードを開始する前に、次のタスクを完了してください。
各ノードで、Cluster Verification Utility(CVU)を実行して、クラスタがアップグレード可能であることを確認します。
CVU は、サーバー上の潜在的な問題を解決するスクリプトを生成できます。Oracle クラスタウェアのソフトウェア所有
者(SAP 構成では、ユーザーoracle)として runcluvfy.sh スクリプトを実行します。Oracle ソフトウェアに関連する環境
変数を非設定にし、PATH 環境のすべての$ORACLE_HOME/bin 設定を削除します。
#su – oracle
$unset $ORA_CRS_HOME;
$unset $ORACLE_HOME;
$unset $ORACLE_BASE;
$unset $ORA_NLS10;
$unset $TNS_ADMIN;
アップグレードのステージング・エリアに移動します。runcluvfy.sh スクリプトはここに配置されています。
$./runcluvfy.sh stage –pre crsinst –upgrade –rolling –src_crshome <GRID_HOME_11.2> -dest_crshome
<GRID_HOME_12.1> -dest_version 12.1.0.1 –fixup –verbose
スクリプトの出力を確認します。エラーまたは重要な警告が報告されている場合は、クラスタの実際のアップグレードを
開始する前に、これらの重要な問題を解決します。
アップグレードのインストール中に要求される、次の情報を収集します。
»
Oracle Clusterware の Oracle ベースの場所
»
既存の Oracle Clusterware の場所とは異なる、Oracle Grid Infrastructure のホームの場所
»
SCAN 名とアドレス、および他のネットワーク・アドレス
»
権限を付与されたユーザーのオペレーティング・システム・グループ
»
root ユーザー・アクセス。インストール中に root としてスクリプトを実行
Oracle Clusterware リリース 12.1.0.2 にアップグレードするために、既存のユーザーおよびグループを使用します。既存
の Oracle Clusterware 11.2 インストールで使用される、権限を付与されたユーザーのオペレーティング・グループを変
更しないでください。既存のインストールで OS グループの分離を使用し、OS グループの認証による権限分離をしてい
る場合、ソフトウェア・インストールのユーザーoracle は、グループ asmadmin、asmdba および asmoper のメンバーで
あることが必要です。既存のインストールでジョブ・ロールに OS グループ認証を使用していない場合、ソフトウェア・
インストールのユーザーoracle は、グループ dba のメンバーであることが必要です。
ソフトウェア所有者、OS グループおよび管理者アカウント
ユーザーoracle は、プライマリ・グループ oinstall を持ち、Oracle Release 11.2.0.1 RAC データベース以降の Oracle ソ
フトウェアすべてのソフトウェア所有者です。ユーザーoracle は、デフォルトにより SAP データベース構成のグループ
dba にも所属します。ユーザーoracle をスーパー管理者として ASM インスタンスと ASM ストレージを管理する場合、
グループ asmdba、asmoper、asmadmin をユーザーoracle に割り当てることができます。セキュリティ制約により、ス
トレージ管理タスクに他のユーザーが要求される場合は、追加のユーザーを作成し、適切なグループ asmdba、asmoper、
asmadmin に割り当てます。
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
ジョブ・ロールの分離に応じた、ソフトウェア所有者のグループ割当て
ユーザー
ジョブ・ロールの分離
ジョブ・ロールの分離なし
oracle
oinstall(プライマリ・グループ)
asmadmin
asmoper
asmdba
dba
oper
oinstall(プライマリ・グループ)
dba
oper
インストールに必要なその他の必須条件を Oracle のドキュメントで確認します。
クラスタ上の Oracle Grid Infrastructure ソフトウェアのアップグレード
この作業は、必ず Oracle RAC データベース・ソフトウェアを Oracle RAC 12.1.0.2 にアップグレードする前に完了して
ください。Oracle Grid Infrastructure ソフトウェアは、Oracle Clusterware(CRS)と Oracle Storage Management ソフ
トウェア(ASM)が連携したソフトウェアです。両方のコンポーネントは、同じ ORACLE_HOME ディレクトリの Oracle
ホームにインストールする必要があります。このホワイト・ペーパーでは、このディレクトリをグリッドのインストール・
