1 質 問 要 旨 議席番号 5番 一問一答式・一括質問一括答弁式 質問者氏名 落 合 康 友 議 員 項 目 5.学校給食の完全米飯化について 今年の秋、過去最低となった米価暴落のニュースが、多くの農業 関係者を落胆させました。 「米作っても飯食えぬ」というスローガン までも生まれましたが、この事態は地域の根幹産業存続の危機であ り、地域経済崩壊の危機でもあると、甚だ重く受け止め、緊急性を もて対処してゆかねばなりません。米価暴落の原因は過剰在庫であ りますが、米の地産地消を促進させるために、最も即効性と持続性 がある有効的な手段のひとつとして、市内小中学校の「完全米飯給 食化」があります。 これまで当議会の一般質問においても「米飯給食」については幾 度か質疑されてきておりますが、斯かる農業振興という観点だけか らではなく、若年化する生活習慣病や近年蔓延る精神疾患の脅威か ら子どもたちを守る保健的な観点、また日本特有の食文化とその背 景を理解し健全な食生活の知識を養う食育という観点としても、今 こそ真剣になって「完全米飯給食」について検討し、その実現に踏 み切るべき時であると主張します。 近年では民間運動や食育基本法、学校給食法の改正にも伴い、米 飯給食導入に関心を示す自治体が甚だ増え、当市においても旧能代 市で週2食の米飯給食の割合であったものが、平成二十二年度より 市内全小中学校において週3. 5食という割合まで改善されました。 しかしこの残す週1.5日も米飯化し完全米飯給食となれば、いか ほど米の年間消費量が増えるのか。給食に使用される米は市内産1 00%です。児童ひとり当たり給食一食での米の消費量を平均90 2 質 問 要 旨 一問一答式・一括質問一括答弁式 g(炊飯後200g)とし、単純計算で90gに市内全小中学校の 児童数3,819名を掛けると、週一日米飯給食を増やすだけで市 全体で消費量が一日当たり約344㎏も増加します。 「完全米飯給食」が実現した暁には、毎月二十一日間を登校日数 として、週3.5日の米飯給食から週5日へと増えることで一か月 約1.9t(7,224㎏[5日]‐5,296㎏[3.5日]) 、長期 休暇を除いて年10カ月間を登校日数とすると、年間で19tもの 米の消費量が増加することになります。 この数値は、 「完全米飯給食」 が米の地産地消を促し農業振興を図る上で、極めて簡易的であり即 効性と持続性が認められる有効的な手段であることを証明していな いでしょうか。斯かる農業振興という観点のみからしても「完全米 飯給食」への移行に、メリットが充分であることはご納得いただけ るでしょうが、先述したとおり児童の健康と食育を促進させる観点 からしても、 「完全米飯給食」は実現させるべきであります。 現在全国においても週5食の「完全米飯給食」を実施する小中学 校等の数が、文部科学省の調査によると二〇〇六年1,312校(全 体の4.2%)だったものが2012年には2,156校(全体の 7.1%) 、即ち六年間で844校も増加しました。しかし我々古代 より米を主食としてきた農耕民族でありながら、もっと躍進的に完 全米飯給食実施校が普及してゆかないその根本的要因は、敗戦後の 米国による対日政策のひとつ、過剰在庫となった小麦の大量売付け を正当化するための完全パン給食の導入から起因し、現代において 行政、教育者、保護者が、こういった政治背景や歴史背景を含め「ご 飯とパンの抜本的な違い」を理解していないためではないかと推測 します。 ご飯とパンの違いは「原材料が異なるデンプン質」程度のもので はありません。アミノ酸やビタミンなどパンに比べご飯は理想の栄 3 質 問 要 旨 一問一答式・一括質問一括答弁式 養バランスであります。またパンを主食とする食事は性質上肥満を 促します。粒状のご飯に比べ粉状のパンは非常に消化吸収が早いた め腹持ちが悪いです。