※ 機械工学科を志願する場合は,理科の科目中「生物」の点数は採用されません。 生 物 (注意)解答は,解答用紙の解答欄にマークすること。 1 免疫に関する次の文章を読み,以下の問いに答えよ。 私たちの身のまわりには,細菌やウイルスなどのさまざまな病原体がいる。私たちはこれに対して, 免疫をはじめとするからだを守る仕組みを備えている。また,このような仕組みを利用して,いろい ろな病気の治療が行われている。 問1 免疫に関する記述として誤っているものはどれか。次の1∼4の中から一つ選べ。 ア 1 リンパ球の中には,抗体という特殊なタンパク質をつくるものがある。 2 抗体は病原体に対してつくられるが,他の異物に対してはつくられない。 3 一度,抗原に接触したヒトが,それと同じ抗原に再び接触したときに,異常な反応をすること をアレルギーという。 4 アレルギーを引き起こす抗原となるものには,ほこり,花粉,食品,薬剤などがある。 問2 次のa∼eのうちで,免疫の仕組みに基づいて起こる現象はどれか。その組合せとして正しいも のを,次の1∼5の中から一つ選べ。 イ a 出血時の血液凝固 b 異なる型の血液の間で起こる凝集反応 c 酵素による触媒反応 d 異なる生物種の細胞の間で起こる融合 e 臓器移植における拒絶反応 1 a,b 2 a,d 3 b,e 4 c,d 5 c,e − 11 − 問3 次のa∼fのうちで,血清療法とワクチン療法を説明する文はそれぞれどれか。その組合せとし て正しいものを,次の1∼8の中から一つ選べ。 ウ a 病原体をそのまま与え,これに対する抵抗力をつけさせる。 b 病原性を弱めた病原体や,弱毒化した毒素タンパク質を与え,これに対する抵抗力をつけさせ る。 c 他の動物にあらかじめ抗体をつくらせ,これを与えて,病原体やその毒素のはたらきを抑える。 d 病原体を攻撃する細胞の分裂を促進させることにより,病原体の増殖を妨げる。 e 病原体と対抗する微生物を与えることにより,病原体の増殖を妨げる。 f 微生物がつくる物質を用いて,病原菌を殺したり,その増殖を妨げたりする。 血清療法 ワクチン療法 血清療法 ワクチン療法 1 a f 5 d a 2 b c 6 d e 3 c a 7 f b 4 c b 8 f e 問4 ウイルスの性質に関する記述として誤っているものはどれか。次の1∼5の中から一つ選べ。 エ 1 細菌ろ過器の目を通り抜けるほど小さい。 2 核酸を含んでいる。 3 生きた細胞の中でも,人工の培地でも増殖できる。 4 植物に感染するものもある。 5 ヒトの免疫のはたらきを弱め,病気を引き起こすものもある。 問5 BCG接種は,結核を予防する方法である。A君はツベルクリン反応が陰性だったため,BCG接 種を受けた。しかし,その後のツベルクリン反応でも陰性だったので,再びBCG接種を受けた。そ の結果,ツベルクリン反応は陽性になった。このことに関する記述として正しいものはどれか。次 の1∼6の中から二つ選べ。ただし,解答の順序は問わない。 オ 1 BCGは,結核菌に対する抗体である。 2 BCGは,毒性を弱めた結核菌である。 3 ツベルクリン検査では,結核菌に対する抗体を注射する。 4 A君は,結核菌に対する抗体はつくれないが,結核にはかからない。 5 A君は,1回目のツベルクリン注射の結果,抗体をつくるようになった。 6 A君は,2回目のBCG接種の結果,抗体をつくるようになった。 − 12 − , カ 2 緑色植物の光合成に関する次の文章を読み,以下の問いに答えよ。 植物は,光エネルギーを利用してATPを合成し,同時に水の分解によって酸素を放出するとともに, CO2を固定化し炭水化物(糖)を作り出している。この反応を光合成という。緑色植物において光合 成の場は葉緑体である。