ディレクトリ GRID_HOME と呼びます。
ユーザーoracle(Oracle ソフトウェアの所有者)としてログオンし、Oracle Universal Installer を使用してインストール
を開始します。
インストールオプション
Oracle Grid Infrastructure または Oracle Automatic Storage management の
アップグレード
製品の言語
英語
ノードの選択
すべてのノード。次のチェックボックスは選択しません。
"Skip upgrade on unreachable nodes"
管理オプション
Enterprise Manager(EM)Cloud Control に登録することができます。
登録する場合は、ホスト、ポート EM 管理者ユーザー名およびパスワードを
指定します。
オペレーティング・システム・グループ ロール分離:
OSASM
OSDBA for ASM
OSOPER for ASM
ロール分離なし:
OSASM
OSDBA for ASM
OSOPER for ASM
asmadmin
asmdba
asmoper
dba
dba
dba
既存のインストールと同じ構成を使用する必要があります。
同じ構成を使用しない場合は、OUI からの警告メッセージを受信します。
インストールの場所
Oracle ベース:
Oracle Engineered System 上にない
/oracle/BASE
Oracle Engineered System
/u01/app/oracle
ソフトウェアの場所:
Oracle Engineered System 上にない
/oracle/GRID/12102
Oracle Engineered System
/u01/app/12.1.0.2/grid
Root スクリプト実行
5
自動化された root スクリプト実行を選択しないでください。
要求の際に、手動で各ノードに対し root スクリプトを実行します。
ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
「サマリー」画面に表示される内容を確認します。クラスタのネットワーク・インタフェースを指定する必要はありませ
ん。また、アップグレード中、GNS を使用するためにオプションは変更できません。この情報は既存のクラスタ構成か
ら取得されます。また、アップグレード中、OCR および投票ファイルの場所を変更できません。クラスタ内の構成を変
更する場合は(たとえば OCR と投票ファイルの ASM への配置)、アップグレードの前または後に、これらのタスクを
個別に実行する必要があります。
rootupgrade.sh スクリプトの実行を要求された場合は、動作中の任意の SAP アプリケーション・サーバーを停止し、
再配置する必要があります。任意のサーバーとは、次にスクリプトの実行が予想されるノードで実行中のデータベース・
インスタンスに接続されたサーバーを指します。RDBMS Home からツール srvctl を使用して、関連するデータベース・
サービスをクラスタ内の別のデータベース・インスタンスに移動します。データベース・サービスを問題なく再配置した
後は、SAP アプリケーション・サーバーを再起動できます。
スクリプト rootupgrade.sh を起動すると、すべての稼働中のデータベース・インスタンスが停止し、このノードの Oracle
クラスタウェアもアップグレードのために停止します。停止した Oracle クラスタウェアおよびすべてのデータベース・
インスタンスは、ノードのアップグレード手順の終了と同時に自動的に再起動します。
ローリング・アップグレード機能を活用すると、SAP システムの完全な停止を回避できます。データベース・サービス
を移動する際に、SAP アプリケーション・サーバーの部分停止を制御することができます。ただし、ローリング・アッ
プグレードが適用できるのは、Oracle クラスタウェアのアップグレードのみで、Oracle データベースのアップグレード
の場合は、SAP システムを完全に停止することが必要です。
SAP インストール用の Oracle CRS パラメータ調整
CRS パラメータの調整は、データベース・ファイルがサードパーティのクラスタ・ファイル・システムに常駐する場合、
または Oracle RDBMS ソフトウェアがサードパーティのクラスタ・ファイル・システムにインストールされている場合
に限り必要になります。データベース・ファイルが Oracle ASM ストレージにあり、Oracle RDBMS ソフトウェアがロー
カル・ディスクまたは共有される ORACLE ACFS ファイル・システムのいずれかにある場合、通常、CRS デフォルト・
パラメータの設定は変更する必要がありません。
エラー検知およびヘルス・チェックに使用されるタイミング関連のパラメータのデフォルト値が、ネットワークやディス
ク I/O などのコンポーネントの動作時間が平均値から大きく偏差し安定していない、複雑な SAP 環境となる場合があり
