グラム染色塗抹標本と培地所見の乖離から Bordetella pertussis を早期

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グラム染色塗抹標本と培地所見の乖離から Bordetella pertussis を早期確定した 2 症例
◎堀内 綾華 1)、久保田 紀子 1)、日髙 恵以子 1)
地方独立行政法人 長野県立病院機構 長野県立こども病院 1)
【はじめに】Bordetella pertussis (百日咳菌)の感染は乳児で
性となり、azithromycin (AZM) 5 日間の投与により軽快退院
重篤化しやすく、場合によっては交換輸血が必要なことか
した。
ら、早期診断が重要である。今回グラム染色所見および培
【症例2】1 カ月男児。既往歴等特記事項なし。2 週間程前
地所見における菌量差より B. pertussis を推定し、LAMP 法
より咳が出現し徐々に悪化。近医入院となったが SpO2 低下
による検索を追加実施したことで、早期診断・治療に貢献
と徐脈を認め、当日中に当院搬送となった。前医にて RSV
できた 2 症例を報告する。
(-)、PICU 入室時 WBC 5070/µL。胸部レントゲンにて肺炎
【症例1】1 カ月女児。既往歴なし。2 週間程前より咳嗽を
像を認めた。気管吸引痰のグラム染色ではグラム陰性小球
認め次第に悪化。咳き込み時のチアノーゼ、咳き込み後の
桿菌 (3+) およびその貪食を認め、H. influenzae が疑われた。
無呼吸を認め、前医に緊急入院となった。入院後、無呼吸
培養 24 時間でチョコレート寒天培地上に Haemophilus 様コ
発作が頻回となり、気管挿管実施するも挿管困難で当院搬
ロニーが (1+) 観察されたが、グラム染色所見との間に著
送となった。入院時検査所見は RSV (-)、WBC13830 /µL。
明な菌量差を認めた。主治医に百日咳菌の可能性を報告し、
胸部 X 線にて肺炎像を認め、気管吸引痰のグラム染色は
LAMP 法による B. pertussis 検索を提案した。直ちに追加検
Haemophilus influenzae と推定されるグラム陰性小球桿菌
査を実施し、陽性結果を得た。AZM 4 日間の投与により症
(3+) およびその貪食が確認された。翌日、チョコレート寒
状軽快し退院となった。
天培地上に菌の発育を認めず、グラム染色所見と培地所見
【考察】グラム染色所見と培地所見の乖離から、検査室よ
が乖離した。菌形態とチョコレート寒天培地非発育である
り追加検査を提案したことで、早期診断・治療・感染対策
ことから B. pertussis が疑われたため、主治医にその旨を報
に貢献することができた。
告し、LAMP 法による検査を追加実施した。B. pertussis 陽
連絡先:0263-73-6700(内線 1405)