光合成反応は,a 葉緑体の( Ⅰ )における光が直接関与する段階(第一 段階)と, ( Ⅱ )における光が直接関係しない反応段階(第二段階)の2つに大別される。 光が直接関与する段階では,光エネルギーによりb 光合成色素が活性化され,光化学反応により NADPHとATPがつくられる。この段階ではH2Oが電子を奪われ,酸化的に分解して,O2が生じる。 第二段階では( Ⅱ )に含まれる酵素によりCO2が炭水化物(糖)の形に固定化される。この c CO2固定化の反応経路は( Ⅲ )回路と呼ばれている。 問1 上の文章中の( Ⅰ )∼( Ⅲ )に入る語句の組み合わせとして最も適当なものはどれか。 次の1∼6の中から一つ選べ。 キ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 1 ストロマ DNA カルビン・ベンソン 2 DNA ストロマ クエン酸 3 チラコイド ストロマ カルビン・ベンソン 4 ストロマ チラコイド クエン酸 5 DNA ストロマ カルビン・ベンソン 6 チラコイド DNA クエン酸 問2 下線部aの葉緑体に関する記述のうち,最も適当なものを,次の1∼6の中から一つ選べ。 ク 1 葉緑体はミトコンドリアと同じくDNAを有する細胞小器官の一つであり,動物細胞には存在 しない。 2 葉緑体はミトコンドリアとは異なりDNAを有さない細胞小器官の一つであり,動物細胞には 存在しない。 3 葉緑体はミトコンドリアと同じくDNAを有する細胞小器官の一つであり,動物細胞と原核細 胞とに存在する。 4 葉緑体はミトコンドリアとは異なりDNAを有さない細胞小器官の一つであり,植物細胞と原 核細胞とに存在する。 5 葉緑体はミトコンドリアと同じくDNAを有する細胞小器官の一つであり,原核細胞のみに存 在する。 6 葉緑体はミトコンドリアとは異なりDNAを有さない細胞小器官の一つであり,原核細胞のみ に存在する。 − 13 − 問3 下線部bの光合成色素に関する記述のうち,最も適当なものを,次の1∼6の中から一つ選べ。 ケ 1 クロロフィルは光合成色素の一つで,主に波長400 nm以下の紫外領域から800 nm以上の赤外 領域まであらゆる光を吸収する。 2 クロロフィルは光合成色素の一つで,主に波長400 nm以下の紫外領域の光を選択的に吸収する。 3 クロロフィルは光合成色素の一つで,主に波長500∼600 nmの緑色の光を最も強く吸収する。 4 クロロフィルは光合成色素の一つで,主に波長400∼500 nmの紫∼青色の光のみを最も強く吸 収する。 5 クロロフィルは光合成色素の一つで,主に波長600∼750 nmの赤色の光のみを最も強く吸収す る。 6 クロロフィルは光合成色素の一つで,主に波長400∼500 nmの紫∼青色の光と600∼750 nmの 赤色の光を最も強く吸収する。 問4 次の図1は, 前の文章中の下線部cのCO2固定化の反応回路(反応サイクル)を表したものである。 この反応回路によりグリセルアルデヒド−3−リン酸(GAP)が生成するが,このGAP1分子を 生産するのに,何分子のCO2の固定化が必要か。次の1∼6の中から一つ選べ。図中の はリン酸 を表す。 ホスホグリセリン酸 (PGA) 6ATP 3CO2 6 C3 P 6ADP 3H2O 3 P C5 P リブロース 1, 5 ビスリン酸 6 P C3 P 6NADPH +6H+ 6NADP+ 3ADP 6H3PO4 3ATP 3 C5 P 2H3PO4 2H2O 5 C3 P 6 C3 P グリセルアルデ ヒド 3 リン酸 (GAP) C3H7O6P C3 P H2O H3PO4 1 ( C6H12O6 ) 2 図1 1 1分子 2 2分子 3 3分子 4 4分子 5 5分子 6 6分子 − 14 − コ 問 5 図 1 のCO2固 定 化 の 反 応 回 路 に お い て, 1 分 子 のCO2を 固 定 化 す る の に 消 費 さ れ るATPと NADPHはそれぞれ何分子か。