ます。
Oracle Clusterware における重要なタイミング関連のパラメータは misscount、disktimeout、reboottime および
diagwait です。
パラメータ disktimeout は OCR リポジトリおよび投票ディスクへの読込み/書込みアクセスの最大 I/O 完了時間を指定し
ます。時間単位は秒です。ノードは 1 つ以上の OCR リポジトリ・ファイルおよび 1 つ以上の投票ディスクにアクセスで
きることが必要です。アクセスできない場合、ノードはリブートによりクラスタから隔離されます。
パラメータ misscount は、ネットワーク接続を介して実行されるノード間の通信チェックの最大時間を秒単位で指定し
ます。これによりネットワークの健全性をチェックします。ノードが、misscount で指定された時間(秒)内に他のノー
ドに到達できない場合は、スプリット・ブレイン解決策を開始し、場合によってはリブートを実行して強制的にクラスタ
から除外されます。
パラメータ reboottime は推定リブート時間を保持します。デフォルト値は 3 秒です。これはノードが完全に停止するた
めに必要な推定時間です。
パラメータ diagwait はノードの停止後、再構成が安全に開始できるまでの待機時間(秒)です。このパラメータは oprocd
タイミング値と連携している必要があります。残りのノードが再構成を安全に開始するまでに、停止またはブロックされ
たノードが oprocd により(ファスト・リブートを介して)隔離される必要があるためです。ノードの停止前に再構成を
開始すると、データの整合性が損なわれる場合があります。
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
crsctl コマンドを実行することで問合せができます。パラメータの現在値を問い合せるには、ユーザーroot に切り替え、
コマンドを発行します。
# $GRID_HOME/bin/crsctl get css disktimeout
次のコマンドを使用してパラメータを設定します(例)。
# $GRID_HOME/bin/crsctl set css disktimeout 200
パラメータを有効にするには、すべてのノードで CRS を再起動する必要があります。すべてのノードをリブートする方
法が最も簡単です。
# reboot
まれに、Oracle 状態監視プロセスのデフォルトのタイミング制約と OS のスケジュール時間が合わないことがあります。
この場合、間違ったノードが隔離される可能性があります(Oracle Clusterware によりノードがリブートされます)。
Oracle Clusterware のスタックは、すべてのノードで停止してください。diagwait に対する修正は、crsctl コマンドを使
用して実行し、Clusterware を再起動する必要があります。Clusterware の misscount は diagwait よりも大きい値にして
ください。
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
Oracle Database ソフトウェア・リリース 12.1.0.2 のクラスタへのインストール
データベース・ソフトウェアをインストールする前に、Oracle Grid Infrastructure ソフトウェアのインストールが正常に
アップグレードされ、すべてのノードで起動することを確認します。
SAP 環境での Oracle データベース・ソフトウェアの以前のリリース(9.2、10.2)から変更された主要な点は、Oracle
11.2.0.4 RAC のインストールがユーザーoracle により実行されることです。ユーザーoracle は、GRID ソフトウェアの
インストールに使用されたソフトウェアのユーザーであり、所有者です。
注意: データベース・ソフトウェアは専用の ORACLE_HOME にインストールする必要があります。Oracle Clusterware
と同じ場所を選択しないでください。
共有 ORACLE_HOME ディレクトリを格納するストレージの場所を準備します。Oracle RDBMS ソフトウェアは、空の
ディレクトリにインストールする必要があります。ORACLE_HOME ディレクトリがノード間で共有されている場合は、
クラスタ内のすべてのノードからアクセス可能であることが必要です。このディレクトリの名前を/oracle/<SID>/12102
とします。このディレクトリ・ネーミング・スキームは、単一インスタンスのデータベース・インストール用の SAP の
デフォルトに従っています(SAP Note 1521371 を参照)。
RDBMS の ORACLE_BASE のディレクトリを準備します。このディレクトリは、診断データの保存に使用するため、SAP
インストールのすべてのクラスタ・ノード間で共有することができます。
注 意 : Oracle デ ー タ ベ ー ス ・ ソ フ ト ウ ェ ア の ORACLE_BASE と Oracle Grid Infrastructure ソ フ ト ウ ェ ア の
