内閣府 加藤参事官講演「青少年施策の現状とアドバイザーへの期待」

講演の開始を告げて、講師の内閣府 加藤参事官を紹介
「演題―青少年施策の現状とアドバイザ-への期待」
【加藤参事官】
和歌山大会の開催おめでとうございます。
アド会の皆さん方は、日頃からそれぞれの立場から青少年の健やかな成長を見守り、導
き、支え、指導して頂き、ありがとうございます。
今日は、今の青少年行政の動きに関わる点及び、お願いしたい点とかを幾つか話します。
青少年の健全育成ということは、大変大事なことでありまして、今は自分の役割・仕事で
もあり、いつもどうして行くのかなと考えています。自分には自分の環境があり、また自
分の家庭や関わる地域がある中で、常に考えています。こういうのが良いのではないかと
思えば、それを仕事に生かして行きたいもんだと思っています。
私の日常の中での話・エピソ-ドですが、朝の駅までの通勤途上、(行政によって)つつ
じなどが植栽されてきれい街路がある。その反対側の小学校側の歩道は幅15~20セン
チほど土が出ていて、雑草が伸びてモアモアとなってごみなどが捨てられ勝ちであった。
ところが、最近、きれいになった。街にとってはありがたいことで気持ちが良い状況に
なって、何故だろうかなと思っていた。ある日、朝、一人のお爺さんが作業してくれたお
蔭と分かった。初めは行政の委託を受けた業者かなと思ったが、よく見てみると、一人で
やっているし、業者っぽくなかった。そして、綺麗にした上で、コスモスの苗を等間隔で
植えて、倒れないように支柱を添えて紐の用意もするなど、行き届いていた。それが無理
にではなく、自身の思いと都合に合わせている様子でしたが、雨の日もやっていて、びっ
くりした。その方には余程の思いがあるのだと思いました。
その姿を見ながら、まだ声を掛けるまでに至ってないが、尊い姿だとありがたいと思っ
ています。その方は、自分のやっていることを取り立てて青少年育成のために自分はこう
やっているんだとかは言わないかもしれないが、その姿を見て青少年育成行政の立場から
考えても色々な育成活動があると思った。
最近、私なりの非常に考えさせら、気持ちを動かされた出来事でした。
(別冊資料「青少年施策の現状とアドバイザ-への期待」に沿って、講演)
青少年育成に関わるうえでは、是非青少年のことを良く知って分かってあげてやってい
きましょう。
まず、
「昨今の青少年はこうだ。
」のような青少年に関わる一般的な情報とか知識も大切だ
との点から、内閣府の研修事業等も開催している。
さらに、日頃の具体的な育成活動を進める上で、個々の子供たちに当たるときにも一人
ひとりよく理解して上げてください。抽象的な理解を当てて済ますのではなく、より個別
の活動の中で踏み込んで理解し、オ-ダ-メイドの活動・関わりになって一人ひとり違う
ので大変なことですが、大事なところです。
今回の和歌山大会のテ-マにも、アド連においては「青少年と共に、考え・・・活動す
る」とあるが、良いテ-マだと思った。「共に」
・・青少年が居て、自分たちが居て、そこ
に距離がないというのは素敵です。
「共にやってゆく、共に考える、共に行動して行く」‥
ということは非常に素敵です。
あとは、青少年育成の典型みたいなことだが、開かれた地域社会を作って行きたい。個々
バラバラではなく、常にオ-プンに人々が関わって行く社会を目指したい。
その取り掛かりとしても、この度、全日本アド連が取り上げている、”あいさつ”とか、
感謝の”ありがとう”・・感謝は人を癒します。こういう所から、啓発・普及を図って行
くことの意義も大きいと思う。
悲しい事件が絶えないですが、私も他人事ではなくて、内閣府において青少年育成に関
わってきて悲しい事件の報道に接すると大袈裟だと言われるかもしれないが、敗北感を抱
きます。
「ア-、仕事が出来てないな。ダメだ!」となる。
川崎市の中学1年生の被害を受けた子の学校との関わりで捉えられるところもあるが、
加害者の子たちも青少年です。あの子たちへのアプロ-チも必要であり、両面での課題が
あると思う。
あと、千葉県銚子市で起こった母子家庭(母親と娘)で生活が苦しくて、公営住宅の家賃
滞納で立ち退きを迫られる中で、娘を殺めてしまった事件の判決(求刑14年に対し、2
年)が出た。その母親の非を責めて終われる事件ではないと私も胸を痛めた。そこまで追
い詰められてはいけないし、関わる人たちを追い詰めてもいけないと思った。
あいさつや感謝の心から始まって、開かれたオ-プンな地域社会を作っていきたいと思
っている。
改めて、育成支援にある時期だけ関われば良いというのではなく、ず-とするべきこと
ですから、次の世代も次の時代も青少年育成を支えてくれる人達が次々と続いて欲しいで
すね。後継者で、アド連はそういうことも視野に入れた取り組みを脈々と積み重ねて来て
いると思う。
内閣府でもそういったことをどうやって行くかを課題として考えて行きたい。これまで
は正直言ってちょっと弱かったと思う。どうして行ったら良いのか?。モデル事業みたい
なもので応援ができるか?。
今後、皆様方からもアイデアを頂いたり、引き続き意見交換しながら青少年育成を絶え
ることなく、ず-ッとやって行けるように、必要な人材を育てて行くことを共通の認識と
して、これからも取り組んで行きたい。
来年は、青少年育成国民運動50周年という大きな節目である。10年前の40周年の
節目を迎えて間もなく国民会議が解散したり、この10年は大きな動きがあった。
一方で、青少年育成支援の法律:「子ども・若者育成支援推進法」が出来た。改めて今か
ら始まっているが、来年度に向けてもう一度盛り上げ直したい。
「子若法」と言うのは、”ニ-ト・ひきこもり”とかは新しい課題であるから、ネット
ワ-ク支援のことを出して、ネットワ-ク支援の仕組みも織り込んだ法律として出た。こ
の法律が出来てから5年間は青少年の支援(引きこもり・ニ-ト・就労支援等)の方の取り
組みに勢い強い取り組みとなってきた感じがあった。
しかしながら、決して「青少年支援と青少年健全育成」とは、どちらかを重く見るとか
ではなく、両方を大事にしなくてはならない。地域の支援ネットワ-クも改めて青少年健
全育成で、地域で、大きく括って欲しい。
専門機関が並んでネットワ-クだというのでは動かない。そこに地域のことが良く分か
り、そこの青少年のことを良く分かっている地域の皆様からあのネットワ-クに言えば大
事な事柄を載せてくれるとか、と言うことがなければ、十全なネットワ-ク機能を果たさ
ない。
健全育成と支援のネットワ-クが、一層連動を強めてより機能的なものにして行くとい
うことを狙って行きたい。どちらか2つ領域があって、今度はこっちにしようとかではな
くて、全体で青少年の育成や支援を高めて行くということに取り組む時期を迎えるのでは
ないかと思う。
来年の50周年は、まだ内閣府も企画中であるが、是非皆様と一緒に改めて盛り上げて、
これからも青少年のためにいい環境、いい社会を作って行くのは大人の役割です。そこで
大きく大きく青少年が育って行けるように、みんなが日本を世界を支えて行ってくれるよ
うに、そのための色んな取り組みや活動、仕事をして行きたい。