その組合わせとして最も適当なものを,次の1∼6の中から一つ選べ。 サ ATP分子数 NADPH分子数 1 1 1 2 1 2 3 2 3 4 2 1 5 3 2 6 3 3 − 15 − 3 動物の生殖と発生に関する次の文章を読み,以下の問いに答えよ。 精巣では,始原生殖細胞が の ス が セ シ を繰り返し,多数の となり,これが ソ ス ができる。成体になると,一部 をして精細胞となる。1個の )個の精子ができる。成体の雌の卵巣内では,始原生殖細胞が セ を繰り返し, シ から( Ⅰ ソ を 行う過程に入った( Ⅱ )ができる。1個の( Ⅱ )から( Ⅲ )個の卵が形成される。ヒト の染色体数は46であり,相同染色体の片方は父親由来,もう片方は母親由来である。一人のヒトがつ くり出す生殖細胞の染色体の組合せは,単純に計算すると 起こる染色体の 問1 文章中の チ 通りあるが, ソ の過程で によって,遺伝子の組合せがさらに多様化する。 ∼ シ タ ソ に入る語の組合せとして最も適当なものを,次の1∼9の中から それぞれ一つずつ選べ。 1 体細胞分裂 2 減数分裂 3 無糸分裂 4 精子細胞 5 精原細胞 6 ろ胞細胞 7 一次精母細胞 8 二次精母細胞 9 受精卵 問2 文章中の に入る数値として最も適当なものを,次の1∼4の中から一つ選べ。 タ 1 223 2 246 3 23 2 4 46 2 問3 文章中の チ に入る語句として最も適当なものを,次の1∼4の中から一つ選べ。 1 重 複 2 欠 失 3 異数化 4 乗換え 問4 文章中の( Ⅰ )∼( Ⅲ )に入る数値および語句の組合せとして最も適当なものを,次の1 ∼8の中から一つ選べ。 ツ ( Ⅰ ) ( Ⅱ ) ( Ⅲ ) 1 2 卵原細胞 4 2 2 一次卵母細胞 4 3 2 卵原細胞 2 4 2 一次卵母細胞 2 5 4 卵原細胞 2 6 4 一次卵母細胞 2 7 4 卵原細胞 1 8 4 一次卵母細胞 1 − 16 − 4 植物の環境応答に関する次の文章A,Bを読み,以下の問いに答えよ。 A 植物は,根で吸収した水や無機塩類を,( Ⅰ )を通して葉に輸送する。葉の表側には葉緑体 を多く含む細胞からなる( Ⅱ )があり,光合成を行っている。また,植物は,光や重力の方向, 温度,日長など,様々な環境要因の変化を感知してそれに反応するしくみを発達させている。 問1 文章A中の( Ⅰ ) , ( Ⅱ )に入る語句の組合わせとして最も適当なものを,次の1∼9の 中から一つ選べ。 テ ( Ⅰ ) ( Ⅱ ) 1 形成層 クチクラ層 2 形成層 海綿状組織 3 形成層 さく状組織 4 師 管 クチクラ層 5 師 管 海綿状組織 6 師 管 さく状組織 7 道 管 クチクラ層 8 道 管 海綿状組織 9 道 管 さく状組織 問2 文章A中の下線部に関する記述として誤っているものを,次の1∼6の中から一つ選べ。 ト 1 植物の茎は光のあたる方向に,根は重力方向に屈曲する。 2 ある種の植物では,種子や植物体が一定期間低温におかれることによって花芽の形成がうなが される。 3 成長しつつある茎の先端(頂芽)が風などによって折れると,下方の側芽が伸び始める。 4 植物は乾燥にさらされると,葉からの蒸散を促進させ根の吸収力を高めて水分不足に適応する。 5 オナモミでは,葉を短日処理することで花芽を誘導することができる。 6 ある種の植物の種子は,赤色光を照射することにより発芽が促進される。 − 17 − B ある種の種子では,胚が胚乳に囲まれており,吸収すると幼根が胚乳を突き破って発芽する (図2)。