平成27年 7月 「第13回 糖尿病 ①」

第 13回
糖尿病①
2015 年 7 月
糖尿病について、第一回目は基本的な知識について、見ていきましょう。
「血糖」とは?
でんぷんなどの糖質(炭水化物)は、私たちの生命を維持する栄養素とし
て最も大切なものの1つです。糖質は消化されてブドウ糖となり、血液中か
ら全身の細胞に取り込まれて、主なエネルギー源として利用されます。
血液中のブドウ糖を「血糖」といい、血糖値とは血液中のブドウ糖の量を
表しています。
体の中での糖の動き
食事によって体内に取り込まれた糖質は、胃や腸で分解されてブドウ糖と
なり、血液中に吸収されます。全身の細胞は、血液中からブドウ糖を取り込
み、エネルギー源として利用します。この時、すい臓から分泌されるインス
リンというホルモンが、ブドウ糖の細胞への取り込みを助けます。
あまったブドウ糖は、肝臓や筋肉でグリコーゲンという物質に変えられて
蓄えられます。ブドウ糖が不足した時は、グリコーゲンが再びブドウ糖にな
って供給されます。
京都府国民健康保険団体連合会「とっておき!健康情報」
糖尿病とは?
インスリンが分泌されなくなる(インスリンの分泌障害)、もしくはインス
リンは分泌されるが効かなくなる(インスリン抵抗性の亢進)などの原因に
よって細胞内に糖が正常に取り込めなくなり、血糖の高い状態が常に続く疾
患です。
糖尿病はその原因によりいくつかのタイプに分けられます。
〇1 型糖尿病
インスリンを作るすい臓の細胞が何らかの原因で壊されることで、インス
リンが作られなくなり、糖尿病になります。子どもや若年者に多くみられま
す。
〇2 型糖尿病
インスリンの分泌量の不足、分泌のタイミングの遅れ、またインスリンが
効きにくくなり、慢性の高血糖状態となる疾患です。おもに中高年以降にみ
られますが、若年者の発症も増加しています。日本の糖尿病患者の約 95%が
2 型糖尿病とされています。食事や生活習慣が関係している場合が多いです。
〇遺伝子の異常やほかの病気が原因となるもの
遺伝子の異常や肝臓やすい臓の病気、感染症、免疫の異常などのほかの病
気が原因となって、糖尿病が引き起こされるもの。薬剤が原因となる場合も
あります。
〇妊娠糖尿病
妊娠中に初めて指摘された糖代謝異常のことをいいます。妊娠中はわずか
な高血糖でも胎児に影響を与えるため、糖尿病ではなくても「妊娠糖尿病」
と呼びます。肥満、高齢妊娠、家族に 2 型糖尿病の方がいる、過去の妊娠で
糖尿病を指摘された場合に起こりやすいとされています。
京都府国民健康保険団体連合会「とっておき!健康情報」
糖尿病の症状
血糖値が高い状態が続くと、次のような症状が現れます。
尿の量が多くなる。
のどが渇いて水分をたくさん飲む。
体重が減る。
疲れやすくなる。
しかし、軽症の場合、自覚症状は見られないことが多く発見が遅れることがありま
す。
特に 2 型糖尿病では気づかないうちに発症し、ゆっくりと進行します。また、症状
が無いからと言って血糖コントロールを行わずにいると、合併症を引き起こします。
糖尿病の合併症
1.糖尿病性神経障害
合併症の中で最も早く出てくるのが神経障害です。神経障害の症状の出方は様々
ですが、主に温度や痛みを感じにくくなり、火傷や怪我の原因となります。
2.糖尿病性網膜症
網膜の血管が障害され、目のかすみ、視力低下などが現れ、
症状が進むと失明してしまうことがあります。
3.糖尿病性腎症
尿をつくる腎臓の毛細血管が悪くなり、だんだん尿が作れなくなります。老廃物がた
まり、腎不全や尿毒症などの生命に関わる重篤な症状を引き起こします。腎不全にな
ってしまうと人工透析を受ける必要が出てきます。
現在、透析導入の 1 位は糖尿病性腎症です。
京都府国民健康保険団体連合会「とっておき!健康情報」
糖尿病の現状
日本における糖尿病患者数は 2007 年の 890 万人に対し、2012 年には 60 万人増加
し、約950万人です。予備軍(糖尿病の可能性を否定できない人)を含めると約205
0万人になります。(2012 年国民健康・栄養調査)
京都府における生活習慣病の一人あたり医療費割合
(入院+外来、国民健康保険加入者分:国保データベースシステム H26.5 診療分)
糖尿病
11.6%
脂質異常症
7.5%
高血圧症
12.8%
筋・骨格
21.6%
高尿酸血症
0.1%
脂肪肝
0.3%
がん
32.6%
脳出血
1.8%
心筋梗塞
1.2%
狭心症
5.4%
動脈硬化症
0.8%
脳梗塞
4.4%
1人あたり診療費(円)の変化
10,000
9,900
9,800
9,964
9,857
9,700
9,664
9,600
9,500
平成24年
平成25年
平成26年
平成 26 年度は平成 24 年度を上回る額となっています。
また、30 歳代より額が急増しているのも特徴です。
京都府ではがん、筋・骨格系疾患、高血圧に次いで 4 番目に糖尿病の医療費が多
くなっています。数十年前と比較して、糖尿病の患者数は年々増加しています。その
原因は、食生活をはじめとする生活習慣の乱れといわれており、今後患者数を増加
させないためにも「予防」がとても大切になってきます!!
次回は糖尿病の予防を見ていきます。
京都府国民健康保険団体連合会「とっておき!健康情報」