ORACLE_BASE は、ディレクトリが異なります。SAP を使用する両方のタイプのインストールに同じディレクトリを使
用しないでください(SAP Note 1521371 を参照)。
共有ファイル・システム上で、ORACLE_BASE の場所としてディレクトリ/oracle/<DBSID>を使用することをお薦めし
ます。
ユーザーoracle としてログオンし、Oracle Universal Installer を使用してインストールを開始します。Installation Option
のステップで「Install database software only」を選択します。
Grid Installation Options
Install database software only
インストール・タイプ
Oracle
Real Application Clusters データベースのインストール
ノードの選択
すべてのノードを選択
製品の言語
英語
Database Edition
Enterprise Edition
インストールの場所
Oracle Base
/oracle/<SID>
ソフトウェアの場所
/oracle/<SID>/12102
オペレーティング・システム・グループ データベース管理者(OSDBA)グループ
dba
データベース・オペレータ(OSOPER)グループ
oper
データベース・バックアップおよびリカバリ(OSBACKUPDBA)グループ
oper
Data Guard 管理(OSDGDBA)グループ
dba
暗号化キー管理(OSKMDBA)グループ
dba
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
Oracle データベース・ソフトウェア・インストールごとに異なる場所の Oracle Base を使用することをお薦めします。
SAP で使用する場合は、できるだけ Oracle Base ディレクトリを共有ファイル・システムに配置します。
提示されるグループを使用します。Oracle ソフトウェアの所有者が、プライマリ・グループ oinstall を持つユーザーoracle
であることに注意してください。OSDBA グループに dba を、OSOPER グループに oper を選択することにより、各グルー
プのメンバーはデータベースの起動や停止などの管理タスクを実行できます(接続/SYSDBA として、接続/SYSOPER と
して)。
SAP ユーザーora<dbsid>は、グループ dba に属し、すべての管理タスクを実行できます。注意: 新しいパッチセットの
インストールやパッチ適用など、すべてのソフトウェア・メンテナンス・タスクは、OS ユーザーoracle の使用が必要な
構成タスクです。
「サマリー」画面に表示される内容を確認します。すべての情報に問題がない場合、「Install」を押しインストールを開
始します。
Oracle インストーラは、必須条件を確認します。このチェックに合格しなかった場合は、インストールを続行しないで
ください。ソフトウェアのインストール完了後、すべてのノードでユーザーroot として root.sh を実行します。
「終了」画面にインストールの結果が表示されます。警告メッセージが表示された場合は、構成の変更を続行しないでく
ださい。
新しくインストールされたデータベース・ソフトウェアへの SAP 用パッチの適用
ソフトウェアのインストール後、SAP システムの稼働に必要なすべてのパッチを適用してください。推奨および認定さ
れたすべてのパッチ(SAP Bundle Patches、SBP)は、SAP サービス・マーケットプレイスからダウンロードする必要
があります。常に、最新の SAP Bundle Patch を使用し、パッチ・バンドルの SBP README の手順で詳細に説明するよ
うに、MOPatch を使用して、パッチを適用します。また、12.1.0.2 用の SAP 固有のデータベース・アップグレード・ス
クリプトの使用をお薦めします。これらのアップグレード・スクリプトは、アップグレード前およびアップグレード後の
タスクの自動化を支援します。このような機能により、SAP RAC データベースのリリース 12.1.0.2 へのデータベース・
アップグレード・プロセスが簡素化されます。アップグレードの後、SAP/Oracle の推奨に従い、スクリプトによりすべ
てのデータベース・パラメータも構成します。これらのスクリプト使用の詳細は、SAP Note 1915315 を参照してくださ
い。
# su – oracle
$ export ORACLE_HOME=/oracle/<SID>/12102
$ cd <patch location>
$ $ORACLE_HOME/MOPatch/mopatch.sh –v-s p9584028_121020_Generic.zip
MOPatch を使用して、必要なすべてのパッチを適用することをお薦めします。