午後の授業中には空腹になってしまい授業に 集中できなかったり、空腹のため帰宅後に甘いお菓子を食べてしま い肥満を促進させたりしてしまう傾向があります。 当市のパン給食においては栄養バランスに配慮された献立である と見受けていますが、世間一般的にはパンの副食は高カロリー高脂 肪である、近年になり生活習慣病患者を爆発的に増やした要因でも ある欧米型の献立に傾向します。パンは水分が少ないため、口の中 を潤す油分の多いものと一緒に食すことが好まれます。添加物とし てマーガリンやバターなど、また副食も肉類を中心とする炒め物や 揚げ物、ドレッシングの掛かったサラダなど、献立全体が油分の多 いものとなります。 欧米型の食生活が、現在蔓延る生活習慣病などの様々な疾患の原 因となっていることは、欧米食文化が普及していない戦前にはアレ ルギーやアトピー、喘息を患う子供もほとんどおらず、糖尿病・肥 満・高血圧などの生活習慣病、また生活習慣病を起因とするガン・ 脳血管疾患・心臓病等、またうつ病などの精神疾患が戦後に急増し ていることが、目に見える証拠です。パンが主食の献立は国籍も季 節感もなく油分が多くなる傾向があるのに対して、ご飯の副食は自 ずと地場産で旬のものである穀物や野菜、豆、魚、海藻を中心とし た、消化吸収において内臓に負担をかけない献立になります。この 自然や気候と一体となった食スタイルこそが、我々日本人の誇るべ き文化であり、外国人からも評価され、 「和食」がユネスコ無形文化 遺産にも登録された要因であると認識しています。 「児童に楽しみを与える」かつてはそういった給食の位置づけも 確かにあったかもしれませんが、子どもたちが数知れぬ万病の脅威 4 質 問 要 旨 一問一答式・一括質問一括答弁式 に晒されているこの時代、 「食」に対する考え方を根本から改めなけ ればならないでしょう。江戸時代の水野南北という人相学者の「食 は命なり。 人の命運は総べて食にあり。 」 という言葉にもありますが、 なるほど、それは私どもの肉体と精神を構成しているのは「食生活」 そのものであるが故です。 平生の家庭内の食事でもお楽しみだらけ、現代二人に一人の子供 は朝食にパン、高カロリー高脂肪の欧米食やファストフード、イン スタント食品の普及。能代市の小中学生の肥満率は全国平均を上回 り、全国ワーストクラスに近づいています。斯かる飽食の時代に哀 れむべくも、家庭における食育の機能が失われつつあるために、必 然として学校給食がその役目を補完すべくあります。 敗戦後1954年に学校給食法が制定されパンと牛乳の学校給食が 始まり、1997年現文部科学省が「週2回の米飯給食」の方針を 定めるまで、実に40年以上も完全パン給食が続きました。けして 私はパンというもの自体を否定している訳ではありませんし、私自 身パンの愛好家であると自負しています。ただここで主張したいの は、かつてパンを完全なる主食とした不自然な学校給食制度に疑念 を抱き、食の欧米化や多様化に伴って失われつつある、米を中心と する日本食の素晴らしさを学校給食で伝授して、お米がもっと子供 たちに愛されて欲しいということです。 全国的に年々、完全米飯給食実施校が増えてきており、いつしか 将来、日本のほとんどの学校が完全米飯給食化する日が来るのでは ないかと私は推測しています。何かを得るためには何かを手放し、 我々人間は進化してゆきます。早急に能代市の小中学校において完 全米飯給食化に取り組めないものか、これまで述べた①緊急性を要 いる農業振興のための観点、②万病の脅威から子どもたちを守る保 健的な観点、③米を中心とする素晴らしい日本食文化を子どもたち 5 質 問 要 旨 一問一答式・一括質問一括答弁式 に伝えるための食育の観点、これら三つの観点に基づいたご答弁を 宜しくお願いします。
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