この植物にはジベレリンをつくる系統Wのほかに,ジベレリンをつくることができない系 統Gがある。系統Gと系統Wの種子を用いて,発芽におけるジベレリンのはたらきを調べるために, 次の実験1∼4を行った。ここでは種子から根が出ることを発芽とよぶ。また,実験では種皮を取 り除いた種子を用いた。 胚 発芽 胚乳 幼根 図2 実験1 蒸留水を含んだろ紙と,ジベレリン溶液を含んだろ紙の上に種子を置き,48時間後に発芽につい て観察した。蒸留水を含んだろ紙では,系統Gの種子は発芽せず,系統Wの種子は発芽した。ジベ レリン溶液を含んだろ紙上では,どちらの系統の種子も発芽した。 実験2 幼根の先端周辺の胚乳を切除した種子を,蒸留水を含んだろ紙とジベレリン溶液を含んだろ紙の 上に置き,発芽について観察した。その結果,どちらの場合でも,系統Gと系統Wの両方の種子か ら幼根が伸びて発芽した。 実験3 胚乳にどのくらいの力を加えたら,胚乳が破れるのかを調べた。この値(以下,胚乳の強度とす る)は幼根が胚乳を突き破るのに必要な力とみなすことができる。蒸留水を含んだろ紙とジベレリ ン溶液を含んだろ紙の上に置いた種子の胚乳の強度の変化について,調べた結果を図3に示した。 胚乳の強度︵相対値︶ 蒸留水を与えた系統 Wの種子 1.0 ジベレリン溶液を与 えた系統Wの種子 0.5 蒸留水を与えた系統 Gの種子 0 0 12 24 36 48 吸水後の時間 (時間) 図3 − 18 − ジベレリン溶液を与 えた系統Gの種子 実験4 種子から胚を取り除き残った胚乳を,蒸留水を含んだろ紙とジベレリン溶液を含んだろ紙の上に 置いた。胚乳の強度の変化について調べた結果を図4に示した。 胚乳の強度 ︵相対値︶ 蒸留水を与えた系統 Wの胚乳 1.0 ジベレリン溶液を与 えた系統Wの胚乳 0.5 蒸留水を与えた系統 Gの胚乳 0 0 12 24 36 48 吸水後の時間 (時間) ジベレリン溶液を与 えた系統Gの胚乳 図4 問3 実験1・実験2の結果から,幼根の先端周辺の胚乳を切除した種子と切除していない種子の発芽 についての記述として最も適当なものを,次の1∼4の中から一つ選べ。 ナ 1 胚乳を切除した種子と切除していない種子の両方において,発芽にはジベレリンの作用が必要 である。 2 胚乳を切除した種子と切除していない種子の両方において,発芽にはジベレリンの作用は必要 ではない。 3 胚乳を切除した種子の発芽にはジベレリンの作用が必要であるが,切除していない種子の発芽 にはジベレリンの作用は必要ではない。 4 胚乳を切除した種子の発芽にはジベレリンの作用は必要ではないが,切除していない種子の発 芽にはジベレリンの作用が必要である。 問4 実験1∼4の結果から考えられる,発芽過程での胚乳の強度変化についての記述として最も適当 なものを,次の1∼4の中から一つ選べ。 ニ 1 胚によってつくられたジベレリンが作用し,胚乳の強度が低下する。 2 胚乳の細胞がジベレリンをつくることで,胚乳の強度が低下する。 3 ジベレリンによって促進される幼根の伸長によって,胚乳が押しつぶされて,強度が低下する。 4 ジベレリンによって胚は吸収を開始するので,胚乳は水を奪われて,強度が低下する。 − 19 − 問5 被子植物の種子は有胚乳種子と無胚乳種子に分けられる。無胚乳種子に関する記述として最も適 当なものを,次の1∼4の中から一つ選べ。 ヌ 1 胚乳核が形成されず,貯蔵物質は胚軸に蓄えられる。 2 胚乳核が形成されず,貯蔵物質は子葉に蓄えられる。 3 胚乳核は形成されるが胚乳は発達せず,貯蔵物質は胚軸に蓄えられる。 4 胚乳核は形成されるが胚乳は発達せず,貯蔵物質は子葉に蓄えられる。 − 20 −
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