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
SAP 固有のデータベース・アップグレード・スクリプトによる Oracle Database のアッ
プグレード
既存の Oracle 11.2 RAC データベースのアップグレードに SAP 固有のデータベース・アップグレード・スクリプトを使
用することをお薦めします。スクリプトは DBUA のラッパーとして機能し、アップグレード・プロセスを簡素化します。
システムにユーザーoracle としてログオンします。DBUA を dbua.sap.sh により起動します。SAP Note 1915315 の手
順に従い、アップグレード前の手順を実行します。アップグレード前の手順により、SAP データベースは正しく構成さ
れ、アップグレードできる状態になります。オプションとして、リストア・ポイントを作成できます。
環境変数 DISPLAY、DB_SID、ORACLE_HOME_SRC および ORACLE_HOME_TGT を設定します。
詳細は、SAP Note 1915315 を参照してください。
Select 操作
Oracle データベースのアップグレード
使用可能なデータベース
<SID>
前提条件のチェック
警告およびエラーの修正
アップグレード・オプション
無効なオブジェクトの再コンパイル
並列度 >= 3
タイムゾーン・データのアップグレード
アップグレード後のカスタム SQL スクリプト
<new ORACLE_HOME>/sap/ora_upgrade/post_upgrade/sapuprof_profile.sql
管理オプション
登録は必要ない
リカバリ・オプション
RMAN のバックアップなし、選択
独自のバックアップおよびリストア方針がある
アップグレード・オプション画面で再コンパイルのオプションを選択します。既存のデータベースのバックアップは必要
な前提条件です。アップグレード手順を実行する前に必ず完了しておく必要があります。
DBUA が終了すると、ツール srvctl を使用してデータベースの起動と停止ができます。
データベースの手動アップグレード
データベースの手動アップグレードはお薦めしません。SQL*Plus を使用して手動アップグレードを実行する場合は、
MOS Note 1503653.1「Complete Checklist for Manual Upgrades to Oracle Database 12c Release 1(12.1)」を参照し
てください。
イ ン ス タ ン ス の 起 動 に pfile init<SID>.ora を 使 用 し て い る 場 合 は 、 テ キ ス ト ・ エ デ ィ タ を 使 用 し 、 パ ラ メ ー タ
cluster_database の設定が false であることを確認します。
SAP に必要な RAC 対応の単一のサーバー・パラメータ・ファイル spfile.ora を使用している場合は、sqlplus を使用して
パラメータの設定を変更します。
$ sqlplus / as sysdba
SQL> startup nomount
SQL> alter database set parameter cluster_database=’false’ scope=spfile;
SQL> shutdown immediate;
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
SAP ユーザー環境
データベースの Oracle 12c へのアップグレード後、
ユーザー<sid>adm および ora<dbsid>の SAP スクリプト.dbenv* で、
変数 ORACLE_HOME の値を更新する必要があります。
すべての.dbenv*スクリプトの変数 ORACLE_HOME のすべての発行を置き換え、リリース・バージョンの新しい値を反
映します。たとえば、「112_64」を「121」で置き換えます。
変数 ORACLE_HOME は、OS ユーザーoracle のどのログイン・スクリプトにも恒久的に設定しないでください。ツール
oraenv の実行により適切に設定されます。
SAP インスタンスおよび START プロファイル
変更または修正は必要ありません。すべての設定が同じです。
SAP BR*Tools
SAP が提供する Oracle データベース管理用ツール、SAP BR*Tools は RAC 構成をサポートします。RAC を使用する場
合は、常に最新バージョンの BR*Tools を SAP サービス・マーケットプレイスからダウンロードしてください。RAC 対
応 SAP システムに必要な構成の変更は、すべて SAP マニュアルの第 6 章『SAP Database Guide: Oracle』に記載され
ています。
リスナー・プロセスに対する Oracle インスタンスの自動登録に加え、各リスナーで管理する SID_LIST もあります。ファ
イル listener.ora の SID_LIST エントリは、インスタンスが実行中ではない場合でもインスタンスが存在することをロー
