第6章 失業

第6章
失業
初級マクロ経済学1(2015年度) 担当:中川竜一
関西大学初級マクロ経済学1(担当:中川竜一)
図3-1
2
経済における貨幣のフロー循環図
所得
労働
生産要素
市場
家計
企業
政府
政府購入
消費
財・サービス
市場
投資
財
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3
第6章のテーマ(1/2)

失業者の数:実質GDP以上に、一国の生活水
準に影響する要因。



生産に貢献していない。
所得、達成感、自尊心、安心感を失う。
失業のメカニズムを学ぶ。


6-1節 失業率はどう決まる?
失業の原因は?


6-2節 職探し。
6-3節 賃金の硬直性。
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最近の日本の労働環境
4
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5
第6章のテーマ(2/2)

2 種類の失業:
:



通常の経済状態において発生する失業。
長期においても解消されない。
:



自然失業率の周りを年々変動する失業。
短期の景気循環に関係する。
を学習する。


循環的失業は第3部で。
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6
1955年以降の失業率(日本)
6
%
失業率
5
4
3
2
1
0
1955
1960
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
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7
復習(2章):失業の定義

成人(15歳以上)を 3 種類に分類:
: 労働意欲あり。




①
②
:仕事についている人。
:求職活動を行っているが、仕事に就けない人。
③

:上記の二つ以外。
学生、主婦(夫)、退職者、労働意欲喪失労働者…
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6-1
離職、就職と自然失業率

自然失業率を決定する要因は?

労働市場の動き:
8
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9
労働市場が定常状態にあるとき

失業率が一定のとき

失業率を式で表すと

失業率を引き下げるには:
。
。
1.
2.
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10
6-2、6-3節の概要

なぜ失業者が存在するのか? 失業の原因は?

労働市場で「


失業は
実際の労働市場:




職探し
最低賃金法
労働組合
効率賃金
」が働くならば:
。(=
)
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労働市場の価格メカニズムと失業の関係
実質賃金
労働需要
労働供給
0
労働
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12
6-2 職探しと摩擦的失業




.
: 産業間・地域間の
農業↓⇒IT産業↑、地方↓⇒大都市↑。
労働者の


仕事口の特徴、求職者の好み・技能…さまざま。
⇒
。
。


.
:
ことで発生。

:
移住、キャリアアップ、…。
「仕事を待っている」ではなく「
「価格メカニズム」は
」。
。
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公共政策と摩擦的失業

政府の政策:

⇒ 摩擦的失業↓。
政府の
1.

:
求人情報の公開。
公共の
2.

:
成長産業への労働者の移動の促進。
:
3.



。
失業者の所得を部分的に保障。
所得の不確実性を削減。
注意:
。
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6-3
実質賃金の硬直性と構造的失業
: 賃金が、
まで調整されない。



「価格メカニズム」が
.
。
: 賃金の硬直性と職の割り当て
によって生じる失業。


14
失業者は「
」。
賃金硬直性の原因:

最低賃金法、労働組合、効率賃金。
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15
原因1:最低賃金法
: 労働賃金に最低限度を課す。



労働者が
止する。
「最低賃金
」ならば…:
。


ことを法的に防
「最低賃金
」ならば…:
⇒ 失業発生!!
に影響。



実際の影響:


の失業。
①未熟練。
②OJT(職場訓練)という形の報酬。
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16
日本の最低賃金制度(2014年度)
最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金
額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度。
近畿府県
その他の主要都市
三重
753
北海道
748
滋賀
746
宮城
710
京都
789
東京
888
大阪
838
愛知
800
兵庫
776
広島
750
奈良
724
福岡
727
和歌山
715
沖縄
677
全国加重平均額
780円
出所:厚生労働省。
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原因2:労働組合と団体交渉

:労働組合と企業が雇用条件で交渉。



.
労働組合: 雇用条件に関して
。
!!
合意しなければ…
…:
組合の


「
」で合意しやすい。
⇒ 企業の労働需要↓ ⇒ 失業の発生!!
の発生: 組合の存在は…



組合労働者には
失業者には
!!
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テキスト p.232
!!
18
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19
原因3:効率賃金



⇒ 失業の発生!!
考えられる理由:



.
企業が
場合がある。
。
高い賃金 ⇒
⇒ 利潤↑。
:労働者の生産性を引き上げるために、
企業が支払う
。
なぜ「効率賃金 ⇒ 生産性↑」??

4つの理由。
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20
理由①:労働者の健康維持

高い賃金 ⇒


効率賃金≒「
疑問:

⇒ 生産性↑。
」。
には当てはまらない。
均衡水準の賃金の下でも、労働者は健康的。
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理由②:労働者の離職阻止

高い賃金 ⇒


離職する便益 < 離職しない便益。
離職のコスト:
コスト。
コスト。




⇒ 生産性↑。
それでも、ベテランよりも生産性が低い。
効率賃金:
。
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理由③:労働者の質の維持

高い賃金 ⇒



労働者の能力は
低賃金 ⇒
。
可能性↑。
例:賃金を引き下げると…
企業
時給1000円

⇒ 生産性↑。
効率賃金:
企業
時給500円
⇒
。
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理由④:労働者の労働意欲引き上げ

高い賃金 ⇒
⇒ 生産性↑。
:




。
「賃金 = 均衡水準」ならば…:



労働意欲は
「
」可能性。
同じ賃金の仕事はほかにもある。
労働者は
。
。
効率賃金:


「
労働意欲
。
」コスト
。
。
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まとめ

失業率の決定要因(6-1節)


職探し




離職率↑、就職率↓
⇒


失業率↑。
摩擦的失業。(6-2節)
部門間シフト。
価格メカニズムが機能。
政策:職業安定所、職業訓練、失業保険。
賃金の硬直性

⇒
⇒
構造的失業。 (6-3節)
最低賃金法: 若年失業を促す。
労働組合: 組合労働者と失業者の利害対立。
効率賃金: 労働者の生産性↑。
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試験範囲について

第1~4章および第6章。ただし、以下は除く。

試験範囲に入らないもの:





第3章2節
か
第4章補論
第6章4節
第6章5節
国民所得は生産要素にどのように分配される
ケーガン・モデル
労働市場の経験:アメリカ
労働市場の経験:ヨーロッパ
注意:

各章のケーススタディおよびコラム

授業で取り上げたものは、試験範囲。


例: 「第2章 コラム どれが投資なのか(p. 39)」
授業で取り上げなかったものは、間接的に試験問題に関連する
可能性あり。