経営史

〔科目名〕
〔単位数〕
2
経営史
〔担当者〕
四宮 俊之
時間:
場所:
〔オフィス・アワー〕
講義開始前の 15 分と終了後の 10 分間
非常勤講師控室
〔科目区分〕
[email protected]
〔科目の概要〕
経営史(学)とは、個人や組織による物財やサービスの創出と提供、それによる利潤の追求などが如何になされてき
たのかを、過去の企業家や企業による意思決定と行動の経緯、要件、背景などを含めて歴史的に解明、理解していこ
うとする学問です。
この科目では、先ず経営史(学)が学門のひとつとして最初にアメリカで生み出された経緯や問題意識などを概説
し、次に私自身の視点や問題関心などを加えて、日本の近代以降におけるビジネスの歴史的展開を解説、論及して
いきます。その際には、企業家や経営者、企業における意思決定と行動のあり様や、それらを導き出す理念や戦略的
要件などを歴史的事例を通じて明らかにし、実際の企業活動についての理解の一助にしてもらいたいと考えます。
〔「授業科目群」・他の科目との関連付け〕・〔なぜ、学ぶ必要があるか・学んだことが、何に結びつくか〕
経営学や経済学など社会科学の多くは、経験科学としての性格を強く持っています。それは、例え論理的に解法
や結論が正しくても、それが現実の事象に当てはまらないならば妥当でないと考えることを意味します。また、それら
の現実が人間による営為として発現してくる以上は、そこに多様な個性の現れや評価があり得えます。
ところで、われわれは、一様に生まれてから多くのことを自ら経験し、そこから少なからず学んでいきます。皆さん
も、これからまだ多くの経験を積み重ねていくと思います。しかし、一人の人間が自らの経験のみを通じて学べること
には限度があります。そこで、これまで多くの人たちが他人の経験などを過去にさかのぼって見聞、検証し、そこから
得られた知見を自らの考えや行動に反映させたり、より合理的あるいは効率的に物事を成し遂げるための参考にして
きました。
経営史(学)も、経営学や経済学が対象とする人間の営為のひとつとしての企業活動の事象を過去にさかのぼって
検討し、そこから現代や将来の企業活動に役立つ歴史的な経験則や要件などを学び、さらに自らの経験も加味する
などして今後の指針になり得ることが期待されます。
〔科目の到達目標(最終目標・中間目標)〕
講義では、経営史(学)の問題関心や視点などから日本での近代ビジネスの歴史的な生成について概説します。な
お、歴史学においては、一般にいわれる「正史」なるものなどが存在しないと考えます。歴史は、いつも時代ごとなど
に次なる「読み直し」が必要となります。これは、たとえ現代において正しい歴史的事実や解釈とされていても、次の時
代になると往々に別の評価や解釈が必要になってくることを意味します。
そこで将来の次なる時代を担うようになる皆さんは、たとえ私による講義内容が正しい歴史的理解や評価を述べて
いるように聞き取れたとしても、その適否を自分自身にて問い直し、場合によると読み直してみることを心掛けてくださ
い。それが大学において学問に取り組む場合の本筋となる到達目標であろうかと思います。
〔学生の「授業評価」に基づくコメント・改善・工夫〕
私の授業内容については、時折、話が分かりにくいとの指摘があります(多様な内容がよいとの意見もありますけれ
ど・・・)。これは、企業家や企業による歴史的な実践の事柄について、それぞれの多様性や個性への目配りが重要で
あろうと考え、論述が明快でなくなっているためと思われますが、それでもできるだけ平易な説明に努めたいと思いま
す。学生の皆さんも、そうした多様性や個性についての理解を踏まえて、自ら考える姿勢で受講してもらえれば期待し
ています。 また、板書については、授業要旨のまとめでなく、難読字の表記や概念のまとめなどを中心に行います。
そこで学生には、講義で聞いたことを自身のノ自分の工夫したやり方でートに随時書き込んでもらいたいと思います
(そのノートは試験での持ち込みを可とします)。ノートを自分で分かるやり方できちんと取ることは、社会人になると情