カル・ノード・リスナーに伝えます。これは、SAP の BR*Tools にとってインスタンスの状態(そのものが存在しない、
またはインスタンスが停止中)を識別するための重要な情報です。
Oracle クラスタウェア・リリース 12.1.0.2 にアップグレード後、リスナー用の構成ファイルが登録されている SAP デー
タベースのエントリをチェックします。ファイル$GRID_HOME/network/admin/listener.ora の SID_LIST_LISTENER セ
クションのエントリ ORACLE_HOME の正しい場所をチェックします。エントリ ORACLE_HOME には、Oracle リリー
ス 12.1.0.2 にアップグレードした後の新しい RDBMS Home の場所が含まれている必要があります。
シ ス テム にユ ーザ ー oracle と し てロ グオ ンし ます 。 /oracle/GRID/12102/network/admin デ ィレ クト リの フ ァイル
listener.ora の最後に SID_LIST エントリを追加します。
SID_LIST_LISTENER =
(SID_LIST=(SID_DESC=(SID_NAME=<SID>001)(ORACLE_HOME=/oracle/<SID>/12102)))
グリッドはローカルのすべてのノードにインストールされるため、この作業はクラスタ内のすべてのノードで実行する必
要があることに注意してください。すべてを一行に入れます。CR/LF または空白は使用しません。
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
SAP Enqueue Replication の実行と構成
このホワイト・ペーパーで定義されたセットアップと構成の手順はすべて、Oracle Clusterware Agent SAPCTL for SAP
Enqueue Replication の実装に従っています。
Oracle Clusterware における SAP Enqueue Replication の構成作業の詳細は、Oracle のホワイト・ペーパー
『SAP リソースの高可用性の実現』を参照してください。
ホワイト・ペーパーは SAP サービス・マーケットプレイスから入手できます。
http://service.sap.com/dbaora → Oracle Database Administration → Media Library → Oracle RAC
または、Oracle ウェブサイトから
http://www.oracle.com/sap → ORACLE RAC FOR SAP → Best Practices
参考文献
SAP Note
1521371 −
Setting of ORACLE_BASE in SAP environments
1915315 −
Oracle 12c Database Upgrade Scripts
527843
−
Oracle RAC support in the SAP environment
1888485 −
Oracle 12c: Database Parameter 12.1.0
1914631 −
Oracle 12C: Central Technical Note for Oracle 12c
MOS Note
1503653.1−
250.2
−
Complete Checklist for Manual Upgrades to Oracle Database 12c Release 1 (12.1)
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www.oracle.com/sap
www.oracle.co.jp/sap
12
ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。
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Oracle Real Application Clusters 12c Release 1 による SAP NetWeaver インストールの Oracle Grid
Infrastructure 12.1.0.2 へのアップグレード
2015 年 3 月
Oracle is committed to developing practices and products that help protect the environment
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ORACLE RAC を含む既存システムのアップグレード
Oracle Corporation 発行「Upgrade of SAP NetWeaver Installation to Oracle Grid Infrastructure
12.1.0.2 with Oracle Real Application Clusters 12c Release 1」の翻訳版です。