報整理のための重要な個人的ツールになります。とはいえ、板書が分かりにくいという意見もありますので、私の方も
注意していきたいと思います。
〔教科書〕
特に指定しませんが、教員作成のプリント資料を必要に応じ講義の前週までに配布し、予習してもらい使用します。
〔指定図書〕
宇田川勝、他編 『企業家活動からみた日本ものづくり経営史』 文眞堂、2014 年。
小林正彬、他編 『日本経営史を学ぶ 1 明治経営史』 有斐閣、1976 年。
〔参考書〕
最初のプリント資料に参考文献リストを含めます。それらを参考に図書館でさらに学んでください。
〔前提科目〕
な し
〔学修の課題、評価の方法〕(テスト、レポート等)
期中に課題レポートの提出を求めるほか、期末に筆記テストを実施します。授業での評価は、それらでの論述内容
や学習状況などを勘案して、総合的に行います。
〔評価の基準及びスケール〕
評価については、学生が講義内容をどのように理解したのかだけでなく、科目の到達目標で既述したように、講義
で扱われた事柄や問題について皆さんが自分自身でどのように考えていくのかなども重視します。なお、論述などに
おいて、他人の言説や著述を無断引用(コピペ)したものについては、「盗用行為」として厳しくマイナス評価しますの
で、くれぐれも注意してください。
〔教員としてこの授業に取り組む姿勢と学生への要望〕
講義の内容をただ鵜呑みして聞いたりするのでなく、学生が自ら考え、検証する姿勢で学んでほしいと思います。
それを前提として、講義の構成や内容も担当教員の持説を強くうち出したものにしていきます。学生も講義において質
問や意見の表明などのかたちで教員へ積極的にアプローチしてください。皆さんの先輩で何人かの学生がそうして学
んでいたことを印象深く記憶しています。
第1回
授業スケジュール
テーマ(何を学ぶか): 経営史(学)とは
内 容: 経営史(学)の問題意識や要点など
プリント資料を予定
第2回
テーマ(何を学ぶか): 日本におけるビジネス理念の動向
内 容: 賤商意識から国事意識
プリント資料を予定
第3回
テーマ(何を学ぶか): 日本における近代ビジネス理念の生成と累層化
内 容: 福沢諭吉、渋沢栄一、武藤山治、F.W.テイラーなど
プリント資料を予定
第4回
テーマ(何を学ぶか): 企業家、経営者による実際のビジネスへの取り組み
内 容: 藤原銀次郎(経験主義)、大川平三郎(科学主義)の事例
指定図書 : 『企業家活動からみた日本ものづくり経営史』。プリント資料、 DVD使用も予定
第5回
テーマ(何を学ぶか): 日本企業の意思決定と実行の有り様
内 容: 日本的経営の視点から
プリント資料を予定
第6回
テーマ(何を学ぶか): 日本企業の統治の有り様
内 容: 誰が企業を支配するのか
第7回
テーマ(何を学ぶか): 近代企業の生成要件 Ⅰ
内 容: 規模の最適性をめぐる市場と技術の組み合わせから
プリント資料を予定
第8回
テーマ(何を学ぶか): 近代企業の生成要件 Ⅱ
内 容: 規模の経済性の追求をめぐって
プリント資料を予定
第9回
テーマ(何を学ぶか): 近代企業における多角化
内 容: 範囲の高経済性の追求から
プリント資料を予定
第 10 回
テーマ(何を学ぶか): 財閥の経営Ⅰ
内 容: 財閥の所有、支配形態などをめぐって
プリント資料を予定
第 11 回
テーマ(何を学ぶか): 財閥の経営Ⅱ
内 容: 財閥の事業形態の推移
プリント資料を予定
第 12 回
テーマ(何を学ぶか): 近代における重要産業の経営
内 容: 製糸、紡織業の事例
プリント資料を予定
第 13 回
テーマ(何を学ぶか): 戦前期における企業家、経営者の類型
内 容: その出自や資格、経歴などをめぐって
指定図書:『企業家活動でみる日本ものづくり経営史』
Ⅰ
第 14 回
テーマ(何を学ぶか): 戦前期における企業家、経営者の類型
内 容: その出自や資格、経歴などをめぐって
指定図書:『日本経営史を学ぶ1 明治経営史』
Ⅱ
第 15 回
テーマ(何を学ぶか): 現代企業への流れ
内 容: サラリーマン経営者の時代へ
試 験